1. 企業概要
キングジムは、事務用品大手として、ファイル製品や電子文具、ライフスタイル用品の製造・販売を主事業とする企業です。特に厚型ファイルでは国内で高い市場シェアを有しています。主力製品は、ラベルプリンター「テプラ」やデジタルメモ「ポメラ」などの電子文具で、これらは高い認知度とブランド力を確立しています。
収益モデルは主に製品の販売によるフロー型ですが、「テプラ」の消耗品供給など一部ストック型要素も持ち合わせています。顧客層はB2B(法人)とB2C(個人)の両方に対応しており、オフィス市場から一般家庭、ライフスタイル領域まで幅広く展開しています。
技術的独自性としては、長年の歴史で培われたファイル技術に加え、「テプラ」や「ポメラ」に代表される独創的な電子文具の開発力が挙げられます。これらは特定のニッチ市場で強いブランドと高い参入障壁を築いています。
2. 業界ポジション
キングジムは、国内の事務用品市場において大手の一角を占め、特に厚型ファイルでは市場首位のポジションを確立しています。電子文具分野においても、「テプラ」はラベルプリンターの代名詞ともいえるブランド力を持ち、強力な市場リーダーとしての地位を維持しています。
主要競合他社との差別化要因としては、以下の点が挙げられます。
- ブランド力と信頼性: 長年にわたる製品提供で培われた堅牢なブランドイメージ。
- 独創的な製品開発: 「テプラ」や「ポメラ」のような、独自の市場を創出したイノベーション能力。
- ニッチ市場への対応: 特定の業務用途やライフスタイルに特化した製品ラインナップ。
市場動向としては、デジタル化の進展に伴うペーパーレス化の加速により、従来のファイル製品市場は縮小傾向にあります。これに対し、キングジムは電子文具の強化や「HITOTOKI」等のライフスタイル用品の拡充、EC販売の強化、さらには海外事業の展開を通じて、新たな成長領域の開拓を進めています。直近の決算短信では、国内文具事務用品の販売が減速する一方、海外事業やライフスタイル用品の一部で成長が見られると報告されています。
【定量比較】業界平均との財務指標比較のデータはありません。
3. 経営戦略
経営陣は、第11次中期経営計画(2025年6月期〜2027年6月期)において、既存ビジネスの強化、サービス事業の展開、ライフスタイル分野の拡大、海外事業の強化を重点方針として掲げています。
重点投資分野としては、新型「テプラ」PRO SR-R5600Pの投入や防災ブランド「KOKOBO」の展開、D2C(Direct to Consumer)チャネルの強化によるEC販売の拡大、さらに海外市場(中国、ベトナム、米国など)での製品展開やBtoBビジネスの拡大を推進しています。
最近の適時開示情報(2026年6月期 第1四半期決算短信)によると、新型「テプラ」の投入、海外での新ブランド展開、海外生産体制の強化などが進められています。
これらが今後の業績に与える影響として、国内の既存事業が逆風にさらされる中で、電子文具の進化による新たな需要創出、ライフスタイル用品の多様化による新たな顧客層の獲得、そして海外市場での成長が、中期的な業績を牽引する重要なドライバーとなるでしょう。ただし、第1四半期の業績は一時的な要因(為替差損、過年度法人税等)による純損失が目立っており、通期目標達成には今後の回復が不可欠です。
4. 財務分析
- 収益性
- 営業利益率(2025年6月期連結実績):1.35%
- ROE(2025年6月期連結実績):1.76%
- ROA(過去12か月):1.01%
- ベンチマーク(ROE 10%以上、ROA 5%以上)と比較して、収益性は低い水準にあります。2026年6月期第1四半期は営業損失(△2.59%)を計上しており、通期予想の達成には大幅な改善が必要です。
- 財務健全性
- 自己資本比率(2026年6月期第1四半期末):65.8% (2025年6月期実績67.5%)
- 流動比率(2026年6月期第1四半期末):266%
- D/Eレシオ(2026年6月期第1四半期末):34.66%
- 自己資本比率、流動比率ともに高い水準にあり、財務健全性は非常に良好です。
- 成長性
- 売上高成長率の推移(連結):
- 2022年6月期:前年比+0.87%
- 2023年6月期:前年比+7.52%
- 2024年6月期:前年比+0.40%
- 2025年6月期:前年比+0.22%
- 2026年6月期予想:前年比+5.96%
- 利益成長率の推移(連結営業利益):
