1. 企業概要

ラクスル株式会社は、インターネットを活用したプラットフォーム事業を展開しています。主力の「調達プラットフォーム」では、ネットで印刷物を注文できる「ラクスル」を運営するほか、物流の「ハコベル」、ノベルティ・店舗向け資材のネット通販を提供し、中小企業や個人事業主を中心に多様な事業者の調達・業務効率化を支援しています。また、「マーケティングプラットフォーム」では、効果測定可能なテレビCM・動画広告プラットフォーム「ノバセル」やウェブサイト開発SaaS「ペライチ」などを提供し、企業の集客・DXを支援しています。

  • 主力製品・サービスの特徴:
    • ラクスル: 印刷通販にITを導入し、全国の印刷工場と顧客をマッチングすることで低価格と短納期を実現。
    • ハコベル: 荷主と運送会社をオンラインでつなぎ、物流の効率化とコスト削減に寄与。
    • ノバセル: テレビCMの効果を可視化し、デジタル広告のような運用を可能にする。
  • 収益モデル:
    • 主要な「調達プラットフォーム」は、主にB2Bモデルで、印刷や物流などのトランザクションに応じた手数料や販売益を得るフロー型収益が中心です。
    • 「マーケティングプラットフォーム」は、SaaS型のサービス(例: ペライチ)も含まれるため、ストック型収益の要素も持ち合わせています。
  • 技術的独自性や参入障壁:
    • 独自のAIによるマッチングアルゴリズムと、多数の提携先(印刷工場、運送会社)ネットワーク。
    • 広範な顧客基盤とブランド力に支えられたネットワーク効果による参入障壁。
    • プラットフォームを通じて蓄積されるデータ活用によるサービス改善と効率化。

2. 業界ポジション

ラクスルは、印刷通販、物流、広告といった多岐にわたる領域でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するプラットフォーム事業者として独自のポジションを築いています。市場全体はデジタル化・EC化の進展により潜在需要が大きいと会社は分析しており、7.9兆円の印刷等トランザクション領域、6.7兆円のソフトウエア&マーケティング領域、2.5兆円のファイナンス領域といった巨大市場における成長機会を捉える戦略です。M&Aを通じてニッチ領域でのシェア強化を図っています。

  • 競合に対する相対的な強み・弱み:
    • 強み: 印刷や物流といったアナログ産業のデジタル化を推進するプラットフォームの先行者としての地位、複数の事業領域を横断するシナジー、M&Aによる迅速な事業拡大。
    • 弱み: 新規事業であるマーケティングプラットフォームの収益化が課題。
  • 【定量比較】業界平均との財務指標比較:
    • PER:ラクスル(会社予想)37.24倍に対し、業界平均は23.2倍であり、業界平均と比較して割高な水準にあります。
    • PBR:ラクスル(実績)7.17倍に対し、業界平均は2.3倍であり、業界平均と比較して割高な水準にあります。
  • 【同一業種区分企業比較】同一業種区分企業との財務指標比較:
    • 今回提供されたデータには「情報通信・サービスその他」の同一業種区分企業として日鉄ソリューションズが含まれています。
    • ラクスルは成長性への期待から高い評価を受けている可能性があります。
指標 ラクスル (4384) 日鉄ソリューションズ (2327) 評価 (ラクスル視点)
PER (倍) 37.24 27.85 割高
PBR (倍) 7.17 3.06 割高
ROE (%) 18.86 10.86 高い
営業利益率 (%) 6.53 (過去12ヶ月) データなし データなし

3. 経営戦略

ラクスルは、EC主体のトランザクション領域を核に、SaaS/業務支援、ファイナンスといった領域に事業を発展させる中長期計画(2024年9月公表)を掲げています。既存の調達プラットフォームにおけるオーガニック成長を加速させつつ、連続M&A戦略によりポートフォリオを拡大しています。

