1. 企業概要
長府製作所は、主に住宅設備機器の開発、製造、販売を手掛けるメーカーです。主力製品として石油給湯器で首位級の地位を確立しており、エアコンなどの空調機器、システムバスやシステムキッチンといったシステム機器、太陽熱温水器などのソーラー機器、およびこれらの設置・メンテナンスを行うエンジニアリング事業を展開しています。環境配慮型製品の開発に力を入れ、全国展開だけでなく欧米やオセアニアにも製品を供給しています。
- 主力製品・サービスの特徴: 石油給湯器は業界で首位級のシェアを持ち、高効率・環境性能を重視した製品開発に強みがあります。最近では、業界初のウルトラファインバブル石油給湯器など、独自技術を投入した新製品も提供しています。
- 収益モデル: 主に住宅向け設備機器の製造販売によるフロー型収益が中心ですが、アフターサービスやメンテナンス、エンジニアリング事業を通じて一部ストック型収益も存在します。B2B(ハウスメーカーや販売店向け)とB2C(一般消費者向け)の両方の側面を持ちます。
- 技術的独自性や参入障壁: 長年の歴史で培った給湯・空調技術と、全国的な販売・サービスネットワークが強みです。特に石油給湯器におけるブランド力と技術は参入障壁となり、環境規制や省エネニーズに応える製品開発力も重要です。
2. 業界ポジション
- 業界内での推定市場シェアまたはポジション: 石油給湯器では首位級のポジションを確立しています。住宅関連機器市場において、ニッチながらも一定のブランド認知度と市場基盤を持っています。
- 市場動向と企業の対応状況: 決算短信によると、建築資材価格高騰や住宅ローン金利上昇懸念により、住宅需要は低迷傾向にあります。これに対し、同社は高効率・環境性能の高い新製品(カーボンニュートラル対応製品など)の拡充に取り組むことで、市場の変化に対応しようとしています。欧州向け空調機器の減少など、海外市場の動向も影響を受けています。
- 競合に対する相対的な強み・弱み:
- 強み: 石油給湯器における高い市場シェアとブランド力、環境技術への注力、高水準の自己資本比率に裏打ちされた盤石な財務基盤。
- 弱み: 原材料価格変動の影響を受けやすい収益構造、住宅市場全体の低迷からの影響、海外市場での競争激化リスク。
- 【定量比較】業界平均との財務指標比較:
- PER(会社予想): 31.64倍 (業界平均: 17.5倍) → 業界平均の約1.8倍と、比較的高水準にあり割高感があります。
- PBR(実績): 0.52倍 (業界平均: 0.7倍) → 業界平均を下回っており、純資産に対して割安感があります。
- ROE(実績): 1.59% (過去12か月) (ベンチマーク10%以上) → 業界平均との比較データはありませんが、ベンチマークより大幅に低い水準です。
- 営業利益率(過去12か月): 3.11% (業界平均: データなし) → 供給されたデータでは業界平均と比較できませんが、後述の財務分析で収益性の課題が見られます。
- 【同一業種区分企業比較】: 同一業種区分企業データは提供されていません。
3. 経営戦略
- 経営陣のビジョンと中期経営計画: 経営陣の具体的なビジョンや中期経営計画の全体像は提供資料からは明確ではありません。しかし、高効率・環境性能の高い新製品(カーボンニュートラル対応製品など)の開発・拡充に注力している旨が示されており、環境変化に対応した製品戦略を進めていることが伺えます。
- 重点投資分野と成長戦略: 提供資料からは具体的な中期経営計画の進捗や詳細な投資分野は不明です。しかし、製品開発においては「業界初のウルトラファインバブル石油給湯器」など、差別化を図る新技術の導入が見られます。
- 最近の適時開示情報: 今回の提出資料では、第3四半期決算短信以外の大型受注、新製品発表、M&Aなどの特段の適時開示情報は確認できませんでした。
- これらが今後の業績に与える影響: 環境配慮型製品への注力は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や脱炭素化の流れの中で長期的な成長機会となりますが、短期的には製品補償損失引当金の計上や原材料価格高騰が利益を圧迫しています。通期営業利益の進捗率が低いため、製品保証に関する一時的損失が解消されるか、原価改善が進むかが今後の業績回復の鍵となります。
4. 財務分析
- 【収益性】
