1. 企業概要

SEホールディングス・アンド・インキュベーションズは、情報技術関連の書籍・雑誌の出版を主力事業とする持株会社です。専門書出版で培ったノウハウを活かし、オンラインでの技術情報提供やイベント開催も手掛けています。出版事業の他にも、ソフトウェア開発、IT研修、医療人材紹介、企業向けマーケティング支援、投資運用、不動産賃貸など多角的に事業を展開しています。
主力製品・サービスは、コンピュータ関連の専門書籍や雑誌の出版です。また、IT分野の人材育成や医療専門職向け人材紹介、スマートフォン向けコンテンツ開発なども提供しています。
収益モデルは、書籍販売などB2Cのフロー型が中心ですが、オンライン広告や一部のソリューション提供はストック型に近い側面もあります。コーポレートサービスやソフトウェア・ネットワーク事業は主にB2B、教育・人材事業はB2CおよびB2B、投資運用事業はフロー型の収益モデルとなります。
技術的独自性や参入障壁としては、長年の技術書出版で築き上げたIT分野におけるコンテンツ企画力、専門家ネットワーク、教育ノウハウが挙げられます。また、多角的な事業ポートフォリオにより、特定の事業環境変化リスクを分散しています。

2. 業界ポジション

業界内での推定市場シェアは特定のデータがありませんが、技術書出版分野では一定のブランド力を有していると考えられます。同社は「情報・通信業」に属し、多角化により複数のニッチ市場に展開していますが、それぞれの分野で多数の競合が存在します。
主要競合との差別化要因は、IT技術者・ビジネスパーソン向けの専門知識提供から、人材育成・派遣、企業のマーケティング支援までをグループ内で連携できる総合的な機能です。また、投資運用事業が収益に貢献している点は、他の情報・通信業に属する企業とは異なる特徴です。
市場動向としては、出版業界全体がデジタルシフトの渦中にあり、同社もオンライン広告やコンテンツ提供に注力しています。IT人材の需要は高く、教育・人材事業には追い風ですが、医療人材紹介のように弱含みの分野もあります。同社は、出版事業の不振を投資運用やソフトウェア事業でカバーする形で、事業ポートフォリオのバランスを取る対応を進めています。
【定量比較】

  • PER(会社予想): 14.27倍 → 業界平均PER 17.6倍と比較して割安な水準です。
  • PBR(実績): 0.63倍 → 業界平均PBR 1.6倍と比較して割安な水準です。
  • ROE(過去12ヶ月): 4.45% → 同業他社のベンチマーク10.0%と比較して低い水準です。

3. 経営戦略

経営陣のビジョンや中期経営計画の具体的な詳細については、提供データに明確な記載はありません。しかし、情報技術出版を軸に多角化していることから、IT関連領域における専門性をコアとしつつ、事業横断的なシナジー創出とリスク分散を図っていると推測されます。
重点投資分野と成長戦略としては、直近の決算短信において営業投資有価証券が増加していることが示唆されており、投資運用を成長機会の一つと捉えている可能性があります。収益が堅調なソフトウェア・ネットワーク事業への継続的な注力も推測されます。
最近の適時開示情報としては、特定の大型受注、新製品発表、M&Aといった情報提供はありませんでした。2026年3月期 第2四半期決算短信では通期業績予想の修正はなしと発表しています。
これらが今後の業績に与える影響として、出版事業の継続的な不振が全体の業績を圧迫する可能性があります。一方で、投資運用事業は市況に左右される変動リスクを伴うものの、好調時には全体の利益を押し上げる要因となります。ソフトウェア・ネットワーク事業の安定的な成長が継続すれば、今後の収益の柱として期待されます。

