1. 企業概要

日清オイリオグループは、東京証券取引所プライム市場に上場する食用油の大手メーカーです。主な事業内容は、食用油・加工油脂の製造・販売を核に、加工食品・素材、ファインケミカルと多岐にわたります。日清、リノール、ニッコーという製油会社3社の経営統合を経て、家庭用食用油で高い市場シェアを維持しています。近年は美容、健康、介護向けの食品開発にも注力しており、中鎖脂肪酸油(MCT)などがその代表例です。
主力製品・サービスは、家庭用サラダ油、業務用フライ油、製パン・製菓用マーガリンやショートニングなどの加工油脂、健康オイル(MCTなど)、化粧品・トイレタリー製品の原料となるファインケミカル製品などです。収益モデルは、食用油や加工油脂といった基礎食材のB2BおよびB2C販売を主軸としつつ、健康食品やファインケミカルといった高付加価値製品で収益性の向上を図る複合型です。技術的独自性としては、長年培ってきた油脂の精製・加工技術と、MCT開発における先行者としてのノウハウが挙げられます。大規模な生産設備と強固なブランド力も参入障壁となっています。

2. 業界ポジション

日清オイリオグループは国内食用油市場において大手であり、特に家庭用分野では高い市場シェアを確保していると推定されます。市場動向としては、原材料価格や物流コストの高騰が継続し、消費者の節約志向も強まっています。同社はこれらの環境変化に対し、製品価格の改定、生産効率の向上、健康食品や高機能素材といった付加価値追求型製品の強化、そして東南アジアを中心とした海外事業の拡大で対応しています。
競合に対する強みは、長年の歴史に裏打ちされた強固なブランド力と品質への信頼、食用油から加工油脂、健康食品、ファインケミカルまでカバーする幅広い製品ポートフォリオです。一方、弱みとしては、食用油市場のコモディティ性からくる価格競争の激しさや、原料やエネルギー価格の変動を受けやすい事業構造が挙げられます。

【定量比較】

指標 日清オイリオグループ 業界平均(食品) 判定
PER(会社予想) 7.25倍 19.5倍 割安
PBR(実績) 0.83倍 1.3倍 割安

【同一業種区分企業比較】

本分析では業界平均PER/PBRを比較対象としています。各個別企業との比較データは提供されていません。

  • ROE(実績 2025年3月期): 6.95%
  • 営業利益率(実績 2025年3月期): 3.63%
  • PER(会社予想): 7.25倍
  • PBR(実績): 0.83倍

3. 経営戦略

経営陣は中期経営計画「Value UpX」(2025-2028)を掲げており、2028年度にはROE 8.0%以上、ROIC 6.0%以上を目標としています。重点投資分野としては、グローバル油脂・加工油脂事業における海外展開の加速、MCTをはじめとするウェルネス事業の成長、高機能素材を展開するファインケミカル事業の強化が挙げられます。また、コスト構造改革による収益性向上も重視されています。
最近の適時開示情報としては、2026年3月期第2四半期決算短信において、通期業績予想の修正が発表されました。これは、中間期に固定資産売却益23,162百万円を特別利益として計上したことによるものです。また、第15回・第16回無担保社債の発行により、借入金返済のための資金調達を実施しています。
これらの戦略・開示情報は、今後の業績に複合的な影響を与えると考えられます。特別利益は一時的なものであり、継続的な収益力向上には営業利益の改善が不可欠です。中期的には、海外事業の拡大、高付加価値製品への注力、コスト改革の進捗が業績を左右する主要因となるでしょう。社債発行は財務構造の最適化を目指すものと見られます。

4. 財務分析

【収益性】

  • 営業利益率(過去12か月): 2.33%(2025年3月期実績 3.63%、直近中間期 2.58%) – ベンチマーク(営業利益率 5%)を下回っており、収益性は低い水準です。
  • ROE(過去12か月): 12.35%(2025年3月期実績 6.95%) – ベンチマーク(ROE 10%)を上回るものの、直近中間期のROEは特別利益による一時的な押し上げが大きいため、継続的な収益力としては過大評価される可能性があります。特別利益を除いた会社想定の通期純利益9,000百万円で算出するとROEは約4.5%となり、ベンチマークを下回ります。
  • ROA(過去12か月): 2.43% – ベンチマーク(ROA 5%)を下回っており、資産効率は改善の余地があります。

【財務健全性】

  • 自己資本比率(実績): 48.2%(直近中間期 46.8%) – 安定した水準を維持しています。
  • 流動比率(直近四半期): 2.22 = 222% – 一般的な目安である100%を大きく上回っており、良好な流動性を保っています。
  • D/Eレシオ(直近四半期): 52.78% – 負債比率は過度ではなく、財務健全性は高いと言えます。有利子負債/自己資本比率は約0.48です。

