企業の一言説明

中越パルプ工業は、新聞用紙や包装用紙を主力とする製紙事業に加え、発電事業も展開する総合製紙の中堅企業です。王子ホールディングスの持分対象であり、富山県に本社を置きます。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 割安なバリュエーションと高配当利回り: PBRは業界平均を下回り、株価純資産倍率が1倍を大きく割り込んでいる一方で、配当利回りが4.46%と高く、バリュー株としての魅力があります。
  • 堅調な財務健全性も収益性には課題: Piotroski F-Scoreは「良好」ですが、主力の紙・パルプ事業で収益性が低迷しており、ROEがマイナスに転じるなど、利益創出力の改善が喫緊の課題となっています。
  • 構造的な市場変化への対応が必須: デジタル化による紙需要の長期的な減少傾向、海外のパルプ市況や燃料価格の変動、競合の激化など、事業環境は厳しく、コスト削減と高付加価値製品・新規事業への転換が求められます。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 C 課題あり
収益性 D 懸念
財務健全性 A 良好
バリュエーション A 良好

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 2,020.0円
PER 9.39倍 業界平均9.5倍
PBR 0.44倍 業界平均0.5倍
配当利回り 4.46%
ROE -0.44%

1. 企業概要

中越パルプ工業は、国内外で紙・パルプ製品を製造・販売する総合製紙メーカーです。新聞用紙、印刷・情報用紙、包装用紙、特殊紙などを主力とし、総売上の91%を占める主要事業です。その他、自家発電による売電事業(売上5%)や、林業、化学品、不動産、運送など多角的な事業(売上4%)を展開しています。大規模な生産設備と長年の製紙技術の知見を強みとし、近年は再生可能エネルギーやセルロースナノファイバーといった新素材開発にも注力しています。

2. 業界ポジション

中越パルプ工業は、国内製紙業界において中堅の地位を占めており、王子ホールディングスの持分対象となっています。新聞用紙や包装用紙を主要製品としていますが、業界全体としてはデジタル化の進展により国内紙需要が構造的に減少傾向にあります。競合他社も同様の課題に直面しており、コスト競争力の強化や高機能・高付加価値製品へのシフトが求められています。バリュエーション面では、PERが9.39倍と業界平均の9.5倍とほぼ同水準である一方、PBRは0.44倍と業界平均の0.5倍を下回っており、純資産に対して株価が割安に評価されている状態です。

3. 経営戦略

中越パルプ工業は、外部環境の変化に対応するため、コスト削減と生産効率の向上を継続的なテーマとしています。決算短信には中期経営計画の進捗に関する明確な記載はないものの、紙需要の構造変化への対応が継続的な経営課題と認識されています。直近では2026年3月期第2四半期決算において、通期業績予想を修正しました。これは、販売数量の減少やパルプ市況の悪化が主因であり、下半期の収益改善が今後の焦点となります。今後のイベントとして、2026年3月30日(UTC)が配当落ち日となります。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 5/9 A: 良好(全体的に健全だが一部改善余地あり)
収益性 3/3 ✅良好(純利益、営業CF、ROAすべてプラス)
財務健全性 2/3 △一部改善余地あり(流動比率が基準未達も、負債比率や株式希薄化は良好)
効率性 0/3 ⚠️要改善(営業利益率、ROE、四半期売上成長率が基準未達)

Piotroski F-Scoreは5/9点であり、「良好」と評価されます。収益性に関しては、純利益、営業キャッシュフロー、ROA(総資産利益率)のすべてがプラスであり、利益の基本的な質は確保されています。財務健全性においては、D/Eレシオ(負債資本倍率)が1倍を下回り、株式希薄化もない点が評価される一方、流動比率が目安を下回っているため、短期的な支払い能力にわずかな改善余地があります。しかし、効率性スコアは0/3と低く、営業利益率、ROE(自己資本利益率)、四半期の売上高成長率がいずれも基準を満たしていないことから、資本活用効率と事業成長に関する課題が明確に示されています。

