企業の一言説明

日本精線はステンレス鋼線と金属繊維を製造販売する大同特殊鋼系の国内最大手企業です。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 極めて高い財務健全性: 自己資本比率73.7%、流動比率416%と非常に安定した財務基盤を持ち、有利子負債も極めて少なく、倒産リスクは低いと評価できます。
  • 独自の技術と高付加価値製品: NASLON®(ナスロン)ブランドの金属繊維は、半導体向け超精密ガスフィルターなど成長分野での需要拡大が見込まれており、今後の収益ドライバーとなる可能性があります。
  • 収益性と成長性の課題および割高なバリュエーション: 直近の決算ではステンレス鋼線部門の需要低迷により減益傾向にあり、通期予想も減収減益を見込んでいます。これに伴い、予想PERおよび実績PBRは業界平均を大幅に上回っており、株価には割高感が強い状況です。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 D 減収減益予想
収益性 C 利益率低下傾向
財務健全性 A 極めて安定
バリュエーション D 業界比割高

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 1266.0円
PER(会社予想) 16.90倍 業界平均8.0倍
PBR(実績) 0.94倍 業界平均0.6倍
配当利回り(会社予想) 3.32%
ROE(実績) 8.12%

1. 企業概要

日本精線株式会社(証券コード: 5659)は1951年設立の大阪を拠点とする企業で、大同特殊鋼を親会社とする大同特殊鋼グループの一員です。主な事業内容はステンレス鋼線と金属繊維の製造・販売で、特にステンレス鋼線分野では国内最大手として知られています。主力製品であるステンレス鋼線は、ばね、ネジ、金網などの多岐にわたる用途に使用され、自動車、航空機、医療機器、家電製品といった幅広い産業に供給されています。また、NASLON®ブランドで展開する金属繊維は、半導体製造用の超精密ガスフィルターなど高付加価値分野での応用が拡大しており、同社の技術的独自性と高い参入障壁を築いています。収益モデルは、これら高機能素材の製造・販売を主に、技術力と品質で差別化を図っています。

2. 業界ポジション

日本精線は、大同特殊鋼系グループに属し、ステンレス鋼線の二次加工において国内首位の座を確立しています。自動車、家電、医療機器など多岐にわたる産業分野で培った実績と技術力により、高い市場シェアを維持しています。競合他社と比較した場合、同社の強みは、大同特殊鋼グループの安定した基盤に加え、ばね材や特殊ネジ向けなどの高機能・高付加価値なステンレス鋼線の開発力、そして半導体プロセス向けフィルターに代表される先端技術を要する金属繊維事業にあります。一方、汎用的なステンレス鋼線市場においては、価格競争に晒されるリスクも存在します。各種指標を見ると、同社の予想PER16.90倍は業界平均8.0倍を大きく上回り、実績PBR0.94倍も業界平均0.6倍より高い水準にあり、業界平均と比較して株価は割高な評価を受けていると言えます。

3. 経営戦略

日本精線は、第16次中期経営計画「NSG26」(最終年度2027年3月期)を推進しており、「事業構造改革と成長機会の追求」を重点課題と位置付けています。具体的には、高機能製品開発の強化、国内外での生産基盤の整備・強化、および水素回収技術などの新規事業開発に注力しています。最近の動きとしては、2026年3月期の第2四半期決算短信において、金属繊維部門が半導体向けフィルター需要の回復などで増収を達成し、成長戦略の進捗を示しました。一方で、主力であるステンレス鋼線部門では、太陽光パネル向け極細線の需要低迷や建築向け需要の軟化により、事業環境の厳しさも浮き彫りになっています。今後、中間期の利益進捗の遅れを挽回するため、下期での収益改善と中期経営計画目標の達成に向けた取り組みが注目されます。
今後のイベントとして、2026年3月30日に配当落ち日が予定されています。

【財務品質スコア】

Piotroski F-Score: 2/9 (C: やや懸念)

投資家向け解釈: Piotroski F-Scoreは、企業の財務健全性を9つの指標で評価するスコアです。7点以上は財務優良、5-6点は普通、4点以下は要注意とされます。日本精線のスコアは2点と低いため、収益性や効率性の面で改善の余地があることを示唆しており、単に自己資本比率が高いだけでなく、質の高い利益成長を実現できているかについては注意が必要です。

