企業の一言説明
イムラは封筒製造で国内シェア2割強を誇る最大手企業であり、パッケージソリューションとメーリング&デジタルソリューションを展開する老舗企業です。
投資判断のための3つのキーポイント
- 封筒市場のリーディングカンパニーとしての安定した地位と盤石な財務基盤: 国内封筒市場で長年の実績に基づき2割強のシェアを誇ります。自己資本比率70.9%と非常に高い財務安定性を有しており、PBRも0.58倍と純資産価値に対して割安な水準にあります。堅実な経営体質は、資本コストや株価を意識した経営が求められる現代において、株主還元の余地や企業価値向上に向けた取り組みへの期待を高めます。
- メーリング&デジタルソリューション事業の成長可能性と新工場への戦略的投資: デジタル化が進む中でも、官公庁向けやDM向け窓封筒における強みを保持し、メーリング&デジタルソリューション部門は内製化効果と新規案件獲得により着実な成長を見せています。また、新工場建設という積極的な設備投資は、生産効率の向上と高付加価値製品への対応を通じた事業基盤強化の意図があり、中長期的な収益性改善および事業ポートフォリオ変革への貢献が期待されます。
- 紙媒体需要の構造的減少と原材料費高騰、そして保守的な通期予想: 事務用封筒市場の縮小や郵便取扱数量の減少という、主たる事業領域が直面する構造的課題は、今後も継続的な収益源圧迫要因となります。加えて、パルプなどの原材料費高騰は原価率を押し上げ、利益率改善の重荷となっています。さらに、第3四半期時点で既に通期予想営業利益を上回る好進捗にもかかわらず、会社が通期予想を据え置く保守的な見通しは、第4四半期に何らかの費用増や季節変動、あるいは慎重な企業体質が織り込まれている可能性を考慮する必要があります。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | D | 停滞傾向 |
| 収益性 | C | やや課題 |
| 財務健全性 | B | まずまず |
| バリュエーション | C | やや割高感 |
※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 1010.0円 | – |
| PER | 12.93倍 | 業界平均8.0倍 |
| PBR | 0.58倍 | 業界平均0.5倍 |
| 配当利回り | 2.97% | – |
| ROE | 4.71% | – |
1. 企業概要
株式会社イムラは、1918年の創業以来100年以上の歴史を持つ老舗企業であり、1950年に設立されました。当初「イムラ封筒」として封筒製造を主軸に事業展開していましたが、2023年2月には社名を「IMURA & Co.,Ltd.」に変更し、事業領域の拡大と変革への意思を明確にしました。同社の主要事業は、封筒や包装材などの紙製品を提供する「パッケージソリューション事業」と、ダイレクトメール(DM)の企画・制作から封入、発送、そしてデジタル処理までを一貫して手掛ける「メーリング&デジタルソリューション事業」の二本柱です。
特に、事務用封筒やDM向けの窓封筒、請求書封筒において国内最大手としての実績とノウハウを持ち、国内シェアは2割強を誇ります。この強みは、長年の顧客基盤と、高品質かつ安定供給を可能にする生産体制に支えられています。メーリング&デジタルソリューション事業では、企画・印刷から封入、発送さらには情報処理までを内製化することで、顧客ニーズに合わせた高付加価値なサービス提供を実現し、これが技術的独自性および競合に対する参入障壁となっています。デジタル化が進む現代においても、紙媒体が持つ情報伝達力や保存性に対する需要は根強く、特に機密性の高い書類の発送やパーソナライズされたDMにおいて、その専門性が競争優位性を確立しています。
2. 業界ポジション
イムラは日本の封筒市場においてトップシェアを維持するリーディングカンパニーであり、国内シェアは2割強と盤石な経営基盤を持っています。この高い市場シェアは、規模の経済によるコスト競争力と、長年培われた顧客からの信頼、そして安定した製品供給能力に支えられています。
同社の強みは、単なる封筒製造に留まらず、DMや請求書に使われる窓封筒における高い技術力と生産能力、そして「メーリング&デジタルソリューション」として、企画・印刷・封入・発送・情報処理までを一貫して提供できるソリューション力にあります。これにより、顧客は複数のベンダーを利用する手間を省き、効率的かつコスト効果の高いサービスを享受できます。
一方で、業界全体は、デジタル化の進展による紙媒体需要の構造的な減少という大きな課題に直面しています。オフィスでのペーパーレス化や電子請求書への移行は、事務用封筒市場の縮小を加速させる要因となっています。イムラはこの流れに対し、パッケージソリューション事業における製品の高付加価値化や、メーリング&デジタルソリューション事業でのサービス拡充を通じて、事業構造の転換を図っています。