4. 財務分析

  • 【収益性】
  • 営業利益率: 11.03%(過去12ヶ月)、11.28%(2025年3月期)
  • ROE: 4.45%(過去12ヶ月、ベンチマーク10%に対し低い)、6.04%(2025年3月期)
  • ROA: 2.95%(過去12ヶ月、ベンチマーク5%に対し低い)
  • 過去の推移を見ると、ROEおよび営業利益率は2022年3月期をピークに減少傾向にあります。
  • 【財務健全性】
  • 自己資本比率: 58.2%(実績)、58.6%(直近四半期)→ 健全な水準です。
  • 流動比率: 4.14倍(直近四半期)→ 非常に高い水準で、流動性は極めて良好です。
  • D/Eレシオ (Total Debt/Equity): 37.92%(直近四半期)→ 低く、負債は抑制されています。
  • 【成長性】
  • 売上高成長率 (Quarterly Revenue Growth、前年比): -5.30%
  • 利益成長率 (Quarterly Earnings Growth、前年比): -48.00%
  • 年度別推移では、売上高は横ばいから微減、営業利益・純利益は減少トレンドにあります(2022年3月期をピーク)。
  • 【キャッシュフロー】
  • 営業CF(過去12ヶ月): -230百万円(マイナス)
  • 営業CF/純利益比率: -0.56(マイナスであり、キャッシュ創出力に懸念があります)
  • フリーCF(過去12ヶ月): -2,660百万円(マイナス)
  • 【四半期進捗】
  • 2026年3月期 第2四半期における通期予想に対する進捗率:
  • 売上高: 48.6%
  • 営業利益: 49.1%
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 44.9%
  • 売上高と営業利益はおおむね想定通りの進捗ですが、当期純利益の進捗はやや遅れています。

5. 株価分析

  • 【現在の水準】
  • PER(会社予想): 14.27倍 → 業界平均PER 17.6倍と比較して割安な水準です。
  • PBR(実績): 0.63倍 → 業界平均PBR 1.6倍と比較して割安な水準です。
  • EPS(会社予想): 27.89円、BPS(実績): 631.48円
  • バリュエーション分析に基づく目標株価は、業種平均PER基準で443円、業種平均PBR基準で1010円と算出されています。
  • 【テクニカル】
  • 52週高値・安値との位置関係:
  • 52週高値: 449.00円、52週安値: 212.00円
  • 現在株価: 398.0円 → 52週レンジ内において約78.5%の位置(高値圏に近い)です。
  • 移動平均線との位置関係:
  • 現在株価 398.0円は5日移動平均線(397.80円)をわずかに上回っています。
  • 25日移動平均線(402.56円)は下回っています。
  • 75日移動平均線(387.72円)と200日移動平均線(339.05円)は上回っています。
  • トレンドシグナル: 短期的な移動平均線を見ると、株価は25日移動平均線を下回っており、一時的な調整局面にある可能性があります。しかし、中長期の移動平均線は上向きであり、株価がそれらを上回っていることから、中長期的な上昇トレンドは維持されていると見られます。
  • 【市場との比較】
  • 日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンスでは、直近1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の期間では市場平均を下回っています。しかし、1年間のパフォーマンスでは日経平均を6.53%ポイント上回っています。

6. リスク評価

  • ベータ値による市場感応度: ベータ値は0.25であり、市場全体の変動に対する株価の感応度が低いことを示しています。これにより、市場の大きなトレンドとは異なる独自の要因で株価が動きやすい特性があります。
  • 決算短信記載のリスク要因:
  • 主力である出版・広告市況の悪化が続き、全体の収益を圧迫する可能性。
  • 投資運用事業における投資有価証券の評価損発生リスク。
  • コーポレートサービス事業における既存クライアントからの受注減や新規受注の低迷リスク。
  • 為替変動、金利変動、地政学リスクなど、マクロ経済環境の変化が事業に与える影響。
  • 事業特有のリスク:
  • 出版事業において、紙媒体からデジタルコンテンツへの移行が進む中で、ビジネスモデルの変革への対応が遅れるリスク。
  • IT技術の急速な進化による技術書コンテンツの陳腐化リスク。
  • 投資運用事業は株式市場の変動に直接影響されるため、市況悪化時には収益が不安定になるリスク。
  • 52週レンジにおける現在位置: 現在株価398.0円は52週高値449.0円に近い位置(78.5%)にあり、高値圏からの調整リスクも考慮する必要があります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況: 信用買残が1,403,500株に対し、信用売残が0株のため、信用倍率は0.00倍です。信用売り残がないことから、短期的な踏み上げ材料にはなりませんが、買い方のポジションが積み上がっている可能性を示唆します。
  • 株主構成と大株主の動向: 代表取締役社長の速水浩二氏が16.33%を保有しており、経営陣への権限集中と経営の安定性が伺えます。その他、インタラクティブ・ブローカーズが11.00%、自己株口が6.91%を保有しています。
  • 経営陣の持株比率と安定株主の状況: 経営陣が比較的高い持株比率を有しているため、株主と経営陣の利害が一致しやすく、安定的な経営が期待されます。自己株口の存在も、株価の下支え要因となる可能性があります。

