企業の一言説明
東邦チタニウムは、金属チタンを核に、触媒、化学品事業を展開する、JX金属系のチタン製錬大手企業です。航空機向け需要に強みを持つ一方で、電子材料や次世代触媒の開発にも注力しています。
投資判断のための3つのキーポイント
- 高付加価値製品への注力と成長ポテンシャル: 航空機向け高純度チタンや次世代触媒、電子材料といった高付加価値製品への投資と技術開発が、中長期的な成長ドライバーとなる可能性を秘めています。
- 改善途上の収益性と市場環境のリスク: 航空機関連のサプライチェーン調整や中国メーカーの過剰供給により、チタン価格が軟化し、直近の収益性が大幅に悪化。通期業績予想の下方修正も発表されており、回復には時間がかかる見込みです。
- 高い株価バリュエーションと市場変動リスク: PBRが業界平均を大幅に上回っており、割高感が強いです。直近株価は高値圏にあり、市場環境の変化や業績の回復遅延が株価に大きな影響を及ぼす可能性があります。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | D | 懸念(減収減益見込み) |
| 収益性 | C | やや不安(低水準) |
| 財務健全性 | A | 良好(安定的な財務基盤) |
| バリュエーション | D | 懸念(割高感強い) |
※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 1,890.0円 | – |
| PER | 70.81倍 | 業界平均80.4倍(-11.8%) |
| PBR | 2.31倍 | 業界平均0.8倍(+188.8%) |
| 配当利回り | 0.95% | – |
| ROE | 6.49% | – |
1. 企業概要
東邦チタニウムは1948年に設立されたJX金属グループの非鉄金属メーカーです。主な事業は金属チタン、触媒、化学品の3つのセグメントで構成されています。主力は航空機や一般産業向けのチタン、特に高純度チタンやチタンスポンジで、国内製錬大手の一角を占めます。ポリオレフィン等の触媒や、MLCC用途の超微粉ニッケル等の電子材料、次世代材料の開発にも注力しており、ニッチ市場での高い技術的独自性と参入障壁を持つことが強みです。
2. 業界ポジション
同社はJX金属系のチタン製錬大手として、大阪チタニウムテクニカルズと並び、国内チタン業界の双璧をなす存在です。特に航空機向けチタンでは高いシェアを持ち、グローバルサプライチェーンにおいて重要な位置を占めています。ただし、近年は中国メーカーの台頭による供給過剰や価格競争に直面しており、業界環境は厳しい局面を迎えています。財務指標においては、PERは業界平均80.4倍に対し70.81倍とやや低いですが、PBRは業界平均0.8倍に対し2.31倍と大幅に高い水準にあり、純資産価値で比較すると割高感があります。
3. 経営戦略
東邦チタニウムは、中長期的な成長戦略として、金属チタン事業における高付加価値製品へのシフト、触媒・化学品事業の新製品開発と市場拡大を掲げています。具体的には、航空機需要の回復を見据えた生産体制の最適化や、次世代半導体向け高純度チタン、リチウムイオン伝導性固体電解質などの次世代材料開発に注力しています。直近の2026年3月期第2四半期決算では、金属チタン事業の悪化により通期業績予想の下方修正を行いましたが、触媒・化学品事業は販売が回復し増収を達成しており、多角的な事業展開がリスク分散に寄与しています。
今後のイベントとしては、2026年2月6日に決算発表、2026年3月30日に配当落ち日が予定されています。
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 6/9 | A: 良好(全体的に健全だが一部改善余地あり) |
| 収益性 | 3/3 | 純利益、営業キャッシュフロー、ROA全てプラスで健全な収益性を示しています。 |
| 財務健全性 | 3/3 | 流動比率は1.5以上、D/Eレシオは1.0未満、株式希薄化もないことから、財務は健全な状態です。 |
| 効率性 | 0/3 | 営業利益率、ROEが基準値を下回り、直近の四半期売上成長率もマイナスであるため、効率性には改善の余地があります。 |
【収益性】
- 営業利益率(過去12か月): 2.66%
- 2025年3月期実績は6.61%でしたが、直近12ヶ月ではこれよりも低い水準にあります。収益性指標の目安である5%を大きく下回っており、改善が求められます。
- ROE(実績): 6.49%