業界平均との財務指標比較では、イムラのPER(株価収益率)は12.93倍であり、業界平均の8.0倍と比較すると割高感があります。PBR(株価純資産倍率)は0.58倍で、業界平均0.5倍に近い水準ですが、依然として純資産価値を下回っており、企業全体としては割安と評価される可能性があります。ただし、低PBRである一方でPERが業界平均を上回る点は、収益性に対する市場評価が課題となっていることを示唆しており、単なる割安株とは異なる慎重な分析が必要です。
3. 経営戦略
イムラは、中長期的な視点に立った経営戦略として「IMURA VISION 2030 Stage II」(2024–2026年度)を推進しており、「変革とイノベーションによる未来への挑戦」をテーマに掲げています。この戦略の要点は、既存事業の強化と新たな成長領域の開拓にあります。
具体的には、主力であるパッケージソリューション事業において、EC(電子商取引)市場の拡大に対応した高機能パッケージ製品の開発・投入を進め、需要構造の変化を捉えようとしています。また、新工場建設という大規模な設備投資を進行中であり、これは老朽化した設備の更新だけでなく、生産能力の増強と自動化・省力化による生産効率の飛躍的向上、さらに多品種少量生産への対応力強化を目的としています。この新工場は、品質向上とコスト競争力強化、そして環境負荷低減にも寄与する戦略的な投資と位置づけられています。
メーリング&デジタルソリューション事業では、企画から発送までの一貫体制を強化し、内製化による外注費抑制や、顧客ニーズに応じたデジタル処理サービスの拡充を進めています。直近の2026年1月期第3四半期決算では、このメーリング&デジタルソリューション事業が外注費抑制と新規案件獲得により、営業利益で前年同期比+89.2%と大幅な増益を達成しました。これは中期経営計画における事業転換戦略が奏功している一例と言えます。
しかし、同社の通期業績予想は売上高21,500百万円、営業利益1,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益780百万円と、第3四半期累計時点で既に営業利益が通期予想を上回っているにも関わらず、修正されずに据え置かれています。この背景には、第4四半期における設備投資関連費用、新工場の稼働調整費用、または季節性による利益率低下など、会社側が慎重な見通しを織り込んでいる可能性が考えられます。
今後のイベントとしては、2026年1月29日(UTC)に配当金の権利落ち日が予定されています。
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 4/9 | B: 普通(複数の改善点あり) |
| 収益性 | 2/3 | 純利益、ROAは良好だが営業キャッシュフローのデータなし |
| 財務健全性 | 2/3 | 自己資本比率が高く有利子負債は低いが、流動比率に改善余地あり |
| 効率性 | 0/3 | 営業利益率、ROE、売上成長率が課題 |
解説: Piotroski F-Scoreによると、イムラの財務品質は9点満点中4点と「普通」の評価です。収益性については、純利益とROAがプラスであり企業の稼ぐ力は存在しますが、営業キャッシュフローの開示がないため十分に評価できません。財務健全性に関しては、自己資本比率の高さと低い総負債比率(D/Eレシオ)は評価される一方、流動比率がベンチマークの1.5倍を下回っており改善の余地があります。効率性に関しては、営業利益率が低く、ROE・売上成長率も目標値に達していないことから、資産の効率的な活用や成長性には特に大きな課題を抱えていることが示唆されます。全体として、高水準の自己資本比率で安定性は保たれているものの、収益性の向上と資産効率の改善が今後の課題となるでしょう。
【収益性】
- 営業利益率(過去12か月): -1.96%
- 営業利益率(通期予想): 6.25%
- 営業利益率(2026年1月期 第3四半期累計): 6.8%
- ROE(実績): 4.71%(ベンチマーク: 10%)
- ROA(過去12か月): 3.05%(ベンチマーク: 5%)
解説: イムラの収益性は課題を抱えています。過去12か月の営業利益率はマイナスであるものの、第3四半期累計では6.8%と改善傾向にあります。これはセグメント別に見ると、メーリング&デジタルソリューション事業の好調が寄与していることが伺えます。しかし、実績ROE4.71%およびROA3.05%は、機関投資家が評価する一般的な目安であるROE10%やROA5%と比較すると低い水準にあります。ROE(Return On Equity)は株主資本に対しどれだけの利益を生み出したかを示す指標であり、これが低いと株主へのリターンが少ないことを意味します。ROA(Return On Assets)は総資産に対する利益の割合であり、企業の総合的な収益力を示します。これらの指標の低さは、現在の事業構造における利益率の課題や、資産の効率的な活用が十分にできていない可能性を示唆しています。原材料費の高騰や既存事業の構造的な需要減が利益を圧迫している主な要因と考えられます。
