企業の一言説明

ブラザー工業はプリンティング機器、ミシン、産業機械を主力事業とするグローバル展開型の多角化企業です。ミシン分野では首位級の地位を確立し、デジタル複合機、産業用プリンター、産業機械など幅広い分野で事業を展開しています。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 堅固な財務基盤と高い株主還元意欲: 自己資本比率74.1%、流動比率344%と極めて健全な財務体質を持ち、安定的な配当(配当利回り3.16%)に加えて自己株式取得による株主還元にも積極的です。
  • 多角化による事業ポートフォリオの安定性: プリンティング、工業用ミシン、産業機械、家庭用ミシン、カラオケなど、多岐にわたる事業を展開しており、特定事業の市況変動リスクを分散しています。直近ではマシナリー事業が好調な一方、インダストリアル・プリンティング事業が低迷するなど、事業間の変動を相互に補完しています。
  • 業績予想の上方修正と一時的要因の考慮: 直近の決算短信で通期業績予想を上方修正しましたが、その要因には為替の追い風に加え、固定資産売却益や子会社株式譲渡益といった一時的な特別益が含まれています。継続的な事業収益力に与える影響については、各セグメントの動向を注視する必要があります。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 C やや低め
収益性 B 許容水準
財務健全性 A 高い健全性
バリュエーション S 大幅な割安

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 3164.0円
PER 12.76倍 業界平均24.2倍
PBR 1.13倍 業界平均1.6倍
配当利回り 3.16%
ROE 7.97%

1. 企業概要

ブラザー工業(証券コード: 6448)は、プリンティング・ソリューションズ、マシナリー(産業機器・工業用ミシン)、ドミノ(産業用プリンター)、ニッセイ(減速機・歯車)、パーソナル&ホーム(家庭用ミシン)、ネットワーク&コンテンツ(カラオケ等)の7つの事業セグメントでグローバルに事業を展開する電機・精密機器メーカーです。主力製品はプリンターなどのデジタル印刷機とミシンで、中国等で生産し、欧米を中心に販売しています。独自技術に基づく製品開発力と、多様な事業ポートフォリオによる市場変動への対応力が強みです。

2. 業界ポジション

ブラザー工業は、家庭用ミシン市場で首位級の地位を確立しており、プリンティング機器市場でも一定のプレゼンスを保持しています。産業機器分野では工作機械や工業用ミシンも手掛け、ニッチな市場で高い技術力を発揮しています。競合他社と比較して、多角化された事業構造により特定市場の変動に強い特徴があります。現在のバリュエーションはPER 12.76倍、PBR 1.13倍であり、電機・精密業界平均のPER 24.2倍、PBR 1.6倍と比較して大幅に割安な水準にあります。

3. 経営戦略

ブラザー工業は中期経営計画「CS B2027」に基づき、事業ポートフォリオの最適化を進めています。2025年度からはセグメントを再編し、インダストリアル・プリンティング事業を新設するなど、各事業の特性に応じた戦略を推進しています。直近の適時開示では、2026年3月期通期業績予想の上方修正を発表しました。これは為替の追い風と、固定資産売却益、第3四半期に見込む子会社株式譲渡益などが主な要因です。今後のイベントとして、2026年2月6日に決算発表、2026年3月30日に配当落ち日が予定されています。

4. 財務分析

財務品質スコア(Piotroski F-Score)

項目 スコア 投資家向け解釈
Piotroski F-Score 3/9 B: 普通 (ただし、一般的な解釈では4点以下は要注意水準)

投資家向け解釈: Piotroski F-Scoreは企業の財務的な健全性を9つの指標で評価するものです。7点以上は財務優良、5-6点は普通、4点以下は要注意とされます。ブラザー工業のF-Scoreは3点と、この基準では要注意水準に近いと解釈されますが、後述の自己資本比率や流動比率の高さは特筆すべきです。

収益性

指標 ベンチマーク 評価 投資家向け解釈
営業利益率 10.13% 良好 売上高に対して効率的に利益を生み出している割合
ROE 7.97% 10.0% 普通 株主資本を使ってどれだけ効率的に利益を上げられたかを示す
ROA 5.24% 5.0% 良好 総資産に対してどれだけ効率的に利益を上げられたかを示す

