1. 企業概要

NTT(日本電信電話株式会社)は、日本国内外で総合的な電気通信事業を展開する持ち株会社です。主要事業として、携帯電話や固定電話、光回線などの通信サービスを提供する「総合ICT事業」と「地域通信事業」、グローバルなシステムインテグレーションやクラウドサービスを手掛ける「グローバル・ソリューション事業」のほか、不動産やエネルギー事業なども展開しています。
主力は国内通信事業であり、NTTドコモを中核とした携帯電話サービスや光回線において高い市場シェアを誇ります。収益モデルは、通信インフラを活用した個人・法人向けのストック型サービスが主体です。また、法人向けにはソリューションサービスやクラウドサービスなどプロジェクト型・ストック型の収益源も有しています。
国内最大手の通信事業者としての広範な通信インフラと技術力、大規模な顧客基盤が、高い参入障壁となり技術的独自性を支えています。

2. 業界ポジション

NTTは、国内通信事業において圧倒的な市場シェアとインフラ基盤を持つ最大手企業です。地域通信事業では独占的な地位を築き、携帯電話や光回線分野でも高シェアを維持しています。
主要競合企業との差別化要因は、日本全国をカバーする既存の強固な通信インフラ、長年にわたるブランド力、国内外でICTソリューションを提供できる総合的な技術力と人材です。
市場動向としては、国内通信市場の成熟化や料金競争が続く一方で、クラウドサービスやグローバルICTソリューションへの需要が高まっています。NTTはこれに対応し、「グローバル・ソリューション事業」を成長ドライバーとして強化しており、直近の決算では同事業の利益が大幅に増加しました。

【定量比較】業界平均との財務指標比較

指標 NTT(会社予想/実績) 業界平均 評価
PER(倍) 12.55 23.2 割安
PBR(倍) 1.41 2.3 割安
ROE(%) 10.86(過去12か月) データなし 良好
営業利益率(%) 14.78(過去12か月) データなし 良好

【競合比較】

企業名 コード PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 営業利益率(%)
NTT 9432 12.55 1.41 10.86 14.78
ソフトバンクグループ 9984 1.71 10.15 N/A
NSW 9739 10.86 1.06 10.68 N/A

相対的な強み・弱み:

  • 強み: 圧倒的な国内顧客基盤と広範な通信インフラによる安定した収益力。比較的高水準な営業利益率を維持。業界平均と比較して割安なバリュエーション。
  • 弱み: 国内市場の成長鈍化は課題。財務健全性指標(自己資本比率、流動比率)は直近で低下傾向にあり、大規模M&Aが負債増加に影響していると見られる。

3. 経営戦略

経営陣は、企業名変更(2025年7月にNTT, Inc.へ)からも伺えるとおり、グローバル展開と提携を重点に置いた成長戦略を推進しています。
重点投資分野と成長戦略: 「グローバル・ソリューション事業」は売上・利益ともに大幅な伸長を見せており、この分野が持続的な成長ドライバーとして期待されます。また、新規事業として金融分野への参入も進めています。
最近の適時開示情報: 2025年10月1日付で、子会社であるNTTドコモが住信SBIネット銀行を連結子会社化したことが挙げられます。取得対価は4,200億円と多額です。
今後の業績への影響: グローバル・ソリューション事業の成長は、国内事業の成熟を補う形で収益拡大に貢献すると考えられます。住信SBIネット銀行の子会社化は、金融事業を新たな収益柱とする可能性を秘める一方で、多額の投資に伴う財務負担の増加(有利子負債増加、自己資本比率低下)が直近の決算に影響を与えています。このM&Aの長期的なリターンと財務への影響は引き続き注視が必要です。

