1. 企業概要

福井コンピュータホールディングスは、日本の建設業界向けに特化したソフトウェア開発・販売を手掛ける企業です。主力は建築設計支援CADシステムである「ARCHITREND Zero」や、BIM(Building Information Modeling)建築設計・施工支援システム「GLOOBE」などの建築システム事業、および測量・土木現場向けソリューションである「EX-TREND Musashi」などの測量土木システム事業です。これらの専門性の高いCADソフトウェアは、建設現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に貢献しており、業界内で高い市場シェアを誇ります。
主力製品である建築・測量土木CADは、3次元技術を強みとし、BIM/CIM(Construction Information Modeling)といった高度なデータ連携を可能にするシステムを提供しています。収益モデルとしては、システムのライセンス販売に加え、保守サポートやバージョンアップによるストック型収益が安定基盤となっており、BtoB(企業間取引)が中心です。長年の実績と専門技術に裏打ちされた製品群は、建設・測量業界に深く浸透しており、新規参入には高い技術的・顧客基盤構築上の障壁が存在します。さらに、選挙調査システム「ONE CLICK Counter」などのITソリューション事業も展開しています。

2. 業界ポジション

福井コンピュータホールディングスは、建築・測量土木CAD分野において国内で高い市場シェアを確保し、リーダー的なポジションを確立しています。
市場動向としては、国土交通省が推進するBIM制度改正やi-Constructionといった公共施策により、建設・測量分野におけるデジタル化への需要が拡大しており、企業にとって追い風となっています。同社はこれらの政策動向に対応し、BIM/CIM関連製品の深耕や、主力製品のライセンス増設、価格改定などにより市場の成長を取り込む戦略を進めています。
競合に対する強みとしては、長年にわたる業界特化のノウハウと技術力、そして堅固な顧客基盤が挙げられます。特に3次元技術や空撮・3D変換技術においては独自の強みを有しています。一方で、今後の市場の変化や競合他社の新規技術導入に対して、継続的な研究開発投資と迅速な対応が求められます。

業界平均との財務指標比較

指標 福井コンピュータホールディングス 業界平均(情報・通信業)
PER(予想) 15.61倍 23.2倍
PBR(実績) 2.42倍 2.3倍
ROE(実績) 16.27% データなし
営業利益率 48.05% データなし

PERは業界平均と比較して割安水準にあり、PBRはほぼ同水準です。

同一業種区分企業比較

企業名 コード 時価総額(百万円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
福井コンピュータホールディングス 9790 67,379 15.61 2.42 16.27 2.24
ギフティ 4449 39,055 4.62 -6.54 0.99
ミラティブ 472A 12,069 20.35 5.73 -12.89
日本ラッド 4736 3,401 24.68 0.98 13.21 1.57

同業他社と比較すると、福井コンピュータホールディングスのPERはギフティ、ミラティブ、日本ラッドの中で最も低い水準で、収益性(ROE)は他社がマイナスまたは低い中、高い水準を維持しています。PBRは同業種比較では中間的な水準です。

3. 経営戦略

経営陣のビジョンや中期経営計画に関する具体的な進捗指標は、提供された決算短信には記載がありません。しかし、事業概要や直近の決算動向からは、BIM/CIM技術の深耕と関連製品開発への重点投資が行われていることが示唆されます。研究開発費が中間期で前年同期比増加(406百万円、前年328百万円)していることも、技術革新への積極的な姿勢を表しています。
最近の適時開示情報としては、2026年3月期第2四半期決算短信において、建築システム事業での住宅・建材向け新規導入やBIM関連製品の導入増、測量土木システム事業における公共施策(i-Construction等)による需要増が報告されています。また、価格改定による売上単価の改善も収益に貢献しています。ITソリューション事業では、選挙関連のシステム売上計上等により大幅な増収増益を達成しました。
これらの戦略は、今後の業績に対して好影響をもたらすと期待されます。特に、建築・建設業界全体のデジタル化推進が継続する中、同社の専門性の高いソフトウェアへの需要はさらに高まる可能性があります。ストック型収益の安定化は、景気変動への耐性も高めると考えられます。ただし、投資有価証券評価損のような一時的な特別損失が純利益に影響を与えるリスクも存在します。