  • 重点投資分野と成長戦略:
    • 調達プラットフォームにおけるID/決済統合、クロスカテゴリキャンペーンによる顧客単価(ARPU)向上と顧客基盤拡大。
    • M&Aによる事業領域の戦略的拡大(例:丸玉工業、FUSION、チームライクの取得)。
    • マーケティングプラットフォームにおける費用構造見直し、デジタル広告領域支援体制の強化。
  • 最近の適時開示情報:
    • 2025年12月11日:2026年7月期の配当予想を無配に修正する旨を公表しました。
    • 2025年12月11日:R1株式会社による当社株式および新株予約権に対する公開買付け(MBO)について、会社として賛同し株主に応募を推奨する決議を公表しました。公開買付けが成立すれば、上場廃止となる予定です。
    • 2025年11月20日:株式会社チームライクの全株式取得を決議しました。
  • これらが今後の業績に与える影響:
    • 連続M&Aは売上高及び事業規模の拡大に寄与していますが、買収後のPMI(Post Merger Integration)の成否やのれん償却負担が今後の利益に影響を与える可能性があります。
    • 配当予想の無配修正とMBOの発表は、資本政策と株主構成に直接的な影響を与える重大なイベントであり、上場廃止となれば今後の取引流動性にも影響します。

4. 財務分析

  • 【収益性】:
    • 営業利益率(過去12ヶ月):6.53%
    • ROE(実績):18.86%(ベンチマーク10%と比較して非常に良好)
    • ROA(実績):2.4%(決算短信より、ベンチマーク5%未満であり改善余地あり)
    • ROEは非常に高い水準ですが、営業利益率はまだ改善の余地があると言えます。
  • 【財務健全性】:
    • 自己資本比率(実績):32.6%(第1四半期末は33.3%、目安の40%以上には届かず安定性に課題も、改善傾向は見られます)
    • 流動比率(直近四半期):149%(目安の200%と比較して低い水準)
    • D/Eレシオ(直近四半期):100.81%
    • 財務健全性については、M&Aに伴う負債増加もあり、引き続き慎重な運営が必要です。
  • 【成長性】:
    • 売上高は2022年7月期 33,980百万円から2025年7月期(予想)61,950百万円へ、さらに2026年7月期(会社予想)76,000百万円へと着実に増加しており、高い成長率を維持しています。過去12ヶ月の四半期売上高成長率(前年比)は17.20%です。
    • 営業利益も2022年7月期 462百万円から2026年7月期(会社予想)4,750百万円へと大幅に伸長しており、利益成長も顕著です。過去12ヶ月の四半期利益成長率(前年比)は87.50%です。
  • 【キャッシュフロー】:
    • 2026年7月期第1四半期決算短信では、四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業CF、投資CF、財務CFの詳細は不明です。
    • しかし、現金及び預金は前期末(15,557百万円)から当第1四半期末(14,057百万円)にかけて1,499百万円減少しています。
    • FCF、営業CF/純利益比率、配当カバレッジ比率は算出するためのデータがありません。
  • 【セグメント別分析】:
    • 調達プラットフォーム: 売上構成比93%(2025.7)、第1四半期売上高15,989百万円(前年同期比+17.9%)、セグメント利益2,196百万円(前年同期比+26.5%)。オーガニック成長とM&Aによる拡大が継続しており、主要な収益ドライバーです。
    • マーケティングプラットフォーム: 売上構成比6%(2025.7)、第1四半期売上高1,157百万円(前年同期比+11.4%)、セグメント損失△90百万円(前年同期は利益)。中堅・大企業向けの費用構造見直しを進めていますが、現状では損失を計上しており、収益性改善が課題です。
  • 【四半期進捗】:
    • 2026年7月期通期予想(修正無し)に対する第1四半期の進捗率は、売上高で約22.4~23.0%、営業利益で約22.5~25.0%、純利益で約23.8~27.9%です。これは、一般的な通期予想に対する第1四半期の進捗率(約25%)として概ね計画通りと評価できます。

