1. 企業概要
ダイトーケミックスは、主に特殊化学品およびファインケミカルズの製造・販売を手掛ける企業です。半導体や液晶ディスプレイ向けの感光性材料を主力としており、「感光性材料最大手」と評されています。また、写真材料や医薬中間体など幅広い化成品を提供する「化成品事業」と、産業廃棄物処理や化学品リサイクルを行う「環境関連事業」を展開しています。
主力製品・サービスは、半導体集積回路や液晶ディスプレイに不可欠な感光性材料の他、高機能樹脂原料、試薬・抗酸化剤・染料成分の原料など多岐にわたります。収益モデルは、化成品事業が主にB2Bの製造販売(フロー型と継続的な供給によるストック型の混合)、環境関連事業がB2Bのサービス提供(フロー型)となっています。
技術的独自性としては、先端産業で用いられる感光性材料が高い技術的ノウハウと品質管理を必要とし、強い参入障壁を築いています。高品質が求められる医薬中間体も同様です。
2. 業界ポジション
ダイトーケミックスは「感光性材料最大手」として、日本の化学業界において特定のニッチ分野で確固たる地位を築いています。市場動向としては、電子材料やディスプレイ関連市場、機能性材料、そして環境規制強化に伴うリサイクル市場の需要拡大が期待されており、同社はDX推進や自動化、成長領域(電子材料、環境関連)への投資を通じてこれに対応しています。
競合に対する相対的な強みは、長年にわたる技術蓄積と顧客との信頼関係にあると考えられます。一方、海外競合や原材料高によるコスト競争力維持が課題となる可能性があります。
【定量比較】業界平均との財務指標比較
| 指標 | ダイトーケミックス (会社予想/実績) | 業界平均 | 評価 |
|---|---|---|---|
| PER (倍) | 14.55 | 15.9 | やや割安 |
| PBR (倍) | 0.73 | 0.7 | 適正 |
業界平均と比較すると、現在の株価はPERでやや割安、PBRで適正な水準にあります。
【同一業種区分企業比較】
同業他社と比較すると、以下のようになります。
| 企業名 | コード | PER(倍) | PBR(倍) | ROE(%) | 営業利益率(%) (参考) |
|---|---|---|---|---|---|
| ダイトーケミックス | 4366 | 14.55 | 0.73 | 5.58 | 4.54 (2026/3中間) |
| 昭和化学工業 | 4990 | 10.41 | 0.63 | 5.23 | データなし |
| 高砂香料工業 | 4914 | 12.28 | 1.00 | 9.75 | データなし |
ダイトーケミックスのPERは高砂香料工業より高いですが、PBRは高砂香料工業より低い水準です。ROEは比較企業の中では最も低い水準にあり、収益性において改善の余地があると言えます。
3. 経営戦略
経営陣は2025年3月期を起点とする3ヵ年中期計画を推進しており、成長投資、研究開発、DX推進、人材強化などを重点分野としています。特に、電子材料や機能性材料といった成長領域、および廃棄物処理・リサイクルなどの環境関連分野への投資を継続し、事業強化を図っています。
最近の適時開示情報としては、2025年10月1日付で普通株式1株を3株に分割する株式分割を実施しました。これにより投資単位を引き下げ、株式の流動性向上と投資家層の拡大を目指しています。
これらの経営戦略は、中長期的な企業価値向上と事業基盤強化に繋がる可能性があります。成長領域への投資は将来の収益源となり、株式分割は市場での認知度向上と取引活発化に寄与することが期待されますが、短期的な業績への直接的な影響は限定的です。
4. 財務分析
【収益性】
- 営業利益率: 過去12か月では2.36%ですが、2026年3月期中間実績では4.54%、2025年3月期通期実績では4.55%となっています。ベンチマークの5%台には届かず、収益性には改善の余地があります。
- ROE(自己資本利益率): (連)5.58% (実績)、過去12か月で5.43%です。ベンチマークの10%には届いておらず、資本効率の向上が課題です。
- ROA(総資産利益率): 過去12か月で2.28%です。ベンチマークの5%と比較して低い水準です。
【財務健全性】
- 自己資本比率: (連)61.1% (実績)、中間期で61.3%と極めて高く、財務基盤は非常に強固です。
- 流動比率: 直近四半期で2.13 (213%) と、短期的な支払い能力も盤石です。
- D/Eレシオ(負債資本比率): 直近四半期で36.47%と低く、過度な借入に依存しない安定した財務状況を示しています。
【成長性】
- 売上高成長率: 2024年3月期には減少しましたが、2025年3月期は対前年比+17.92%の増収を見込んでいます。2026年3月期は対前年比+4.60%の増収予想で、一時的な回復から安定成長への移行を目標としています。直近四半期で見ると前年比+0.80%とやや鈍化が見られます。
- 利益成長率: 2024年3月期には大幅な赤字を計上しましたが、2025年3月期は黒字回復。2026年3月期は売上高増ながらも、営業利益、純利益ともに若干の減益が予想されており、利益の安定成長には課題が残ります。
