1. 企業情報

  • タビオは、「靴下屋」のブランドで知られる靴下・タイツの企画、製造、卸、小売を手がける企業です。女性向け商品を中心に、直営店とフランチャイズ(FC)店を展開しています。
  • 主力製品・サービスは、五本指ソックス、アンクルソックス、タイツ、ストッキングといった一般的な靴下製品から、ランニング、ゴルフ、サッカー・フットサル、ヨガなどのスポーツソックス、さらには着圧ソックスや冷え対策ソックスのようなヘルス・ビューティーに特化した機能性ソックスまで多岐にわたります。店頭と連動した国内生産システムに強みを持っています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • タビオは靴下・タイツの専門小売業として確立されたブランド「靴下屋」を擁し、一定の市場ポジションを築いています。
  • 競争優位性としては、国内外に展開する直営・FC店舗網に加え、国内EC、海外EC、スポーツ卸と多様な販路を持つ点、そして店頭の販売動向に素早く対応できる国内生産システムが挙げられます。EC事業では「足ベール」シリーズの強化やインフルエンサー施策を通じて収益性改善を図り、海外では現地生産比率向上によるコスト効率化を進めるなど、市場動向への対応を進めています。
  • 課題としては、国内専門店事業において物価上昇や消費抑制の影響を受け、需要が弱含みであること、またフットボール商品など一部製品で供給制約があることが挙げられます。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣は「収益基盤の強化と中長期的成長ポテンシャルの確立」を掲げています。
  • 中期経営計画では、既存商品の新販路展開や新ブランドと新規販路の開拓に注力しています。具体的な施策として、国内専門店では自動発注システムのテスト導入による効率化、国内ECでは「足ベール」シリーズの強化や配送・広告費の見直しによる収益性改善、海外事業では現地生産比率の向上とEC(Tmall・RED)の強化、スポーツ卸事業ではランニング商品の価格改定による収益向上などを推進しています。
  • 新製品・新サービスの展開では、特に国内ECにおける「足ベール」シリーズの強化が挙げられています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • タビオの収益モデルは、靴下・タイツの企画から製造、販売までを一貫して行う垂直統合型です。直営・FC店舗網に加え、国内EC、海外EC、スポーツ卸と販売チャネルを多角化することで、幅広い市場ニーズに対応しています。店頭連動の国内生産システムは、顧客ニーズへの迅速な対応と在庫リスクの低減に寄与し、持続的な事業運営の基盤となっています。
  • 売上の計上時期には季節的な偏りがあり、特に防寒靴下などの販売が集中する下半期に業績が左右される傾向があります。このため、下半期の需要動向が通期業績達成の重要な鍵となります。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向としては、店頭販売データと連動した国内生産システムが生産効率と在庫管理の面で独自性を持っています。最近では、自動発注システムのテスト導入により、発注業務の属人化解消と効率化を進める動きが見られます。
  • 収益を牽引している製品としては、国内ECで強化されている「足ベール」シリーズや、スポーツ卸で価格改定が奏功している「ランニング商品」などがあります。全体的には、「靴下屋」ブランドで展開される多様な靴下・タイツ製品群が主力です。

6. 株価の評価

  • 現在の株価1,304.0円に対し、会社予想EPSは72.24円、実績BPSは722.87円です。
  • PER(会社予想)は18.06倍、PBR(実績)は1.81倍となっています。
  • 業界平均PER10.1倍、業界平均PBR0.7倍と比較すると、タビオのPERおよびPBRは業界平均を大幅に上回っており、割高感があります。ただし、同社の予想EPS/BPSから理論株価を算定すると、現在の株価は妥当な水準とも言えます。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価は1,283円から1,304円の間で緩やかに上昇しており、年初来高値1,325円に迫る高値圏(52週レンジ内位置: 90.7%)にあります。
  • 出来高は非常に少なく、直近では1,100株、売買代金は1,431千円と市場の関心度は低い状態です。流動性も低いことに留意が必要です。
  • 長期トレンド分析:
  • 1ヶ月リターン: +3.33%
  • 3ヶ月リターン: +7.77%
  • 6ヶ月リターン: +9.21%
  • 1年リターン: +3.00%
  • 日経平均との相対パフォーマンスは、1ヶ月では上回っていますが、3ヶ月、6ヶ月、1年では大きく下回っています。TOPIXとの相対パフォーマンスは1ヶ月では上回っています。
  • 移動平均線(5日、25日、75日、200日)との位置関係では、現在の株価が全ての移動平均線を上回っており、短期から長期まで一貫した上昇トレンドを示唆しています。
  • 5日MA>25日MA>75日MA>200日MA の順に並んでおり、明確なゴールデンクロスによる上昇トレンドのシグナルが見られます。
  • サポート・レジスタンスレベル: 現在株価は直近1ヶ月のレンジ高値1,305円に接近しており、この水準がレジスタンスとなり得ます。下値のサポートは1ヶ月レンジ安値1,255円付近です。

