1. 企業概要
大幸薬品は、主に一般用医薬品の製造販売を手掛ける日本の製薬会社です。主力製品は、胃腸薬として広く知られる「正露丸」シリーズであり、長年の歴史を持つ国民的医薬品としての地位を確立しています。加えて、二酸化塩素を活用した空間除菌・消臭製品「クレベリン」シリーズを感染管理製品として展開し、新たな事業の柱として再構築を進めています。
主力製品である「正露丸」は、その高い知名度と信頼性、そして特定の症状に対する即効性により、強いブランド力を有しています。一方、「クレベリン」は、二酸化塩素分子の働きによるウイルス・菌除去効果を謳い、個人向けから業務用まで幅広い用途で展開されています。
収益モデルとしては、一般消費者向けの医薬品販売(B2C)と、感染管理製品の法人・個人向け販売(B2B/B2C)が中心です。製品は店舗販売やECを通じて流通しており、比較的フロー型に近いビジネスモデルですが、ブランド力に支えられた安定的な需要が期待されます。技術的独自性としては、「正露丸」の独自の製法や古くからの臨床実績、そして「クレベリン」の二酸化塩素を活用した感染管理技術が挙げられます。医薬品の承認制度や長年培われたブランド認知は、新規参入障壁として機能しています。
2. 業界ポジション
大幸薬品は、特に止瀉薬市場において「正露丸」で確固たるブランドを築いていますが、医薬品業界全体から見ると中堅企業に位置します。
主要競合との差別化要因は、「正露丸」が持つ圧倒的な歴史と世代を超えた信頼性、そして独自の匂いを伴う製品特性による強い想起性です。また、「クレベリン」の二酸化塩素技術は、感染症予防に対する新たなアプローチを提供する点で差別化を図っています。
市場動向としては、国内医薬品市場は高齢化に伴う医療費抑制の動きや消費者の健康意識の高まりなど、複雑な要因が絡み合っています。同社は、供給体制の制約に直面しながらも、生産体制の再編を通じて供給安定化に努めています。また、海外市場での展開も強化する方針ですが、足元では供給不足により海外売上が減少しています。
【定量比較】
- PER(会社予想): 26.15倍 (業界平均: 27.8倍)
- PBR(実績): 1.84倍 (業界平均: 1.4倍)
- ROE(実績): 12.22% (ベンチマーク: 10%以上で良好)
- ROA(過去12か月): 1.16% (ベンチマーク: 5%以上で良好)
PERは業界平均を下回っており、割安感があります。一方で、PBRは業界平均を上回っており、割高感が見られます。ROEはベンチマークを上回る水準で良好ですが、ROAはベンチマークを下回っており、資産の効率的な活用には課題があります。
3. 経営戦略
経営陣は、老舗ブランドである「正露丸」を基盤としつつ、感染管理製品「クレベリン」事業の再構築を通じて新たな成長軌道を模索しています。具体的な中期経営計画の詳細は提供データには記載がありませんが、直近の決算短信からは以下の戦略的重点が読み取れます。
- 重点投資分野と成長戦略:
- 医薬品事業の生産体制再編: 京都工場での医薬品ライン稼働、吹田工場への生産設備移設を完了させ、供給能力の強化とサプライチェーンの安定化に注力しています。供給制約の解消が、特に海外販売の回復に直結すると考えられます。
- 感染管理事業の再構築: 販管費投入の最適化やJSA規格適合製品の出荷開始など、収益性改善に向けた取り組みを継続しています。二酸化塩素のエビデンス強化に関する研究開発も進められています。
- 海外販売の拡大: 長期的な成長戦略として海外市場を重視していますが、足元では供給制約が重荷となっています。
- 最近の適時開示情報:
- 2025年11月11日に、2025年12月期通期連結業績予想の修正を公表しています。営業利益は下方修正されましたが、特別利益の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は上方修正の可能性があります。
- 第3四半期累計では、営業利益は通期予想を既に上回る進捗を示しており、純利益も特別利益(投資有価証券売却益347百万円、為替換算調整勘定取崩益140百万円など)により通期予想を上回っています。
- これらが今後の業績に与える影響:
- 生産体制の再編と供給制約の解消が進めば、医薬品事業の海外販売が回復し、売上高の底上げが期待されます。
- 感染管理事業の販管費コントロールと収益性改善の取り組みが実を結べば、セグメント損失の縮小、ひいては全社利益への貢献が見込まれます。
- ただし、第3四半期の純利益を押し上げた特別利益は一時的な要因であり、本業の収益力改善が持続的な業績回復の鍵となります。
4. 財務分析
【収益性】
- 営業利益率(過去12か月): 15.24% (健全な水準)
- ROE(実績): 12.22% (ベンチマーク10%以上で良好)
- ROA(過去12か月): 1.16% (ベンチマーク5%未満で課題あり)
直近12か月の営業利益率は良好な水準ですが、ROAが低く、資産効率には改善の余地があります。第3四半期累計の営業利益率7.66%は、前年同期の15.86%から大幅に低下しており、本業の収益悪化傾向が顕著です。
【財務健全性】
- 自己資本比率(実績): 61.7% (非常に安定した水準)
- 流動比率(直近四半期): 353% (短期的な債務返済能力は非常に高い)
- D/Eレシオ(直近四半期): 0.1242倍 (負債比率が低く、財務は極めて健全)
非常に高い自己資本比率と流動比率を維持しており、負債も少なく、財務健全性は極めて高いと言えます。ネットキャッシュも約2,765百万円(現預金3,788百万円 – 有利子負債1,023百万円)と潤沢です。
