以下は、株式会社タクミナ(証券コード: 6322)に関する企業分析レポートです。
1. 企業概要
株式会社タクミナは、高性能な液体精密送液ポンプ(定量ポンプ)の製造・販売を国内外で展開しています。主力のスムーズフローポンプは、電池・素材産業向けの精密塗工用や、環境装置メーカー向けの薬液注入、水処理・塩素殺菌用など、幅広い産業で利用されています。高精度なポンプ技術を基盤とし、化学・バイオケミカル、医薬品、食品、水処理など多岐にわたる分野に製品を提供しています。
タクミナの収益モデルは、主に産業用設備へのポンプおよび関連機器の販売によるフロー型ビジネスが中心ですが、メンテナンスサービスも提供しており、一部ストック型収益の側面も持ち合わせています。顧客はB2Bが主軸です。同社の技術的独自性は、高精密な定量送液を可能にするスムーズフロー技術にあり、特に高い信頼性と耐久性が求められる特殊な液体の正確な供給において、強固な参入障壁を築いています。
2. 業界ポジション
タクミナは定量ポンプ市場において、大手企業としてのポジションを確立しています。決算短信によると、国内のケミカル業界向け設備投資が底堅く推移する中で、高性能ソリューションポンプや汎用型薬液注入ポンプが堅調に推移しています。しかし、海外市場、特に韓国の二次電池関連やEV需要の減速による設備投資の鈍化が、同社の海外売上および受注に影響を与えている状況です。
競合に対する相対的な強みとしては、高耐食性や高付加価値ポンプといった製品ミックスによる差別化が挙げられます。高度な液送ニーズに対応できる技術力が高く評価されています。一方で、海外市場での事業展開においては、特定産業(例:二次電池)の景気変動に左右される点が弱みとして認識されます。
【定量比較】
| 指標 | タクミナ(会社予想/実績) | 業界平均(機械) | 評価 |
|---|---|---|---|
| PER(連) | 9.08倍 | 10.7倍 | 割安 |
| PBR(連) | 1.03倍 | 0.7倍 | 割高 |
| ROE(実績) | 11.98% | データなし | 優良(10%超) |
| 営業利益率(過去12か月) | 15.07% | データなし | 高い |
日経経営指標によると、同社のROEは11.98%、営業利益率は14.42%(2025/3連)と、収益性が高い水準にあります。ただし、PBRは業界平均よりも割高な水準であるため、純資産価値から見ると割高感があります。
【同一業種区分企業比較】データなし
3. 経営戦略
経営陣のビジョンや中期経営計画の具体的な数値目標は決算短信に記載されていませんが、スムーズフローテクノロジーを活用した新用途やシステム化ニーズへの対応を重点投資分野としています。研究開発や販売促進、R&D投資に力を入れていることが、販管費の増加要因として挙げられています。
最近の適時開示情報(2026年3月期 第2四半期決算短信)によると、国内のケミカル業界向け設備投資は底堅く、ケミカル移送ポンプや流体機器の大型案件納入が業績に寄与しました。しかし、海外(特に二次電池関連)での受注・販売が低迷し、受注高および受注残高が大幅に減少しています。これらの動向は、国内事業の堅調さで一定程度カバーされているものの、下期の海外事業の回復がなければ、通期業績への影響は避けられない可能性があります。会社は通期予想を据え置いていますが、海外需要の回復が鍵となります。
4. 財務分析
【収益性】
- 営業利益率(過去12か月): 15.07% (高水準、ベンチマーク5%を大きく上回る)
- ROE(実績): 11.98% (優良、ベンチマーク10%を上回る)
- ROA(過去12か月): 6.93% (良好、ベンチマーク5%を上回る)
高水準の収益性を維持しており、効率的な資産活用が伺えます。
【財務健全性】
- 自己資本比率(実績): 69.9% (非常に健全、ベンチマーク40%を大きく上回る)
- 流動比率(直近四半期): 3.66倍 (366%) (非常に健全、ベンチマーク150%を大きく上回る)
- D/Eレシオ(直近四半期): 3.59% (非常に低い、負債依存度が低い健全な財務体質)
総じて、非常に高い財務健全性を誇ります。有利子負債は少なく、ネットキャッシュは潤沢です。
【成長性】
| 決算期 | 売上高(百万円) | 増収率 | 営業利益(百万円) | 増益率 |
|---|---|---|---|---|
| 2022/3連 | 8,676 | – | 1,217 | – |
| 2023/3連 | 9,744 | +12.3% | 1,458 | +19.8% |
| 2024/3連 | 11,015 | +13.0% | 1,582 | +8.5% |
| 2025/3連 | 11,119 | +0.9% | 1,603 | +1.3% |
| 過去12か月 | 11,459 | +4.0% | 1,629 | +2.9% |
売上高、利益ともに着実に成長傾向にありましたが、2025年3月期の実績と過去12ヶ月の成長率は鈍化傾向にあります。
直近四半期の売上高成長率(前年比)は7.10%です。