【成長性】

  • 売上高成長率(過去12か月前年比): +3.90%。2026年3月期通期予想の前期比売上高成長率は+1.7%であり、緩やかな成長を見込んでいます。
  • 利益成長率: 過去数年の営業利益は増加傾向にありましたが、2025年3月期は減益、直近中間期も前年同期比32.6%の減益となりました。原材料価格高騰や販売数量減が影響しています。純利益は直近中間期に固定資産売却益により大幅に増加しています。

【キャッシュフロー】

  • 営業CF: △2,532百万円(2026年3月期中間期、前年同期実績 +7,955百万円) – 主に棚卸資産の増加(△8,517百万円)により、営業活動でキャッシュが流出しています。
  • 投資CF: △361百万円(2026年3月期中間期、前年同期実績 △3,966百万円) – 固定資産売却収入21,052百万円が大きく寄与し、有形固定資産取得支出20,941百万円を相殺しています。
  • 財務CF: +12,114百万円(2026年3月期中間期、前年同期実績 △4,424百万円) – 長期借入金による収入25,000百万円が主因です。自己株式取得(△5,204百万円)や配当支払(△2,920百万円)も行われています。
  • FCF(フリーキャッシュフロー): △2,171百万円(2026年3月期中間期) – 営業CFのマイナスにより、フリーキャッシュフローもマイナスとなっています。
  • 営業CF/純利益比率: △0.14(2026年3月期中間期) – 一般的に1.0以上が健全とされますが、営業CFのマイナスと特別利益による純利益の大幅増が影響し、大きく下回っています。利益の質に懸念があります。
  • 配当カバレッジ比率(営業CF/配当支払額): △2,532百万円 / △2,920百万円 = 0.86(営業CFがマイナスであるため、配当をキャッシュフローで賄えていない状況を示唆します。)

【セグメント別分析】 (2026年3月期中間期)

  • グローバル油脂・加工油脂事業: 売上高 65,566百万円(前年同期比 +20.6%)、営業利益 1,447百万円(同 △40.4%)。マレーシアでの販売増等で売上は拡大しましたが、原材料高やパーム油の時価評価損で減益となりました。
  • 油脂・油糧および加工食品・素材事業: 売上高 191,520百万円(同 △1.4%)、営業利益 4,841百万円(同 △32.9%)。
    • 油脂・油糧: 売上高 154,284百万円(同 △2.1%)、営業利益 2,779百万円(同 △52.2%)。販売数量減と粗利低下が響きました。
    • 加工食品・素材: 売上高 37,236百万円(同 +1.3%)、営業利益 2,062百万円(同 +47.5%)。価格改定により増収増益を達成しました。
  • ファインケミカル事業: 売上高 7,612百万円(同 +4.5%)、営業利益 873百万円(同 +1.9%)。国内での新規採用寄与があり、堅調な推移です。

成長ドライバーは、加工食品・素材(特に健康系)の一部とファインケミカル事業、そしてグローバル油脂事業の売上拡大です。課題セグメントは、原料価格変動の影響を受けやすい油脂・油糧事業の国内市場における収益性改善、およびグローバル油脂事業の利益率改善が挙げられます。

【四半期進捗】

  • 通期売上高予想 540,000百万円に対し、中間期実績 269,921百万円で進捗率 約50.0%。概ね順調なペースです。
  • 通期営業利益予想 15,000百万円に対し、中間期実績 6,972百万円で進捗率 約46.5%。通期達成には下期の利益改善が必要です。
  • 通期親会社株主に帰属する当期純利益予想 23,500百万円に対し、中間期実績 18,508百万円で進捗率 約78.8%。これは中間期に計上された多額の固定資産売却益によるもので、特別利益を除いた会社想定の通期純利益9,000百万円に対する進捗率は205.6%と、一時利益が通期純利益の大部分を占める見込みです。

5. 株価分析

【現在の水準】

  • PER(会社予想): 7.25倍
  • PBR(実績): 0.83倍
  • 業界平均PER19.5倍、PBR1.3倍と比較して、PER、PBRともに割安な水準にあります。
  • EPS(会社予想): 734.71円。業界平均PER基準の目標株価は、734.71円 × 19.5倍 = 14,326円。
  • BPS(実績): 6,409.45円。業界平均PBR基準の目標株価は、6,409.45円 × 1.3倍 = 8,332円。

【テクニカル】

  • 現在の株価5,330.0円は、52週高値5,410円に近く、52週レンジの92.8%に位置しており、高値圏で推移しています。
  • 5日移動平均線5,330.00円、25日移動平均線5,208.00円、75日移動平均線5,180.00円、200日移動平均線5,041.30円。現在株価は全ての移動平均線を上回っており、上昇トレンドを示唆しています。
  • 短期・中期・長期の移動平均線が上向きで推移し、株価もそれらを上回っていることから、強気なトレンドが継続している可能性があります。

【市場との比較】

  • 日経平均株価との比較では、直近1ヶ月間は日経平均を上回るパフォーマンスですが、3ヶ月、6ヶ月、1年では日経平均を下回る結果となっています。
  • TOPIXとの比較では、直近1ヶ月間はTOPIXを上回るパフォーマンスです。

