三井E&S (7003) 企業分析レポート
東京証券取引所に上場する三井E&S(証券コード: 7003)について、個人投資家向けに企業分析レポートを作成しました。本レポートは提供されたデータに基づき、企業の現状、将来性、リスク要因などを多角的に分析し、投資判断の一助となる情報提供を目的としています。
企業の一言説明
三井E&Sは、船舶用のディーゼルエンジンや港湾向け物流システムを主力事業として展開する、グローバル市場で高い技術力を誇る日本の重工系企業です。旧三井造船の流れを汲み、主要事業領域での国内首位、世界シェア上位を確立しています。
投資判断のための3つのキーポイント
- 脱炭素・高成長市場へのシフトと技術的優位性: 舶用推進システム事業では、アンモニア燃料エンジンなどの次世代燃料技術開発に注力し、海運業界の脱炭素化という巨大な市場機会を捉える先行者としての地位を確立しています。物流システム事業でも、高効率な港湾クレーンで世界的な需要を取り込んでおり、中長期的な成長ドライバーとなり得ます。
- 収益構造の安定化と改善トレンド: 過去の不採算事業からの撤退や事業ポートフォリオの見直しが進み、高採算事業(舶用推進システム、物流システム)への集中と効率化により、営業利益はV字回復を見せ、大幅な増益トレンドにあります。特に、営業活動によるキャッシュフローが純利益を大きく上回る「利益の質」の高さも特徴です。
- 株価の急騰とバリュエーションの割高感: 過去1年間で株価は大幅に上昇しており、市場の期待を強く反映しています。しかし、現在のPERやPBRは業界平均と比較してかなり割高な水準にあり、企業価値を上回る期待が先行している可能性も否定できません。過熱感があるため、高値掴みのリスクや調整局面における下落リスクには注意が必要です。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | S | 極めて優良 |
| 収益性 | A | 良好 |
| 財務健全性 | B | 普通 |
| バリュエーション | D | 懸念 |
※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 6,361円 | – |
| PER | 24.68倍 | 業界平均16.6倍 |
| PBR | 3.36倍 | 業界平均1.4倍 |
| 配当利回り | 0.55% | – |
| ROE | 13.80% | – |
1. 企業概要
三井E&Sは、船舶用ディーゼルエンジンで国内トップシェアを誇る舶用推進システム事業と、国内外の港湾向けコンテナクレーンで世界シェア上位を占める物流システム事業を両輪とする重工系企業です。かつての造船・エンジニアリング事業からは撤退し、高収益事業に注力しています。水素・アンモニア燃料エンジン開発や脱炭素技術への高い技術的独自性を持ち、アフターサービスを含む幅広いソリューションを提供することで、参入障壁の高いビジネスモデルを構築しています。
2. 業界ポジション
三井E&Sは、舶用推進システム分野では国内首位、港湾クレーンを含む物流システム分野でもグローバルで上位の市場シェアを有するリーディングカンパニーです。海運業界の脱炭素化ニーズに応える次世代燃料エンジンの開発競争において優位性を持ち、米国の主要港向け大型クレーンなど高品質・高付加価値製品で競合他社との差別化を図っています。現在のPER(24.68倍)は業界平均PER(16.6倍)を大幅に上回り、PBR(3.36倍)も業界平均PBR(1.4倍)を大きく超えており、投資家がこの成長性・技術力を高く評価していることが伺えます。
3. 経営戦略
三井E&Sは、中期経営計画『三井E&S Rolling Vision 2025』に基づき、中核事業の成長性と新規事業への積極投資に取り組んでいます。特に、船舶の脱炭素化を牽引するアンモニア焚きエンジンや港湾クレーンの水素燃料電池化など、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した先端技術開発に注力。2026年3月期第2四半期決算では、上期の高採算工事の進捗と原価低減効果により、通期業績予想を上方修正しました。成長事業推進セグメントでは産業機械や陸上発電装置が堅調に推移し、周辺サービス事業も海外子会社を中心に増収に貢献しています。
今後のイベント:
- 2026年2月10日 6:30 AM UTC: MITSUI E&S Co., Ltd. 決算発表
- 2026年3月30日 12:00 AM UTC: 配当権利落ち日
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
