1. 企業概要

日本電気硝子株式会社は、多岐にわたる特殊ガラス製品とガラス製造装置を手掛ける大手メーカーです。主力はFPD(フラットパネルディスプレイ)用ガラスと自動車用ガラス繊維であり、ディスプレイや電子デバイス向けのガラス製品、医薬・医療用ガラス、建築用ガラス、複合材用ガラス繊維など、幅広い分野に供給しています。

  • 主力製品・サービスの特徴:
    • 電子・情報分野: LCD/OLEDディスプレイ用ガラス基板、半導体支持用ガラスウェハー、プローブカード用ガラス基板、超薄型ガラスなど、高機能・高付加価値な電子デバイス向けガラス製品。韓国・台湾・中国の主要パネルメーカーを顧客とします。
    • 機能材料分野: 機能性プラスチック補強用のチョップドストランド、建築材料向けのガラス繊維、セメント補強用の耐アルカリ性ガラス繊維、医薬・医療用ガラス管、耐熱ガラスセラミックス、防火ガラスなど。
  • 収益モデル: B2B(企業間取引)が主体のモデルです。素材メーカーとして、国内外の主要な電機メーカー、自動車部品メーカー、建設会社などを顧客に持ち、グローバルに製品を供給しています。特定の製品群(ディスプレイ用ガラス)においては、市場サイクルや顧客の設備投資動向に影響を受けやすい側面があります。
  • 技術的独自性や参入障壁: ディスプレイ用ガラスといった特殊ガラス製造には、高度な材料設計技術、精密な成形技術、品質管理能力が求められ、特に大型高精細パネル向けでは高い技術的参入障壁が存在します。超薄型ガラスやガラスウェハ、特殊ガラスセラミックスといった高機能製品の開発・量産技術も同社の強みであり、長年の経験とノウハウが蓄積されています。

2. 業界ポジション

日本電気硝子はFPD用ガラスの大手であり、ディスプレイ市場においては主要プレイヤーの一つです。特に韓国・台湾・中国の液晶パネル企業を主顧客とし、グローバル市場で一定のシェアを保有しています。

  • 業界内での推定市場シェアまたはポジション: FPD用ガラス市場における具体的なシェア数値は不明ですが、「FPD用ガラス大手」と記述されており、主要メーカーの一角を占めていると推察されます。自動車用ガラス繊維も主力事業の柱の一つです。
  • 主要競合との差別化要因: 高度なFPD用ガラス製造技術に加え、多様な機能ガラス製品(半導体支援ガラス、医療用ガラスなど)を手掛ける事業の多角性が差別化要因です。特に、電子デバイス分野における高付加価値製品への注力と、ガラス素材を基盤とした幅広いソリューション提供力が強みです。
  • 市場動向と企業の対応状況: ディスプレイ市場は需要の変動があるものの、足元では堅調に推移しています。特に電子デバイス向けでは、半導体やデータセンター関連の需要が好調です。同社は、高付加価値製品の拡販、販売価格上昇、生産性改善、物流費低下により収益性改善を進めており、特に電子・情報分野が牽引役となっています。一方で、複合材事業では競争激化による販売低迷が見られ、事業構造改革を進めています。
  • 【定量比較】業界平均との財務指標比較:
    • PER(会社予想): 20.91倍 vs 業界平均 18.3倍(やや割高)
    • PBR(実績): 1.00倍 vs 業界平均 1.4倍(割安)
    • 「同業他社比較」で示したROEやROAはベンチマークを下回っていますが、これは過去の低収益期の実績が含まれるため、直近の収益改善動向を考慮する必要があります。