財務健全性

指標 ベンチマーク 評価 投資家向け解釈
自己資本比率 74.1% 40%以上 非常に良好 総資産に占める自己資本の割合。高いほど倒産しにくい
流動比率 3.44倍 2倍以上 非常に良好 短期負債を短期資産でどれだけカバーできるかを示す

キャッシュフロー

指標 評価 投資家向け解釈
営業CF 78,690百万円 良好 本業で稼いだ現金の量。事業継続の原動力となる
フリーCF 12,320百万円 良好 企業が自由に使える現金。成長投資や還元に充当

利益の質

指標 評価 投資家向け解釈
営業CF/純利益比率 1.43 S: 優良 キャッシュがないと帳簿上の利益は意味がない。1.0以上が健全

四半期進捗(2026年3月期 第2四半期実績に対する通期予想修正後)

項目 中間実績 通期予想 進捗率 評価
売上収益 437,777百万円 900,000百万円 48.6% 概ね順調
営業利益 38,723百万円 82,000百万円 47.2% 概ね順調
親会社帰属当期利益 28,271百万円 63,000百万円 44.9% やや遅れ

投資家向け解釈: 通期の売上収益と営業利益は、中間期で約50%近くの進捗となっており、今後の残り期間で達成を目指す計画です。ただし、親会社帰属当期利益の進捗がやや遅れている点や、通期予想に一時的な特別益が含まれている点は留意が必要です。連結事業では、プリンティング・アンド・ソリューションズが売上増も販促費増で利益減、インダストリアル・プリンティングは大幅減益、マシナリーとニッセイ、パーソナル&ホームは好調に推移しています。

5. 株価分析

バリュエーション

指標 業界平均 業界平均比 判定
PER(会社予想) 12.76倍 24.2倍 52.7% 割安
PBR(実績) 1.13倍 1.6倍 70.6% 割安

投資家向け解釈: ブラザー工業のPER(株価収益率)は株価が利益の約12.76年分、PBR(株価純資産倍率)は株価が純資産の約1.13倍であることを示します。これらの指標は業界平均と比較してかなり低く、株価が企業価値に対して割安に評価されている可能性があります。業界平均PER基準の目標株価は5,204円、業界平均PBR基準の目標株価は4,497円となります。

テクニカル

指標 投資家向け解釈
52週高値 3,332円 過去1年間で最も高かった株価
52週安値 2,188円 過去1年間で最も安かった株価
52週レンジ内位置 85.3% 現在株価が52週安値から高値の間で85.3%の位置にあること(高値圏)
5日移動平均線 3,243.80円 現在株価 (3,164.00円) は約2.46%下回る
25日移動平均線 3,164.44円 現在株価 (3,164.00円) は約0.01%下回る
75日移動平均線 2,911.87円 現在株価 (3,164.00円) は約8.66%上回る
200日移動平均線 2,654.41円 現在株価 (3,164.00円) は約19.20%上回る

投資家向け解釈: 現在の株価は52週高値圏に位置しており、短期的には5日および25日移動平均線をわずかに下回っていますが、中長期的な75日および200日移動平均線からは大きく上方に推移しており、上昇トレンドが継続していると見られます。

市場比較(日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス)

期間 ブラザー工業 日経平均 相対パフォーマンス TOPIX 相対パフォーマンス
1ヶ月 +1.44% +6.59% -5.15%ポイント +6.54% -5.10%ポイント
3ヶ月 +22.09% +9.31% +12.78%ポイント データなし データなし
6ヶ月 +26.76% +33.74% -6.98%ポイント データなし データなし
1年 +20.76% +32.00% -11.24%ポイント データなし データなし

投資家向け解釈: 直近1ヶ月では日経平均やTOPIXを下回っていますが、3ヶ月で見ると市場を大きく上回るパフォーマンスを示しています。しかし、6ヶ月や1年といった長期で見ると市場平均を下回る傾向にあります。これは短期的な上昇で株価が急伸したものの、市場全体の大きな流れには及ばない時期もあったことを示唆しています。

