2025年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
エグゼクティブサマリー
- 決算サプライズ:売上収益・営業利益は会社の通期見通しを下方修正(下振れ)。一方、当期利益(親会社帰属)はロシア工場収用に係るドイツ保険金169億円を非継続事業の利益として計上したため大幅上振れ。
- 業績の方向性:売上収益は減収、営業利益は大幅減益(増収増益ではないが、税引前・当期利益は非継続利益で大幅改善)。
- 注目すべき変化:継続事業ベースの営業利益は前年同期比で▲61.5%(115億円→約115億円→実績115.36億円)と急減。一方で非継続事業(ロシア関連保険収入)で約169億円の受領があり、四半期利益が大幅改善。
- 今後の見通し:通期は売上収益・営業利益を下方修正(2025年2月公表から修正)。会社は通期売上505,000百万円、営業利益18,000百万円、当期利益22,000百万円を予想。第3四半期累計の進捗では売上進捗約67.9%、営業利益進捗約64.1%、当期利益進捗約95.5%(当期利益は保険金を含むため歪む)。
- 投資家への示唆:今回の業績改善(当期利益)は非継続の保険収入が主因で、継続事業の収益性は弱含み。納期乱れ・在庫増加や短期流動性指標の悪化に注意。中長期の受注残は増加しており(9月末 2,540億円)、第4四半期での売上回復期待はあるが、為替前提・輸出許可など外的要因が不確実性。
基本情報
- 企業概要:
- 企業名:DMG森精機株式会社
- 主要事業分野:工作機械(マシニングセンタ、ターニングセンタ、複合加工機、5軸ほか)、ソフトウェア、計測装置、修理・サポート、エンジニアリング等トータルソリューションの提供
- 代表者名:取締役社長 森 雅彦
- 報告概要:
- 提出日:2025年10月30日
- 対象会計期間:2025年1月1日~2025年9月30日(2025年12月期 第3四半期累計、IFRS・連結)
- 決算説明資料作成:有、決算説明会:有
- セグメント:
- マシンツール:工作機械の製造・販売(機械本体など)
- インダストリアル・サービス:修理復旧、スペアパーツ、MRO、エンジニアリング、ソリューション提供
- 発行済株式:
- 期末発行済株式数(自己株式含む):142,325,934株(2025年9月末)
- 期中平均株式数(四半期累計):141,664,375株
- 時価総額:–(開示なし)
- 今後の予定:
- 通期決算発表等:通期は2025年1月~12月の見通しを提示(修正あり、詳細は補足資料参照)
- 株主総会・IRイベント等:–(本短信に記載なし、補足説明資料にて案内)
決算サプライズ分析
- 予想vs実績(通期会社予想に対する第3四半期累計進捗で表示)
- 売上高:第3Q累計 343,129百万円(対前年▲11.6%)。通期予想505,000百万円に対する進捗率 67.9% → 通常の年度進捗(前年同期比など)と比べやや遅め。
- 営業利益:第3Q累計 11,536百万円(対前年▲61.5%)。通期予想18,000百万円に対する進捗率 64.1% → 下方修正後の会社計画に対しても余裕は小さい。
- 純利益(親会社帰属):第3Q累計 21,002百万円(前期は563百万円)→ 通期予想22,000百万円に対する進捗率 95.5%(ただし非継続事業の保険金169億円を含むため継続事業の実力を反映せず)
- サプライズの要因:
- 下振れ要因:米国関税負担交渉長期化、新型CNC切替対応、経済安全保障強化に伴う輸出許可審査の長期化などで納期乱れ・出荷遅延→売上減・出荷待ち在庫増。
- 上振れ要因:ロシア工場(Ulyanovsk)収用に関するドイツ政府の海外直接投資保険に基づく保険金169億円(102百万EUR)を非継続事業の利益として計上。
- 通期への影響:
- 会社は2025年2月5日公表の通期予想を下方修正(売上・営業利益を減額)済み。保険金により当期利益は上方補正されているが、継続事業の営業力回復が達成されない限り通期業績の本質改善には乏しい。
財務指標
- 財務諸表要点(2025年9月30日、単位:百万円)
