1. 企業概要

日本トムソンは、「IKO」(イコー)ブランドで知られるニードル軸受と直動案内機器を主力製品とする機械部品メーカーです。自動車や二輪車向けのニードル軸受、半導体製造装置や工作機械、医療機器などに使われる精密な直動案内機器を開発・製造・販売しています。少量多品種生産を得意とし、高精度な製品で顧客の多様なニーズに応えています。
主力の直動案内機器は、半導体製造装置やフラットパネルディスプレイ製造装置などの高精度な位置決めが求められる精密機器に広く採用されています。収益モデルは法人向け(B2B)の製造・販売が中心であり、顧客の設備投資動向に影響を受けるフロー型が主体ですが、メンテナンス部品としての継続的な需要も存在します。技術的な独自性は、長年培ってきた精密加工技術と、国内外に展開する研究開発・生産体制にあります。特に、半導体製造装置向けの精密部品は高い品質と信頼性が求められ、参入障壁は高いと考えられます。

2. 業界ポジション

日本トムソンは、ニードル軸受および直動案内機器の分野において、独自の「IKO」ブランドでグローバルに事業を展開しています。業界内での正確な市場シェアは提供されたデータからは特定できませんが、同社の製品が高精度な用途で採用されていることから、ニッチな高付加価値市場で一定のポジションを確立していると推測されます。
現在の市場動向としては、エレクトロニクス関連機器、工作機械、医療機器向けの需要が回復基調にあり、特に半導体関連の投資回復が同社の業績を牽引している状況です。同社は中期経営計画「IKO中期経営計画2026 Connect for Growth」に基づき、「強い領域」の集中強化と「グローバル体制」の再構築を進めており、中国でのR&Dセンター開設や生産機能の再配置といった戦略で市場の変化に対応しています。
競合に対する相対的な強みとしては、精密な加工技術と少量多品種生産への対応力、そしてグローバルな販売網が挙げられます。一方、弱みとしては、特定の産業(半導体、自動車)の景気変動に業績が左右されやすい点が挙げられます。

【定量比較】業界平均との財務指標比較

指標 日本トムソン 業界平均 評価
PER(予想) 20.92倍 16.6倍 やや割高
PBR(実績) 0.78倍 1.4倍 割安

現在の日本トムソンのPERは業界平均と比較してやや割高な水準である一方、PBRは業界平均を大きく下回り割安な水準にあります。

【同一業種区分企業比較】

同一業種区分企業として提供された「タカトリ(6338)」との比較は以下の通りです。

指標 日本トムソン(6480) タカトリ(6338)
時価総額(百万円) 64,314 7,342
PER(倍) 20.92 22.08
PBR(倍) 0.78 0.71
ROE(%) 3.60 5.78
配当利回り(%) 3.20 2.99

日本トムソンはタカトリと比較して時価総額が大きく、PERは同程度、PBRはやや高いものの、依然として1倍を下回っています。ROEについてはタカトリの方が高い水準にあります。

3. 経営戦略

経営陣は「IKO中期経営計画2026 Connect for Growth」を掲げ、事業の持続的成長を目指しています。この計画の2年目にあたる現在は、「強い領域」の集中強化と「グローバル体制」の再構築が重点施策とされています。
具体的な取り組みとしては、生産拠点の最適化(鎌倉工場の生産機能を岐阜製作所へ集約など)による効率化が挙げられます。また、成長市場である中国でのR&Dセンター開設は、グローバルでの研究開発体制強化を示す動きです。
最近の適時開示情報である2026年3月期第2四半期決算短信では、受注高が前年同期比+13.7%と回復しており、中期経営計画が掲げる成長戦略が好循環を生みつつあることが示唆されます。これらの戦略的投資と市場の回復は、今後の製品競争力の向上、生産効率の改善、そして業績全体へのポジティブな影響が期待されます。

4. 財務分析

収益性

  • 営業利益率: 直近12ヶ月で5.30%、2026年3月期中間期では5.1%と回復基調にあります。ただし、2025年3月期通期(実績)では2.93%と低迷しており、収益性の安定的な向上が課題です。
  • ROE(自己資本利益率): 直近12ヶ月で3.60%(実績で1.29%)、2026年3月期中間期概算で4.3%であり、ベンチマークである10%を大きく下回っています。
  • ROA(総資産利益率): 直近12ヶ月で0.98%であり、ベンチマークである5%を下回っています。

財務健全性

  • 自己資本比率: 2025年3月期実績で62.6%、2026年3月期中間期末で64.2%と非常に高く、財務基盤は強固です。
  • 流動比率: 直近四半期で3.59倍(359%)と非常に高く、短期的な支払い能力に優れています。
  • D/Eレシオ(有利子負債自己資本比率): 直近四半期で40.53%と低く、負債依存度が低い健全な状態です。

