1. 企業概要

ニチモウは、1910年に創業された、日本を代表する総合商社の一つです。主力事業は水産物を扱う食品事業と、漁網・漁具などを供給する海洋事業です。これらに加え、食品加工機械や資材(合成樹脂、包装材、農業資材など)の製造・販売も手掛けています。
主力製品・サービスは、鮮凍水産物、加工食品、すり身等の「食品」、養殖関連(生簀・飼料等)、漁網・漁具資材、船舶・機械等の「海洋」、そして食品製造設備等の「機械」です。収益モデルは多様で、水産物や資材の商社機能としてのフロー型取引が主軸ですが、養殖飼料や包装資材などは継続的な需要が見込まれるストック型の要素も含みます。B2B取引が中心ですが、加工食品などを通じて間接的にB2C市場にも関わっています。
技術的独自性としては、長年培ってきた漁網・漁具製造技術や水産物調達・加工のノウハウ、食品加工機械のソリューション提供能力が挙げられます。同社は「浜から食卓まで」という独自のサプライチェーンを構築しており、これが高い参入障壁となっています。

2. 業界ポジション

ニチモウは商社・卸売業に属し、特に水産関連分野においては国内外に広範なネットワークを持つ主要プレイヤーです。市場シェアの具体的な数値は開示されていませんが、水産分野における長い歴史とブランド力により、強固なポジションを確立していると推測されます。
市場動向としては、食の安全意識の高まり、水産資源の枯渇問題、国際的な漁業規制強化など、様々な変化に直面しています。同社は、養殖事業の強化や、環境に配慮した資材の開発、高付加価値製品への注力、全社システム(DX)による効率化などで対応を図っています。
競合に対する相対的な強みは、食品、海洋、機械、資材という多角的な事業展開と、それに伴う総合的なソリューション提案力です。一方で、食品事業における原料価格の変動リスクは弱みとなり得ます。

【定量比較】

指標 ニチモウ (会社予想/実績) 業界平均 評価
PER (倍) 8.36 12.1 割安
PBR (倍) 0.66 1.0 割安
ROE (実績) 9.11% データなし 普通
営業利益率(過去12か月) 1.74% データなし 低い

【同一業種区分企業比較】(卸売業)

同一業種区分企業として「ジェリービーンズグループ(3070)」の情報が提供されていますが、PERが「-」、ROEが「-376.09%」と財務状況が大きく異なるため、PBRのみ比較可能です。

企業名 コード PBR (倍)
ニチモウ 8091 0.66
ジェリービーンズグループ 3070 1.46

ニチモウのPBRは0.66倍であり、提供された同一業種区分の企業(ジェリービーンズグループ)と比較すると、より割安な水準にあります。業界平均PER/PBRと比較しても割安感が確認できます。

3. 経営戦略

ニチモウは「浜から食卓まで」をコーポレートスローガンに掲げ、中期経営計画において、高水準の利益達成と持続的成長の実現を目指しています。最終年度(2028年3月期)には配当性向35%以上(累進配当政策実質)、中長期(~2035年)では配当性向40%以上、DOE 4.0%以上を視野に入れるなど、株主還元への意欲も高いです。
重点投資分野と成長戦略として、中期経営計画では以下の点を挙げています。

  • 食品加工強化(M&Aを含む60億円のM&A枠活用を想定)
  • 養殖事業の拡大
  • 全社システム(DX)投資(20億円、体制再構築を開始)
  • 環境関連事業への取り組み

最近の適時開示情報(2026年3月期第2四半期決算短信補足説明資料)によると、M&Aの具体的な成果はまだないものの、陸上養殖システムの試験プラントを年度内に岩手県久慈市に設置する計画が進行中です。これにより陸上養殖の設計から運営まで一貫体制の構築を目指します。また、全社システムの抜本的再構築を開始しており、DXへの投資が具体化しています。
これらの投資は、食品事業の高付加価値化、海洋事業における新規成長領域の開拓、そして企業全体の生産性向上と競争力強化に寄与すると期待されます。特に、食品事業における原料高騰リスクに対して、高付加価値化やサプライチェーン強化で対応する方針は今後の収益安定化に影響を与える可能性があります。

