1. 企業概要

船井総研ホールディングスは、多岐にわたる中小・中堅企業向けに経営コンサルティングサービスを提供する大手企業です。戦略立案から実行支援までを一貫して手掛け、特に流通業、住宅・不動産、医療業界で豊富な実績を有しています。
主力製品・サービスは、月次支援やプロジェクト型の経営コンサルティング、業界特化型の経営研究会などです。近年は物流コンサルティングや物流BPOを手掛けるロジスティクス事業、さらにITコンサルティング、クラウドソリューション、HRソリューションなど多角的なデジタルソリューション事業も展開しています。
収益モデルは、長期的な関係構築に基づく「月次支援」を軸としたストック型が中心であり、プロジェクトやBPOサービスなどのフロー型収益を組み合わせるB2Bモデルです。長年にわたる中小企業支援で培われた幅広い業種へのコンサルティングノウハウとデータが技術的独自性であり、強固な顧客基盤が参入障壁となっています。

2. 業界ポジション

船井総研ホールディングスは、日本国内の中小・中堅企業向け経営コンサルティング市場において大手としての地位を確立しています。業界内での具体的な市場シェアはデータにありませんが、特定の業界(住宅・不動産、医療等)に強みを持つ点で差別化を図っています。
市場動向としては、マクロ経済の不確実性が高まる中で、国内の中小企業はコスト転嫁の難しさや人手不足といった課題に直面しています。同社はこのような状況下、企業の変革を支援するため「デジタル×総合」コンサルティングを推進し、新たなニーズに対応しています。
【定量比較】

  • PER: 15.8倍(業界平均: 17.0倍) – 業界平均よりやや割安
  • PBR: 4.66倍(業界平均: 1.8倍) – 業界平均より割高
  • ROE: 24.30%(業界平均のデータなし、ベンチマーク10%と比較して優良)
  • ROA: 18.13%(業界平均のデータなし、ベンチマーク5%と比較して優良)

高い収益性で業界をリードしていると推察されますが、PBRを見る限り株式市場からの評価は相対的に高い水準にあります。

3. 経営戦略

経営陣は、中期経営計画(2023-2025年度)の最終年度として、パーパスの浸透と「デジタル×総合」コンサルティングの推進を重点戦略として掲げています。具体的には、コンサルティングサービス提供能力の向上に加え、M&Aや子会社再編を通じて事業領域を拡大し、デジタル関連のソリューションを強化しています。
重点投資分野は、デジタルソリューション事業の強化、および優秀なコンサルタント育成・採用といった人的投資です。
最近の適時開示情報としては、2025年11月10日に取締役会で株式分割を決議(詳細は別途公表)、2026年1月1日付で子会社間の吸収分割および子会社の商号変更を予定しており、事業構造の最適化と成長戦略を加速させる構えです。また、2025年8月には自己株式取得を実施し、株主還元の姿勢も示しています。
これらの戦略は、中長期的な企業価値向上を目指すものと判断されます。特に組織再編や株式分割は流動性の向上に寄与し、M&Aは事業の多角化を通じて成長機会を創出する可能性がある一方で、特別損失の計上など一時的な業績への影響も伴うことがあります。

4. 財務分析

  • 【収益性】
  • 営業利益率: 26.0% (2025年12月期 第3四半期累計)。コンサルティング事業の高い採算性を反映し、非常に良好な水準です。
  • ROE (実績): 24.30% (ベンチマーク10%に対し優良)
  • ROA (過去12か月): 18.13% (ベンチマーク5%に対し優良)
    いずれの指標もベンチマークを大幅に上回っており、高い資本効率と資産活用能力を示しています。
  • 【財務健全性】
  • 自己資本比率 (直近3Q累計): 72.7% (前期末77.2%から減少したものの、依然として高水準を維持しており、非常に安定した財務基盤です。)
  • 流動比率 (直近四半期): 2.54倍 (254%) (短期的な支払い能力が十分にあり、健全な水準です。)
  • D/Eレシオ (直近四半期): 1.24% (総負債が自己資本に対して非常に低く、財務リスクは極めて小さいと言えます。)
  • 【成長性】
  • 売上高成長率:
  • 2022年12月期: +12.35% (対2021年)
  • 2023年12月期: +10.15% (対2022年)
  • 2024年12月期: +8.59% (対2023年)
  • 2025年12月期 (予想): +7.68% (対2024年)
  • Quarterly Revenue Growth (前年比): +8.20% (安定した増収傾向にあります。)
  • 利益成長率 (営業利益):
  • 2022年12月期: +11.67%
  • 2023年12月期: +2.07%
  • 2024年12月期: +14.86%
  • 2025年12月期 (予想): +6.92% (堅調な成長を示しています。)
  • 利益成長率 (最終利益):
  • 2022年12月期: +14.0%
  • 2023年12月期: +4.2%
  • 2024年12月期: +15.2%
  • 2025年12月期 (予想): +10.1%
  • Quarterly Earnings Growth (前年比): -15.20% (直近四半期純利益は特別損失の影響で減少しています。)
  • 【キャッシュフロー】
  • 営業CF/純利益比率: データなし (第3四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため算出不可)
  • 現金及び預金は増加傾向にあり、堅実な資金運用が行われていると見られます。
  • 【四半期進捗】
  • 2025年12月期 第3四半期累計の通期予想に対する進捗率は以下の通りです。
  • 売上高: 74.4%
  • 営業利益: 71.6%
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益: 39.2%
    売上高と営業利益の進捗はおおむね順調ですが、親会社株主に帰属する四半期純利益の進捗が著しく低いのは、特別損失(減損損失等2,485百万円)の計上によるものです。

