個人投資家の皆様へ

1. 企業概要

千代田化工建設は、三菱系の総合エンジニアリング大手であり、特に液化天然ガス(LNG)プラント建設において世界トップクラスの技術と実績を誇ります。事業内容は主に、ガス関連(LNGプラント含む)、石油・石油化学、医薬・生化学・一般化学、環境・新エネルギー・インフラ関連のEPC(設計・調達・建設)サービス提供です。
その主力製品・サービスは、高度な技術とプロジェクトマネジメント能力を要する大規模プラントの建設であり、特にLNG液化技術においては高い専門性を持ちます。収益モデルは、大型プロジェクトの受注から完成までの過程で収益を計上するフロー型(プロジェクト型ビジネス)であり、B2B(企業間取引)が中心です。LNGプラント建設における長年の経験とノウハウ、および多数の実績は、新規参入企業にとって高い技術的・経験的な参入障壁となっています。

2. 業界ポジション

千代田化工建設は、国内総合エンジニアリング業界において三菱商事系の国内2位のポジションにあり、世界市場ではLNGプラント分野で首位級の地位を確立しています。
市場動向としては、世界的にLNGや石油化学関連の設備投資が活発化しており、同社は中東などで大型EPC案件の受注を獲得しています。また、脱炭素化の流れの中で、SAF(持続可能な航空燃料)生産プラント、CCS(二酸化炭素回収・貯留)設備、水素関連といった新エネルギー・環境分野や、ライフサイエンス分野にも注力し、事業領域の拡大を図っています。
競合に対する強みは、LNGプラントの豊富な実績と高い技術力、そして三菱グループとしてのネットワークです。一方、弱みとしては、大型プロジェクトに起因する収益変動幅の大きさや、過去の大型プロジェクトでの損失経験からくる財務体質の脆弱性が挙げられます。

【定量比較】業界平均との財務指標比較

指標 千代田化工建設(実績/予想) 業界平均(建設・資材) 評価(対業界平均)
PER(予想) 9.62倍 11.3倍 割安
PBR(実績) 4.85倍 0.7倍 大幅割高
ROE(実績) 188.95% データなし 優良
営業利益率(過去12か月) 10.07% データなし

【同一業種区分企業比較】

同一業種区分企業データは提供されていないため比較できません。

3. 経営戦略

経営陣は「経営計画2025」に基づき、過去の課題を踏まえた海外受注方針の見直しによるリスク管理強化と、収益を伴う海外案件の獲得活動を継続しています。
重点投資分野としては、LNGや石油化学といった主力事業の再強化に加え、脱炭素化に貢献する水素、SAF、CCSなどの新エネルギー・環境分野、そして医薬・ライフサイエンス分野への注力を掲げ、持続的な成長を目指しています。
最近の適時開示情報としては、2025年11月5日に通期業績予想の修正を発表しており、中間期の利益進捗が良好であることから、通期での大幅な利益改善を見込んでいます。中東における大型EPC案件の受注などが、この戦略の成果として挙げられます。これらの取り組みは、将来の売上高と利益を確保する上で非常に重要であり、特に受注高の回復は今後の業績の持続的な成長基盤を築くものと期待されます。ただし、エンジニアリング事業の性質上、プロジェクトの進捗度合いや契約条件、為替変動が業績に大きく影響するため、引き続き注意が必要です。

4. 財務分析

【財務品質スコア】Piotroski F-Score

  • 総合スコア: 3/9 (グレード: B: 普通)
  • 収益性スコア: 1/3
  • 財務健全性スコア: 0/3
  • 効率性スコア: 2/3
  • 投資家向け解釈: Piotroski F-Scoreは5-6点が普通と評価され、4点以下は要注意とされます。同社のスコアは3点であり、財務健全性に課題があることが示唆されます。特に財務健全性スコアが0点である点は、自己資本比率の低さや流動比率の課題が影響していると考えられます。

【収益性】

  • 営業利益率(過去12か月):10.07%
  • ROE(実績、過去12か月):114.27%
  • ROA(実績、過去12か月):3.71%

ROEは非常に高い水準ですが、これは自己資本比率が低い(分母が小さい)ことに起因する可能性があります。ROAのベンチマークは5%ですが、同社は3.71%とやや下回っています。営業利益率は10%を超えており、収益性の改善傾向が見られます。

【財務健全性】

  • 自己資本比率(実績):5.1% (2025年3月期) -> 中間期末(2025年9月30日)で10.0%に改善(ベンチマーク: 40%以上が安定)
  • 流動比率(直近四半期):1.13(113%)(ベンチマーク: 200%以上が安全とされます)
  • D/Eレシオ(Total Debt/Equity、直近四半期):49.72%

自己資本比率、流動比率ともにベンチマークを下回っており、財務健全性には依然として課題があります。F-Scoreの低い財務健全性スコアはこの状況を反映していると言えます。

【成長性】

  • 最近の売上高は年度によって変動が大きく、2025年3月期は456,969百万円、過去12か月は414,356百万円と減少傾向。直近四半期売上高成長率(前年比)は-13.30%です。
  • 利益の成長については、Net Income Avi to Common(過去12か月)が28,310百万円、直近四半期調整後利益成長率(前年比)は10.50%と回復傾向にあります。

