1. 企業概要
株式会社サイゼリヤは、イタリア料理を主体とした低価格レストラン「サイゼリヤ」を国内外で直営展開する企業です。カジュアルな雰囲気で高品質なメニューを低価格で提供することに特色があります。
収益モデルは主にB2C(消費者向け)の外食サービスによるフロー型であり、顧客の来店数と客単価が売上に直結します。また、豪州に自社工場を持ち、国内外の店舗に食材を供給するサプライチェーンを構築しており、これが低価格戦略の維持と品質管理に貢献しています。
技術的独自性としては、グループ内で食材の生産から加工、物流、販売までを一貫して管理する垂直統合型のサプライチェーンが挙げられます。これにより、外部環境の変化に影響されにくいコスト構造と安定した品質を実現し、これが同社の競争優位性と参入障壁となっています。特に中国を中心としたアジア地域での積極的な海外展開も、成長戦略の柱となっています。
2. 業界ポジション
サイゼリヤは日本の外食産業、特にファミリーレストラン市場において、独自の低価格イタリアンというセグメントで確固たる地位を築いています。具体的な市場シェアのデータは開示されていませんが、この分野でのブランド認知度は非常に高いです。
- 市場動向と企業の対応状況:
- 外食産業全体では、米価格高騰、円安による輸入食材の高騰、エネルギー費の上昇、人手不足による人件費上昇といったコストアップ圧力が顕著です。
- サイゼリヤはこれに対し、国内既存店の客数・客単価改善に加え、海外(特にアジア)での積極的な店舗展開を進めて売上を拡大しています。また、自社工場によるサプライチェーン強化やDX投資を通じて、コストコントロールと効率化を図っています。
- 競合に対する相対的な強み・弱み:
- 強み: 自社豪工場での食材生産によるコスト競争力と品質管理能力、強力な低価格ブランドイメージ、アジア市場での先行者利益と成長ポテンシャル。
- 弱み: 原材料価格や為替変動に影響を受けやすい収益構造、国内市場の成熟化、成長のための設備投資拡大による利益率への一時的な影響。
- 定量比較:
- 業界平均との財務指標比較:
- PER(会社予想): 23.56倍に対し業界平均PERは21.3倍。サイゼリヤはやや割高水準にあります。
- PBR(実績): 2.51倍に対し業界平均PBRは1.8倍。サイゼリヤは割高水準にあります。
- 同一業種区分企業比較(小売業):
- サイゼリヤのROE(実績)は9.80%に対し、同一業種区分のトーエル(3361)は4.01%です。サイゼリヤの方が収益性が高いことが伺えます。
- サイゼリヤの営業利益率(実績)は6.04%です。(トーエルの営業利益率データはなし)
- 業界平均との財務指標比較:
3. 経営戦略
- 経営陣のビジョンと中期経営計画:
- 決算短信に具体的な中期経営数値目標の記載はありませんが、継続的に「利益体質強化」「真のチェーンストア化」「DX推進」「サプライチェーン強化」を経営の基本方針として掲げています。これらは持続的な成長と効率化を両立させることを目指しています。
- 重点投資分野と成長戦略:
- 国内: 店舗の出店・改装、DX投資(QR注文導入約900店、年内全店導入予定)、朝食メニュー実験、未出店県(徳島・愛媛・大分)への積極的な出店。
- 海外(アジア): 店舗数拡大を継続し、ベトナムに1号店(2025年5月)を開設するなど、新たな市場への進出も図っています。
- サプライチェーン: 自社豪州工場を基盤とした食材製造・供給体制の強化。
- 最近の適時開示情報:
- 2025年8月期決算短信では、国内既存店の客数・客単価改善、国内出店、アジア地域の店舗数増加が報告されています。
- これらが今後の業績に与える影響:
- 国内外での積極的な店舗展開とDX推進は売上高の持続的な成長に貢献すると考えられます。しかし、原材料高騰や人件費上昇といった外部環境、および成長のための設備投資拡大による減価償却費の増加が、一時的に営業利益率の改善を抑制する可能性があります。中期的な利益体質強化には、これらの投資がもたらす効率化やコスト削減効果の具現化が鍵となります。
4. 財務分析
- 収益性:
- 営業利益率(2025年8月期実績):6.04%
- ROE(2025年8月期実績):9.84% (過去12か月: 9.80%)
- ROA(2025年8月期実績):約6.22% (過去12か月: 5.57%)
