企業の一言説明
ひとまいるは、酒類販売店「なんでも酒やカクヤス」を展開し、飲食店や個人向けに酒類・食品を時間帯配達・ルート配達・店頭販売で提供する、首都圏を地盤とする食品流通業界の企業です。
投資判断のための3つのキーポイント
- 高い配当利回りと成長戦略: 累進配当を維持しつつ、コロナ禍で大きく成長した時間帯配達事業を軸に、札幌エリアへの新規進出など事業拡大による再成長を目指しています。
- 収益構造の改善と効率性向上: 新規事業の拡大と既存事業での効率化が進み、特に店頭販売事業で大幅な利益改善が見られますが、配送コスト増に伴う営業利益率の低さが課題です。
- 財務健全性と信用取引リスクへの注意:自己資本比率や流動比率が低く財務基盤に脆弱性が見られる一方、信用倍率が極めて高水準にあり、将来的な売り圧力となる可能性に注意が必要です。また、中間決算が通期予想と同額という異例の事態にあり、今後の業績修正リスクが高いと推測されます。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | A | 良好な成長トレンド |
| 収益性 | B | 利益率に改善余地 |
| 財務健全性 | D | 改善が必要 |
| バリュエーション | C | やや割高水準 |
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 443.0円 | – |
| PER | 25.49倍 | 業界平均21.1倍 |
| PBR | 2.92倍 | 業界平均1.3倍 |
| 配当利回り | 4.51% | – |
| ROE | 12.84% | – |
1. 企業概要
ひとまいる(旧カクヤスグループ、2025年7月にHitoMile Co., Ltd.に社名変更)は、主に酒類や食品の卸・小売販売を手掛ける企業です。主力事業は「なんでも酒やカクヤス」ブランドによる飲食店や個人宅への時間帯配達およびルート配達、そして店頭販売です。東京23区に集中して店舗網を構築し、迅速な配送と豊富な品揃えで競合他社との差別化を図っています。特に即時配送可能な強みは、個人消費者の利便性向上や飲食店からの緊急需要に応える上で重要な独自性となっています。
2. 業界ポジション
ひとまいるは、食品流通業界、特に酒類・飲料品の宅配・販売セグメントに位置します。東京23区という高密度市場における時間帯配達サービスは、独自の配送網と店舗網に支えられており、新規参入障壁として機能しています。現在の市場シェアに関する具体的なデータはありませんが、特定地域での集中出店と配達網は競争優位性を構築しています。競合他社には、大手スーパーマーケットやコンビニエンスストアの酒類販売部門、他の酒類専門量販店、Amazon Freshなどのオンライン食品・酒類スーパーなどが挙げられます。財務指標では、PER 25.49倍は業界平均21.1倍と比較してやや割高、PBR 2.92倍は業界平均1.3倍を大きく上回っており、純資産に対して市場が高い評価を与えているか、あるいは資産効率が低いか、あるいは財務健全性に課題がある中で評価が伸び悩んでいるかといった可能性が示唆されます。
3. 経営戦略
ひとまいるの中期経営計画の核心は、既存事業の強化と新規事業領域の拡大による成長です。特に、時間帯配達事業を主軸とし、その配送ネットワークやノウハウを活かした事業展開が特徴です。直近では、2026年3月より札幌エリアへ飲食店向け配送サービスを新規進出する計画を発表しており、これにより事業の地理的拡大と売上高の増加を目指しています。また、2024年10月1日付で1株を3株へ分割する株式分割を実施し、投資単位を引き下げて個人投資家が投資しやすい環境を整備しています。中間決算説明資料からは、時間帯配達事業とルート配達事業が売上高を伸ばす一方で、営業利益は減少している点が目立ちます。これは、人件費や物流コストの増加が影響していると推測されます。ただし、店頭販売事業は売上高が減少しているものの、営業利益は大幅に改善しており、採算性が向上していることが伺えます。
今後のイベントとしては、2026年3月30日に支払配当の権利落ち日(Ex-Dividend Date)が控えており、配当を期待する投資家にとっては重要な日程です。また、札幌エリアへの新規進出、およびそれによってもたらされる業績への影響が注目されます。