【収益性】

指標 過去12か月実績 ベンチマーク 評価 会社予想 (2026.3)
営業利益率 6.52% 普通 7.36%
ROE 6.22% 10% やや低い 5.46%
ROA 3.88% 5% やや低い 4.14%

解説: 過去12ヶ月の営業利益率は6.52%とまずまずの水準ですが、第2四半期の中間実績における営業利益率は5.31%と低下しており、収益性の悪化傾向が見られます。ROE(株主資本利益率)は6.22%、ROA(総資産利益率)は3.88%であり、一般的な目安とされるROE10%やROA5%には届いておらず、株主資本や総資産を効率的に活用して利益を上げているとは言えない状況です。特に、2026年3月期の通期予想ではROEが5.46%に低下する見込みであり、収益性の改善が課題となっています。

【財務健全性】

指標 直近実績(2025年9月30日) 安定目安 評価
自己資本比率 74.5% 40%以上 極めて高い
流動比率 416% 200%以上 極めて高い

解説: 自己資本比率は74.5%、流動比率は416%と、いずれも非常に高い水準にあり、同社の財務健全性は極めて優れています。有利子負債も総資産に対して極めて少なく(Total Debt/Equity 0.43%)、資金繰りや返済能力に全く問題はなく、外部環境の変化や不測の事態にも十分に耐えうる強固な財務体質を確立しています。

【キャッシュフロー】

指標 過去12か月実績 中間期実績(2025年9月30日)
営業キャッシュフロー(CF) 4,560百万円 +2,083百万円
フリーキャッシュフロー(FCF) 1,870百万円 +200百万円

解説: 営業キャッシュフローは過去12ヶ月で45.6億円と安定的に創出されており、事業活動から十分な資金を得ています。フリーキャッシュフローも過去12ヶ月で18.7億円のプラスを維持しており、事業投資や株主還元に回せる健全な資金状況です。ただし、中間期実績では投資活動による支出が増加したため、フリーキャッシュフローは小幅なプラスにとどまっています。企業の成長に必要な投資は行いつつも、資金の流出をコントロールできていると言えます。

【利益の質】

営業CF/純利益比率: 1.80 (S: 優良(キャッシュフローが利益を大幅に上回る))

解説: 営業キャッシュフローが純利益の1.0倍以上であることが利益の質が健全とされる目安です。日本精線の比率は1.80と非常に高く、会計上の利益が実際に多額の現金流入を伴っていることを示しています。これは架空の利益計上リスクが低く、利益の質が非常に優れていることを意味します。

【四半期進捗】

指標 中間実績(2025年9月30日) 通期予想(2026年3月期) 進捗率 達成評価
売上高 22,478百万円 43,500百万円 51.7% 概ね想定通り
営業利益 1,194百万円 3,200百万円 37.3% やや遅れ
純利益 902百万円 2,300百万円 39.2% やや遅れ

解説: 売上高は通期予想に対して中間時点で51.7%と、ほぼ順調に推移しています。しかし、営業利益と純利益の進捗率はそれぞれ37.3%、39.2%と、概ね50%程度が望ましい中間時点としてはやや遅れが見られます。これは、主に主力であるステンレス鋼線部門の需要低迷により、利益率が低下したことが要因です。会社は通期予想を据え置いていますが、下期において販売数量の回復やコスト改善が進まなければ、利益目標の達成は厳しい可能性があります。

【バリュエーション】

指標 業界平均 業界平均比 判定
PER(会社予想) 16.90倍 8.0倍 211% 割高
PBR(実績) 0.94倍 0.6倍 157% 割高

解説: 日本精線の予想PER16.90倍は、鉄鋼・非鉄業界の平均PER8.0倍と比較して2倍以上と大幅に割高な水準です。また、実績PBRも0.94倍と、業界平均0.6倍と比較してこれも割高な評価を受けています。PERが割高な状況は、投資家が将来の利益成長に対して高い期待を抱いているか、あるいは足元の利益水準に対して株価が過大評価されている可能性を示唆します。また、PBRが1倍を下回っているものの、業界平均と比較すると相対的に割高であり、事業リスクや成長性とのバランスを考慮すると、現在の株価は割高感があると言えるでしょう。