- 評価:ROEはベンチマークの10%に肉薄しており、ROAはベンチマークの5%を上回っており、良好な収益性を維持しています。ただし、営業利益率は市場環境の影響を受けやすく、今後の改善が注目されます。
- 財務健全性:
- 自己資本比率(2025年8月期実績):65.0%
- 流動比率(直近四半期):2.73倍 (273%)
- D/Eレシオ(直近四半期):21.51% (総負債/自己資本)
- 評価:自己資本比率65.0%は非常に高く、流動比率も200%を大きく上回る273%であり、財務基盤は極めて強固です。有利子負債も限定的であり、インタレスト・カバレッジ・レシオも36.6倍と、利払い能力にも余裕があります。
- 成長性:
- 売上高成長率(2025年8月期 前期比):14.3%(256,714百万円 ← 224,542百万円)
- 営業利益成長率(2025年8月期 前期比):4.3%(15,499百万円 ← 14,863百万円)
- 純利益成長率(2025年8月期 前期比):37.0%(11,164百万円 ← 8,149百万円)
- 評価:売上高は二桁成長を継続しており、純利益も大幅な伸長を見せています。しかし、営業利益の伸びが売上高と比べて相対的に小さい点は、コスト増加の影響を示唆しています。
- キャッシュフロー(2025年8月期):
- 営業活動によるキャッシュフロー(営業CF):26,280百万円(前期比 +2,156百万円)
- 投資活動によるキャッシュフロー(投資CF):△18,741百万円(前期比 支出増加)
- 財務活動によるキャッシュフロー(財務CF):△10,052百万円(前期比 ネット支出減少)
- フリーキャッシュフロー(FCF):営業CF 26,280百万円 − 投資CF 18,741百万円 = 7,539百万円 (提供データ Levered Free Cash Flow: 5,620百万円)
- 営業CF/純利益比率:26,280百万円 / 11,164百万円 = 約2.35倍(1.0以上で利益の質は健全)
- 配当カバレッジ比率:営業CF 26,280百万円 / 配当支払額 1,490百万円 = 約17.6倍
- 評価:営業CFは堅調に増加しており、キャッシュ創出力は高いです。一方で、成長のための積極的な設備投資(店舗出店・改装、工場取得)により投資CFは大きくマイナスに転じています。FCFはプラスを維持しており、本業で十分な現金を創出できています。営業CF/純利益比率も高く、利益の質は非常に健全です。配当支払額も営業CFで十分にカバーされています。
- セグメント別分析(2025年8月期):
- 日本セグメント:
- 売上構成比: 67.39%(172,908百万円)
- 成長率(前期比):+18.1%
- セグメント利益率:2.91%(利益5,033百万円)
- 評価:売上、利益ともに大きく伸長し、利益成長率は+83.9%と国内事業が回復・強化されたことが示唆されます。
- 豪州セグメント:
- 売上構成比: 4.34%(11,148百万円)
- 成長率(前期比):+2.9%
- セグメント利益率:2.92%(利益325百万円)
- 評価:売上は微増に留まり、利益は△31.3%と減少しました。主にグループ向け食材製造を担うため、製造コスト増などの影響を受けた可能性があります。
- アジアセグメント:
- 売上構成比: 32.64%(83,802百万円)
- 成長率(前期比):+7.4%
- セグメント利益率:12.09%(利益10,132百万円)
- 評価:売上は堅調に伸びていますが、利益は△12.8%と減少しました。積極的な店舗展開や現地のコスト増が利益率を圧迫している可能性がありますが、セグメント利益率は最も高い水準を維持しています。
- 成長ドライバーと課題セグメントの特定:
- 成長ドライバーは日本国内事業の回復とアジア事業の継続的な拡大です。
- 課題は豪州事業の利益改善と、アジア事業における売上成長と利益率の両立にあると考えられます。
- 日本セグメント:
- 四半期進捗:
- 2025年8月期はすでに通期の実績が発表されています。決算短信のエグゼクティブサマリーにある「本決算時点の進捗率」は、2025年8月期における期初予想に対する実績の達成状況と解釈できます。
- 売上高:実績256,714百万円に対し、期初予想からの達成率は92.96%
- 営業利益:実績15,499百万円に対し、期初予想からの達成率は81.57%