- 売上収益(第3Q累計):343,129(前年387,960、前年比▲11.6%)
- 営業利益:11,536(前年29,961、前年比▲61.5) 営業利益率:3.4%(前年7.7%、△4.4pp)
- 税引前四半期利益:23,705(前年10,100、+134.7%)※非継続事業の影響含む
- 親会社帰属四半期利益:21,002(前年563、大幅増) EPS:137.86円(前年▲5.21円)
- 総資産:827,297(前期末797,567)
- 資本合計:328,531(前期末316,480)
- 親会社所有者帰属持分比率:39.5%(前期末39.4%)→ ほぼ安定(目安40%)
- 現金及び現金同等物:29,496(前期末41,747、▲12,251)
- 棚卸資産:210,613(前期末190,009、+20,604)
- 流動資産合計:331,026、流動負債合計:412,296 → 流動比率 ≒ 80.3%(流動性目安100%未満で圧迫)
- 負債合計:498,765、自己資本比率39.5%(安定水準に近接)
- 有利子負債(短期+長期借入金):約121,438百万円、ネットデット(有利子負債-現金)≈91,942百万円、ネットデット/親会社株主持分 ≒28.1%
- キャッシュフロー(第3Q累計、百万円)
- 営業活動CF:△203(前年+11,025) → 在庫増加や支払構造で大幅減少
- 投資活動CF:△1,418(前年△26,544、前年大きな投資/子会社取得による差)
- 財務活動CF:△10,944(前年+6,440、2025年はハイブリッド資本の発行・返済等で変動)
- 現金増減額:△12,250(前年△8,458)
- 収益性詳細(第3Q累計)
- 売上高:343,129百万円(前年比▲11.6% / ▲44,831百万円)
- 営業利益:11,536百万円(前年比▲61.5% / ▲18,425百万円)
- 経常(税引前)利益:23,705百万円(前年比+134.7% / +13,605百万円)※非継続事業寄与
- 親会社帰属純利益:21,002百万円(前年比大幅増)
- EPS(基本):137.86円(前年▲5.21円)
- 進捗率分析(通期会社予想に対する第3Q累計進捗)
- 売上高進捗率:67.9%(343,129/505,000)→ やや遅め
- 営業利益進捗率:64.1%(11,536/18,000)→ 余裕は小さい
- 当期利益進捗率:95.5%(21,002/22,000)→ ただし非継続の保険金での歪み
- 過去同期間との比較:前年は売上進捗約71.7%、営業利益進捗約68.6%→ 今期は両者ともやや遅れ
- 財務安全性:
- 自己資本比率:39.5%(ほぼ安定:目安40%に近い)
- 流動比率:約80.3%(流動性は弱含み、目安100%未満)
- 負債比率(負債/資産):≈60.3%(負債がやや高め)
- 効率性:
- 売上高営業利益率の低下(7.7%→3.4%)が顕著。主因は納期乱れ・出荷遅延・コスト上昇など。
- セグメント別(第3Q累計、外部売上・セグメント利益、単位:百万円)
- マシンツール:売上 219,488(前年252,132、▲12.9%)、セグメント利益 5,959(前年4,589、+29.8%)
- インダストリアル・サービス:売上 123,606(前年135,794、▲9.0%)、セグメント利益 17,562(前年32,682、▲46.2%)
- セグメント利益合計 23,522 → 全社調整等で最終営業利益に
配当
- 配当実績・予想:
- 中間配当(第2四半期末):50.00円(実績・2025年も維持)
- 期末配当(予想):55.00円(2025年通期予想合計105.00円)
- 配当予想の修正:直近公表からの修正なし
- 配当利回り:–(株価依存のため本短信に記載なし)
- 配当性向:–(通期予想に対する配当性向は開示なし。ただし当期利益は非継続要素が大きいため注意)
- 株主還元方針:自社株買い等の特記事項は本短信に記載なし
セグメント別情報
- マシンツール:
- 売上:219,488百万円(前年252,132、▲12.9%)
- 利益:5,959百万円(前年4,589、+29.8%)→ 売上減だが収益性改善(製品ミックスやコスト改善の可能性)
