企業の一言説明
秋川牧園(1380)は、無農薬・無投薬の食肉、鶏卵、牛乳等を製造販売し、生協・量販店経由と直販宅配を展開する食品業界のニッチプレイヤーです。
投資判断のための3つのキーポイント
- 差別化された製品戦略: 無農薬・無投薬といった高付加価値製品群を主軸としており、食の安全・安心志向の高まりを背景に、特定の消費者層からの需要を取り込む強みがあります。生産から販売まで一貫して手掛けることで、品質への信頼性を高め、競合に対する差別化を図っています。
- コスト高環境下での収益改善: 原材料高騰や物流費増加が続く厳しい事業環境において、直近の中間期決算では製品の値上げと生産性向上策が寄与し、増収増益および営業損益の黒字転換を達成しました。これは、コスト圧力に対する経営努力が一定の成果を上げていることを示唆しており、今後の収益構造改善の持続性が注目されます。
- 財務・収益性の課題と割高なバリュエーション: 自己資本比率(約31%)や流動比率(約1.05倍)に余裕がなく、財務健全性には改善の余地があります。また、営業利益率が極めて低い水準(過去12か月で0.55%)であるにもかかわらず、現在の株価はPER60.1倍、PBR1.95倍と、業界平均(PER17.7倍、PBR1.1倍)と比較して著しく割高です。現在の収益性ではバリュエーションの正当化が難しく、株価を下支えする十分な利益成長が求められます。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | C | やや不安 |
| 収益性 | D | 懸念 |
| 財務健全性 | B | 普通 |
| バリュエーション | D | 懸念 |
※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 1,009.0円 | – |
| PER | 60.1倍 | 業界平均17.7倍(割高) |
| PBR | 1.95倍 | 業界平均1.1倍(割高) |
| 配当利回り | 0.99% | – |
| ROE | 4.44% | – |
1. 企業概要
秋川牧園は1932年創業の歴史を持つ食品会社で、無農薬・無投薬で育てた鶏肉、豚肉、牛肉、鶏卵、牛乳といった畜産物を主力商品としています。これらを基盤に、冷凍加工食品や無農薬野菜などの製品を製造・販売しています。収益モデルは、主に消費者団体(生協)や量販店への卸売(生産卸売事業)と、個人消費者向けの直販宅配(直販事業)の二本柱で構成されています。特定の提携生産者と連携し、独自の厳しい生産基準を設けることで、他社との差別化を図り、食の安全・安心を求める消費者からの信頼を獲得しています。
2. 業界ポジション
秋川牧園は食品、特に有機・無添加に特化したニッチ市場で事業を展開しています。大量生産型の大手食品メーカーとは異なり、品質と安全性を重視した独自のブランドを確立しています。市場シェアは限定的ですが、高付加価値製品として一定の顧客基盤を有しています。競合に対する強みは、一貫した品質管理体制と「無農薬・無投薬」という差別化された製品コンセプトにあります。一方、原材料高騰や物流費増加といったコスト上昇圧力に脆弱である点は弱みと言えます。業界平均PER17.7倍、PBR1.1倍に対し、秋川牧園はPER60.1倍、PBR1.95倍と、収益性の低さにもかかわらずバリュエーション指標は業界平均を大幅に上回っています。
3. 経営戦略
秋川牧園は、持続的な成長に向けて、主力の生産卸売事業では冷凍加工食品の強化と量販店開拓を進め、直販事業では通信販売プラットフォームの改善による顧客体験向上と新規顧客獲得を計画しています。特に冷凍食品工場における生産性向上は、収益改善に直結する重要な戦略です。直近の2026年3月期中間決算では、製品値上げと生産効率改善が奏功し、増収増益および営業黒字転換を達成しました。これは、厳しい事業環境下でのコストコントロールと付加価値向上への取り組みが実を結びつつあることを示しています。
今後のイベントとして、2026年3月30日に配当落ち日を予定しています。
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 5/9 | A: 良好(全体的に健全だが一部改善余地あり) |