収益性

  • 営業利益率(過去12か月): 1.74%
  • ROE(過去12か月): 9.57%
  • ROA(過去12か月): 2.29%

直近12か月の実績では、営業利益率が低水準にあります。ROEはベンチマーク(10%)に迫る水準ですが、ROAはベンチマーク(5%)を下回っており、資産効率を改善の余地があることを示唆しています。なお2026年3月期上期の段階では、営業利益率は2.4%に改善しています。

財務健全性

  • 自己資本比率(実績): 36.4%(目安:40%以上が安定水準)
  • 流動比率(直近四半期): 166%(目安:120%以上が健全)
  • D/Eレシオ(直近四半期): 1.31倍

自己資本比率はやや低い水準ですが、流動比率は健全であり、短期的な支払い能力に問題はありません。ただし、直近四半期で短期債務が大幅に増加している点は留意が必要です。

成長性

決算期 売上高 (百万円) 売上高成長率 最終益 (百万円) 利益成長率
2022/3連 115,469 2,754
2023/3連 126,829 9.84% 2,437 -11.51%
2024/3連 127,756 0.73% 2,349 -3.42%
2025/3連(予) 133,900 4.81% 2,666 13.49%
2026/3連(予) 135,000 0.82% 2,500 -6.23%

売上高は緩やかな成長が続いていますが、利益は変動が大きく、安定的な成長には課題が見られます。特に2026年3月期は増収ながら減益予想となっています。過去12か月の売上高成長率は前年同期比で+9.05%と堅調です。

キャッシュフロー

(2026年3月期 第2四半期実績)

  • 営業活動によるCF: △9,440百万円(前年同期 △13,466百万円、4,025百万円改善)
  • 投資活動によるCF: △458百万円(前年同期 △765百万円、307百万円改善)
  • 財務活動によるCF: +10,329百万円(前年同期 +12,402百万円)
  • フリーキャッシュフロー (FCF): △9,898百万円(前年同期 △14,232百万円、4,333百万円改善)

上期は棚卸資産の大幅な積増し(+8,442百万円)が主な要因となり、営業キャッシュフローはマイナスとなりました。これは年末商戦に向けての季節的な在庫積増しと説明されており、例年3Q以降に消化される見込みです。投資活動は新規設備投資(有形・無形固定資産)に充当されており、財務活動では短期借入金(+10,384百万円)による資金調達が行われています。

  • 営業CF/純利益比率(上期): -7.11倍 (季節的要因による在庫積増し等の影響でマイナス)
  • 配当カバレッジ比率(過去12か月営業CF対年間予想配当支払い額): 2.97倍(営業CF 2,680百万円 / 配当支払い額 901百万円)

セグメント別分析

(2026年3月期 第2四半期実績、上期)

セグメント 売上高 (百万円) 売上高前年比 営業利益 (百万円) 営業利益前年比 売上構成比 利益寄与度
食品 42,157 +8.7% 772 -11.9% 62.9% 48.7%
海洋 12,227 +10.6% 659 +46.2% 18.2% 41.5%
機械 6,670 +11.0% 766 +96.0% 10.0% 48.3%
資材 4,612 +4.7% 192 +0.5% 6.9% 12.1%
  • 食品事業は売上構成比が最も高いものの、原料高騰により営業減益となりました。中国向け凍魚販売が大幅に拡大したものの、採算が悪化しています。
  • 機械事業は国内外の設備投資需要回復と量販店向け改修案件により、売上・利益ともに大きく伸長し、利益の牽引役となっています。
  • 海洋事業も養殖関連(飼料・海苔相場高)が好調で、売上・利益ともに大幅増益となっています。
  • 資材事業は前年並みの推移です。

成長ドライバーは機械・海洋事業ですが、売上高の大部分を占める食品事業の採算改善が全体業績の鍵となります。

四半期進捗

2026年3月期通期予想に対する上期(第2四半期末)の進捗率は以下の通りです。

  • 売上高: 49.6%(通期予想135,000百万円に対し実績67,022百万円)
  • 営業利益: 48.1%(通期予想3,300百万円に対し実績1,586百万円)
  • 中間純利益: 53.1%(通期予想2,500百万円に対し実績1,327百万円)