【成長性】
- 売上高成長率:
- 2023年実績から2024年予想: 約+2.8%
- 2024年予想から2025年予想: 約+0.1%
- Quarterly Revenue Growth(前年比): +5.70%
- 損益計算書におけるTotal Revenue(2023年6,120百万円から過去12か月6,492百万円)の成長率は約+6.08%
- 利益成長率:
- 連結純利益は2021年12月期から2023年12月期にかけて赤字が続きましたが、2024年12月期には898百万円の黒字転換予想です。しかし、2025年12月期は580百万円へ減益予想であり、安定した利益成長には至っていません。
売上高の成長は限定的であり、利益についても黒字転換は評価できるものの、安定的な成長はまだ見られません。
【キャッシュフロー】
- 営業CF/純利益比率: 直近四半期連結キャッシュ・フロー計算書が作成されていないため、データなし。
【四半期進捗】
- 2025年12月期 第3四半期累計の通期予想(修正後)に対する進捗率:
- 売上高: 67.1%
- 営業利益: 108.0% (既に通期予想を超過)
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 115.3% (特別利益により既に通期予想を超過)
営業利益と純利益は既に通期予想を超過していますが、純利益は一時的な特別利益に大きく依存しており、本業の安定性には懸念が残ります。営業利益の超過は、Q4でのコスト増等により最終的に予想内に収まる可能性にも留意が必要です。
5. 株価分析
【現在の水準】
- 現在株価: 302.0円
- PER(会社予想): 26.15倍
- 業界平均PER: 27.8倍
- 業界平均と比較して約94%であり、やや割安な水準にあります。
- PBR(実績): 1.84倍
- 業界平均PBR: 1.4倍
- 業界平均と比較して約131%であり、割高な水準にあります。
- EPS(会社予想): 11.55円
- BPS(実績): 163.90円
【テクニカル】
- 52週高値: 444円、52週安値: 228円
- 現在株価302円は52週レンジ内において34.3%の位置(安値寄り)にあります。
- 移動平均線との位置関係:
- 5日移動平均線: 299.60円(株価が上回る +0.80%)
- 25日移動平均線: 295.44円(株価が上回る +2.22%)
- 75日移動平均線: 293.20円(株価が上回る +3.00%)
- 200日移動平均線: 285.21円(株価が上回る +5.89%)
現在の株価は全ての主要な移動平均線を上回っており、短期から中長期にかけて上昇トレンドを示唆する強気シグナルが出ています。5日移動平均線が他の移動平均線を上回る状態は、短期的なモメンタムが強いことを示しています。
【市場との比較】
- 日経平均との相対パフォーマンス:
- 1ヶ月: 株式+3.07% vs 日経+5.13% → 2.06%ポイント下回る
- 3ヶ月: 株式+4.14% vs 日経+15.36% → 11.22%ポイント下回る
- 6ヶ月: 株式-2.27% vs 日経+29.10% → 31.36%ポイント下回る
- 1年: 株式-5.62% vs 日経+32.63% → 38.25%ポイント下回る
- TOPIXとの相対パフォーマンス:
- 1ヶ月: 株式+3.07% vs TOPIX+4.08% → 1.01%ポイント下回る
日経平均株価およびTOPIXといった主要市場指数との比較では、全ての期間でアンダーパフォームしており、市場全体の上昇トレンドに追随できていない状況が続いています。
6. リスク評価
- ベータ値による市場感応度:
- ベータ値(5Y Monthly): 0.25
- ベータ値が0.25と非常に低く、市場全体の変動に対する株価の感応度が低いことを示しています。これは、市場全体が大きく変動する場面でも株価の動きが比較的安定している(あるいは市場の上昇局面では出遅れやすい)傾向があることを意味します。
- 決算短信記載のリスク要因:
- 主要商品(正露丸等)の供給制約により、売上高や利益が計画通りに達成できないリスク。
- 海外市場での販売回復の遅れ。
- 原材料価格、物流コストの高騰、地政学リスクの顕在化によるコスト上昇リスク。
- 為替変動が海外事業の収益に与える影響。
- 感染管理事業における研究開発の成果不確実性や、法規制・競合環境の変化。
- 事業特有のリスク:
- 特定の主力製品(正露丸、クレベリン)への収益依存度が高いこと。
- 医薬品事業における承認・製造に関する規制強化リスク。
- 感染管理製品市場における技術の陳腐化や、競合製品の増加。
- 老舗企業特有の変革への遅れ。
- 52週レンジにおける現在位置:
- 現在株価302円は、52週高値444円、安値228円に対して34.3%の位置にあり、52週安値に近い水準で推移しています。これは、過去1年間で株価が低迷していることを示唆しています。
7. 市場センチメント
- 信用取引の状況:
- 信用買残: 661,800株 (前週比: -37,400株)
- 信用売残: 394,400株 (前週比: -12,600株)
- 信用倍率: 1.68倍
信用買残が信用売残を上回るものの、信用倍率1.68倍は一般的に需給が引き締まっている状態、あるいは売り方が比較的少ない状態を示します。買残が減少傾向にある点は、短期的な上値追い圧力の緩和を示唆する可能性があります。 - 株主構成と大株主の動向:
