1. 企業概要
三菱商事は、三菱グループの中核を担う総合商社大手です。天然ガスや金属資源などの資源分野から、機械、化学品、食品、社会インフラ、モビリティ、電力ソリューション、デジタル金融など多岐にわたる事業領域で、トレーディング、事業投資、事業開発をグローバルに展開しています。
主力製品・サービスは、天然ガス・LNG、銅や原料炭といった金属資源、自動車販売・金融、そしてさまざまな化学品や食品の調達・供給、インフラプロジェクトへの参画など、幅広い産業のバリューチェーン全体をカバーしています。収益モデルは、資源価格や為替動向に左右されるフロー型取引に加え、長期的な事業投資によるストック型の収益構造も持ち合わせています。
その技術的独自性は、個別の事業領域における専門性と、多岐にわたる事業を組み合わせることで生まれる総合力にあります。グローバルな情報ネットワーク、投融資能力、リスク管理能力、そして各産業における深い知見が参入障壁となり、国内外の主要産業でのプレゼンスを確立しています。
2. 業界ポジション
三菱商事は、日本の総合商社業界において、三菱グループの中核企業としてトップクラスの規模と広範な事業ポートフォリオを誇ります。資源分野に強みを持つ一方で、非資源分野においても食品やモビリティなどで強固な事業基盤を有しています。
主要競合に対する差別化要因は、その強固な財務基盤と、三菱グループの総合力を活用した多様なビジネス展開能力です。新事業への投資余力や、グローバルなネットワーク、そして長年にわたる事業運営で培われたノウハウは、他社との競争優位性を生み出しています。
市場動向としては、地政学リスクの高まり、資源価格の変動、脱炭素化に向けたエネルギー転換、デジタル技術の進化などが挙げられます。三菱商事は、これらの変化に対応するため、再生可能エネルギーやデータセンター、デジタル金融といった次世代ビジネスへの投資を積極的に進めていますが、資源価格の変動が短期的な業績に影響を及ぼしやすい構造は残ります。
【定量比較】業界平均との財務指標比較
| 指標 | 三菱商事(会社予想/実績) | 業界平均(卸売業) | 評価 |
|---|---|---|---|
| PER(倍) | 20.69(連結会社予想) | 12.1 | 割高 |
| PBR(倍) | 1.58(連結実績) | 1.0 | 割高 |
| ROE(実績) | 7.86%(過去12か月) | データなし | 普通 |
| 営業利益率(実績) | 0.82%(過去12か月) | データなし | 低い |
【競合比較】
競合他社比較データは提供されていませんが、業界平均との比較から、三菱商事の株価はPER、PBRともに業界平均と比較して割高な水準にあることが示唆されます。これは、同社が安定した収益基盤と高いブランド力を持つこと、配当方針が評価されていることが背景にある可能性があります。
3. 経営戦略
経営陣は、累進配当を維持しつつ、機動的な自己株式取得を組み合わせる株主還元方針を継続しており、持続的な利益成長を目指す姿勢が伺えます。中期経営計画の詳細な情報提供はありませんが、決算短信の設備投資内容から、地球環境エネルギー、電力ソリューション、デジタル金融、社会インフラなど、次世代の成長分野への重点投資が継続していることが確認できます。
最近の適時開示情報や決算短信からは、大型受注や新製品の発表は直接確認できませんが、ローソンへの持分法適用会社化(過去の事象)や、豪州原料炭事業の売却益、千代田化工建設関連の引当金戻入といった大規模な会計処理が過去の業績に影響を与えています。直近の中間期においては、これらの一時的利益の剥落が減益の主因となり、今後の業績は、このような一時要因に左右されつつも、主要投資先の安定的な収益貢献と資源価格の動向が鍵となります。
4. 財務分析
【収益性】
- 営業利益率(過去12か月):0.82%
- ROE(過去12か月):7.86%(ベンチマーク10%に対しやや不足)
- ROA(過去12か月):0.66%(ベンチマーク5%に対し不足)
過去12か月の実績を見ると、収益性はベンチマークを下回っています。これは、商社特有の売上(総取引額)に対する利益率の低さや、資源価格変動、一時要因の剥落が影響している可能性があります。