| 収益性 | 3/3 | 純利益、営業キャッシュフロー、ROAがいずれもプラスであり、収益を生み出す力は確保されています。 |
| 財務健全性 | 1/3 | 流動比率が1.5倍を下回り、D/Eレシオが1.0倍を上回っており、短期的な支払い能力と負債比率に改善の余地があります。 |
| 効率性 | 1/3 | 営業利益率とROEが低く、資本効率と収益効率の改善が求められますが、四半期売上成長率はプラスを維持しています。 |
【収益性】
- 営業利益率: 過去12か月実績0.55%は極めて低水準です。業界や一般企業の目安である5%を大きく下回っており、本業での収益力が不足していることを示しています。
- ROE(自己資本利益率): 過去12か月実績4.44%(ベンチマーク10%)は低く、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す力が弱い状態です。
- ROA(総資産利益率): 過去12か月実績1.00%(ベンチマーク5%)も同様に低く、総資産に対する利益貢献度が低いことを示しています。
【財務健全性】
- 自己資本比率: 30.6%は、目安とされる40%を下回っており、財務基盤の安定性にやや不安が残ります。資本の外部依存度が高いことを意味します。
- 流動比率: 直近四半期1.05倍(105%)は、短期的な支払い能力の目安である150%を大きく下回っています。手元の流動資産に対し、短期的な負債が多い状況であり、資金繰りには注意が必要です。
【キャッシュフロー】
- 営業キャッシュフロー (営業CF): 過去12か月で733百万円のプラスを維持しており、本業で安定してキャッシュを創出できています。
- フリーキャッシュフロー (FCF): 過去12か月で295.62百万円のプラスであり、事業活動で得たキャッシュから投資に必要な資金を賄った後も手元に残る資金がある状態です。
【利益の質】
- 営業CF/純利益比率: 7.72と非常に高く、S(優良)と評価されます。これは、計上されている純利益が、会計上の操作ではなく、実際に事業活動で得られたキャッシュに基づいていることを示しており、利益の質は非常に良好です。1.0以上が健全と判断されます。
【四半期進捗】
2026年3月期第2四半期(中間期)決算では、通期予想に対する売上高進捗率が約48.7%とほぼ順調に進んでいます。しかし、営業利益進捗率は約14.8%、純利益進捗率は約28.0%と低めです。これは、上半期でコスト上昇圧力の影響を受け、利益は伸び悩んだものの、下期での利益回復を見込んでいると会社が示唆している可能性があります。中間期で営業損益が黒字転換した点はポジティブですが、通期目標達成には下半期の収益改善が不可欠です。
【バリュエーション】
- PER(株価収益率): 60.1倍は、株価が1株当たり利益の約60年分に相当することを示します。業界平均17.7倍と比較して非常に割高です。現在の利益水準では、株価が過大評価されている可能性があります。
- PBR(株価純資産倍率): 1.95倍は株価が1株当たり純資産の約1.95倍であることを示します。業界平均1.1倍と比較して割高です。1倍未満は解散価値を下回る状態とされますが、1倍を大きく超えているため、純資産価値から見ても割高感があります。
上記のバリュエーション指標に基づくと、業種平均PER基準での目標株価は407円、業種平均PBR基準での目標株価は570円となり、現在の株価1,009円と比較して大幅な割高水準にあります。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | – | 短期トレンドに明確な方向性は示されていません。 |
| RSI | 中立 | (データなし) | 買われすぎでも売られすぎでもない中立な状態です。 |
| 移動平均乖離率 | 中立 | (+0.74%~-0.12%) | 現在の株価は移動平均線に近い水準で推移しており、大きな方向感は出ていません。 |
【テクニカル】
現在の株価1,009.0円は、52週高値1,250円に対し約24.5%(安値から24.5%高い位置)に位置しており、52週レンジの下限に近い水準で推移しています。