8. 株主還元

  • 配当利回りと配当性向:
  • 配当利回り(会社予想): 0.88%(株価398.0円、1株配当3.50円より算出)
  • 配当性向(会社予想): 11.4%(2025年3月期実績、2026年3月期予想では約12.25%)→ 比較的低い水準にあります。
  • 配当の継続性・増配傾向:
  • 2024年3月期から2026年3月期の予想まで、年間配当は3.5円で据え置かれています。継続した配当は行われていますが、近年増配傾向は見られません。
  • 自社株買いの実績と方針:
  • 決算短信によると、期中に自己株式の取得・処分・消却が行われており、直近では200百万円の自己株式取得による支出があります。これは株主還元策の一つとして活用されています。

9. 総合評価

  • 【投資ポイント】
  • 出版事業の低迷を、高収益の投資運用事業と成長中のソフトウェア・ネットワーク事業が補完する多角化ポートフォリオ。
  • PER14.27倍、PBR0.63倍(業界平均比で割安)であり、自己資本比率58.6%、流動比率414%と極めて高い財務健全性。
  • 直近1年間では日経平均をアウトパフォームしており、市場からの潜在的な評価期待がある可能性。
  • 【強み】
  • 極めて盤石な財務健全性(自己資本比率、流動比率)。
  • IT分野に特化したコンテンツ企画力と多角的な事業展開によるリスク分散。
  • 営業利益率は10%超を維持する一定の収益力。
  • 【弱み】
  • 主力である出版事業の収益性低下と、それに伴う全体の売上高・利益の減少トレンド。
  • 営業キャッシュフローおよびフリーキャッシュフローがマイナスであり、事業単体でのキャッシュ創出力に課題。
  • ROEやROAがベンチマークを下回っており、資本効率の改善が求められる。
  • 【機会】
  • デジタルコンテンツやIT研修サービス需要の増加によるソフトウェア・ネットワーク事業および教育・人材事業のさらなる成長。
  • 割安なバリュエーションと高い財務健全性を背景とした市場からの再評価。
  • 好調な市況が継続した場合の投資運用事業による大幅な利益貢献。
  • 【脅威】
  • 出版市場の継続的な縮小と、ビジネスモデル変革への対応遅れ。
  • 市場変動による投資運用事業の収益悪化リスク。
  • マイナスの営業キャッシュフローが継続し、将来の成長投資や事業運営を阻害する可能性。
  • 【注目すべき指標】
  • 出版事業の売上高およびセグメント利益の動向。
  • 営業キャッシュフローの継続的な黒字化とその規模。
  • ROEの継続的な改善(目標10%以上)。

10. 企業スコア

  • 成長性: D
  • 売上成長率 (Quarterly Revenue Growth (前年比)): -5.30%
  • 収益性: A
  • ROE (過去12ヶ月): 4.45%
  • 営業利益率 (過去12ヶ月): 11.03%
  • 財務健全性: A
  • 自己資本比率 (直近四半期): 58.6%
  • 流動比率 (直近四半期): 414%
  • 株価バリュエーション: A
  • PER(会社予想): 業界平均の81.08%
  • PBR(実績): 業界平均の39.38%

企業情報

銘柄コード 9478
企業名 SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ
URL http://www.sehi.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 398円
EPS(1株利益) 27.89円
年間配当 0.88円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 16.4倍 458円 3.0%
標準 0.0% 14.3倍 398円 0.2%
悲観 1.0% 12.1倍 356円 -2.0%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 398円

目標年率 理論株価 判定
15% 200円 △ 99%割高
10% 250円 △ 59%割高
5% 315円 △ 26%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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By ジニー

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