1. 企業概要

日本甜菜製糖は、明治ホールディングス系の企業で、ビート糖製造の最大手、精糖分野では中堅に位置します。主力はてん菜(ビート)を原料とする砂糖事業であり、他にパン酵母やオリゴ糖などの食品事業、乳牛用配合飼料を中心とした飼料事業、紙筒などの育苗用品や農業資材事業、そしてオフィスビルや商業店舗の賃貸を行う不動産事業を展開しています。
主力製品である砂糖は、消費者の生活に不可欠な基礎食料であり、飼料も酪農・畜産に欠かせないインフラです。収益モデルは主に原材料の調達から製品の加工・販売に至るフロー型が中心ですが、不動産事業は賃料収入によるストック型収益も有しています。ビート糖製造においては、てん菜作柄や砂糖市況に収益が左右される特徴があります。技術的独自性としては、てん菜からの製糖技術や、配合飼料の分析・設計技術などが挙げられます。

2. 業界ポジション

日本甜菜製糖は「国産ビート糖」分野で首位のポジションを確立しています。精糖業界全体では中堅ですが、乳牛用配合飼料や農業資材の分野でも存在感を持っています。主要競合との差別化要因としては、てん菜の生産から製糖までの一貫体制と、長年にわたる農業関連技術の蓄積が挙げられます。
市場動向としては、海外の粗糖価格や国内の砂糖市況が業績に大きく影響します。直近では海外粗糖相場の下落が見られ、砂糖事業の採算悪化につながっています。同社は、中期経営計画(第2次日甜グループ中期経営計画)において、持続可能なてん菜産業の創造と企業価値向上を掲げ、市場変動に対応しつつ事業構造の強化を図っています。

【定量比較】業界平均との財務指標比較

指標 日本甜菜製糖(予想/実績) 業界平均 評価
PER(会社予想) 53.67倍 19.5倍 割高
PBR(実績) 0.64倍 1.3倍 割安
ROE(実績) 3.69% データなし 低い(参考)
営業利益率(実績) 0.83% データなし 低い(参考)

【競合比較】競合に対する相対的な強み・弱み

直接的な競合企業との財務比較データはありませんが、業界平均と比較すると、PERは業界平均を大幅に上回り割高感があります。一方でPBRは業界平均の半分以下と割安感が際立っています。これは、安定した資産を多く持つ一方、短期的な収益性や成長性への期待が低いこと、あるいは資産の有効活用が課題であることを示唆している可能性があります。

3. 経営戦略

経営陣は、第2次日甜グループ中期経営計画(2023年4月~2028年3月)に基づき、持続可能なてん菜産業の創造と企業価値向上をビジョンとしています。重点投資分野や成長戦略の詳細な数値目標は開示されていませんが、決算短信からは砂糖事業の採算改善が喫緊の課題であることが伺えます。
最近の適時開示情報としては、2025年11月11日に取締役会決議による自己株式の消却(2,515,553株)を実施しています。これにより発行済株式数が減少するため、1株当たりの利益や純資産が増加し、株主価値の向上に寄与する可能性があります。
今後の業績への影響としては、砂糖事業の採算悪化に対する構造改革や、飼料・食品・農業資材といった非砂糖事業の収益力強化が重要となります。自己株式消却は資本効率の改善につながりますが、根本的な事業収益力の向上が中期的な成長には不可欠です。

4. 財務分析

【収益性】

  • ROE(実績): 3.69% (2025年3月期連結)。過去12ヶ月では-2.57%。ベンチマークの10%を下回っており、収益性は低い状況です。
  • ROA(実績): データなし (2025年3月期)。過去12ヶ月では-0.07%。ベンチマークの5%を下回っており、資産の効率的な活用が課題です。
  • 営業利益率(実績): 0.83% (2025年3月期連結)。過去12ヶ月では-0.38%。直近の収益性は非常に低く、営業損益がマイナスに転じるなど厳しい状況です。

【財務健全性】

  • 自己資本比率(実績): 72.9% (2025年3月期連結)。非常に高く、財務健全性は極めて良好です。
  • 流動比率(直近四半期): 3.96倍 (396%)。短期的な支払い能力も高く、財務的な安定性は確保されています。
  • D/Eレシオ(直近四半期): 0.03%。負債が極めて少なく、有利子負債依存度は非常に低いです。

【成長性】

  • 売上高成長率: 2025年3月期から2026年3月期予想では+6.48%の成長を見込んでいます。過去の推移を見ると、コロナ禍以降は増収傾向にありましたが、直近12か月は前年比で減少しています(69,297百万円→68,592百万円)。
  • 利益成長率の推移: 営業利益は2022年3月期の2,229百万円から2025年3月期の535百万円へと減少傾向にあり、2026年3月期では△600百万円の赤字予想となっています。純利益は2025年3月期に大幅に増加しましたが、これは特別利益の寄与が大きいため、継続的な利益成長とは異なります。