成長性

  • 売上高: 2023年3月期をピークに一時減少しましたが、直近12ヶ月の売上高は57,933百万円、2026年3月期中間期の売上高は30,254百万円(前年中間期比+13.3%)と回復基調にあります。
  • 利益: 2026年3月期中間期の営業利益は1,543百万円(前年中間期比+101.3%)と大幅に改善し、親会社株主に帰属する中間純利益は1,706百万円と黒字転換しました。

キャッシュフロー(2026年3月期中間期累計)

  • 営業活動によるキャッシュフロー(営業CF): 4,777百万円(前年中間期比+736百万円)。棚卸資産の減少も寄与し、堅調な資金創出力を示しています。
  • 投資活動によるキャッシュフロー(投資CF): △1,495百万円。主に有形固定資産の取得(1,525百万円)によるものです。
  • 財務活動によるキャッシュフロー(財務CF): △2,186百万円。長期借入金の返済(4,175百万円)と配当支払(686百万円)が主な内訳です。
  • フリーキャッシュフロー(FCF): 営業CF 4,777百万円 – 投資CF 1,495百万円 = 3,282百万円。プラスであり、投資に必要な資金を営業活動で十分に賄えている健全な状態です。
  • 営業CF/純利益比率: 4,777百万円 / 1,706百万円 ≒ 2.80倍。1.0倍以上で利益の質が健全とされる中、非常に高い水準であり、会計上の利益以上にキャッシュを生み出している優良な傾向を示しています。
  • 配当カバレッジ比率: 営業CF 4,777百万円 / 配当支払額 686百万円 ≒ 6.96倍。配当の支払余力は十分です。

セグメント別分析(2026年3月期中間期)

  • 同社は軸受等と諸機械部品の単一事業セグメントですが、部門別売上高は「軸受等」が27,147百万円(前年同期比+14.8%)で、売上高の約90%を占める主力事業であり、成長ドライバーとなっています。「諸機械部品」は3,106百万円(同+1.7%)と比較的微増にとどまっています。
  • 地域別では北米・中国等での需要が増加しており、今後の成長を牽引する可能性があります。

四半期進捗(2026年3月期通期予想に対する中間期進捗)

  • 売上高: 30,254百万円(進捗率50.0%)
  • 営業利益: 1,543百万円(進捗率49.8%)
  • 親会社株主に帰属する中間純利益: 1,706百万円(進捗率58.8%)

通期予想に対して売上高、営業利益は概ね計画通りに推移しています。純利益の進捗率が高いのは、中間期において法人税等が相対的に低水準であった一時的な要因も考慮する必要があります。

5. 株価分析

現在の水準

  • 現在株価: 875.0円
  • PER(会社予想): 20.92倍。業界平均PER(16.6倍)と比較するとやや割高な水準です。
  • PBR(実績): 0.78倍。業界平均PBR(1.4倍)と比較すると割安な水準にあります。
  • EPS(会社予想): 41.83円。BPS(実績): 1,128.72円。
  • 業種平均PER基準の目標株価は765円、業種平均PBR基準の目標株価は1,582円と、PERとPBRで大きく評価が分かれる状況です。

テクニカル

  • 52週高値: 879.00円、52週安値: 380.00円。現在の株価は52週高値に極めて近い水準(99.2%)に位置しています。
  • 移動平均線との位置関係: 現在株価(875.0円)は、短期(5日: 854.60円、25日: 797.44円)、中期(75日: 724.37円)、長期(200日: 612.52円)の全ての移動平均線を上回っており、強い上昇トレンドを示唆しています。
  • トレンドシグナル: 短期の移動平均線が長期の移動平均線を上回る「ゴールデンクロス」の状況にあり、テクニカル的には買いシグナルと解釈できます。

市場との比較

  • 日経平均株価およびTOPIXとの相対パフォーマンスは、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年全ての期間において、日本トムソンの方が大幅に上回っています。これは、市場全体と比較して非常に好調な株価推移を示していることを意味します。直近1ヶ月で日経平均を12.75ポイント、TOPIXを11.60ポイント上回るパフォーマンスです。

6. リスク評価

  • ベータ値: 0.49。市場全体の値動きに対する感応度が低いことを示しており、比較的ディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。
  • 決算短信記載のリスク要因:
    • グローバルな景気変動とそれに伴う主要顧客の需要の変動(特に半導体製造装置、二輪車市場)。
    • 原材料価格の高騰。
    • 為替変動(海外売上比率が51%と高いため、為替レートの変動が業績に影響を与える可能性があります)。
    • 米国の通商政策など、国際的な政治・経済情勢の変化。
    • 会計方針の変更が従来の業績比較に与える影響。
  • 事業特有のリスク:
    • 半導体サイクルや設備投資サイクルに業績が大きく左右される可能性があります。
    • 高精度製品を扱うため、製品の欠陥や品質問題が発生した場合のリスク。
    • 競合他社との技術開発競争の激化。
  • 52週レンジにおける現在位置: 現在株価は52週高値に非常に近く、短期的な過熱感や高値警戒感があります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況:
    • 信用買残: 997,400株(前週比 +41,700株)
    • 信用売残: 72,800株(前週比 +8,100株)
    • 信用倍率: 13.70倍。
      信用買残が信用売残を大きく上回っており、信用倍率も高いことから、短期的な需給面では売り圧力が高まる可能性があります。
  • 株主構成と大株主の動向:
    • 日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が11.71%と筆頭株主。
    • 自社取引先持株会(8.02%)、日本生命保険(5.8%)、日本カストディ銀行(信託口)(4.85%)など、安定株主が多い構造です。
    • 自社(自己株口)も4.13%保有しており、株主の安定化に寄与しています。
    • 機関投資家保有比率は32.42%、インサイダー保有比率は21.30%です。
  • 経営陣の持株比率: 明確な数値は提供されていませんが、インサイダー保有比率が21.30%であることから、一定の株式を保有しているものと見られます。大株主に信託銀行や生保が多く含まれることから、比較的安定した株主構成であると言えます。