Piotroski F-Scoreは、企業の財務健全性と収益性を9つの項目で評価する指標です。9点満点で、高得点であるほど財務状況が良好と判断されます。
| 項目 | スコア | 判定 | 詳細(提供データに基づく) |
|---|---|---|---|
| 総合スコア | 3/9 | △普通 | 全体的に改善の余地があるものの、一部でプラス要因が見られます。 |
| 収益性スコア | 1/3 | △普通 | 過去12ヶ月の営業キャッシュフローは黒字ですが、ROAの改善には課題がある可能性があります。 |
| 財務健全性スコア | 0/3 | ⚠️要注意 | 流動比率の改善や長期負債の状況が不明確であり、財務的な余力に懸念が残ります。 |
| 効率性スコア | 2/3 | △普通 | 売上総利益率の改善やキャッシュフローが純利益を上回る点で効率性が評価されます。 |
F-Score 3点(普通)は、財務状況に一部改善の余地があることを示唆しています。特に財務健全性スコアが0点である点は、今後の財務状況を慎重に観察する必要があることを意味します。
【収益性】
収益性を示す主要指標は以下の通りです。
| 指標 | 値 | ベンチマーク | 評価 | 解説 |
|---|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 12.92% | (目安5-10%) | 良好 | 過去12ヶ月の営業利益率は12.92%と高く、本業での稼ぐ力が強いことを示しています。2026年3月期第2四半期の中間期連結決算では、営業利益率が約12.0%と前年同期の約6.6%から大幅に改善しており、高採算案件の進捗や原価低減効果が奏功しています。これは、事業ポートフォリオの効率化と収益性の高い事業への集中が結実している証拠です。 |
| ROE(実績) | 13.80% | 10% | 良好 | 株主資本利益率(ROE)は、株主から預かったお金を使って企業がどれだけ効率良く利益を上げたかを示す指標です。過去12ヶ月の実績ROEは13.80%と、一般的な目安とされる10%を上回っており、株主価値創造力が良好であることを示します。特に、2025年3月期の実績ROEが25.06%と非常に高く、効率的な経営が加速しています。 |
| ROA(実績) | 4.77% | 5% | 普通 | 総資産利益率(ROA)は、企業が所有する全ての資産を使ってどれだけ効率良く利益を上げたかを示す指標です。過去12ヶ月の実績ROAは4.77%と、目安とされる5%にはわずかに及ばないものの、ほぼ同水準にあります。収益性が向上する中で、総資産を効率的に活用できているかを今後さらに注視することが重要です。 |
| Profit Margin | 7.25% | – | 良好 | 売上高に対する最終利益の割合を示すプロフィットマージンも7.25%と、堅実な利益創出能力を示しています。 |
【財務健全性】
企業の安定性を示す財務健全性指標は以下の通りです。
| 指標 | 値 | 目安 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|---|---|
| 自己資本比率 | 37.8% | 40%以上 | 普通 | 自己資本比率は、総資産に占める自己資本の割合で、高いほど倒産しにくい安定した財務基盤を示します。実績自己資本比率は37.8%と、優良企業の一つの目安である40%にはわずかに届かないものの、一般的な事業会社の健全性の目安とされる30%を上回っており、比較的安定した水準にあります。2026年3月期第2四半期末では42.0%に改善しており、財務体質の強化が進んでいることが伺えます。 |
| 流動比率 | 1.27倍 | 150%以上 | 普通 | 流動比率は、短期的な支払い能力を示す指標で、流動資産を流動負債で割って算出します。127%は、短期的債務をある程度カバーできる水準ですが、より安全とされる150%には届いていません。しかし、100%を上回っているため、直ちに問題があるわけではありません。流動性の改善は今後の課題の一つとなる可能性があります。 |
| Total Debt/Equity | 42.52% | – | 健全 | デット・エクイティ・レシオは、他人資本(負債)が自己資本の何倍かを示し、財務レバレッジの度合いを表します。42.52%という数値は、自己資本に対して有利子負債が比較的低い水準にあり、負債依存度が低いことを示唆しています。これは、企業の財務リスクが比較的低いことを意味し、財務健全性に貢献しています。 |
【キャッシュフロー】
キャッシュフローは企業の真の稼ぐ力を示します。
