企業の一言説明

東洋水産は即席麺、冷凍食品、水産食品などを国内外で展開する総合食品大手企業です。特に海外(米州)では即席麺市場で圧倒的な地位を確立しています。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 盤石な海外事業と高収益体質: 海外即席麺事業が収益の柱であり、高い営業利益率を維持しています。堅実な財務基盤も強みです。
  • コスト高と価格転嫁の巧みさ: 原材料価格の高騰や運送費・人件費の増加に対し、国内外で適時適切な価格改定を実施し、収益性を確保しています。
  • 加工食品事業の立て直しと為替変動リスク: 原料高や新工場稼働に伴う減価償却費増加により加工食品事業が利益から損失に転換しており、今後の改善策に注目が必要です。また、海外売上が大きいため為替変動が業績に与える影響は継続的なリスクです。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 A 良好
収益性 A 良好
財務健全性 B 普通
バリュエーション C やや不安

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 10,920.0円
PER 16.42倍 業界平均19.5倍
PBR 2.18倍 業界平均1.3倍
配当利回り 1.83%
ROE 13.33%

1. 企業概要

東洋水産は、1948年設立の総合食品メーカーです。水産事業から出発し、現在では即席麺(国内2位、米国・メキシコで圧倒的首位)、低温食品(冷凍食品・チルド麺)、加工食品(米飯、フリーズドライ)、冷蔵事業(物流・弁当・惣菜)など多岐にわたる製品・サービスを国内外で提供しています。特に海外即席麺事業が売上・利益の約半数を占める主力事業であり、高いブランド認知度と市場シェアを持つことが特徴です。

2. 業界ポジション

東洋水産は食品業界、特に即席麺分野において国内で2位、海外(米州)では圧倒的な首位の市場シェアを誇ります。広範な製品ポートフォリオと国内外にわたる販売網を強みとし、特定の事業に依存しすぎないバランスの取れた事業構成が特徴です。競合他社に対する強みは、海外市場での強力なブランド力と収益性、そして長年培った流通・商品開発力にあります。弱みとしては、国内市場での即席麺の競争圧力と、加工食品事業での利益率の課題が挙げられます。
財務指標では、PERが16.42倍と業界平均の19.5倍を下回っており、利益面から見ると相対的に割安感がある可能性があります。しかし、PBRは2.18倍と業界平均1.3倍を大きく上回っており、純資産に対しては割高感が見られます。

3. 経営戦略

東洋水産は、安定的な収益基盤である海外即席麺事業を核に、国内での競争力強化と事業ポートフォリオの多角化を進めています。直近の決算短信からは、原材料高騰や運送・人件費の増加といったコストアップ要因に対し、価格改定を通じて収益確保を図る戦略がうかがえます。特に、売上高は増加しているものの、加工食品事業が原料高と新工場稼働に伴う減価償却負担により損失に転じるなど、事業構造変革期における課題も抱えています。今後のイベントとして、2026年1月30日に決算発表、3月30日に権利落ち日が予定されており、発表される業績や株主還元策に注目が集まります。

4. 財務分析

東洋水産の財務状況を多角的に分析します。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

  • 総合スコア: 4/9点 (B: 普通)
  • 評価: Piotroski F-Scoreは4点であり、財務健全性全体を見ると「普通」の評価です。収益性スコア1/3、財務健全性スコア1/3、効率性スコア2/3と、各項目で満点に至らない部分があり、改善の余地があることを示唆しています。

【収益性】

指標 ベンチマーク 判定
営業利益率 16.48% (過去12ヶ月) 5-10%以上が目安 良好
ROE 13.33% (実績) 10%以上が目安 良好
ROA 8.27% (過去12ヶ月) 5%以上が目安 優良

解説:

東洋水産は、過去12ヶ月の営業利益率が16.48%と非常に高水準であり、本業でしっかりと利益を稼ぎ出していることを示しています。ROE(株主資本利益率)も13.33%と、株主のお金を効率的に使って利益を上げている良好な状態です。ROA(総資産利益率)も8.27%と優良な水準であり、総資産を有効活用して収益を生み出しています。セグメント別に見ると、海外即席麺事業の高い収益性が全体の利益率を押し上げています。