8. 財務諸表分析

  • 売上高は2022年2月期以降、毎年増加傾向にあり、2025年2月期は16,852百万円でした。2026年2月期も増収が予想されています。
  • 営業利益は2022年2月期の120百万円から2025年2月期の739百万円へと大幅に改善しており、収益性の向上が顕著です。2026年2月期も増益予想です。
  • 純利益も同様に大きく増加しており、ROE(過去12か月12.99%)とROA(過去12か月5.89%)は一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)を上回る水準です。
  • 2026年2月期第2四半期(中間期)の進捗状況を見ると、売上高は前年同期比ほぼ横ばいでしたが、粗利改善と販管費コントロールにより営業利益は15.4%増、親会社株主に帰属する中間純利益は48.6%増と大幅な増益を達成しており、通期業績予想に対する利益の進捗は良好です。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率は56.7%(直近四半期で58.0%)と非常に高く、財務の安全性は極めて良好です。
  • 流動比率は1.59倍(159%)と十分な水準であり、短期的な支払い能力に問題はありません。
  • 負債比率(Total Debt/Equity)は8.70%と極めて低く、負債依存度が低い強固な財務体質を示しています。
  • 現金及び預金は直近四半期で減少していますが、これは主に投資活動(子会社設立、設備投資)と財務活動(配当支払、借入金返済)によるものであり、問題となる水準ではありません。借入金も減少傾向にあり、金利負担は経営に大きな影響を与えていません。

10. 収益性分析

  • ROE12.99%とROA5.89%は、それぞれベンチマークの10%と5%を上回っており、資本を効率的に活用して収益を上げていると言えます。
  • 営業利益率は過去数年で改善傾向にあり、粗利率の向上と販管費の抑制が収益性改善の主要因です。ECや海外事業の拡大、生産性向上を通じて、さらなる収益性改善の余地があると考えられます。
  • 利益の質分析:営業キャッシュフローと純利益の比率は1.55であり、営業キャッシュフローが純利益を大幅に上回っています。これは利益の質が極めて高いことを示しており、会計上の利益が実質的な現金の裏付けがある健全な状態です。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値(5Y Monthly)は0.11と非常に低く、市場全体の変動に対する株価の感応度が極めて低い、ディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。
  • 52週高値1,325.00円、安値1,100.00円に対し、現在の株価1,304.0円は高値圏に位置しています。
  • 決算短信には以下のリスク要因が記載されています。
  • 国内消費の冷え込み、インバウンド回復の地域偏在。
  • 原材料・調達コストの上昇。
  • フットボール等の特定商品の供給制約。
  • 下半期の天候や季節要因による販売変動。

12. バリュエーション分析

  • PER(会社予想)18.06倍、PBR(実績)1.81倍は、業界平均PER10.1倍、PBR0.7倍と比較して割高です。
  • 業種平均PER基準で算出された目標株価は903円、業種平均PBR基準で算出された目標株価は506円です。これに対し現在の株価1,304.0円は大きく上回っており、業界平均との比較では割高と評価できます。ただし、同社の高い財務健全性や収益性改善のトレンドが市場で評価され、業界平均以上のバリュエーションで取引されている可能性もあります。

13. 市場センチメント分析

  • 信用買残は13,600株、信用売残は0株であり、信用倍率は0.00倍です。売り方がいない状況ですが、出来高の低さも相まって需給バランスへの影響は限定的です。
  • 株主構成を見ると、(有)越智産業(27.18%)、エム・エス・エヌ(15.78%)、越智ホールディングス(9.19%)など、創業者関連企業や個人が大株主の上位を占め、安定株主が多いと推測されます。インサイダー保有比率も62.45%と高く、経営陣による支配が強い構造です。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想)は2.30%、1株配当(会社予想)は30.00円です。
  • 配当性向(会社予想)は41.5%(または39.2%)と、一般的な目安である30~50%の範囲内にあり、株主還元に積極的な姿勢が見られます。
  • 過去の配当性向は業績変動に伴い高かった時期もありますが、近年は業績改善と共に健全な水準に落ち着いています。
  • 自社株買いなどの追加的な株主還元策は、当中間期には実施されていません。