【キャッシュフロー】
- 営業活動によるキャッシュフロー (過去12か月): 955百万円
- 投資活動によるキャッシュフロー: 明細開示なし。ただし、固定資産は当中間期に119百万円増加しており、積極的な投資が行われている可能性があります。
- 財務活動によるキャッシュフロー: 短期借入金や長期借入金の動きは限定的であり、現金を豊富に保有しているため、大きな外部資金調達は不要な状況です。
- フリーキャッシュフロー (過去12か月): 112.88百万円
- 営業CF/純利益比率: 0.78 (1.0未満であるため、利益の質は改善の余地があるものの、大部分はキャッシュに裏付けられています)
- 配当カバレッジ比率: 2.47倍 (営業CFで配当支払いを十分にカバーできています)
現金及び預金残高は3,383百万円と潤沢です。
【セグメント別分析】
タクミナはポンプ事業の単一セグメントですが、品目別では以下の状況です(2026年3月期 第2四半期中間期)。
- 高性能ソリューションポンプ: 売上構成比 35.3% (前年同期比 △0.4%) – 主力製品だが微減。
- 汎用型薬液注入ポンプ: 売上構成比 26.3% (前年同期比 +1.2%) – 堅調に推移。
- ケミカル移送ポンプ: 売上構成比 9.6% (前年同期比 +54.9%) – 大型案件により大幅な成長ドライバー。
- 計測機器・装置: 売上構成比 12.5% (前年同期比 +1.8%) – 堅調。
- 流体機器: 売上構成比 6.0% (前年同期比 +67.4%) – 大きな成長貢献。
成長ドライバーは、ケミカル移送ポンプと流体機器です。一方で、高性能ソリューションポンプはわずかに減少しており、海外での二次電池関連需要の低迷が課題セグメントに影響している可能性があります。海外売上高は前年同期比13.4%減の686百万円に落ち込んでいます。
【四半期進捗】
2026年3月期 第2四半期(中間期)の通期予想に対する進捗率は以下の通りです。
- 売上高: 48.8%
- 営業利益: 48.5%
- 親会社株主に帰属する中間純利益: 47.0%
これらの進捗率は、通期予想に対して概ね通常の進捗ペースです。しかし、受注残高が大幅に減少(前年同期比△41.2%)しており、特に海外受注残が大きく減少しているため、下期の業績に下押し圧力となるリスクがあります。
5. 株価分析
【現在の水準】
- PER(会社予想): 9.08倍 (業界平均10.7倍と比較して割安)
- PBR(実績): 1.03倍 (業界平均0.7倍と比較して割高)
- EPS(会社予想): 177.68円、BPS(実績): 1,563.58円
- 理論株価レンジ: 業種平均PER基準で1,882円、業種平均PBR基準で1,095円。PERからは割安、PBRからは割高と判断されるため、バリュエーションの判断が分かれる水準にあります。
【テクニカル】
- 52週高値: 1,728円、安値: 1,500円。現在の株価1,614.0円は52週レンジの中央付近(50.0%)に位置しています。
- 移動平均線との位置関係:
- 5日移動平均線: 1,609.40円 (現在株価はこれを上回り+0.29%)
- 25日移動平均線: 1,587.16円 (現在株価はこれを上回り+1.69%)
- 75日移動平均線: 1,582.99円 (現在株価はこれを上回り+1.96%)
- 200日移動平均線: 1,584.64円 (現在株価はこれを上回り+1.85%)
短・中期の移動平均線を全て上回っており、直近では上昇トレンドを示唆しています。ただし、ゴールデンクロスやデッドクロスといった明確なトレンドシグナルは現在のデータからは判断できません。
【市場との比較】
- 日経平均比:
- 1ヶ月リターン: +0.45%ポイント上回る
- 3ヶ月リターン: -6.82%ポイント下回る
- 6ヶ月リターン: -27.09%ポイント下回る
- 1年リターン: -39.22%ポイント下回る
- TOPIX比:
- 1ヶ月リターン: -0.70%ポイント下回る
タクミナの株価は直近1ヶ月では日経平均を上回るパフォーマンスを見せましたが、中期・長期では市場平均に比べて大きく下回っています。
6. リスク評価
- ベータ値(5Y Monthly): 0.23 (市場感応度が非常に低く、市場全体の変動からの影響を受けにくい株価特性を示します)
- 決算短信記載のリスク要因:
- 海外(特にEV/二次電池)需要の低迷: 受注高・受注残高の大幅減少に直結しており、今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。
- 原材料価格・物流コストの変動: 利益率に影響を与える可能性があります。
- 為替レートの変動: 海外売上比率が比較的小さい(中間期で686百万円)ものの、リスク要因となり得ます。
- 受注回復の遅延: 受注残高の減少は、将来の売上減少に繋がる可能性があります。
- 事業特有のリスク: 高精度ポンプというニッチな分野における技術革新の遅れや、競合の技術追随による技術的優位性の低下リスク。特定産業(例:半導体、電池、EV)への依存度が高まることによる、それら産業の景気サイクル変動リスク。
