企業の一言説明

日本冶金工業はステンレス鋼専業大手で、ニッケル精錬から圧延までの一貫生産体制を強みとし、高耐食・高耐熱などの高機能材に注力する企業です。

投資判断のための3つのキーポイント

  • ニッケル精錬からの一貫生産体制: 高品質なステンレス材の安定供給と独自の技術力により、高機能材市場での競争優位性を確立しています。
  • 安定した株主還元とPBR1倍割れ: 予想配当利回り4.50%と安定した配当性向は、株主還元への高い意識を示唆します。PBR0.69倍と純資産価値を下回る水準は、バリュー投資の観点から見直しが期待されます。
  • 市況変動と業績のボラティリティ: 会社の収益は、ニッケル価格や為替レート、および国内外の需要変動といった市況リスクに大きく左右されます。直近の業績は減収減益傾向にあり、今後の回復動向を慎重に見極める必要があります。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 D 減収減益傾向
収益性 A 良好な水準
財務健全性 C やや懸念(改善余地あり)
バリュエーション C やや割高(業界平均比)

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 4885.0円
PER 9.70倍 業界平均8.0倍
PBR 0.69倍 業界平均0.6倍
配当利回り 4.50%
ROE 12.46%

1. 企業概要

日本冶金工業株式会社は、1925年に設立されたステンレス鋼専業の大手企業です。ニッケル精錬から圧延、加工までを一貫して行う生産体制を特徴とし、特に高機能ステンレス鋼板とその加工品の製造・販売に強みを持っています。同社の製品は、高い耐食性や耐熱性が求められる精密電子機器、グリーンテクノロジー関連、海洋構造物、自動車、製造・加工プラントなど多岐にわたる産業分野で活用され、独自の技術力と品質で高い参入障壁を築いています。

2. 業界ポジション

同社は、日本のステンレス鋼業界において大手の一角を占めており、特にニッケル精錬から手掛ける一貫生産体制と高機能材への注力で他社との差別化を図っています。これは、安定した高品質な製品供給とコスト競争力に寄与していますが、同時にニッケルなど原材料の価格変動や世界的な需給バランスの影響を強く受ける特性も持ちます。業界平均PER8.0倍に対し、当社のPERは9.70倍と約21%割高、業界平均PBR0.6倍に対し、当社のPBRは0.69倍と約15%割高な水準にあり、市場は業界平均と比較してやや高く評価している状況です。

3. 経営戦略

日本冶金工業は「中期経営計画2023」の最終年度にあたり、「脱炭素」「オイルガス」「半導体」を重点分野と位置付け、これらの分野における高機能材の需要取り込みと、インド・中東市場での営業強化を通じたグローバル展開を推進しています。直近では2025年10月31日に2026年3月期第2四半期決算を発表し、減収減益に伴い通期予想を修正しました。今後の注目イベントとしては、2026年3月30日の配当落ち日が予定されています。

【財務品質スコア】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 1/9 C: やや懸念

投資家向け解釈: Piotroski F-Scoreは、企業の財務健全性を9つの基準で評価するスコアです。当社のスコアは1/9と低く、「やや懸念」と判断されます。これは、収益性、財務健全性、効率性といった複数の観点で改善の余地があることを示しており、特にキャッシュフロー以外の指標で多くの項目が基準を満たしていない状況です。

【収益性】

指標 ベンチマーク 評価 投資家向け解釈
営業利益率(過去12か月) 7.24% 5-10% (B) 普通 本業における稼ぐ力を示します。鉄鋼業界の特性上、他業種に比べて利益率が低い傾向にありますが、5%以上を維持している点は評価できます。
ROE(実績) 12.46% 10%以上 良好 株主資本を使ってどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標です。一般的に10%以上が良好とされ、当社のROEはこれを上回る良好な水準です。
ROA(過去12か月) 4.13% 5%以上 やや不足 総資産に対する利益率です。5%以上が良好とされる中、4.13%はやや不足しており、資産全体をさらに効率的に活用する余地があることを示唆しています。

