1. 企業概要

株式会社エーアイは、音声合成エンジン「AITalk」の開発・販売を主力事業とするテクノロジー企業です。音声合成技術を基盤とした法人向け製品(ライセンス、受託、クラウド)およびサービスを中核に事業を展開しています。近年はデジタルマーケティング向けCRM製品や、M&Aによりライバーマネジメント事業も手掛けています。

  • 主力製品・サービスの特徴
    • 音声合成エンジン「AITalk」: 高品質な日本語音声合成技術を提供し、多様な言語種類と感情表現に対応しています。法人顧客を中心に、コールセンター、防災、オーディオブックなど幅広い分野で導入実績があります。
    • CRM製品(Visionary/Visionary Cloud): デジタルマーケティングの顧客管理システムを提供。
    • ライバーマネジメント事業: ライブ配信者の育成・マネジメントを手掛け、コンシューマーIP領域への展開を強化しています。
  • 収益モデル
    • 主に法人向けのライセンス販売、受託開発、クラウドサービス提供によるストック型およびフロー型の収益モデルです。音声事業、CRM事業がB2B主体ですが、ライバーマネジメント事業はB2C要素を持ちます。コンシューマー向け製品の販売も行っています。
  • 技術的独自性や参入障壁
    • 長年の研究開発で培われた独自の音声合成技術が強みです。自然な発話と多様な感情表現を実現する技術力は、高度な専門知識とデータ蓄積が必要であり、新規参入障障壁となっています。また、M&Aにより新たな事業領域へ進出することで、事業ポートフォリオの多様化を進めています。

2. 業界ポジション

  • 業界内での推定市場シェアまたはポジション
    • 音声合成市場における具体的な市場シェアのデータは提供されていませんが、同社は日本語音声合成技術の領域で高い知名度と実績を持つ専門企業として確立された地位を築いています。
  • 市場動向と企業の対応状況
    • クラウドサービスへの移行、生成AI技術の需要拡大、サイバー攻撃の高度化に伴うセキュリティ要求の高まり、IT人材の不足などが市場の主な動向です。同社は主力製品「AITalk」に最新版「AITalk6」を搭載したクラウドサービスやWebAPIの提供を開始し、生成AI需要への対応を進めています。また、M&Aにより新事業(ライバーマネジメント)を取り込み、事業領域の拡大を図っています。
  • 競合に対する相対的な強み・弱み
    • 強み: 日本語に特化した高品質な音声合成技術と長年の導入実績。多様な感情表現や言語への対応力。特定のニッチ市場における高い専門性。M&Aによる新規事業展開力。
    • 弱み: CRM事業の採算性が課題となっている点。大手ITベンダーとのブランド力や資本力の差。音声合成技術以外の事業の収益基盤の確立。
  • 【定量比較】業界平均との財務指標比較
    • 提供された「情報・通信業」の業界平均と比較します。
    • PER(会社予想): 29.40倍 (業界平均: 17.6倍) → 業界平均の約167%で割高水準。
    • PBR(実績): 1.26倍 (業界平均: 1.6倍) → 業界平均の約79%で割安水準。
    • ROE(実績): -0.64% (日経経営指標2024/3実績: 8.75%) → 業界平均(参考データでは同業他社は9.51%〜21.05%)と比較して大幅に低い、または赤字。
    • 営業利益率(過去12か月): 1.46% (日経経営指標2025/3連: 7.34%) → 業界平均と比較して低い水準です。直近中間期は赤字。
  • 【同一業種区分企業比較】同一業種区分企業との財務指標比較
    • 提供された同一業種区分企業との比較は以下の通りです。
企業名 コード PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 営業利益率(%) (参考: 過去12か月)
エーアイ 4388 29.40 1.26 -0.64 1.46
Sapeet 269A 41.24 6.79 21.05 データなし
クレオ 9698 13.18 1.35 9.51 データなし
セレス 3696 6.68 1.70 14.56 データなし
東映アニメーション 4816 29.84 3.61 16.58 データなし
- PERは同業他社の中でも中〜高水準ですが、PBRは相対的に低い水準です。ROEおよび営業利益率は、直近の数値では同業他社と比較して大幅に低い、または赤字となっています。