| 指標 | 値 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 営業CF | 35,920百万円 | 潤沢 | 過去12ヶ月の営業キャッシュフローは359億円と顕著なプラスであり、コア事業から安定して現金を創出していることを示します。これは企業が本業で着実に利益を上げ、それを現金として回収できている健全な状態です。2026年3月期第2四半期中間期連結決算でも前年同期比で大幅に改善しており、質の高い収益性が継続していることが窺えます。 |
| FCF | 19,810百万円 | 豊富 | フリーキャッシュフロー(FCF)は、企業の事業活動で生み出した現金から、事業維持に必要な投資を差し引いた後に自由に使える現金を指します。FCFが198億円と多額のプラスであることは、成長投資や株主還元に充てる十分な資金余力があることを示しています。 |
【利益の質】
利益の質を測る指標は以下の通りです。
| 指標 | 値 | 目安 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|---|---|
| 営業CF/純利益比率 | 1.48 | 1.0以上 | S優良 | 営業キャッシュフローが純利益を大幅に上回っていることは、売掛金の回収が順調であることや、減価償却費などの非現金費用が利益計算に含まれることなどが要因となります。この比率1.48は、売上や利益がしっかり現金として確保されており、利益の質が極めて高いことを示しています。 |
【四半期進捗】
2026年3月期の通期予想に対する第2四半期進捗状況は以下の通りです。
| 項目 | 中間期実績(百万円) | 通期予想(百万円) | 進捗率 | 解説 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 165,548 | 340,000 | 48.7% | 通期予想に対して約半分弱の進捗ですが、これは中間期時点での標準的な水準です。上期に高採算案件が集中する特性も踏まえると、通期目標達成に向けて順調なペースと評価できます。 |
| 営業利益 | 19,801 | 30,000 | 66.0% | 営業利益の進捗率は66.0%と非常に高く、通期の上方修正の合理性を示しています。舶用推進システムと物流システムにおける高採算工事の進捗と原価低減効果が大きく貢献しており、通期目標達成への期待が高まります。 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 17,531 | 26,000 | 67.4% | 純利益の進捗率も67.4%と好調ですが、前年同期にあった関係会社株式売却益という特別利益が今期は減少した影響で、前年中間期純利益からは減少しています。特別利益を除いた事業の継続的な収益力は向上していると判断できます。 |
【バリュエーション】
現在の株価は、業界平均と比較して割高な水準にあります。
| 指標 | 値 | 業界平均 | 判定 | 解説 |
|---|---|---|---|---|
| PER | 24.68倍 | 16.6倍 | ⚠️ 割高 | 株価収益率(PER)は、株価が1株当たり利益の何倍かを示す指標です。業界平均を大きく上回っており、市場が三井E&Sの将来の成長に対して高い期待を織り込んでいることを示唆します。ただし、期待先行による過熱感や、業績が期待を下回った場合のリスクも考慮する必要があります。 |
| PBR | 3.36倍 | 1.4倍 | ⚠️ 割高 | 株価純資産倍率(PBR)は、株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標です。こちらも業界平均を大幅に上回っており、企業の解散価値の約3.36倍で取引されていることを意味します。現在の株価が純資産価値に対してかなり高い評価を受けていることを示しており、割高と判断されます。 |
| 目標株価(業種平均PER基準) | 4,002円 | – | 現在株価より低い | 業界平均PERを基にした目標株価は4,002円であり、現在の株価6,361円と比較すると、約37%低い水準です。 |
| 目標株価(業種平均PBR基準) | 2,649円 | – | 現在株価より低い | 業界平均PBRを基にした目標株価は2,649円であり、現在の株価6,361円と比較すると、約58%低い水準です。 |
【テクニカルシグナル】
直近のテクニカル指標は以下の通りです。
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | – | 短期的なトレンドに明確な方向性は見られません。 |
| RSI | 中立 | – | 買われすぎでも売られすぎでもない状態です。 |