- 株主資本に対する利益創出能力を示し、一般的な目安である10%を下回っています。効率性スコアが低い要因の一つです。ただし、前中間期決算に基づいた試算では年率換算で約2.4%となり、現在のROEは通期予想反映で更に下がる可能性があります。
- ROA(過去12か月): 2.47%
- 総資産に対する利益創出能力を示し、一般的な目安である5%を下回っています。資産を効率的に活用して利益を生み出す力が弱い状態です。
【財務健全性】
- 自己資本比率(実績): 46.7%
- 負債を上回る自己資本があり、財務の安定性を示す良好な水準です(目安30%以上)。
- 流動比率(直近四半期): 1.52倍
- 短期的な支払い能力を示しており、1.0倍以上が健全とされます。1.52倍は十分な流動性を保持していることを示します。
【キャッシュフロー】
- 営業キャッシュフロー(過去12か月): 13,110百万円
- 本業で安定してキャッシュを生み出しており、事業活動が順調であることを示します。ただし、直近中間期では前年同期比で大幅に減少しています。
- フリーキャッシュフロー(過去12か月): 1,680百万円
- 営業CFから投資CFを差し引いた、企業が自由に使えるキャッシュのことで、プラスであることは財務の柔軟性を示します。直近中間期では、設備投資の増加によりフリーキャッシュフローはマイナスに転じています。
【利益の質】
- 営業CF/純利益比率: 3.81
- 純利益に対する営業キャッシュフローの比率で、1.0以上が健全とされます。3.81と高い水準であり、会計上の利益だけでなく、実際のキャッシュフローを伴った質の高い利益であることを示唆しています。これはF-Scoreの収益性スコアが高い要因ともなっています。
【四半期進捗】
東邦チタニウムの2026年3月期第2四半期(中間期)決算は、売上高41,044百万円(前年同期比△6.2%)、営業利益1,324百万円(同△49.5%)、親会社株主に帰属する中間純利益699百万円(同△38.2%)と減収減益となりました。
通期予想(修正後)に対する進捗率は以下の通りです。
- 売上高進捗率: 50.5%(概ね半期の正常レンジ)
- 営業利益進捗率: 33.1%(進捗遅れ)
- 純利益進捗率: 36.8%(進捗遅れ)
特に営業利益と純利益の進捗が通期目標の半分以下にとどまっており、下期での大幅な回復が不可欠です。主な要因は金属チタン事業における航空機向け需要の調整や中国メーカーの過剰供給が挙げられています。
【バリュエーション】
- PER(会社予想): 70.81倍
- 株価が1株当たり利益の何倍かを示す指標で、業界平均PER80.4倍と比較するとやや低いですが、絶対値は非常に高いと言えます。これは、EPSが26.69円と低いことに起因しています。
- PBR(実績): 2.31倍
- 株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標で、業界平均PBR0.8倍と比較すると大幅に割高な水準です。これは、株価が企業が持つ純資産を大きく上回っていることを意味しており、特に非鉄金属業界の平均と比較すると、期待値がかなり株価に織り込まれていると解釈できます。
- 目標株価(参考):
- 業種平均PER基準では3,719円、業種平均PBR基準では655円となり、指標によって大きく乖離があります。これは、同社のPERが高騰している点、PBRが業界で突出している点を反映しており、バリュエーションを判断する上での難しさを示しています。現在の株価1,890円はPBR基準目標株価を大きく上回っています。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | – | トレンド方向の明確なシグナルは出ていません。 |
| RSI | 中立 | – | 買われすぎでも売られすぎでもない、中立的な状態を示しています。 |
| 移動平均乖離率 | 上方乖離 | 25日線から+21.11% | 短期的に株価が移動平均線を大きく上回っており、過熱感が出ている可能性があります。 |
【テクニカル】
株価は1,890円で、52週高値1,921円に非常に近い位置(97.2%)にあり、2026年1月29日には年初来高値を更新しています。5日移動平均線1,820.60円を3.81%上回り、25日移動平均線1,560.56円を21.11%、75日移動平均線1,441.49円を31.11%、200日移動平均線1,359.86円を38.99%と、全ての短期・中期・長期移動平均線を大きく上回って推移しており、強い上昇トレンドを示しています。特に25日移動平均線からの乖離率の高さは、短期的な過熱感を示唆しています。直近1ヶ月のリターンは+35.78%と非常に好調です。