【テクニカル】

現在株価1,266.0円は、52週高値1,403.0円に対し65.9%の位置にあり、中期的な上昇余地はある程度残されています。過去10日間の株価推移を見ると、直近は上昇傾向にあります。移動平均線との関係では、現在株価は5日移動平均線(1,240.20円)、25日移動平均線(1,197.48円)、75日移動平均線(1,138.01円)、200日移動平均線(1,125.70円)の全てを上回っており、短期から中長期にわたる良好な上昇トレンドを示唆しています。これは、株価が移動平均線の「ゴールデンクロス」を示唆する形で上向きに転じている可能性があり、市場参加者の買いが集まっていることを示しています。

【市場比較】

期間 株式リターン 日経平均リターン 日経平均との差 TOPIXリターン TOPIXとの差
1ヶ月 +5.59% +6.10% -0.51%pt +6.86% -1.27%pt
3ヶ月 +16.15% +12.16% +3.99%pt データなし データなし
6ヶ月 +16.15% +35.45% -19.30%pt データなし データなし
1年 -4.24% +35.20% -39.43%pt データなし データなし

解説: 日本精線の株価は、直近1ヶ月では日経平均およびTOPIXにやや劣後しています。しかし、3ヶ月の期間では日経平均を3.99%ポイント上回るパフォーマンスを見せており、短期的な底堅さが見られます。一方で、6ヶ月および1年といった中長期的な視点では、日経平均に対してそれぞれ19.30%ポイント、39.43%ポイントと大きくアンダーパフォームしています。これは、同社が抱える収益性や成長性の課題が、市場全体の好調な地合いに乗り切れていない現状を示唆しています。市場全体の成長トレンドから取り残されるリスクも考慮する必要があります。

【定量リスク】

ベータ値: 0.42

年間ボラティリティ: 31.85%

最大ドローダウン: -30.12%

年間平均リターン: 0.31%

解説: ベータ値0.42は、市場全体(日経平均など)が1%変動した時に、同社株価が0.42%変動すると想定されることを意味します。この数値は1未満であるため、市場全体よりも株価変動リスクが小さい(安定性が高い)銘柄であると言えます。しかしながら、年間ボラティリティは31.85%とやや高水準であり、過去1年間で株価が大きく変動する可能性があったことを示しています。仮に100万円投資した場合、年間で±31.85万円程度の変動が想定され、投資家にとってはその価格変動リスクを許容する必要があります。最大ドローダウンが-30.12%であることから、過去には投資元本が一時的に約3割減少する局面もあったことを示しており、今後も同様の下落が起こりうるリスクを認識しておくべきです。シャープレシオが-0.01とマイナスであるため、リスクに見合ったリターンが十分に得られていない状況が示されています。

【事業リスク】

  • 特定用途向け需要の変動リスク: ステンレス鋼線事業において、太陽光パネル向け極細線や建築向けの需要が低迷しており、特定の市場動向に業績が左右されるリスクがあります。
  • 国際経済情勢と原材料価格変動リスク: 同社は海外売上比率も約30%(2025年3月期予想)を占め、中国経済の停滞や米国の通商政策、原材料であるLMEニッケル価格、および為替レートの変動が業績に直接的な影響を与える可能性があります。
  • 競争激化と技術革新リスク: 高機能素材分野においては常に技術革新が求められるため、研究開発投資の継続と、競合他社の進出による価格競争のリスクが存在します。

7. 市場センチメント

信用取引状況を見ると、信用買残が222,200株に対して信用売残が15,800株と、信用買残が信用売残を大きく上回っています。これにより、信用倍率は14.06倍と高く、市場からの買い圧力(将来的な売り圧力)が強い状態と言えます。信用倍率が高い状態は、将来の株価上昇を期待して買い建てた投資家が多く、株価が上昇した際に利益確定売りが出やすいという点で、需給面ではやや重いと判断されます。
主要株主構成では、大同特殊鋼が発行済株式の49.85%を保有しており、同社の親会社としての位置づけが明確です。これに次いで日本の大手信託銀行が続く形で、安定株主が一定割合を占めていますが、浮動株比率は56.17%(インサイダー保有比率)と6.31%(機関投資家保有比率)から推計すると、市場での流通量もそれなりにあることが示唆されます。

