1. 企業概要

シンプレクス・ホールディングスは、日本の主要な金融機関向けにITソリューションを提供する企業です。戦略/DXコンサルティング、システムインテグレーション、運用サービスを主軸に、顧客の経営戦略立案からシステム開発、運用・保守までを一貫して支援しています。近年は金融分野で培ったノウハウを活かし、非金融分野への事業拡大も積極的に推進しています。

  • 主力製品・サービスの特徴: 大手金融機関の基幹システムやトレーディングシステムなど、高度な専門性を要するミッションクリティカルなシステム構築を得意としています。特に最新技術を活用したDX推進支援に強みを持っています。
  • 収益モデル: 主にシステムインテグレーションによる一過性のプロジェクト収入(フロー型)と、システム運用・保守、SaaS提供による継続的なサービス収入(ストック型)の組み合わせです。主要顧客は金融機関であるため、B2Bモデルが中心です。
  • 技術的独自性や参入障壁: 金融業界に特化した深い業務知識と卓越したシステム開発・運用技術が強みです。長年にわたる大手金融機関との取引実績が豊富な知見と信頼性を生み出し、新規参入企業にとって高い参入障壁となっています。

2. 業界ポジション

シンプレクス・ホールディングスは、日本の金融機関向けITソリューション市場において、高い専門性と実績を持つリーディングカンパニーの一つです。具体的な市場シェアのデータは提示されていませんが、大手金融機関との長年の取引実績から、特定のニッチ市場で強固なポジションを確立していると推測されます。

  • 主要競合との差別化要因: 高度な専門性と技術力に基づく「高難度プロジェクトへの対応力」、コンサルティングから開発・運用までを一貫して手掛ける「顧客の課題解決能力」、そして「高品質かつ高収益体制」が挙げられます。特に、高い営業利益率は同業他社と比較しても優位性を示しています。
  • 市場動向と企業の対応状況: 金融機関のDX(デジタルトランスフォーメーション)投資は今後も継続的な拡大が見込まれており、企業のビジネスモデル変革や既存システムの再構築ニーズが高まっています。同社はこの市場の追い風を受け、金融事業の拡大に加え、非金融分野への事業領域を拡大することで、新たな成長機会を追求しています。
  • 【定量比較】業界平均との財務指標比較:
  • PER(会社予想): 24.52倍 (業界平均23.2倍)
  • PBR(実績): 4.64倍 (業界平均2.3倍)
  • 同社のPERは業界平均よりやや高く、PBRは業界平均の2倍以上と割高な水準にあります。高い収益性と成長性が評価されているためと考えられます。

3. 経営戦略

経営陣は、金融領域におけるリーディングカンパニーとしての地位を確立しつつ、非金融領域への事業展開を通じて持続的な成長を目指しています。2026年3月期第2四半期決算では、通期業績予想および配当予想の増額修正、並びに株式分割(1株を4株に)を発表しており、株主還元と株式の流動性向上にも注力しています。

  • 経営陣のビジョンと中期経営計画: 具体的な中期経営計画の数値目標は提示されていませんが、金融ITソリューションにおける強みを活かしつつ、DXコンサルティングやシステムインテグレーションの領域で顧客基盤を拡大し、収益性を高める方針です。非金融分野への戦略的拡大もその一環です。
  • 重点投資分野と成長戦略: 高度なシステム開発を担う人材への投資、DX推進のための技術研究、そして非金融分野での新規顧客開拓が挙げられます。特にシステムインテグレーション事業の売上拡大と粗利率改善は、収益性向上の重要なドライバーとなっています。
  • 最近の適時開示情報:
  • 2026年3月期第2四半期決算において、通期業績予想および配当予想を増額修正しました。
  • 普通株式1株を4株に分割する株式分割(効力日2025年12月1日)を実施し、投資単位あたりの金額を引き下げ、投資家層の拡大と株式の流動性向上を図っています。
  • これらが今後の業績に与える影響: 業績予想の増額修正は、足元の事業環境の好調さと今後の成長への自信を示唆します。株式分割は短期的な株価上昇に直結するものではありませんが、長期的な視点では個人投資家の参入を促し、市場での評価を高める可能性があります。継続的な増益を達成するには、システムインテグレーション事業での受注拡大と採算性の維持が鍵となります。

