ナカボーテック(1787)企業分析レポート

東京証券取引所スタンダード市場に上場するナカボーテック(1787)について、個人投資家向けに企業分析を行います。

1. 企業概要

ナカボーテックは、鉄鋼構造物などの腐食を防ぐ防食・防さび専業のエンジニアリング企業です。診断調査から分析、設計、工事監理、材料供給、施工までを一貫して手掛けており、この分野で業界トップの地位を確立しています。主力事業は、港湾施設、地中埋設管、陸上構造物における防食工事や防食被覆工事、電気防食工事など多岐にわたります。
収益モデルは、主に公共インフラや民間施設からの工事請負を通じて収益を得るフロー型ビジネスですが、診断・保守サービスには継続的な需要が見込まれるストック型の要素も持ち合わせています。顧客はB2B(企業・官公庁)が中心です。長年の実績と専門的な技術力、ノウハウが参入障壁となり、業界内での優位性を築いています。近年はRC(鉄筋コンクリート)構造物の防食・補修といった新規事業分野の育成にも注力しています。

2. 業界ポジション

ナカボーテックは、防食・防さび専業エンジニアリング分野において業界トップのポジションを占めています。老朽化が進む社会インフラの維持補修需要は、中長期的に安定していると考えられますが、外部環境(資材価格の高騰、人件費上昇、為替変動など)の影響を受けやすい側面もあります。同社は、専門性の高い技術力と長年の実績を強みとし、幅広い防食技術(電気防食、塗装、ライニングなど)を提供することで、多様なニーズに対応しています。特に、診断から補修まで一貫して手掛ける体制は、顧客にとって大きなメリットです。
財務指標を業界平均と比較すると、以下のようになります。

指標 ナカボーテック 業界平均(建設・資材) 評価(対業界平均)
PER(会社予想) 15.17倍 11.3倍 割高
PBR(実績) 1.75倍 0.7倍 割高
ROE(実績) 12.30% 10.0%(ベンチマーク) 良好
営業利益率(過去12ヶ月) 6.94% データなし N/A
営業利益率(2026/3期予想) 8.81% データなし N/A

PERおよびPBRは業界平均と比較して割高な水準にあり、市場は同社の安定した収益基盤や財務健全性を評価している可能性があります。一方で、ROEはベンチマークである10%を上回っており、資本効率の良さを示しています。
同一業種区分企業との財務指標比較については、比較対象となる特定データが提供されていないため実施できません。

3. 経営戦略

ナカボーテックの経営戦略として、明示的な中期経営計画は提供されていませんが、企業概要から「RCなど新規事業育成」に重点を置いていることが示唆されます。これは、従来の鉄鋼構造物保全に加え、コンクリート構造物の劣化対策へと事業領域を広げることで、新たな成長機会を捉えようとするものです。
直近の適時開示情報である2026年3月期第2四半期決算短信では、受注高が前年同期比で増加(8,281百万円、+340百万円)し、受注残高も期首から大幅に増加(6,954百万円、+3,297百万円)しています。この受注残の積み上がりは、下期以降の売上計上に繋がり、今後の業績にプラスの影響を与える可能性があります。一方で、上半期は売上高の減少と賃金上昇による労務費増加が原因で、営業利益、経常利益、中間純利益が赤字となっています。この利益悪化を、積み上がった受注残が下期にどれだけ売上・利益に貢献できるかが今後の焦点となります。

4. 財務分析

収益性

  • 営業利益率: 過去12ヶ月では6.94%です。2025年3月期は9.89%、2026年3月期は8.81%(会社予想)と堅調な水準ですが、中間期では△2.94%の赤字を計上しており、通期目標達成には下期の回復が不可欠です。ベンチマークの営業利益率10%にはやや届きませんが、安定した高水準を維持しています。
  • ROE(自己資本利益率): 実績ROEは12.30%、過去12ヶ月では11.84%とベンチマークの10%を上回っており、株主資本を効率的に活用して利益を上げていると評価できます。
  • ROA(総資産利益率): 過去12ヶ月では7.69%とベンチマークの5%を上回っており、総資産に対する利益創出力も良好です。

