1. 企業概要
スリー・ディー・マトリックスは、主に医療分野において、自己組織化ペプチド技術を応用した製品の開発、製造、販売を手掛けるバイオベンチャー企業です。米国MITから取得した独自の技術を基盤とし、代表製品である吸収性局所止血材「ピュアスタット(PuraMatrix)」などを国内外に展開しています。この製品は、外科手術や内視鏡手術時の止血を目的とし、特に米国における消化器内視鏡分野で高い成長を示しています。
主力製品・サービスの特徴は、生体内で自己組織化してハイドロゲルを形成するペプチド技術にあります。これにより、複雑な形状の部位にも適用可能で、高い生体適合性と安全性を有している点が強みです。収益モデルは、医療製品の販売が中心であり、B2B(医療機関向け)が主となります。製品供給により継続的な売上が期待できるフロー型ですが、医療現場での採用が進むことでリピートオーダーが発生し、ストック的な収益安定性も持ち合わせています。
技術的独自性は、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)から導入された独自の自己組織化ペプチド技術にあります。これは、特定の環境下で自律的に規則的な構造を形成する特性を持つペプチドを用いたもので、再生医療、細胞治療、ドラッグデリバリーシステムなど多岐にわたる応用可能性を秘めています。医療機器としての製造販売承認取得には厳格な規制があり、これらをクリアしていることが高い参入障壁となっています。
2. 業界ポジション
スリー・ディー・マトリックスは、精密機器セクターの医療機器業界に属しています。止血材市場は多様な製品が存在し、同社は自己組織化ペプチドというユニークな技術で差別化を図っています。特定の製品における推定市場シェアに関するデータはありませんが、独自の技術と日米欧での承認取得により、特定のニッチ市場で存在感を示しています。
主要競合との差別化要因は、主に以下の点にあります。
- 独創的な技術基盤: 自己組織化ペプチドという素材の独自性。他の止血材にはない特長を持ちます。
- 多様な応用可能性: 再生医療、細胞治療、ドラッグデリバリーなど、医療分野における幅広い可能性を秘めています。
- グローバルな承認と展開: 日米欧での製造販売承認を有し、特に米国市場での販売を強力に推進しています。
市場動向としては、高齢化社会の進展や医療技術の高度化に伴い、低侵襲な手術(消化器内視鏡手術など)が増加しており、それに伴う医療用止血材の需要は高まっています。同社は、この市場トレンドを捉え、特に米国における消化器内視鏡分野での製品販売を強化しています。直近の決算短信では、日本国内での粉末型止血材を提供する競合品の販売開始がリスク要因の一つとして挙げられており、市場競争の激化に注視が必要です。
業界平均との財務指標比較に関するデータは提供されていないため、比較は行いません。
3. 経営戦略
経営陣のビジョンと中期経営計画としては、「損益分岐点に到達してまもなく」「営業利益獲得に近い」ことが決算短信に記載されており、今回の直近中間期での営業利益黒字化は、この計画に沿った進捗と見られます。会社の重要課題として、営業キャッシュ・フローマイナスに伴う「継続企業の前提に関する重要な不確実性」を認識しており、以下の改善策を掲げています。
- 事業収益の拡大とコスト削減(成長分野である消化器内視鏡領域へのリソース集中)。
- 資金調達(転換社債発行、コミットメントライン契約等)。
重点投資分野と成長戦略は、消化器内視鏡向け止血材「ピュアスタット」の販売強化と市場浸透です。特に急成長している米国市場に注力し、代理店チャネルと直販を使い分けながら、地域ごとの戦略を進めています。
最近の適時開示情報としては、2025年12月11日に発表された2026年4月期第2四半期決算短信が最新かつ重要です。この中で、売上高が前年同期比で大幅に増加し、営業利益が黒字転換したことが報告されています。また、為替差益が寄与し、経常利益・純利益が大幅な黒字となりました。
これらの適時開示情報や戦略が今後の業績に与える影響として、営業利益の黒字化は事業そのものの収益性改善を示唆しており、将来の安定的な収益基盤構築に期待が持てます。ただし、純利益の大幅黒字は為替差益という一時的な要因が大きいため、為替の変動によっては逆方向の影響を受ける可能性があります。また、営業キャッシュ・フローのマイナス継続は依然として懸念材料であり、今後の資金調達状況とその使途が業績の継続性に対し重要な影響を与えます。
4. 財務分析
- 収益性
- 営業利益率: 過去12か月では-3.11%でしたが、直近の中間期決算では7.5%と大幅に改善し黒字化しています。2026年4月期通期予想では約4.3%を見込んでいます。
- ROE(実績): 過去12か月で0.17%と、ベンチマークの10%を下回っています。連結実績では-147.67%と非常に低い水準です。
- ROA(実績): 過去12か月で-2.44%と、ベンチマークの5%を大きく下回っています。
- 財務健全性
- 自己資本比率(実績): 26.8%(2025年4月期末時点)でしたが、直近の中間期末(2025年10月31日)では大幅に改善し51.1%となりました。これは安定水準の目安とされる40%を上回っており、財務基盤の強化が進んでいます。
- 流動比率(直近四半期): 400%と非常に高く、短期的な支払い能力は極めて良好です。
- D/Eレシオ(直近四半期): 0.35倍 (35.48%) であり、有利子負債は相対的に低い水準にあります。
- 成長性