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 6/9 | A: 良好(全体的に健全だが一部改善余地あり) |
| 収益性 | 3/3 | 良好: すべての項目でプラスの収益性を示しています。 |
| 財務健全性 | 1/3 | やや懸念: 流動性、デット・エクイティ比率に課題が見られます。 |
| 効率性 | 2/3 | 良好: ROEが高く、売上成長もしていますが、営業利益率に改善余地があります。 |
解説:
本企業のPiotroski F-Scoreは6/9点と「良好」な水準です。収益性に関しては、純利益、営業キャッシュフローがプラスであり、ROAも正であるため、3点満点を獲得しています。これは、本業でしっかりと利益を生み出していることを示唆します。しかし、財務健全性では、流動比率が1.5倍を下回り、デット・エクイティ比率が1.0倍を上回っているため、1点のみの評価となっています。これは、短期的な支払い能力や負債過多の状況に懸念があることを示しています。効率性に関しては、ROEが10%を上回り、四半期売上成長率もプラスですが、営業利益率が10%未満であるため、2点に留まっています。全体としては良好な財務品質を示しながらも、特に負債の過多と流動性、そして利益率の低さが課題となっています。
【収益性】営業利益率、ROE、ROA
- 営業利益率(過去12か月): 0.81%
- 過去5年間の推移を見ると、新型コロナウイルス感染症流行期間中は赤字でしたが、2023年3月期に0.7%、2024年3月期には2.22%と改善しました。しかし2025年3月期は1.32%に低下し、過去12か月では0.81%と再び低水準となっています。これは、人件費や物流コストの増加など、販売費及び一般管理費が増加傾向にあることが背景にあると考えられ、収益構造の改善が喫緊の課題であることを示しています。
- ROE(過去12か月): 14.58% (ベンチマーク: 10%、評価: 良好)
- ROEは2023年3月期に23.78%、2024年3月期に46.03%と高い水準を記録しましたが、2025年3月期は12.84%に低下し、過去12か月は14.58%となっています。ベンチマークの10%は上回っており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出している点は評価できます。ただし、自己資本比率が低い中でROEが高止まりしている可能性も考慮が必要です。
- ROA(過去12か月): 3.39% (ベンチマーク: 5%、評価: 普通)
- ROAは2023年3月期に0.53%(計算値)、2024年3月期に1.49%(計算値)、2025年3月期に0.56%(計算値)と推移し、過去12か月は3.39%となっています。ベンチマークの5%には届いておらず、総資産の活用効率には改善の余地があると言えます。低い営業利益率と相まって、事業全体の収益力の弱さを示唆しています。
【財務健全性】自己資本比率、流動比率
- 自己資本比率(実績): (連)11.7%
- 過去の推移を見ると、2021年3月期11.9%、2022年3月期8.08%、2023年3月期8.51%、2024年3月期12.12%、2025年3月期11.73%と、一貫して非常に低い水準で推移しています。これは、借入金など負債に大きく依存している財務構造を示しており、財務基盤の脆弱性が懸念されます。緊急時の資金調達能力や景気変動への耐性に課題がある可能性が高いです。
- 流動比率(直近四半期): 0.85
- 流動比率は、短期的な支払い能力を示す指標であり、一般的に200%(2.0倍)以上が安全とされます。本企業の0.85は100%を下回っており、短期的な負債を短期的な資産で賄いきれない可能性を示唆しています。これは流動性リスクが高い状態であり、F-Scoreの財務健全性スコアが低い一因でもあります。
【キャッシュフロー】営業CF、FCFの状況
- 営業キャッシュフロー(過去12か月): 3,000百万円
- フリーキャッシュフロー(過去12か月): 74.5百万円
- 営業キャッシュフローはプラスであり、本業でしっかりと資金を生み出している点は評価できます。しかし、フリーキャッシュフローは営業キャッシュフローに対して極めて少ない74.5百万円に留まっており、設備投資や新規事業への投資額が大きい、あるいは運転資金需要が高いことが示唆されます。これにより、余剰資金が少なく、株主還元や財務体質の強化に回せる資金が限られている可能性があります。この少なさから、資金繰りがタイトな状況である可能性も推唆されます。
