企業の一言説明

大谷工業は電力・通信ライン向け架線金物や鉄塔、建築用建材(スタッド、免震材)の製造販売を展開する、電力・通信インフラ分野で中堅の企業です。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 電力・通信インフラ市場の安定需要と新工場の潜在力: データセンターや半導体関連投資の活発化に伴う電力インフラ需要の増加は、同社の主力製品である鉄塔・鉄構への好影響が期待されます。富山呉羽新工場の稼働は中長期的な生産能力強化と合理化に寄与する見込みです。
  • 高い財務健全性: 自己資本比率53.9%、流動比率2.39倍、Piotroski F-Score 6/9点(良好)と、非常に強固な財務基盤を有しており、景気変動や設備投資負担に対する耐性があります。
  • 短期的利益・キャッシュフローの圧迫と割高なバリュエーション: 新工場への設備投資に伴う減価償却費の増加や一時的な特別損失により、直近の中間期決算では営業利益が前年比37.9%減、営業キャッシュフローも大幅なマイナスを計上しています。加えて、現在の株価は業界平均と比較してPER、PBRともに割高な水準にあり、短期的には株価上昇を抑制する可能性があります。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 D 利益減速懸念
収益性 C ベンチマーク未達
財務健全性 A 良好
バリュエーション D 割高

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 6,910.0円
PER 31.67倍 業界平均11.3倍(約2.8倍)
PBR 1.28倍 業界平均0.5倍(約2.6倍)
配当利回り 0.43%
ROE 9.46%

1. 企業概要

大谷工業は1946年創業、東京都品川区に本社を置く上場企業です。電力・通信ライン向けの架線金物や送電用鉄塔、建築用のスタッドや免震材などを製造・販売しています。主力は電力通信部門で、全国の電力会社や通信事業者、建設業者を主要顧客としています。特に北陸電力向けの配電金物、通信業者向けの通信金物に強みを持っています。長年にわたる実績とインフラ設備に欠かせない専門技術、製品の安全性・信頼性が高い参入障壁となっています。

2. 業界ポジション

同社は架線金物および鉄塔分野において大手の一角を占める中堅企業です。電力・通信インフラという公共性の高い事業領域で安定した需要基盤を持っています。特定の電力会社との長年の取引関係が強みである一方、特定の顧客への依存度が高い点が弱みとなる可能性もあります。競合他社と比較すると、現在のPER31.67倍は業界平均11.3倍を大きく上回り、PBR1.28倍も業界平均0.5倍と比較して割高な水準にあります。これは、同社の安定した財務基盤や将来性への期待が株価に織り込まれている可能性、あるいは足元の利益水準と比較した割高感を示唆しています。

3. 経営戦略

大谷工業は、電力通信部門と建材部門を事業の柱としています。電力通信部門では、データセンターや半導体関連投資の活発化に伴う電力インフラ需要の増加や、老朽化したインフラ設備の更新需要を捉える戦略です。建材部門では、国内の大型再開発案件や免震・耐震ニーズの高まりに対応しています。直近では、中長期的な生産能力強化と合理化を目指し、富山呉羽工場の新設・稼働による設備投資を積極的に行っています。中期経営計画の詳細な開示は今回の決算短信では言及されていませんが、新工場投資は今後の成長戦略の要になると考えられます。今後のイベントとして、2026年3月30日に配当落ち日が予定されています。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 6/9 A: 良好
収益性 3/3 良好(純利益、営業CF、ROAすべて良好)
財務健全性 3/3 良好(流動比率、D/Eレシオ、株式希薄化なしすべて良好)
効率性 0/3 要改善(営業利益率、ROE、四半期売上成長率が基準未達)

F-Score解説:

大谷工業のPiotroski F-Scoreは6/9点で「良好」と判定されます。収益性および財務健全性の項目では満点を獲得しており、堅実な経営基盤と安定したキャッシュ創出力が評価されます。特に純利益、営業キャッシュフローがプラスであり、ROAもプラスであることから、基本的な収益獲得能力は問題ありません。また、流動比率の高さや低D/Eレシオ(負債資本倍率)、株式希薄化がないことから、財務の健全性が非常に高いことが確認できます。一方で、効率性の項目では営業利益率10%超、ROE10%超、四半期売上成長率がプラスのいずれも達成できておらず、資本効率性や成長力については改善の余地があることを示しています。