- 売上高成長率: 過去12か月の売上高は8,467百万円で、前期(2025年4月期)の6,934百万円と比較すると約22.1%の成長です。直近四半期の売上高成長率(前年比)は46.10%と高い伸びを示しており、特に米国市場が牽引しています。
- 利益成長率: 過去数年間は営業赤字が続いていましたが、直近の中間期で営業利益が黒字転換しました。大幅な増収に伴い、利益面でも改善傾向が見られます。
- キャッシュフロー
- 営業CF(過去12か月): -748百万円とマイナスが続いています。これは、事業活動で資金を稼ぎ出せていない状況を示しており、継続企業の前提に関するリスク要因となっています。
- 純利益(過去12か月): 6百万円
- 営業CF/純利益比率: -115.68 (1.0未満が健全、マイナスのため収益の質に懸念)。
- 四半期進捗
- 2026年4月期通期予想に対する第2四半期(中間期)の進捗率は以下の通りです。
- 売上高: 51.8%
- 営業利益: 90.2%(高進捗)
- 純利益: 565.8%(為替差益が主因)
売上高と営業利益は順調に進捗しており、特に営業利益は通期予想に対して高い進捗を見せていますが、純利益の進捗率は為替差益という非営業性収益に大きく依存している点に留意が必要です。
5. 株価分析
- 現在の水準
- PER(会社予想): 139.16倍(株探では146倍)。非常に高い水準であり、業績の急回復を織り込んだ期待先行型と見られます。
- PBR(実績): 12.66倍。こちらも相対的に高い水準です。
- 業界平均データがないため一概に割安・割高を断定できませんが、数値自体は非常に高く、今後の収益成長が強く期待されているバリュエーションと言えます。
- EPS(会社予想): 2.63円。 BPS(実績): 28.92円。
- テクニカル
- 52週高値・安値との位置関係: 52週高値414円、52週安値102円に対し、現在株価366.0円は52週レンジの84.6%の位置にあり、高値圏で推移しています。
- 移動平均線との位置関係: 現在株価366.0円は、全ての移動平均線(5日MA: 363.80円、25日MA: 344.52円、75日MA: 319.39円、200日MA: 230.66円)を上回って推移しています。
- トレンドシグナル: 短期・中期・長期の移動平均線が全て上向きであり、短期線が長期線を上に抜けるゴールデンクロスが継続していると考えられます。これは明確な上昇トレンドを示唆しています。
- 市場との比較
- 1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年間のいずれの期間においても、日経平均およびTOPIXといった主要市場指数をアウトパフォームしています。これは、市場全体の上昇局面においても、同社株が強い上昇モメンタムを維持していることを示しています。
| 期間 | 東証マザーズ(グロースコア) | 日経平均比(%ポイント) | TOPIX比(%ポイント) |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | +8.28% | +3.15% | +4.20% |
| 3ヶ月 | +20.39% | +5.04% | データなし |
| 6ヶ月 | +67.12% | +38.03% | データなし |
| 1年 | +147.30% | +114.67% | データなし |
6. リスク評価
- ベータ値による市場感応度: ベータ値は0.25と非常に低く、市場全体の変動に対する感応度が小さいことを示しています。これは一般的にディフェンシブな特性を持つ銘柄にみられる傾向ですが、バイオベンチャーとしての成長期待と合わせた場合、銘柄固有の要因(進捗や製品動向)が株価に大きく影響する可能性を示唆します。
- 決算短信記載のリスク要因:
- 継続企業の前提に関する重要な不確実性: 営業キャッシュフローが継続してマイナスであるため、資金調達計画が予定通りに進まない場合、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。会社もこの点を認識し、事業収益拡大とコスト削減、資金調達策を掲げています。
- 為替変動リスク: 直近の中間期決算で純利益が大幅な黒字となった主因は為替差益であり、為替レートの変動(円高方向への転換など)は、今後の経常利益および純利益に重要な負の影響を与える可能性があります。
- 資金調達リスク: 新株予約権の行使やコミットメントライン契約を含む資金調達計画の実行可能性、および借入の転換条項や早期償還条項が資本構成に与える影響。
- 事業特有のリスク:
- 競合他社の台頭: 日本国内での粉末型止血材の競合製品販売開始など、市場における競争激化により、シェアや収益性が圧迫される可能性があります。
- 研究開発リスク: 医療製品の開発には多大な時間、費用、そして高い不確実性が伴います。臨床試験結果の如何や、規制当局からの承認取得の可否・遅延は、事業計画に大きな影響を与えます。
- 製品の陳腐化リスク: バイオ・医療技術の進歩は速く、現在優位性を持つ製品も、より新しい技術や製品の登場により陳腐化する可能性があります。
- 52週レンジにおける現在位置: 現在株価366.0円は52週高値414円に近く、52週レンジの84.6%の位置にあります。これは株価が比較的高値圏にあることを意味し、短期的な調整や下落リスクが相対的に高いと考えられます。
7. 市場センチメント
- 信用取引の状況:
- 信用買残: 15,736,700株と非常に多く、前週比で減少はしていますが、需給面では重しとなる可能性があります。