移動平均線との関係では、5日移動平均線(1,010.20円)を下回り0.12%乖離、25日移動平均線(1,007.32円)を上回り0.17%乖離、75日移動平均線(1,002.11円)を上回り0.69%乖離、200日移動平均線(1,001.61円)を上回り0.74%乖離しています。株価が各移動平均線に非常に近い水準で推移しており、短期的な方向感に乏しい状況を示しています。
【市場比較】
日経平均株価やTOPIXとの相対パフォーマンスを見ると、過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年のいずれの期間においても秋川牧園の株価は市場指数を大幅に下回っています。これは、市場全体の上昇トレンドに追随できていないことを示しており、投資家の関心が低い可能性があります。
【定量リスク】
- 年間ボラティリティ: 14.08%と比較的中程度の変動性を示します。
- 最大ドローダウン: -10.54%であり、過去1年間で株価が最大10.54%下落する局面があったことを示します。仮に100万円投資した場合、年間で±14万円程度の変動が想定され、過去には最大10.54万円の下落リスクがありました。
- シャープレシオ: 0.19と低く、リスクを取った割にはリターンが小さいことを示唆しています。1.0以上が良好とされます。
- ベータ値: 0.02と非常に低く、市場全体の動きに対する感応度が極めて低いことを示しています。これは、市場全体が大きく変動しても、同社の株価は相対的に安定しやすいと言えますが、同時に市場の活況から恩恵を受けにくい可能性もあります。
【事業リスク】
- 原材料価格・コスト上昇: 飼料、包材、物流費、労務費などの継続的な上昇は、低収益体質である秋川牧園の利益率をさらに圧迫する可能性があります。製品値上げや生産性向上で対応していますが、その効果がコスト上昇を上回らなければ、業績が悪化するリスクがあります。
- 消費者購買意欲の減退: 物価高や景気後退局面における消費者の節約志向の高まりは、高価格帯の有機・無添加食品に対する需要を減少させる可能性があります。競合との差別化だけではカバーしきれない価格競争に巻き込まれるリスクも存在します。
- 食品安全・品質問題: 食肉や鶏卵などを扱う食品企業であるため、品質管理や食品安全に関する問題が発生した場合、消費者の信頼を一気に失い、ブランドイメージと業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
7. 市場センチメント
- 信用取引状況: 信用買残が7,100株あるのに対し、信用売残が0株であるため、信用倍率は0.00倍と表示されています。これは信用売りが非常に少ない状態であり、将来の買い戻しによる株価上昇圧力は期待しにくい一方、信用買い残が今後の売り圧力となる可能性もゼロではありませんが、出来高が少ないため、短期的な市場への影響は限定的とみられます。
- 主要株主構成: 上位株主には代表者である秋川正氏(21.49%)や秋川實氏(10.39%)などの創業家・関係者が多く名を連ねており、自社職員持株会や山口銀行など、安定株主が多数を占めています。これにより、経営の安定性は確保されていますが、浮動株比率が低く、市場での流動性が限定的となる要因ともなっています。
8. 株主還元
- 配当利回り: 0.99%と、全般的な株式市場と比較して低水準です。
- 配当性向: 2026年3月期の通期予想ベースで約59.7%(当期純利益70百万円に対し年間配当総額41.79百万円)、Yahoo Japanのデータでは147.9%とされており、これは利益を大きく上回る配当政策を示唆しています。この場合、配当の持続性には懸念があり、将来的な減配リスクも考慮する必要があります。企業は利益成長を通じて持続可能な配当性向へ改善することが望まれます。
- 自社株買い: データ上、自社株買いに関する明確な記載はなく、株価上昇による株主還元よりも、事業への再投資を優先している可能性があります。
SWOT分析
強み
- 無農薬・無投薬の畜産物および加工食品という明確な差別化された製品コンセプト
- 生産から販売までの一貫した品質管理体制とブランドの信頼性
弱み
- 極めて低い営業利益率とROE/ROAによる収益性の低さ
- 自己資本比率や流動比率に余裕がない財務体質
機会
- 健康志向、食の安全・安心へのニーズの高まりによる高付加価値製品市場の拡大
- 直販チャネル(EC、宅配)の強化による顧客接点の多様化と収益機会の創出