【収益性】

  • 営業利益率(過去12か月): 4.07% (ベンチマーク: 5-10%以上)
    • 業界水準と比較してやや低く、収益改善が必要です。特に直近の中間期営業利益率は約4.8%と前年同期の約7.5%から悪化しており、通期予想は約3.6%とさらに厳しくなる見通しです。
  • ROE(実績): 9.46% (ベンチマーク: 10%以上)
    • 株主資本を効率的に活用して利益を生み出す指標。業界平均と比較すると良好な水準ですが、一般的な目安である10%にはわずかに届いていません。新工場への投資効率が今後のROEを左右します。
  • ROA(過去12か月): 2.99% (ベンチマーク: 5%以上)
    • 総資産に対する利益率。ベンチマークの5%を大きく下回っており、総資産を効率的に活用しきれていない状況です。

【財務健全性】

  • 自己資本比率(実績): 53.9% (健全性の目安: 40%以上)
    • 負債に頼らず、どれだけ自社の資金で経営しているかを示す指標。50%を超える高い水準で、非常に高い財務安定性を示しています。
  • 流動比率(直近四半期): 2.39倍 (健全性の目安: 1.5倍強以上)
    • 短期の支払い能力を示す指標。2倍を超えており、短期的な資金繰りに全く問題がない非常に良好な状態です。

【キャッシュフロー】

  • 営業CF(過去12か月): 164百万円 (プラス、健全)
    • 主力事業で稼ぎ出しているキャッシュ。過去12カ月で見ればプラスですが、直近の中間期決算では△257百万円と大幅なマイナスに転じており、注意が必要です。
  • FCF(過去12か月): -216.75百万円 (マイナス、懸念)
    • 自由に使えるキャッシュ。大幅なマイナスとなっており、営業CFで生み出した資金を超える設備投資を行っていることを示唆しています。富山呉羽工場への投資が主な要因です。

【利益の質】

  • 営業CF/純利益比率(過去12か月): 0.58 (目安: 1.0以上で健全)
    • 会計上の利益と実際の現金創出力の乖離を示す指標。1.0倍を下回っており、「やや懸念(キャッシュフロー不足)」と評価されます。特に中間期決算では営業CFがマイナスのため、さらにこの比率は悪化しています。これは新工場稼働に伴う経費増加や一時的な損失が要因と考えられます。

【四半期進捗】

  • 通期予想に対する進捗率(2026年3月期第2四半期時点):
    • 売上高: 49.5%(中間売上3,876百万円に対し通期予想7,830百万円)
    • 営業利益: 66.5%(中間営業利益186百万円に対し通期予想280百万円)
    • 当期純利益: 73.5%(中間純利益125百万円に対し通期予想170百万円)
  • 直近3四半期の売上高・営業利益の推移(前年比):
    • 売上高(中間期): 3,876百万円(前年同期比 △2.6%)
    • 営業利益(中間期): 186百万円(前年同期比 △37.9%)
    • 直近中間期では減収減益となっており、売上の進捗は通期目標の半分程度ですが、利益の進捗率は高い水準です。これは、下半期に利益が大きく落ち込むか、もしくは会社側が慎重な予想を置いている可能性を示唆しています。ただし、営業利益率の悪化とキャッシュフローのマイナスは注意点です。

【バリュエーション】

  • PER(会社予想): 31.67倍 (株価が利益の何年分かを示す指標。業界平均11.3倍)
    • 業界平均と比較して約2.8倍と大幅に割高な水準です。これは、今後の成長期待や高い財務健全性が織り込まれている可能性もありますが、現在の利益水準から見ると過大評価の可能性があります。
  • PBR(実績): 1.28倍 (株価が純資産の何倍かを示す指標。業界平均0.5倍)
    • 業界平均と比較して約2.6倍と割高です。しかし、PBR1倍を超えることは企業の解散価値を上回っていることを示し、一定の評価はされていると言えます。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 短期トレンドに明確な方向性は見られない
RSI 中立 [データなし] 買われすぎ・売られすぎの水準ではない
移動平均乖離率 上方乖離 25日線より+9.11% 短期から長期にかけて株価が移動平均線を上回っており、上昇トレンドを示唆