- 信用売残: 5,100株と極めて少ないです。
- 信用倍率: 3,085.63倍と非常に高い水準にあり、買い残が多いことによる将来的な売り圧力や、踏み上げ(急騰)による株価変動リスクを抱えている可能性も示唆します。
- 株主構成と大株主の動向:
- 大株主には楽天証券(5.56%)、BNPパリバ・フィナンシャル・マーケッツ(2.37%)、SBI証券(1.77%)といった金融機関が多く名を連ねています。機関投資家が一定程度保有しているものの、保有割合は分散している傾向が見られます。特定の安定株主が目立つというよりは、市場での流動性が高いと考えられます。
- 経営陣の持株比率と安定株主の状況:
- 個別の経営陣の持株比率については詳細なデータがありませんが、インサイダー保有割合が8.16%と示されています。安定株主の動向については、具体的な情報が提供されていないため不明です。
8. 株主還元
- 配当利回りと配当性向:
- 配当利回り(会社予想): 0.00%
- 1株配当(会社予想): 0.00円
- 配当性向(会社予想): 0.00%
- 配当の継続性・増配傾向: 同社は現在配当を実施しておらず、将来の配当についても計画は発表されていません。これは、バイオベンチャーとして事業の成長と研究開発への投資を優先する段階にあるためと考えられます。
- 自社株買いの実績と方針: 自社株買いの実績や方針に関する情報は提供されていません。
9. 総合評価
- 【投資ポイント】
- 独自の自己組織化ペプチド技術: 革新的な医療製品の基盤となる技術的優位性。
- 米国市場での販売拡大: 主力製品「ピュアスタット」が特に米国消化器内視鏡分野で高い成長を牽引している。
- 収益構造の改善兆候: 直近中間期で営業利益が黒字転換し、事業の収益性改善が進展。
- 【強み】
- 米国MIT由来の独創的な自己組織化ペプチド技術。
- グローバル市場(特に米国)での製品浸透と高い売上成長率。
- 直近四半期で示された高い流動比率(400%)による短期的な財務安定性。
- 【弱み】
- 営業キャッシュフローが継続してマイナスであり、資金調達依存からの脱却が課題。
- 過去の累積損失が大きく、ROEは依然低い水準に留まる。
- 高いPER/PBR水準であり、今後の成長期待が株価に織り込まれている可能性。
- 【機会】
- 消化器内視鏡手術市場の世界的な拡大。
- 新規適応症の開発やパイプライン拡充による事業領域の拡大。
- 医療ニーズの高い領域での提携や多角的なビジネス展開の可能性。
- 【脅威】
- 国内外での競合製品の台頭と価格競争激化。
- 為替の円高方向への変動による業績への悪影響(為替差益の逆転)。
- 研究開発の遅延や失敗、規制当局による承認取得の不確実性。
- 【注目すべき指標】
- 営業キャッシュフローの年間黒字化: 資金自律に向けた最も重要な指標。
- 米国以外の地域における売上高成長率: グローバル展開の均衡ある成長を示す指標。
- 営業利益率の継続的な改善: 事業の収益性体質強化を示す指標。
10. 企業スコア
- 成長性: S
- 売上高成長率(過去12か月+22.1%、直近四半期+46.10%、通期予想+33.9%)が全て15%以上であり、高い成長性を示しています。
- 収益性: B
- ROE(過去12か月0.17%)はベンチマークを下回りますが、直近中間期の営業利益率は7.5%であり、営業利益率5-10%の基準を満たします。長期的な収益性はまだ低いものの、直近で改善傾向が見られます。
- 財務健全性: A
- 自己資本比率(直近中間期51.1%)が40-60%の範囲であり、流動比率(直近四半期400%)が150%以上であるため、高い財務健全性があると評価できます。
- 株価バリュエーション: D
- PER(会社予想139.16倍前後)およびPBR(実績12.66倍)ともに非常に高い水準であり、業界平均の130%以上という基準に照らすと割高と判断されます。
企業情報
| 銘柄コード | 7777 |
| 企業名 | スリー・ディー・マトリックス |
| URL | http://www.3d-matrix.co.jp |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 精密機器 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 366円 |
| EPS(1株利益) | 2.63円 |
| 年間配当 | 0.00円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 15.6% | 46.0倍 | 250円 | -7.4% |
| 標準 | 12.0% | 40.0倍 | 185円 | -12.7% |
| 悲観 | 7.2% | 34.0倍 | 127円 | -19.1% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 366円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 92円 | △ 297%割高 |
| 10% | 115円 | △ 218%割高 |
| 5% | 145円 | △ 152%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.9)」によって自動生成されました。
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