1. 企業概要

西松建設は、1874年創業の総合建設会社です。土木、建築を基盤とし、国際事業、アセットバリューアッド(不動産開発)、地域環境ソリューション(再生可能エネルギー等)の事業を展開しています。特にダムやトンネルなどの大規模土木工事に高い技術力と豊富な実績を持ち、準大手ゼネコンとして安定した地位を確立しています。
主力製品・サービスは、公共・民間建築物の建設(オフィスビル、商業施設、医療施設、住宅等)および道路、鉄道、空港、港湾、ダムといった社会インフラの整備です。同社の特色は、長年にわたり培われた土木技術に加え、近年では不動産開発や環境・エネルギー分野への多角化も図っている点にあります。
収益モデルは、建設工事の請負による受注生産型のフロー型ビジネスが主体です。不動産開発事業も販売によるフロー型で、B2B(法人顧客)が中心ですが、住宅・商業施設開発においてはB2C(個人・消費者)の要素も持ちます。技術的独自性は、長年の土木・建築分野での実績によって培われた高度な施工管理能力と専門技術にあり、これが同社事業の参入障壁となります。また、伊藤忠商事が大株主であり、事業連携によるシナジーも期待されます。

2. 業界ポジション

西松建設は、日本の建設業界において「準大手ゼネコン」に分類され、特にダムやトンネルといった特定分野の土木工事で高い競争力を有しています。

  • 市場動向と企業の対応状況: 建設市場は、政府建設投資と民間投資の両面で名目増加傾向にありますが、資材価格の高騰や熟練技術者の不足といった労働環境の課題に直面しています。同社は、建築事業において完成工事総利益率の改善を実現し、直近中間期では利益面で貢献しています。しかし、連結受注高が前年同期比で50.4%減と大幅に落ち込んでおり、特に国内官公庁案件と海外案件の減少が目立ちます。これは、好調だった前期の反動でもありますが、今後の市場環境の変化や競争激化への適応が課題となる可能性があります。
  • 競合に対する相対的な強み・弱み:
    • 強み: ダムやトンネル建設における長年の経験と技術力、伊藤忠商事との資本・業務提携による安定した事業基盤と潜在的なシナジー。建築事業における採算性の改善。
    • 弱み: 直近の受注高の大幅な減少は、中長期的な売上高の安定性や市場での競争力維持に関して懸念材料となります。
  • 【定量比較】業界平均との財務指標比較
    • PER(会社予想): 13.16倍 (業界平均: 14.0倍)→ 業界平均よりやや割安
    • PBR(実績): 1.31倍 (業界平均: 1.1倍)→ 業界平均よりやや割高
  • 【同一業種区分企業比較】
企業名 コード 時価総額(百万円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
西松建設 1820 245,274 13.16 1.31 10.29 3.75
ナカボーテック 1787 14,808 15.17 1.75 12.30 4.57
西松建設のPERはナカボーテックより低い水準であり、相対的な割安感があります。PBR、ROEはナカボーテックより低いものの、時価総額が大きく、事業規模が異なります。

3. 経営戦略

西松建設の経営陣は、建設市場の課題に対応しつつ、事業ポートフォリオの最適化と収益性の確保を目指しています。

  • 経営陣のビジョンと中期経営計画: 決算短信には個別の中期経営計画のKPIは限定的ですが、2026年3月期の通期連結受注目標を360,000百万円(前年実績比△16.2%)と設定しており、市場環境の変化に合わせた現実的な目標設定を行っています。
  • 重点投資分野と成長戦略:
    • 建築事業では、採算性改善による利益貢献を重視しています。
    • 国際事業では東南アジア市場の強化を掲げていますが、直近中間期では大幅な受注減となっており、今後の具体的な戦略が注目されます。
    • アセットバリューアッド事業では不動産開発を手掛けていますが、中間期の実績は低調であり、市場環境への対応が課題です。
    • 地域環境ソリューション事業(再生可能エネルギー等)は将来的な収益源として育成を図っています。
  • 最近の適時開示情報: 2026年3月期 第2四半期決算短信では、連結受注高が前年同期比50.4%減の108,773百万円と大幅に減少したことが報告されています。これは主に前期の大型官公庁工事や海外案件の集中による反動と説明されています。
  • これらが今後の業績に与える影響: 受注高の大幅減は、今後の売上高確保の面で下振れリスクとなり得ます。特に、受注から売上・利益計上までのタイムラグを考慮すると、中長期的な業績への影響が懸念されます。一方で、建築事業における利益率改善は堅調な利益を支える要因となるでしょう。