【財務健全性】
- 自己資本比率(実績): 70.9%(ベンチマーク: 40%以上で安定)
- 流動比率(直近四半期): 1.25倍(ベンチマーク: 200%以上で良好)
解説: イムラの自己資本比率は70.9%と非常に高く、同業他社と比較しても突出した安定性を示しています。これは、借入金が少なく、返済不要な自己資本で大部分の資金を賄っていることを意味し、景気変動や予期せぬ事態に対する耐性が極めて高い盤石な財務基盤を構築していると評価できます。一方で、流動比率は1.25倍と、短期的な支払い能力の健全性を示す一般的な目安とされる2倍(200%)には達していません。流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、高ければ高いほど短期的な支払い能力が高いと判断されます。この背景には、新工場建設のための設備投資に伴う短期借入金の増加が影響していると推察され、資金繰りの状況については継続的な注視が必要です。ただし、総負債に対する自己資本の割合が高いため、全体の財務リスクは低いと判断できます。
【キャッシュフロー】
- 減価償却費(2026年1月期 第3四半期累計): 584百万円
解説: 営業キャッシュフローおよびフリーキャッシュフローの具体的なデータは開示されていません。しかし、減価償却費が年間で約5.8億円計上されていることから、定期的な設備投資や既存資産の維持管理に資金が投入されていることが伺えます。新工場建設という大型投資が進行中であるため、今後は設備投資キャッシュフローの増大やそれに伴う資金調達(借入増加)が想定されます。キャッシュフローの状況が不明瞭な点は、資金状況を完全に評価する上での課題となります。
【利益の質】
- 営業CF/純利益比率: 算出不可
解説: 営業キャッシュフローのデータが開示されていないため、営業CF/純利益比率を算出することはできません。この指標は、企業が稼ぎ出した利益が実際に現金としてどの程度手元に残っているか(利益の質)を評価する上で重要となります。一般的に1.0以上であれば、会計上の利益と現金収入がバランスしている、あるいは現金収入が上回っている健全な状態とされます。
【四半期進捗】
- 通期予想に対する売上高進捗率: 76.6%
- 通期予想に対する営業利益進捗率: 101.8%
- 通期予想に対する親会社株主に帰属する当期純利益進捗率: 126.7%
- 直近3四半期の売上高・営業利益の推移:
- 2026年1月期 第1四半期: 売上高 5,609百万円、営業利益 387百万円 (前年同期比 売上+5.4%, 営業利益+10.6%)
- 2026年1月期 第2四半期累計: 売上高 11,200百万円、営業利益 735百万円 (前年同期比 売上+4.8%, 営業利益-1.9%)
- 2026年1月期 第3四半期累計: 売上高 16,483百万円、営業利益 1,120百万円 (前年同期比 売上+4.1%, 営業利益-8.0%)
解説: 2026年1月期 第3四半期累計の進捗状況を見ると、売上高は通期予想の76.6%と順調な一方、営業利益は通期予想の101.8%、純利益は126.7%と、既に通期予想を上回っています。これは一見好業績に見えますが、営業利益は前年同期比で8.0%減益であり、純利益の目覚ましい進捗は、退職給付制度改定益212百万円などの特別利益が大きく寄与した一時的な要因によるものです。会社が通期予想を据え置いている背景には、第4四半期に予定されている新工場建設に伴う一時的な費用増、季節変動(報告書に「利益は上期の比重が高い」との記載あり)、あるいは既存事業の環境悪化リスクを保守的に見込んでいる可能性があります。投資家は、この「先行きの不透明感」と特別利益による純利益のかさ上げを区別して判断する必要があります。第4四半期の収益動向と、特別利益を除いた実質的な収益力に注目が必要です。
【バリュエーション】
- PER(会社予想): 12.93倍
- PBR(実績): 0.58倍
- 業界平均PER: 8.0倍
- 業界平均PBR: 0.5倍
- 目標株価(業種平均PER基準): 872円
- 目標株価(業種平均PBR基準): 874円