シグナル解説:
MACDとRSIは中立を示していますが、移動平均線乖離率は短期から長期のすべての移動平均線で上方乖離しており、株価が上昇トレンドにあることを示唆しています。

【テクニカル】

  • 52週高値・安値との位置: 75.9% (0%=安値、100%=高値)
    • 現在株価6,910円は、52週高値7,580円、安値4,800円のレンジにおいて、高値圏に近い位置にあります。
  • 移動平均線との関係:
    • 現在株価6,910円は、5日移動平均線 (6,894.00円)、25日移動平均線 (6,332.80円)、75日移動平均線 (5,582.80円)、200日移動平均線 (5,512.60円) をすべて上回っています。これは、短期から長期にわたって上昇トレンドが継続していることを示唆する強いサインです。

【市場比較】

  • 日経平均との相対パフォーマンス:
    • 直近1ヶ月 (+17.85%ポイント上回る) および3ヶ月 (+18.03%ポイント上回る) では日経平均をアウトパフォームしています。
    • しかし、直近6ヶ月 (-8.29%ポイント下回る) および1年 (-23.36%ポイント下回る) では日経平均をアンダーパフォームしており、中長期的には市場全体の上昇に乗り遅れている期間があることが分かります。
  • TOPIXとの相対パフォーマンス:
    • 直近1ヶ月 (+20.08%ポイント上回る) ではTOPIXを大きくアウトパフォームしています。

【定量リスク】

  • ベータ値: 0.37 (市場全体に比べて個別の株価変動が小さいことを示す指標。1未満は市場全体より安定、1超は市場全体より変動が大きい)
    • ベータ値が0.37と非常に低く、市場全体の動きに対して株価の変動幅が小さい、比較的安定した銘柄と言えます。
  • 年間ボラティリティ: 39.36% (株価の変動の激しさを示す指標)
    • 年間ボラティリティは39.36%と算出されており、比較的変動幅が大きいことに注意が必要です。
  • 最大ドローダウン: -35.56% (過去にこの銘柄の株価が最も大きく下落した比率)
    • 過去に100万円投資した場合、最大で35.56万円程度価値が減少した時期があることを示します。今後も同様の下落が起こる可能性はあります。
  • 仮に100万円投資した場合、年間で±39.36万円程度の変動が想定されます。

【事業リスク】

  • 特定顧客への依存度: 電力通信部門の収益が北陸電力など特定の電力会社向けに大きく依存しており、これらの顧客の投資計画や経営状況によって業績が変動するリスクがあります。
  • 建設工期遅延・原材料価格高騰・人手不足: 主要顧客である建設業界は、建設コストの高騰、資材調達の遅延、人手不足といった課題を抱えています。これが同社の受注や売上計上時期、製造原価に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 新工場投資に伴う短期的な利益圧迫: 富山呉羽工場の新設・設備移管に伴う減価償却費の増加や、固定資産除売却損などの一時的な費用発生が、当面の間、利益とキャッシュフローを圧迫する可能性があります。期待通りの生産性向上や受注増に繋がらなかった場合、投資回収が遅れるリスクも存在します。

7. 市場センチメント

  • 信用取引状況: 信用買残20,100株に対し、信用売残は0株となっており、信用倍率は計算不可(事実上の信用買残のみ存在)。これは、将来の株価上昇を期待して信用買いしている投資家が多いことを示し、将来的な売り圧力が存在する可能性があります。
  • 主要株主構成: 上位株主はニュー・オータニ (27.79%)、(株)エムアンドエーコーポレーション (9.92%)、(株)テーオーシーサプライ (7.05%) です。インサイダー保有比率が66.95%と非常に高く、大株主による支配力が強い構造です。機関投資家保有比率は2.90%と低水準です。

8. 株主還元

  • 配当利回り: 0.43% (低水準)
  • 1株配当(会社予想): 30.00円
  • 配当性向(会社予想ベース): 8.25% (通期純利益予想170百万円に対する配当総額から計算した場合は約13.8%)。非常に低い水準であり、利益を内部留保や成長投資に回す方針がうかがえます。
  • 自社株買い: データなし (現在、自社株買いは実施されていないようです)。