- 営業利益率: 過去12か月で3.11%、2024年12月期実績で3.78%と、ベンチマークの10%には届いていません。2025年12月期第3四半期累計では1.30%とさらに低下しており、原材料価格高騰や製品補償損失引当金の影響で収益性が悪化しています。
- ROE(自己資本利益率): 過去12か月実績で1.59%、2024年12月期実績で2.34%と、ベンチマークの10%を大きく下回っています。高い自己資本比率もROEを押し下げる要因となっています。
- ROA(総資産利益率): 過去12か月実績で0.71%、2025年12月期第3四半期累計(通期予想に基づく試算)で1.53%と、ベンチマークの5%を大幅に下回っており、総資産を効率的に活用できていない状況です。
- 【財務健全性】
- 自己資本比率: 2025年12月期第3四半期で93.9%、2024年12月期実績で94.4%と極めて高く、非常に安定した財務基盤を有しています。これはベンチマークの60%を大きく上回る健全な水準です。
- 流動比率: 直近四半期で363%と、ベンチマークの200%を大きく上回っており、短期的な支払い能力は非常に高いです。
- D/Eレシオ(負債資本比率): 負債合計8,831百万円に対し純資産134,948百万円から計算すると約0.065倍となり、負債が極めて少なく、非常に健全な水準です。
- 【成長性】
- 売上高成長率の推移:
- 2021/12期: +3.08%
- 2022/12期: +11.00%
- 2023/12期: -2.58%
- 2024/12期: -4.91%
- 2025/12期予想: +1.89%
- 直近12か月売上高は47,029百万円で前年同期比約-3.04%。四半期売上高成長率(前年同期比)は-5.00%。
売上高は近年横ばいから微減傾向にあり、大きな成長は見られません。 - 利益成長率の推移(純利益):
- 2021/12期: +32.79% (2020/12期比)
- 2022/12期: +3.41%
- 2023/12期: +3.41%
- 2024/12期: -21.49%
- 2025/12期予想: -29.93%
2024年12月期以降は利益が大幅に減少する見込みで、特に2025年12月期は製品補償損失引当金等の影響で大幅な減益が予想されています。
- 【キャッシュフロー】
- 決算短信では四半期キャッシュフロー計算書は作成されていないため、詳細な営業CF/投資CF/財務CFの3区分やFCF(フリーキャッシュフロー)、営業CF/純利益比率、配当カバレッジ比率の算出はできません。
- 現金及び預金は3,689百万円で前期末から減少していますが、投資有価証券が91,353百万円と大きく増加しており、潤沢な資金を有価証券で運用していることが伺えます。
- 【セグメント別分析】
- 同社は単一セグメント開示ですが、品目別売上高が提供されています。
- 給湯機器: 15,187百万円(構成比47.4%、前年同期比+3.8%)。業界初のウルトラファインバブル石油給湯器や価格改定が寄与し、最も売上高が高く成長ドライバーとなっています。
- 空調機器: 12,310百万円(構成比38.4%、前年同期比△2.5%)。ハウスメーカー向けは伸長しましたが、欧州向けが減少した影響です。
- システム機器: 769百万円(構成比2.4%、前年同期比△4.6%)。システムキッチンは好調でしたが、浴室などが苦戦しました。
- ソーラー機器・その他: 1,865百万円(構成比5.8%、前年同期比+3.6%)。エコワイターなどが好調でした。
- エンジニアリング部門: 1,922百万円(構成比6.0%、前年同期比+3.1%)。
- 全体売上高は前年同期比+1.0%と微増。給湯機器、ソーラー機器、エンジニアリング部門が成長を牽引していますが、空調機器やシステム機器の一部が課題です。
- 【四半期進捗】
- 2025年12月期第3四半期累計の通期予想に対する進捗率は以下の通りです。
- 売上高: 32,053百万円に対し通期予想47,000百万円で進捗率68.2%。通常の均等進捗75%と比較してやや遅れが見られます。
- 営業利益: 416百万円に対し通期予想1,700百万円で進捗率24.5%。大幅に遅れており、通期目標達成には第4四半期での大幅な改善が必要です。
- 経常利益: 2,523百万円に対し通期予想4,500百万円で進捗率56.1%。営業外収益に支えられ、比較的良好な進捗です。
- 親会社株主に帰属する四半期純利益: 839百万円に対し通期予想2,200百万円で進捗率38.1%。製品補償損失引当金の影響で低い進捗となっています。