【キャッシュフロー】
- 営業キャッシュフロー (過去12か月): 1,530百万円と継続的にプラスを確保しています。
- 投資キャッシュフロー: データなし。
- 財務キャッシュフロー: データなし。
- フリーキャッシュフロー (過去12か月): 871百万円と潤沢であり、事業活動で資金を創出する能力が高いことを示しています。
- 営業CF/純利益比率: 1.88と1.0を大きく上回っており、利益の質は非常に優良で、キャッシュを伴わない会計上の利益ではないことを示しています。
- 配当カバレッジ比率: (営業CF 1,530百万円 / 配当支払額(予想) 268.8百万円) = 約5.69倍。営業キャッシュフローで配当支払いを十分にカバーできる健全な水準です。
【セグメント別分析】
2026年3月期中間期の実績は以下の通りです。
- 化成品事業: 売上高 8,714百万円 (前年中間比 +1.9%)、セグメント利益 320百万円 (利益率 3.67%)。売上構成比は91.1%と主力事業です。
- 環境関連事業: 売上高 847百万円 (前年中間比 +13.9%)、セグメント利益 107百万円 (利益率 12.63%)。売上構成比は8.9%ですが、売上成長率が化成品事業を大きく上回り、かつ利益率も化成品事業より約3.5倍と高い収益性を誇ります。
成長ドライバーは環境関連事業であり、高付加価値な事業として今後の成長が期待されます。
【四半期進捗】
2026年3月期の通期予想に対する中間期の進捗率は以下の通りです。
- 売上高: 49.1% (概ね年間計画通り)
- 営業利益: 52.3% (年間計画に対して若干良好)
- 親会社株主に帰属する中間純利益: 27.3% (年間計画に対して低め)
中間純利益の進捗遅延は、法人税等の増加(前年中間比+168百万円)や一時的な特別損益(和解金等8百万円)が主な要因です。会社は通期予想を据え置いていますが、下期での純利益の巻き返しが必要です。
5. 株価分析
【現在の水準】
- PER(会社予想): 14.55倍。業界平均PER15.9倍と比較してやや割安な水準にあります。
- PBR(実績): 0.73倍。業界平均PBR0.7倍とほぼ同水準であり、適正と評価できます。
- EPS(会社予想): 23.91円、BPS(実績): 478.11円。
- 理論株価レンジ: 業種平均PER基準で401円、業種平均PBR基準で335円となり、現在の株価348円は理論株価レンジの下限に近い水準です。
【テクニカル】
- 52週高値・安値: 52週高値358円、安値160円に対し、現在株価348円は高値圏に位置しています。
- 移動平均線との位置関係: 現在株価348円は、5日移動平均線(344.80円)、25日移動平均線(302.92円)、75日移動平均線(295.26円)、200日移動平均線(260.62円)の全てを上回っています。これは、短期から長期にわたる強い上昇トレンドを示唆しています。
- トレンドシグナル: 全ての移動平均線が上向きで、短期線が長期線を上回っているため、ゴールデンクロスの発生、または継続が示唆され、上昇トレンドが示されていると判断できます。
【市場との比較】
- 日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス: 直近1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の期間では、日経平均およびTOPIXといった市場指数を上回るパフォーマンスを発揮しています。特に6ヶ月では市場を約20%ポイント上回っています。しかし、1年間のパフォーマンスでは-42.48%と日経平均を大きく下回っており、過去1年間で株価が大きく下落した期間があったことを示唆しています。
6. リスク評価
- ベータ値: 5年間の月次ベータ値は0.97であり、市場全体とほぼ同程度の変動性を持つ銘柄と言えます。
- 決算短信記載のリスク要因: 為替変動、原材料価格の上昇、地政学リスク、人件費上昇、そして税負担の変動、補助金等の一時的な収益が非継続となるリスクを挙げています。
- 事業特有のリスク:
- 化成品事業: 主要な顧客産業である半導体・液晶市場の景気変動や設備投資動向、技術革新による製品の陳腐化リスクがあります。
- 環境関連事業: 環境規制の変更や、廃棄物処理市場の需給バランス、処理コストの変動が影響を及ぼす可能性があります。
- 52週レンジにおける現在位置: 現在株価348円は52週高値358円に非常に近く、短期的な過熱感や調整リスクには留意が必要です。
7. 市場センチメント
- 信用取引の状況: 信用買残が685,700株に対し、信用売残は0株であり、信用倍率0.00倍となっています。これは、信用買いが一方的に多く、将来的に利益確定売りが出やすい需給状況を示唆しています。株価上昇の背景には信用買いの増加があると考えられます。
- 株主構成と大株主の動向: 大株主には平松裕将氏(10.7%)、東京応化工業(4.66%)、日本生命保険(4.46%)といった安定株主が名を連ねています。
