1. 企業概要
日鉄ソリューションズは、情報システムに関するコンサルティングから企画、設計、開発、運用、保守までの一貫したITソリューションを提供する企業です。主力サービスは製造業向けのシステム構築やITインフラサービスであり、データセンター事業の強化も進めています。売上収益の約7割を占めるビジネスソリューションと、コンサルティング&デジタルサービスの2つの事業領域で展開しています。
主力製品・サービスは、ITインフラサービス、ERP、管理可視化、システムインテグレーション、生産・販売管理ソリューションなど多岐にわたります。特に日本製鉄グループで培われた製造業向けシステム構築に強みを持ち、クラウド、セキュリティ、AI関連の先進技術を積極的に取り入れています。
収益モデルは、顧客企業のシステム構築・運用・保守を受託するプロジェクト型(フロー型)が中心でありながら、クラウドサービスやデータセンター事業による継続的なサービス提供(ストック型)も展開しています。主要顧客は日本製鉄を含む製造業を筆頭に、流通、金融、通信、政府機関と幅広く、B2Bが主軸です。
技術的独自性としては、大規模システム構築・運用で培われたノウハウと、親会社である日本製鉄との強固な顧客基盤が挙げられます。近年のM&Aによる事業領域拡大や、クラウド・AIを活用したデジタルサービスの強化は、技術的優位性と参入障壁を高めています。
2. 業界ポジション
日鉄ソリューションズは、日本製鉄グループを主要顧客とする大手システムインテグレーター(SIer)の1社です。日本製鉄グループへの依存度は約20%であり、グループ外へのサービス拡大を積極的に進めています。
市場動向としては、デジタルトランスフォーメーション(DX)投資ニーズが継続的に堅調であり、クラウド、セキュリティ、AIといった先進技術への需要が拡大しています。同社はインフォコムの連結子会社化といったM&Aや、クラウド・AIプロダクトの開発・展開を通じて、これらの市場機会に対応しています。
競合に対する相対的な強みとしては、親会社である日本製鉄の高い信用力と、大規模かつミッションクリティカルなシステム構築・運用能力が挙げられます。特に製造業における深い業務知識は、他社との差別化要因となっています。一方、弱みとしては、大手企業特有の組織硬直性や、M&A後のシナジー創出や統合(PMI)にかかる時間、コストリスクが挙げられる可能性があります。
【定量比較】
現在のPERは27.85倍、PBRは3.06倍です。業界平均がPER 23.2倍、PBR 2.3倍であることから、当社の株価は業界平均と比較して割高な水準にあると判断されます。
3. 経営戦略
経営陣は「NSSOL 2030ビジョン」に基づき、事業収益モデルの変革(TAM型:T/A/Mモデル)を掲げています。これは、従来のSI事業から、よりアセット化されたサービスやマネージドサービスへのシフトを意味します。
重点投資分野として、M&Aを通じた事業領域や顧客基盤の拡大(例:インフォコムの連結子会社化)、クラウドやAIを活用したデジタルサービスの開発・展開(例:製造業向け生産管理パッケージ「PPMP」、クラウド「CloudHarbor」、デジタルツイン「Geminant」、AI製品群)を推進しています。
最近の適時開示情報としては、2025年7月1日付でのインフォコム株式の取得および連結子会社化が挙げられます。これは、ヘルスケアや教育分野といった新たな顧客基盤と事業領域を獲得し、同社の成長戦略を加速させるものとみられます。また、2026年3月期第2四半期決算において、売上高通期予想を上方修正しました(357,000百万円から377,000百万円へ)。
これらの戦略は、今後の業績に売上高の拡大効果をもたらす一方で、M&Aに伴うのれんや無形資産の増加、買収関連費用、統合コストが増加し、短期的な利益率やキャッシュフローに影響を与える可能性があります。
4. 財務分析
収益性
- 営業利益率(過去12か月):10.20%
- ROE(実績):10.86%
- ROA(過去12か月):6.33%
当社の収益性は、ROEがベンチマークの10%を上回り、ROAもベンチマークの5%を上回っており良好な水準です。営業利益率も10%を超えており、安定した収益力を示しています。
財務健全性
- 自己資本比率(実績):62.0%
- 流動比率(直近四半期):2.73倍(273%)
- D/Eレシオ(総負債/自己資本比率、直近四半期):0.099倍(9.90%)