6. リスク評価

定量リスク

指標 投資家向け解釈
ベータ値 0.03 市場全体の変動に対し、ブラザー工業の株価がほとんど連動しないこと
年間ボラティリティ 33.45% 年間で株価が約±33.45%変動する可能性
最大ドローダウン -32.40% 過去のピークから最悪で32.40%下落した経験がある

投資家向け解釈: ベータ値0.03は、市場(S&P 500)が1%変動しても、ブラザー工業の株価は0.03%しか変動しないことを示します。これは市場変動に対し非常に安定していることを意味します。年間ボラティリティが33.45%であるため、仮に100万円投資した場合、年間で±33.45万円程度の変動が想定され、価格変動リスクは中程度と言えます。最大ドローダウン-32.40%は、過去に経験した最大の下落幅を示しており、今後も同程度の下落が起こりうるリスクがあることを理解しておく必要があります。

事業リスク

  • 為替変動リスク: 製品のグローバル展開と現地生産・販売が多いため、主要通貨(米ドル、ユーロなど)の為替レート変動が売上高や利益に与える影響は大きいです。特に直近の業績予想上方修正においても、ユーロ前提の変更が影響しました。
  • 市場競争と需要変動: プリンティング機器や産業用プリンター市場では競争が激しく、特に欧米市場での大口案件の減少や地域的な需要の軟化が業績に影響を与える可能性があります。
  • 地政学的リスクと貿易政策: 米国関税政策や主要市場(特に中国や欧州)の景気低迷といった地政学的・経済的リスクは、サプライチェーンや販売網を通じて業績に негаティブな影響を及ぼす可能性があります。

7. 市場センチメント

信用取引状況

指標 投資家向け解釈
信用買残 76,500株 将来の株価上昇を期待する買い持ち
信用売残 107,500株 将来の株価下落を期待する売り持ち
信用倍率 0.71倍 売り持ちが多い状態(買い方が少ない)

投資家向け解釈: 信用倍率が0.71倍と1倍を下回っており、信用売り残が買い残を上回っている状況です。これは、株価が下落すると予想する投資家が多いことを示唆し、株式市場全体としては弱気なセンチメントと受け取られることがあります。しかし、売り残が多いことで、将来的に買い戻し(踏み上げ)圧力となり、株価を押し上げる可能性もあります。

主要株主構成

株主名 保有割合
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 15.94%
日本カストディ銀行(信託口) 5.91%
ステート・ストリート・バンク&トラスト505001 5.01%

投資家向け解釈: 主要株主には信託銀行や大手金融機関が名を連ねており、機関投資家による安定した保有が見られます。これは、短期的な売買で株価が大きく変動しにくい要因となります。

8. 株主還元

配当状況

指標 投資家向け解釈
配当利回り 3.16% 株価に対する年間の配当金の割合。安定的なインカムゲインの目安
配当性向 46.53% 利益のうち配当に回す割合。高すぎると成長投資に影響も

投資家向け解釈: 配当利回り3.16%は、現在の低金利環境下では魅力的な水準です。配当性向46.53%は、利益の半分近くを配当に充てており、株主還元に積極的な姿勢を示しています。これは株主にとっては望ましいですが、同時に企業の再投資余力も考慮する必要があります。
自社株買いの状況:
ブラザー工業は2025年5月9日の取締役会決議に基づき、自己株式取得を実施しており、取得した株式は消却予定です。これは発行済み株式数を減らすことで1株当たりの価値を高め、EPS(1株当たり利益)改善に繋がるとともに、株主への還元策としてポジティブに評価されます。

SWOT分析

強み

  • グローバルに多角化した事業ポートフォリオと技術力により、特定の市場変動リスクを分散できる。
  • 自己資本比率74.1%と流動比率344%に代表される、極めて高い財務健全性。

弱み

  • 一部事業(インダストリアル・プリンティングなど)における競争激化と収益性の低迷。
  • 通期業績予想の上方修正に、一時的な特別益(固定資産売却益、子会社株式譲渡益)が含まれるため、基礎的な収益力の持続性に懸念が残る。