4. 財務分析

  • 【収益性】
    • 営業利益率:過去12か月で14.78%、直近中間期で14.0%を維持しており、ベンチマークである10%を上回る優良な水準です。
    • ROE:過去12か月で10.86%とベンチマークの10%をクリアしています。ただし、直近中間期は6.47%と一時的に低下しており、今後の回復が注目されます。
    • ROA:過去12か月で3.35%とベンチマークの5%を下回ります。これは通信事業の性質上、大規模な資産を保有することに起因すると考えられます。
  • 【財務健全性】
    • 自己資本比率:実績で34.0%、直近中間期末で27.5%と、ベンチマークの40%を下回っており、健全性には課題があります。特に中間期には住信SBIネット銀行の取得に関連する負債増加により、大きく低下しました。
    • 流動比率:直近四半期で0.98(中間期末約97.8%)と、ベンチマークの150%を大きく下回っており、短期的な流動性にはやや懸念があります。
    • D/Eレシオ:直近四半期で163.42%と高水準です。
  • 【成長性】
    • 売上高成長率:過去12か月で前年同期比4.80%、直近四半期で同4.80%と堅実な成長を続けています。
    • 利益成長率:過去12か月で前年四半期比19.70%と、売上成長を上回る利益成長を示しており、効率改善が見られます。過去の業績推移を見ても、売上高は堅調に増加傾向にあります。
  • 【キャッシュフロー】
    • 営業CF(中間期):977,750百万円(前年中間期比△143,616百万円減少)。高水準ながら減少。
    • 投資CF(中間期):△1,226,690百万円(前年中間期比△283,154百万円支出増)。 M&Aや設備投資が活発です。
    • 財務CF(中間期):2,566,945百万円(前年中間期比+2,503,317百万円の大幅増)。借入金による資金調達の大幅増が主要因で、主にM&A資金に充当されたと見られます。
    • FCF(フリーキャッシュフロー):△248,940百万円(中間期でマイナス)。多額の投資により、営業CFでは賄いきれていない状況です。
    • 営業CF/純利益比率:1.64(中間期)、2.13(過去12か月)。ベンチマークの1.0を大きく上回り、利益の質は非常に健全であると言えます。
    • 配当カバレッジ比率:営業CF (過去12か月) 2.22兆円 / 年間配当支払額 (約1.137兆円) = 約1.95倍。配当金は営業CFで十分にカバーされており、持続性は高いです。
  • 【セグメント別分析】 (2025年度第2四半期)
    • 売上構成比と成長率:
    • 総合ICT事業: 42.7% (売上2,892,807百万円、+1.0%)
    • グローバル・ソリューション事業: 33.2% (売上2,247,733百万円、+4.8%)
    • 地域通信事業: 17.9% (売上1,210,530百万円、+3.1%)
    • その他: 6.2% (売上421,643百万円、+3.7%)
    • セグメント別利益率と成長ドライバー/課題セグメント:
    • 総合ICT事業: 利益率16.4%、利益△14.2%と減少。国内競争やコスト要因が影響していると推測されます。
    • グローバル・ソリューション事業: 利益率12.0%、利益+80.5%と大幅増。主要な成長ドライバーであり、今後の収益拡大を牽引する見込みです。
    • 地域通信事業: 利益率15.5%、利益△2.0%。堅調な売上に対し利益は微減。
    • その他: 利益率8.3%、利益△7.0%。
  • 【四半期進捗】 (2025年度第2四半期)
    • 通期予想に対する進捗率は、売上高47.7%、営業利益53.4%、当社帰属利益57.3%です。営業利益と当社帰属利益は通期目標に対して概ね順調、やや上振れて推移しており、通期目標達成への期待が持てます。

5. 株価分析

  • 【現在の水準】
    • PER: 12.55倍 (会社予想) は、業界平均23.2倍と比較して割安な水準にあります。
    • PBR: 1.41倍 (実績) は、業界平均2.3倍と比較して割安な水準にあります。
    • EPS/BPSベースの理論株価レンジ: 業種平均PER基準で291円、業種平均PBR基準で257円と算出されており、現在の株価157.8円と比べると、バリュエーション面では大幅な割安感があります。
  • 【テクニカル】
    • 52週高値・安値との位置関係: 現在株価157.8円は52週高値167.20円の約94%、52週安値135.20円の約117%に位置しており、52週レンジ内では上方70.6%に位置します。
    • 移動平均線との位置関係: 現在株価157.8円は、25日MA (156.39円)、75日MA (155.90円)、200日MA (154.22円) を上回っていますが、5日MA (158.98円) を下回っています。長期的な上昇トレンドは継続しているものの、短期では調整局面にあると見られます。
    • トレンドシグナル: 現状のデータからは明確なゴールデンクロス/デッドクロスは見られませんが、長期移動平均線が上向きであるため、基調としては上昇トレンドが継続しています。
  • 【市場との比較】
    • 日経平均比: 1ヶ月では日経平均を1.30%ポイント上回っていますが、3ヶ月、6ヶ月、1年といった中長期では大幅に下回るパフォーマンスとなっています。
    • TOPIX比: 1ヶ月ではTOPIXを1.09%ポイント下回っています。
    • 株価は中長期的に市場全体の動きに劣後しており、日経平均やTOPIXのような指数全体の上昇トレンドには乗り切れていない傾向が見られます。