4. 財務分析

  • 【収益性】
    • 営業利益率(過去12か月): 6.66%
    • ROE(実績): 10.29%
    • ROA(過去12か月): 2.23%
      ROEはベンチマーク(10%)を上回る良好な水準ですが、ROAはベンチマーク(5%)を下回っており、総資産を効果的に活用する面で改善の余地があると言えます。営業利益率は建設業としては標準的な水準です。
  • 【財務健全性】
    • 自己資本比率(実績): 29.1%(2026年3月期中間期末: 28.7%)→ ベンチマーク(40%以上)を下回り、財務基盤の強化が課題です。
    • 流動比率(直近四半期): 127.3% → 短期的な資金繰りは100%を上回っており、一定の健全性は保たれています。
    • D/Eレシオ(直近四半期): 130.92%(有利子負債/自己資本)→ レバレッジはやや高めであり、負債比率が高い状態です。
  • 【成長性】
    • 売上高成長率(過去12か月、前年比): +5.20%
    • 利益成長率(過去12か月、前年比純利益): +73.20%
      過去の損益計算書を見ると、売上高は年度によって変動が見られますが、2025年3月期(予想)および2026年3月期(予想)では利益回復基調にあります。直近の純利益成長は著しいですが、売上成長は緩やかです。
  • 【キャッシュフロー】
    • 営業CF(2026年3月期中間期): △17,400百万円(前年同期 △26,558百万円)→ 事業活動によるキャッシュ創出が依然としてマイナスであり、運転資本の管理に課題が見られます。
    • 投資CF(2026年3月期中間期): +1,934百万円(前年同期 △13,263百万円)→ 投資有価証券の売却などによりプラスに転換しました。
    • 財務CF(2026年3月期中間期): +24,007百万円(前年同期 +40,898百万円)→ 主にコマーシャルペーパーや社債の発行により資金調達を行っています。
    • FCF(フリーキャッシュフロー、中間期): △19,334百万円 → 営業CFのマイナスにより、フリーキャッシュフローもマイナスとなっており、事業自体が生み出すキャッシュだけでは投資や返済を賄えていない状況です。
    • 営業CF/純利益比率(中間期): △2.69倍 → 1.0倍を大きく下回っており、計上されている利益に対してキャッシュが十分に裏付けられていないことを示唆します。
    • 配当カバレッジ比率(営業CF過去12か月/年間配当支払額): 15,050百万円(過去12か月営業CF) / 9,194百万円(年間配当支払額概算)= 1.64倍 → 直近年間ベースでは配当を支払った上でキャッシュが残る計算になりますが、中間期の営業CFマイナスには注意が必要です。
  • 【セグメント別分析】
    • 売上構成比と成長率(2026年3月期中間期):
      • 土木事業: 売上高 55,724百万円(構成比31.4%)、前年同期比 +10.9%
      • 建築事業: 売上高 100,046百万円(構成比56.4%)、前年同期比 +2.7%
      • 国際事業: 売上高 14,592百万円(構成比8.2%)、前年同期比 △3.2%
      • アセットバリューアッド事業: 売上高 7,643百万円(構成比4.3%)、前年同期比 △39.4%
      • 地域環境ソリューション事業: 売上高 347百万円(構成比0.2%)、前年同期比 +62.0%
    • セグメント別利益率(2026年3月期中間期):
      • 土木事業: 5.75%(利益 △17.4%)
      • 建築事業: 5.57%(利益 +150.8%)
      • 国際事業: △2.44%(損失)
      • アセットバリューアッド事業: 15.12%(利益 △71.7%)
      • 地域環境ソリューション事業: △92.79%(損失継続)
    • 成長ドライバーと課題セグメントの特定: 建築事業は売上伸長は穏やかですが、完成工事総利益率の改善により利益が大幅に増加し、主要な利益貢献セグメントとなっています。土木事業も売上は堅調ですが、高採算工事の出来高減により利益率が低下しました。国際事業と地域環境ソリューション事業は損失を計上しており、アセットバリューアッド事業は売上・利益ともに大幅減となり、これらが課題セグメントです。
  • 【四半期進捗】
    • 2026年3月期の通期予想(修正あり)に対する中間実績の進捗率は、売上高が44.3%と概ね順調です。
    • 一方で、営業利益の進捗率は37.3%、親会社株主に帰属する当期純利益の進捗率は36.7%と、売上高進捗に比べて利益の進捗が低く、下期での利益率改善が通期目標達成の鍵となります。