- 経営陣の持株比率と安定株主の状況: 内部者(インサイダー)保有比率は43.96%と高く、経営陣が会社の株式を相当数保有しており、経営に対するコミットメントが高いと言えます。また、浮動株比率も比較的高い可能性があります(Float 15.84M / Shares Outstanding 32.21M = 49%)。
8. 株主還元
- 配当利回り: 会社予想の1株配当8.00円を現在の株価348.0円で計算すると、約2.30%となります。これはYahoo Japanのデータと一致します。
- 配当性向: 会社予想EPS23.91円に基づく配当性向は約20.9%(Yahoo Japanデータ)または約34.9%(レポート内計算値)であり、どちらの数値も利益に対する配当の割合が健全な水準にあり、持続可能な配当政策と評価できます。
- 配当の継続性・増配傾向: 2024年3月期は大幅な赤字を計上しましたが、配当は継続(3.33円)。2026年3月期の年間配当予想は8円(株式分割後ベース)と、継続的な配当だけでなく増配の姿勢も見られます。
- 自社株買いの実績と方針: 直近の自社株買いに関する特別な開示はありませんが、大株主リストに「自社(自己株口) 4.15%」の記述があり、過去には自社株買いを実施しています。株式分割による投資単位引き下げで流動性向上を図るなど、株主還元への意識は高いと言えます。
9. 総合評価
【投資ポイント】
- 高い技術力を背景とした感光性材料事業の基盤と、高成長・高収益の環境関連事業の拡大。
- 自己資本比率60%超、流動比率200%超と、極めて強固な財務体質。
- 営業キャッシュフローが純利益を大幅に上回る利益の質と、潤沢なフリーキャッシュフロー。
【強み】
- 特定分野(感光性材料、医薬中間体)における高い技術力と市場優位性。
- 化成品と環境関連の多角化された事業ポートフォリオ。
- 盤石な財務基盤と安定したキャッシュ創出力。
- 株式分割を通じた投資家層拡大への積極的な姿勢。
【弱み】
- ROE、ROA、営業利益率といった収益性指標が業界平均やベンチマークを下回る。
- 純利益が税負担や一時的要因によって変動しやすく、安定成長に課題。
- 半導体・液晶市場の景気変動に業績が左右される可能性。
【機会】
- 半導体・ディスプレイ市場の長期的な需要拡大。
- 環境規制強化や資源循環ニーズの高まりによる環境関連事業のさらなる成長。
- 株式分割による個人投資家からの注目度向上と流動性改善。
【脅威】
- 原材料価格の高騰や為替変動によるコスト増加と収益圧迫。
- 地政学リスクや人件費上昇による事業環境の悪化。
- 競合他社の技術革新や価格競争激化。
【注目すべき指標】
- ROEの改善状況(特に目標とする10%を超えるか)。
- 環境関連事業の売上高成長率とセグメント利益率の推移。
- 2026年3月期通期純利益予想770百万円の達成可否(特に下半期の税負担・特別損益の状況)。
10. 企業スコア
- 成長性: C
- 直近の売上成長率は高かったものの、2026年3月期の通期予想売上成長率は+4.60%と5%を下回る。中間期の四半期ベース売上成長率も0.80%と低調であり、全体としては緩やかな成長が見込まれます。
- 収益性: C
- ROE (5.58%) はベンチマークの10%未満、営業利益率 (中間期4.54%) もベンチマークの5%台に留まり、改善の余地が大きいと評価できます。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率61.3%および流動比率213%は、ともに非常に優れた水準であり、盤石な財務基盤を構築しています。
- 株価バリュエーション: B
- PER14.55倍は業界平均15.9倍の約91.5%とやや割安、PBR0.73倍は業界平均0.7倍の約104%と概ね適正水準にあり、総合的に「適正」と評価できます。
企業情報
| 銘柄コード | 4366 |
| 企業名 | ダイトーケミックス |
| URL | http://www.daitochemix.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 348円 |
| EPS(1株利益) | 23.91円 |
| 年間配当 | 2.30円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.0% | 16.7倍 | 400円 | 3.4% |
| 標準 | 0.0% | 14.6倍 | 348円 | 0.6% |
| 悲観 | 1.0% | 12.4倍 | 311円 | -1.5% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 348円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 179円 | △ 95%割高 |
| 10% | 223円 | △ 56%割高 |
| 5% | 282円 | △ 24%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。
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