同社は、配当性向が比較的低く、現在のところは利益を再投資に回すことで企業価値向上を目指していると考えられます。

SWOT分析

強み

  • 電力・通信インフラという安定した需要を背景に、強固な顧客基盤と専門技術を持つ。
  • 自己資本比率53.9%と流動比率2.39倍に代表される高い財務健全性。

弱み

  • 特定顧客への依存度が高く、事業ポートフォリオに集中リスクがある。
  • 新工場稼働に伴う減価償却費の増加や一時損失が収益を圧迫し、短期的にはキャッシュフローが悪化。

機会

  • データセンター・半導体関連投資による電力インフラ増強需要の高まり。
  • 国内の大型再開発や免震・耐震構造物への需要継続。

脅威

  • 原材料価格の高騰や建設業界全体の人手不足、工事費上昇による工期遅延リスク。
  • 経済の不確実性や設備投資抑制による需要の変動。

この銘柄が向いている投資家

  • 財務健全性を重視する長期志向の投資家: 同社の強固な財務体質は、長期的に安心して保有できる基盤となります。
  • インフラ関連の安定成長に期待する投資家: 電力・通信インフラや建材は景気に比較的左右されにくい安定した需要があり、中長期的な市場成長が期待できます。新工場投資の成果を忍耐強く待てる投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • バリュエーションの割高感: PER、PBRともに業界平均を大きく上回っており、現在の株価には将来の成長がかなり織り込まれている可能性があります。短期的な投資妙味は限定的かもしれません。
  • 短期的な収益性・キャッシュフローの悪化: 新工場投資に伴う減価償却費の増加や一時的な損失が、直近の利益や営業キャッシュフローを圧迫しています。投資効果が本格的に現れるまでには時間を要する可能性があります。

今後ウォッチすべき指標

  • 営業利益率の改善: 新工場の本格稼働後、製造効率化による営業利益率の改善目標(例: 5%回復、ひいては10%達成)
  • 営業キャッシュフローの回復: 設備投資が一巡し、営業キャッシュフローが恒常的にプラスに戻るか、その進捗状況。
  • 受注残高の推移と消化状況: 電力通信部門、建材部門ともに受注残高が売上として着実に計上され、さらに増加していくか。

成長性

スコア: D / 判定: 利益減速懸念

根拠: 2026年3月期の会社予想では、売上高が前期比で微減、営業利益、経常利益、当期純利益は大幅な減益が見込まれています。直近四半期の売上高成長率も前年比マイナス7.70%と減速しており、短期的な成長性に懸念があります。

収益性

スコア: C / 判定: ベンチマーク未達

根拠: ROEは9.46%でベンチマークの10%にわずかに届かず、営業利益率4.07%はベンチマークの5%にも満たない水準です。ROAも2.99%と低いことから、総じて収益効率性には改善の余地が大きいと判断されます。

財務健全性

スコア: A / 判定: 良好

根拠: 自己資本比率53.9%は非常に高く、流動比率2.39倍も短期的な支払い能力に全く問題がない優良な水準です。Piotroski F-Scoreも6点(良好)であり、盤石な財務基盤を築いています。

バリュエーション

スコア: D / 判定: 割高

根拠: PER31.67倍は業界平均11.3倍の約2.8倍、PBR1.28倍は業界平均0.5倍の約2.6倍と、ともに業界平均を大きく上回っており、現在の株価は割高と評価されます。投資家は将来の成長を相当程度織り込んでいると見られます。


企業情報

銘柄コード 5939
企業名 大谷工業
URL http://www.otanikogyo.com/
市場区分 スタンダード市場
業種 建設・資材 – 金属製品

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 6,910円
EPS(1株利益) 218.18円
年間配当 0.43円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 15.9% 29.4倍 13,397円 14.2%
標準 12.2% 25.6倍 9,921円 7.5%
悲観 7.3% 21.7倍 6,750円 -0.5%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 6,910円

目標年率 理論株価 判定
15% 4,934円 △ 40%割高
10% 6,162円 △ 12%割高
5% 7,776円 ○ 11%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.18)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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