5. 株価分析

  • 【現在の水準】
    • PER(会社予想): 13.16倍
    • PBR(実績): 1.31倍
    • 業界平均PER (14.0倍) と比較してPERは割安感がありますが、業界平均PBR (1.1倍) と比較するとPBRはやや割高な水準です。
    • EPS(会社予想): 445.82円、BPS(実績): 4,473.28円
      • 業種平均PER基準目標株価: 6,385円
      • 業種平均PBR基準目標株価: 4,921円
        現在の株価5,869.0円は、PER基準では割安、PBR基準ではやや割高の範囲にあります。
  • 【テクニカル】
    • 52週高値5,880円、安値4,180円に対し、現在の株価5,869円は52週レンジの99.4%と年初来高値に非常に近い位置にあります。
    • 現在の株価は、5日移動平均線(5,816.80円)、25日移動平均線(5,741.28円)、75日移動平均線(5,474.05円)、200日移動平均線(5,176.10円)の全てを上回っています。これは短期から長期にかけて明確な上昇トレンドが継続していることを示唆しています。
    • 全ての移動平均線を上回っている状況は強気シグナルと解釈できます。
  • 【市場との比較】
    • 直近1ヶ月のパフォーマンスは日経平均やTOPIXを下回っていますが、3ヶ月では日経平均を上回るパフォーマンスです。
    • しかし、6ヶ月または1年で見ると、日経平均やS&P 500と比較して相対的に劣後しており、長期的な市場平均との比較では伸び悩んでいる状況です。

6. リスク評価

  • ベータ値による市場感応度: ベータ値は0.29と非常に低い水準であり、市場全体の値動きに対する感応度が低い、いわゆるディフェンシブな特性を持つ銘柄と考えられます。
  • 決算短信記載のリスク要因:
    • 受注環境の悪化(特に大規模案件の減少)
    • 建設資材価格の高騰
    • 労務需給の逼迫とそのコスト増
    • 為替変動や国際情勢の変化
    • 金利上昇による資金調達コストの変動
  • 事業特有のリスク:
    • 建設需要の変動: 景気動向や政府の公共投資政策によって、建設需要が大きく変動するリスクがあります。
    • 競争激化: 建設業界は競争が厳しく、受注競争の激化や採算性の悪化に繋がる可能性があります。
    • プロジェクトリスク: 大規模工事における工期遅延、コスト超過、品質問題、災害発生などのリスク。
    • 不動産市況の変動: アセットバリューアッド事業は不動産市況の影響を大きく受けます。
  • 52週レンジにおける現在位置: 現在株価は52週高値に極めて近い水準(99.4%)にあり、高値警戒感が意識される可能性があります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況:
    • 信用買残: 113,300株(前週比 +10,300株)
    • 信用売残: 17,600株(前週比 -100株)
    • 信用倍率: 6.44倍
      信用買残が増加傾向にあり、信用倍率も高めであるため、将来的に信用取引による売り圧力が生じる可能性を含んでいます。
  • 株主構成と大株主の動向:
    • 筆頭株主は伊藤忠商事(保有割合20.82%)であり、強力な安定株主を有しています。
    • 日本マスタートラスト信託銀行、日本カストディ銀行といった機関投資家も上位株主に入っており、比較的安定した株主構成です。
    • 自社(自己株口)が5.02%を保有しており、経営陣の持株比率は25.39%となります。これは経営の安定性を示すものと考えられます。

