企業の一言説明
ヤマハは、ピアノや管楽器などの「楽器」を中心に、「音響機器」も展開する、電子ピアノで世界首位の総合楽器メーカー大手の企業です。
投資判断のための3つのキーポイント
- 盤石な財務基盤とキャッシュフロー: 自己資本比率75.9%、流動比率3.52倍と極めて健全な財務体質を誇り、多額のネットキャッシュ(1,000億円超)と豊富な営業キャッシュフロー(営業CF/純利益比率2.85)を持ち、不測の事態にも対応できる強固な体力を有しています。
- 自己株式取得による資本効率改善への意欲: 2026年3月期中間決算発表と同時に150億円、2,000万株を上限とした自己株式取得・消却を発表しており、低ROA・ROEが課題とされる中で、株主還元と資本効率の改善に積極的な姿勢を示しています。
- 収益性の低下と成長鈍化の課題: 直近の業績は売上収益が横ばいから微減、売上高成長率は過去12ヶ月でマイナス3.0%と成長が鈍化傾向にあります。特に音響機器セグメントの事業収益が大きく減少しており、収益性の低い状態が継続しています(ROE 3.80%、営業利益率 7.01%)。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | D | 成長鈍化 |
| 収益性 | B | やや課題 |
| 財務健全性 | A | 良好 |
| バリュエーション | C | やや割高 |
※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 1090.0円 | – |
| PER | 21.2倍 | 業界平均14.5倍 |
| PBR | 1.06倍 | 業界平均1.3倍 |
| 配当利回り | 2.39% | – |
| ROE | 3.80% | – |
1. 企業概要
ヤマハは1887年創業の老舗総合楽器メーカーで、ピアノ、電子楽器、管弦打楽器などの楽器事業を主力に、オーディオ機器や業務用音響機器、ICT機器などの音響機器事業も展開しています。電子ピアノでは世界シェア首位を誇ります。自動車用内装部品やゴルフ用品など多様な事業も手掛けています。高い技術力とブランド力によりグローバル市場で確固たる地位を築き、海外売上比率が77%と国際展開も活発です。
2. 業界ポジション
ヤマハは楽器業界において世界有数の規模を誇り、特に電子ピアノ分野では圧倒的な市場シェアを占めるリーダー企業です。音響機器分野でも高い技術力とブランド力を持ち、強力な競合が存在する中で一定の競争優位性を保っています。しかし、近年は成長が鈍化し、収益性においては後塵を拝しています。バリュエーションでは、PER(株価収益率)は21.2倍と業界平均14.5倍に対して割高感がありますが、PBR(株価純資産倍率)は1.06倍と業界平均1.3倍を下回っており、割安感も併存します。
3. 経営戦略
ヤマハはM&Aを積極化し、事業領域の拡大と技術の多様化を図っています。2026年3月期中間決算では、自己資本効率の改善を目的として、150億円を上限とする自己株式取得と消却を決議しました。また、音響機器セグメントにモビリティ関連事業を移管するなど、組織改正を通じて成長分野への注力を進めています。
今後のイベント:
- 2026年3月30日: 期末配当の権利落ち日
- 2026年2月4日: 決算発表予定日
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 6/9 | A: 良好(全体的に健全だが一部改善余地あり) |
| 収益性 | 3/3 | 良好(純利益、営業キャッシュフロー、ROA全てプラス) |
| 財務健全性 | 3/3 | 優良(流動比率、負債比率が健全で株式希薄化なし) |
| 効率性 | 0/3 | 課題(営業利益率、ROE、四半期売上成長率が基準未達) |
ヤマハのPiotroski F-Scoreは総合で6点と「良好」な財務品質を示しています。収益性および財務健全性は満点評価であり、純利益・営業キャッシュフローの確保、高い流動性と低いD/Eレシオ、株式の希薄化抑制といった堅実な経営が評価されます。一方で、効率性スコアが0点であり、営業利益率7.01%が10%を下回っている点、ROE 3.80%が10%に達していない点、そして四半期売上成長率がマイナス3.0%と成長が停滞している点が課題として浮き彫りになっています。F-Scoreは財務面での安定性を示す一方で、収益性の改善と成長への取り組みが今後の重要な焦点であることを示唆しています。