財務健全性

  • 自己資本比率: 実績は71.9%であり、非常に高い水準を維持しています。これは同社の財務基盤が極めて強固であることを示しています。
  • 流動比率: 直近四半期では4.97(497%)と、ベンチマークである200%を大幅に上回っており、短期的な支払い能力に十分な余裕があります。
  • D/Eレシオ: 中間期の負債比率が約30.6%と低く、借入金が少なく、実質的な無借金経営に近い状態であり、金融費用負担も限定的です。

成長性

  • 売上高成長率: 過去の売上高推移を見ると、年間売上高は129億円から147億円のレンジで推移しており、大きな急成長は見られません。2025年3月期は+6.86%でしたが、2026年3月期の会社予想は△1.53%と減収を見込んでいます。直近四半期の売上高成長率も前年比△7.90%とマイナス成長です。
  • 利益成長率: 営業利益、経常利益、純利益も年度によって変動があり、安定的な成長トレンドというよりは、プロジェクトの受注状況やコスト変動に影響を受けやすい傾向が見られます。直近四半期の四半期利益成長率は前年比△36.80%と大きく落ち込んでいます。

キャッシュフロー

  • 営業CF: 2026年3月期第2四半期では+549百万円と前年同期の+357百万円から増加しており、本業で着実にキャッシュを生み出していることを示します。過去12ヶ月でも883百万円のプラスです。
  • 投資CF: 第2四半期では△98百万円と主に有形固定資産の取得に充てられており、堅実な投資活動を行っています。
  • 財務CF: 第2四半期では△737百万円と、主に配当金の支払いに充てられています。
  • FCF(フリーキャッシュフロー): 第2四半期は営業CF 549百万円 – 投資CF 98百万円 = +451百万円とプラスであり、事業活動で得たキャッシュが十分に内部留保や株主還元に回せる余裕があることを示しています。過去12ヶ月では913.63百万円とこちらもプラスです。
  • 営業CF/純利益比率: 過去12ヶ月では883百万円 / 931百万円 = 0.95と、1.0にはわずかに届かないものの、利益の多くがキャッシュフローで裏付けられており、利益の質は比較的良好と評価できます。中間期は純損失のためマイナスになりますが、営業CFはプラスを維持しています。
  • 配当カバレッジ比率: 過去12ヶ月の営業CF 883百万円に対し、2026年3月期の年間配当支払総額予想は約676.65百万円(260円/株 × 2,602,500株 – 自己株式調整が必要だが簡便計算)となり、約1.30倍と配当支払能力も十分にあると考えられます。

セグメント別分析(2026年3月期 第2四半期)

  • 売上構成比: 2025年3月期のデータによると、港湾事業が63%と最大の売上構成比を占めています。
  • 売上成長率:
    • 港湾事業: 2,847百万円 (前年同期比 △16.6%)
    • 地中事業: 926百万円 (前年同期比 +13.3%)
    • 陸上事業: 447百万円 (前年同期比 +8.5%)
    • その他事業: 762百万円 (前年同期比 +35.4%)
  • 港湾事業の売上減少が上半期全体の減収に大きく影響しています。一方で、地中、陸上、その他事業は堅調に成長しており、これらのセグメントが今後の成長ドライバーとなる可能性があります。セグメント別の利益率に関する情報は提供されていません。

四半期進捗(2026年3月期 第2四半期)

  • 通期予想に対する進捗率:
    • 売上高: 4,984百万円 / 14,500百万円 = 34.4%
    • 営業利益: △146百万円 / 1,278百万円 = -11.5% (赤字)
    • 純利益: △86.9百万円 / 923百万円 = -9.4% (赤字)
  • 会社は売上高が第3・第4四半期に偏る事業特性があるため、単純な進捗率での評価は難しいと説明しています。しかし、上半期で営業利益および純利益が赤字となったことは、過年度と比較しても低調な進捗であり、下期での大幅な業績回復が通期目標達成には不可欠です。賃金相場上昇による労務費増加が利益を圧迫しており、下期のコスト管理が重要となります。