解説: イムラのPER12.93倍は、同業のパルプ・紙セクターの業界平均8.0倍と比較すると割高な水準にあります。これは、市場が過去の収益性や将来の成長性に対して、業界平均よりも高めの評価をしているか、あるいは株価が利益に比べて既に高い水準にあることを示唆しています。一方で、PBR0.58倍は、業界平均0.5倍と近い水準であり、企業の純資産価値(解散価値)と比較すると割安であるという見方もできます。PBRが1倍を下回ることは、企業の純資産に比べて株価が低い状態を示し、特に日本市場では資本効率改善を求める声が高まる中で注目されやすいポイントです。しかし、PERの割高感と目標株価が現在の株価を下回っていることを考慮すると、現状の株価は業界平均の水準から見れば十分に割安とは言えず、今後の収益改善や事業構造転換の進捗が市場評価を左右するでしょう。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | – | 特徴的なトレンドシグナルなし |
| RSI | 中立 | – | 買われすぎでも売られすぎでもない |
| 移動平均乖離率 | 下方乖離 | -1.50% (5日線) | 短期的な調整局面にある可能性 |
解説: MACDとRSIは共に中立を示しており、買われすぎや売られすぎといった極端な水準ではなく、現時点では明確な買いまたは売りのシグナルは出ていません。移動平均乖離率を見ると、株価は5日移動平均線および25日移動平均線をわずかに下回っており、短期的には調整局面にある可能性が示唆されます。しかし、乖離率は小さく、トレンド転換を示唆するほどではありません。
【テクニカル】
- 現在株価: 1,010.0円
- 52週高値: 1,159円
- 52週安値: 878円
- 52週レンジ内位置: 47.0%(0%=安値、100%=高値)
- 50日移動平均: 1,009.58円
- 200日移動平均: 983.84円
解説: 現在の株価1,010.0円は52週高値と安値のほぼ中央に位置しており、極端な価格水準ではありません。株価は50日移動平均線(1,009.58円)とほぼ同水準であり、また200日移動平均線(983.84円)を上回って推移しています。これは、中長期的な株価の基調が安定していること、あるいは緩やかな上昇トレンドが継続していることを示唆しています。直近の取引では、前日終値1,023円から1,010円へと下落しており、短期的には下落圧力がかかっているものの、主要な移動平均線からの大きな乖離は見られません。日々の出来高が変動しており、流動性には注意が必要です。
【市場比較】
- 日経平均比(1年): 株式+1.10% vs 日経+38.33% → 39.12%ポイント下回る
- TOPIX比(1年): 株式+1.10% vs TOPIX+3.76% → 2.66%ポイント下回る
(※データ不整合のため、TOPIX比は1ヶ月リターンとの相対比較を記載)
TOPIX比(1ヶ月): 株式+1.10% vs TOPIX+3.76% → 2.66%ポイント下回る
解説: イムラの株価パフォーマンスは、過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年といずれの期間においても、日本株全体のベンチマークである日経平均株価やTOPIXを下回っています。特に日経平均に対しては過去1年で約39%ポイントもアンダーパフォームしており、市場全体の活況を享受できていない状況が確認できます。これは、イムラが属する紙・パルプ業界が構造的な課題を抱えていることや、同社独自の成長ストーリーがまだ市場全体から十分に評価されていないことを示唆しています。市場平均と比較すると、リスク調整後のリターンは低いと評価されざるを得ません。
【注意事項】
⚠️ 信用倍率4.36倍、将来の売り圧力に注意
【定量リスク】
- ベータ値(5Y Monthly): 0.16
- 年間ボラティリティ: 21.00%
- 最大ドローダウン: -21.45%
- シャープレシオ: 0.22
- 年間平均リターン: 5.13%
解説: ベータ値0.16は市場(S&P 500)全体の動きに対する感応度が極めて低いことを示しており、市場が大きく変動する場面でもイムラの株価は比較的安定して推移する傾向があることを意味します。これはリスクを回避したい投資家にとっては魅力的な特性です。年間ボラティリティ21.00%は、過去1年間の年間平均リターンが±21%程度の変動幅で推移したことを示唆し、仮に100万円投資した場合、年間で±21万円程度の価値変動が想定されるということです。最大ドローダウン-21.45%は過去に記録された最も大きな価格下落率であり、同程度の下落が今後も起こりうるリスクとして認識しておく必要があります。シャープレシオ0.22は、リスク(ボラティリティ)を取ったことに対するリターンの効率性が低いことを示しています(一般的に1.0以上が良好とされます)。これは、イムラの安定性は評価できるものの、それに見合うリターンが十分に得られていない可能性があることを示唆しています。
【事業リスク】
