企業の一言説明
STIフードホールディングスは水産加工品を主力とし、コンビニエンスストア向けおにぎり具材や総菜を中心に展開する食品製造販売事業を主軸とする企業です。2025年からはM&Aによりリテール事業も手掛け、事業領域を拡大しています。
投資判断のための3つのキーポイント
- 堅調な売上成長とM&Aによる事業拡大: 長期的に売上は伸長傾向にあり、M&Aによるリテール事業の新規連結で事業ポートフォリオを拡大。高水準のROEを維持しており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す力があります。
- コスト高による収益性への圧力とM&A特有の一時的利益: 原材料価格や人件費の高騰により、営業利益率は低下傾向にあります。しかし、M&Aに伴う「負ののれん発生益」という一時的な特別利益により、直近の純利益は大きく押し上げられている点には注意が必要です。
- バリュエーションの二面性と財務健全性の懸念: 予想PERは業界平均と比較して割安水準にありますが、実績PBRは業界平均を大幅に上回り割高感があります。また、Piotroski F-Scoreが低く、財務の質には留意が必要です。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | A | 良好な成長 |
| 収益性 | A | 高い水準 |
| 財務健全性 | D | 改善の余地 |
| バリュエーション | C | 割高感あり |
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 1,297.0円 | – |
| PER | 9.61倍 | 業界平均16.8倍(割安) |
| PBR | 2.43倍 | 業界平均1.2倍(割高) |
| 配当利回り | 3.08% | – |
| ROE | 21.29% (実績) | – |
1. 企業概要
STIフードホールディングス(2932)は、水産物を中心とした食品加工品の製造・販売を行っています。主力はコンビニエンスストア向けおにぎり具材や各種総菜であり、特にセブン-イレブン向け取引が多くを占めています。国内での一貫生産体制による品質管理と商品開発力が強みです。2025年にはM&Aを通じてリテール事業へも進出し、百貨店やエキナカ等での店頭販売やギフト商品の展開を開始し、事業モデルの多角化を進めています。
2. 業界ポジション
同社は食品業界、特に水産加工品の中食(コンビニ・スーパー惣菜等)分野において、大手コンビニエンスストアとの強固な取引関係を基盤に安定的な地位を確立しています。品質・開発力に定評がありますが、水産原料価格の動向に業績が左右されやすい特性も持ちます。株価バリュエーションでは、予想PERが9.61倍と業界平均16.8倍を下回る一方、実績PBRは2.43倍と業界平均1.2倍を大きく上回っており、成長性への期待と資産価値評価に乖離が見られます。
3. 経営戦略
同社は中食市場での基盤強化と事業領域の拡大を推進しています。2025年12月期第3四半期の決算短信によれば、M&Aにより株式会社浜信、味の浜藤、株式会社藤兵衛の3社を新規連結し、リテール事業を新設しました。これにより、食品製造販売での基幹商品の磨き上げに加え、リテールでの販路拡大や原材料の共同購買によるシナジー効果を追求する戦略です。通期業績予想は変更しておらず、M&Aによる成長戦略とコスト管理のバランスが今後の焦点となります。
【財務品質スコア】Piotroski F-Score
当社のPiotroski F-Scoreは1/9点でした。これは「C: やや懸念」と評価されます。投資家向け解釈としては、7点以上が財務優良、5-6点が普通とされる中で、1点というスコアは財務状況に改善すべき点があることを示唆しています。特に、長期負債の増加や売上総利益率の低下傾向が懸念事項として挙げられます。
【収益性】
当社の収益性は高い水準にあります。
| 指標 | 値 | ベンチマーク | 評価 |
|---|---|---|---|
| 営業利益率(過去12か月) | 6.28% | 10% (目安) | 良好とは言えない |
| ROE(実績、過去12か月) | 22.95% | 10% (優良) | 優良 |
| ROA(過去12か月) | 8.42% | 5% (良好) | 良好 |
過去12か月の実績では、ROEは22.95%、ROAは8.42%と、いずれも一般的な優良水準を大きく上回っており、株主資本および総資産を効率的に活用して利益を生み出す力が非常に高いことを示しています。一方で、営業利益率6.28%は競合と比較して、コスト管理や価格転嫁能力に改善の余地がある可能性を示唆しています。2025年12月期第3四半期累計の営業利益率7.14%は前年同期の8.96%から悪化しており、原材料高騰等のコスト圧力が顕著に見られます。
【財務健全性】
財務健全性には安定した面と懸念される面の両方があります。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 自己資本比率(実績、直近四半期) | 44.7% |
| 流動比率(直近四半期) | 1.47倍(147%) |
自己資本比率44.7%は、安定した財務基盤を持つ一般的な目安である40%以上をクリアしており、企業の負債依存度が低いことを示します。流動比率147%も、短期的な支払能力に概ね問題がない水準と言えます。しかし、M&Aにより長期借入金が増加しており、負債合計も増加傾向にある点は注視が必要です。特にPiotroski F-Scoreが低いことは、財務の質において見えないリスクを抱えている可能性を示唆しています。
