1. 企業概要
アトミクスは、塗料の製造・販売を主軸とする中堅化学メーカーです。特に道路表示用塗料では国内トップシェアを誇り、床材や屋根用塗料、コンクリート構造物の保護・補修材も手掛けています。また、道路標示用の施工機械の製造・販売に加え、塗料を用いた施工事業も展開しており、塗料事業が売上高の93%、施工事業が7%を占めています (2025年3月期実績ベース)。
主力製品は道路表示用塗料、床用塗料、屋根用塗料、防水材、コンクリート構造物保護・補修材料など多岐にわたります。高機能材であるハードコート材にも注力しています。
収益モデルは、製品の製造・販売によるフロー型が主体です。顧客は建設業者や道路関連業者などのB2Bが中心ですが、家庭用塗料も展開しており一部はB2Cにも対応しています。施工事業もフロー型のB2Bモデルです。
技術的独自性としては、道路表示用塗料における長年の実績と国内トップシェアがもたらす知見・ブランド力が挙げられます。塗料製造から施工機械、施工まで一貫して手掛ける体制は、顧客への包括的なソリューション提供を可能にし、参入障壁として機能しています。
2. 業界ポジション
アトミクスは塗料業界において中堅メーカーに位置付けられ、特に道路表示用塗料では国内トップシェアを誇るリーダー的立場にあります。
主要競合他社との差別化要因は、公共事業色の強い道路表示用塗料というニッチで安定した市場における高い専門性と実績です。また、塗料の製造、道路標示用の施工機械の製造、および施工までを一貫して提供できる体制は、同業他社にはない強みとなっています。近年は遮熱製品やハードコート材といった高機能・高付加価値製品への注力も進めています。
市場動向としては、顧客の設備投資の減速、原材料価格の高騰、為替変動といった外部環境の不確実性が指摘されています。これに対し企業は、価格改定、業務効率化、および営業変革推進室の新設によって利益確保を図る方針です。直近の中間期では施工事業が好調に推移し、遮熱製品や道路用製品が伸長する一方、家庭用は低迷しています。
【定量比較】
アトミクスのバリュエーション指標は業界平均と比較して割安水準にあります。
- PER(会社予想):4.84倍 vs 業界平均:15.9倍 (大幅に割安)
- PBR(実績):0.37倍 vs 業界平均:0.7倍 (割安)
収益性指標は業界ベンチマークを下回りますが、財務健全性は非常に高い水準です。
- ROE(過去12か月):3.49% (ベンチマーク10%に対し低い)
- ROA(過去12か月):2.16% (ベンチマーク5%に対し低い)
- 営業利益率(過去12か月):5.59%
- 自己資本比率(直近四半期):69.9% (一般的な製造業の目安を大きく上回る)
- 流動比率(直近四半期):216% (一般的に200%以上で良好)
3. 経営戦略
現在、アトミクスは第14次3ヶ年計画の最終年であり、「変革」をビジョンに掲げています。この計画に基づき、営業変革推進室を新設し、営業力の強化、価格改定の推進、および業務効率化による利益確保に重点を置いています。
重点投資分野としては、有形固定資産への投資を大幅に増やしており(中間期で前年比約7割増)、生産能力の強化や効率化投資を進めていると推測されます。また、投資有価証券の取得も行っています。成長戦略としては、既存の道路用塗料事業の強化に加え、遮熱製品や高機能材であるハードコート材といった成長領域への注力が見られます。施工事業も好調であり、事業ポートフォリオのバランス強化を図っています。
最近の適時開示情報としては、2026年3月期第2四半期決算短信において、売上高(前年同期比+2.5%)、営業利益(同+150.3%)、親会社株主に帰属する中間純利益(同+222.6%)の大幅な増益が報告されています。特に施工事業の受注が好調で、塗料販売事業では遮熱製品や道路用製品が伸長した点が挙げられます。
これらの戦略と適時開示情報は、今後の業績に以下のような影響を与えると考えられます。価格改定や業務効率化は利益率の改善に直接寄与し、有形固定資産への投資は将来的な生産性向上や供給能力強化を通じて収益基盤を強化する可能性があります。施工事業や特定製品群の好調は、全体売上を牽引し、利益成長を促進する動因となるでしょう。ただし、原材料価格や為替の不確実性といった外部要因が依然としてリスクとして存在します。
4. 財務分析
- 収益性
- 営業利益率(過去12か月):5.59%
- ROE(過去12か月):3.49%(ベンチマーク10%を下回る)
- ROA(過去12か月):2.16%(ベンチマーク5%を下回る)
- 収益性指標はベンチマークを下回るものの、直近の中間期決算では営業利益率が4.41%(中間営業利益262百万円 / 中間売上高5,941百万円)と改善しており、利益回復の兆しが見られます。
- 財務健全性
- 自己資本比率(直近四半期):69.9%(高い水準で非常に健全)