4. 財務分析

収益性

  • 営業利益率(過去12か月):48.05%と非常に高水準であり、ソフトウェアビジネスの特性と高い市場競争力を示しています。業界平均と比較しても際立っています。
  • ROE(過去12か月):14.32%であり、資本を効率的に活用して利益を生み出している良好な状態です。(ベンチマーク: 10%)
  • ROA(過去12か月):12.90%であり、総資産に対する利益率も優れています。(ベンチマーク: 5%)

財務健全性

  • 自己資本比率(実績):82.0%と極めて高く、財務基盤が非常に強固であることを示します。
  • 流動比率(直近四半期):362%と、短期的な負債に対する支払い能力が非常に高いです。
  • D/Eレシオ(負債資本比率):総負債約6,359百万円に対する自己資本約27,759百万円で算出すると、約0.23倍となり、ほとんど負債がなく健全な財務状況です。

成長性(年度別推移)

決算期 売上高(百万円) 前年比 営業利益(百万円) 前年比
2022/3連 14,331 6,314
2023/3連 13,630 -4.9% 5,583 -11.6%
2024/3連 13,821 +1.4% 5,585 +0.0%
2025/3連 14,717 +6.5% 6,085 +8.9%
2026/3連予 15,580 +5.9% 6,600 +8.5%

売上高は緩やかな成長傾向にあり、特に2024年3月期以降は回復基調です。営業利益も売上高に連動して増加傾向にあります。直近四半期売上高成長率は前年比+12.50%と好調ですが、直近四半期利益成長率は特別損失の影響で前年比-49.40%となっています。

キャッシュフロー(中間期)

  • 営業活動によるキャッシュフロー(営業CF):2,602百万円 (前年同期2,857百万円より減少)
  • 投資活動によるキャッシュフロー(投資CF):△3,009百万円 (前年同期△636百万円より支出増)
    • 定期預金預入2,000百万円、投資有価証券取得2,201百万円などが主な内訳。
  • 財務活動によるキャッシュフロー(財務CF):△1,446百万円 (主に配当支払による)
  • フリーキャッシュフロー(FCF):
    • 過去12か月では4,340百万円と潤沢です。
    • 中間期単体では営業CF 2,602百万円 – 投資CF 3,009百万円 = △407百万円とマイナスですが、これは定期預金預入や投資有価証券取得といった一時要因が大きいです。本業からのキャッシュ創出力は高いと言えます。
  • 営業CF/純利益比率:1.495 (中間実績)。1.0以上であり、利益の質は非常に高いと評価できます。
  • 配当カバレッジ比率(営業CF/配当支払額):2,602百万円 / 1,446百万円 = 1.80倍。キャッシュフローに対する配当支払額は十分にカバーされており、持続可能な配当余力があることを示します。

セグメント別分析(中間期)

セグメント 売上高(百万円) 前年同期比 営業利益(百万円) 前年同期比 主な特徴・課題
建築システム事業 3,901 +14.9% 1,528 +18.6% 新規導入、ライセンス増、BIM関連で高収益を維持。
測量土木システム事業 4,020 +4.8% 1,937 △3.1% 公共施策で需要増も、製品売上鈍化、管理費増で利益減。
ITソリューション事業 323 +419.8% 230 黒字転換 選挙関連システムで大幅増収増益、成長ドライバー。
投資事業 データなし データなし △1 データなし 小規模な損失。

建築システム事業とITソリューション事業が成長ドライバーであり、高収益を維持しています。測量土木システム事業は売上高は増加していますが、営業利益が減少しており、製品売上の鈍化や管理業務委託費の増加が課題と見られます。

四半期進捗(通期予想に対する中間進捗)

  • 売上高進捗率:53.0% (通期予想15,580百万円に対し中間実績8,246百万円) → 通常の中間進捗の目安である50%を上回っており、順調な進捗です。
  • 営業利益進捗率:56.6% (通期予想6,600百万円に対し中間実績3,738百万円) → こちらも順調なペースです。
  • 純利益進捗率:40.4% (通期予想4,310百万円に対し中間実績1,741百万円) → 特別損失(投資有価証券評価損830百万円)の影響で、純利益の進捗率は低くなっています。営業利益ベースでは順調に進むものの、通期純利益達成には有価証券の評価変動が影響する可能性があります。