【利益の質】営業CF/純利益比率
- 営業CF/純利益比率: 4.79
- 利益の質評価: S (優良(キャッシュフローが利益を大幅に上回る))
- この比率が1.0を大きく上回ることは、計上されている純利益が、実際に現金として入ってきている営業キャッシュフローによって十分に裏付けられていることを意味します。本企業の4.79という高い比率は、会計上の利益操作のリスクが低い、利益の質が極めて高い状態を示しており、非常に健全な利益計上をしている証拠です。
【四半期進捗】通期予想に対する進捗率、直近3四半期の売上高・営業利益の推移
通期予想と中間実績の乖離に関する重大な懸念点:
2026年3月期第2四半期(中間期)決算短信によると、中間実績(2025年4月1日~2025年9月30日)の売上高142,000百万円、営業利益1,440百万円、純利益500百万円が、それぞれ通期予想(2025年4月1日~2026年3月31日)と完全に同額となっています。提供データに「進捗率:実績と同額(売上・営業利益・純利益ともに100%)」とありますが、これは中間期(半年間)の実績が通期(年間)の予想と全く同じ、という極めて異例かつ非現実的な状況を示しています。
通常、中間期の実績は通期予想の概ね50%程度の水準となるのが一般的であり、中間期の時点で通期予想を100%達成しているということは、以下のいずれかの可能性が高いと推測されます。
- 通期予想の大幅な未達リスク: 通期予想が元々非常に低く設定されており、中間期で既にそれを達成したように見せかけているか、または中間決算発表時点で通期予想が全く見通せていない。しかしこれが事実であれば、通期で中間実績から追加の売上や利益が全く発生しないと予想されていることになり、これは通常の事業活動では考えられません。
- 情報開示の特殊性または遅延: 通期予想の修正が遅れており、本来下方修正されるべき通期予想が、中間発表時点の古い(かつ非現実的な)予想値のまま開示されている。
- データ入力の誤り: 提供されたデータに誤りがある可能性も否定できませんが、ここでは提供データを前提とします。
この状況は、現在の通期予想が実態を伴わない可能性が極めて高く、今後の決算発表で通期予想の大幅な下方修正が行われるリスクが非常に高いことを示唆しています。投資家は、発表されている通期予想を鵜呑みにせず、この異例な状況を厳しく評価し、今後の企業からの情報開示に最大限の注意を払う必要があります。
セグメント別業績(中間累計):
- 時間帯配達事業: 売上 41,032百万円(前年比+6.4%)と増加したものの、営業利益は658百万円(前年比△40.2%)と大幅に減少。配送コスト増や人件費増が影響している可能性があります。
- ルート配達事業: 売上 20,131百万円(前年比+7.0%)と増加しましたが、営業利益は247百万円(前年比△33.3%)とこちらも大幅減益。
- 店頭販売事業: 売上 7,092百万円(前年比-8.6%)と減少しましたが、営業利益は472百万円(前年比+1,134.2%)と驚異的な改善。不採算店舗の整理や効率化が奏功した可能性があります。
- その他: 売上 964百万円(前年比+20.2%)、営業利益 164百万円(前年比+78.4%)といずれも好調です。
全体として、主力事業の売上は堅調に推移しているものの、配送コストの影響で利益率が圧迫されている現状が見て取れます。一方で、店頭販売事業の採算改善はポジティブな要素です。
【バリュエーション】PER/PBR(業界平均比較、割安/適正/割高の判定)
- PER(会社予想): 25.49倍
- 業界平均PER 21.1倍と比較すると、ひとまいるのPERはやや高めです。これは、予想利益に対して現在の株価が割高に評価されている可能性を示唆します。ただし、成長期待や配当利回りの高さが織り込まれている可能性もあります。
- PBR(実績): 2.92倍
- 業界平均PBR 1.3倍と比較すると、ひとまいるのPBRは大幅に割高です。純資産価値の2倍以上で取引されており、解散価値から見ると割高感があります。低い自己資本比率の企業でPBRが高い場合、企業のブランド力や将来性への期待を示すこともありますが、現在の財務健全性を考慮すると、割高感が強調されます。
- 目標株価(業種平均基準):
- 業種平均PER基準: 450円 (現在の株価443.0円に対し、やや上回る程度)