8. 株主還元

日本精線の配当利回り(会社予想)は3.32%であり、現在の市場金利と比べると魅力的な水準と言えます。2026年3月期の1株配当予想は42.00円で、これに基づくと配当性向は53.08%となります。これは利益の半分以上を株主還元に充てる積極的な姿勢を示しており、株主還元への意識が高いことがうかがえます。しかし、前期の年間配当56.00円と比較すると、今期は減配の見込みであり、企業業績の悪化が株主還元に影響を与えています。現時点では、特別配当や自社株買いに関する明確な発表は確認されていませんが、安定したキャッシュフローを生み出す体質は、将来的な追加還元への期待にも繋がり得ます。

SWOT分析

強み

  • 大同特殊鋼グループという安定した経営基盤と、ステンレス鋼線分野での国内最大手としての市場ポジション。
  • 高い自己資本比率(73.7%)と流動比率(416%)に裏打ちされた強固な財務体質。

弱み

  • 主力であるステンレス鋼線事業の一部(太陽光パネル向け、建築向けなど)での需要変動による収益性の低下。
  • 予想PER16.90倍、実績PBR0.94倍が業界平均と比較して割高であり、バリュエーション面の課題。

機会

  • 半導体向けフィルターなど、NASLON®ブランドの金属繊維事業における高付加価値製品の需要拡大。
  • 水素分離膜などの新規技術開発が、将来的な成長ドライバーとなる可能性。

脅威

  • 世界経済の不透明感(中国経済の停滞、国際情勢)や原材料価格・為替レートの変動が業績に与える影響。
  • 太陽光パネル市場の在庫調整や、特定の地域・用途への依存による需要変動リスク。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定した財務基盤を重視する長期投資家: 自己資本比率が高く、倒産リスクが極めて低いため、安心して長期保有したい投資家に向いています。
  • 高機能素材の成長性に期待する投資家: 半導体フィルターや水素関連技術など、金属繊維事業の高付加価値製品の成長に魅力を感じる投資家には、今後の事業拡大が期待できます。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 収益性の回復と利益目標達成の精査: 中間決算で利益進捗の遅れが見られるため、下期におけるステンレス鋼線部門の需要回復やコスト改善策が、通期業績予想達成に不可欠です。
  • バリュエーションの割高感: 業界平均と比較してPER・PBRともに割高な水準にあるため、株価には過熱感がある可能性も考慮し、慎重な投資判断が求められます。

今後ウォッチすべき指標

  • 営業利益率: 目標として7.0-8.0%を安定的に達成できるか。特に金属繊維事業の利益率貢献度。
  • ステンレス鋼線部門の動向: 特に太陽光パネル向け、建築向けの需要回復時期とその度合い。

成長性: D

根拠: 2026年3月期は売上高43,500百万円、営業利益3,200百万円と、前期比で減収減益を予想しており、過去の売上高も横ばいから微減傾向にあります。直近四半期においても前年比で売上高-5.30%、純利益-24.90%とマイナス成長が顕著であるため、成長性には懸念があります。

収益性: C

根拠: 過去12ヶ月のROEは6.22%、営業利益率は6.52%であり、一般的な目安とされるROE10%や営業利益率10%を下回っています。特に中間期の営業利益率は5.31%とさらに低下しており、今後も利益率改善がなければ収益性の評価は一段と厳しくなる可能性があります。

財務健全性: A

根拠: 自己資本比率は73.7%、流動比率は416%と極めて高く、有利子負債も少ないことから、財務基盤は非常に安定しており盤石です。しかしながら、財務品質を多角的に評価するPiotroski F-Scoreが2点と低いため、S評価には至りませんが、財務の安定性に疑義を生じさせるものではありません。

株価バリュエーション: D

根拠: 予想PER16.90倍、実績PBR0.94倍は、いずれも鉄鋼・非鉄業界の平均PER8.0倍、PBR0.6倍を大幅に上回っています。これは、株価が現在の利益水準や純資産に対して、相対的に割高に評価されていることを示しています。


企業情報

銘柄コード 5659
企業名 日本精線
URL http://www.n-seisen.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,266円
EPS(1株利益) 74.92円
年間配当 3.32円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 17.9倍 1,341円 1.4%
標準 0.0% 15.6倍 1,166円 -1.4%
悲観 1.0% 13.2倍 1,042円 -3.5%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,266円

目標年率 理論株価 判定
15% 588円 △ 115%割高
10% 734円 △ 72%割高
5% 927円 △ 37%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.16)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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