【収益性】

中越パルプ工業の収益性は、過去12か月で営業利益率5.34%(2025年3月期の実績は4.36%)、ROE -0.44%(同3.13%)、ROA 1.59%と、いずれも一般的な目安(ROE 10%以上、ROA 5%以上、営業利益率5%以上)を下回る水準にあります。特にROEはマイナスであり、株主が出資した資金を効率的に活用できていない状況を示唆しています。直近の中間期決算では、営業利益率2.55%、ROE1.72%、ROA0.83%とさらに悪化しており、収益力の回復が急務です。

【財務健全性】

自己資本比率は46.7%(直近中間期末は49.3%)と、目安とされる40%以上を維持しており、比較的安定した財務基盤を有しています。流動比率は1.03倍(直近四半期末)であり、一般的に健全とされる150%(1.5倍)をやや下回っていますが、緊急性の高い懸念ではありません。有利子負債は34,273百万円、現金及び現金同等物は4,076百万円であり、ネット負債D/Eレシオ(概算)も約52.8%と過度なレバレッジではないと判断されます。

【キャッシュフロー】

過去12か月の営業キャッシュフロー(営業CF)は7,600百万円のプラス、フリーキャッシュフロー(FCF)も1,910百万円のプラスとなっており、本業で現金を創出する力はあります。しかし、直近の中間期では営業CFが422百万円(前年同期比▲86.7%)と大幅に減少し、FCFも△1,672百万円とマイナスに転じており、キャッシュ創出力の一時的な弱化が見られます。これは主に棚卸資産の増加(1,740百万円)が要因です。

【利益の質】

過去12か月の営業CF/純利益比率は10.87と非常に高い値を示していますが、これは純利益が699百万円と低水準であったため、見かけ上高くなっています。より本質的なキャッシュ創出力を見る際には、この乖離に注意が必要です。直近の中間期では、営業CF/中間純利益比率が約0.44と目安とされる1.0倍を大きく下回っており、本業の稼ぎが純利益に直結しにくい状況、あるいは一時的な要因でキャッシュフローが悪化したことを示しています。

【四半期進捗】

2026年3月期通期予想に対する中間期(第2四半期)の進捗率は以下の通りです。

  • 売上高:48.2%
  • 営業利益:36.6%
  • 純利益:36.4%

中間の利益進捗率が通期予想の50%を大きく下回っており、下半期において販売数量や価格の回復、コスト削減などによる大幅な利益改善がなければ、通期目標の達成は困難となる可能性があります。

【バリュエーション】

中越パルプ工業の株価は2,020.0円です。PER(株価収益率)は会社予想ベースで9.39倍であり、業界平均の9.5倍とほぼ同水準です。PERは株価が利益の何年分かを示す指標で、一般的に業界平均より低いほど割安とされます。一方で、PBR(株価純資産倍率)は0.44倍であり、業界平均の0.5倍を下回っています。PBRは株価が純資産の何倍かを示す指標で、1倍未満は企業の解散価値を下回るという意味で割安と判断されることが多いです。この銘柄はPBRが1倍を大きく割り込んでおり、市場からは企業の保有する純資産価値が十分に評価されていない状態と言えます。
提供データによる業種平均PER基準の目標株価は542円と低く算出されていますが、これは過去12か月の実績EPS(57.01円)を基に計算されたためであり、会社予想EPS(215.08円)と業界平均PER(9.5倍)で計算すると約2,043円となります。業種平均PBR基準の目標株価は、BPS(1株あたり純資産)4,628.89円と業界平均PBR0.5倍から約2,314円となります。これらのデータから、PBRを基準とすれば割安感がある一方、PER基準では直近の業績見通しからすると現在の株価は妥当なレンジにあります。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 短期のトレンド方向は明確なシグナルなし
RSI 中立 46.8% 買われすぎでも売られすぎでもない中立圏
移動平均乖離率 上方乖離/下方乖離/中立 短期は中立、中長期は上方乖離

テクニカル指標を見ると、MACDは中立、RSIは46.8%と中立圏にあり、短期的な過熱感や売られすぎ感はありません。移動平均線乖離率は、5日線+0.19%、25日線-0.12%と短期では方向感が定まっていませんが、75日線+7.32%、200日線+17.34%と中長期の移動平均線を大きく上回って推移しており、中長期的な上昇トレンドを示唆しています。