- 業種平均PBR基準: 197円 (現在の株価443.0円に対し、大幅に下回る)
- 総合判定:
- PER/PBRの両面から見ると、同業他社と比較して割高感が強いと判断できます。特にPBRの乖離が大きく、財務基盤の弱さとのバランスを考えると、バリュエーションは「やや割高」と評価されます。高い配当利回りや成長期待が織り込まれている可能性がありますが、慎重な検討が求められます。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | MACD値:2.47 / シグナル値:3.44 | MACDラインがシグナルラインを下回っており、短期的な下降トレンドを示唆するが、乖離が小さく中立に近い状態。 |
| RSI | 中立 | 38.7% | RSIが40%を下回る水準であり、買われすぎでも売られすぎでもない中立ゾーンにありますが、やや売りの勢力が優勢である可能性も示唆します。通常30以下で売られすぎ、70以上で買われすぎと判断されます。 |
| 5日線乖離率 | – | -0.09% | 株価が5日移動平均線をわずかに下回っており、直近のモメンタムはやや弱いことを示します。 |
| 25日線乖離率 | – | +0.25% | 株価が25日移動平均線をわずかに上回っており、短期トレンドは横ばいから微強気を示します。 |
| 75日線乖離率 | – | +1.97% | 株価が75日移動平均線を上回っており、中期トレンドは上昇基調にあることを示唆します。 |
| 200日線乖離率 | – | -4.94% | 株価が200日移動平均線を下回っており、長期トレンドは下降傾向にあることを示します。 |
解説: MACDはシグナルラインを下回っており短期的な弱気を示唆しますが、RSIは中立圏にあり、売買どちらかに傾倒しているわけではありません。移動平均線との関係では、5日、25日、75日線はほぼ横ばいまたは上回っているものの、200日移動平均線は大きく下回っており、長期的な下降トレンドの中での短期的な反発または調整局面と解釈できます。
【テクニカル】52週高値・安値との位置、移動平均線との関係
- 52週高値・安値との位置:
- 年初来高値: 552円、年初来安値: 404円
- 現在の株価443.00円は、52週レンジの下から26.4%の位置にあります。これは、年初来の安値圏に近い水準で推移しており、過去1年間で株価が大きく下落した後の回復が鈍いことを示唆しています。
- 移動平均線との関係:
- 現在株価443.00円は、5日移動平均線(443.40円)をわずかに下回っています。
- 25日移動平均線(441.88円)と75日移動平均線(434.43円)は上回っており、短期・中期的な支持線となっています。
- しかし、200日移動平均線(465.58円)は大きく下回っており、長期的な上値抵抗線として機能している可能性が高いです。長期トレンドでは依然として下降圧力が強い状況と言えます。
【市場比較】日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス
- 日経平均比:
- 過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年ともに日経平均を大きく下回るパフォーマンスとなっています。特に6ヶ月、1年では30%以上のポイント差でアンダーパフォームしており、市場全体の成長の波に乗れていない状況が伺えます。
- TOPIX比:
- 過去1ヶ月もTOPIXを1.38%ポイント下回っており、相対的に市場平均に劣後しています。
これらの分析から、ひとまいるの株価は、市場全体の上昇トレンドの中で相対的に下落基調にあり、特に長期的な視点ではパフォーマンスが低迷していることが明確です。
【注意事項】
⚠️ 信用倍率が121.14倍と極めて高水準です。将来的に信用買い残の解消による売り圧力が発生する可能性に注意が必要です。
【定量リスク】ベータ値、ボラティリティ、最大ドローダウン
- ベータ値(5Y Monthly): 0.01
- ベータ値が0.01と非常に低いことは、市場全体の動きに対して株価の変動が極めて小さいことを示唆します。これは、市場全体のリスクが変動しても、本銘柄の株価はほとんど影響を受けない性格を持っていることを意味します。値動きの穏やかさを好む投資家には魅力的かもしれませんが、市場全体が上昇する際のリターンも限定的になる可能性があります。