8. 株主還元

  • 配当利回り(会社予想): 3.20%(株価875.0円、年間配当28.00円で計算)。
  • 配当性向(2026年3月期会社予想ベース): 約66.9%(年間配当28.00円 / 予想EPS 41.83円)。やや高めの水準ですが、営業キャッシュフローは堅調であり、配当の支払い余力は十分です。
  • 配当の継続性・増配傾向: 2026年3月期の年間配当は28.00円(中間14.00円、期末14.00円予想)と、前中間の9.50円から増配する方針が示されており、配当は継続的かつ増配傾向にあると言えます。
  • 自社株買いの実績と方針: 今回の決算短信では直近の自社株買いに関する特段の記載はありませんでしたが、自社(自己株口)として株式を保有しています。

9. 総合評価

【投資ポイント】

  • 半導体関連需要の回復を背景とした業績の力強い回復と、グローバルな需要拡大への対応力。
  • 堅固な財務健全性(高い自己資本比率、流動比率)と、利益の質を示す潤沢な営業キャッシュフロー。
  • 全ての移動平均線を上回る強い上昇トレンドと、市場平均を大幅にアウトパフォームする株価の勢い。

【強み】

  • 精密軸受・直動案内機器における高い技術力と「IKO」ブランドの信頼性。
  • グローバルな生産・販売体制と、少量多品種生産への柔軟な対応力。
  • 非常に健全な財務基盤と、営業キャッシュフローの継続的な創出力。

【弱み】

  • 過去数年間の収益性指標(ROE、ROA、営業利益率)の変動が大きく、安定性の課題。
  • 半導体産業や二輪車市場の景気変動に業績が左右されやすい事業構造。
  • 高信用倍率に見られる短期的な需給悪化リスクの存在。

【機会】

  • エレクトロニクス関連機器、工作機械、医療機器など高精度部品需要の継続的な拡大。
  • グローバルR&D機能の強化と生産拠点最適化による競争力・効率性のさらなる向上。
  • 脱炭素化や省エネニーズに伴う高効率・長寿命部品への需要増加。

【脅威】

  • 世界経済の景気減速や地政学的リスク(米国の通商政策など)による需要変動。
  • 原材料価格の高騰や為替の急激な変動によるコスト増。
  • 競合他社との技術優位性維持のための継続的な投資圧力と価格競争。

【注目すべき指標】

  • 営業利益率: 2026年3月期通期予想の5.12%を達成し、さらに安定的に高水準を維持できるか。
  • ROE: 4.3%(概算)から、中期経営計画での目標や8%台への早期回復。
  • 受注高の推移: 受注残高も合わせてBook-to-Bill比率が1.0を継続的に上回るか。

10. 企業スコア

  • 成長性: A
    • 売上高成長率が直近中間期で+13.3%、通期予想で+11.2%(前年比)となり、10-15%の範囲を満たすため。
  • 収益性: C
    • ROE(実績3.60%、過去12ヶ月3.60%)は5%未満であり、営業利益率(過去12ヶ月5.30%、中間期5.1%)は5-10%の範囲ですが、ROEが5%を下回るためC評価とします。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率が62.6%以上(中間期64.2%)、流動比率が359%であり、いずれもS評価の基準値を満たすため。
  • 株価バリュエーション: C
    • PER(予想20.92倍)は業界平均(16.6倍)の約126%であり、やや割高のC基準に該当します。PBR(実績0.78倍)は業界平均(1.4倍)の約56%と大幅に割安ですが、PERの割高感と株価が52週高値圏にあることを考慮し、総合的にはC評価とします。

企業情報

銘柄コード 6480
企業名 日本トムソン
URL http://www.ikont.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 機械 – 機械

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 875円
EPS(1株利益) 41.83円
年間配当 3.20円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 23.3倍 975円 2.5%
標準 0.0% 20.3倍 848円 -0.3%
悲観 1.0% 17.2倍 758円 -2.4%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 875円

目標年率 理論株価 判定
15% 430円 △ 104%割高
10% 536円 △ 63%割高
5% 677円 △ 29%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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