【財務健全性】
- 自己資本比率(実績、2025年3月期):43.6%(2025年9月末:41.4%)
- 流動比率(直近四半期、2025年9月末):143.7%(流動資産 8,644,043百万円 / 流動負債 6,019,200百万円)
- D/Eレシオ(直近四半期、2025年9月末):61.69%
自己資本比率は40%を超えており、財務の安定性は高い水準にあります。流動比率は143.7%と、短期的な支払い能力も概ね健全です。D/Eレシオも適度な水準であり、総合的に財務は健全と判断できます。
【成長性】
- 売上高(過去12か月):17兆9,006億9,300万円
- 売上高成長率(過去12か月実績の2025年3月期予想比):△3.76%
- 売上高成長率(直近四半期前年同期比):△5.30%
- 純利益成長率(過去12か月実績の2025年3月期予想比):△27.58%
- 純利益成長率(2026年3月期予想の2025年3月期予想比):△26.4%
直近の売上高および利益成長率は、前年同期との比較でマイナスとなっており、全体としては減益基調にあります。これは、前年の一時的な特別利益の反動が主な要因です。
【キャッシュフロー】
- 営業活動によるキャッシュ・フロー(当中間期、2025年4月~9月):428,025百万円(前年中間期951,532百万円、△523,507百万円)
- 投資活動によるキャッシュ・フロー(当中間期):△198,774百万円(前年中間期△392,493百万円、支出は縮小)
- 財務活動によるキャッシュ・フロー(当中間期):△421,789百万円(前年中間期△980,400百万円、支出は縮小)
- フリーキャッシュフロー(当中間期):229,251百万円(営業CF 428,025百万円 – 投資CF 198,774百万円)
- フリーキャッシュフロー(過去12か月):129,810百万円
- 営業CF/純利益比率(当中間期):1.093倍(営業CF 428,025百万円 / 中間純利益 391,566百万円)
- 配当カバレッジ比率(過去12か月営業CF / 年間予想配当):2.55倍(営業CF 1,130,000百万円 / 配当支払額 443,181百万円)
営業活動によるキャッシュフローは前年同期より減少したものの、純利益を上回っており、利益の質は健全です。フリーキャッシュフローもプラスを維持しており、本業で安定して現金を創出できる能力があることが示されます。配当カバレッジも高水準であり、配当の支払い能力は十分です。
【セグメント別分析】
- 当社帰属中間利益(2025年4月~9月、前年中間期 → 当中間期、百万円)
- 地球環境エネルギー:94,635 → 85,822(減益)
- マテリアルソリューション:36,929 → 20,096(減益)
- 金属資源:195,666 → 41,576(大幅減益)
- 社会インフラ:145 → 42,897(大幅増益)
- モビリティ:54,971 → 38,723(減益)
- 食品産業:60,435 → 34,087(減益)
- S.L.C.:156,275 → 49,222(減益)
- 電力ソリューション:△6,555 → 16,821(黒字転換)
特に金属資源セグメントが前年同期比で大幅な減益となっており、前年の一時要因と資源市況の影響が強く表れています。一方で社会インフラや電力ソリューションは増益/黒字転換しており、セグメント間の業績変動が大きいことが特徴です。当期の中間期においては、金属資源およびS.L.C.が減益の主要因となっています。
【四半期進捗】
2026年3月期通期予想(親会社の所有者に帰属する当期利益700,000百万円)に対し、中間期(第2四半期)の当社帰属中間利益は355,796百万円で、進捗率は50.8%です。通期予想に対して概ね順調ですが、前年の一時的利益の反動が大きく、下期に大きな変動要因がないか注視が必要です。会社は現時点で通期予想の修正を行っていません。
5. 株価分析
【現在の水準】
- PER(会社予想):20.69倍
- PBR(実績):1.58倍
- EPS(会社予想、株探):188.9円