自己資本比率60%以上、流動比率200%以上と、非常に高い財務健全性を維持しており、資本構成も安定しています。
成長性
- 売上高成長率:
- Quarterly Revenue Growth (前年比): 19.90%
- 2025年3月期実績 338,301百万円 → 2026年3月期予想 377,000百万円 (対前年比 +11.4%)
- 利益成長率:
- Quarterly Earnings Growth (前年比): 1.30%
- 2025年3月期実績 27,049百万円 → 2026年3月期予想 29,200百万円 (対前年比 +7.9%)
売上高、利益ともに堅調な成長を見せています。特に直近四半期の売上高成長率はM&Aの影響もあり顕著ですが、通期予想も二桁成長を見込んでいます。
キャッシュフロー(2026年3月期 第2四半期 中間期)
- 営業活動によるキャッシュフロー(営業CF):△12,299百万円(前年同期 +23,975百万円)
- 主因:法人税等支払の増加(△30,369百万円)、和解金支払(△5,000百万円)等
- 投資活動によるキャッシュフロー(投資CF):△56,716百万円(前年同期 +72,334百万円)
- 主因:子会社株式取得支出(インフォコム等)△54,397百万円
- 財務活動によるキャッシュフロー(財務CF):△10,749百万円(前年同期 △8,274百万円)
- 主因:配当金の支払(△6,861百万円)、リース負債の返済による支出
- フリーキャッシュフロー(FCF):営業CF △12,299百万円 − 投資CF △56,716百万円 = △69,015百万円(大幅なマイナス)
- 営業CF/純利益比率:0.03(通期の過去12か月ベース)
- (中間期では、営業CF △12,299百万円 / 親会社に帰属する中間利益 12,007百万円 ≒ △1.02 となり、利益の質に懸念があります。これは税金支払増やM&A関連の一時的な支出に起因します。)
- 現金及び現金同等物残高:112,927百万円(前期末から△80,003百万円)
直近の中間期においては、M&Aによる子会社株式取得支出や法人税等の大型支払いが主因となり、営業CFおよびFCFが大きくマイナスとなっています。これは戦略的な投資に伴う一時的なキャッシュ流出と見られますが、今後のキャッシュフローの改善が重要となります。
セグメント別分析(2026年3月期 第2四半期 中間期)
日鉄ソリューションズは単一セグメント「情報サービス事業」ですが、内部管理上、以下の分野に区分されています。
- ビジネスソリューション:売上収益 135,072百万円(前年同期比 +15.9%)
- 売上構成比:75.7% (135,072 / 178,375)
- 成長ドライバー:インフォコムの連結化寄与に加え、産業・鉄鋼、流通分野の需要好調が貢献。
- コンサルティング&デジタルサービス:売上収益 43,302百万円(前年同期比 +8.1%)
- 売上構成比:24.3% (43,302 / 178,375)
- 成長ドライバー:クラウド、セキュリティ、AI関連の引き合い増加。
ビジネスソリューション事業が売上の大半を占め、今回のM&Aでさらに成長が加速しています。コンサルティング&デジタルサービスも安定した成長を継続しており、今後の収益貢献が期待されます。セグメント別の利益情報は開示されていません。
四半期進捗(2026年3月期 第2四半期 中間期、通期予想に対する進捗率)
- 売上高(通期予想377,000百万円):178,375百万円 → 進捗率 47.3%
- 営業利益(通期予想43,000百万円):18,272百万円 → 進捗率 42.5%
- 親会社帰属中間利益(通期予想29,200百万円):12,007百万円 → 進捗率 41.1%
売上高は中間期にして約47%の進捗と堅調ですが、利益は41-42%台にとどまっており、下期での巻き返しや費用管理が重要となります。前年同期と比較して売上は大幅増(+13.9%)であるものの、営業利益の伸びは+0.8%と横ばいに近く、M&Aに伴う販売費および一般管理費の増加が影響しています。
5. 株価分析
現在の水準
- PER(会社予想):27.85倍
- PBR(実績):3.06倍
- 業界平均PER:23.2倍、業界平均PBR:2.3倍
当社のPERおよびPBRは、ともに業界平均を上回っており、現在の株価は割高な水準にあると判断されます。
EPSベースの理論株価レンジ(業界平均PER基準):159.58円(予想EPS)× 23.2倍(業界平均PER)= 3,702円