- 年間ボラティリティ: 29.52%
- 株価の年間変動率が約29.52%と示されています。仮に100万円投資した場合、年間で±29.5万円程度の変動が想定されることを意味します。この数値は、比較的高いボラティリティを示しており、短期的な価格変動リスクが大きい銘柄であると言えます。
- シャープレシオ: 0.98
- シャープレシオは、リスク1単位あたりどれだけのリターンが得られたかを示す指標です。0.98という値は、リスクに見合うだけのリターンが十分に得られているとは言えない、一般的な水準よりもやや低い評価となります。一般的に1.0以上が良好とされます。
- 最大ドローダウン: -20.16%
- 過去のある期間において、株価が最も下落した際のパーセンテージが-20.16%です。これは、仮に100万円投資した場合、一時的に80万円弱まで資産が減少するリスクがあったことを意味します。この程度の下落は今後も起こりうる可能性があり、投資家は覚悟しておく必要があります。
- 年間平均リターン: 29.31% (過去データに基づく)
- 過去の年間平均リターンは高い数値を示していますが、これは特定の期間のパフォーマンスに依存するため、将来のリターンを保証するものではありません。ボラティリティと合わせて評価する必要があります。
【事業リスク】主要なリスク要因
- 配送コスト増と収益性悪化リスク: 主要事業である時間帯配達・ルート配達事業において、売上は増加しているものの、営業利益が大幅に減少しています。これは、人件費高騰や燃料価格変動などによる配送コスト増が圧力となっている可能性が高く、今後も収益性を圧迫する可能性があります。
- 競争激化と市場シェア維持の難しさ: 酒類・食品の配送市場は、大手ECサイトやスーパーマーケットのオンラインストアなど、競合が増加傾向にあります。特に東京23区という高密度市場では、価格競争やサービス競争が激化しやすく、市場シェア維持や新規顧客獲得が困難になるリスクがあります。
- 財務基盤の脆弱性: 自己資本比率が低く、流動比率も1.0を下回るなど、財務健全性に課題が見られます。大規模な設備投資や予期せぬ経済変動があった場合、財務状況がさらに悪化し、経営に影響を及ぼす可能性があります。特に、フリーキャッシュフローの少なさも財務の柔軟性を制限します。
- 不透明な業績見通し: 中間決算短信で中間実績と通期予想が同額という極めて異例の状況にあります。これは、通期予想が非常に不確実であるか、あるいは既に達成不可能となっている可能性が強く、今後の大幅な業績下方修正リスクが非常に高いです。
7. 市場センチメント
信用買残が436,100株に対し、信用売残が3,600株と極めて少なく、信用倍率は121.14倍と非常に高水準です。これは、多くの投資家が株価上昇を期待して信用買いを行っていることを示唆しますが、同時に将来的な売り圧力となるリスクを抱えています。株価が下落に転じた場合、信用買い残の投げ売りが連鎖的に発生し、株価のさらなる下落を招く可能性があります。
主要株主は、(株)SKYグループホールディングスが46.89%を保有する筆頭株主であり、伊藤忠食品、三菱食品がそれぞれ7.74%を保有しています。これにカクヤス従業員持株会が続き、上位株主が大株主として安定的に株式を保有している構造です。この株主構成は安定しており、経営に対する大きな変動要因は少ないと考えられます。ただし、機関投資家の保有割合は4.09%と低く、個人投資家や特定株主中心の市場構築となっています。
8. 株主還元
- 配当利回り(会社予想): 4.51%
- 現在の株価に対して4.51%という配当利回りは、市場平均と比較して非常に高い水準であり、インカムゲインを重視する投資家にとっては魅力的です。ニュースにもある通り、累進配当を維持する方針である可能性があります。
- 1株配当(会社予想): 20.00円
- 2024年10月の株式分割(1株→3株)後の予想配当金です。
- 配当性向: 93.63% (Yahoo Japanでは106.4%)
- 配当性向93.63%は、利益のほとんど、あるいはそれ以上を配当に回していることを示します。Yahoo Japanのデータでは106.4%と、利益を上回る配当を行っていることになります。これは、高い配当を維持しようとする企業努力の現れである一方で、本業の儲けだけで配当を賄いきれていない可能性を示唆し、財務健全性の観点からは持続可能性に疑問符がつく水準です。特に2025年3月期はEPSが18.79円に対し、年間配当20円を予定しており、利益を上回る配当となっています。利益成長が伴わない限り、この高い配当水準を維持することは困難になる可能性があります。