【テクニカル】

現在の株価2,020.0円は、52週高値2,087円に近く、52週レンジ内では92.4%の位置にあります。年初来安値1,200円からは大きく上昇しています。5日移動平均線(2,016.20円)と25日移動平均線(2,022.40円)とはほぼ同水準で推移しており、短期的な揉み合いの様相を呈しています。しかし、75日移動平均線(1,882.17円)や200日移動平均線(1,721.55円)を大きく上回っていることから、中長期的には上昇基調にあると判断できます。

【市場比較】

中越パルプ工業の株価パフォーマンスを市場指数と比較すると、過去1年間では日経平均株価を2.92%ポイント、TOPIXを上回るパフォーマンスを見せています。しかし、直近1ヶ月では日経平均を5.56%ポイント、TOPIXを4.68%ポイント下回っており、短期的な調整局面にあることが分かります。中長期的な上昇トレンドは継続しているものの、直近は市場全体の上昇ペースに追いつけていない状況です。

【注意事項】

⚠️ 信用倍率が21.15倍と高水準です。これは将来の売り圧力に繋がりかねないため、注意が必要です。また、PBRが1倍を大きく下回る一方で、ROEが低い状況は、株価上昇が見込みにくい「バリュートラップ」の可能性も考慮する必要があります。

【定量リスク】

ベータ値は0.40であり、市場全体(日経平均やTOPIX)の変動と比較して、中越パルプ工業の株価は比較的穏やかに推移する傾向があります。年間のボラティリティは28.88%と、市場全体を考慮するとやや高めです。仮に100万円投資した場合、年間で±28.88万円程度の変動が想定されます。過去のデータでは最大41.65%の下落(最大ドローダウン)を経験しており、今後も同様の下落リスクは存在します。シャープレシオは0.09と低く、リスクを取った割にはリターンが低い状況です。

【事業リスク】

  • 国内市場の構造的な縮小と競争激化: デジタル化の進展により、新聞用紙や印刷用紙などの主要需要が減少傾向にあります。加えて、アジアからの安価な紙製品の流入もあり、価格競争の激化が避けられません。
  • 原材料・燃料価格の変動: 海外パルプ市況の変動や原油価格の高騰は、主要な原材料費および燃料費に直結し、収益を圧迫する要因となります。発電事業においても燃料価格の高騰が採算悪化に繋がるリスクがあります。
  • 為替変動リスク: 海外からの原材料調達や輸出取引があるため、為替レートの変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。特に円安は輸入コスト増に繋がり、収益を圧下する可能性があります。

7. 市場センチメント

信用買残が200,900株に対して信用売残が9,500株と、信用買残が信用売残を大きく上回る信用倍率21.15倍となっています。これは、将来の株価上昇に期待して買っている投資家が多いことを示唆する一方で、売り残が少ないため、将来的な株価下落局面での売り圧力が蓄積している可能性があり、需給面では注意が必要です。主要株主は王子ホールディングスが20.61%を占める筆頭株主であり、経営の安定性に寄与していると考えられます。その他、自社(自己株口)、日本紙パルプ商事などが上位株主に名を連ねています。

8. 株主還元

中越パルプ工業は、2026年3月期に年間90円の配当(中間40円、期末予想50円)を予想しており、現在の株価に対する配当利回りは4.46%と魅力的な水準です。予想EPS(1株当たり利益)215.08円に対する配当性向は、90円 ÷ 215.08円 ≒ 41.8% となります。これは一般的な配当性向の範囲(30-50%)に収まっており、適切な株主還元を行っていると言えます。ただし、2025年3月期の配当性向は51.2%と、やや高めでした。直近の決算短信において、該当期に自社株買いの実施は記載されていません。