【収益性】
ヤマハの過去12ヶ月の営業利益率は7.01%と、一般的な好水準とされる10%には届いていません。ROE(自己資本利益率)は3.80%、ROA(総資産利益率)は3.84%と、ベンチマークとされるROE 10%、ROA 5%を大きく下回っており、資本を効率的に活用して利益を生み出す力が弱い現状が見られます。特にROEの低さは、自己資本比率が高い一方で利益創出力が不足していることを示唆しており、資本コストを意識した経営が求められます。
【財務健全性】
自己資本比率は75.9%と極めて高く、流動比率は3.52とベンチマーク(流動比率200%)を大きく上回る水準です。これは、資産の大半が自己資本で賄われており、短期的な負債の返済能力も非常に高いことを意味します。直近四半期の有利子負債は21.52B円に対し、現金及び現金同等物は107.51B円と、約1000億円ものネットキャッシュ(実質無借金)を有しており、非常に盤石な財務基盤を築いています。
【キャッシュフロー】
過去12ヶ月の営業キャッシュフロー(営業CF)は50.93B円と潤沢であり、本業で安定してキャッシュを生み出しています。フリーキャッシュフロー(FCF)も26.62B円とプラスを維持しており、事業活動で得たキャッシュが十分に投資や株主還元に回せる状況です。
【利益の質】
営業CF/純利益比率は2.85と非常に高く、「S(優良)」と評価できます。これは、計上されている純利益が、実態を伴う現金流入によって裏付けられていることを意味し、利益の質が極めて健全であることを示しています。会計上の利益操作リスクが低い、信頼性の高い利益であると言えます。
【四半期進捗】
2026年3月期 第2四半期決算の中間進捗率は、通期予想に対して売上収益が約47.3%、営業利益が約40.2%、親会社帰属当期利益が約42.4%となっています。営業利益および親会社帰属当期利益の進捗率は通期予想に対して下期寄りの進捗が想定され、下半期での挽回が求められます。直近3四半期の売上高・営業利益の推移に関する詳細データは提供されていません。
【バリュエーション】
現在の株価はPER 21.2倍、PBR 1.06倍です。業界平均と比較すると、PERは14.5倍に対して高水準(割高)であり、PBRは1.3倍に対して低水準(割安)と判断が分かれます。ROE 3.80%という収益性の低さを考慮すると、PERの21.2倍はやや割高感があると言えます。PBRが業界平均を下回っている点は、解散価値に近い評価であり、低PBR改善方針を重視する投資家にとっては注目される可能性があります。業種平均PER基準の目標株価557円は現在の株価より大幅に低く、業種平均PBR基準の目標株価1319円は現在の株価より高い結果であり、バリュエーションは複合的な視点での検証が必要です。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | – | 短期トレンド方向を示す特段のシグナルなし |
| RSI | 中立 | – | 買われすぎでも売られすぎでもない中立レンジ |
| 移動平均乖離率 | 下方乖離 | -3.75% (5日線) | 現在価格が短期的な移動平均線を下回っている |
| 移動平均乖離率 | 下方乖離 | -2.98% (25日線) | 現在価格が短期的な移動平均線を下回っている |
MACDとRSIは共に中立を示しており、短期的な明確なトレンドシグナルは出ていません。移動平均乖離率を見ると、現在株価は5日移動平均線と25日移動平均線を下回っており、短期的には下落傾向にある可能性を示唆しています。一方、75日線および200日線は上回っており、中長期的な上昇トレンドは維持されている可能性があります。
【テクニカル】