5. 株価分析
- 【現在の水準】
- PER(会社予想): 31.64倍。業界平均PER17.5倍と比較すると約1.8倍と大幅に割高感があります。
- PBR(実績): 0.52倍。業界平均PBR0.7倍と比較すると約0.74倍と割安感があります。
- EPS(会社予想): 64.70円。
- BPS(実績): 3,968.73円。
- EPSベースの理論株価 (業界平均PER基準): 64.70円 × 17.5倍 = 1,132.25円。
- BPSベースの理論株価 (業界平均PBR基準): 3,968.73円 × 0.7倍 = 2,778.11円。
- 現在株価2,047.0円は、EPSベースの理論株価より高値、BPSベースの理論株価より安値に位置しており、PBRの割安感とPERの割高感が混在しています。
- 【テクニカル】
- 52週高値・安値との位置関係: 52週高値2,070円、52週安値1,640円に対し、現在株価2,047円は52週レンジの94.7%に位置しており、高値圏で推移しています。
- 移動平均線との位置関係: 現在株価2,047.00円は、5日移動平均線(2,035.40円)、25日移動平均線(2,018.24円)、75日移動平均線(1,969.37円)、200日移動平均線(1,902.43円)の全てを上回っています。
- トレンドシグナル: 株価が長期・短期の全ての移動平均線を上回っていることから、短期・中期的に上昇トレンドにあると見られます。明確なゴールデンクロスやデッドクロスはデータからは読み取れませんが、上昇基調にあることを示唆しています。
- 【市場との比較】
- 日経平均株価やTOPIXとの相対パフォーマンスでは、1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・1年の全ての期間において、長府製作所の株価は主要市場指数を下回っています。これは、市場全体の成長ペースに対して同社の株価上昇が相対的に鈍いことを示しています。
6. リスク評価
- ベータ値による市場感応度: 5年間の月次ベータ値は0.05と非常に低く、市場全体の変動に対して株価がほとんど連動しない特性を持つことを示しています。これは安定的な事業特性を持つ企業によく見られますが、市場が活況な局面では上昇の恩恵を受けにくい可能性もあります。
- 決算短信記載のリスク要因:
- 原材料価格の上昇: 原材料高止まりが続き、収益を圧迫するリスク。
- 住宅需要の低迷: 建築資材高や住宅ローン金利上昇懸念からくる国内住宅市場の低迷。
- 製品保証関連の追加引当: 第2四半期に計上された製品補償損失引当金のような一時的な損失が、将来的に再発生するリスク。
- 為替・海外販売環境: 欧州向け空調機器の売上減少に見られるように、海外事業における為替変動や市場環境の変化。
- 米国の関税政策等: 海外事業を展開する上での貿易政策リスク。
- 事業特有のリスク:
- 季節性の影響: 冷暖房機器や給湯器は季節によって需要が変動する可能性があります。
- 技術陳腐化リスク: 環境規制や省エネ技術の進化が速いため、常に新技術への投資が必要です。
- 52週レンジにおける現在位置: 現在株価は52週高値圏(94.7%)にあり、短期的には下落リスクも考慮する必要があります。
7. 市場センチメント
- 信用取引の状況:
- 信用買残: 1,211,200株 (前週比+32,100株)
- 信用売残: 667,100株 (前週比+461,000株)
- 信用倍率: 1.82倍。信用買残が信用売残を上回っており、将来の株価上昇を期待する買い方が優勢ですが、売残が大きく増加している点は注目に値します。
- 株主構成と大株主の動向:
- 上位10位の株主には、長府物産(12.6%)、長府精機(11.97%)、JPモルガン・チェース・バンク(11.7%)、自社共済会(9.27%)、日本マスタートラスト信託銀行(7.94%)といった企業や機関投資家、内部関係者が含まれています。
- 経営陣の持株比率と安定株主の状況: 経営陣個別の持株比率は開示されていませんが、上位株主に長府物産、長府精機、自社共済会が含まれることから、安定株主による経営の安定性が高いと考えられます。
8. 株主還元
- 配当利回り: 会社予想で2.25%です。