3. 経営戦略

  • 経営陣のビジョンと中期経営計画
    • 経営陣は音声技術を核としつつ、M&Aを通じてコンシューマーIP領域への展開を強化し、事業の横展開と成長を目指すビジョンを掲げています。中期経営計画の具体的な数値目標は本資料には詳細に記載されていませんが、積極的な事業再編と成長投資の姿勢がうかがえます。
  • 重点投資分野と成長戦略
    • M&Aによる事業領域の拡大: 株式会社Lapis Liveの子会社化によりライバーマネジメント事業へ参入し、コンシューマー向けIPビジネスを強化しています。また、ATR-Trekの吸収合併も実施しています。
    • 技術開発とクラウドサービス強化: AI音声エンジン「AITalk6」を搭載したクラウドサービスやWebAPIの提供を開始し、生成AI需要に対応しています。
    • 既存事業の強化: CRM事業の機能拡充を進め、採算性改善を目指しています。
  • 最近の適時開示情報
    • 2025年4月1日付で株式会社Lapis Liveを連結子会社化。
    • 2025年9月1日付で株式会社ATR-Trekを吸収合併。
    • 当中間期(2025年4月1日~2025年9月30日)に自己株式取得(431,400株、160,434千円)を実施しました。
  • これらが今後の業績に与える影響
    • M&Aによる連結子会社の増加や事業統合は、売上高の拡大に寄与する一方で、のれんの発生(136,933千円)とその償却(中間で40,518千円計上)が費用の増加につながります。CRM事業の採算改善は全社的な営業利益の回復に不可欠です。自己株式取得は1株当たり利益の向上に貢献する可能性があります。

4. 財務分析

  • 【収益性】
    • 営業利益率: 過去12か月で1.46%と低水準です。2026年3月期第2四半期(中間期)の実績では△4.65%の営業損失を計上しており、収益性は悪化しています。
    • ROE(実績): -0.64%(2025年3月期連結はデータなし、2024年3月期連結は8.75%)ですが、直近の中間期では0.32%と非常に低いです。ベンチマークの10%には遠く及んでいません。
    • ROA(実績): 直近の中間期で0.28%と低いです。ベンチマークの5%には及んでいません。
    • 収益性は足元で課題を抱えています。
  • 【財務健全性】
    • 自己資本比率: 実績で79.7%、中間期末で88.0%と非常に高く、極めて健全な財務基盤を築いています。
    • 流動比率: 直近四半期で5.96倍、中間期末で782%と非常に高く、短期的な支払能力に優れています。
    • D/Eレシオ: 直近四半期で5.12%と非常に低く、有利子負債への依存度が低いことを示しています。
    • 財務健全性は非常に高い評価が得られます。
  • 【成長性】
    • 売上高成長率: 2025年3月期連結売上高が1,486百万円(2024年3月期単独734百万円から大幅増)とM&Aを主因に急成長しています。2026年3月期連結予想売上高は1,800百万円で、前年比+21.1%と高い成長が期待されています。
    • 利益成長率: 2025年3月期連結最終利益は△15百万円と赤字でしたが、2026年3月期連結予想最終利益は95百万円と黒字転換を見込んでいます。ただし、中間期は営業赤字であり、通期目標達成には今後の改善が必要です。
  • 【キャッシュフロー】
    • 営業CF(中間期): △15,691千円(資金流出)。本業でのキャッシュ創出力が低下しており、課題があります。
    • 投資CF(中間期): +112,021千円(投資有価証券売却収入50,095千円、連結範囲変更を伴う子会社株式の取得による収入64,132千円など)。資産売却等によりプラスとなっています。
    • 財務CF(中間期): △333,989千円(自己株式取得による支出160,434千円、非支配株主への配当金支払125,800千円、子会社株式取得支出30,940千円など)。自己株式取得や非支配株主への配当により資金が流出しています。
    • FCF(フリーキャッシュフロー): 営業CF(△15,691千円) – 投資CF(+112,021千円)= △127,712千円。営業CFがマイナスであるため、フリーキャッシュフローはマイナスであり、事業運営に必要な資金を外部調達に頼っている状況を示唆しています。
    • 営業CF/純利益比率: 営業CF(△15,691千円) / 親会社株主に帰属する中間純利益(6,904千円) = △2.27。1.0以上が健全とされる目安に対して大きく下回っており、利益の質に懸念があります。
    • 配当カバレッジ比率: 配当支払いがないためデータなし。
  • 【セグメント別分析】
    • 音声事業: 売上高507,938千円(売上構成比約62.7%)、セグメント営業利益32,695千円。同社の主要な収益ドライバーであり、健全な利益を創出しています。クラウドサービスやWebAPIの導入が成長を牽引しています。
    • CRM事業: 売上高253,967千円(約31.3%)、セグメント営業損失△25,366千円。売上規模は大きいものの、採算性が課題となっています。
    • ライバーマネジメント事業: 売上高37,258千円(約4.6%)、セグメント営業利益644千円。M&Aにより新設されたセグメントであり、今後の成長が期待されます。
    • その他事業: 売上高11,300千円(約1.4%)、セグメント営業損失△18,298千円。デジタル教材関連の受託開発が主で、こちらも採算性に課題があります。
  • 【四半期進捗】
    • 2026年3月期通期予想に対する中間期(第2四半期)の進捗率は以下の通りです。
    • 売上高: 810百万円 / 1,800百万円 = 45.0%。通期の約半分を達成しており、順調な進捗に見えます。
    • 営業利益: △37.7百万円 / 90百万円 = (事実上未達)。中間期で赤字となっており、通期予想に対して大きく下振れしています。特別利益がなければ純利益も赤字でした。
    • 親会社株主に帰属する中間純利益: 6.9百万円 / 95百万円 = 7.3%。特別利益によって小幅黒字となりましたが、通期予想に対して進捗は大幅に遅れています。
    • この進捗状況は、営業利益面で会社予想からの大幅な乖離を示しており、通期見通し達成には、下半期の大幅な収益改善が必要となります。会社も直近の業績予想に修正ありと表明しています。