- 2022年6月期:1,007百万円
- 2023年6月期:368百万円
- 2024年6月期:△241百万円 (損失)
- 2025年6月期:537百万円
- 2026年6月期予想:1,500百万円
- 売上高は近年横ばいから微増の推移で、直近の第1四半期は前年同期比△6.1%と減収でした。利益は2024年6月期に損失を計上後、2025年6月期に回復しましたが、依然として低い水準です。2026年6月期は大幅な利益回復が予想されています。
- キャッシュフロー
- 2026年6月期第1四半期決算短信には連結キャッシュ・フロー計算書が作成されていないため、営業CF/純利益比率などの算出はできません。
- 四半期進捗
- 2026年6月期第1四半期の実績は、通期売上高予想42,000百万円に対し19.6% (8,251百万円) の進捗です。
- 営業利益は通期予想1,500百万円に対し△213百万円の損失を計上しており、通期達成には第2四半期以降での大幅な黒字転換が必要です。
- 親会社株主に帰属する四半期純利益も通期予想1,000百万円に対し△299百万円の損失となっています。第2四半期(累計)予想220百万円に対しても未達です。
5. 株価分析
- 現在の水準
- PER(会社予想):23.12倍
- PBR(実績):0.97倍
- 業界平均PER:14.5倍
- 業界平均PBR:1.3倍
- 現在のPERは業界平均と比較して約159%と割高感があります。PBRは業界平均と比較して約75%と割安です。
- EPS(会社予想)35.55円、BPS(実績)851.27円をもとに、業界平均PER基準の目標株価は515円、業界平均PBR基準の目標株価は1,111円となります。
- テクニカル
- 現在株価822.0円は、52週高値(891.00円)から約7.7%下落、52週安値(800.00円)からは約2.7%上昇した位置(52週レンジ内位置24.2%)にあり、安値圏に推移しています。
- 5日移動平均線(827.00円)、25日移動平均線(837.88円)、75日移動平均線(838.91円)、200日移動平均線(846.85円)のいずれも現在株価を下回っており、短期から長期にわたって下降トレンドにあることを示唆しています。
- 直近では移動平均線の下方で推移しており、ゴールデンクロスやデッドクロスの明確なシグナルは読み取れませんが、全体的に弱気な傾向が見られます。
- 市場との比較
- 過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年のいずれの期間においても、日経平均株価およびTOPIXといった市場指数を大幅に下回るパフォーマンスを示しています。特に長期では、市場との乖離が顕著です。
6. リスク評価
- ベータ値(5年月次):0.05
- ベータ値が非常に低く、市場全体の変動に対する感応度が低いことを示しています。これは安定性が高いとも言えますが、市場が上昇トレンドにある際には恩恵を受けにくい特性も持ちます。
- 決算短信記載のリスク要因
- 為替変動リスク: 海外調達や海外売上があるため、為替の変動が収益に影響を与えます。直近も為替差損が発生。
- 原材料価格上昇リスク: 原材料価格の高騰が製造コストを押し上げ、利益を圧迫する可能性があります。
- ECモール等での価格競争激化リスク: 文具・ライフスタイル用品市場ではECチャネルでの価格競争が激化しており、収益性への影響が懸念されます。
- 海外税務リスク: 海外子会社における過年度法人税等の計上など、海外事業拡大に伴う税務リスクが存在します。
- 事業構造転換の遅延リスク: デジタル化や多様化する消費者ニーズへの対応が遅れた場合、市場での競争力低下につながる可能性があります。
- 52週レンジにおける現在位置は24.2%(安値寄り)であり、株価はリスク要因をある程度織り込み済みである可能性があります。
7. 市場センチメント
- 信用取引の状況
- 信用買残:18,300株
- 信用売残:263,300株
- 信用倍率:0.07倍
- 信用売残が信用買残を大幅に上回っており、信用倍率が1倍を大きく下回っています。これは、株価が下落すると予想する投資家が多いか、将来の買い戻しを期待する潜在的な買い圧力があることを示唆しています。
- 株主構成と大株主の動向