- BPS(実績):2,361.60円
業界平均PER 12.1倍、業界平均PBR 1.0倍と比較すると、現在の株価水準はPER、PBRともに割高と判断されます。
- EPSベースの理論株価レンジ(業界平均PER基準):188.9円 × 12.1倍 = 2,285.69円
- BPSベースの理論株価レンジ(業界平均PBR基準):2,361.60円 × 1.0倍 = 2,361.60円
現在の株価3,739.0円は、これらの理論株価レンジを大きく上回っています。
【テクニカル】
- 52週高値:3,856円
- 52週安値:2,257円
- 52週レンジ内位置:92.7%(高値圏)
- 現在株価:3,739.0円
- 5日移動平均線:3,707.00円(株価が上回り、0.86%乖離)
- 25日移動平均線:3,674.72円(株価が上回り、1.75%乖離)
- 75日移動平均線:3,632.87円(株価が上回り、2.92%乖離)
- 200日移動平均線:3,174.45円(株価が上回り、17.78%乖離)
株価は52週高値圏にあり、全ての主要な移動平均線を上回って推移しています。これは強い上昇トレンドを示唆していますが、既に高値圏にあるため、短期的には調整のリスクも考えられます。ゴールデンクロスやデッドクロスの直接的なシグナルデータはありませんが、長期移動平均線が短期移動平均線の下に位置し、株価がそれらを上回っている状況は強気トレンドを示しています。
【市場との比較】
- 1年リターン:株式 +49.56% vs 日経平均 +30.53% → 19.03%ポイント上回る
- 1年リターン:株式 +49.56% vs TOPIX データなし
中長期(1年)では、日経平均を大きく上回るパフォーマンスを見せています。これは、資源価格の高騰や総合商社への見直し買いが背景にあると考えられます。ただし、直近1ヶ月・3ヶ月では市場を下回る動きも見られます。
6. リスク評価
- ベータ値(5Y Monthly):0.47
ベータ値が0.47と1.0を下回っており、市場全体の変動と比較して株価の変動が小さい(市場感応度が低い)傾向を示します。これは、ポートフォリオの安定性向上に寄与する可能性があります。
- 決算短信記載のリスク要因:
- 為替レートの変動(円安/円高動向)
- 資源価格(原料炭、銅、LNGなど)の変動
- 持分法適用会社の業績変動
- M&Aや資産売買の実施による特別損益の発生
- 各国・地域の経済状況、政治情勢、規制・市場環境の変化
- 事業特有のリスク:
- 総合商社特有の、多岐にわたる事業における各種リスク(信用リスク、カントリーリスク、事業リスクなど)
- 大型プロジェクトの遅延や頓挫
- 環境規制の強化や、脱炭素化に伴う既存資源事業の価値陳腐化リスク
- サイバーセキュリティリスク
- 52週レンジにおける現在位置:92.7%(高値圏)
株価は52週レンジの高値圏に位置しており、短期的な下落リスクには注意が必要です。
7. 市場センチメント
- 信用買残:4,786,400株(前週比 +526,400株)
- 信用売残:1,045,200株(前週比 -48,200株)
- 信用倍率:4.58倍
信用買残が増加し、信用売残が減少しているため、短期的には買い方が優勢であり、株価上昇への期待感が高い状況と考えられます。信用倍率は4.58倍と、比較的高い水準です。
- 株主構成(大株主の保有割合上位5社):
- 日本マスタートラスト信託銀行(信託口):14.92%
- ステート・ストリート・バンク&トラスト505104:9.72%
- 自社(自己株口):5.89%
- 日本カストディ銀行(信託口):4.75%
- 明治安田生命保険:3.27%
安定株主が多く、機関投資家の保有割合も高いです。自己株式(自社)の保有も多く、株価の安定化に寄与する可能性があります。
- 経営陣の持株比率:% Held by Insiders:11.30%
経営陣が一定の持株を保有しており、株主との利害一致が見られます。
8. 株主還元
- 配当利回り(会社予想):2.94%
- 1株配当(会社予想):110.00円
- 配当性向(2025年3月期実績):42.2%(2026年3月期予想:58.23%)