- 当期純利益:実績11,164百万円に対し、期初予想からの達成率は90.03%
- 報告された進捗率から、2025年8月期は売上、純利益は概ね想定通りに推移したものの、営業利益は期初予想に対して未達であった可能性が示唆されます。
5. 株価分析
- 現在の水準:
- PER(会社予想): 23.56倍
- PBR(実績): 2.51倍
- 業界平均PER: 21.3倍、PBR: 1.8倍と比較すると、PER、PBRともに業界平均より高いため、現在の株価はやや割高と判断されます。
- EPS(会社予想)252.52円、BPS(実績)2,373.55円。
- 業界平均PER基準での理論株価レンジ: EPS 252.52円 × 業界平均PER 21.3倍 = 5,378円。
- 業界平均PBR基準での理論株価レンジ: BPS 2,373.55円 × 業界平均PBR 1.8倍 = 4,272円。
- 現在の株価5,950円は、これらの理論株価レンジを上回っています。
- テクニカル:
- 52週高値6,340円、安値3,780円に対し、現在株価5,950円は52週レンジの84.8%の位置にあり、高値圏で推移しています。
- 移動平均線との位置関係:
- 5日移動平均線(6,036.00円)を下回っており、短期的な調整を示唆しています。
- 25日移動平均線(5,570.40円)、75日移動平均線(5,324.47円)、200日移動平均線(5,067.68円)はすべて現在株価を下回っており、中長期的な上昇トレンドは維持されています。
- トレンドシグナル: データは明示されていませんが、中長期移動平均線が上向きで、かつ、短期移動平均線を下回ったことで、一時的な調整局面にある可能性があります。
- 市場との比較:
- 直近1ヶ月および3ヶ月の期間では、日経平均株価およびTOPIXを上回るパフォーマンスを示しています。
- 一方、6ヶ月および1年の期間では、日経平均株価、TOPIXともに下回るパフォーマンスとなっています。これは特定の期間で市場全体をアウトパフォームする動きが見られるものの、長期的なパフォーマンスには課題があることを示唆します。
6. リスク評価
- ベータ値による市場感応度:
- ベータ値(5年月次):-0.19。これは市場全体の動きとは逆相関、または市場変動にほとんど影響されないことを示す特異な数値です。通常、外食産業は景気変動に影響を受けやすい業種であり、この数値は過去の特定の市場環境下での動向が反映された可能性が高いです。
- 決算短信記載のリスク要因:
- 為替変動、食材・エネルギー価格の高騰、地政学リスク(関税等)、天候・自然災害、人手不足。これらの外部要因は特に原価率と販売管理費に影響を与え、収益性を圧迫する可能性があります。
- 事業特有のリスク:
- 低価格戦略の継続性: コスト削減努力だけでは吸収しきれない大規模な原材料費高騰や人件費上昇は、価格改定を迫られる可能性があり、これは顧客離れにつながるリスクがあります。
- ブランドイメージ維持: 食の安全性やサービスの質に関する問題は、企業の信頼と顧客基盤に大きな影響を与えかねません。
- 海外事業リスク: 各国の政治・経済情勢、法規制、文化の違いによる市場適応の難しさ、為替リスクなどが挙げられます。
- 52週レンジにおける現在位置:
- 現在株価は52週レンジの上限に近い84.8%の位置にあり、株価変動に対する抵抗線(レジスタンス)が意識される可能性があります。
7. 市場センチメント
- 信用取引の状況:
- 信用買残: 449,800株
- 信用売残: 57,100株
- 信用倍率: 7.88倍
- 信用買残が信用売残を大きく上回っており、信用倍率が高いことから、株価上昇を期待する買い方が優勢な状況です。これは、株価が下落した際に、需給が悪化するリスクがあることを示唆しています。
- 株主構成と大株主の動向:
- 筆頭株主は創業者である正垣泰彦氏(保有割合27.01%)であり、安定した経営基盤を形成しています。
- 主要金融機関が信託口で株式を保有しており、機関投資家の保有比率も一定水準あります。
- 経営陣の持株比率と安定株主の状況:
- 創業家が筆頭株主であることは、経営の安定性や長期的な視点での経営を期待させる要因となります。インサイダー保有比率(37.83%)も高く、経営陣と株主の利害が一致していると考えられます。
8. 株主還元
- 配当利回り(会社予想): 0.50%