SWOT分析

強み

  • 王子ホールディングスとの資本提携による安定した経営基盤と事業シナジー。
  • 発電事業など多角化を通じた収益源の確保と事業ポートフォリオの分散。

弱み

  • 主力である紙・パルプ製造事業における構造的な収益性低迷。
  • 国内の紙需要減少トレンドと海外市場での競争激化に直面。

機会

  • 脱炭素化の流れにおけるバイオマス発電事業のさらなる拡大余地。
  • セルロースナノファイバーなど環境配慮型新素材開発・事業化による新たな成長領域の開拓。

脅威

  • 海外パルプ市況や燃料価格の急激な変動によるコスト上昇圧力。
  • デジタル化の進展による紙需要のさらなる減少と代替製品の台頭。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定配当を重視する高配当株投資家: PBRが1倍を割れる割安感と4%を超える配当利回りに魅力を感じる投資家。
  • バリュー株としての回復を期待する長期投資家: 現在の低いバリュエーション(低PBR)が将来的に修正され、株価が上昇する可能性に期待する投資家。
  • 環境・新素材分野への投資関心が高い投資家: バイオマス発電やセルロースナノファイバーといった環境技術への取り組みが進展することに価値を見出す投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 収益改善の具体策と進捗: 中間期決算で示された厳しい業績と低い利益進捗率に対し、下半期にどのような収益改善策が実行され、それが具体的にどの程度効果を発揮するかを注視する必要があります。
  • バリュートラップの可能性: PBRが低い一方で収益性が低迷している場合、株価は割安に放置され続ける「バリュートラップ」に陥る可能性があります。単にPBRが低いだけでなく、収益性改善への道筋が明確であるかを確認することが重要です。
  • 信用買残の解消時期: 高水準にある信用買残は、将来的に株価上昇が期待通りに進まなかった場合に、手仕舞い売りによる株価下落圧力となるリスクを抱えています。

今後ウォッチすべき指標

  • 紙・パルプ事業の販売数量と製品価格の動向: 国内向け及び輸出における需要変動と、それに伴う製品価格の回復状況。
  • 発電事業の収益性変化: 燃料価格変動への対応力と、さらなる規模拡大や効率化による利益貢献度。
  • 営業キャッシュフローの回復: 直近中間期で大幅に減少した営業キャッシュフローが、通期に向けて回復基調に戻るか。

成長性: C (課題あり)

中越パルプ工業の成長性は課題を抱えています。2026年3月期の通期売上高予想110,000百万円は、直近の2025年3月期実績111,009百万円から微減となる見込みです。過去12か月の四半期売上成長率も-9.7%とマイナスであり、デジタル化の進展による国内紙需要の構造的な減少という厳しい事業環境に直面しています。新規事業や高付加価値製品での成長が期待されますが、現時点での顕著な成長は見られません。

収益性: D (懸念)

収益性については懸念があります。過去12か月のROEは-0.44%であり、株主資本を効率的に活用して利益を創出できていない状況を示しています。営業利益率も5.34%と、良好とされる10%以上の水準を大きく下回っています。直近の中間期決算においても、営業利益率は2.55%とさらに低迷しており、主力の紙・パルプ製造事業の不振が全体の収益性を圧迫している状態です。抜本的な収益構造改革が求められる状況と言えます。

財務健全性: A (良好)

財務健全性は良好です。自己資本比率は46.7%(直近中間期末は49.3%)と、安定水準である40%以上をクリアしています。流動比率は1.03倍と目安の150%を下回っていますが、債務の過度な集中は見られず、有利子負債対自己資本比率も59.91%と比較的低く抑えられています。Piotroski F-Scoreも5/9点と「良好」と評価されており、財務基盤の安定性が確保されていると言えます。

バリュエーション: A (良好)

株価バリュエーションは良好と評価できます。PER(会社予想)は9.39倍であり、業界平均の9.5倍とほぼ同水準です。しかし、PBR(実績)は0.44倍と、業界平均の0.5倍を下回り、さらには「解散価値」とされる1倍を大きく割り込んでいます。これは純資産価値に対して株価が低く評価されており、割安感があることを示唆しています。現在の株価水準は、同業他社と比較しても割安感が強いと判断できます。


企業情報

銘柄コード 3877
企業名 中越パルプ工業
URL http://www.chuetsu-pulp.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – パルプ・紙

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,020円
EPS(1株利益) 215.08円
年間配当 4.46円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 10.8倍 2,323円 3.0%
標準 0.0% 9.4倍 2,020円 0.2%
悲観 1.0% 8.0倍 1,804円 -2.0%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 2,020円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,015円 △ 99%割高
10% 1,268円 △ 59%割高
5% 1,600円 △ 26%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.18)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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