8. 株主還元

  • 配当利回り: 3.75%(会社予想) → 比較的高い配当利回りを提供しています。
  • 1株配当(会社予想): 220.00円
  • 配当性向: 49.5%(会社予想) → 利益の約半分を配当に回す方針であり、株主還元の意欲が高いと言えます。
  • 配当の継続性・増配傾向: 過去の配当金履歴を見ると、年間配当は220円前後で安定的に推移しています。2023年3月期に利益が落ち込んだ際も配当額が維持されており、安定配当を重視する方針がうかがえます。
  • 自社株買いの実績と方針: 決算短信には大規模な自社株買いに関する特段の記載はありません。

9. 総合評価

  • 【投資ポイント】
    • 安定的な高配当利回り(3.75%)を提供しており、配当を重視する投資家にとって魅力的です。
    • 建築事業の完成工事総利益率改善により、安定した利益貢献が期待されます。
    • ディフェンシブなベータ値と、伊藤忠商事との連携による事業安定性。
  • 【強み】
    • ダム・トンネル分野における高い技術力と確固たる実績。
    • 採算性改善が進む建築事業が収益を牽引している。
    • 安定株主(伊藤忠商事)の存在による経営基盤の安定。
  • 【弱み】
    • 直近中間期の受注高が大幅に減少しており、中長期的な売上高の確保に不透明感。
    • 自己資本比率が低い水準にあり、財務体質強化が課題。
    • 営業キャッシュフローがマイナスであり、利益の質には改善の余地がある。
  • 【機会】
    • 国内の老朽インフラ更新需要や防災・減災対策による公共投資の継続。
    • 東南アジア市場の経済成長を取り込む国際事業の再構築と拡大。
    • 不動産開発事業や再生可能エネルギー事業での新たな収益源泉の育成。
  • 【脅威】
    • 建設資材価格の高騰や人件費の上昇による原価圧迫。
    • 建設業界における競争激化と受注採算性の悪化。
    • 国内外の景気変動や金利上昇による事業環境の悪化、不動産市況の低迷。
  • 【注目すべき指標】
    • 今後の連結受注高の回復状況、特に大型官公庁・海外案件の動向。
    • 2026年3月期通期予想に対する営業利益および純利益の進捗率。
    • 自己資本比率の改善、流動比率の安定推移。
    • 営業キャッシュフローの年間でのプラス転換とフリーキャッシュフローの創出。

10. 企業スコア

  • 成長性: B
    • 2026年3月期の通期売上高予想成長率が+9.0%であり、基準値(5-10%)に合致するため「B」と評価します。
  • 収益性: A
    • ROE(実績)が10.29%であり、基準値(10-15%)に合致するため「A」と評価します。
  • 財務健全性: C
    • 自己資本比率(実績)が29.1%であり、基準値(20-30%)に合致するため「C」と評価します。
  • 株価バリュエーション: C
    • PERは業界平均の約94%で適正圏(B)ですが、PBRは業界平均の約119%でやや割高圏(C)です。双方を考慮し、全体として「C」と評価します。

企業情報

銘柄コード 1820
企業名 西松建設
URL http://www.nishimatsu.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 建設・資材 – 建設業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 5,869円
EPS(1株利益) 445.82円
年間配当 3.75円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 19.8% 15.1倍 16,627円 23.2%
標準 15.2% 13.2倍 11,906円 15.3%
悲観 9.1% 11.2倍 7,717円 5.7%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 5,869円

目標年率 理論株価 判定
15% 5,934円 ○ 1%割安
10% 7,411円 ○ 21%割安
5% 9,352円 ○ 37%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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