【キャッシュフロー】

  • 営業CF(過去12か月): 653百万円(前年同期9,594百万円から減少)。
  • 投資CF(過去12か月): データなし。直近中間期では△5,748百万円の支出(定期預金預入、固定資産取得、投資有価証券売却収入)。
  • 財務CF(過去12か月): データなし。直近中間期では△10,771百万円の支出(短期借入金返済、配当金支払、自己株式取得)。
  • FCF(フリーキャッシュフロー、過去12か月): -7,340百万円。投資活動を含めるとキャッシュ創出力はマイナスです。
  • 営業CF/純利益比率(過去12か月): 営業CF 653百万円 / 純利益 △1,929百万円。純利益がマイナスであるため比率の解釈は難しいですが、営業CFはプラスであり、利益自体は減少しても事業からキャッシュは創出されています。決算短信の中間期データでは13,337百万円 / 1,184百万円 ≒ 11.3倍と良好です。
  • 配当カバレッジ比率: 営業CF(過去12か月)653百万円 / 配当支払額(予想)1,025百万円 ≒ 0.64倍。営業キャッシュフローで配当をカバーしきれていません。

【セグメント別分析】(中間期データ)

  • 砂糖事業: 売上24,173百万円(+18.5%)、セグメント損失△309百万円。売上は増加したものの、販売価格の下落と原料糖販売の増加により採算が悪化し、営業損失となりました。課題セグメントです。
  • 食品事業: 売上1,377百万円(+6.1%)、営業利益93百万円(+29.6%)。安定的に利益を創出しており、成長ドライバーの一つです。
  • 飼料事業: 売上5,088百万円(△2.7%)、営業損失△103百万円。売上は減少しましたが、営業損失は改善傾向にあります。
  • 農業資材事業: 売上1,213百万円(+11.6%)、営業損失△45百万円。前年度の棚卸資産評価損の消失により、採算が大きく改善しました。
  • 不動産事業: 売上561百万円(△15.4%)、営業利益261百万円(△30.1%)。賃貸稼働率の低下により減収減益。

主要セグメントである砂糖事業の収益悪化が全体の業績に大きく影響しており、同事業の採算改善が最重要課題です。

【四半期進捗】

2026年3月期の中間決算では、売上高32,978百万円が通期予想69,000百万円に対し進捗率47.8%と概ね順調です。親会社株主に帰属する中間純利益1,184百万円は、通期予想900百万円を既に131.6%上回っており、中間時点で通期予想を達成している状況です。これは、投資有価証券売却益1,402百万円という特別利益の寄与が大きいです。営業利益は中間で△148百万円の損失ですが、通期予想△600百万円に対しては赤字幅が小さい状況です。

5. 株価分析

【現在の水準】

  • PER(会社予想): 53.67倍。業界平均19.5倍と比較すると、大幅に割高な水準です。
  • PBR(実績): 0.64倍。業界平均1.3倍と比較すると、大幅に割安な水準です。
  • EPS(会社予想): 72.66円、BPS(実績): 6,054.56円。
  • 理論株価レンジ: 業種平均PBR基準で7,871円。現在の株価3,900円は、この目標株価に対して大きく下回っています。

【テクニカル】

  • 52週高値・安値との位置関係: 現在株価3,900円は、52週高値4,055円に対し92.4%と、高値圏に位置しています。52週安値2,021円からは大きく上昇しています。
  • 移動平均線との位置関係:
    • 5日移動平均線: 3,874.00円(株価が上回り 0.67%)
    • 25日移動平均線: 3,697.20円(株価が上回り 5.49%)
    • 75日移動平均線: 3,285.49円(株価が上回り 18.70%)
    • 200日移動平均線: 2,737.31円(株価が上回り 42.48%)
      全ての移動平均線を上回っており、特に短期・中期・長期の移動平均線が上向きで株価を支持している状態です。
  • トレンドシグナル: 全ての移動平均線が株価を下回って推移しており、強い上昇トレンドに入っていることを示唆しています。過去に複数のゴールデンクロスが発生した可能性があります。

【市場との比較】

  • 日経平均比: 1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年全ての期間で日経平均を大きく上回るパフォーマンスを見せています。特に3ヶ月では+22.13ポイント、6ヶ月では+33.50ポイント、1年では+27.36ポイントと、市場平均をアウトパフォームしています。
  • TOPIX比: 1ヶ月でTOPIXを+2.65ポイント上回っています。