売上高と営業利益の進捗率は前年度上期の進捗率(売上約46%、営業利益約41%)と比較して良好であり、会社は通期予想の達成に概ね整合していると説明しています。食品事業の下期回復(年末商戦)と、機械・海洋事業の堅調な推移が前提となっています。

現在の水準

  • PER(会社予想): 8.36倍
  • PBR(実績): 0.66倍

業界平均PER 12.1倍、PBR 1.0倍と比較すると、ニチモウのPERおよびPBRは共に業界平均より大幅に低い水準にあり、割安と判断されます。

  • EPS(会社予想299.21円)ベースの理論株価レンジ
    • 業界平均PER 12.1倍を適用すると、299.21円 × 12.1倍 = 3,620円
  • BPS(実績3,812.73円)ベースの理論株価レンジ
    • 業界平均PBR 1.0倍を適用すると、3,812.73円 × 1.0倍 = 3,813円

現在の株価2,500円は、これらの理論株価レンジを下回っており、バリュエーション面では割安感があります。

テクニカル

  • 52週高値・安値との位置関係: 52週高値2,677円、52週安値1,659円に対し、現在株価は2,500円。52週レンジ内での現在位置は82.6%となっており、高値圏で推移しています。
  • 移動平均線との位置関係:
    • 5日移動平均線 (2,486.00円) を0.56%上回る
    • 25日移動平均線 (2,432.56円) を2.77%上回る
    • 75日移動平均線 (2,459.57円) を1.64%上回る
    • 200日移動平均線 (2,293.01円) を9.03%上回る

現在株価は全ての移動平均線を上回って推移しており、堅調な上昇トレンドを示唆しています。

  • トレンドシグナル: 現状のデータからはゴールデンクロス・デッドクロスの具体的な発生状況は断定できませんが、短期・中期・長期の移動平均線が順に下から上へ並び上昇基調にあることから、良好なトレンドを形成していると考えられます。

市場との比較

  • 日経平均比:
    • 1ヶ月: +0.96%ポイント上回る
    • 3ヶ月: -7.20%ポイント下回る
    • 6ヶ月: -15.34%ポイント下回る
    • 1年: -3.85%ポイント下回る
  • TOPIX比:
    • 1ヶ月: -0.19%ポイント下回る

全体的に直近1ヶ月は市場をやや上回っているものの、中長期(3ヶ月、6ヶ月、1年)では日経平均およびTOPIXに劣後するパフォーマンスとなっています。

6. リスク評価

  • ベータ値: 0.24

ベータ値が0.24と低く、市場全体の動きに対する感応度が低いことを示しています。これは市場の変動に比較的強い、ディフェンシブな特性を持つ可能性があることを意味します。

  • 決算短信記載のリスク要因:
    • 原材料価格の変動(特に食品事業の業績感度が高い)
    • 海外の通商政策・地政学リスク(米国関税政策、中東情勢など)
    • 国内の人手不足による機械納入遅延リスク(納入時期の長期化)
    • 為替変動(円安は一部事業の追い風となる一方で、急激な変動は影響)
  • 事業特有のリスク:
    • 水産資源の変動や漁獲規制が海洋事業に与える影響
    • 食の安全・品質管理に関するリスクや規制強化
    • 技術陳腐化リスク(食品加工機械分野など)
  • 52週レンジにおける現在位置: 2,500円は52週高値2,677円に近く、レンジの82.6%の位置にあります。これは株価が比較的高値圏にあることを示しており、上値余地は限定的である一方、反落リスクも考慮する必要があります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況:
    • 信用買残: 150,200株
    • 信用売残: 2,700株
    • 信用倍率: 55.63倍

信用買残が信用売残に比べて非常に多く、信用倍率も高い水準にあります。これは将来の株価上昇を期待して買い建てている投資家が多いことを示唆していますが、一方で、買い残の積み上がりは株価の上値を重くする要因となる可能性もあります。