| 移動平均乖離率 | – | – | データなし |
現在のMACDとRSIはどちらも中立的なシグナルを示しており、短期的なトレンドに明確な方向性は見られません。これは、買い手と売り手の均衡状態にあることを示唆している可能性があります。
【テクニカル】
- 52週高値・安値との位置: 現在株価6,361円は、52週高値7,333円から約13.3%下落した水準にあり、52週安値1,141円からは大幅に上昇した位置(52週レンジ内位置: 84.3%)にあります。これは、過去1年間の株価上昇は非常に大きかったものの、直近では高値から調整局面に入っていることを示唆しています。
- 移動平均線との関係: 現在株価は、5日移動平均線(6,550.20円)を下回っていますが、25日移動平均線(6,053.28円)、75日移動平均線(5,796.39円)、そして200日移動平均線(3,949.93円)を大幅に上回っています。これは、短期的な調整は見られるものの、中長期的な上昇トレンドは継続している強い状況を示しています。特に200日移動平均線から大きく上方乖離している点は、過去1年間の株価急騰を象徴しています。
【市場比較】
三井E&Sの株価は、過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年間のいずれの期間においても、日経平均株価およびTOPIXといった主要市場指数を大幅に上回るパフォーマンスを記録しています。
- 日経平均比: 過去1年で日経平均を243.04%ポイント上回り、著しいアウトパフォームを示しています。
- TOPIX比: 過去1年でTOPIXを大幅に上回っており、市場全体を牽引する銘柄の一つであったことが伺えます。
この強力な相対パフォーマンスは、市場が同社の事業転換と成長戦略を高く評価していることを強く示しています。
【注意事項】
⚠️ 信用倍率4.65倍は、将来の売り圧力に注意が必要です。信用買い残が高い水準にあるため、需給バランスの悪化による価格下落リスクがあります。
⚠️ 現在のPER/PBRは業界平均と比較してかなり割高であり、バリュエーション調整のリスクに加えて、業績悪化時には大きな下落につながる可能性もあります。
【定量リスク】
定量的なリスク指標は以下の通りです。
| 指標 | 値 | 解説 |
|---|---|---|
| ベータ値 | 1.09 | 市場全体の動きと比較した株価の変動率を示す指標です。1.09という値は、市場全体(例:TOPIX)が1%動いた場合、三井E&Sの株価は平均して1.09%動く傾向にあることを示します。市場全体とほぼ同程度の変動性ですが、やや市場に敏感に反応しやすい傾向があります。 |
| 年間ボラティリティ | 70.36% | 過去1年間の株価変動の激しさを示す指標です。70.36%という高い値は、株価の変動が非常に大きいことを意味します。仮に100万円投資した場合、年間で±70.36万円程度の変動が想定されるほど、価格の振れ幅が大きい銘柄です。これは、短期間での大きなリターンを期待できる可能性がある一方で、相応のリスクを伴うことを示します。 |
| 最大ドローダウン | -88.25% | 過去のある時点から最も大きく株価が下落した際の最大下落率です。-88.25%という数字は、過去に極めて大規模な株価下落を経験していることを示しています。これは主に不採算事業からの撤退や事業構造改革期に発生したものであり、現在の事業構造とは異なりますが、これほどの大きな下落が過去に起こり得たことを認識しておく必要があります。 |
| シャープレシオ | -0.64 | リスク1単位あたりのリターンを示す指標です。この値がマイナスであることは、過去のデータにおいてリスクを取った割には十分なリターンが得られていないことを示唆します。ただし、同社は事業構造転換後の株価が急騰しており、過去5年間の平均リターン(-44.72%)が算出に影響を与えている可能性があり、直近のパフォーマンスだけを反映しているわけではない点に注意が必要です。 |
【事業リスク】
- 為替変動リスク: 三井E&Sは海外売上高比率が高く、米国・欧州・アジアなどグローバルに事業を展開しているため、為替レートの変動が業績に大きな影響を与えます。決算短信では通期予想の為替前提を1USD=145円と設定しており、これよりも円高に進む場合は収益を圧迫する可能性があります。
- グローバル競争と規制動向: 港湾物流システムや船舶用エンジン市場は世界の主要企業が競合する分野であり、技術革新や価格競争が常に存在します。また、船舶のGHG排出規制など、海運業界を取り巻く環境規制の変化は、技術開発投資や製品戦略に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に米国関税政策や地政学的リスクも事業に影響を与える要因として挙げられています。