5. 株価分析

  • 【現在の水準】
    • PER(会社予想): 29.40倍。業界平均PER17.6倍と比較すると割高な水準にあります。
    • PBR(実績): 1.26倍。業界平均PBR1.6倍と比較すると割安な水準にあります。
    • EPS(会社予想): 14.93円。
    • BPS(実績): 348.46円。
    • PBR基準での目標株価は558円ですが、PERは業界平均を大幅に上回っており、株価の割高感が意識される可能性があります。
  • 【テクニカル】
    • 52週高値・安値との位置関係: 52週高値566.00円、52週安値381.00円に対し、現在株価439.00円はレンジの約31.4%の位置(安値寄り)にあります。
    • 移動平均線との位置関係:
    • 現在株価439.00円は、5日移動平均線(425.60円)と25日移動平均線(422.68円)を上回っています。
    • 一方、75日移動平均線(465.32円)と200日移動平均線(468.73円)は下回っています。
    • トレンドシグナル: 短期的には株価が移動平均線を上回る動きを見せていますが、中長期の移動平均線は上値抵抗として機能しており、全体としては下落トレンドが継続していると見られます。明確なゴールデンクロスは確認できません。
  • 【市場との比較】
    • 日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンスは、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年のいずれの期間においても市場指数を下回っています。特に6ヶ月、1年では日経平均やTOPIXが大幅に上昇しているのに対し、エーアイの株価は下落しており、相対的にパフォーマンスが弱い状況が続いています。

6. リスク評価

  • ベータ値による市場感応度
    • ベータ値は0.38(5年月次)と低く、市場全体の動きに対する株価の変動感応度は低い傾向にあります。これは市場全体が大きく変動しても、同社株は比較的安定しやすい性質があることを示唆しています。
  • 決算短信記載のリスク要因
    • 為替変動(円安)や物価上昇によるコスト増。
    • 米国の新関税枠組みを含む国際的な貿易政策の変更。
    • 生成AI・クラウド分野での競争激化、及びこれに伴うセキュリティリスクやIT人材不足。
    • 買収した事業(Lapis Live、ATR-Trek)の統合遅延や期待されたシナジー効果が発現しないリスク(のれん償却費の発生)。
  • 事業特有のリスク
    • 技術陳腐化リスク: AI技術の進化は速く、音声合成技術も常に最新のトレンドに対応する必要があります。競合他社の技術革新により、同社技術の優位性が失われるリスクがあります。
    • CRM事業の採算性悪化: 主要事業の一つであるCRM事業が赤字であるため、その改善が見込めない場合、全社の収益を圧迫するリスクがあります。
    • M&A関連リスク: 新規事業への参入は成長機会をもたらす一方、事業統合の難しさ、事業計画の未達、のれんの減損リスクなどを伴います。
  • 52週レンジにおける現在位置
    • 現在株価は52週レンジの31.4%(安値寄り)に位置しており、下値は比較的近いものの、上値への回復には明確な好材料が必要です。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況
    • 信用買残は303,400株と信用売残11,600株を大幅に上回っており、信用倍率は26.16倍です。これは、株価が上昇した場合に利益確定売りが出やすい状況にあることを示唆しています。
  • 株主構成と大株主の動向
    • 筆頭株主は代表取締役の廣飯伸一氏(12.56%保有)であり、自社(自己株口)も11.3%を保有しています。経営陣がかなりの株式を保有していることから、経営の安定性が高いと考えられます。
    • SBI証券や楽天証券が名を連ねていますが、機関投資家の保有比率は2.93%と低く、個人投資家の動向が株価に与える影響が大きい可能性があります。
  • 経営陣の持株比率と安定株主の状況
    • 経営陣の持株比率は高く、安定株主としての役割を果たしていると考えられます。これにより短期的な株価変動に一喜一憂せず、中長期的な経営戦略に注力しやすい環境にあると見られます。