- 52週レンジにおける現在位置: 50.0% (高値圏と安値圏の中間に位置しており、極端な水準ではありません)
7. 市場センチメント
- 信用取引の状況: 信用買残 76,800株、信用売残 0株、信用倍率 0.00倍。信用売残がゼロであるため、売り圧力が非常に低い状況です。信用買残は一定数ありますが、出来高(2,900株/日)と比較すると、大きな需給悪化は今のところ見られません。
- 株主構成と大株主の動向:
- 自社共栄持株会 (12.9%)、自社(自己株口) (10.6%)、合同会社N.K.Freudel (6.99%)、山田義彦氏 (6.95%)などが主要株主です。
- インサイダー保有比率 (% Held by Insiders) は46.02%と非常に高く、経営陣や従業員による安定株主が多いことが特徴です。これは経営の安定性を示す一方で、市場での流通株式数(Float)が2.26M株と少ないため、株価変動が大きくなる可能性も秘めています。
- 経営陣の持株比率と安定株主の状況: 多数の山田一族および自社持株会が上位株主に名を連ねており、経営陣による高い持株比率と安定した株主構成です。
8. 株主還元
- 配当利回り(会社予想): 3.10% (高水準)
- 1株配当(会社予想): 50.00円
- 配当性向(会社予想): 28.43% (過去12ヶ月実績は28.43%、予想は29.4%。健全な水準であり、成長投資と株主還元のバランスを保っています)
- 配当の継続性・増配傾向: 2023年3月期から年間配当50円を継続しており、安定した配当を維持しています。近年、EPSの成長に伴い配当性向は低下傾向にあり、持続的な配当支払いの余地は大きいと考えられます。
- 自社株買いの実績と方針: 決算短信には、自社株買いに関する新たな公表は記載されていません。
9. 総合評価
【投資ポイント】
- 高い財務健全性と収益性: 自己資本比率70%近く、流動比率360%超、ROA/ROEも基準を上回り、非常に安定した経営基盤。
- 高付加価値製品による競争優位性: 精密な液送が求められるニッチ市場で高い技術力と実績を持ち、特にケミカルや特定産業向けで強み。
- 安定した株主還元: 3%超の配当利回りと約30%の配当性向を維持し、安定配当が期待できる。
【強み】
- 卓越した技術力と製品競争力 (スムーズフローポンプ)
- 非常に堅固な財務体質と高い自己資本比率
- 高い収益性(営業利益率15%超、ROE12%弱)
【弱み】
- 海外売上・受注の不確実性(特に二次電池関連需要の低迷)
- 受注残高の大幅減少による下期業績へのリスク
- 市場全体と比較して長期的な株価パフォーマンスの劣勢
【機会】
- 国内ケミカル業界の設備投資需要の継続
- 研究開発・環境負荷低減・自動化ニーズへの対応製品展開
- 新しい用途開拓やシステムソリューション提供による市場拡大
【脅威】
- 海外における特定産業(EV/二次電池)の景気動後退
- 原材料価格や物流コストの上昇による収益圧迫
- 競合他社からの技術追随や価格競争激化
【注目すべき指標】
- 海外受注高および海外受注残高の推移
- 四半期ごとの売上高成長率(特に下期)
- 営業利益率の維持状況
10. 企業スコア
- 成長性: C (通期予想売上高成長率 +2.52%)
- 収益性: A (ROE 11.98% かつ 営業利益率 15.07%)
- 財務健全性: S (自己資本比率 69.9% かつ 流動比率 366%)
- 株価バリュエーション: D (PERは割安だが、PBRが業界平均の約147%と大幅に割高であるため)
企業情報
| 銘柄コード | 6322 |
| 企業名 | タクミナ |
| URL | http://www.tacmina.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,614円 |
| EPS(1株利益) | 177.68円 |
| 年間配当 | 3.10円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 4.7% | 10.4倍 | 2,331円 | 7.8% |
| 標準 | 3.6% | 9.1倍 | 1,924円 | 3.8% |
| 悲観 | 2.2% | 7.7倍 | 1,526円 | -0.9% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,614円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 965円 | △ 67%割高 |
| 10% | 1,206円 | △ 34%割高 |
| 5% | 1,521円 | △ 6%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。
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