【財務健全性】

指標 基準 判定
自己資本比率 80.9% (実績) 40%以上が安定 極めて安定
流動比率 531% (直近四半期) 200%以上が健全 極めて高い

解説:

自己資本比率は80.9%と非常に高く、財務基盤が極めて安定していることを示しています。これは、借入金が少なく、自社の資本で多くの事業活動を賄っているため、外部環境の変化や経済ショックに強い体質であることを意味します。流動比率も531%と極めて高く、短期的な支払い能力に全く問題がないほど潤沢な流動資産を保有しています。
有利子負債は直近四半期で32.8億円と極めて低水準であり、ほぼ無借金経営に近い状態と言えます。これは、将来の金利上昇リスクに対して非常に強い抵抗力を持つことを示しています。

【キャッシュフロー】

指標 値 (百万円)
営業CF 71,570
フリーCF 9,620

解説:

営業キャッシュフローは715.7億円と潤沢であり、本業でしっかりと現金を創出する能力があることを示しています。しかし、フリーキャッシュフローは96.2億円と、営業CFと比較して大幅に減少しています。これは、当期の中間累計設備投資が約207.8億円と前年同期の約2倍に増加したことが主な理由と考えられ、将来の成長を見据えた積極的な投資が行われていることを示唆しています。投資の結果が将来の収益にどう寄与するかが注目されます。

【利益の質】

指標 評価
営業CF/純利益比率 1.11 A (良好(キャッシュフローが利益を上回る))

解説:

営業キャッシュフローが純利益を上回る(比率1.11)ため、利益の質は良好と評価できます。これは、計上された利益が現金としてしっかりと手元に残っていることを意味し、粉飾決算などのリスクが低い健全な会計処理が行われている証拠です。

【四半期進捗】

東洋水産の2026年3月期第2四半期(中間期)の通期予想に対する進捗率は以下の通りです。

  • 売上高: 47.9%(2,560.7億円 / 5,350億円)
  • 営業利益: 49.7%(397.7億円 / 800億円)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 50.5%(333.2億円 / 660億円)

解説:

中間期における通期予想達成率は、売上高、営業利益、純利益ともに約48%から50%と、年間を通して概ね順調なペースで推移していると判断できます。前年同期比では増収微減益となっていますが、これは海外事業の為替影響や国内のコスト増が背景にあります。「ほぼ予想通り」の進捗であり、為替変動や原材料価格の動向が後半の業績を左右する可能性があります。

【バリュエーション】

指標 業界平均 業界平均比 判定
PER 16.42倍 19.5倍 84.2% 適正〜やや割安
PBR 2.18倍 1.3倍 167.7% 割高

解説:

東洋水産のPER(株価収益率)は16.42倍と、食品業界平均の19.5倍と比較して低い水準にあり、利益面から見るとやや割安感があると言えます。これは、同社の利益水準が株価に十分に織り込まれていない可能性を示唆しています。一方、PBR(株価純資産倍率)は2.18倍と、業界平均の1.3倍を大きく上回っており、純資産に対しては割高と評価されます。これは、同社の高い収益性やブランド価値、安定した財務体質が評価され、プレミアムが乗っていると考えられます。業種平均PER基準の目標株価は12,299円、業種平均PBR基準の目標株価は6,511円となっており、PBR基準では現在の株価が割高と判断される状況です。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 短期トレンドに明確な方向性は見られない
RSI 中立 データなし 買われすぎでも売られすぎでもない

解説:

MACDおよびRSIともに「中立」とされており、現状では短期的な株価の明確なトレンド転換を示すシグナルは出ていません。

【テクニカル】

現在の株価は10,920.0円であり、52週高値11,380円に87.3%の位置、52週安値7,748円からは大きく上昇した水準にあります。
移動平均線との関係を見ると、現在株価は5日移動平均線(11,145.00円)および25日移動平均線(10,945.60円)をわずかに下回っており、短期的にはやや下落圧力が意識される状況です。しかし、75日移動平均線(10,699.93円)と200日移動平均線(10,011.60円)は上回っているため、中長期的な上昇トレンドは継続していると判断できます。200日移動平均線からの乖離率が+9.07%と比較的大きく、上昇基調にあることを示唆しています。