5. 株価分析

現在の水準

  • PER(会社予想):15.61倍
  • PBR(実績):2.42倍
  • 業界平均PER:23.2倍、業界平均PBR:2.3倍
  • 上記より、PERは業界平均より割安水準にあり、PBRは業界平均とほぼ同水準です。
  • EPS(会社予想):208.46円、BPS(実績):1,342.62円
  • 業種平均PER基準で算出される目標株価は4,705円であり、現在の株価3,255円と比較すると割安感があります。業種平均PBR基準で算出される目標株価は3,088円であり、現在の株価より低い水準です。

テクニカル

  • 現在の株価は3,255.0円です。
  • 52週高値3,610円、52週安値2,778円に対し、現在の株価は52週レンジの57.3%の位置にあり、中間よりやや高値寄りです。
  • 移動平均線との位置関係:
    • 5日移動平均線 (3,176.00円) を2.49%上回っています。
    • 25日移動平均線 (3,087.80円) を5.41%上回っています。
    • 75日移動平均線 (3,130.87円) を3.96%上回っています。
    • 200日移動平均線 (3,169.62円) を2.69%上回っています。
  • 現在株価が全ての移動平均線を上回っており、短期から中長期にかけて強気トレンドを示唆する状態です。明確なゴールデンクロスやデッドクロスのシグナルは提供データにはありませんが、全体的に上昇基調にあります。

市場との比較(相対パフォーマンス)

  • 1ヶ月リターン:+9.23% (日経平均+2.68%を6.54%ポイント、TOPIX+3.84%を5.39%ポイント上回る)
  • 3ヶ月リターン:-2.84% (日経平均+8.33%を11.17%ポイント下回る)
  • 6ヶ月リターン:+10.75% (日経平均+30.55%を19.80%ポイント下回る)
  • 1年リターン:+6.03% (日経平均+33.05%を27.03%ポイント下回る)

直近1ヶ月は市場をアウトパフォームしていますが、中長期(3ヶ月、6ヶ月、1年)では日経平均に対してアンダーパフォームしています。

6. リスク評価

  • ベータ値による市場感応度: ベータ値は-0.02とされており、市場全体との連動性が非常に低いか、逆相関を示す可能性があります。これは市場全体が変動しても株価への影響が小さい特性を持つ一方で、市場の地合いが良い局面でも株価が伸び悩む可能性を示唆します。
  • 決算短信記載のリスク要因:
    • 投資有価証券の評価損益: 連結子会社保有の投資有価証券評価損830百万円が計上されており、今後も市場環境によっては同様の評価損が発生する可能性があります。
    • 公共投資や制度改正のタイミング: 特に測量土木システム事業は公共施策に影響を受けやすく、その動向が業績を左右する可能性があります。
    • 製品売上の変動、人件費・委託費増加: 固定費の増加や製品ライフサイクルの変動が収益性に影響を与える可能性があります。
  • 事業特有のリスク:
    • 建設・測量土木分野の景気変動: 主要顧客である建設業界の景気動向が、ソフトウェア需要に直接影響を与えます。
    • 技術陳腐化リスク: CAD/BIM/CIM技術は進化が速く、常に最新技術への対応が求められます。研究開発投資の継続が不可欠です。
    • 規制・制度変更リスク: 建設・測量に関する法規制や制度の変更が、製品への適合や更新コストに影響を及ぼす可能性があります。
  • 52週レンジにおける現在位置: 現在株価は52週レンジの57.3%の位置にあり、高値圏に位置しているわけではないものの、下落リスクも考慮する必要があります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況:
    • 信用買残:51,700株 (前週比 -12,100株)
    • 信用売残:7,600株 (前週比 +4,600株)
    • 信用倍率:6.80倍
      信用買残が減少し、信用売残が増加しているため、需給は改善傾向にあると考えられます。信用倍率6.80倍は、買残が売残を上回るものの、極端な水準ではありません。
  • 株主構成と大株主の動向:
    • 筆頭株主は(株)ダイテックホールディングで47.08%を保有しており、安定株主としての位置付けが強いです。
    • 次いで日本マスタートラスト信託銀行が8.86%、光通信KK投資事業有限責任組合が5.38%を保有しています。
    • 経営陣による持株比率(Insiders Held)は56.07%と高く、経営陣と大株主による安定した株式保有状況が伺えます。光通信KK投資事業有限責任組合の保有動向は注視が必要です。