- 大株主上位には、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、ロイヤルバンク・オブ・カナダ、ノムラ・シンガポールCセグリゲイテッドFJ1309などの金融機関や海外投資家が名を連ねています。
- 経営陣では、代表者である柴田高氏が6.58%を保有しており、安定株主としての存在感があります。柴田仁氏、柴田晃宏氏、柴田航氏といったファミリーの持株も合わせると、オーナー経営色が強いことが分かります。
- % Held by Insiders: 36.43% (経営陣・内部関係者の保有比率が高く、経営の安定性や長期的な視点での事業運営が期待されます。)
- % Held by Institutions: 5.36% (機関投資家の保有比率は比較的低い水準です。)
- 経営陣の持株比率と安定株主の状況:
- 経営陣および創業家による株式保有比率が高く、これに加えて安定的な投資家が上位株主として存在していることから、経営の安定性は高いと評価できます。
8. 株主還元
- 配当利回りと配当性向:
- 配当利回り(会社予想): — (未定)
- 1株配当(会社予想): — (未定)
- 配当性向: 0.0% (2024年12月期は0%、2025年12月期も未定)
- 過去の配当履歴を見ると、2021年12月期以降は無配が続いています。
- 配当の継続性・増配傾向:
- 近年の業績低迷に伴い、配当は継続されていません。増配傾向も現在はありません。
- 自社株買いの実績と方針:
- 提供された情報に自社株買いの実績や方針に関する具体的な記載はありません。
現状では株主還元策は限定的であり、業績の本格的な回復が優先されている状況と推察されます。
9. 総合評価
【投資ポイント】
- 「正露丸」の強力なブランド力と将来的な海外市場での潜在的な成長性。
- 極めて強固な財務健全性(高水準の自己資本比率と潤沢な現預金)。
- 生産体制再編による供給制約解消と、それに伴う業績回復への期待。
【強み】
- 「正露丸」という半世紀以上の歴史を持つ国民的ブランド。
- 自己資本比率61.7%、流動比率353%と非常に高い財務健全性。
- 感染管理製品「クレベリン」が持つ独自の技術と、感染症リスク意識の高まりによる潜在需要。
【弱み】
- 近年続く営業利益の低迷と業績の不安定性。
- 主力製品の供給制約が海外販売にマイナス影響を与えている点。
- 感染管理事業が現状では赤字であり、収益化が課題。
【機会】
- アジアを中心とした海外市場での医薬品需要の拡大。
- 感染症対策への意識の高まりにより、「クレベリン」事業の再成長機会。
- 生産体制再編による供給能力増強とコスト効率化。
【脅威】
- 競合他社による類似製品の増加と価格競争の激化。
- 原材料価格や物流コストの上昇が収益を圧迫するリスク。
- 外国為替レートの変動による海外事業収益への影響。
- 医薬品や感染管理製品に関する規制環境の変化。
【注目すべき指標】
- 営業利益率の安定化・改善: 第3四半期累計で低下しているため、今後の回復が重要。
- 海外売上高の回復率: 供給制約解消後の海外市場での販売動向。
- 感染管理事業の黒字化: 赤字幅が縮小傾向にあるため、早期の黒字転換。
- 年間配当の再開: 業績回復に伴う株主還元への姿勢。
10. 企業スコア
- 成長性: C
- (実績ベースの売上成長率は5-10%未満の年が多く、通期予想も低い。直近四半期は5.7%増だが安定した高成長には至らず。)
- 収益性: A
- (ROE 12.22%(A: 10-15%)および営業利益率 15.24%(A: 10-15%)の基準を満たす。)
- 財務健全性: S
- (自己資本比率 61.7%(S: 60%以上)かつ流動比率 353%(S: 200%以上)の基準を満たす。)
- 株価バリュエーション: C
- (PER 26.15倍は業界平均27.8倍の約94%でB判定だが、PBR 1.84倍は業界平均1.4倍の約131%でD判定に近く、総合的にやや割高と判断。)
企業情報
| 銘柄コード | 4574 |
| 企業名 | 大幸薬品 |
| URL | http://www.seirogan.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 医薬品 – 医薬品 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 302円 |
| EPS(1株利益) | 11.55円 |
| 年間配当 | 0.00円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11.0% | 30.4倍 | 591円 | 14.4% |
| 標準 | 8.5% | 26.4倍 | 458円 | 8.7% |
| 悲観 | 5.1% | 22.4倍 | 332円 | 1.9% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 302円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 228円 | △ 33%割高 |
| 10% | 284円 | △ 6%割高 |
| 5% | 359円 | ○ 16%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.9)」によって自動生成されました。
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