5. 株価分析

  • 【現在の水準】:
    • PER(会社予想):37.24倍
    • PBR(実績):7.17倍
    • 業界平均PER 23.2倍、業界平均PBR 2.3倍と比較すると、現在のPERおよびPBRは共に業界平均を大幅に上回っており、割高な水準にあります。
    • EPS(会社予想)50.05円、BPS(実績)259.88円に基づくと、業種平均PER基準の目標株価は1,060円、業種平均PBR基準の目標株価は654円となり、現在の株価1,870円から見て理論株価は低い水準です。これは、市場が同社の成長性に対して高い期待を織り込んでいることを示唆しています。
  • 【テクニカル】:
    • 52週高値1,965円、安値844円に対し、現在株価1,870円は52週レンジの91.5%と高値圏に位置しています。
    • 5日移動平均線1,835.00円、25日移動平均線1,687.88円、75日移動平均線1,312.93円、200日移動平均線1,234.25円の全てを上回っており、短期から長期にわたる強い上昇トレンドが示唆されます。特に長期移動平均線との乖離が大きく、強いモメンタムが見られます。
  • 【市場との比較】:
    • 過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年の全ての期間において、日経平均株価およびTOPIXを大幅に上回る相対パフォーマンスを示しており、市場全体のトレンドと比較しても非常に強い上昇基調にあります。

6. リスク評価

  • ベータ値による市場感応度: データなし。
  • 決算短信記載のリスク要因:
    • MBOに伴う上場廃止リスク: R1株式会社による公開買付けが成立した場合、上場廃止となる可能性があります。これは現在の株主にとって、株式の流動性や評価に大きな影響を与える可能性があります。
    • M&A関連のリスク: 積極的なM&A戦略に伴い、買収後の事業統合(PMI)が計画通りに進まないリスクや、統合コスト、買収先の業績不振といったリスクが存在します。
    • マーケティングプラットフォーム事業の収益化遅延: 新規事業であるマーケティングプラットフォームが計画通りに黒字化せず、グループ全体の収益を圧迫するリスクがあります。
    • マクロ経済環境の変動: 主に中小企業を顧客とする事業が多いため、景気変動や物価高騰、金利上昇などのマクロ経済環境の変化が顧客企業の投資意欲や経営状況に影響を与え、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
    • 為替・原材料価格変動: 調達プラットフォームにおいて、原材料やサプライヤーの調達コストに影響を与える可能性があります。
  • 事業特有のリスク:
    • プラットフォームビジネスにおける競合他社の参入や、サプライヤー確保の難易度上昇。
    • システム障害やサイバーセキュリティインシデントのリスク。
  • 52週レンジにおける現在位置: 現在株価は52週高値圏である91.5%に位置しており、短期的には調整局面に入る可能性も考慮する必要があります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況:
    • 信用買残は441,200株、信用売残は47,000株であり、信用倍率は9.39倍と高水準です。信用倍率が高いことは、将来の買い圧力よりも売り圧力が強いことを示唆し、需給面では潜在的な悪材料となる可能性があります。しかし、前週比で信用買残・売残ともに減少しており、整理が進んでいる側面もあります。
  • 株主構成と大株主の動向:
    • 日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、松本恭攝氏(創業者)、日本カストディ銀行(信託口)、MSIPクライアントセキュリティーズなど、機関投資家や創業者が主要株主として名を連ねています。
    • 機関投資家の保有割合は54.31%、経営陣の保有割合は12.53%と、安定株主が多く存在すると考えられます。
    • MBOの発表は、経営陣が会社の長期的な成長戦略を推進するために、より柔軟な経営判断を行う意図があると考えられ、今後の資本政策に大きな影響を与えるでしょう。