- 原材料価格高騰とサプライチェーン: 重工機械や舶用エンジンは多様な原材料や部品を必要とし、それらの価格変動は製造コストに直結します。世界的なサプライチェーンの混乱や原材料価格の高騰が続くと、原価上昇によって利益率が低下するリスクがあります。同社は原価低減努力を進めていますが、外部環境による影響は避けられません。
7. 市場センチメント
三井E&Sに関する市場センチメントは、比較的ポジティブな見方が多いものの、信用取引状況には注意が必要です。
- 信用取引状況: 信用買残が5,201,200株に対し、信用売残が1,119,200株であり、信用倍率は4.65倍と比較的高い水準にあります。信用買残が多い状況は、将来的にこれらの買い方が利益確定売りや清算売りを行う可能性があり、株価への売り圧力として作用することがあります。
- 主要株主構成: 上位株主には日本マスタートラスト信託銀行(信託口)14.78%、日本カストディ銀行(信託口)7.61%、今治造船3.75%が名を連ねており、機関投資家や主要取引先の保有比率が高いことが特徴です。これは、安定株主が多く経営の安定に寄与する一方で、特定の株主の動向が株価に影響を与える可能性もあります。
8. 株主還元
三井E&Sの株主還元に関する状況は以下の通りです。
- 配当利回り: 現在の株価に基づく配当利回りは0.55%であり、これは市場全体の水準と比較して低い傾向にあります。
- 配当性向: 過去12ヶ月の配当性向は14.52%と低めです。これは、利益の大部分を内部留保し、成長投資に充てている可能性を示唆します。2026年3月期の中間決算では、期末配当が「未定」に修正されており、将来の配当見通しに不確実性がある点に留意が必要です。ただし、企業としては「適正な配当政策による株主還元を継続する」意向を示しています。
- 自社株買いの状況: 提供されたデータには自社株買いに関する明確な開示はありませんが、上位株主として「自社(自己株口)」が2.14%の保有割合で記載されており、過去に自社株買いを実施した実績がある可能性が見られます。
SWOT分析
強み
- 世界的にも希少性の高い次世代舶用燃料エンジン技術(アンモニア焚き等)開発における先行者としての地位。
- 港湾物流システムにおける高効率・高付加価値製品(コンテナクレーン等)のグローバルでの高い市場シェアと競争優位性。
- 不採算事業の撤退と高収益事業への集中による、大幅な営業利益改善と堅調なキャッシュフロー創出力。
- 継続的な研究開発投資とM&Aを排除しない戦略による、持続的な成長ポテンシャル。
弱み
- 特定の大型プロジェクト受注に業績が左右される可能性があり、受注高の変動リスクが存在する。
- 多額の特別利益に依存する収益構造の変動性(過去の関係会社株式売却益の反動など)。
- 自己資本比率や流動比率が、最高水準には至っておらず、財務健全性(F-Scoreでの低評価)に改善余地がある。
- 配当の安定性に関する不確実性(期末配当が未定となっている点)。
機会
- 世界的な脱炭素化の流れと国際海事機関(IMO)による排出規制強化が、次世代燃料エンジンへの需要を加速。
- グローバルな物流需要の増加と港湾インフラ整備投資の拡大が、高効率港湾クレーンの需要を創出。
- 日本政府や国際機関による、グリーンテクノロジー開発への支援・補助金制度の活用。
- M&Aや提携による事業領域の拡大、技術シナジーの創出によるさらなる成長。
脅威
- グローバルな景気後退や地政学的リスク(紛争、貿易摩擦等)が、海運・物流市場全体に与える負のインパクト。
- 為替レートの急激な変動が、海外売上高や原材料コストに与える悪影響。
- 競合他社による技術開発の追随や価格競争の激化により、市場シェアや収益性が圧迫されるリスク。
- 原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱が、製造コスト増加につながる可能性。
この銘柄が向いている投資家
- 成長株を狙う投資家: 脱炭素化や自動化といった世界的なトレンドに乗る技術を有し、高成長が期待できる企業を求める投資家。
- テーマ投資を重視する投資家: ESG投資やSDGs関連、環境技術といったテーマ性のある銘柄に関心のある投資家。
- 中長期的な視点を持つ投資家: 短期的な株価変動リスクを許容し、企業の事業構造転換と将来的な収益拡大に期待して長期保有を検討できる投資家。
この銘柄を検討する際の注意点
- 高バリュエーションへの警戒: 現在のPERやPBRは業界平均と比較して著しく割高であり、すでに株価に高い成長期待が織り込まれている可能性があります。業績が期待を下回った場合、大きな価格調整リスクがあります。