3. 経営戦略

経営陣は中期経営計画「EGP2028」を推進しており、事業ポートフォリオの見直しと収益性改善に注力しています。

  • 経営陣のビジョンと中期経営計画: 中期経営計画 EGP2028では、ノンコア資産処分(藤沢事業場跡地売却など)や政策保有株式の削減を通じて、資産効率の向上と財務体質の強化を図っています。事業においては、高収益体質への転換を目指し、高付加価値製品へのシフトと事業構造改革を推進しています。
  • 重点投資分野と成長戦略:
    • 高付加価値製品の拡販: 特に電子デバイス事業における半導体・データセンター向け製品などの需要を獲得。
    • ディスプレイ事業の収益性改善: 販売価格上昇と生産性改善。
    • 機能材料分野の構造改革: 競争が激しい複合材事業などにおける費用低減や効率化。
  • 最近の適時開示情報:
    • 2025年10月31日発表の2025年12月期第3四半期決算において、通期業績予想を上方修正しました(営業利益、経常利益、当期純利益を増額)。
    • 自己株式の取得実施(2025年2月5日決議、同年9月12日終了)と自己株式消却(2025年1月31日付)。
  • これらが今後の業績に与える影響:
    • 上方修正は、足元の業績が堅調に推移していることを示唆し、特に電子・情報分野の好調が続く限りはポジティブな影響が期待されます。
    • 自己株式取得・消却は、1株当たりの価値向上を通じて株主還元を強化する姿勢を示しており、資本効率の改善に貢献します。
    • 複合材事業の構造改革費用計上は、短期的には利益を圧迫しますが、中長期的な収益体質改善に繋がる可能性があります。

4. 財務分析

  • 【収益性】
    • 営業利益率: 2024年12月期実績は2.05%と低水準でしたが、直近12ヶ月実績では9.77%、2025年12月期第3四半期累計では約10.5%と大きく改善しています。通期予想ベースでも約10.3%(32,000百万円 ÷ 310,000百万円)となり、収益力の向上が見られます。
    • ROE: 2024年12月期実績は2.49%、過去12ヶ月実績は-0.35%とベンチマーク(10%)を大きく下回っています。これは、前年に多額の特別損失を計上したことや、過去の不採算事業の影響が残っていたためと考えられます。ただし、足元での営業利益率改善により、今後はROEの回復も期待されます。
    • ROA: 過去12ヶ月実績で2.30%とベンチマーク(5%)を下回っています。これはROEと同様の理由によるものです。
  • 【財務健全性】
    • 自己資本比率: 2025年9月30日時点 (直近四半期) で69.8%、2024年12月期実績で69.6%と極めて高く、非常に安定した財務基盤を築いています。
    • 流動比率: 2025年9月30日時点 (直近四半期) で242.7%と、健全とされる200%を大きく上回っており、短期的な支払い能力に問題はありません。
    • D/Eレシオ: 直近四半期のTotal Debt/Equityは21.51%と非常に低く、有利子負債に対する自己資本の比率が高く、借入金への依存度が低いことを示しています。
  • 【成長性】
    • 売上高成長率: 2023年12月期は市場環境の厳しさから減収となりましたが、2024年12月期は対前年+6.88%、2025年12月期予想は対2024年予想比で+3.6%と増収を見込んでいます。特に足元では電子・情報分野が成長を牽引しています。
    • 利益成長率の推移: 2023年12月期に営業利益が赤字、純利益も大幅な赤字となる厳しい時期がありましたが、2024年12月期には利益を確保し、2025年12月期は営業利益+422.9%、経常利益+157.7%(通期予想)と大幅な増益を見込んでおり、V字回復の途上にあります。
  • 【キャッシュフロー】
    • 四半期連結キャッシュフロー計算書の開示はないものの、現金及び預金は前期末から減少しています(自己株買い、配当支払い、借入金返済等の影響)。財務健全性が高いため、キャッシュマネジメントは適切に行われていると考えられます。
    • 営業CF/純利益比率: データなし。
  • 【四半期進捗】
    • 2025年12月期通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高約74.9%、営業利益約76.0%、純利益約72.5%となっており、概ね順調に進捗しています。会社の上方修正も踏まえると、通期目標達成の可能性は高いと判断されます。