- 紙媒体需要の構造的な減少: デジタル化の加速やペーパーレス化の進展は、事務用封筒やDMなど、イムラの主要製品である紙媒体の需要を中長期的に縮小させる構造的なリスクです。企業の事業ポートフォリオ変革がこの市場縮小を上回るペースで進まなければ、収益源の圧迫が続く可能性があります。
- 原材料価格の高騰とサプライチェーンリスク: パルプなどの原材料価格は国際市況や為替レートに影響されやすく、高騰した場合、イムラの製造原価を押し上げ、利益率を圧迫します。また、国際情勢の不安定化や自然災害などによりサプライチェーンに混乱が生じると、製品の安定供給が困難になるリスクも存在します。
- 郵便事業の料金改定と取扱数量の減少: 日本郵便による郵便料金の改定や、郵便・メール便取扱数量の構造的な減少は、イムラのメーリング&デジタルソリューション事業の収益性に直接的な影響を与えます。郵便事業の将来的な動向は、同社の事業戦略を策定する上で重要な外部環境要因となります。
- 新工場建設に伴う投資負担と償却費増加: 現在進行中の新工場建設は、将来的な収益性向上に繋がる可能性を秘める一方で、多額の投資資金を必要とし、それに伴う借入金の増加や減価償却費の増加は、短期的に財務負担や利益圧迫要因となる可能性があります。投資回収が計画通りに進まない場合、財務健全性に影響を及ぼすリスクも考慮すべきです。
7. 市場センチメント
イムラの信用取引状況を見ると、信用買残が75,500株に対し、信用売残が17,300株と信用買残が圧倒的に多く、信用倍率は4.36倍となっています。前週比では信用買残が増加し、信用売残が減少しているため、将来的な売り圧力が強まる可能性を示唆しています。信用倍率が高い状態は、株価が上昇するにつれて信用買いの決済売りが増加し、株価の上値を抑える要因となることがあります。
主要株主構成では、自社(自己株口)が6.81%、自社社員持株会が5.06%、代表者の井村優氏が4.32%と、安定株主が上位を占めていることが特徴です。その他、(有)ケイ・アンド・アイコーポレーションや(有)アイ・エム興産など、関連性の高い株主が大口保有者として名を連ねています。機関投資家の保有割合は0.94%と非常に低く、市場の関心は主に個人投資家や内部関係者にあると見られます。過去1ヶ月のニュースとして「高市首相、衆院解散検討と伝わる 選挙関連に買い」との報道があり、選挙関連銘柄としての短期的な投機的な買いが一部入る可能性もありますが、これは一時的な要因であることがほとんどです。
8. 株主還元
イムラの株主還元方針は、安定的な配当を継続することに重点を置いていると見られます。会社予想では、1株当たり配当金は年間30.00円が予定されており、現在の株価1,010.0円に基づく配当利回りは2.97%と堅調な水準です。配当性向は会社予想EPS78.06円に対する38.8%であり、利益の約4割を株主還元に回す方針は、一般的な企業の配当性向(30~50%)の範囲内にあり、持続可能な株主還元策であると言えます。
過去の配当履歴を見ると、2021年1月期から2023年1月期にかけて年間30円を維持し、2024年1月期に一時35円に増配したものの、2025年1月期および2026年1月期予想では30円に戻しています。これは、安定配当を基本としつつも、業績や設備投資計画に応じて柔軟に対応している姿勢を示しています。積極的な自社株買いによる株主還元については、直近の決算短信では具体的な計画は示されていませんが、譲渡制限付株式報酬制度のための自己株式処分が行われており、従業員へのインセンティブ付与には活用されています。今後は、PBR1倍割れを意識した資本効率改善の一環として、配当性向のさらなる引き上げや自社株買いといった株主還元策の強化が期待される可能性があります。
SWOT分析
強み
- 国内封筒市場で2割強のシェアを誇るリーディングカンパニーとしてのブランド力と大規模な生産体制
- 自己資本比率70.9%という極めて強固な財務体質と低ベータ値による株価の安定性
弱み
- デジタル化による紙媒体需要の構造的な減少という主力事業が直面する逆風
- 原材料価格高騰による売上原価率の上昇と、現状不十分な収益性(ROE、ROAがベンチマーク未達)
機会
- EC市場の拡大に伴う高機能パッケージや環境配慮型パッケージへの新たな需要開拓
- メーリング&デジタルソリューション事業における内製化とサービス拡充による高付加価値化、新規案件獲得
脅威
- オフィスにおけるペーパーレス化の加速や電子取引の普及による市場縮小速度の加速
- 郵便料金改定や消費税増税、労働力不足など、外部環境変化による事業コスト増と需要減退リスク
この銘柄が向いている投資家
- 安定性を重視する長期投資家: 高い自己資本比率と低いベータ値は、市場変動リスクを抑制し、安定した企業経営を評価する長期的な目線を持つ投資家に向いています。
- バリュー投資家: PBRが1倍を下回る水準にあり、純資産価値から見て株価に割安感があるため、企業の潜在価値に着目するバリュー投資戦略に合致する可能性があります。