- 配当の継続性・増配傾向:
- 2026年3月期中間配当は55円(前年50円から増配)。年間配当予想110円(前年100円から増配)。
- 同社は累進配当を基本方針としており、継続的な増配傾向が見られます。
- 自社株買いの実績と方針:
- 決算短信において「自己株式取得により自己株式残高が増加」と記載されており、機動的な自己株式取得も株主還元策として実施されています。
高い配当利回りと累進配当を維持する方針、そして自己株買いの実施は、株主還元への意識が高いことを示しています。
9. 総合評価
【投資ポイント】
- グローバル多様な事業ポートフォリオと強固な財務基盤による経営安定性。
- 累進配当方針と機動的な自己株取得による高い株主還元意欲。
- 資源価格変動や一時的な特別利益の剥落による短期的な業績変動に注意し、長期的な事業投資による成長を評価。
【強み】
- 幅広い産業分野と地域にわたるグローバルな事業ポートフォリオ。
- 安定した財務基盤と高い信用力。
- 累進配当と自己株買いに裏付けられた高い株主還元方針。
【弱み】
- 資源価格や為替レート、地政学リスクなど外部環境要因による業績変動が大きい。
- 直近の売上高・利益成長率がマイナス基調。
- 広範な事業による複雑な収益構造と評価の難しさ。
【機会】
- 脱炭素化やデジタル変革に対応した新規事業・投資の拡大。
- 新興国市場の成長取り込みとインフラ需要の拡大。
- ポートフォリオ再編やM&Aによる事業構造の最適化。
【脅威】
- 世界経済の減速や地政学リスクの高まり。
- 資源価格の急落や恒常的な低迷。
- ESG投資への意識の高まりに伴う既存資源事業への評価変化。
【注目すべき指標】
- 親会社の所有者に帰属する当期利益の通期予想達成度(700,000百万円)。
- 営業活動によるキャッシュフローの継続的な創出力。
- 金属資源セグメントやS.L.C.セグメントの利益改善動向。
10. 企業スコア
- 成長性: D
- 売上成長率(直近四半期前年比):-5.30%
- 収益性: D
- ROE(過去12か月):7.86%(基準C: 5-8%)
- 営業利益率(過去12か月):0.82%(基準D: 3%未満)
- 財務健全性: A
- 自己資本比率(2025年9月末):41.4%(基準A: 40-60%)
- 流動比率(2025年9月末):143.7%(基準B: 150%未満の場合。高いがAには及ばず)
- 株価バリュエーション: D
- PER(会社予想)20.69倍 / 業界平均PER 12.1倍 = 171%(基準D: 130%以上)
- PBR(実績)1.58倍 / 業界平均PBR 1.0倍 = 158%(基準D: 130%以上)
企業情報
| 銘柄コード | 8058 |
| 企業名 | 三菱商事 |
| URL | http://www.mitsubishicorp.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 3,739円 |
| EPS(1株利益) | 180.74円 |
| 年間配当 | 2.94円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 1.0% | 22.3倍 | 4,241円 | 2.6% |
| 標準 | 0.8% | 19.4倍 | 3,646円 | -0.4% |
| 悲観 | 1.0% | 16.5倍 | 3,133円 | -3.4% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 3,739円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 1,820円 | △ 105%割高 |
| 10% | 2,273円 | △ 64%割高 |
| 5% | 2,868円 | △ 30%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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