【市場比較】
過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年間のいずれの期間においても、東邦チタニウムの株価は日経平均株価およびTOPIXを大幅に上回るパフォーマンスを記録しています。特に1年間では日経平均を約49.81%ポイント、TOPIXを約52.05%ポイント上回る+88.62%のリターンを達成し、圧倒的な市場優位性を示しています。これは同社への高い期待と、非鉄金属市場における特定のテーマ(航空機材料、半導体材料など)への関心の高さが要因と考えられます。
【注意事項】
⚠️ 信用倍率が5.86倍と高水準であり、将来の売り圧力に注意が必要です。信用買い残が多い状況は、株価上昇の足かせとなる可能性があります。
【定量リスク】
- 年間ボラティリティ: 53.16%
- 年間の平均的な株価変動幅が53.16%と非常に高いことを示しています。仮に100万円投資した場合、年間で±53.16万円程度の変動が想定される可能性があるため、短期間で大きな価格変動リスクを許容する必要があります。
- シャープレシオ: 0.01
- リスク1単位あたりどれだけのリターンが得られたかを示す指標です。0.01と極めて低い値であり、過去のリターンがリスクに見合っていないことを示唆しています。
- 最大ドローダウン: -56.30%
- 過去の最も大きな下落率が-56.30%であったことを意味します。この程度の大きな下落が今後も発生する可能性を考慮する必要があります。
【事業リスク】
- 市場環境と需給バランスの変動:
- 主要事業である金属チタンの需要は、航空機産業(ボーイング機のトラブルによるサプライチェーン在庫調整など)や半導体産業の動向に大きく左右されます。また、中国メーカーのチタンスポンジ供給過剰により、競争激化と価格下落リスクがあります。世界経済の減速や地政学リスクも需要に影響を与える可能性があります。
- 原材料価格と為替変動リスク:
- チタン製品の製造には、原材料であるチタン鉱石や電気料金などのコストが影響します。これらの価格変動は収益を圧迫する可能性があります。また、売上高の海外比率が61%と高いため、為替レートの変動が業績に与える影響も大きいです。
- 設備投資と技術開発のリスク:
- 高付加価値製品や次世代材料の開発には継続的な設備投資と研究開発が必要です。大規模な投資が計画通りに進捗しない場合や、期待されるリターンが得られない場合、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、技術革新のスピードに対応できない場合、競争優位性を失うリスクも存在します。
7. 市場センチメント
信用取引状況: 信用買残は891,600株、信用売残は152,200株で、信用倍率は5.86倍です。信用倍率は比較的高く、将来的に買い方が利益確定売りや投げ売りに出た場合、株価に下落圧力がかかる可能性があります。直近1週間で信用買残が362,800株減少している点は買い圧力の減少として注視が必要です。
主要株主構成: 筆頭株主はJX金属で50.31%の株式を保有しており、日本製鉄も4.91%を保有しています。発行済株式の50%以上をJX金属が保有しているため、経営の安定性は高いと言えます。機関投資家による保有も一定程度見られますが、浮動株(Float)は30.57M株と比較的少なく、大株主の意向が経営に大きく影響する構造です。
8. 株主還元
配当利回り: 会社予想は0.95%であり、一般的な高配当株とは言えません。ただし、中間配当は9.00円(前年中間8.00円より増額)、通期予想は18.00円(変更なし)と、業績が悪化する中でも配当維持の姿勢を見せています。
配当性向: 会社予想ベースでの配当性向は34.4%(2025年3月期実績)ですが、2026年3月期予想の年間配当18.00円と予想EPS 26.69円で計算すると約67%と高水準になります。これは、利益が減少する中で配当を維持しようとする企業姿勢の表れと見ることもできますが、業績のさらなる悪化があった場合には減配のリスクも高まります。
自社株買いの状況: 現時点では自社株買いに関する公表はデータから確認できません。
SWOT分析
強み
- 航空機、半導体向けなど高付加価値分野での強固な技術と国内首位級の市場ポジション。
- 触媒・化学品事業が成長ドライバーとなり、事業ポートフォリオの多角化に貢献。
弱み
