1. 企業概要
MORESCOは、独立系の特殊化学品メーカーです。主な事業は特殊潤滑油、合成潤滑油、素材(流動パラフィン等)、ホットメルト接着剤の製造・販売で、これらが事業の主要な柱となっています。自動車、鉄鋼、建設材料、繊維、食品、電子機器など多岐にわたる産業に向けて製品を提供しています。
主力製品・サービスは、ダイカスト用潤滑剤、水溶性切削油剤、ホットメルト接着剤のほか、放射線防護潤滑油・グリース、高真空ポンプ油、ハードディスク表面潤滑剤など、特定の産業ニーズに応える高機能製品を幅広く展開しています。近年ではデータセンター向け表面潤滑剤やエネルギーデバイス材料など、新たな成長分野にも注力しています。
収益モデルは主にB2B(企業間取引)です。特殊潤滑油や機能性材料は一度導入されると継続的な需要が見込まれるためストック型の要素を持ちますが、新規プロジェクトや設備投資に伴う需要変動もあるため、フロー型の要素も併せ持ちます。
技術的独自性としては、特定の産業や用途に特化した特殊潤滑油や機能性材料の開発・製造におけるノウハウが挙げられます。独立系メーカーとしての柔軟な開発力と、多様な顧客ニーズに対応するカスタマイズ能力が参入障壁となっています。
2. 業界ポジション
MORESCOは「石油・石炭製品」セクターの「Specialty Chemicals(特殊化学品)」業界に位置します。業界内での推定市場シェアはデータなし。
主要競合との差別化要因としては、独立系であることによる特定分野への特化と、多岐にわたる用途・顧客への対応力があります。特に自動車向け特殊潤滑油に強みを持つほか、最近ではデータセンター向け表面潤滑剤やエネルギーデバイス材料といったニッチながら成長性の高い分野での製品開発・供給を強化しています。
市場動向としては、自動車生産台数の減少や中国経済の減速、地政学リスク、為替変動といった外部環境の影響を受けています。これに対し企業は、販売価格の是正、販管費の抑制、海外事業の合理化(中国現地法人の再編)などによる収益性改善に取り組んでいます。
【定量比較】
- PER(会社予想):11.09倍(業界平均12.1倍)
- PBR(実績) :0.68倍(業界平均0.7倍)
- ROE(実績) :4.85%(同業他社ベンチマーク10.0%)
- ROA(過去12か月):2.79%(同業他社ベンチマーク5.0%)
MORESCOのPERとPBRは業界平均と比較してほぼ適正またはやや割安な水準にあります。しかし、収益性を示すROEとROAは、同業他社のベンチマークを下回っており、収益効率の改善が課題と言えます。
3. 経営戦略
経営陣のビジョンや中期経営計画に関する具体的な数値目標は今回の情報には記載されていません。しかし、直近の決算短信からは、収益構造の改善に重点を置いていることが伺えます。具体的には、販売価格の是正、販売費・一般管理費の抑制、海外事業(特に中国)の合理化を通じて営業利益率の向上を図っています。
重点投資分野と成長戦略としては、特殊潤滑油事業においてデータセンター向け表面潤滑剤など新たな用途開拓を進めるほか、エネルギーデバイス材料の強化により市場ニーズの変化に対応しようとしています。また、日本を基盤としつつも中国、東南アジア、北米といった海外市場での事業展開も積極的です。
最近の適時開示情報としては、2026年2月期第2四半期決算短信が発表されており、通期業績予想の修正は行っていません。大型受注や新製品の具体化、M&Aに関する特段の公表は今回の情報にありませんでした。
これらの戦略は、今後の業績に多大な影響を与えます。販売価格の是正やコスト抑制は営業利益の大幅改善に繋がり、実際に直近中間期では営業利益が前年同期比+41.5%と大きく伸長しています。データセンター向けやエネルギーデバイス材料といった成長分野の伸長は、将来的な収益基盤の強化に寄与すると期待されます。ただし、海外事業の動向や為替変動リスクも業績に影響する可能性があります。
4. 財務分析
【収益性】
- 営業利益率(過去12か月):5.14%
- ROE(実績):4.85%
- ROA(過去12か月):2.79%
ベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)と比較して、いずれの指標も下回っており、収益効率には改善の余地があります。ただし、直近中間期の営業利益率は5.63%と改善傾向にあります。
【財務健全性】
- 自己資本比率(実績):56.6%(中間期末57.8%)
- 流動比率(直近四半期):2.09倍(209%)
- D/Eレシオ(直近四半期):18.40%
自己資本比率は高く、流動比率も200%を超えており、財務健全性は非常に高い水準にあると言えます。有利子負債も少なく、ネットキャッシュはプラスであり、安定した財務基盤を築いています。
【成長性】
- 売上高成長率:
- 2023/2期:+11.1%
- 2024/2期:+5.1%
- 2025/2期:+7.8%
- 2026/2期(予):+6.2%