ROEは良好な水準ですが、ROAがベンチマークに届いていないため、資産活用効率の向上が今後の課題となります。

【財務健全性】

指標 投資家向け解釈
自己資本比率(実績) 44.3% 総資産に占める自己資本の割合で、高いほど倒産しにくいとされます。40%台は製造業としては安定した水準と言えます。
流動比率(直近四半期) 135% 流動資産が流動負債をどれだけカバーしているかを示す指標です。100%を超えていれば短期的な支払い能力に問題はありませんが、200%以上が理想的とされるため、改善の余地があります。

自己資本比率の安定性と合わせて、短期的な支払い能力も確保されていますが、より強固な財務体質を目指す上では流動比率のさらなる改善が望まれます。

【キャッシュフロー】

指標 投資家向け解釈
営業CF(過去12か月) 14,590百万円 企業が本業で稼ぐ現金を示します。プラスであることは、事業が順調に現金を生み出している証拠です。
FCF(過去12か月) 3,240百万円 企業が自由に使える現金(設備投資後に残る現金)を示します。プラスであるため、事業の維持・拡大に必要な投資を行った後も手元に資金が残っており、株主還元や新規事業投資に回せる余力があることを意味します。

営業活動で安定的にキャッシュを生み出し、投資活動後もフリーキャッシュフローがプラスを維持しているため、健全なキャッシュフロー状態にあると言えます。

【利益の質】

指標 評価 投資家向け解釈
営業CF/純利益比率(過去12か月) 1.55 S: 優良 純利益に占める営業キャッシュフローの割合を示し、利益がどれだけ実際の現金に裏付けられているかを表します。1.0以上が健全とされ、当社の1.55は「優良」であり、計上された利益が実体を伴っている証拠で、粉飾決算などの懸念が低いことを示します。

【四半期進捗】

指標 2026年3月期通期予想に対する進捗率(中間期実績) 投資家向け解釈
売上高 51.2% 通期予想148,000百万円に対し、中間期で75,741百万円の売上高を達成しました。
営業利益 53.6% 通期予想11,000百万円に対し、中間期で5,900百万円の営業利益を達成しました。
純利益 51.8% 通期予想7,000百万円に対し、中間期で3,625百万円の純利益を達成しました。

いずれの項目も通期予想に対して概ね半分以上の進捗を示しており、期末に向けて順調なペースで推移しているように見えます。しかし、前年同期比では減収減益となっており、下期における市況や需要の回復が通期目標達成の鍵となります。

【バリュエーション】

指標 業界平均 判定 投資家向け解釈
PER(会社予想) 9.70倍 8.0倍 やや割高 株価が1株当たり利益の何倍かを示す指標です。業界平均と比較して約21%高く、利益から見るとやや割高感があります。
PBR(実績) 0.69倍 0.6倍 やや割高 株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標です。業界平均と比較して約15%高いものの、1倍を下回る水準は、企業が解散した場合の価値(純資産)よりも株価が低い状態を示唆し、バリュー投資家にとっては魅力的な可能性があります。

業種平均PER基準の目標株価は5,366円、業種平均PBR基準の目標株価は4,257円となっています。現状の株価4,885.0円は、PER基準では割安、PBR基準では割高の中間的な位置と捉えることができます。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 解釈
MACD 中立 MACD線とシグナル線がほぼ同じ水準で推移しており、短期的な株価トレンドに明確な方向性は見られません。
RSI 中立 RSIは50近辺で推移しており、株価が買われすぎでも売られすぎでもない、均衡状態にあることを示唆しています。

【テクニカル】

現在の株価4,885.0円は、52週高値5,060円の約90.1%の位置にあり、高値圏で推移しています。直近の5日移動平均線4,918.00円は下回っていますが、25日移動平均線4,647.20円、75日移動平均線4,398.67円、200日移動平均線4,206.23円のいずれも上回っていることから、短期的な調整は見られるものの、中長期的には上昇トレンドが継続していると判断できます。1ヶ月、3ヶ月レンジで見ると比較的高値での推移が続いています。