- 自社株買いの状況: 決算短信に記載なし
SWOT分析
強み
- 首都圏(特に東京23区)に特化した強固なラストワンマイル配送ネットワークと高い即時配達能力。
- 「なんでも酒やカクヤス」のブランド認知度と、飲食店・個人顧客基盤。
- 過去12か月のROEが14.58%とベンチマークを上回る株主資本活用効率。
- 営業CF/純利益比率が4.79と非常に高く、利益の質が優良。
弱み
- 自己資本比率11.7%、流動比率0.85と、著しく低い財務健全性。
- 営業利益率が0.81%と低く、人件費や物流コスト増による収益圧迫が顕著。
- 主力事業(時間帯配達・ルート配達)の売上増があるも、営業利益が前年比で大幅減益。
- 信用倍率が121倍と高水準で、将来的な需給悪化リスクを抱える。
機会
- 酒類・食品のEC需要拡大と宅食サービスの普及。
- 札幌エリアへの新規進出による事業地域の拡大と売上高増加の可能性。
- 店頭販売事業での採算改善(営業利益+1,134.2%)を他事業にも展開する効率化の契機。
- 累進配当維持の方針による長期的な株主からの評価向上。
脅威
- 宅配市場における大手企業(Amazon等)や競合他社との激しい価格競争・サービス競争。
- 人件費、物流コスト、原材料費の高騰が続くことによる収益性の一層の悪化。
- 飲酒に関する法規制や社会情勢の変化。
- 中間実績と通期予想の乖離が示す不透明な業績見通しと、これに伴う大幅な下方修正リスク。
この銘柄が向いている投資家
- 高配当利回りを求めるインカムゲイン投資家: 4.51%という高い配当利回りは魅力的ですが、配当性向の高さと財務健全性の低さを理解し、リスクを許容できる投資家向けです。
- 企業の成長戦略と事業拡大に期待する投資家: 札幌エリアへの新規進出など、事業拡大のニュースに期待を寄せる投資家。ただし、その成長が収益性に結びつくか慎重に見極める必要があります。
この銘柄を検討する際の注意点
- 財務健全性の低さ: 自己資本比率や流動比率が極めて低い状況は、予期せぬ事態への耐性が弱いことを意味します。常に企業の財務状況をモニタリングし続ける必要があります。
- 中間実績と通期予想の異常な乖離: 中間決算で発表された中間実績と通期予想が完全に同額であるという異例の点は、通期業績予想が非現実的である可能性が高く、今後の大幅な下方修正リスクが非常に大きいと認識すべきです。この点について、企業からの追加説明や修正発表を注意深く確認する必要があります。
- 信用倍率の高さ: 信用買い残が大量に積み上がっているため、ネガティブな情報が出た場合や市場全体の地合いが悪化した場合、信用評価損に耐えきれなくなった投資家による投げ売りが株価を大きく押し下げる可能性があります。
今後ウォッチすべき指標
- 次回の決算発表での業績予想修正: 今回の異常な通期進捗状況がどのように説明され、業績予想が修正されるか。特に、営業利益率の改善傾向が最も重要な指標となります。
- 自己資本比率、流動比率の推移: 財務健全性の改善に向けた具体的な取り組みとその成果。最低でも自己資本比率20%以上、流動比率100%以上を目指せるか。
- 各セグメントの利益率動向: 特に時間帯配達・ルート配達事業における配送コスト抑制策や収益改善策の効果、および店頭販売事業の好調が継続するかどうか。
成長性: A (良好な成長トレンド)
- 評価基準: S(15%以上) / A(10-15%) / B(5-10%) / C(0-5%) / D(マイナス)
- 根拠: 過去12か月の売上高は137,776百万円で、前年比の四半期売上成長率が5.90%とC評価の基準(0-5%)をわずかに超えていますが、過去の年次売上高の推移を見ると、2022年3月期の85,514百万円から2025年3月期には134,514百万円へと大幅に伸長しており、これは2023年3月期に34.4%増、2024年3月期に12.6%増、2025年3月期に4.0%増と高い成長率を維持してきました。直近の中間期実績も前年比5.6%増と増加傾向にあり、札幌エリアへの新規進出計画も考慮すると、今後も売上成長が期待できるため「A」評価としました。ただし、売上高の成長が利益に繋がりにくい構造である点は慎重に考慮すべきです。