受注高の大幅な増加(中間期で前年同期比+131.4%)は、今後の売上・利益成長への期待材料となります。

【キャッシュフロー】

  • 営業CF(過去12か月):43,480百万円
  • 営業CF(中間累計):+11,952百万円
  • 投資CF(中間累計):△2,663百万円(主に有形・無形固定資産取得、定期預金増減)
  • 財務CF(中間累計):△654百万円(長期借入金返済等)
  • FCF(フリーキャッシュフロー、過去12か月):14,360百万円
  • FCF(フリーキャッシュフロー、中間累計):+9,289百万円(営業CF 11,952百万円 − 投資CF 2,663百万円)

営業活動によるキャッシュフローは堅調にプラスを維持しており、フリーキャッシュフローもプラスで推移しています。これは事業が着実に現金を創出していることを示します。配当支払がないため、配当カバレッジ比率は算出できません。

【利益の質】

  • 営業CF/純利益比率:1.54
  • 評価グレード: S (優良(キャッシュフローが利益を大幅に上回る))

営業キャッシュフローが親会社株主に帰属する純利益を大幅に上回っており、非常に利益の質が高い状態です。これは、利益が確実に現金として回収されていることを示し、会計上の利益と実態の乖離が少ないことを意味します。

【セグメント別分析】

  • 連結事業の売上構成(2025年3月期):LNGプラント55%、他ガス1%、石油・石油化学・ガス化学7%、医薬・生化学・一般化学8%、環境・新エネルギー・インフラ他29%。
  • 中間期(2026年3月期)受注高では、石油・石油化学関係が109,067百万円と全体の68.1%を占め、大幅に増加しました。これは中東での大型EPC受注が牽引しています。
  • LNGプラント部門の受注は当中間期で減少に転じていますが、受注残高全体では海外比率が高く、海外大型案件が今後の成長ドライバーとなる見込みです。成長ドライバーは石油・石油化学分野の好調な受注であり、LNGプラントの更なる回復が課題となり得ます。

【四半期進捗】

2026年3月期通期予想に対する中間期(第2四半期)の進捗率は以下の通りです。

  • 売上高:50.6%
  • 営業利益:80.1%
  • 親会社株主に帰属する中間純利益:78.1%

売上高はほぼ通期予想の半分ですが、営業利益および純利益の進捗が通期予想を大幅に上回っており、非常に良好な利益進捗を示しています。これは主要案件の順調な進捗、採算改善、為替差損益の改善などが要因と考えられ、通期での業績達成に大きく貢献する可能性が高いです。

5. 株価分析

【現在の水準】

  • 株価: 835.0円
  • PER(会社予想):9.62倍(建設・資材の業界平均PER 11.3倍と比較して割安)
  • PBR(実績):4.85倍(建設・資材の業界平均PBR 0.7倍と比較して大幅に割高)
  • EPS(会社予想):86.83円、BPS(実績):172.01円

PER基準では割安ですが、PBR基準では大幅に割高な水準であり、評価が分かれます。業種平均PER基準の目標株価は333円、業種平均PBR基準の目標株価は120円と算出されており、現状株価との乖離が大きいです。特にPBRが業界平均の約7倍と高い点は注目すべきです。

【テクニカル】

  • 52週高値974円、安値270円に対し、現在の株価835円は52週レンジの80.3%地点(高値圏)に位置しています。
  • 移動平均線との位置関係:
    • 5日移動平均線(887.40円)を下回っており5.90%乖離
    • 25日移動平均線(753.44円)を上回っており10.83%乖離
    • 75日移動平均線(571.49円)を上回っており46.11%乖離
    • 200日移動平均線(430.96円)を上回っており93.75%乖離

短期的な押し目が見られるものの、中期・長期の移動平均線を大きく上回っており、強い上昇トレンドが継続していることが示唆されます。

【市場との比較】

  • 日経平均とTOPIXの両市場指数に対し、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年の全ての期間で大幅にアウトパフォームしています。これは、同社が市場全体の上昇トレンドを大きく上回る勢いで株価を上昇させてきたことを示します。

6. リスク評価

【定量的リスク指標】

  • ベータ値(5Y Monthly):0.06(市場全体の変動に比べて株価の変動が小さいことを示す。1.0未満は市場より変動小)
  • 年間ボラティリティ:49.38%(目安: 40%以上=高リスク)
  • シャープレシオ:-0.64(目安: 0.5未満=リスク対比リターン不十分)
  • 最大ドローダウン:-74.97%(過去最悪の局面で100万円投資していたら25.03万円まで下落した実績)

ベータ値は低いものの、年間ボラティリティは非常に高く、過去には大幅な株価下落(最大ドローダウン)も経験しています。シャープレシオがマイナスであることは、リスクに見合うリターンが得られていないことを示します。

【価格変動シナリオ】

年間ボラティリティ49.38%に基づくと、仮に100万円投資した場合、年間で±49.38万円程度の変動が想定されます。これは、同社の株価が短期間で大きく上下する可能性があることを意味します。