脅威
- 原材料費、物流費、人件費など継続的なコスト上昇による利益圧迫
- 景気変動や消費者の節約志向の強まりによる高価格帯製品の需要低迷リスク
この銘柄が向いている投資家
- 中長期的な視点で企業の社会貢献性やブランド価値を重視する投資家: 無農薬・無投薬といった食の安全に配慮したビジネスモデルに共感し、その持続可能性を評価する投資家。
- ニッチ市場での競争力に注目する投資家: 大手とは異なる独自の市場で展開する企業の成長ストーリーに期待する投資家。
この銘柄を検討する際の注意点
- バリュエーションの割高感: 極めて低い収益性に対してPER、PBRが業界平均を大幅に上回っており、現在の株価は割高と判断されるため、投資判断には慎重な検討が必要です。今後の大幅な利益成長が確認できない限り、今の株価水準の維持は難しい可能性があります。
- 利益率の改善と財務体質の強化: 低い営業利益率と脆弱な財務健全性は、外部環境の変化に弱い構造を示しています。持続的な収益改善と財務基盤の強化(特に自己資本比率と流動比率の向上)が実現できるか、継続的な監視が必要です。
今後ウォッチすべき指標
- 営業利益率: 3%以上への改善(本業での収益力を測る)
- 自己資本比率: 40%以上への向上(財務健全性の目安)
- 直販事業の成長率と利益貢献度: 値上げと効率化による収益性の改善が継続するか
- コスト変動と価格転嫁の動向: 原材料価格上昇に対する製品価格への転嫁と、それが売上にどう影響するか
10. 企業スコア(詳細)
- 成長性: C
- 過去12か月の売上高成長率が5.80%、2026年3月期通期予想売上高成長率が約5.00%であり、評価基準の範囲(C: 0-5%)に該当するためCと評価します。高い成長期待はできません。
- 収益性: D
- 過去12か月のROEが4.44%、営業利益率が0.55%であり、いずれも評価基準の最低レベル(D: ROE5%未満かつ営業利益率3%未満)に該当するためDと評価します。極めて低い収益性が課題です。
- 財務健全性: B
- 自己資本比率が30.6%(B: 30-40%の範囲)、流動比率が105%(目安の150%を下回る)、F-Scoreは5/9点(A: 良好)です。F-Scoreの財務健全性スコアが1/3と低い点も考慮し、自己資本比率はB基準に合致するものの、流動比率に余裕がないため、総合的にはBと評価します。
- バリュエーション: D
- PER60.1倍(業界平均17.7倍)、PBR1.95倍(業界平均1.1倍)と、いずれも業界平均と比較して著しく割高であり、評価基準の最低レベル(D: 130%以上)を大幅に超えているためDと評価します。現在の収益性では割高感が非常に強いです。
企業情報
| 銘柄コード | 1380 |
| 企業名 | 秋川牧園 |
| URL | https://www.akikawabokuen.com/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 食品 – 水産・農林業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,009円 |
| EPS(1株利益) | 16.79円 |
| 年間配当 | 10.00円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.0% | 44.7倍 | 751円 | -4.5% |
| 標準 | 0.0% | 38.9倍 | 653円 | -7.0% |
| 悲観 | 1.0% | 33.1倍 | 583円 | -8.8% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,009円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 350円 | △ 189%割高 |
| 10% | 437円 | △ 131%割高 |
| 5% | 551円 | △ 83%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.18)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。