6. リスク評価

  • ベータ値による市場感応度: ベータ値は-0.13と非常に低く、市場全体の変動に左右されにくいディフェンシブな特性を持つことを示しています。
  • 決算短信記載のリスク要因:
    • M&A関連のリスク:住信SBIネット銀行の子会社化に伴う多額ののれん計上、将来的な減損リスク、統合コスト、会計処理の複雑性。
    • 金融市場リスク:グローバル事業やM&Aに伴う為替変動リスク、金利上昇による有利子負債の利払い負担増。
    • 競争激化・規制リスク:国内通信市場の飽和に伴う競争激化、政府による料金規制や新規参入促進などによる収益性悪化の圧力。
  • 事業特有のリスク:
    • 大規模な設備投資:通信インフラの維持・高度化には継続的に巨額の投資が必要であり、これが財務を圧迫する可能性。
    • 技術陳腐化リスク:急速な技術革新に対応するための研究開発および投資の遅れ。
    • セキュリティリスク:膨大な顧客情報を扱う事業者として、サイバー攻撃や情報漏洩のリスク。
  • 52週レンジにおける現在位置: 52週レンジの70.6%に位置しており、高値圏に近いことから、過去の株価変動リスクに対して相対的にリスクが高い水準にあると言えます。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況: 信用買残が信用売残を大きく上回り、信用倍率は26.06倍と高水準です。これは、株価上昇を期待する投資家が多いことを示唆する一方で、将来の利益確定売り圧力となる可能性を秘めています。直近では信用買残が減少し信用売残が増加しており、需給はわずかに改善方向です。
  • 株主構成と大株主の動向: 財務大臣が32.25%を保有する筆頭株主であることから、経営の安定性は非常に高い一方で、国策企業としての側面も持ちます。信託銀行やトヨタ自動車などの機関投資家も主要株主として上位に名を連ね、安定した株主構成です。
  • 経営陣の持株比率と安定株主の状況: 財務大臣の安定株主としての存在感は大きく、自己株式保有も約8.84%と高いため、経営の安定度は高いと評価できます。

8. 株主還元

  • 配当利回り・配当性向: 会社予想に基づく配当利回りは3.36%であり、魅力的な水準です。配当性向は会社予想で約42.1%(2025年3月期実績で43.5%)と、安定的に配当を支払いながらも事業成長への投資余力を維持できる妥当な水準です。
  • 配当の継続性・増配傾向: 配当金履歴を見ると、2022年3月期から2026年3月期予想まで連続増配の傾向が続いており、株主還元に積極的な姿勢が見られます。
  • 自社株買いの実績と方針: 直近の中間期においても35,428百万円の自己株式取得を行うなど、配当だけでなく自社株買いも活用して継続的に株主還元を実施しています。

9. 総合評価

  • 【投資ポイント】
    • 国内通信インフラの盤石な基盤と安定的な収益力、さらに連続増配を続ける株主還元施策。
    • 業界平均と比較して割安なPER/PBR水準。
    • グローバル・ソリューション事業の力強い成長と、金融事業参入による新たな事業領域開拓の可能性。
  • 【強み】
    • 強固な国内通信事業のインフラ・顧客基盤を背景とする高い市場地位。
    • 営業利益率が高く、営業キャッシュフローが純利益を大きく上回る健全な利益の質。
    • 財務大臣の筆頭株主としての存在と、高い自己株式保有率による経営の安定性。
  • 【弱み】
    • 大規模M&Aによる自己資本比率および流動比率の低下。
    • 国内通信市場の成長鈍化と過度な競争環境。
    • ROAがベンチマークを下回る、多額の設備投資負担を伴う事業構造。
  • 【機会】
    • グローバル・ソリューション事業の国際的な需要拡大と、それに伴う収益のさらなる伸長。
    • 住信SBIネット銀行の子会社化をテコとした、金融サービス領域への本格的な事業拡大。
    • IOWN構想を始めとする次世代技術・インフラへの投資を通じた長期的な競争優位性の構築。
  • 【脅威】
    • 金利変動、特に長期金利上昇による有利子負債の利払い負担増。
    • 政府・規制当局による更なる通信料金引き下げ圧力や競争促進策。
    • 大規模M&A後ののれん減損リスクや想定以上の統合コスト、金融事業参入に伴う新たなリスク。
  • 【注目すべき指標】
    • 自己資本比率: 30%台前半への回復と安定化。
    • グローバル・ソリューション事業の利益成長率: 2桁増を維持できるか。
    • FCF(フリーキャッシュフロー): 投資活動を営業CFで賄えるプラス転換。

10. 企業スコア

  • 成長性: C
    • 売上成長率 (過去12か月) 4.80%、Quarterly Revenue Growth (前年比) 4.80%、2026年3月期売上高予想成長率+3.5%であり、5-10%のレンジを下回ります。
  • 収益性: A
    • ROE (過去12か月) 10.86% と10-15%の範囲、営業利益率 (過去12か月) 14.78% と10-15%の範囲にあり、非常に良好な水準です。
  • 財務健全性: C
    • 自己資本比率 (実績34.0%、中間期27.5%) は30-40%を下回っており、ベンチマークである40%以上を満たしません。流動比率 (0.98) もベンチマークの150%を大きく下回ります。
  • 株価バリュエーション: S
    • PER 12.55倍 (業界平均23.2倍の約54%)、PBR 1.41倍 (業界平均2.3倍の約61%) であり、共に業界平均の70%以下であるため、大幅な割安と評価されます。

企業情報

銘柄コード 9432
企業名 NTT
URL https://group.ntt/jp/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 158円
EPS(1株利益) 12.57円
年間配当 3.36円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 14.4倍 181円 4.7%
標準 0.0% 12.6倍 158円 2.0%
悲観 1.0% 10.7倍 141円 0.1%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 158円

目標年率 理論株価 判定
15% 87円 △ 82%割高
10% 108円 △ 46%割高
5% 137円 △ 15%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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