現在の株価1090.0円は、52週高値1259円に対し約13.4%安、52週安値934円に対し約16.7%高の水準にあり、52週レンジの中間付近(47.8%地点)に位置しています。短期的には5日移動平均線(1,131.90円)及び25日移動平均線(1,122.92円)を下回っており、株価はこれらの移動平均線がレジスタンス(上値抵抗線)となる可能性があります。一方で、75日移動平均線(1,067.97円)および200日移動平均線(1,034.64円)は上回っており、これらの線がサポート(下値支持線)として機能する可能性があります。過去1ヶ月間は1,079.50円から1,189.50円のレンジで推移しています。
【市場比較】
過去1年間の株価リターンは+2.16%であり、日経平均(+38.73%)やTOPIX(+30.14%)を大きく下回るパフォーマンスとなっています。特に過去6ヶ月間では日経平均を27.44%ポイント、TOPIXを23.83%ポイント下回っており、市場全体の好調な動きに乗り切れていない状況です。直近1ヶ月および3ヶ月では日経平均比でやや回復傾向が見られますが、長期的な相対パフォーマンスの劣後が顕著です。
【注意事項】
信用倍率3.39倍と、将来的な売り圧力が存在する可能性があります。
【定量リスク】
ヤマハのベータ値は0.11と非常に低く、市場全体の動きに対する感応度が小さいことを示しています。これにより、市場全体が大きく変動しても、ヤマハの株価は比較的安定している傾向があります。しかし、年間ボラティリティは36.19%と、個別銘柄としては比較的高めの変動幅があります。過去のデータでは最大ドローダウン(過去最悪の下落率)が-33.84%を記録しており、仮に100万円投資した場合、年間で±36万円程度、過去最悪時で33.8万円程度の変動が想定されます。シャープレシオは0.07と低く、リスクに見合ったリターンが得られにくい状況を示唆しています。
【事業リスク】
- 為替変動リスク: 海外売上比率が77%と高いため、為替レートの変動は業績に大きな影響を及ぼします。円高に振れた場合、海外での売上高や利益が減少する可能性があります。
- 市場需要の変動: 楽器市場や音響機器市場は、景気変動や消費トレンドの変化、少子化などの影響を受けやすい特性があります。特に、音響機器セグメントの直近の売上・利益減少は、需要の変動や競争激化を示唆しており、今後の動向が懸念されます。
- 原材料価格高騰およびサプライチェーン問題: 楽器や音響機器に使用される原材料や部品の価格高騰、または調達難が発生した場合、製造コストの増加や生産体制への影響により、収益性が圧迫されるリスクがあります。
- 訴訟リスク: 決算短信では、Yamaha Music Europe GmbHが再販売価格維持行為に関する集団訴訟を受領している旨が記載されています。現時点では引当計上されていないものの、訴訟の進行によっては、将来的に多額の損失が発生する可能性があります。
7. 市場センチメント
信用買残は642,900株、信用売残は189,600株であり、信用倍率は3.39倍です。信用買いが売りを上回っているものの、極端に高い水準ではなく、直近では信用買残が減少傾向にあるため、需給バランスは中立に近いと言えます。主要株主は日本マスタートラスト信託銀行(19.67%)、自社(自己株口 9.86%)、日本カストディ銀行(7.26%)が上位を占めており、機関投資家による安定株主が多い構造です。外国人投資家の保有割合も高いと推測されます。
8. 株主還元
ヤマハの配当利回りは2.39%であり、Forward Annual Dividend Yieldは2.33%と安定した配当を提供しています。配当性向は過去12ヶ月で67.66%、2026年3月期予想では91.9%(提示データによる)と非常に高く、利益の多くを株主還元に充てる方針が見られます。また、2026年3月期中間決算発表時に、株主還元と資本効率改善を目的とした150億円を上限とする自己株式取得(2,000万株上限、消却予定)を発表しており、株主還元に積極的な姿勢を示しています。
SWOT分析
強み
- グローバルブランド力と高い技術力(特に電子ピアノの世界首位)
- 非常に強固な財務基盤と潤沢なキャッシュフロー(ネットキャッシュ1,000億円超)
弱み
- 低い収益性(ROE 3.80%、営業利益率 7.01%)と資本効率の課題
- 売上高の成長鈍化傾向(過去12ヶ月売上成長率 -3.0%)
機会
- M&Aによる新規事業領域の開拓や技術シナジーの創出
- 自己株式取得による資本効率改善と株主価値向上策の推進