- 信用倍率と需給の動向: 信用買残が多く、信用倍率も高いため、将来的な売り圧力が発生する可能性があります。需給の変化には常に注目しておく必要があります。
- 配当政策の不確実性: 期末配当が現在「未定」であるため、安定的な配当収入を重視する投資家にとっては不確実性が高く、配当方針に関する今後の発表を注視する必要があります。
今後ウォッチすべき指標
- 次世代舶用燃料エンジンの受注動向と採算性: アンモニア焚きエンジンなどの大型受注の発表や、その後の採算状況、開発進捗についてウォッチすべきです。
- 物流システム事業の海外受注状況: 特に米国をはじめとする世界各地での大型港湾クレーンの受注状況と、それによる収益への貢献度。
- 四半期ごとの営業利益率の推移: 高採算案件の進捗や原価低減効果が継続しているかを判断するため、四半期ごとの営業利益率の安定性を確認します。
- 自己資本比率と流動比率の改善: 財務健全性のさらなる強化のため、これらの指標が中期経営計画に沿って改善していくかを注視します。
- 通期配当予想の開示と株主還元政策: 期末配当が確定した際の年間配当額と、今後の具体的な株主還元策に関する発表。
成長性: S (極めて優良)
根拠: 過去1年間の株価リターンが280.44%と驚異的な上昇を見せており、市場からの高い成長期待が伺えます。直近の四半期売上高成長率は前年比12.60%、四半期利益成長率は同195.40%と非常に高く、事業ポートフォリオの見直しと高成長事業への集中が奏功しています。特に脱炭素化に向けた次世代燃料エンジン開発や、グローバルな物流システム需要の拡大といった外部環境も追い風となり、中長期的な成長機会が豊富です。
収益性: A (良好)
根拠: 過去12ヶ月の営業利益率は12.92%、ROEは13.80%といずれも良好な水準にあり、企業が効率的に利益を生み出す力を示しています。特に営業利益はV字回復を遂げ、高採算案件の獲得と原価低減が寄与しています。また、営業CF/純利益比率が1.48と極めて高く、利益の質も優良です。ROAは4.77%と目安にわずかに届かないものの、全体的に収益改善トレンドにあります。
財務健全性: B (普通)
根拠: 自己資本比率は37.8%(直近四半期で42.0%に改善)と健全性の目安とされる水準に近く、流動比率も127%と短期的支払い能力に問題はありません。Total Debt/Equityも42.52%と低く、負債依存度は適切です。しかし、Piotroski F-Scoreの財務健全性スコアが0/3であった点や、一部データでは前年比改善の確認ができない項目があったため、更なる改善の余地があることから「普通」と評価します。
バリュエーション: D (懸念)
根拠: 現在のPER(24.68倍)とPBR(3.36倍)は、それぞれ業界平均(PER 16.6倍、PBR 1.4倍)を大幅に上回っており、割高感は否めません。業種平均PER/PBR基準での目標株価も現在の株価を大きく下回っています。過去1年間の株価が急騰したことで、市場の期待が先行し、企業の実態価値を超えて評価されている可能性が高く、投資にあたっては株価の過熱感を十分に考慮し、慎重な判断が求められます。
重要な注意事項:
企業情報
| 銘柄コード | 7003 |
| 企業名 | 三井E&S |
| URL | https://www.mes.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 6,361円 |
| EPS(1株利益) | 257.70円 |
| 年間配当 | 35.00円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10.4% | 27.0倍 | 11,404円 | 12.8% |
| 標準 | 8.0% | 23.5倍 | 8,885円 | 7.4% |
| 悲観 | 4.8% | 19.9倍 | 6,498円 | 1.0% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 6,361円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 4,528円 | △ 40%割高 |
| 10% | 5,655円 | △ 12%割高 |
| 5% | 7,135円 | ○ 11%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.17)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。