【市場比較】

当社株価の市場指数に対する相対パフォーマンスは、直近1ヶ月と3ヶ月では日経平均株価およびTOPIXを上回っており、短期的に市場全体より強い動きを見せています。しかし、6ヶ月および1年といった中長期的には日経平均株価を大幅に下回るパフォーマンスとなっており、長期的な観点では市場全体ほどの成長を果たせていないことが示唆されます。今後の業績動向が、長期的な相対パフォーマンス改善の鍵となります。

【注意事項】

⚠️ 信用倍率が4.18倍とやや高い水準にあるため、将来的に信用取引の買い残が積み上がった後に、反対売買による売り圧力が高まる可能性に注意が必要です。

【定量リスク】

当社のベータ値は1.09であり、市場全体が10%変動した場合、当社の株価は平均して10.9%変動する可能性があることを示し、市場にやや連動しやすい特性を持ちます。過去1年間の年間ボラティリティは31.97%、最大ドローダウンは-31.78%と、株価の変動幅が大きい銘柄と言えます。これは、仮に100万円投資した場合、年間で約±32万円程度の変動が想定されることを意味し、短期的な投資においては高いリスクを伴います。リスクに見合うリターンが得られているかを示すシャープレシオは0.04と非常に低く、リスクを取ってまで投資する魅力が薄い可能性を指摘しています。

【事業リスク】

  • 市況変動と原材料価格の変動: 主要原材料であるニッケル価格や電力・燃料費、為替レート(特に円ドル相場)の変動は、コスト構造に直接影響を与え、収益性を大きく左右します。特に、米国における関税などの貿易政策の動向も不確実性を高める要因です。
  • 国内外の需要と競争環境: 国内の建築資材分野の低迷に加え、東アジアからの安価な輸入材流入、そして環境エネルギー分野や海外市場での競争激化は、販売数量および販売価格にマイナスに作用し、業績回復を阻害する可能性があります。
  • 特定の大型プロジェクトへの依存: 高機能材の需要は特定の大型プロジェクトに依存する傾向があり、これらのプロジェクトの具体化遅延や中止があった場合、業績に大きな影響を及ぼすリスクがあります。

7. 市場センチメント(簡潔に)

現在の信用買残は214,700株、信用売残は51,400株であり、信用倍率は4.18倍となっています。これは、将来的な売り圧力が強まる可能性を示唆しており、株価の短期的な上昇を抑制する要因となるかもしれません。主要株主としては、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が11.2%、自社(自己株口)が10.57%、自社協力会社持株会が3.51%と続いており、機関投資家や企業自身も大株主であることから、比較的安定した株主構成であると言えます。

8. 株主還元(簡潔に)

同社は株主還元に積極的な姿勢を見せています。会社予想の年間配当金220.00円に基づくと、現在の株価に対する配当利回りは4.50%と高水準です。予想配当性向は31.32%(一部データでは26.8%)であり、利益に比例した安定的な配当実施に努めていることがうかがえます。加えて、決算短信において期中に自己株式取得を実施した実績も示されており、配当と自社株買いを組み合わせた株主還元策を進めていると評価できます。

SWOT分析

強み

  • ニッケル精錬から圧延・加工までの一貫生産体制を確立しており、高品質・高機能材の安定供給とコスト競争力を両立しています。
  • 精密電子機器、グリーンテクノロジー、オイルガス、半導体など、幅広い重要産業分野で不可欠な高機能ステンレス鋼材を提供できる技術力と実績があります。

弱み

  • 業績が鉄鋼市況や原材料(特にニッケル)価格、為替の変動に大きく左右されやすく、収益の安定性に課題があります。
  • 直近の決算では減収減益となっており、特に高機能材と一般材ともに販売数量が減少している点が、目下の成長性におけるネックとなっています。

機会

  • 脱炭素社会の実現に向けたインフラ投資や再生可能エネルギー、半導体製造装置など、今後の成長が期待される分野で高機能材への需要増加が見込まれます。
  • インドや中東など、経済成長が著しい新興国市場での営業強化は、新たな収益源を確保し、事業の多角化を進める絶好の機会です。