5. 株価分析

  • 【現在の水準】
  • PER(会社予想): 16.10倍 / 株探のPER: 15.8倍 (業界平均PER: 17.0倍)
  • 業界平均と比較してPERはやや割安水準にあります。
  • PBR(実績): 4.72倍 / 株探のPBR: 4.66倍 (業界平均PBR: 1.8倍)
  • 業界平均と比較してPBRは大幅に割高な水準にあります。高いROEや成長性、安定した財務基盤が評価されている可能性があります。
  • EPS(会社予想): 71.19円 / 株探の修正1株益(予2025.12): 72.7円
  • BPS(実績): 242.60円 / 直近四半期BPS: 250.81円
  • EPS/BPSベースの理論株価レンジ:
  • 業界平均PER基準の目安: 849円
  • 業界平均PBR基準の目安: 451円
    現状株価1,146.0円は、これらの目安と比較すると高水準にあります。
  • 【テクニカル】
  • 52週高値・安値との位置関係:
  • 52週高値: 1,325円
  • 52週安値: 1,004円
  • 現在株価: 1,146.0円
  • 52週レンジ内位置: 9.7% (安値寄り)
    現在の株価は52週レンジの下方寄りに位置しており、過去1年間で株価が下落局面にあることを示唆しています。
  • 移動平均線との位置関係:
  • 5日移動平均線 (1,162.00円) を下回っています。
  • 25日移動平均線 (1,155.52円) を下回っています。
  • 75日移動平均線 (1,217.69円) を下回っています。
  • 200日移動平均線 (1,199.93円) を下回っています。
    全ての移動平均線を下回る位置で推移しており、株価は短期・中期・長期的に下落トレンドまたは調整局面にあると見られます。
  • トレンドシグナル:
    現在のデータからは特定のゴールデンクロス/デッドクロスのシグナルは読み取れませんが、全ての移動平均線を下回っている状況は弱気シグナルと言えます。
  • 【市場との比較】
  • 最近1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年間のパフォーマンスにおいて、日経平均株価およびTOPIXを大幅にアンダーパフォームしています。これは、市場全体の成長と比べて、同社の株価が低迷していることを示しています。

6. リスク評価

  • ベータ値による市場感応度: ベータ値は0.35 (5年月次) です。これは市場全体の変動に対する感応度が低いことを示しており、市場リスクの影響を受けにくい特性を持つと言えます。
  • 決算短信記載のリスク要因:
  • 特別損失の発生リスク: 今後もM&Aや資産整理の進展によっては、追加の減損損失や固定資産処分費用が発生する可能性があります。
  • 事業環境の変化: デジタルソリューション事業において、大口顧客の広告予算動向が業績に影響を与える可能性があります。
  • マクロ経済の不確実性: 為替、原材料価格、地政学リスク、米国関税政策などのマクロ要因や、顧客企業の設備投資動向が、コンサルティング需要に影響を及ぼす可能性があります。
  • 事業特有のリスク:
  • サービス業であるため、大規模な為替リスクや原材料価格変動リスクは限定的です。
  • デジタルソリューション分野においては、技術の陳腐化や競争激化のリスクが考えられます。
  • 優れたコンサルタントの確保・育成が事業の根幹であるため、人材流出や採用難は重要なリスク要因となります。
  • 52週レンジにおける現在位置: 9.7% (安値寄り)
    株価は過去1年の最安値に近い水準で推移しており、更なる下落リスクも視野に入れる必要があります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況:
  • 信用買残: 173,500株
  • 信用売残: 625,700株
  • 信用倍率: 0.28倍
    信用倍率が1倍を下回っており、売り残が多い「売り長」の状態です。これは、将来的な買い戻し需要の可能性を示唆することもありますが、現時点では株価の上値が重い状況を表している可能性があります。
  • 株主構成と大株主の動向:
    日本マスタートラスト信託銀行、船井本社、自社(自己株口)、日本カストディ銀行などが主要株主です。機関投資家の保有割合は33.77%で、一定の機関投資家からの評価があります。
  • 経営陣の持株比率と安定株主の状況:
    上位株主には創業家と見られる個人の名前も散見されます。インサイダー保有比率が17.33%であることから、経営陣および関係者による一定の持株は確保されており、経営の安定性につながっています。