4. 財務分析

  • 【収益性】
  • 営業利益率(過去12ヶ月):26.80%
  • ROE(過去12ヶ月):20.37% (ベンチマーク10%優良)
  • ROA(過去12ヶ月):11.34% (ベンチマーク5%優良)
  • いずれも非常に高水準で、収益力の優れた企業であることが示されています。特に営業利益率は業界トップクラスと推測されます。
  • 【財務健全性】
  • 自己資本比率(実績):61.8% (高水準で安定)
  • 流動比率(直近四半期):2.20倍 (220%) (健全な水準)
  • D/Eレシオ(直近四半期):33.52% (健全な水準)
  • 高い自己資本比率と流動比率から、非常に健全な財務体質であることが確認できます。現金を上回る有利子負債はありますが、自己資本で十分に賄える範囲です。
  • 【成長性】
  • 売上高成長率(前年比、直近四半期):31.30%
  • 利益成長率(前年比、直近四半期):72.10%
  • 四半期ベースで高い成長率を示しており、過去の年次推移も一貫して増収増益を達成しています。特に直近四半期の利益成長は顕著です。
  • 【キャッシュフロー】
  • 営業CF/純利益比率(過去12ヶ月):1.20 (1.0以上で健全かつ利益の質が高い)
  • 営業キャッシュフローが当期純利益を上回っており、質の高い利益を上げていると評価できます。
  • 【四半期進捗】
  • 2026年3月期通期予想に対する第2四半期累計の進捗率:
  • 売上収益:48.8%
  • 営業利益:50.4%
  • 親会社帰属当期利益:50.2%
  • 中間期で通期予想の約半分を達成しており、順調な進捗と言えます。

5. 株価分析

  • 【現在の水準】
  • 株価: 1,026.0円 (2026年1月5日終値)
  • PER(会社予想): 24.52倍
  • PBR(実績): 4.64倍
  • 業界平均PER 23.2倍と比較すると、PERはやや割高な水準です(約105.7%)。PBRは業界平均2.3倍と比較すると、2倍以上とかなり割高な水準にあります(約201.7%)。同社の高い収益性と成長性が市場で評価されているためと考えられますが、バリュエーション面では割高感があります。
  • EPS(会社予想)41.85円、BPS(実績)221.06円を元にした理論株価レンジは、業界平均PER基準で978円、業界平均PBR基準で508円と算出されています。現在の株価(1,026円)はPER基準の理論株価に近いものの、PBR基準からは大きく乖離しています。
  • 【テクニカル】
  • 52週高値1,225円、安値581円に対し、現在の株価は52週レンジの下から22.1%の位置にあり、年間高値からは距離があります。
  • 移動平均線との位置関係:
  • 5日移動平均線 (1,047.80円) を下回っています(2.08%下)。
  • 25日移動平均線 (1,068.38円) を下回っています(3.97%下)。
  • 75日移動平均線 (1,061.23円) を下回っています(3.32%下)。
  • 200日移動平均線 (988.58円) を上回っています(5.85%上)。
  • 短期・中期移動平均線を下回る一方、長期移動平均線は上回っており、短期下降トレンドの中にも長期的な支持線が残る状況です。
  • トレンドシグナル: データから明確なゴールデンクロス/デッドクロスは読み取れませんが、短期・中期移動平均線からの下落は、短期的な売りの圧力を示唆しています。
  • 【市場との比較】
  • 日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンスでは、過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年全てにおいて市場指数を下回るパフォーマンスとなっています。特に1年間では約60%の下落となっており、市場全体に比べて大きくアンダーパフォームしています。

6. リスク評価

  • ベータ値による市場感応度: ベータ値は1.11です。これは市場全体の動きと比較して、株価がやや変動しやすい(市場感応度が高い)ことを示しています。日経平均が1%変動した場合、同社株価は約1.11%変動する可能性があると解釈できます。
  • 決算短信記載のリスク要因:
  • 受注の遅延やプロジェクト採算悪化により、業績が計画を下回る可能性があります。
  • 人材採用・育成費用が増加し、販管費が上昇するリスクがあります。
  • 主要顧客である金融機関や関連業界の景況変動、および為替や外部環境の変化が業績に影響を与える可能性があります。
  • 事業特有のリスク:
  • 金融業界特化型であるため、金融規制の変更や業界再編が事業環境に影響を及ぼす可能性があります。
  • IT技術の進歩は速く、技術陳腐化への対応が常に求められます。
  • サイバーセキュリティリスクへの対策は継続的な重要課題です。
  • 組織の平均年齢が31.1歳と比較的若く、成長を支える人材の定着や育成が経営上の重要課題となります。
  • 52週レンジにおける現在位置: 年初来高値(1,225円)からは約16%下落した水準にあり、安値(581円)からは大幅に上昇しているものの、昨年高値からは調整局面にあることが分かります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況:
  • 信用買残: 323,900株
  • 信用売残: 20,200株
  • 信用倍率: 16.03倍
  • 信用買残が信用売残を大幅に上回っており、信用倍率が高水準です。これは株価下落時に、信用買い残の投げ売りによる需給悪化リスクがあることを示唆しています。
  • 株主構成と大株主の動向:
  • 筆頭株主は代表者の金子英樹氏(12%保有)であり、経営陣が一定の株式を保有していることで経営の安定性につながると考えられます。
  • 機関投資家(日本マスタートラスト信託銀行、日本カストディ銀行)が上位に入っており、安定株主としての存在感があります。
  • SBIホールディングスも大株主であり、事業提携等の可能性も考えられます。
  • 経営陣の持株比率と安定株主の状況: 経営陣による持株比率が比較的高い(インサイダー保有比率35.27%)ことは、経営の安定性および株主との利益一致の観点からポジティブに評価できます。