【市場比較】

東洋水産の株価パフォーマンスを日経平均株価およびTOPIXと比較すると、以下の状況です。

  • 1ヶ月リターン: +0.60% vs 日経平均+8.77% → 8.17%ポイント下回る
  • 3ヶ月リターン: +5.51% vs 日経平均+9.48% → 3.97%ポイント下回る
  • 6ヶ月リターン: +14.01% vs 日経平均+35.76% → 21.75%ポイント下回る
  • 1年リターン: +3.21% vs 日経平均+37.40% → 34.18%ポイント下回る

解説:

過去1年間を通して、東洋水産の株価は日経平均株価やTOPIXといった市場全体と比較して、大幅にアンダーパフォームしています。特に過去6ヶ月、1年間のパフォーマンスでその傾向が顕著です。これは、特定のセクターへ資金が集中したり、東洋水産固有の懸念材料(例:海外事業の販売数量モメンタム悪化の警戒、加工食品事業の損失転換など)が市場全体の上昇の恩恵を十分に受けられなかったことなどが要因として考えられます。

【定量リスク】

指標
年間ボラティリティ 34.35%
シャープレシオ -0.30
最大ドローダウン -31.74%
年間平均リターン -9.86%

解説:

東洋水産は年間ボラティリティが34.35%と、比較的高い株価変動率を持つ銘柄です。これは、仮に100万円投資した場合、年間で±34.35万円程度の変動が想定されることを意味します。シャープレシオは-0.30とマイナスであり、リスクに見合ったリターンが得られていない状況を示しています。過去の最大ドローダウンは-31.74%であり、投資家はこの程度の短期間での資産減少リスクを想定しておく必要があります。過去1年間の年間平均リターンは-9.86%と、株式市場全体が上昇した局面においてもマイナスリターンとなっています。

【事業リスク】

  • 為替変動リスク: 海外即席麺事業の比重が高いため、為替レートの変動が業績に直接的な影響を与えます。特にドル安に振れた場合、海外収益の円換算額が減少し、業績を下押しする可能性があります。
  • 原材料価格高騰とコスト増: 原材料、包装資材、エネルギー価格の高騰、運送費や人件費の増加は、製品の原価を押し上げ、利益率を圧迫する要因となります。適切な価格転嫁ができない場合、収益悪化につながります。
  • 海外市場の競争激化と消費動向の変化: 米国市場での節約志向や、各国での競合他社との競争激化は、販売数量や価格設定に影響を与え、海外即席麺事業の収益性にリスクをもたらす可能性があります。加工食品事業の損失転換も改善進捗が遅れるとリスクとなります。

7. 市場センチメント

信用買残は19,000株、信用売残は36,400株であり、信用倍率は0.52倍と、売り残が買い残を大きく上回る極めて低い水準にあります。これは将来の買い戻し圧力につながる可能性があり、株価の下支え要因となることが期待されます。
主要株主は、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が12.14%、自社(自己株口)が10.94%、日本カストディ銀行(信託口)が7.00%と、金融機関系信託銀行や自社が上位を占めています。特定の外部大株主による支配は限定的であり、安定した株主構成と言えます。機関投資家による保有比率は37.55%と一定の割合を占めています。

8. 株主還元

配当利回り(会社予想)は1.83%(過去12ヶ月のTrailing Annual Dividend Yield3は1.81%)で、食品セクターとしては平均的からやや高めの水準です。1株当たり配当(会社予想)は200.00円(予2026.03も200円)であり、安定配当を継続する方針が見られます。配当性向は31.74%(予2026.03は31.9%)と、利益の約3割を株主還元に回しており、企業が内部留保と成長投資にも資金を振り向けるバランスの取れた水準です。中間期においても自己株式取得を93.5億円実施しており、配当と合わせた総還元性向はさらに高くなる可能性があります。これは株主に対する還元意欲が高いことを示しています。