8. 株主還元

  • 配当利回り(会社予想): 3.71% / フォワード利回り: 3.75% (現在の株価水準において比較的高い水準です。)
  • 1株配当(会社予想): 42.50円
  • 配当性向(会社予想): 58.6% (利益の過半を株主還元に充てる方針で、比較的高い水準です。)
  • 配当の継続性・増配傾向:
    2021年12月期の24円から2025年12月期予想42.5円と、継続的な増配傾向にあります。
  • 自社株買いの実績と方針:
    2025年8月に390,700株の自己株式取得を行うなど、積極的な株主還元策を実施しています。株式分割の実施も発表されており、株主層拡大と流動性向上も図っています。

9. 総合評価

  • 【投資ポイント】
  • 高い収益性と堅固な財務基盤: 営業利益率26.0%、ROE24.30%、自己資本比率72.7%と、極めて優れた収益性と安定性を有します。
  • 継続的な事業成長と増配傾向: 月次支援を軸に安定した増収増益を継続しており、株主還元も積極的に増配で応えています。
  • 「デジタル×総合」コンサル推進による将来性: 変化する事業環境に対応したデジタル領域と既存コンサルの融合により、新たな成長機会を追求しています。
  • 【強み】
  • 中小企業向けコンサルティングにおける専門性と豊富な実績
  • 盤石な財務健全性と高い収益性
  • 安定的なストック型収益モデルと多様な事業ポートフォリオ
  • 【弱み】
  • 特別損失が一時的に純利益を圧迫するリスク
  • デジタルソリューション事業の収益性改善が課題
  • 業界平均と比較してPBRが割高なバリュエーション
  • 【機会】
  • 中小企業のDX推進・人手不足対応ニーズの拡大
  • M&Aによる事業領域のさらなる拡大とシナジー創出
  • 株式分割による投資単位引き下げと個人投資家層拡大
  • 【脅威】
  • 景気変動による企業のコンサルティング投資意欲の減退
  • コンサルティング業界における人材獲得競争の激化
  • M&A戦略の失敗やのれん償却による利益への影響
  • 【注目すべき指標】
  • 2025年12月期の通期純利益予想6,600百万円の達成状況(特別損失の影響を除く)
  • デジタルソリューション事業の営業利益率改善状況
  • 株式分割後の市場での株価反応と流動性の変化

10. 企業スコア

  • 成長性: B
  • 売上高成長率は過去実績で5-15%の範囲にあり、2025年予想、直近四半期も5-10%の範囲にあります。
  • 収益性: S
  • ROE 24.30% (15%以上) かつ 営業利益率 26.0% (15%以上) であり、両基準を満たします。
  • 財務健全性: S
  • 自己資本比率 72.7% (60%以上) かつ 流動比率 253% (200%以上) であり、両基準を満たします。
  • 株価バリュエーション: D
  • PER 15.8倍(業界平均の90-110%内)ですが、PBR 4.66倍(業界平均の130%以上)と大幅に割高であるため、総合的にD評価となります。

企業情報

銘柄コード 9757
企業名 船井総研ホールディングス
URL http://hd.funaisoken.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – サービス業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,146円
EPS(1株利益) 71.19円
年間配当 3.71円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 2.8% 18.7倍 1,529円 6.2%
標準 2.2% 16.2倍 1,287円 2.7%
悲観 1.3% 13.8倍 1,048円 -1.4%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,146円

目標年率 理論株価 判定
15% 650円 △ 76%割高
10% 812円 △ 41%割高
5% 1,024円 △ 12%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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By ジニー

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