機会

  • マシナリー事業の好調など、産業機器市場の回復や新たな技術導入による成長余地。
  • 積極的な株主還元策(高配当利回り、自社株買い)を通じて、投資家の関心を引きつけ株価を押し上げる可能性。

脅威

  • 為替変動(特にユーロや米ドル)による業績への影響が大きい。
  • 世界経済の減速や地政学的リスク、米国関税政策などの外部環境の変化が事業展開に与える不確実性。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定配当を求める中長期投資家: 高い配当利回りと積極的な株主還元策、堅固な財務基盤は、安定したリターンを重視する投資家にとって魅力的です。
  • 割安株投資家: 業界平均と比較してPER、PBRともに大幅に割安なため、企業価値に対して株価が過小評価されていると考える投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 通期業績予想の上方修正の背景に、一時的な特別益が含まれているため、これらを除いた本業の収益力(特にセグメント別利益の変動)が持続可能であるかを精査する必要があります。
  • 産業用プリンター事業のように競争が激化しているセグメントの事業戦略や収益改善の進捗を注視することが重要です。
  • 為替変動が業績に与える影響が大きいため、為替レートの動向と会社のヘッジ戦略を継続的に確認する必要があります。

今後ウォッチすべき指標

  • 各事業セグメントの損益内訳: 特にインダストリアル・プリンティング事業の収益改善、マシナリー事業の成長持続性。
  • 営業キャッシュフローの推移: 一時的要因に左右されない本業の健全なキャッシュ創出能力。
  • 為替レート(特にユーロ/円)の動向: 会社の業績予想と実際のレートの差異。

成長性: C (やや低め)

根拠: 2026年3月期の通期売上高は前年比+2.67%の成長予想であり、これは評価基準の0-5%成長に該当します。四半期売上高成長率は5.70%でB評価水準ですが、通期売上高の伸びは緩やかであるため、C評価としました。ただし、EPS(1株当たり利益)の成長は前年比+17.47%と高く、利益の質は改善傾向にあります。

収益性: B (許容水準)

根拠: 過去12ヶ月のROEは7.97%と、ベンチマークである10%には届かないものの、8%に近い水準です。営業利益率は10.13%と10%を超えており、これは評価基準のA水準(営業利益率10-15%)に該当します。ROEと営業利益率を総合的に判断し、B評価としました。ROAは5.24%とベンチマークを上回っています。

財務健全性: A (高い健全性)

根拠: 自己資本比率は74.1%、流動比率は3.44倍(344%)と非常に高く、評価基準ではSレベルの健全性を示しています。これは企業の長期的な安定性と短期的な支払い能力が極めて優れていることを意味します。一方で、Piotroski F-Scoreは3点と低く、これは評価基準ではCレベルに該当します。このF-Scoreの低さは、ROEがベンチマークに達していないことや、F-Scoreが着目する他の特定の改善項目(例えば、前年比のROA改善など)が満たされていないことに起因する可能性があります。しかし、自己資本比率や流動比率の圧倒的な高さは、F-Scoreの低さを十分に補完し、総合的に高い財務健全性があると判断し、A評価としました。

バリュエーション: S (大幅な割安)

根拠: ブラザー工業のPER(12.76倍)およびPBR(1.13倍)は、業界平均PER(24.2倍)や業界平均PBR(1.6倍)と比較して、それぞれ約52.7%および約70.6%と大幅に低い水準にあります。評価基準「PER/PBRが業界平均の70%以下」を両指標で満たしているため、S評価としました。株価が企業価値に対してかなり割安に評価されている可能性があります。


企業情報

銘柄コード 6448
企業名 ブラザー工業
URL http://www.brother.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 電気機器

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 3,164円
EPS(1株利益) 248.01円
年間配当 3.16円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 9.3% 14.7倍 5,665円 12.4%
標準 7.1% 12.8倍 4,463円 7.2%
悲観 4.3% 10.8倍 3,315円 1.0%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 3,164円

目標年率 理論株価 判定
15% 2,229円 △ 42%割高
10% 2,783円 △ 14%割高
5% 3,512円 ○ 10%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.16)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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