BPSベースの理論株価レンジ(業界平均PBR基準):1,453.87円(実績BPS)× 2.3倍(業界平均PBR)= 3,344円
現在の株価4,444円は、これらの理論株価レンジを上回っています。
テクニカル
- 52週高値:4,580円、52週安値:3,259円
- 52週レンジ内位置:89.7%(高値圏)
- 現在株価:4,444.00円
- 5日移動平均線:4,419.00円(株価が上回り、0.57%上方に位置)
- 25日移動平均線:4,357.72円(株価が上回り、1.98%上方に位置)
- 75日移動平均線:3,906.08円(株価が上回り、13.77%上方に位置)
- 200日移動平均線:3,821.19円(株価が上回り、16.30%上方に位置)
株価はすべての移動平均線を上回っており、短期から長期にわたる強い上昇トレンドにあることを示しています。移動平均線は、短期線が長期線を上回って推移しており、ゴールデンクロスを形成している可能性が高いです。
市場との比較
- 1ヶ月リターン:株式 +7.21% vs 日経平均 +2.68% → 日経平均を 4.53%ポイント上回る
- 3ヶ月リターン:株式 +21.95% vs 日経平均 +8.33% → 日経平均を 13.62%ポイント上回る
- 6ヶ月リターン:株式 +10.52% vs 日経平均 +30.55% → 日経平均を 20.03%ポイント下回る
- 1年リターン:株式 +8.44% vs 日経平均 +33.05% → 日経平均を 24.61%ポイント下回る
- 1ヶ月リターン:株式 +7.21% vs TOPIX +3.84% → TOPIXを 3.38%ポイント上回る
直近1ヶ月および3ヶ月では日経平均・TOPIXを上回るパフォーマンスを示していますが、中長期(6ヶ月、1年)では市場平均を下回っています。これは、市場全体の強い上昇局面において、一部大型株のインデックス寄与が大きかったことや、同社株価の伸びが限定的だったことによる可能性があります。
6. リスク評価
- ベータ値(5年月次):0.16
- ベータ値は0.16と非常に低く、市場全体の変動に対する感応度が低い、すなわち比較的安定した株価特性を持つ銘柄と考えられます。
- 決算短信記載のリスク要因
- のれん減損リスク:M&Aにより28,432百万円ののれんを計上しており、将来的な減損のリスクがあります。
- キャッシュフローの一時悪化:M&A関連支出や法人税等の大型支払いが一時的に営業CFおよびFCFを大きく押し下げています。
- マクロ経済リスク:景気変動による顧客企業のIT投資抑制や、地政学リスク、為替変動(海外事業展開に伴う)の影響を受ける可能性があります。
- 統合リスク:インフォコム含むM&A後の子会社との統合プロセスにおいて、シナジー効果が計画通り発現しなかったり、統合コストが想定を上回ったりするリスクがあります。
- 事業特有のリスク
- 技術陳腐化リスク:情報通信技術の進化は速く、R&D投資や人材育成を怠ると競争優位性を失う可能性があります。
- 人材確保・育成リスク:IT人材の不足は業界全体の課題であり、優秀な人材の確保・育成が事業継続・成長の鍵となります。
- 情報セキュリティリスク:顧客の重要情報を扱うため、セキュリティインシデントが発生した場合、企業の信用失墜や損害賠償につながる可能性があります。
- 52週レンジにおける現在位置:89.7%(0%=安値、100%=高値)
- 現在株価は52週高値圏に位置しており、短期的には下落圧力が高まる可能性があります。
7. 市場センチメント
- 信用買残:58,200株(前週比 -900株)
- 信用売残:25,100株(前週比 -4,100株)
- 信用倍率:2.32倍
信用取引の状況は、買残が売残を上回る買い長の状態ですが、信用倍率は2.32倍であり、需給が極端に偏っているとは言えません。買残・売残ともに前週比減少しており、活発な取引が行われている状況ではないと見られます。
- 株主構成:
- 日本製鉄:63.42%(116,067,000株)
- 3D・WHオポチュニティ・マスターOFC:10.1%(18,483,000株)
- 日本マスタートラスト信託銀行(信託口):4.19%(7,673,000株)
- 自社社員持株会:2.11%(3,870,000株)
- 機関投資家保有比率:20.69%
- 経営陣の持株比率:65.54% (インサイダー保有比率)