【キャッシュフロー】
四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、詳細な分析は困難です。ただし、貸借対照表上の現金及び預金が第3四半期累計で13.5億円減少している点は注目すべきでしょう。これはM&Aによる買収資金や設備投資、運転資金の変動によるものと考えられますが、詳細なキャッシュフローの状況は不明です。
【利益の質】
営業CF/純利益比率はキャッシュフロー計算書が提供されていないため、算定できません。
【四半期進捗】
2025年12月期通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は以下の通りです。
| 項目 | 第3四半期累計実績 | 通期予想 | 進捗率 | 評価 |
|—|—|—|—|
| 売上高 | 28,471百万円 | 40,000百万円 | 71.2% | 概ね順調 |
| 営業利益 | 2,033百万円 | 3,000百万円 | 67.8% | 下期での回復必要 |
| 純利益 | 1,938百万円 | 2,400百万円 | 80.8% | 高進捗(特別利益寄与) |
売上高は概ね順調に進捗していますが、営業利益の進捗はやや遅れています。これは原材料価格高騰や人件費増によるコスト圧力が主要因です。一方、純利益の進捗率は80.8%と高水準ですが、これはM&Aに伴う「負ののれん発生益」という一時的な特別利益(560百万円)の寄与が大きいため、実力値としての収益状況は営業利益ベースで評価することが重要です。
【バリュエーション】
当社の株価バリュエーションはPERとPBRで異なる評価が得られます。
現在の予想PERは9.61倍であり、これは食品業界平均の16.8倍と比較して約57.2%と大幅に割安な水準です。「株価が利益の何年分か」というPERが低いことは、収益力に対して株価が過小評価されている可能性を示唆します。
一方、実績PBRは2.43倍であり、業界平均の1.2倍と比較して約202.5%と著しく割高です。「株価が純資産の何倍か」というPBRが高いことは、企業の資産価値に比べて株価が高いことを示しますが、高収益性(ROE 22.95%)の企業ではPBRが高くなる傾向があり、一概に割高とは言えません。しかし、業種平均と比較すると、資産価値からの評価では割高感が目立ちます。業種平均PER基準の目標株価は2,001円、業種平均PBR基準の目標株価は640円と乖離が大きく、評価の難しさを示しています。
【テクニカル】
現在の株価1,297.0円は、過去10日間の直近安値1,267円と高値1,323円の中央付近に位置しています。52週高値1,657円、52週安値1,051円から見ると、レンジの約40.6%の位置にあり、年間を通じては安値圏からやや回復した水準です。
移動平均線との関係を見ると、現在株価は5日移動平均線(1,296.00円)をわずかに上回っており、短期的な回復傾向を示唆します。また、25日移動平均線(1,276.12円)、75日移動平均線(1,279.24円)、200日移動平均線(1,290.64円)も全て上回っており、各移動平均線も上向き基調に転じつつあることから、中長期的な株価トレンドの底打ちが期待される局面と言えるでしょう。
【市場比較】
日経平均やTOPIXといった市場全体の主要指数との相対パフォーマンスを見ると、当社株価は直近1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年いずれの期間でも市場指数を下回っています。特に過去1年間では日経平均比で約50%ポイント、TOPIX比でも大幅に下回っており、市場全体の好調な動きを享受できていない状況です。これは、事業の堅実な成長とは別に、投資家の関心や評価が他の成長分野に集中している可能性を示唆しています。
【定量リスク】
- 年間ボラティリティ: 36.20%
- 最大ドローダウン: -40.97%
- シャープレシオ: 0.17
- 年間平均リターン: 6.62%
当社の株式に仮に100万円投資した場合、過去のデータに基づくと、年間で±36.2万円程度の株価変動が想定されます。最大ドローダウン-40.97%は、過去に最大で約41%の下落があったことを意味し、将来も同様の下落リスクがあることを示唆します。シャープレシオ0.17は、リスクに見合うリターンが十分に得られていない状況を示しており、投資効率は低いと言えます。ベータ値0.28は、市場全体の変動に対して株価が比較的安定していることを示唆していますが、市場の恩恵も受けにくい傾向があります。
【事業リスク】
- 原材料価格の変動リスク: 主力である水産加工品はサバ、サケ、タコなどの水産物の仕入れ価格に大きく影響を受けます。円安の進行や漁獲量の変動により原材料価格が高騰した場合、売上総利益率を圧迫し、収益性の低下に直結するリスクがあります。
- M&A統合リスク: 2025年に新規連結したリテール事業のM&Aは、事業拡大の機会である一方、買収後のシナジー効果が計画通りに発揮されない、組織文化の融合に時間がかかる、あるいは簿外債務や偶発債務が顕在化するといった統合リスクを抱えています。
- 主要取引先への依存リスク: 売上の大半をセブン-イレブン向けが占めているため、主要取引先の販売戦略変更、取引条件の見直し、または競合他社の参入等により取引量が減少した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
7. 市場センチメント