- 流動比率(直近四半期):216%(200%以上で良好な流動性)
- D/Eレシオ(直近四半期):1.91%(負債が極めて少なく、非常に健全な財務体質)
- 成長性
- 売上高成長率(前年比、過去12か月):2.80%(緩やかなプラス成長)
- 営業利益成長率(前年比、過去12か月):41.17%(大幅な増加)
- 純利益成長率(前年比、過去12か月):51.10%(大幅な増加)
- 直近の四半期利益成長率(前年比):173.90%と非常に高く、過去の低迷期から利益面での顕著な回復傾向が見られます。
- キャッシュフロー
- 営業CF/純利益比率(過去12か月):1.89(1.0以上で健全であり、利益の質が高い)
- フリーキャッシュフロー(過去12か月):18.5百万円(プラスを維持)
- 最新の中間期単体では設備投資増加により一時的にフリーCFがマイナスとなったものの、通期では堅調なキャッシュ創出能力を持つと推測されます。
- 四半期進捗
- 2026年3月期第2四半期(中間期)の通期予想に対する進捗率は以下の通りです。
- 売上高:45.6%(通期予想13,000百万円に対し、中間実績5,941百万円)
- 営業利益:55.7%(通期予想470百万円に対し、中間実績262百万円)
- 親会社株主に帰属する当期純利益:61.9%(通期予想310百万円に対し、中間実績191百万円)
- 売上高は概ね計画通りですが、営業利益および純利益は通期予想を上回るペースで進捗しており、通期目標達成の可能性は高いと判断されます。
5. 株価分析
- 現在の水準
- PER(会社予想): 4.84倍
- 業界平均PER 15.9倍と比較して、大幅に割安な水準にあります。
- PBR(実績): 0.37倍
- 業界平均PBR 0.7倍と比較して、割安な水準にあります。
- EPS/BPSベースの理論株価レンジ:
- 会社予想EPS 152.21円に基づき、業界平均PERを適用すると約2,420円。
- 実績BPS 1,967.21円に基づき、業界平均PBRを適用すると約1,377円。
- 現在株価731.0円は、理論株価レンジ(約1,377円~2,420円)から見ると大幅に割安な評価を受けていると言えます。
- テクニカル
- 現在株価731.0円は52週高値750円に近く、52週レンジの90.0%の位置にあります。
- 5日移動平均線(736.00円)をわずかに下回っていますが、25日移動平均線(715.00円)、75日移動平均線(694.20円)、200日移動平均線(655.26円)はいずれも現在株価を下回っています。
- 移動平均線の並びから、中期から長期にかけてゴールデンクロスが形成されており、上昇トレンドにあると判断できます。
- 市場との比較
- 1ヶ月リターンでは日経平均およびTOPIXをそれぞれ約3.8%ポイント上回っており、短期的には市場平均をアウトパフォームしています。
- しかし、3ヶ月、6ヶ月、1年リターンでは日経平均と比較してアンダーパフォームしている状況です。
6. リスク評価
- ベータ値による市場感応度:
- 5年間の月次ベータ値は0.11と極めて低い値であり、市場全体の変動に対する株価の感応度が低いことを示唆します。これは、公共事業色が強い道路用塗料を主力とすることで、市場全体の景気変動からの影響を受けにくい経営ポートフォリオとなっているためと考えられます。
- 決算短信記載のリスク要因:
- 外部環境の不確実性として、顧客設備投資の減速、原材料価格の高騰、為替レートの変動が挙げられています。これらは原価率の上昇や需要の低迷を通じて、利益率に直接的な影響を与える可能性があります。
- 事業特有のリスク:
- 建設・インフラ投資の動向: 道路用塗料や施工事業は国のインフラ投資政策や公共予算に大きく依存するため、これらが減少した場合、事業収益に影響を受ける可能性があります。
- 競合環境と技術陳腐化: 塗料業界は競争が激しく、技術革新への対応が遅れると競争力を失うリスクがあります。代替材料の出現も脅威となり得ます。
- 家庭用市場の低迷: 個人消費の動向は家庭用塗料の売上に影響を与え、全体の成長機会を抑制する可能性があります。
- 52週レンジにおける現在位置:
- 現在株価は52週レンジの90.0%に位置しており、年間高値圏で推移しています。これは、市場の下落局面において、相対的に下落余地が存在する可能性を示唆します。
7. 市場センチメント
- 信用取引の状況:
- 信用買残は42,200株(前週比+5,900株)と増加傾向にありますが、信用売残は0株であるため、信用倍率は0.00倍となっています。これは市場からの売り圧力がほとんどないことを示唆しますが、一方で買い方が一方的に積み上がっている状況であり、今後の売り圧力上昇のリスクも考慮する必要があります。
- 株主構成と大株主の動向:
- 大株主には「自社(自己株口)」が20.93%、「自社取引先持株会」が13.93%、「日本マスタートラスト信託銀行(株式付与ESOP信託口)」が5.58%、「自社社員持株会」が1.55%を占めるなど、安定株主が比較的多い構造です。
- 「% Held by Insiders」は32.12%と高く、経営陣(および内部関係者)が一定程度の株式を保有しており、株主と経営陣の利害一致が期待できます。
- 大規模な機関投資家として東京中小企業投資育成(9.67%)や大和証券(3.59%)もリストアップされています。
- 経営陣の持株比率と安定株主の状況:
- 経営陣や内部関係者の高い持株比率と、自己株式や各種持株会による安定株主の存在は、株価の安定性や経営の独立性に寄与すると評価できます。大株主の動向に特筆すべき変動は現時点では確認できません。
8. 株主還元
- 配当利回り:
- 会社予想に基づく配当利回りは2.71%(1株配当20.00円、株価731.0円)です。
- 配当性向:
- 2026年3月期の会社予想EPS 152.21円、1株配当20.00円で計算すると、配当性向は約13.14%となり、比較的保守的な水準です。
- 配当の継続性・増配傾向:
- 2021年3月期から2025年3月期まで、年間17円の配当を継続しており、安定配当の実績があります。
- 2026年3月期には年間20円への増配を予想しており、増配傾向にあります。
- 自社株買いの実績と方針:
- 今回提供されたデータからは、直近の自社株買いの実績や方針に関する具体的な記述は確認できません。ただし、自己株式が20.93%保有されていることから、過去には自社株買いが実施されています。
9. 総合評価
- 投資ポイント
- 大幅に割安なバリュエーション(PER 4.84倍、PBR 0.37倍)
- 極めて高い財務健全性(自己資本比率 69.9%、 D/Eレシオ 1.91%)
- 利益回復と増配傾向による企業価値向上の可能性
- 強み
- 道路表示用塗料における国内トップシェアという強力な市場ポジション
- 強固な財務基盤と潤沢なキャッシュフロー創出能力
- 塗料製造から施工までの一貫体制による競争優位性
- 弱み
- 資本効率(ROE/ROA)が業界ベンチマークを下回る水準
- 売上高成長が緩やかであり、一部事業に低迷が見られる
- 設備投資拡大時のフリーキャッシュフローの変動性
- 機会
- 国内インフラ老朽化に伴う補修・更新需要の増加
- 高機能・高付加価値塗料(遮熱製品、ハードコート材)市場の拡大
- 営業改革や業務効率化による利益率のさらなる改善
- 脅威
- 原材料価格の高騰や為替変動によるコスト増加リスク
- 顧客の設備投資動向や公共予算の不確実性
- 塗料業界における競合激化と技術革新への対応遅れ
- 注目すべき指標
- 2026年3月期通期における営業利益率の目標達成度合い
- 遮熱製品や施工事業等、成長セグメントの売上高成長率
- 設備投資を行いながらも年間で安定的にプラスのフリーキャッシュフローを維持できるか
10. 企業スコア
- 成長性: C
- (売上成長率 2.80% を基に評価)
- 収益性: B
- (ROE 3.49% はDだが、営業利益率 5.59% がBの基準を満たすため)
- 財務健全性: S
- (自己資本比率 69.9% かつ 流動比率 216% を基に評価)
- 株価バリュエーション: S
- (PER 4.84倍 は業界平均 15.9倍の約30%、PBR 0.37倍 は業界平均 0.7倍の約53%であり、ともに業界平均の70%以下)
企業情報
| 銘柄コード | 4625 |
| 企業名 | アトミクス |
| URL | http://www.atomix.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 731円 |
| EPS(1株利益) | 152.21円 |
| 年間配当 | 2.71円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 18.6% | 5.6倍 | 1,987円 | 22.4% |
| 標準 | 14.3% | 4.8倍 | 1,437円 | 14.8% |
| 悲観 | 8.6% | 4.1倍 | 945円 | 5.7% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 731円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 725円 | △ 1%割高 |
| 10% | 905円 | ○ 19%割安 |
| 5% | 1,142円 | ○ 36%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.9)」によって自動生成されました。
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