5. 株価分析

  • 【現在の水準】
    • PER: 20.91倍(会社予想)は業界平均18.3倍と比較してやや割高な水準(約114%)です。これは、今後の業績回復期待が織り込まれている可能性があります。
    • PBR: 1.00倍(実績)は業界平均1.4倍と比較して割安な水準(約71%)です。純資産価値に対して株価が割安であることを示唆しています。
    • EPS/BPSベースの理論株価レンジ: 株価(6,155円)に対してBPS(6,155.63円)はほぼ同水準であり、PBRが1倍であることを裏付けています。業種平均PBR基準での目標株価は8,618円と算出されており、現在の株価から約40%の上昇余地があることを示唆しています。
  • 【テクニカル】
    • 52週高値・安値との位置関係: 現在株価6,155円は、52週高値7,068円の約77.6%水準にあり、安値3,000円からは大幅に上昇しています。
    • 移動平均線との位置関係:
      • 5日移動平均線(6,179.20円)を下回っています(-0.39%)。
      • 25日移動平均線(6,115.64円)を上回っています(+0.64%)。
      • 75日移動平均線(5,434.91円)を大きく上回っています(+13.25%)。
      • 200日移動平均線(4,307.57円)を大幅に上回っています(+42.89%)。
      • 短期では5日線の下に位置しますが、中期・長期では移動平均線を明確に上回っており、上昇トレンドが継続していることを示唆しています。
    • トレンドシグナル: 短期移動平均線(5日線、25日線)と長期移動平均線(75日線、200日線)が全て上向きであり、株価が各移動平均線を上回っていることから、強い上昇トレンドにあると考えられます。
  • 【市場との比較】
    • 過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年いずれの期間においても、日経平均株価およびTOPIXを大幅にアウトパフォームしています。これは、同社の株価が市場全体の上昇トレンド以上に、独自の上昇要因によって強く買われていることを示しています。

6. リスク評価

  • ベータ値による市場感応度: ベータ値はデータなし。年間ボラティリティは27.59%と高めであり、市場全体の変動に対して比較的高く変動する可能性があります。
  • 決算短信記載のリスク要因:
    • 世界経済の動向、地政学的リスク、貿易規制(特に米中関係など)、為替変動、原材料価格の変動。
    • 災害、事故、品質問題、テロ、パンデミック等の発生。
    • 複合材事業などにおける競争激化、事業構造改革の不確実性。
    • 当期純利益に関しては、前年の大型特別利益(藤沢事業場跡地売却)の反動や、当期の事業構造改善費用・事故関連損失など、特別損益による影響が大きい点が挙げられます。
  • 事業特有のリスク:
    • 為替リスク: 海外売上高比率が87%(2024年12月期予想)と高いため、為替レートの変動が業績に与える影響は大きいです。決算短信でも為替差損計上の例に言及されています。
    • 規制リスク: 製造業、特に化学品を扱うため、環境規制や貿易規制の強化が事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
    • 技術陳腐化リスク: ディスプレイ技術の進化や代替材料の登場により、主力製品が陳腐化するリスクが存在します。常にR&D投資や新製品開発が求められます。
    • 顧客集中リスク: FPD用ガラスの主要顧客が特定のアジア企業に集中している可能性があり、これらの顧客の業績や動向が同社の業績に大きな影響を与えうるリスクがあります。
  • 52週レンジにおける現在位置: 52週高値圏の77.6%に位置しており、株価は比較的高水準にあります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況:
    • 信用買残: 320,100株
    • 信用売残: 146,800株
    • 信用倍率: 2.18倍
    • 信用買残は売残の2倍以上であり、買い方の残高が比較的多い状況です。ただし、信用買残が前週比で減少しており、信用売残が増加している点は、短期的な売り圧力が強まる可能性を示唆しますが、信用倍率自体は比較的健全な水準にあります。
  • 株主構成と大株主の動向:
    • 主要株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)17.67%、自社(自己株口)13.85%、日本カストディ銀行(信託口)7.09%など、機関投資家や信託銀行が上位を占めています。
    • 自社による自己株式の保有は、市場への流通量を減らし、理論上は株価を支える効果があります。
  • 経営陣の持株比率と安定株主の状況:
    • 「% Held by Insiders」が9.05%とあり、経営陣や企業関係者による保有が一定程度存在します。ただし、これが全役員の合算かどうかの詳細は不明です。
    • 信託銀行や自社による保有が安定株主として機能し、株価の安定に寄与している可能性があります。