信用取引状況を見ると、信用買残が96,800株に対し、信用売残は0株であり、信用倍率は0.00倍となっています。これは信用売りがほとんど入っていない状況を示しており、積極的な空売り筋の動きが少ないことを意味します。
主要株主構成では、(株)十見が33.92%、十見裕氏が12.15%と、創業者・関係者が大半の株式を保有しており、極洋、セブン-イレブン・ジャパンもそれぞれ8.44%を保有しています。発行済み株式の約64.63%がインサイダーに保有されており、市場に流通する株式(浮動株)の割合は低い状況です。これは、経営陣の経営権が安定している一方で、株価の流動性や需給バランスに影響を与える可能性があります。
8. 株主還元
当社の配当利回り(会社予想)は3.08%であり、1株配当(会社予想)は40.0円です。配当性向の会社予想は約29.6%(通期予想純利益に基づく概算)であり、実績配当性向(2024年12月期)の45.7%と比較すると余裕があります。利益の約3割を配当に回す方針は健全な水準と言え、比較的安定した配当を目指していることが伺えます。直近で自社株買いの目立った情報はなく、株主還元は主に配当を通じて行われています。
SWOT分析
強み
- コンビニエンスストア向け(特にセブン-イレブン)の安定した販売チャネルと高い品質・開発力。
- 高い株主資本利益率(ROE 22.95%)による効率的な資本活用と収益創出力。
弱み
- 原材料価格高騰による売上総利益率および営業利益率の低下傾向。
- Piotroski F-Scoreが低い点に示される財務品質の懸念と、M&Aによる長期負債の増加。
機会
- M&Aによるリテール事業への参入と事業ポートフォリオの多角化、新たな販路・顧客層の獲得。
- 中食市場の持続的な成長と健康志向の高まりへの対応による新商品開発の余地。
脅威
- 水産資源の変動、為替変動、国際情勢による原材料価格の継続的な上昇。
- 競合他社との価格競争激化やPB(プライベートブランド)商品の台頭による収益圧迫。
この銘柄が向いている投資家
- 中長期的な視点で事業成長と安定配当を期待する投資家: M&Aによる事業拡大と堅実な売上成長、そして安定した配当性向は、長期的な視野を持つ投資家にとって魅力となり得ます。
- 高ROE企業に着目する投資家: 資本効率の高さを示すROEが20%を超えているため、限られた資本で効率良く利益を上げる企業を探している投資家に向いています。
この銘柄を検討する際の注意点
- 一時的利益と実力値の精査: 直近の純利益はM&Aに伴う負ののれん発生益により押し上げられています。営業利益ベースでの収益改善傾向があるか、一時的要因を除いた企業の真の収益力を注意深く評価する必要があります。
- コスト増と原材料価格の動向: 原材料価格や人件費の高騰が続く中、同社がどのようにコストを吸収し、収益性を確保していくか(例:価格転嫁、生産効率化)を注視する必要があります。
今後ウォッチすべき指標
- 営業利益率: 今後のコスト増圧力をどのように吸収し、安定的な営業利益率を維持・改善できるか。目標値:7.5%以上。
- M&A統合効果とリテール事業の収益貢献: 新規連結したリテール事業が本格的に収益貢献し、シナジー効果が発揮されているか。目標値:リテール事業のセグメント利益率が安定的に5%以上。
成長性:A
2025年12月期の通期予想売上高成長率は、前期比12.4%であり、当社の売上高が着実に増加していることから、良好な成長と評価できます。
収益性:A
過去12か月の実績ROEは22.95%と非常に高水準ですが、営業利益率6.28%はベンチマークには届かないため、S評価には至らず「A」と評価します。
財務健全性:D
自己資本比率44.7%や流動比率147%は良好な水準ですが、Piotroski F-Scoreが1/9点と低く、総合的な財務品質において改善の余地が大きいと判断し「D」評価とします。
バリュエーション:C
予想PERは業界平均と比較して割安な水準にあるものの、実績PBRが業界平均を大きく上回り割高感があるため、「C」評価とします。高いROEを考慮しても、PBRの割高感が顕著です。
企業情報
| 銘柄コード | 2932 |
| 企業名 | STIフードホールディングス |
| URL | https://www.shintokyo.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 食品 – 食料品 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,297円 |
| EPS(1株利益) | 135.00円 |
| 年間配当 | 3.08円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 17.6% | 11.1倍 | 3,349円 | 21.1% |
| 標準 | 13.5% | 9.6倍 | 2,444円 | 13.7% |
| 悲観 | 8.1% | 8.2倍 | 1,628円 | 4.9% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,297円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 1,226円 | △ 6%割高 |
| 10% | 1,532円 | ○ 15%割安 |
| 5% | 1,933円 | ○ 33%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.16)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。