15. 最近のトピックスと材料

  • 2026年2月期第2四半期(中間期)決算において、売上高は微減ながらも、粗利率の改善と販管費の抑制により、営業利益が前年同期比15.4%増、最終利益が48.6%増と大幅な増益を達成しました。この収益性改善は、ECの配送コスト・広告費見直し、スポーツ卸での価格改定、海外での現地生産比率向上など、これまでの戦略的な取り組みが奏功した結果と言えます。
  • これらの利益改善は、通期業績予想の達成に向けたポジティブな材料ですが、通期予想の修正は行われておらず、下半期の国内消費動向や季節性商品(防寒靴下など)の販売状況が今後の業績を左右する重要な要素となります。

16. 総評

タビオは「靴下屋」ブランドを軸に、高い財務健全性と収益性の改善トレンドを示す企業です。店頭連動の国内生産システムを強みに持ち、ECや海外市場への積極的な取り組みを通じて成長戦略を推進しています。

  • 強み:
  • 自己資本比率58.0%と、極めて堅固な財務基盤。
  • ROE12.99%、ROA5.89%と高水準で、過去数年で営業利益・純利益が大きく改善しており、収益性向上の明確なトレンドが見られる。
  • 営業キャッシュフローが純利益を大幅に上回ることから、利益の質が極めて高い。
  • ベータ値が0.11と低く、市場全体の変動に左右されにくいディフェンシブな特性を持つ。
  • 配当性向も適正水準に落ち着き、安定した株主還元策を実施。
  • 弱み:
  • 国内専門店事業の需要が、物価上昇や消費抑制の影響で弱含み。
  • 出来高が少なく流動性も低い。
  • 下半期に売上・利益が集中する季節性があり、業績に変動リスクがある。
  • 機会:
  • EC事業(特に「足ベール」シリーズ)や海外事業(現地生産化、Tmall・RED等)の更なる拡大による成長余地。
  • 自動発注システム導入などによるサプライチェーンの効率化とコスト削減。
  • 脅威:
  • 競争の激化、特に低価格帯を強みとする競合他社の存在。
  • 原材料価格や輸送コストの高騰が収益を圧迫する可能性。
  • 国内消費者の購買意欲のさらなる低下。

投資判断の参考としては、盤石な財務基盤と堅実な収益改善は評価に値しますが、現在の株価はPER、PBRともに業界平均と比較して割高感がある点に留意が必要です。流動性の低さも考慮するべき要素です。今後、国内の厳しい消費環境下で、EC・海外・スポーツ卸事業の成長戦略が計画通りに進捗し、継続的な収益拡大に繋がるかが重要な注目点となるでしょう。

17. 企業スコア

  • 成長性: B
  • 売上高は緩やかな増加傾向にあるものの、直近中間期は微減収。ECや海外事業が成長している一方で、国内専門店事業の伸び悩みが見られる。通期予想は増収だが、成長加速には時間を要する可能性。
  • 収益性: A
  • 粗利率の改善、営業利益率の向上、ROE(12.99%)、ROA(5.89%)ともにベンチマークを上回る。営業利益、純利益も増加トレンドであり、利益の質も非常に高い。
  • 財務健全性: S
  • 自己資本比率58.0%と極めて高く、流動比率159%、D/E比率8.70%と、財務安全性は非常に優れている。現金保有も十分。
  • 株価バリュエーション: C
  • PER18.06倍、PBR1.81倍は、業界平均PER10.1倍、PBR0.7倍と比較して明確に割高。業界平均倍率を用いた目標株価レンジ(903円~506円)を現在の株価が大きく上回っている。

企業情報

銘柄コード 2668
企業名 タビオ
URL http://www.tabio.com
市場区分 スタンダード市場
業種 商社・卸売 – 卸売業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,304円
EPS(1株利益) 72.24円
年間配当 2.30円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 20.6% 19.4倍 3,579円 22.5%
標準 15.9% 16.9倍 2,544円 14.5%
悲観 9.5% 14.3倍 1,632円 4.8%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,304円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,274円 △ 2%割高
10% 1,591円 ○ 18%割安
5% 2,008円 ○ 35%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.6)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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