- 金属チタン事業における外部環境(航空機サプライチェーン、中国の過剰供給)の影響を受けやすい収益構造。
- 直近の収益性が低く、収益改善に向けた効率性向上が課題。
機会
- 次世代材料(リチウムイオン伝導性固体電解質など)や高純度チタンの需要拡大ポテンシャル。
- 航空機MRO市場の堅調な推移や、中長期的な航空機需要回復。
脅威
- 中国メーカーの台頭によるチタンスポンジ市場での価格競争激化。
- 原材料価格や為替の変動、地政学リスクが業績に与える影響。
この銘柄が向いている投資家
- 中長期的な視点を持つ成長期待投資家: 航空機産業の回復や次世代材料開発に期待し、短期的な業績変動を許容できる投資家。
- 特定産業(航空・半導体)のテーマ投資家: チタンという素材の戦略的重要性を理解し、特定産業の成長を享受したい投資家。
この銘柄を検討する際の注意点
- 業績の下振れリスク: 航空機業界のサプライチェーン調整や中国の供給過剰が想定以上に長期化する可能性があり、通期業績予想達成へのリスクがあります。
- バリュエーションの割高感: PER・PBRともに高い水準にあり、特にPBRは業界平均を大幅に上回っています。株価は既に高い期待を織り込んでいるため、ネガティブな情報に対する株価の反応には注意が必要です。
今後ウォッチすべき指標
- 金属チタン事業の需要回復状況: 特に航空機向け輸出スポンジチタンの販売動向。
- 触媒、化学品事業の収益貢献度: 増収基調にあるこれらの事業が全体の収益性をどこまで補完できるか。
- PER/PBRの推移: 高いバリュエーションが是正されるか、または実績が伴って正当化されるか。
成長性
スコア: D
判定: 懸念(減収減益見込み)
根拠: 2026年3月期の通期予想売上高は81,300百万円で、2025年3月期実績の88,974百万円に対し約8.6%の減収を見込んでいます。営業利益および純利益も大幅な減益予想であり、成長性評価は「D」と判断されます。
収益性
スコア: C
判定: やや不安(低水準)
根拠: ROE(実績6.49%)は目安の10%を下回っており、営業利益率(過去12か月2.66%)も目安の5%を下回る低水準です。これは収益効率に課題があることを示しており、評価は「C」と判断されます。
財務健全性
スコア: A
判定: 良好(安定的な財務基盤)
根拠: 自己資本比率46.7%は安定水準であり、流動比率1.52倍も短期的な支払い能力に問題がないことを示しています。Piotroski F-Scoreも6点(A)と良好なため、財務健全性は「A」と判断されます。
バリュエーション
スコア: D
判定: 懸念(割高感強い)
根拠: PER(70.81倍)は業界平均80.4倍と比較すると低いものの絶対値は著しく高いです。PBR(2.31倍)は業界平均0.8倍を大幅に上回っており、純資産と比較して株価に非常に高い期待が織り込まれているため、バリュエーションは「D」と判断されます。
企業情報
| 銘柄コード | 5727 |
| 企業名 | 東邦チタニウム |
| URL | http://www.toho-titanium.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 鉄鋼・非鉄 – 非鉄金属 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,890円 |
| EPS(1株利益) | 26.69円 |
| 年間配当 | 0.95円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.0% | 46.0倍 | 1,228円 | -8.2% |
| 標準 | 0.0% | 40.0倍 | 1,068円 | -10.7% |
| 悲観 | 1.0% | 34.0倍 | 954円 | -12.7% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,890円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 533円 | △ 254%割高 |
| 10% | 666円 | △ 184%割高 |
| 5% | 840円 | △ 125%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.18)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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