脅威
- 為替変動リスクの継続的な影響
- 楽器・音響機器市場の需要変動、新興国市場での競争激化
この銘柄が向いている投資家
- 安定性を重視する長期投資家: 非常に健全な財務基盤と安定したキャッシュフローは、長期的な保有に適しています。
- 高配当・株主還元重視の投資家: 安定した配当に加え、自己株式取得による株主還元姿勢が評価できます。
- 低PBR株に関心のある投資家: PBRが業界平均を下回っており、今後、資本効率改善策によって評価が見直される可能性を期待する投資家。
この銘柄を検討する際の注意点
- 収益性の改善状況: 現在の低いROEや営業利益率が、今後の経営戦略によって具体的にどのように改善されていくか、その進捗を注視する必要があります。
- 成長戦略の具体性: 音響機器セグメントの低迷を打破し、全体の売上成長を牽引する具体的な事業戦略や新製品・サービスの展開に注目が必要です。
今後ウォッチすべき指標
- ROEおよび営業利益率の推移: 目標値としてROE 8%以上、営業利益率 10%以上への回復を目指せるか。
- セグメント別事業利益: 特に音響機器セグメントの利益回復状況。
成長性: D (成長鈍化)
過去12ヶ月の売上高成長率が-3.00%、2026年3月期の通期売上収益予想も対前期比で-0.9%と、マイナス成長が続いています。市場全体の動向と比較しても、成長性は低いと評価せざるを得ません。特に音響機器セグメントの売上減少が全体の成長を鈍化させています。
収益性: B (やや課題)
過去12ヶ月のROEは3.80%、営業利益率は7.01%です。ROEはベンチマークの10%を下回りますが、営業利益率は5%を上回っているため、B評価とします。自己資本比率の高さは財務健全性には貢献しているものの、資産効率が悪く、資本を使って十分に利益を稼げていない状況が示唆されます。
財務健全性: A (良好)
自己資本比率75.9%と非常に高く、流動比率も3.52と安定しています。Piotroski F-Scoreも6点と良好な水準です。借入が少なく、豊富なキャッシュを有しており、短期・長期ともに財務的な負担が極めて少ない強固な財務基盤を築いている点で高く評価できます。S評価のF-Score7点には届かなかったものの、全体として非常に良好です。
バリュエーション: C (やや割高)
PERは21.2倍で業界平均14.5倍を大幅に上回る一方、PBRは1.06倍で業界平均1.3倍を下回っています。ROEの低さを考慮すると、PERの割高感が目立ちます。PBRの割安感はありますが、収益性に見合った評価とは言いがたく、総合的に見ると「やや割高」と判断しC評価とします。低PBRは課題であるものの、ROEの低さを考慮すると現時点での割高感は無視できません。
企業情報
| 銘柄コード | 7951 |
| 企業名 | ヤマハ |
| URL | http://jp.yamaha.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – その他製品 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,090円 |
| EPS(1株利益) | 50.74円 |
| 年間配当 | 26.00円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.0% | 23.2倍 | 1,178円 | 3.7% |
| 標準 | 0.0% | 20.2倍 | 1,025円 | 1.2% |
| 悲観 | 1.0% | 17.2倍 | 915円 | -0.8% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,090円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 574円 | △ 90%割高 |
| 10% | 717円 | △ 52%割高 |
| 5% | 905円 | △ 20%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.18)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。