大株主である日本製鉄が過半数の株式(63.42%)を保有しており、安定株主が非常に高い比率を占めます。これは経営の安定性を示す一方で、浮動株比率が低く(Float 43.87M)、市場での流通量が限定的である可能性を示唆します。
8. 株主還元
- 配当利回り(会社予想):1.80%
- 1株配当(会社予想):80.00円(中間40円、期末40円)
- 配当性向(会社予想):50.1%
配当性向は連結配当性向50%を目安としており、実績としてその方針が維持されています。
配当の継続性・増配傾向は、過去の配当金履歴を見ると、2020年3月期から2025年3月期まで毎年増配しており、2026年3月期も増配予想です。これは株主還元に積極的な姿勢を示しています。
自社株買いの実績については今回の情報からは明示されていませんが、期末自己株式数は20,595株とわずかです。
9. 総合評価
投資ポイント
- 日本製鉄を筆頭とする安定的な顧客基盤と、堅調なIT投資市場を背景とした売上成長。
- 高い自己資本比率と流動比率に裏打ちされた盤石な財務基盤。
- M&Aやアセット型サービス強化により、持続的な成長と事業モデル変革を志向。
強み
- 親会社である日本製鉄との強固なリレーションシップと大規模システム構築の実績。
- 高い収益性(ROE 10.86%、営業利益率 10.20%)と非常に健全な財務体質。
- DX市場の成長を捉えるM&Aとクラウド/AI等の先進技術への戦略的投資。
弱み
- M&A後のキャッシュフロー悪化と、のれん減損リスク。
- 市場平均と比べて割高な株価バリュエーション。
- IT業界の急速な変化への対応、人材確保・育成の継続的な必要性。
機会
- DXの進展、クラウド、AI、セキュリティ投資の加速による事業領域の拡大。
- M&Aによる新たな事業領域(ヘルスケア等)や顧客基盤の獲得とシナジー創出。
- 高い財務健全性を生かしたさらなる成長投資の余地。
脅威
- M&A後の統合の遅れや計画通りのシナジーが得られないリスク。
- 主要顧客である日本製鉄グループの業績動向への影響。
- 競争激化、価格競争による収益性悪化の可能性。
注目すべき指標
- のれんの減損状況(M&A後ののれん償却費や減損損失)。
- 営業活動によるキャッシュフローの改善とフリーキャッシュフローの黒字転換。
- M&Aで獲得したインフォコム等の連結子会社の業績貢献と統合進捗。
- 業務モデル変革(TAM型)による高付加価値サービスの売上構成比と利益率の推移。
10. 企業スコア
- 成長性: A
- 2026年3月期通期売上成長率予想 11.4%(売上成長率 10-15%の範囲)
- 収益性: A
- ROE 10.86%(10-15%) かつ 営業利益率 10.20%(10-15%)
- 財務健全性: S
- 自己資本比率 62.0%(60%以上) かつ 流動比率 273%(200%以上)
- 株価バリュエーション: D
- PER 27.85倍(業界平均23.2倍の約120%)
- PBR 3.06倍(業界平均2.3倍の約133%)
- PER/PBR共に業界平均の130%以上であるため、D評価。
企業情報
| 銘柄コード | 2327 |
| 企業名 | 日鉄ソリューションズ |
| URL | https://www.nssol.nipponsteel.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 4,444円 |
| EPS(1株利益) | 159.58円 |
| 年間配当 | 1.80円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8.9% | 31.2倍 | 7,641円 | 11.5% |
| 標準 | 6.9% | 27.2倍 | 6,039円 | 6.4% |
| 悲観 | 4.1% | 23.1倍 | 4,507円 | 0.3% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 4,444円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 3,008円 | △ 48%割高 |
| 10% | 3,757円 | △ 18%割高 |
| 5% | 4,741円 | ○ 6%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。