- 1株配当(会社予想): 30.00円
- 配当性向(2025年8月期): 13.4% (過去12ヶ月: 13.26%)
- 配当の継続性・増配傾向:
- 2022年8月期以降、年間配当は18円から25円、そして2025年8月期には30円へと増配傾向にあります。2026年8月期も30円が予想されており、安定した配当方針が見られます。
- 自社株買いの実績と方針:
- 決算短信には当期も自社株取得を実施した旨の記載があり、株主還元の積極的な姿勢が伺えます。
9. 総合評価
【投資ポイント】
- 低価格戦略とグローバル展開: 確固たる低価格戦略と、アジア地域を中心とした海外での成長が持続的な売上拡大を牽引。
- 強固なサプライチェーン: 自社豪州工場による食材の一貫生産体制が、品質維持とコスト競争力を支える盤石な基盤。
- 健全な財務体質: 高い自己資本比率と潤沢なフリーキャッシュフローが、今後の成長投資を可能にする安定性。
【強み】
- 長年にわたり確立された「低価格で高品質」というブランドイメージ。
- アジア市場での店舗展開による高成長ポテンシャル。
- 非常に堅固な財務基盤と高いキャッシュ創出力。
【弱み】
- 原材料価格や為替変動に特に敏感な収益構造。
- 国内の成熟市場における既存店売上成長の限界。
- 積極的な設備投資に伴う減価償却費の増加と、それによる短期的な営業利益率の圧迫。
【機会】
- 海外(特にアジア)での継続的な新規出店を通じた市場シェア拡大。
- DX投資による店舗運営の効率化と顧客体験の向上。
- サプライチェーンのさらなる最適化によるコスト競争力の強化。
【脅威】
- 食材価格やエネルギー価格の継続的な高騰。
- 競合他社との価格競争激化による収益性悪化。
- 新型感染症の再拡大や地政学リスクなど、予測不能な外部環境の変化。
【注目すべき指標】
- アジアセグメントの利益率改善状況
- 国内既存店客数および客単価の推移
- 四半期ごとの営業利益率と通期予想に対する進捗率の動向
10. 企業スコア
- 成長性: A
- 2025年8月期の売上高成長率は14.3%と、10-15%の範囲に属するため「A」評価とします。
- 収益性: B
- 2025年8月期のROEは9.84%、営業利益率は6.04%です。ROEは10%に近いですが未達であり、営業利益率は5-10%の範囲であるため「B」評価とします。
- 財務健全性: S
- 2025年8月期の自己資本比率は65.0%、直近四半期の流動比率は273%(2.73倍)であり、いずれも基準を大幅に上回るため「S」評価とします。
- 株価バリュエーション: D
- PER(会社予想23.56倍)は業界平均(21.3倍)の約110.6%、PBR(実績2.51倍)は業界平均(1.8倍)の約139.4%です。PBRが業界平均の130%以上であるため「D」評価とします。
企業情報
| 銘柄コード | 7581 |
| 企業名 | サイゼリヤ |
| URL | http://www.saizeriya.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 小売 – 小売業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 5,950円 |
| EPS(1株利益) | 252.52円 |
| 年間配当 | 0.50円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 20.1% | 26.7倍 | 16,817円 | 23.1% |
| 標準 | 15.4% | 23.2倍 | 12,014円 | 15.1% |
| 悲観 | 9.3% | 19.7倍 | 7,759円 | 5.5% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 5,950円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 5,975円 | ○ 0%割安 |
| 10% | 7,462円 | ○ 20%割安 |
| 5% | 9,417円 | ○ 37%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。
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