企業の一言説明

UBEはナイロン樹脂やポリイミドなどの化学品製造を主軸に、医薬・機械事業も展開する総合化学メーカーです。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 多角的な事業ポートフォリオと成長戦略: 化学品、医薬、機械と幅広い事業を展開し、高機能ウレタン事業のM&Aにより成長領域を強化する戦略を持っています。これにより、特定の市場変動リスクに対する耐性を高めつつ、新たな収益源を確保しています。
  • 割安なバリュエーションと高配当利回り: PER、PBRともに業界平均を大幅に下回り、割安感が強い水準にあります。さらに、会社予想に基づくと4%を超える高い配当利回りを提供しており、株主還元への意識も高いと評価できます。
  • 収益性の不安定さと買収による財務影響: 低いROEが示すように、利益率が不安定で、変動リスクを抱えています。また、直近のM&Aにより一時的にフリーキャッシュフローが大幅なマイナスとなり、有利子負債が増加している点は、今後の財務健全性やのれん償却による影響に注意が必要です。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 C 微増に留まる
収益性 D 低迷・不安定
財務健全性 B 概ね良好
バリュエーション S 割安感強い

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 2678.5円
PER 9.46倍 業界平均20.4倍
PBR 0.64倍 業界平均1.1倍
配当利回り 4.11%
ROE -1.20%

1. 企業概要

UBEは、ナイロンポリマーやカプロラクタムといった高分子化学品を主力とし、機能品、高機能ウレタン、医薬、機械、その他(電力など)の多岐にわたる事業を展開する総合化学メーカーです。特にナイロン原料では大手としての地位を確立しており、高機能素材や医薬受託製造、さらにはダイカストマシンなどの産業機械製造に至るまで、幅広い製品とサービスを提供しています。収益は素材販売、製品販売、技術提供など多角的なモデルで構成され、長年培ってきた化学合成技術や素材加工技術が参入障壁となっています。

2. 業界ポジション

UBEは化学業界において、ナイロン樹脂やポリイミドなどの特定分野で高い技術力を持つ大手企業の一角を占めます。セメント事業を持分会社に移行したことで、より化学品・素材、医薬、機械事業に特化したポートフォリオへと転換を図っています。競合他社と比較して、多角的な事業展開が強みである一方、各事業における特化型企業との競争激化のリスクも抱えています。現在のPER 9.46倍、PBR 0.64倍は、業界平均PER 20.4倍、PBR 1.1倍と比較して大幅に割安な水準にあり、市場からの評価が低いか、あるいは将来の成長性に対する期待が織り込まれていない可能性があります。

3. 経営戦略

UBEは、2025年4月1日付で高機能ウレタン事業の海外企業11社を取得し連結子会社化するなど、新たな成長領域への積極的なM&Aを通じて事業構造の転換と強化を進めています。この戦略は、事業ポートフォリオの最適化と高付加価値事業へのシフトを目指すものです。特に、高機能ウレタンは今後の成長が見込まれる分野であり、同社の収益基盤強化に寄与することが期待されます。直近では、高機能ウレタン事業の買収に伴うPMI(Post Merger Integration)費用が発生していますが、長期的には相乗効果を追求し、収益性の向上を目指す方針です。

今後のイベント:

  • 2026年2月4日: UBE Corporation 決算発表予定日
  • 2026年3月30日: 配当落ち日

4. 財務分析

【財務品質スコア】Piotroski F-Score

スコア 判定 投資家向け解釈
2/9 C やや懸念

投資家向け解釈: Piotroski F-Scoreは財務の健全性を測る指標です。2/9というスコアは、収益性、財務健全性、効率性のいずれの観点からも改善の余地があることを示唆しており、注意深く見ていく必要があります。特に、ROEと営業利益率の低さがスコアを押し下げていると考えられます。

【収益性】

指標 ベンチマーク 評価
営業利益率(過去12か月) 4.83% 低め
ROE(実績) -1.20% 10% 非常に低い
ROA(過去12か月) 1.52% 5% 低い

解説: ROEとROAがベンチマークを大きく下回っており、株主資本および総資産を用いた利益創出能力に課題があります。営業利益率も決して高い水準ではなく、収益性の改善が喫緊の課題と言えます。

【財務健全性】

指標
自己資本比率(実績) 45.6%
流動比率(直近四半期) 165%

解説: 自己資本比率は45.6%と一般的な目安である40%台を維持しており、比較的健全な水準にあります。流動比率も165%と100%を大きく超えており、短期的な支払い能力も概ね良好です。

【キャッシュフロー】

指標
営業CF(過去12か月) 61,120百万円
FCF(過去12か月) -13,770百万円

解説: 営業活動によるキャッシュフローは潤沢に生み出されていますが、直近では高機能ウレタン事業の買収に伴う多額の投資支出が発生したため、フリーキャッシュフローは大幅なマイナスとなっています。

【利益の質】

指標 判定 投資家向け解釈
営業CF/純利益比率 10.63 S 優良(キャッシュフローが利益を大幅に上回る)