収益性: B (利益率に改善余地)
- 評価基準: S(ROE15%以上かつ営業利益率15%以上) / A(ROE10-15%または営業利益率10-15%) / B(ROE8-10%または営業利益率5-10%) / C(ROE5-8%または営業利益率3-5%) / D(ROE5%未満かつ営業利益率3%未満)
- 根拠: 過去12か月のROEは14.58%と良好な水準で「A」評価の範囲に該当しますが、営業利益率が0.81%と「D」評価の基準(3%未満)に留まっています。S評価の基準である「ROE15%以上かつ営業利益率15%以上」には遠く、A評価の「ROE10-15%または営業利益率10-15%」の条件を営業利益率が満たしていません。ROEは高いものの、負債比率の高さによるレバレッジ効果が寄与している可能性も考慮すると、本業の儲けを示す営業利益率の低さが全体の収益性を押し下げています。このため、総合的には「B」評価としました。
財務健全性: D (改善が必要)
- 評価基準: S(自己資本比率60%以上・流動比率200%以上・F-Score7点以上) / A(自己資本比率40-60%・流動比率150%以上・F-Score5-6点) / B(自己資本比率30-40%・F-Score3-4点) / C(自己資本比率20-30%・F-Score1-2点) / D(自己資本比率20%未満・F-Score0点)
- 根拠: 自己資本比率が11.7%と20%未満であり、流動比率も0.85と100%未満であり、F-Scoreの財務健全性スコアは1/3点に留まっています。これらの指標はD評価の基準(自己資本比率20%未満・F-Score0点)に準ずる水準であり、財務基盤が非常に脆弱であることを示しています。F-Scoreの総合評価は6/9点で「良好(A)」ですが、これは収益性や効率性で高い評価を得ているためであり、財務健全性単体では明確な課題を抱えています。そのため、「D」評価としました。負債への依存度が高く、短期的な資金繰りにも懸念があります。
バリュエーション: C (やや割高水準)
- 評価基準: S(PER/PBR業界平均の70%以下) / A(80-90%) / B(90-110%) / C(110-130%) / D(130%以上)
- 根拠: PER 25.49倍は業界平均21.1倍の約121%に相当し、PBR 2.92倍は業界平均1.3倍の約225%に相当します。PERは約121%でC評価の範囲(110-130%)に入ります。PBRはD評価の範囲(130%以上)を大きく上回っています。両指標を総合的に考慮すると、市場平均や同業他社と比較して現在の株価は純資産価値や利益水準に対して割高であると判断されます。特に自己資本比率の低さの中でPBRが非常に高いことは、バリュエーション上のリスクを強調します。そのため、全体として「C」評価としました。
企業情報
| 銘柄コード | 7686 |
| 企業名 | ひとまいる |
| URL | https://www.hitomile.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 小売 – 小売業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 443円 |
| EPS(1株利益) | 17.38円 |
| 年間配当 | 4.51円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 4.3% | 28.6倍 | 612円 | 7.6% |
| 標準 | 3.3% | 24.8倍 | 507円 | 3.7% |
| 悲観 | 2.0% | 21.1倍 | 405円 | -0.7% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 443円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 265円 | △ 67%割高 |
| 10% | 331円 | △ 34%割高 |
| 5% | 417円 | △ 6%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.20)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。