SWOT分析

強み

  • 海外(米州)即席麺市場での圧倒的なブランド力と高い市場シェア
  • 極めて高い自己資本比率(80.9%)と流動比率(531%)に裏打ちされた盤石な財務基盤

弱み

  • 国内即席麺市場での競争激化と、原材料高騰による利益率への圧力
  • 加工食品事業の損失転換と、新工場稼働に伴う減価償却負担

機会

  • 新興国市場を含む海外での即席麺需要の持続的成長
  • 国内での物価上昇に伴う価格改定の受容性と、コスト削減努力による収益性改善余地

脅威

  • 為替変動(特に円高ドル安)が海外収益の円換算額に与えるマイナス影響
  • 主要原材料価格のさらなる高騰や、地政学的リスクによるサプライチェーンの混乱

この銘柄が向いている投資家

  • 安定配当を期待する長期投資家: 盤石な財務基盤と安定した配当実績は、長期的な資産形成を目指す投資家に向いています。
  • グローバルな食品需要の恩恵を受けたい投資家: 海外事業が成長ドライバーであるため、世界人口増加や食文化の変化による恩恵を期待する投資家には魅力的です。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 為替変動リスクへの意識: 海外売上高の比率が高いため、為替レートの動向が業績に与える影響を常に意識する必要があります。
  • PBRの割高感と成長性とのバランス: 業界平均を大きく上回るPBRは、すでに高い評価がされていることを示唆します。それに見合う持続的な成長が実現できるかを見極める必要があります。加工食品事業の改善進捗も注視が必要です。

今後ウォッチすべき指標

  • 海外事業の地域別販売数量と為替レート: 為替変動が収益に与える影響や、主力の米州市場での販売モメンタムに注視し、ドルベースでの成長性を確認。
  • 国内加工食品事業の損益改善状況: 原材料価格の安定化や新工場の効率化による損益改善の進捗に注目。
  • 年間ボラティリティとシャープレシオの改善: 高いボラティリティとマイナスのシャープレシオが改善されるか、市場変動への耐性とリターン効率を確認。

成長性: A (良好)

過去4年間の売上高の年平均成長率(CAGR)が約10.27%であり、直近四半期の売上高成長率も前年比+9.50%、当期純利益も同+27.00%と堅調に推移しています。これは成長性スコアAの基準である「10-15%」に合致し、良好な成長力を示しています。

収益性: A (良好)

ROEは13.33%、営業利益率は過去12ヶ月で16.48%と高い水準を維持しています。ROEは10%以上、営業利益率は15%以上と、個々に見ればS評価に近いですが、ROEが15%に僅かに届かないため、総合的に「良好」と評価します。

財務健全性: B (普通)

自己資本比率80.9%および流動比率531%は極めて高水準で、いずれもS評価基準を大きく上回ります。しかし、Piotroski F-Scoreが4点(C/D基準に該当)と評価されている点が、財務健全性「優良」の総合評価を妨げています。比率から見る財務の安定性に対して、F-Scoreが示す細部の評価に改善の余地があるため、総合評価は「普通」とします。

バリュエーション: C (やや不安)

PERは16.42倍と業界平均19.5倍を下回るため割安感がありますが、PBRは2.18倍と業界平均1.3倍の167.7%に達しており、純資産に対しては割高と判断されます。PERのA評価に対しPBRがD評価であるため、バリュエーション全体としては「やや不安」と評価します。


企業情報

銘柄コード 2875
企業名 東洋水産
URL http://www.maruchan.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 食品 – 食料品

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 10,920円
EPS(1株利益) 664.25円
年間配当 1.83円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 17.3% 19.4倍 28,661円 21.3%
標準 13.3% 16.9倍 20,957円 13.9%
悲観 8.0% 14.3倍 14,001円 5.1%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 10,920円

目標年率 理論株価 判定
15% 10,426円 △ 5%割高
10% 13,021円 ○ 16%割安
5% 16,431円 ○ 34%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.17)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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