6. リスク評価

  • ベータ値: 0.03 – 市場全体(日経平均やTOPIX)の動きとの連動性が非常に低いことを示しており、市場全体の下落局面では株価変動の影響を受けにくい特性があります。
  • 決算短信記載のリスク要因:
    • 原材料(菜種、大豆、パーム油等)の価格変動や調達状況。
    • エネルギー価格、物流費、運賃、運送費等のコスト変動。
    • 各国の経済状況や為替レートの変動。
    • 自然災害、感染症、地政学リスク等。
    • 消費者の節約志向や健康志向の変化。
  • 事業特有のリスク: Edible oil市場の成熟化、競合他社との価格競争激化も継続的な課題です。
  • 52週レンジにおける現在位置: 92.8%と高値圏にあり、上昇余地が限られる可能性があります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況: 信用買残30,200株、信用売残39,500株。信用倍率は0.76倍であり、売り残が買い残を上回る「売り長」の状態です。これは、将来的な買い戻しによる株価押し上げ(踏み上げ)要因となる可能性を秘めています。
  • 株主構成と大株主の動向: 筆頭株主は丸紅で15.42%を保有しており、その他、日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行などの金融機関が主要株主となっています。自社も自己株式として6.51%を保有しています。
  • 経営陣の持株比率: データなし。
  • 安定株主の状況: 大株主には事業会社と多くの機関投資家が含まれており、比較的安定した株主構成と考えられます。

8. 株主還元

  • 配当利回り(会社予想): 3.38% – 比較的高い配当利回りであり、株主還元に積極的な姿勢がうかがえます。
  • 1株配当(会社予想): 180.00円
  • 配当性向(2025年3月期実績): 45.4% – 適度な水準であり、利益を内部留保と配当のバランスを考慮しています。2026年3月期予想EPS759.9円に対する配当性向は23.7%となる見込みです。
  • 配当の継続性・増配傾向: 年間配当は2023年3月期120円、2024年3月期170円、2025年3月期180円と、近年は増配傾向にあります。2026年3月期も180円を維持する予想です。
  • 自社株買いの実績と方針: 直近の中間期にも自己株式を約51億円取得しており、配当と並行して自社株買いによる株主還元も実施しています。

9. 総合評価

【投資ポイント】

  • PER/PBRが業界平均を下回り、バリュエーション面で割安感がある。
  • 増配傾向と自社株買いを継続しており、株主還元への意識が高い。
  • 高機能食材(MCTなど)やファインケミカル、海外事業の成長可能性を秘める。

【強み】

  • 国内食用油市場における高いブランド力と市場シェア。
  • 油脂加工技術を応用した高付加価値製品(MCT、ファインケミカル)の開発力。
  • 安定した財務基盤と潤沢な流動性。

【弱み】

  • 食用油事業における原材料価格変動リスクと国内市場の価格競争。
  • 国内食用油・油脂事業の販売数量減少と収益性低下。
  • 営業キャッシュフローの不安定さとフリーキャッシュフローのマイナス。

【機会】

  • 健康需要の高まりを背景としたウェルネス食品事業の市場拡大。
  • アジア地域でのグローバル油脂事業のさらなる成長。
  • 環境規制強化や技術革新に伴うファインケミカル製品の新たな需要創出。

【脅威】

  • 世界的な穀物価格(菜種、大豆、パーム油)や原油価格の高騰。
  • 為替レートの変動による輸入コストの増加。
  • 消費者の節約志向継続による需要低迷と競合激化。

【注目すべき指標】

  • 営業利益率の改善状況(特にグローバル油脂・油脂・油糧セグメント)。
  • フリーキャッシュフローの安定的なプラス転換。
  • 中期経営計画「Value UpX」におけるROE 8.0%以上、ROIC 6.0%以上の達成度合い。

10. 企業スコア

  • 成長性: C
    • 売上高成長率(過去12か月+3.90%、2026年3月期予想+1.7%)が5%未満のため。
  • 収益性: D
    • 営業利益率(過去12か月2.33%、2025年3月期3.63%)が3%未満。また、特別利益を除いた通期純利益想定に基づくROEは約4.5%となり、ROE 5%未満かつ営業利益率 3%未満の基準に該当。
  • 財務健全性: A
    • 自己資本比率 48.2%(40-60%)かつ流動比率 222%(150%以上)のため。
  • 株価バリュエーション: S
    • PERが業界平均の37%、PBRが業界平均の63%と、共に業界平均の70%以下であるため。

企業情報

銘柄コード 2602
企業名 日清オイリオグループ
URL http://www.nisshin-oillio.com/
市場区分 プライム市場
業種 食品 – 食料品

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 5,330円
EPS(1株利益) 734.71円
年間配当 3.38円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 18.1% 8.3倍 14,099円 21.5%
標準 14.0% 7.2倍 10,236円 14.0%
悲観 8.4% 6.2倍 6,768円 5.0%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 5,330円

目標年率 理論株価 判定
15% 5,102円 △ 4%割高
10% 6,372円 ○ 16%割安
5% 8,040円 ○ 34%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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