- 営業利益成長率(2026/2期予対2025/2期):+25.8%
- 純利益成長率(2026/2期予対2025/2期):+28.3%
過去数年は堅調な売上成長を見せており、2026年2月期は利益面で大幅な成長を予想しています。ただし、直近四半期の売上高成長率(前年比)は-5.60%、四半期利益成長率(前年比)は-17.50%と、短期的な減益の動きも見られます。
【キャッシュフロー】
- 営業CF/純利益比率(過去12か月):2.74倍 (決算短信中間累計では1.78倍)
- 0倍以上が健全とされる中、高い水準を維持しており、利益の質は非常に優良です。営業キャッシュフローは堅調に推移しており、本業で十分な現金を創出できています。フリーキャッシュフローもプラスで推移しています。
【四半期進捗】
2026年2月期通期予想に対する第2四半期(中間期)進捗率は以下の通りです。
- 売上高進捗率:46.2%
- 営業利益進捗率:54.2%
- 純利益進捗率:38.9%
営業利益は順調に進捗しているものの、純利益は為替差損の影響で通期予想に対してやや遅れが見られます。
5. 株価分析
【現在の水準】
現在の株価は1,571.0円です。
- PER(会社予想):11.09倍
- PBR(実績):0.68倍
業界平均PERが12.1倍、PBRが0.7倍であるため、PERは業界平均よりやや割安、PBRは業界平均とほぼ同水準またはやや割安と判断できます。
EPS(過去12か月希薄化)ベースの理論株価(業種平均PER基準):1,244円
BPS(実績)ベースの理論株価(業種平均PBR基準) :1,613円
現在の株価1,571円は、PER基準では割高ですが、PBR基準ではやや割安な水準にあります。
【テクニカル】
- 52週高値:1,581円、52週安値:1,045円。現在株価1,571円は52週高値に近く、レンジ内の98.1%に位置しています。
- 移動平均線との位置関係:
- 現在株価:1,571.0円
- 5日移動平均線:1,536.40円(現在株価が2.25%上回る)
- 25日移動平均線:1,437.28円(現在株価が9.30%上回る)
- 75日移動平均線:1,389.89円(現在株価が13.03%上回る)
- 200日移動平均線:1,291.30円(現在株価が21.66%上回る)
現在株価は全ての移動平均線を上回っており、特に短期、中期、長期の移動平均線が上向きで下から順に並んでおり(パーフェクトオーダーに近い状態)、強い上昇トレンドを示唆しています。直近では5日移動平均線と25日移動平均線の間にゴールデンクロスが発生している可能性が高いです。
【市場との比較】
- 日経平均株価との相対パフォーマンス:
- 1ヶ月:8.55%ポイント上回る
- 3ヶ月:0.84%ポイント上回る
- 6ヶ月:0.22%ポイント下回る
- 1年:9.51%ポイント下回る
- TOPIXとの相対パフォーマンス:
- 1ヶ月:9.59%ポイント上回る
相対パフォーマンスは直近1ヶ月、3ヶ月では市場を上回っていますが、中長期(6ヶ月、1年)では市場を下回っていました。
6. リスク評価
- ベータ値(5Y Monthly):0.20
ベータ値が0.20と非常に低いため、市場全体の変動に対する感応度が小さい、比較的ディフェンシブな銘柄であると言えます。
- 決算短信記載のリスク要因:
- 為替変動リスク:直近中間期では多額の為替差損を計上しており、今後の為替動向が業績に大きく影響する可能性があります。
- 顧客(自動車メーカー)稼働率:主要顧客である自動車産業の生産変動が、特殊潤滑油の需要に直接的な影響を与えます。
- 原材料価格変動:主要原材料である化学品や石油製品等の価格変動は、コスト増加を通じて収益を圧迫する可能性があります。
- 地政学リスク:ウクライナ情勢や中東情勢など、国際情勢の不安定化がサプライチェーンや需要に影響を与える可能性があります。
- 海外拠点の再編・統合リスク:海外事業の合理化を進める際の予期せぬ費用や事業停滞のリスク。
- 事業特有のリスク:
- 技術陳腐化リスク:特殊化学品分野は技術革新が常に求められるため、製品や技術の陳腐化に対応できない場合、競争力が低下する可能性があります。
- 景気変動リスク:B2Bビジネスのため、顧客産業の景気変動に業績が左右されやすい特性があります。
- 52週レンジにおける現在位置:98.1%(0%=安値、100%=高値)
現在株価は52週高値圏に位置しており、短期的には調整局面を迎える可能性があります。
7. 市場センチメント
- 信用取引の状況:
- 信用買残:48,800株(前週比+11,000株)
- 信用売残:1,400株(前週比+600株)
- 信用倍率:34.86倍
信用買残が信用売残を大幅に上回っており、信用倍率も高水準です。これは投資家の買い期待の現れである一方で、将来的な売り圧力となる可能性を秘めています。
- 株主構成と大株主の動向:
上位大株主には松村石油(11.00%)、自社(自己株口)(5.36%)、コスモ石油ルブリカンツ(5.19%)などが名を連ねています。特定の事業会社や関連会社、自社が上位に存在するため、比較的安定した株主構成であると言えます。 - 経営陣の持株比率と安定株主の状況:
経営陣の具体的な持株比率は情報がありませんが、自社従業員持株会が4.33%を保有しており、安定株主の一角を形成していると考えられます。大株主の顔ぶれからも、長期的な視点を持つ安定株主が多いと推測されます。
8. 株主還元
- 配当利回り(会社予想):2.86%
- 1株配当(会社予想):45.00円
- 配当性向(2025年2月期実績):40.7%(2026年2月期会社予想ベースでは約31.8%)
配当は、2024年2月期から年間45.00円を維持しており、安定した配当を継続する方針を示しています。2026年2月期の中間配当も20.00円を予定しており、年間では変わらず45.00円の見込みです。配当性向は年度の利益水準によって変動しますが、無理のない範囲で株主還元を行っています。
自社株買いの実績と方針については、直近中間期の自己株式取得支出は0百万円でした。前期は100百万円の支出がありましたが、積極的に大規模な自社株買いを行っているという傾向は見られません。
9. 総合評価
【投資ポイント】
- 構造改善による営業利益率の向上:販売価格の是正、コスト抑制、海外事業合理化が奏功し、営業利益が大幅に改善しています。
- 堅実な財務基盤:自己資本比率56.6%、流動比率209%、低D/Eレシオと、非常に健全な財務体質を維持しています。
- 新規成長分野への展開:データセンター向け表面潤滑剤やエネルギーデバイス材料など、高成長が期待される分野への積極的な取り組みが見られます。
【強み】
- 特定用途に特化した特殊化学品技術と幅広い産業顧客基盤。
- 高い財務健全性と安定したキャッシュフロー創出力。
- 海外事業展開によるグローバルな収益源確保。
【弱み】
- 海外売上比率が高く、為替変動リスクが大きい。
- 自動車産業の景気変動に業績が左右される傾向。
- ROE、ROAなど収益性指標が業界平均やベンチマークを下回る。
【機会】
- データセンター市場、EV関連など新規成長市場での特殊材料需要の拡大。
- 環境規制強化に伴う高機能・環境配慮型製品への需要シフト。
- 海外事業のさらなる合理化と市場深耕による収益力向上。
【脅威】
- 世界経済の減速、地政学リスクの顕在化による需要低迷。
- 原材料価格の高騰や供給網の混乱。
- 競合他社との技術開発競争激化や価格競争。
【注目すべき指標】
- 営業利益率の安定的な向上(特に中期目標としての8%以上)。
- エネルギーデバイス材料、データセンター向けなど新規製品分野の売上高成長率。
- 為替変動による経常利益への影響度合いとヘッジ戦略の有効性。
10. 企業スコア
- 成長性: B (売上成長率 2026年2月期予想: +6.2%は5-10%の範囲)
- 収益性: B (ROE 4.85%は5%未満だが、営業利益率 5.14%は5-10%の範囲)
- 財務健全性: A (自己資本比率 56.6%は40-60%の範囲、かつ流動比率 209%は150%以上の範囲)
- 株価バリュエーション: B (PER 11.09倍、PBR 0.68倍ともに業界平均の90-110%の範囲)
企業情報
| 銘柄コード | 5018 |
| 企業名 | MORESCO |
| URL | http://www.moresco.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | エネルギー資源 – 石油・石炭製品 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,571円 |
| EPS(1株利益) | 141.72円 |
| 年間配当 | 2.86円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 18.9% | 12.8倍 | 4,288円 | 22.4% |
| 標準 | 14.5% | 11.1倍 | 3,094円 | 14.7% |
| 悲観 | 8.7% | 9.4倍 | 2,028円 | 5.4% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,571円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 1,549円 | △ 1%割高 |
| 10% | 1,935円 | ○ 19%割安 |
| 5% | 2,442円 | ○ 36%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.9)」によって自動生成されました。
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