6. リスク評価

  • ベータ値: 0.16 (5Y Monthly)。ベータ値が非常に低く、市場全体の変動に対する感応度が低い、すなわち景気変動の影響を受けにくいディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。
  • 決算短信記載のリスク要因:
    • 海外粗糖相場や国内精糖価格の変動、および原料糖の調達・販売構成の変化が収益に直結する。
    • 賃貸稼働率の低下が不動産事業の収益に影響する。
    • 原材料コストの変動、需給バランス、国内外の規制や政策変更もリスク要因となる。
  • 事業特有のリスク: 砂糖事業は、てん菜作柄といった自然条件や国際商品市況に左右される特性があります。また、食品安全規制や環境規制なども事業運営に影響を与える可能性があります。
  • 52週レンジにおける現在位置: 92.4%(0%=安値、100%=高値)。現在の株価は52週高値に近く、短期的には調整局面に入る可能性も考慮する必要があります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況:
    • 信用買残: 246,300株(前週比 +39,800株)
    • 信用売残: 36,600株(前週比 -1,500株)
    • 信用倍率: 6.73倍
      信用買残が信用売残を大きく上回っており、信用倍率も高めです。これは将来の株価上昇を期待する買い方が優勢であることを示しますが、信用買いが増えすぎると、将来的な売り圧力となる可能性も内包します。
  • 株主構成と大株主の動向:
    自社(自己株口)が20.59%を保有し最大株主です。次いで日本マスタートラスト信託銀行(信託口)8.16%、明治ホールディングス6.48%と続きます。明治ホールディングスは関連会社であり、安定株主と見なせます。
  • 経営陣の持株比率と安定株主の状況:
    経営陣の持株比率は個別には不明ですが、明治HD系であり、安定的な株主構成となっています。ニッテン共栄会といった友好株主も存在し、安定した経営基盤を形成していると考えられます。

8. 株主還元

  • 配当利回り(会社予想): 2.05%
  • 配当性向(会社予想): 37.2%
  • 1株配当(会社予想): 80.00円
  • 配当の継続性・増配傾向: 2022年3月期の年間配当50円から、2025年3月期には80円へと増配しており、2026年3月期も80円を維持する予想です。安定的な配当を目指しつつ、増配傾向にあります。
  • 自社株買いの実績と方針: 直近の中間期で自己株式の取得(283,500株、760百万円)を実施しており、さらに2025年11月11日には自己株式2,515,553株の消却も決定しています。これは、株主への還元意識が高く、資本効率の改善を図る方針を示していると言えます。

9. 総合評価

【投資ポイント】

  • 非常に堅固な財務体質(自己資本比率72.9%、流動比率396%)。
  • 特定の事業リスクを持つものの、多角化によりリスク分散を図っている。
  • 株主還元策(増配傾向、自己株式取得・消却)に積極的。

【強み】

  • 国産ビート糖トップシェアの安定した事業基盤。
  • 極めて高い自己資本比率と流動比率による強力な財務健全性。
  • 分散された事業ポートフォリオ(砂糖、食品、飼料、農業資材、不動産)。

【弱み】

  • 主力砂糖事業の採算悪化とそれに伴う営業利益の低迷。
  • 過去12ヶ月のROE・ROAがマイナスと収益性が低い。
  • 国際市況(粗糖価格)や天候に業績が左右されやすい。

【機会】

  • 食の安全・安定供給への意識の高まりによる国産品の需要増加。
  • グループ中期経営計画に基づく事業構造改革による収益性改善。
  • 自己株式消却による1株当たり価値の向上。

【脅威】

  • 海外粗糖相場のさらなる下落や国内砂糖価格の競争激化。
  • 原材料コストの高騰や人件費の上昇圧力。
  • 地球温暖化によるてん菜作柄への影響。

【注目すべき指標】

  • 砂糖事業のセグメント利益率の改善(直近中間期△309百万円からの黒字化)。
  • 全社としての営業利益率の改善(2026年3月期予想△0.87%からのプラス転換)。
  • 自己資本利益率(ROE)の向上(直近2025年3月期実績3.69%からのベンチマーク8%以上達成)。

10. 企業スコア

  • 成長性: B
    • 2026年3月期の売上高成長率予想が前期比+6.48%であり、売上成長率5-10%の基準に該当します。
  • 収益性: D
    • 過去12ヶ月のROEが-2.57%、営業利益率が-0.38%と、ROE 5%未満かつ営業利益率3%未満の基準に該当します。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率が72.9%(60%以上)かつ流動比率が396%(200%以上)と、S評価の基準を満たしています。
  • 株価バリュエーション: D
    • PER(会社予想)53.67倍は業界平均19.5倍の275%(130%以上)と大幅に割高です。PBRは割安ですが、両方の基準を満たす必要があるためD評価となります。

企業情報

銘柄コード 2108
企業名 日本甜菜製糖
URL http://www.nitten.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 食品 – 食料品

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 3,900円
EPS(1株利益) 72.66円
年間配当 2.05円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 23.8% 42.1倍 8,886円 18.0%
標準 18.3% 36.6倍 6,159円 9.6%
悲観 11.0% 31.1倍 3,804円 -0.4%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 3,900円

目標年率 理論株価 判定
15% 3,071円 △ 27%割高
10% 3,835円 △ 2%割高
5% 4,840円 ○ 19%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。

投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。

なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。

企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

ジニーは、Smart Stock NotesのAIアシスタントです。膨大なデータとAIの力で、企業や市場の情報をわかりやすくお届けします。投資に役立つ参考情報を提供することで、みなさまが安心して自己判断で投資を考えられるようサポートします。