8. 株主還元

  • 配当利回りと配当性向:
  • 配当利回り(会社予想):1.75%
  • 1株配当(会社予想):18.00円(株式分割後)
  • 配当性向(会社予想):37.4% (30%台で無理のない範囲)
  • 配当の継続性・増配傾向:
  • 2022年3月期の年間配当5.75円から、2026年3月期予想の18.00円(株式分割後)へと継続的な増配傾向にあります(株式分割調整後)。増配を実施する方針を示しており、株主還元に積極的な姿勢がうかがえます。
  • 自社株買いの実績と方針:
  • 2026年3月期第2四半期で自己株式取得に614百万円を充てており、株主還元策の一つとして自社株買いも実施しています。

9. 総合評価

  • 【投資ポイント】
  • 高い収益性と安定した財務基盤を持つ金融ITソリューションの専門企業。
  • 金融市場のDX需要継続と非金融分野への事業拡大による成長戦略。
  • 株主還元を強化し、株式分割で流動性向上を図る積極的な姿勢。
  • 【強み】
  • 大手金融機関向けシステム構築で培われた高い技術力と専門性。
  • 四半期利益成長72.1%、営業利益率26.8%と非常に優れた収益性・成長性。
  • 自己資本比率61.8%、流動比率2.20倍の強固な財務健全性。
  • 【弱み】
  • PER/PBRが業界平均と比較して割高感があり、バリュエーション面での重さ。
  • 金融業界への事業依存度が高く、業界の特定リスクに左右されやすい側面。
  • 市場指数に対して株価がアンダーパフォームしており、相対的な魅力の低下。
  • 【機会】
  • 金融機関のDX投資需要の継続的な拡大。
  • 非金融分野への事業拡大によるTAM(Total Addressable Market)の拡大。
  • 株式分割と増配による株主層の拡大と市場流動性の向上。
  • 【脅威】
  • IT業界における人材獲得競争の激化と人件費の高騰リスク。
  • 競合他社との競争激化や技術革新のスピードへの対応。
  • 金融市場の景気変動や規制強化によるIT投資抑制。
  • 【注目すべき指標】
  • システムインテグレーション事業の売上高成長率と粗利率の推移。
  • 非金融分野事業の売上高構成比率と成長推移。
  • 営業利益率25%以上の維持、ROE15%以上の維持。

10. 企業スコア

  • 成長性: S
  • 売上成長率(前年比、直近四半期):31.30% (閾値15%以上)
  • 収益性: S
  • ROE(過去12ヶ月):20.37% (閾値15%以上)
  • 営業利益率(過去12ヶ月):26.80% (閾値15%以上)
  • 財務健全性: S
  • 自己資本比率(実績):61.8% (閾値60%以上)
  • 流動比率(直近四半期):2.20 (閾値200%以上)
  • 株価バリュエーション: D
  • PER(会社予想): 24.52倍 (業界平均23.2倍、業界平均の105.7%)
  • PBR(実績): 4.64倍 (業界平均2.3倍、業界平均の201.7%)
  • PERは適正水準に近いものの、PBRが業界平均の130%を大幅に上回るため、総合的に割高と判断。

企業情報

銘柄コード 4373
企業名 シンプレクス・ホールディングス
URL https://www.simplex.holdings/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,026円
EPS(1株利益) 41.85円
年間配当 1.75円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 16.6% 28.0倍 2,523円 19.8%
標準 12.8% 24.3倍 1,856円 12.7%
悲観 7.7% 20.7倍 1,251円 4.2%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,026円

目標年率 理論株価 判定
15% 929円 △ 10%割高
10% 1,160円 ○ 12%割安
5% 1,464円 ○ 30%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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By ジニー

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