5. 株価分析

現在の水準

  • PER(会社予想): 15.17倍。業界平均PERが11.3倍であると比較すると、約1.34倍と割高な水準にあります。
  • PBR(実績): 1.75倍。業界平均PBRが0.7倍であると比較すると、約2.5倍と大幅に割高な水準にあります。
  • EPS/BPSベースの理論株価レンジ:
    • 業界平均PER基準(EPS 375.09円 × 業界平均PER 11.3倍): 約4,239円
    • 業界平均PBR基準(BPS 3,254.80円 × 業界平均PBR 0.7倍): 約2,278円
    • 現在の株価5,690円は、これらの理論株価を大きく上回っています。

テクニカル

  • 52週高値・安値との位置関係: 現在株価5,690円は、52週高値6,350円と安値4,710円の中間よりやや高い位置(59.8%)にあります。
  • 移動平均線との位置関係: 現在株価は、5日移動平均線(5,646円)、25日移動平均線(5,546.4円)、75日移動平均線(5,355.73円)、200日移動平均線(5,263.43円)の全てを上回っており、短期から長期にわたって株価は上昇トレンドにあることを示唆しています。
  • トレンドシグナル: 全ての移動平均線を上回る状況は、株価が比較的強い地合いにあることを示しますが、具体的なゴールデンクロス/デッドクロスのシグナルは提供データにはありません。

市場との比較

  • 日経平均比パフォーマンス:
    • 1ヶ月リターン: 日経平均を+1.15%ポイント上回る
    • 3ヶ月リターン: 日経平均を△0.97%ポイント下回る
    • 6ヶ月リターン: 日経平均を△24.98%ポイント下回る
    • 1年リターン: 日経平均を△16.93%ポイント下回る
  • 短期では日経平均をアウトパフォームしていますが、中長期(3ヶ月、6ヶ月、1年)では大きくアンダーパフォームしており、市場全体の上昇の恩恵を十分に受けていない状況です。

6. リスク評価

  • ベータ値: 0.35と低く、市場全体の変動に対する感応度が低いことを示しています。これは市場が変動しやすい局面において、比較的株価が安定しやすい特性を持つ一方で、市場全体が大きく上昇する局面では、市場平均に比べて株価上昇が緩やかになる傾向があることを意味します。
  • 決算短信記載のリスク要因:
    • ロシア・ウクライナ情勢、円安に伴う資材価格やエネルギー価格の変動
    • 賃金上昇による労務費の増加
    • 工事進捗の遅延または計画からの変更
    • 受注環境の変化や競争激化
    • 為替変動(海外事業比率は低いが影響を受ける可能性もある)
    • 金利上昇による資金調達コストの増加(現時点では借入が少ないため影響は限定的)
  • 事業特有のリスク:
    • 老朽化インフラの需要は安定しているものの、公共事業予算の変動や民間設備投資の動向に左右される可能性があります。
    • 新しい防食技術の登場や既存技術の陳腐化リスク。
    • 環境規制の強化が工事コスト増につながる可能性。
    • 建設業界全体の人手不足や熟練技術者の不足。
  • 52週レンジにおける現在位置: 59.8%と中央よりやや高めの水準にあり、安値圏ではありませんが、過去1年の高値からはまだ距離があります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況: 信用買残が6,900株あるものの、信用売残が0株のため、信用倍率は0.00倍と表示されています。これは踏み上げリスクがない一方、将来的な買い圧力も限定的であることを示します。信用取引の出来高が少ないため、特定の動向が株価に与える影響は小さい可能性があります。
  • 株主構成と大株主の動向: 三井金属鉱業が30.01%を保有する筆頭株主であり、自社取引先持株会、(株)麻生などが主要株主です。安定株主の比率が高く、市場での流通株数が比較的少ない「浮動株比率」は、少数株主の売買が株価に影響を与えやすい可能性を秘めています。
  • 経営陣の持株比率と安定株主の状況: 53.76%がインサイダー(役員等)によって保有されており、経営陣が会社の長期的な成長にコミットしている姿勢が伺えます。これは株価の安定要因となり得ます。