- 戦略・動向:新世代NTX/NHX等新製品投入、EMO展示による受注機会、長尺仕様追加など製品ラインアップ強化
- インダストリアル・サービス:
- 売上:123,606百万円(前年135,794、▲9.0%)
- 利益:17,562百万円(前年32,682、▲46.2%)→ 利益大幅悪化。MRO等は堅調との記載もあるが、セグメント計数で受注・採算に変化あり
- 戦略・動向:MRO/スペア/エンジニアリング受注は堅調(928億円、前年同水準)。DX・OPEN MINDとの販売契約等でソリューション強化
中長期計画との整合性
- 中期経営計画:具体的数値目標の記載は本短信に詳細なしが、MX(マシニング・トランスフォーメーション)、DX/GX推進による付加価値拡大を掲げる
- 進捗状況:受注面では第3Q累計受注3,819億円で前年同水準、年間見通し5,150億円(前年度比+4%)を計画。受注残は2,540億円(2024年12月末 2,180億円→増加)
- KPI達成状況:売上・営業利益は中期の収益性改善目標に向けては遅れ。製品投入・受注は良好だが、納期・出荷での短期問題が足を引っ張る
競合状況や市場動向
- 競合比較:本短信では同業他社との直接比較はなし。市場では欧州需要回復、米州・インド好調、中国横ばい、日本・アジアはやや弱含みと記載
- 市場動向・競争優位性:
- 産業別:民間航空機、宇宙、メディカル、金型、防衛関連向け受注が堅調
- 競争優位性:新製品(NTX 3rd Gen、NHX 4th Gen)、自動化パッケージ、OPEN MINDとのソフト連携でソリューション面の強化を推進
今後の見通し
- 業績予想(会社公表、2025年1月~12月・修正後)
- 売上収益:505,000百万円(前回5,100億→修正5,050億→今回5,050億)、増減:△50億(下方修正)
- 営業利益:18,000百万円(前回38,000→修正18,000、下方修正幅大)
- 親会社帰属当期利益:22,000百万円(保険金計上で当期利益は上方)
- 為替前提:USD 149.0円、EUR 167.0円(通期前提)
- 予想の信頼性:過去の公表修正を踏まえると現時点は外部要因(関税・輸出許可・CNC切替等)で予測の不確実性が高い。保守的な見直しは既に反映。
- リスク要因:
- 米国関税交渉の長期化、輸出許可審査遅延、CNC切替による納期・出荷遅延
- 在庫増・流動比率低下による短期資金繰り圧迫
- 地政学リスク(ロシア関連は保険処理にて損失補償されたが、類似リスクは残存)
- 為替変動、原材料・物流コストの変動
重要な注記
- 会計方針の変更:該当なし(IFRSの重要な会計方針は前期と同一)
- 非継続事業:ロシアのUlyanovsk事業は非継続事業に分類。今回の当期利益改善は非継続事業の保険金(169億円)による。
- 資本性金融商品:第3回永久劣後特約付ローン(調達額500億円)を「ハイブリッド資本」として計上(資本性金融商品扱い)。発行・返済等の記録あり。
- その他重要事項:決算補足説明資料あり(同社HPに掲載予定)。将来予測は不確定要素を含む旨の注記あり。
(注)
- 本要約は同社が提出した2025年12月期 第3四半期決算短信(IFRS・連結)に基づく整理。資料に記載の数値は原資料の単位(百万円等)に基づく。
- 「–」は開示がなかった項目を示す。
上記の内容は、AIによる自動要約に基づいて作成されたものであり、正確性や網羅性について保証するものではありません。内容の解釈や利用に際しては、必ず公式の決算短信 をご参照ください。信頼性を確保するよう努めていますが、情報の完全性についてはご自身での確認をお願い致します。
企業情報
| 銘柄コード | 6141 |
| 企業名 | DMG森精機 |
| URL | https://www.dmgmori.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.5)」によって自動生成されました。
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