8. 株主還元

  • 配当利回りと配当性向
    • 会社予想の配当利回りは—であり、過去12ヶ月の実績でも0.00%です。配当性向も0.00%(会社予想)と、現状では配当を実施していません。
  • 配当の継続性・増配傾向
    • 過去数年間のデータを見ても、2022年3月期までは配当を実施していたものの、それ以降は無配が続いており、配当の継続性や増配傾向は確認できません。
  • 自社株買いの実績と方針
    • 当中間期に431,400株(取得金額160,434千円)の自己株式取得を実施しました。これは、株主還元策の一つとして評価できます。今後も機動的な自己株式取得を通じて、資本効率の向上や株主への利益還元を行う可能性があります。

9. 総合評価

  • 【投資ポイント】
    • 高品質な音声合成技術「AITalk」を中核とし、生成AI需要への対応も進めている点。
    • M&Aによりライバーマネジメント等の新規事業を取り込み、成長領域へ積極的に投資している点。
    • 自己資本比率が高く、極めて健全な財務体質である点。
  • 【強み】
    • 独自の日本語音声合成技術と高い市場認知度、導入実績。
    • 安定した財務基盤と豊富な手元流動性。
    • M&Aによる事業ポートフォリオ拡大と新たな成長機会の創出。
  • 【弱み】
    • 直近の中間決算で営業利益が赤字となり、通期業績予想達成に課題がある点。
    • 営業キャッシュフローがマイナスであり、利益の質に懸念がある点。
    • CRM事業およびその他事業の採算性が低い点。
  • 【機会】
    • 生成AI技術の普及による音声関連サービス需要のさらなる拡大。
    • M&Aによる事業統合が成功した場合のシナジー効果と新市場での成長。
    • B2C領域(ライバーマネジメント)への展開による収益源の多角化。
  • 【脅威】
    • 競合他社の技術革新や大手IT企業の参入による競争激化。
    • 為替変動、物価高騰、人材不足など外部環境の変化によるコスト増加。
    • M&Aで発生したのれんの減損リスクや事業統合の失敗。
  • 【注目すべき指標】
    • CRM事業のセグメント営業利益率の改善状況。
    • 営業キャッシュフローの黒字転換と持続的改善。
    • 通期業績予想(特に営業利益90百万円)の達成状況とその要因。

10. 企業スコア

  • 成長性: S
    • (売上成長率 2026/3連予想 +21.1% は 15%以上であるため)
  • 収益性: D
    • (直近ROE -0.64%、過去12ヶ月営業利益率1.46%。ROE 5%未満かつ営業利益率 3%未満のため)
  • 財務健全性: S
    • (自己資本比率 79.7%〜88.0%は60%以上、流動比率 5.96倍〜782%は200%以上のため)
  • 株価バリュエーション: D
    • (PER 29.40倍は業界平均PER 17.6倍の約167%であり、業界平均の130%以上であるため)

企業情報

銘柄コード 4388
企業名 エーアイ
URL http://www.ai-j.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 439円
EPS(1株利益) 14.93円
年間配当 0.00円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 22.6% 31.8倍 1,315円 24.5%
標準 17.4% 27.6倍 920円 16.0%
悲観 10.4% 23.5倍 576円 5.6%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 439円

目標年率 理論株価 判定
15% 457円 ○ 4%割安
10% 571円 ○ 23%割安
5% 721円 ○ 39%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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