脅威

  • 東アジアからの安価な輸入材の流入や、海外における競合他社との価格競争激化は、当社の収益性を圧迫する可能性があります。
  • 国際的な貿易政策(例:米国関税)や地政学的リスクは、事業計画の不確実性を高め、グローバルな事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定配当を求める長期投資家: 高い配当利回りと安定的な配当性向は、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的です。PBR1倍割れという点も、長期的な企業価値向上への期待を抱かせます。
  • バリュー投資家: 純資産価値を下回るPBR0.69倍に加え、キャッシュフローが健全で財務基盤も比較的堅固であることから、割安に放置されている企業価値に注目する投資家に向いています。
  • 景気回復局面での仕込みを検討する投資家: 足元の業績は下振れしていますが、将来的には世界経済の回復やニッケル市況の好転に伴い、業績が上向く可能性を見込む投資家にとって、現在の水準は魅力的なエントリーポイントとなり得ます。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 業績の変動性と市況リスク: 鉄鋼セクター特有の市況変動リスク、特にニッケル価格や為替の動向が業績に大きく影響するため、これらのマクロ経済指標を常に注視する必要があります。
  • 成長戦略の実行フェーズ: 中期経営計画で掲げた脱炭素、オイルガス、半導体といった重点分野での具体的な受注獲得状況や、インド・中東市場でのプレゼンス拡大が、今後の業績回復・成長につながるかを慎重に評価する必要があります。

今後ウォッチすべき指標

  • ニッケル国際価格の動向: 当社の主要原材料であり、収益性に最も直接的な影響を与えるため、価格推移を常に監視する必要があります。
  • 高機能材の受注・販売量と単価: 成長分野と位置付けられている高機能材における具体的な受注状況や販売価格の動向は、今後の収益改善の鍵を握ります。
  • 海外売上高の成長率: グローバル展開が成長戦略の柱であるため、海外市場(特にインド・中東)での売上高がどれだけ伸びているかを定期的に確認することが重要です。

成長性: D (減収減益傾向)

根拠: 2023年3月期をピークに売上高・利益ともに減少傾向にあり、2026年3月期の会社予想も前年比で売上高約14%減、営業利益約35%減と大幅な減収減益を見込んでいます。直近の中間期決算も減収減益であり、明確な成長トレンドが見られないため、成長性評価は「D」と判断されます。

収益性: A (良好な水準)

根拠: ROE(実績12.46%、過去12ヶ月9.85%)は、概ね10%以上という良好なベンチマークを満たしており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す能力が高いことを示しています。営業利益率(過去12ヶ月7.24%)も、製造業としては堅実な水準であり、総合的に見て収益性は「A」と評価します。

財務健全性: C (やや懸念)

根拠: 自己資本比率44.3%は安定していますが、流動比率が135%と、理想とされる200%や良好とされる150%に届いていません。さらに、Piotroski F-Scoreが1/9と非常に低く、「やや懸念」と判定されていることから、特定の指標は安定しているものの、全体的な財務の質には改善の余地が大きいと判断し、「C」評価とします。

バリュエーション: C (やや割高)

根拠: 会社予想PER9.70倍は業界平均8.0倍に比べて約121%と割高に評価されており、PBR0.69倍も業界平均0.6倍に対して約115%とやや割高感があります。ただし、PBRが1倍を下回る水準である点は考慮し、「C」評価とします。


企業情報

銘柄コード 5480
企業名 日本冶金工業
URL http://www.nyk.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 4,885円
EPS(1株利益) 503.41円
年間配当 4.50円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 18.6% 11.2倍 13,171円 22.0%
標準 14.3% 9.7倍 9,526円 14.4%
悲観 8.6% 8.2倍 6,264円 5.2%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 4,885円

目標年率 理論株価 判定
15% 4,753円 △ 3%割高
10% 5,936円 ○ 18%割安
5% 7,491円 ○ 35%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.17)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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