  • 株主構成と大株主の動向:
    • 朝日生命保険 (7.22%)、中村格彰氏 (7.04%)、渡辺冷食 (5.55%)などが主要な大株主です。
    • ニッスイ (2.66%)、極洋 (1.88%)といった同業または関連企業も株主として名を連ねており、事業上の連携や安定株主としての側面が考えられます。
  • 経営陣の持株比率と安定株主の状況:
    • % Held by Insiders: 25.80%
    • % Held by Institutions: 11.35%

内部関係者(経営陣含む)が発行済株式の25.80%を保有しており、経営陣と株主の利害が一致しやすい構造と言えます。大株主構成も安定しており、経営の安定性に寄与していると考えられます。

8. 株主還元

  • 配当利回り(会社予想): 4.00% (株価2,500円、1株配当100円)
  • 配当性向(会社予想): 30.3%

同社は累進配当を掲げており、中期経営計画において2028年3月期に配当性向35%以上、中長期的には40%以上、DOE 4.0%以上を目標としています。

  • 配当の継続性・増配傾向: 2022年3月期の年間配当50円から、2023年3月期80円、2024年3月期90円、2025年3月期97円、そして2026年3月期予想100円と、近年着実に増配傾向にあります。累進配当政策の実施が株主還元にコミットしている姿勢を示しています。
  • 自社株買いの実績と方針: 決算短信に自社株買いに関する明確な記載はありません。

【投資ポイント】

  • 割安なバリュエーションと高配当利回り: 業界平均と比較してPER/PBRが大幅に割安であり、4.00%の配当利回りを維持している点は魅力です。累進配当政策も評価できます。
  • 成長事業の牽引とDX投資: 食品加工機械や養殖関連の海洋事業が好調に推移しており、これら成長分野への重点投資とDXによる企業競争力強化に期待が持てます。
  • ディフェンシブな事業特性: ベータ値が低いことから、市場全体の変動リスクに対する耐性があると考えられます。

【強み】

  • 長年の歴史と水産関連分野における強固なサプライチェーン「浜から食卓まで」
  • 食品、海洋、機械、資材と多角的な事業ポートフォリオ
  • 累進配当政策と安定株主による経営基盤の安定

【弱み】

  • 食品事業における原料価格変動リスクによる利益の不安定性
  • 営業利益率が低く、全体的な収益性の改善が課題
  • 借入金増加による財務レバレッジの上昇

【機会】

  • 陸上養殖システムなど新規事業領域への投資による成長可能性
  • DX推進による業務効率化と新たな価値創造
  • 高付加価値食品や環境配慮型資材への市場ニーズの高まり

【脅威】

  • 国際情勢や為替変動、通商政策の不確実性
  • 国内外の人手不足による生産・納入体制への影響
  • 消費者購買力の変動や水産資源の枯渇問題

【注目すべき指標】

  • 食品事業の営業利益率の四半期ごとの推移と通期目標達成状況
  • 陸上養殖事業を含む中期経営計画の設備投資・M&Aの具体的な進捗
  • 自己資本比率および短期借入金を含む流動負債の増減

10. 企業スコア

観点 評価 評価理由
成長性 B 売上成長率(過去12か月実績対前年実績)が+9.05%で、5-10%の範囲に該当。通期予想成長率はC評価だが、直近実績を踏まえBとする。
収益性 B ROE 9.57%(AまたはBの条件を満たす)または営業利益率 1.74%(Dの条件を満たす)。ROEが8-10%の範囲でB評価となる。
財務健全性 B 自己資本比率 36.4%で、30-40%の範囲に該当。
株価バリュエーション S PER 8.36倍(業界平均12.1倍の69.09%)およびPBR 0.66倍(業界平均1.0倍の66%)で、共に業界平均の70%以下であり、大幅に割安。

企業情報

銘柄コード 8091
企業名 ニチモウ
URL http://www.nichimo.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 商社・卸売 – 卸売業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,500円
EPS(1株利益) 299.21円
年間配当 4.00円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 1.5% 9.6倍 3,095円 4.5%
標準 1.1% 8.4倍 2,646円 1.3%
悲観 1.0% 7.1倍 2,235円 -2.0%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 2,500円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,326円 △ 89%割高
10% 1,656円 △ 51%割高
5% 2,090円 △ 20%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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