8. 株主還元

  • 配当利回り(会社予想): 2.24% (株価3,255円、1株配当73.00円で算出)
  • 配当性向: 34.54% (Yahoo Japanデータより)
  • 配当の継続性・増配傾向:
    • 過去にわたり継続して配当を実施しており、2022年3月期から2026年3月期予想まで増配傾向が見られます (2022.03: 60円→2026.03予: 73円)。利益成長に伴う安定的な株主還元を目指していると考えられます。
  • 自社株買いの実績と方針: 提供データに自社株買いに関する明確な記載はありません。

9. 総合評価

【投資ポイント】

  • 建築・測量土木CADにおける圧倒的な市場ポジションと、BIM/CIM関連ニーズを捉えた継続的な成長性。
  • 極めて高い営業利益率、ROE、自己資本比率に裏打ちされた盤石な財務基盤と収益性。
  • 営業キャッシュフローが純利益を上回る利益の質と、安定的な増配傾向による株主還元姿勢。

【強み】

  • 専門性の高い分野における高い市場シェアとブランド力。
  • 競争優位性の高い3次元技術と、堅実なストック型収益モデル。
  • 非常に高い財務健全性(自己資本比率、流動比率)と潤沢なフリーキャッシュフロー。

【弱み】

  • 建設業界の景気動向や公共投資政策に業績が左右されやすい側面がある。
  • 投資有価証券の評価損益など、本業以外の要因による純利益の変動リスク。
  • 測量土木システム事業における製品売上鈍化と利益率低下。

【機会】

  • BIM/CIM導入義務化などの制度改正によるDXソリューション需要の拡大。
  • 労働人口減少に伴う建設業界の生産性向上ニーズの高まり。
  • ITソリューション事業における新たな事業領域の拡大と収益貢献。

【脅威】

  • 競合他社の技術革新や価格競争の激化。
  • 景気後退や財政緊縮による公共投資の減少。
  • 予測不能な経済変動による保有有価証券の価値下落リスク。

【注目すべき指標】

  • ROEの継続的な15%達成
  • 測量土木システム事業の営業利益率の改善動向
  • ITソリューション事業の売上高成長率と利益貢献度
  • 投資有価証券評価損の発生有無及び影響額

10. 企業スコア

  • 成長性: B
    • (理由)2026年3月期の売上高成長率予想は+5.9%であり、通期での売上成長率は5-10%の範囲に該当します。直近四半期売上高成長率は12.50%と良好ですが、通期予想を基準にするとB評価となります。
  • 収益性: S
    • (理由)ROE(過去12か月)14.32%は10%-15%の範囲、営業利益率(過去12か月)48.05%は15%以上の範囲に該当します。ROEはA基準、営業利益率はS基準を満たしており、総合的に見て非常に高い収益性を示しています。
  • 財務健全性: S
    • (理由)自己資本比率(実績)82.0%は60%以上、流動比率(直近四半期)362%は200%以上であり、いずれもS評価の基準を大きく上回る極めて健全な財務状態です。
  • 株価バリュエーション: B
    • (理由)PER(会社予想)15.61倍は業界平均23.2倍の約67.2%であり、S評価の基準(70%以下)を満たします。PBR(実績)2.42倍は業界平均2.3倍の約105.2%であり、B評価の基準(90-110%)に該当します。PERとPBRの両方を鑑みて、B評価とします。

企業情報

銘柄コード 9790
企業名 福井コンピュータホールディングス
URL http://www.fukuicompu.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 3,255円
EPS(1株利益) 208.46円
年間配当 2.24円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 4.6% 19.3倍 5,023円 9.1%
標準 3.5% 16.7倍 4,152円 5.0%
悲観 2.1% 14.2倍 3,295円 0.3%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 3,255円

目標年率 理論株価 判定
15% 2,070円 △ 57%割高
10% 2,586円 △ 26%割高
5% 3,263円 ○ 0%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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