- 配当性向: 2025年12月期会社予想ベースで71.1%(EPS 64.70円、年間配当46.00円)。Yahoo Japanの2024年12月期実績ベースでは49.8%です。予想ベースでは高めの配当性向となっており、利益水準によっては配当維持の継続性に注意が必要です。
- 配当の継続性・増配傾向: 2025年12月期の年間配当は46.00円と、前期実績と同額を予想しており、急な増配傾向は見られません。過去のデータでは年間配当が着実に増加してきた実績があります。
- 自社株買いの実績と方針: 提供資料からは、最近の自社株買いの実績や具体的な方針については記載がありませんでした。
9. 総合評価
- 【投資ポイント】
- 極めて高い自己資本比率と潤沢な投資有価証券に裏打ちされた盤石な財務基盤。
- 石油給湯器市場における首位級の地位と環境配慮型製品への注力。
- PBRが業界平均を下回り、純資産に対して割安感がある。
- 【強み】
- 非常に高い自己資本比率(93.9%)と流動比率(363%)による財務安全性。
- 石油給湯器における強力な市場ポジションとブランド認知度。
- 営業外収益(受取利息・配当等)が経常利益を支える安定要因となっている。
- 【弱み】
- 収益性(ROE 1.59%、営業利益率 3.11%)が低く、効率性に課題。
- 原材料価格高騰や製品補償損失引当金の計上による利益圧迫。
- 市場平均に対する株価パフォーマンスの劣勢。
- 【機会】
- 脱炭素や省エネに対する社会的なニーズの高まりによる環境配慮型製品の需要増加。
- 既存の販売網やメンテナンス体制を活用した新規事業領域への展開。
- 潤沢な手元資金をM&Aや設備投資に活用し、成長を加速させる可能性。
- 【脅威】
- 住宅市場の低迷や人口減少による国内需要の縮小。
- 原材料価格の不安定性やサプライチェーンのリスク。
- 製品保証に関する予期せぬ費用の発生。
- 【注目すべき指標】
- 通期予想に対する営業利益の進捗率(現状24.5%と大きく遅滞)。
- 製品補償損失引当金のような一時的損失の今後の発生有無。
- 原材料価格変動に対するコストコントロール能力と利益率改善の動向。
- 新製品(ウルトラファインバブル石油給湯器など)の市場浸透度と収益への貢献。
10. 企業スコア
- 成長性: D
- 売上成長率が5%未満(2025年12月期予想+1.89%、直近12か月実績-3.04%)またはマイナス成長のため。
- 収益性: D
- ROE(1.59%)が5%未満かつ営業利益率(3.11%)が3%前後であり、評価基準の最低レベル。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率が93.9%(基準60%以上)かつ流動比率が363%(基準200%以上)と非常に高いため。
- 株価バリュエーション: D
- PER(31.64倍)が業界平均PER(17.5倍)の180%以上と大幅に割高であるため。PBRは割安ですが、PERの乖離が大きいため総合的にDと評価。
企業情報
| 銘柄コード | 5946 |
| 企業名 | 長府製作所 |
| URL | https://www.chofu.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 金属製品 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 2,047円 |
| EPS(1株利益) | 64.70円 |
| 年間配当 | 2.25円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.0% | 31.5倍 | 2,039円 | 0.0% |
| 標準 | 0.0% | 27.4倍 | 1,773円 | -2.7% |
| 悲観 | 1.0% | 23.3倍 | 1,584円 | -4.9% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 2,047円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 887円 | △ 131%割高 |
| 10% | 1,108円 | △ 85%割高 |
| 5% | 1,398円 | △ 46%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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