8. 株主還元

  • 配当利回り: 会社予想に基づくと4.57%と非常に高い水準です。これはインフラサービスという事業の安定性を背景とした高配当戦略を示唆しています。
  • 配当性向: 会社予想に基づくと70.5%です。これは利益の大部分を配当として株主に還元する方針を示しており、高い還元意識があると言えます。しかし、利益水準が変動すると配当維持が難しくなるリスクも内包しています。
  • 配当の継続性・増配傾向: 2026年3月期の年間配当予想は260円(前期実績300円から減配)です。過去の配当金履歴を見ると、年間配当は変動があり、一貫した増配傾向ではありませんが、配当自体は継続されています。
  • 自社株買いの実績と方針: 直近の第2四半期決算短信では、中間期間における自社株買いの支出はありませんでした。特段の方針に関する記載もありません。

9. 総合評価

【投資ポイント】

  • 強固な財務基盤とキャッシュ創出力: 自己資本比率71.9%、流動比率497%と極めて健全な財務状況を有し、営業キャッシュフローも安定的にプラスを維持しています。
  • 高水準の株主還元: 予想配当利回り4.57%、配当性向70.5%と、高い株主還元意識を持っており、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的です。
  • 業界トップの安定した事業基盤と受注残の積み上げ: 防食工事業界のトップシェアを誇り、老朽化が進む社会インフラの維持補修需要を背景に、安定的な受注が見込まれます。直近で受注残高が大幅に増加している点は下期以降の業績押し上げに期待が持てます。

【強み】

  • 防食・防さび専業エンジニアリングで業界トップの地位
  • 極めて高い自己資本比率と潤沢な流動性を持つ強固な財務体質
  • 診断から施工まで一貫して提供できる専門技術とノウハウ
  • 収益性と資産活用の効率性(ROE、ROA)がベンチマークを上回る

【弱み】

  • 売上高および利益の成長性が低調、特に直近四半期は赤字計上
  • 公共投資やインフラメンテナンス需要に依存し、市場環境の影響を受けやすい
  • 人件費や資材価格の高騰が利益率を圧迫するリスク
  • PER/PBRが業界平均と比較して割高なバリュエーション水準

【機会】

  • 老朽化する社会インフラの補修・更新需要の継続的な拡大
  • RC(鉄筋コンクリート)構造物など新規事業分野の育成による新たな収益源の確立
  • 高水準の財務健全性を活かした事業投資やM&A戦略の可能性

【脅威】

  • 外部環境(世界経済、為替、資源価格)の変動によるコスト上昇圧力
  • 競争激化による受注価格の低下や利益率の悪化
  • 建設業界全体の人手不足や技術者不足
  • 気候変動による災害増加が事業活動に与える影響

【注目すべき指標】

  • 2026年3月期通期計画に対する下半期の売上高および営業利益の進捗率(特に営業利益は赤字からの回復が必須)
  • 新規事業であるRC防食事業の具体的な進捗と貢献度
  • 労務費を含めた原価管理の状況と価格転嫁能力
  • 安定的な配当維持のための収益性改善

10. 企業スコア

  • 成長性: D (2026年3月期売上高成長率予想△1.53%)
  • 収益性: A (ROE 12.30%は10-15%の範囲)
  • 財務健全性: S (自己資本比率71.9%かつ流動比率497%は60%以上かつ200%以上)
  • 株価バリュエーション: D (PER 1.34倍、PBR 2.5倍と業界平均の130%以上)

企業情報

銘柄コード 1787
企業名 ナカボーテック
URL http://www.nakabohtec.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 建設・資材 – 建設業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 5,690円
EPS(1株利益) 375.09円
年間配当 4.57円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 3.3% 16.8倍 7,404円 5.5%
標準 2.5% 14.6倍 6,204円 1.8%
悲観 1.5% 12.4倍 5,017円 -2.4%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 5,690円

目標年率 理論株価 判定
15% 3,097円 △ 84%割高
10% 3,868円 △ 47%割高
5% 4,880円 △ 17%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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