【事業リスク】

決算短信に記載されている主な事業リスク要因は以下の通りです。

  • 為替変動リスク:海外プロジェクトが多い同社にとって、為替レートの変動は収益に大きな影響を与えます。
  • 原材料・資材価格の変動リスク:建設資材やエネルギーコストの高騰はプロジェクト採算を圧迫する可能性があります。
  • JVパートナーとの関係・契約交渉の行方:大型プロジェクトは複数の企業とのJVで遂行されることが多く、契約条件やリスク分担が重要です。
  • 地政学リスク:主要な受注元である中東地域などの政治・経済情勢の不安定化は事業遂行に影響を及ぼします。
  • プロジェクトの工程遅延や追加費用:大規模・複雑なプロジェクトには、予期せぬトラブルによる工程遅延やコスト増加のリスクが常に伴います。

52週レンジにおける現在位置

現在の株価は52週高値圏(80.3%地点)にあり、上昇基調であったものの、過去のボラティリティの高さを考慮すると、今後の価格変動には注意が必要です。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況:信用買残は13,324,600株と大きく、信用倍率は18.35倍と非常に高い水準にあります。信用買残が前週比で増加し、信用売残が減少していることから、需給面では将来的な売り圧力が増加する傾向にあります。
  • 株主構成と大株主の動向:筆頭株主は三菱商事(33.39%)であり、三菱UFJ銀行など三菱グループが主要大株主として名を連ねています。これにより、一定の安定株主持分が確保されていると言えます。
  • 経営陣の持株比率と安定株主の状況:経営陣の持株比率はデータがないものの、三菱グループを基盤とした安定株主構造は、経営の安定性に寄与していると考えられます。

8. 株主還元

  • 配当性向(2025年3月期):0.0%

同社は2019年以降、配当実績がありません。2026年3月期の配当予想も現時点で未定とされており、継続的な株主還元は現状行われていません。自社株買いについても、自己株式は保有しているものの、具体的な自社株買いの実績や方針についての記載は見られません。したがって、現在の株主還元策は限定的であると言えます。

9. 総合評価

【投資ポイント】

  • LNG・石油化学分野における受注回復:世界的なエネルギー需要に伴う大型EPC案件の回復、特に中東での受注増加が今後の業績成長を牽引する。
  • 利益進捗が通期予想を大幅に上回る好調さ:直近中間期の営業利益・純利益が進捗率80%以上と非常に良好であり、事業採算性の改善が顕著。
  • 高い利益の質:営業キャッシュフローが純利益を大きく上回る(比率1.54)ため、会計上の利益が現金としてしっかりと回収されている。

【強み】

  • 世界トップクラスのLNGプラント技術力と豊富な実績。
  • 三菱商事系という強力な親会社による信頼性とネットワーク。
  • 水素、SAF、CCSなどの新エネルギー分野への積極的な挑戦。

【弱み】

  • 自己資本比率が低く、財務健全性に依然として課題がある。
  • 株価のPBRが業界平均値を大幅に上回る割高水準にある。
  • 大規模プロジェクトに依存するため、業績がプロジェクトの進捗や採算に大きく左右されやすい。

【機会】

  • 世界的なエネルギーインフラ投資の回復と脱炭素化トレンド。
  • 新興国での工業化に伴う石油化学プラント需要の拡大。
  • ライフサイエンスや水素関連技術の進化による新規事業領域の創出。

【脅威】

  • プロジェクトの遅延やコスト超過による採算悪化リスク。
  • 原材料・資材価格の上昇、為替レートの急激な変動。
  • 地政学的リスクや国際経済情勢の不安定化。

【注目すべき指標】

  • 受注残高の推移と内容:特に高採算が見込まれる海外大型案件の比率。
  • 自己資本比率の継続的な改善:財務健全性強化への取り組み。
  • 四半期ごとの営業利益率の安定性:プロジェクト採算管理の徹底。

10. 企業スコア

  • 成長性: D (通期売上高予想成長率 -15.7%とマイナス。ただし受注高は大幅増であり、短期的な売上減少と長期的な成長期待は分けて評価する必要があるが、売上成長率の基準で判断)
  • 収益性: A (ROE 114.27% かつ 営業利益率 10.07%。ROEが15%以上、営業利益率が10%以上であるため)
  • 財務健全性: C (自己資本比率 10.0%(中間期)と低い。Piotroski F-Score 3点であり、4点以下は要注意のため)
  • 株価バリュエーション: D (PERは業界平均より割安だが、PBRが業界平均の7倍と大幅に割高であるため)

企業情報

銘柄コード 6366
企業名 千代田化工建設
URL https://www.chiyodacorp.com/
市場区分 スタンダード市場
業種 建設・資材 – 建設業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 835円
EPS(1株利益) 86.83円
年間配当 0.00円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 18.6% 11.1倍 2,253円 22.0%
標準 14.3% 9.6倍 1,630円 14.3%
悲観 8.6% 8.2倍 1,072円 5.1%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 835円

目標年率 理論株価 判定
15% 810円 △ 3%割高
10% 1,012円 ○ 17%割安
5% 1,277円 ○ 35%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.11)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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