解説: 営業キャッシュフローが純利益を大幅に上回っており、帳簿上の利益がしっかりとキャッシュを伴っていることを示しています。これは利益の質が非常に高い状態であり、粉飾決算などのリスクが低い健全な経営が行われている可能性が高いことを意味します。

【四半期進捗】

項目 通期予想 (百万円) 中間実績 (百万円) 進捗率 評価
売上高 490,000 212,704 43.4% やや遅延
営業利益 25,000 8,250 33.0% 遅延
経常利益 37,500 15,912 42.4% 概ね順調
純利益 27,500 10,886 39.6% 遅延

解説: 通期予想に対する中間進捗率は、売上高は43.4%とやや遅れており、営業利益の進捗率は33.0%と遅れが目立ちます。しかし、経常利益と純利益は持分法投資利益などの特殊要因により、営業利益ほどの遅れは見られません。会社は通期予想を据え置いており、下期での巻き返しが期待されます。

5. 株価分析

【バリュエーション】

指標 業界平均 業界平均比 判定
PER 9.46倍 20.4倍 46.4% 割安
PBR 0.64倍 1.1倍 58.2% 割安

解説: PERは株価が利益の何年分かを示す指標で、PBRは株価が純資産の何倍かを示す指標です。UBEのPER 9.46倍、PBR 0.64倍は、業界平均と比較して大幅に低い水準にあり、割安感が非常に強いと判断できます。特にPBRが1倍を下回ることは、企業の解散価値よりも株価が低い状態を示唆しており、現時点での株価は歴史的にも割安な水準にある可能性があります。

【テクニカル】

指標
株価 2678.5円
52週高値 2752円
52週安値 1788円
52週レンジ内位置 92.4%
5日移動平均線 2709.30円 (下回り 1.14%)
25日移動平均線 2594.68円 (上回り 3.23%)
75日移動平均線 2432.72円 (上回り 10.10%)
200日移動平均線 2313.11円 (上回り 15.80%)

解説: 現在の株価は52週高値圏に位置しており、2752円の52週高値に迫っています。短期的な5日移動平均線は株価を上回っており、目先はやや調整局面にある可能性を示唆しています。しかし、25日、75日、200日移動平均線はいずれも株価を下回っており、中長期的な上昇トレンドは継続していると見られます。

【市場比較】日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス

期間 株価リターン 日経平均比 TOPIX比
1ヶ月 +6.42% -0.89%pt -1.15%pt
3ヶ月 +19.55% +8.39%pt +12.33%pt
6ヶ月 +16.74% -17.18%pt -3.76%pt
1年 +11.12% -21.08%pt -15.84%pt

解説: 短期的には他市場指数を下回る局面も見られますが、3ヶ月リターンでは日経平均・TOPIXを大きく上回るパフォーマンスを見せています。一方で6ヶ月、1年では両指数を下回っており、安定したアウトパフォーマンスを継続しているわけではないことが伺えます。

6. リスク評価

【定量リスク】

指標
ベータ値(5Y Monthly) 0.30
年間ボラティリティ 27.69%
最大ドローダウン -33.03%
年間平均リターン -0.62%

解説: ベータ値0.30は、市場全体の動きに対する株価の連動性が低いことを示しており、市場全体の下落局面では比較的安定しやすい特性があると言えます。年間ボラティリティ27.69%は、株価の変動幅が過去1年間で年間平均約27.69%であったことを意味します。仮に100万円投資した場合、年間で±27.69万円程度の変動が想定されます。最大ドローダウン-33.03%は、過去に経験した最も大きな下落幅であり、今後も同様の下落が起こりうるリスクがあることを示しています。

【事業リスク】

  • 景気変動と素材市況の影響: 主力とする化学品事業は、自動車や電子部品など主要顧客業界の景気動向や、原油・天然ガスなどの原燃料価格、為替の変動(特に円安)に大きく影響を受けます。これらの変動は、原材料費の高騰や需要減少に直結し、収益性を圧迫する可能性があります。
  • M&Aに伴う統合リスクと負債増加: 高機能ウレタン事業の大型買収により、連結範囲の拡大やのれんの計上が行われました。PMI(買収後の統合プロセス)が計画通りに進まず、統合コストが想定を上回る場合や、のれんの減損リスクが顕在化した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、買収資金に伴い有利子負債が増加しており、今後のバランスシートの健全性維持が課題となります。
  • 技術革新と競争激化: 化学業界は技術革新が常に求められる分野であり、競合他社の新たな技術開発や価格競争の激化は、同社の市場シェアや収益性を脅かす可能性があります。特に高付加価値製品の開発競争は熾烈であり、継続的な研究開発投資が不可欠です。

7. 市場センチメント

信用取引状況:

  • 信用買残: 626,300株
  • 信用売残: 36,500株
  • 信用倍率: 17.16倍

解説: 信用倍率17.16倍は、信用買いが信用売りに対して非常に多い状態を示しています。これは、将来の株価上昇を期待して買い建てている投資家が多く存在することを示唆し、株価下落時には投げ売りによる更なる下落圧力となる可能性があります(信用買い残が解消される際に売り注文となるため)。
主要株主構成:

  • 日本マスタートラスト信託銀行(信託口): 18.16%
  • 自社(自己株口): 8.53%
  • 日本カストディ銀行(信託口): 5.48%

解説: 上位主要株主には信託銀行が多く名を連ねており、機関投資家による安定的な保有が伺えます。自社(自己株口)も高い比率で保有しており、株価の安定や資本効率の改善に繋がる可能性があります。

8. 株主還元

配当:

  • 配当利回り(会社予想): 4.11%
  • 1株配当(会社予想): 110.00円
  • 配当性向(会社予想ベース): 約38.9%

解説: 4.11%という配当利回りは、多くの企業と比較して魅力的な水準にあります。配当性向も約38.9%と、利益の約4割を株主還元に充てており、安定配当を維持する姿勢が伺えます。直近の決算短信では、年間配当予想110円(中間55円、期末55円)で据え置きとなっています。
自社株買い:

  • 情報なし

解説: 現時点では、自社株買いに関する明確な発表や実績のデータは見当たりません。

SWOT分析

強み

  • 多角的な事業ポートフォリオによるリスク分散と安定的な事業基盤
  • 高機能素材や化学品における長年の技術蓄積と市場での競争優位性

弱み

  • 収益性の不安定さ(低ROE、利益変動の大きさ)
  • M&Aに伴う有利子負債の増加と統合コストが財務に与える影響

機会

  • 高機能ウレタン事業など成長分野へのM&Aを通じた事業拡大
  • 電動車やデジタル化進展に伴う高機能素材需要の増加

脅威

  • 原燃料市況や為替レートの変動による業績への影響
  • 景気変動(特に自動車・電子部品分野)による需要低迷リスク

この銘柄が向いている投資家

  • 割安株投資家: PBRが1倍を大きく下回り、PERも業界平均比で大幅に割安であるため、企業の本来価値以下の株価で投資したいと考える投資家。
  • 高配当狙いの投資家: 4%を超える高配当利回りに魅力を感じる、インカムゲインを重視する投資家。
  • 事業再編・M&Aによる成長を期待する投資家: 高機能ウレタン事業の買収など、事業構造転換による中長期的な成長に期待をかける投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 収益性の改善状況: 過去の業績に変動が大きく、ROEが低い状況が続いているため、買収した高機能ウレタン事業が本格的に収益貢献し、全体の利益率改善に繋がるかを注視する必要があります。
  • M&Aの進捗と財務影響: 大型買収に伴うのれんの償却費や、PMIがスムーズに進むか、そして増加した有利子負債の返済計画と財務健全性の維持について、今後の開示情報を確認することが重要です。

今後ウォッチすべき指標

  • 各セグメントの利益率推移: 特に買収した高機能ウレタン事業の利益貢献状況と、既存事業(樹脂・化成品、機能品、医薬、機械)の収益性改善度合い。
  • 通期業績予想に対する下期の進捗率: 中間時点での営業利益の進捗遅れを、会社が据え置いた通期予想通りに下期で巻き返せるかどうかの進捗。
  • フリーキャッシュフローの改善: M&Aによる一時的なマイナスからの回復と、安定的かつ持続的なプラスのフリーキャッシュフロー創出能力。

10. 企業スコア(詳細)

成長性: C

根拠: 2025年3月期予想から2026年3月期予想にかけての売上高成長率は約0.66%と微増に留まる見込みです。高機能ウレタン事業の買収効果はあるものの、既存事業の一部で需要低迷が見られ、全体としての売上成長は緩やかであるため、C評価としました。

収益性: D

根拠: 実績ROEが-1.20%(過去12ヶ月では0.39%)とベンチマークを大幅に下回り、営業利益率も4.83%と3%以上5%未満のC評価基準に該当します。ROEの極端な低さから、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す能力に課題があるため、総合的にD評価としました。

財務健全性: B

根拠: 自己資本比率が45.6%(中間期47.0%)、流動比率が165%と健全性の目安をクリアしている一方で、Piotroski F-Scoreが2/9(C評価)と低いことを踏まえ、AとCの中間としてB評価としました。自己資本比率や流動比率は安定しているものの、利益の質やキャッシュフロー生成能力の一部に懸念を残します。

バリュエーション: S

根拠: 会社予想PER 9.46倍と業界平均PER 20.4倍、実績PBR 0.64倍と業界平均PBR 1.1倍を比較すると、PERは業界平均の約46%、PBRは業界平均の約58%に過ぎません。両指標とも業界平均の70%以下であるため、現在の株価は非常に割安であると判断し、S評価としました。


企業情報

銘柄コード 4208
企業名 UBE
URL https://www.ube.co.jp/ube/jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,678円
EPS(1株利益) 283.13円
年間配当 4.11円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 10.9倍 3,080円 3.0%
標準 0.0% 9.5倍 2,678円 0.2%
悲観 1.0% 8.0倍 2,393円 -2.1%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 2,678円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,342円 △ 100%割高
10% 1,676円 △ 60%割高
5% 2,115円 △ 27%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.16)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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