8. 株主還元

  • 配当利回り: 会社予想の年間配当145.00円に基づくと、現在の株価6,155.0円に対する配当利回りは2.36%です。これは市場全体の水準と比較して魅力的な水準です。
  • 配当性向: 2025年12月期予想EPS294.37円に対し年間配当145円の場合、配当性向は約49.3%となります(Yahoo Japanデータでは91.8%とあるが、これは2024年12月期のEPSが低かったためであり、2025年予想EPSで見るのが適切)。これは、利益の約半分を配当に回す積極的な株主還元姿勢を示しています。
  • 配当の継続性・増配傾向: 2023年12月期は業績悪化があったものの配当を継続しており、2024年12月期130円、2025年12月期予想145円と増配傾向にあります。これは、業績がV字回復する中で、株主還元への意識が高いことを示しています。
  • 自社株買いの実績と方針: 2025年2月5日決議で自己株式取得を実施し、2025年9月12日に取得を終了しました。また、2025年1月31日付で自己株式消却も行っており、EPS向上や株価へのプラス影響を通じて、株主価値の向上に積極的に取り組んでいます。

9. 総合評価

  • 【投資ポイント】
    • 電子・情報分野(ディスプレイ、電子デバイス)が牽引する業績のV字回復と収益性の大幅改善。
    • 高水準の自己資本比率と流動比率に裏打ちされた盤石な財務基盤。
    • 中期経営計画に基づく事業構造改革と株主還元策(増配、自社株買い)の積極的な推進。
  • 【強み】
    • 特殊ガラス分野における高い技術力と多様な製品ポートフォリオ。
    • FPD用ガラス、電子デバイス向けガラスにおける主要サプライヤーとしての地位。
    • 健全な財務体質と豊富な現金等預金。
  • 【弱み】
    • 過去の業績が市場環境や特別損益に大きく左右される不安定さ。
    • ROEが過去の低収益期の影響で低水準にあり、資本効率の改善が課題。
    • 複合材事業など一部事業における競争激化と収益性の課題。
  • 【機会】
    • 高精細ディスプレイやデータセンター・半導体向け電子デバイス需要の継続的な拡大。
    • 高付加価値製品へのシフトによるさらなる収益性向上。
    • 事業構造改革による非効率事業の整理・再編による全体収益力強化。
  • 【脅威】
    • 主要顧客であるアジア地域のパネルメーカーの設備投資や市場動向の変動。
    • 為替レートの急激な変動や原材料価格の高騰。
    • 地政学的リスクや貿易規制の強化による事業環境の悪化。
  • 【注目すべき指標】
    • 今後のROE(資本効率)の改善ペース。
    • 電子・情報分野の売上高成長率と利益貢献度。
    • 通期営業利益率の安定的な二桁維持。

10. 企業スコア

  • 成長性: C
    • 売上成長率(2025年12月期予想)約3.6%(0-5%の範囲)。
  • 収益性: B
    • ROE(2024年12月期実績2.49%、過去12ヶ月実績-0.35%)は低いが、営業利益率(2025年12月期予想約10.3%)がA基準にあるため、改善トレンドを評価しBとします。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率69.8%(60%以上)。
    • 流動比率242.7%(200%以上)。
  • 株価バリュエーション: C
    • PER約114%(業界平均比)はやや割高(110-130%)。
    • PBR約71%(業界平均比)は大幅割安(70%以下)。
    • 両基準を満たす必要があるため、PERのC評価に準拠します。

企業情報

銘柄コード 5214
企業名 日本電気硝子
URL http://www.neg.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 建設・資材 – ガラス・土石製品

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 6,155円
EPS(1株利益) 294.37円
年間配当 2.36円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 23.6倍 6,946円 2.5%
標準 0.0% 20.5倍 6,040円 -0.3%
悲観 1.0% 17.4倍 5,396円 -2.6%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 6,155円

目標年率 理論株価 判定
15% 3,009円 △ 105%割高
10% 3,758円 △ 64%割高
5% 4,742円 △ 30%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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By ジニー

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