- 大株主には、自社(自己株口)、東京中小企業投資育成、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、三井住友銀行、自社第一共栄持株会などが名を連ねています。機関投資家や取引銀行が安定株主として存在します。
- 経営陣の持株比率は直接データがありませんが、自社株口や持株会を通じて経営陣の持分がある程度確保されていると推測されます。大株主の動向に関する具体的な情報はありません。
8. 株主還元
- 配当利回り(会社予想):1.70%
- 1株配当(会社予想):14.00円
- 配当性向(2025年6月期):92.6%
- 配当は2022年6月期以降、年間14円で継続されており、安定的な配当維持の傾向が見られます。ただし、最新の予想配当性向は92.6%と非常に高く、EPSに対して重い負担となっています。
- 自社株買いの実績と方針については、提供されたデータおよび決算短信に記載がありません。
9. 総合評価
- 【投資ポイント】
-
- 事務用品市場での強固なブランド力と独創的な電子文具による安定的な収益基盤。
-
- 自己資本比率が高く、流動比率も良好であるなど、非常に健全な財務体質。
-
- ライフスタイル用品や海外事業における成長戦略の進捗に期待。
- 【強み】
- 長年の歴史に裏打ちされたブランド力と市場での認知度。
- 「テプラ」「ポメラ」などヒット製品を生み出す開発力。
- 堅実な財務健全性。
- 【弱み】
- 既存の国内文具事業がペーパーレス化等の影響で成長鈍化または縮小傾向。
- 収益性指標(ROE、営業利益率)が低い水準にあり、資本効率に課題。
- 配当性向が高く、利益水準が変動した場合の配当維持力に懸念。
- 【機会】
- ライフスタイル領域での製品多様化と市場拡大。
- 海外市場(特にアジア圏、米国)における販売拡大。
- D2CチャネルやEC販売の強化による新たな販路開拓。
- 【脅威】
- 紙媒体からのデジタル移行加速による既存事業の縮小。
- 為替変動や原材料価格高騰によるコスト増加および収益圧迫。
- ECモール等での競争激化による価格下落圧力。
- 【注目すべき指標】
- 2026年6月期 営業利益目標:1,500百万円(第1四半期からの挽回状況)
- ライフスタイル用品事業の売上高成長率と利益率
- 海外事業の売上高と利益の貢献度
10. 企業スコア
- 成長性: C
- 売上高成長率は近年0-5%で推移しており、直近四半期はマイナス成長であるため。
- 収益性: D
- ROE(1.76%)が5%未満、営業利益率(1.35%)が3%未満であるため。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率(65.8%)が60%以上、流動比率(266%)が200%以上であるため。
- 株価バリュエーション: D
- PER(23.12倍)が業界平均(14.5倍)の130%以上であるため、割高と判断。PBRは割安だが、PERの割高感が強い。
企業情報
| 銘柄コード | 7962 |
| 企業名 | キングジム |
| URL | http://www.kingjim.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – その他製品 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 822円 |
| EPS(1株利益) | 35.55円 |
| 年間配当 | 1.70円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5.5% | 25.1倍 | 1,164円 | 7.4% |
| 標準 | 4.2% | 21.8倍 | 953円 | 3.2% |
| 悲観 | 2.5% | 18.6倍 | 747円 | -1.7% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 822円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 479円 | △ 72%割高 |
| 10% | 598円 | △ 38%割高 |
| 5% | 754円 | △ 9%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.9)」によって自動生成されました。
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