- 配当を重視する投資家: 安定した配当利回りを提供しており、株主還元を重視するインカムゲイン狙いの投資家にとっても魅力的な銘柄です。
この銘柄を検討する際の注意点
- 事業構造転換の進捗と実効性: 既存の紙媒体事業が抱える構造的な需要減に対し、新工場投資やデジタルソリューションといった成長戦略がどの程度、短期・中期的に収益に貢献し、構造転換を成功させられるかを慎重に見極める必要があります。
- 通期業績予想と特別利益の影響: 第3四半期時点で既に営業利益が通期予想を上回っているにも関わらず会社が予想を据え置いている背景や、一時的な特別利益(退職給付制度改定益)が純利益を押し上げている要因を深く理解し、実質的な事業の収益力を評価することが重要です。
今後ウォッチすべき指標
- メーリング&デジタルソリューション事業の成長率と営業利益率: 構造転換の鍵となるこの部門が、今後も安定的に成長し、全体の収益性を牽引できるかを継続的に確認すべきです。
- ROEおよびROAの改善状況: 資本効率を示す主要指標が、新工場稼働や事業構造改革によってどの程度改善し、ベンチマーク(ROE10%、ROA5%)に近づけるかを注視します。
- 新工場の稼働状況と収益貢献: 大規模投資を行った新工場が計画通り稼働し、生産効率向上や新製品投入を通じて、具体的な売上高や利益の上乗せに繋がっているかをフォローします。
成長性: D 判定: 停滞傾向
根拠: 過去12ヶ月の四半期売上高成長率が-7.30%とマイナスであり、年間売上高も過去数年間を振り返ると横ばいから微減傾向にあります。これは、主力事業である紙媒体の需要が構造的に減少していることに起因しており、新たな成長ドライバーが既存事業の縮小を補うにはまだ至っていない状況です示唆しています。
収益性: C 判定: やや課題
根拠: 実績ROEが4.71%とベンチマークの8%を大きく下回っており、ROAも3.05%と5%に届いていません。過去12ヶ月の営業利益率はマイナスですが、直近の第3四半期累計では6.8%と改善傾向にあります。しかし、全体として資本および資産の効率的な活用と、売上に対する利益率の向上が喫緊の課題であり、収益力には改善の余地が大きいと評価できます。
財務健全性: B 判定: まずまず
根拠: 自己資本比率70.9%は非常に高く、企業の財務基盤が極めて安定しており、倒産リスクは低いと評価できます。Piotroski F-Scoreも4/9と普通であり、総負債比率も低く健全です。一方で、流動比率1.25倍は一般的な目安とされる200%(2.0倍)を下回っており、短期的な支払い能力には改善の余地があります。新工場投資に伴う借入増加も短期的なキャッシュアウトフローに影響を与える可能性があります。
バリュエーション: C 判定: やや割高感
根拠: PER12.93倍は業界平均8.0倍と比較すると割高感が否めません。PBR0.58倍は業界平均0.5倍に近い水準で、純資産価値から見れば割安感がありますが、PERの割高感との乖離を考慮すると、現在の株価は純粋に割安とは言い難い水準です。目標株価も現在の株価を下回っており、市場が織り込んでいる将来の成長期待が現状の収益性に対して高い可能性があります。
企業情報
| 銘柄コード | 3955 |
| 企業名 | イムラ |
| URL | https://www.imura.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 素材・化学 – パルプ・紙 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,010円 |
| EPS(1株利益) | 78.14円 |
| 年間配当 | 2.97円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 3.7% | 14.9倍 | 1,394円 | 6.9% |
| 標準 | 2.9% | 12.9倍 | 1,163円 | 3.1% |
| 悲観 | 1.7% | 11.0倍 | 935円 | -1.2% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,010円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 586円 | △ 72%割高 |
| 10% | 732円 | △ 38%割高 |
| 5% | 924円 | △ 9%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.18)」によって自動生成されました。
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