8. 株主還元

  • 配当利回りと配当性向:
    • 会社予想の配当利回りは0.00%(無配)であり、配当性向は表示されていません。
  • 配当の継続性・増配傾向:
    • 過去の配当履歴を見ると、2023年7月期までは無配、2024年7月期と2025年7月期に配当を実施しましたが、2026年7月期は無配に修正されました。配当の継続性や増配傾向は低いと言えます。
  • 自社株買いの実績と方針: 自社株買いに関する明確な実績や方針のデータは提供されていません。ただし、自己株式数として1,385,100株(保有割合2.34%)があることから、過去に自社株買いが実施されたことが伺えます。

9. 総合評価

  • 【投資ポイント】
    • プラットフォーム事業の堅調な成長とM&Aによる事業領域拡大により、市場のデジタル化・EC化のトレンドを捉えるビジネスモデルを展開している点。
    • MBOが発表されており、公開買付けの行方と最終的な上場継続判断が株主にとって最も重要な注目点。
    • ROEが非常に高く、資本効率が良い一方で、積極的な先行投資による営業利益率の改善が続くか。
  • 【強み】
    • 主力である調達プラットフォームの持続的なオーガニック成長と高い収益性。
    • 積極的なM&A戦略による事業ポートフォリオの効率的かつ迅速な拡大。
    • ITとプラットフォーム構築力を活用した、アナログ産業のDX推進能力。
  • 【弱み】
    • マーケティングプラットフォーム事業の収益性改善が遅延し、グループ全体の利益を圧迫する可能性。
    • M&Aに伴う多額ののれん償却やPMIリスク、財務面での負担。
    • キャッシュフロー情報が不足しており、詳細な資金状況を把握しにくい点。
  • 【機会】
    • 広範な産業におけるデジタル化、EC化が加速する市場トレンド。
    • 既存顧客へのクロスセル・アップセルや、M&Aを通じた新たな事業シナジーの創出。
    • プラットフォームのネットワーク効果による顧客基盤のさらなる拡大。
  • 【脅威】
    • 公開買付け(MBO)の成立による上場廃止、およびそれによる株式の流動性低下。
    • 印刷、物流、広告など各事業領域における競合激化と価格競争の激化。
    • マクロ経済の悪化が中小企業顧客の需要を冷え込ませるリスク。
  • 【注目すべき指標】
    • 四半期ごとの調達プラットフォームの成長率と利益率の推移。
    • マーケティングプラットフォームの黒字化達成時期と、その後の収益貢献度合い。
    • MBOの進捗状況と、もし非公開化された場合の今後のIR方針。
    • 総資産に対する現預金比率と有利子負債の推移、およびそれに伴う財務健全性の変化。

10. 企業スコア

  • 成長性: S
    • 2026年7月期通期予想売上高成長率(対2025年7月期予想)は22.68%であり、15%以上を大幅に上回っています。過去12ヶ月の四半期売上高成長率も17.20%と高水準です。
  • 収益性: B
    • ROE(実績)は18.86%と高水準ですが、営業利益率(過去12ヶ月)は6.53%であり、B評価基準の「営業利益率 5-10%」に該当します。「S: ROE 15%以上 かつ 営業利益率 15%以上」の条件には合致しません。
  • 財務健全性: B
    • 自己資本比率(実績)は32.6%であり、B評価基準の「自己資本比率 30-40%」に該当します。流動比率(直近四半期)149%は200%を下回っており、A評価基準を満たしていません。
  • 株価バリュエーション: D
    • PER(会社予想)37.24倍、PBR(実績)7.17倍であり、それぞれ業界平均(PER 23.2倍、PBR 2.3倍)の130%以上であるため、割高と判断されます。

企業情報

銘柄コード 4384
企業名 ラクスル
URL http://corp.raksul.com/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,870円
EPS(1株利益) 50.05円
年間配当 0.00円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 23.3% 38.0倍 5,409円 23.7%
標準 17.9% 33.0倍 3,765円 15.0%
悲観 10.7% 28.1倍 2,340円 4.6%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,870円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,872円 ○ 0%割安
10% 2,337円 ○ 20%割安
5% 2,950円 ○ 37%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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