企業の一言説明

住友倉庫は、倉庫業を起点に港湾運送、陸上運送、国際輸送などの総合物流事業と、収益安定性の高い不動産事業を展開する老舗の主要企業です。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 強固な事業基盤と財務健全性: 物流と不動産を両輪とする安定的な収益構造と、自己資本比率60%に達する極めて高い財務健全性は、市場の変動に対する耐性を高めています。
  • PBR1倍割れの割安感と資本効率改善への期待: PBRが0.95倍と業界平均を下回る水準にあり、企業価値向上に向けた資本効率改善の余地が大きいと判断されます。実際に自己株式取得も行っており、株主還元への意識は高いと言えます。
  • 収益性の課題と本業利益の成長: ROEが7.73%、営業利益率が6.28%と、資本効率や収益性に関するベンチマークを下回っており、特別利益に頼らない本業の利益成長が今後の重要な課題となります。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 B 堅調な推移
収益性 B 改善余地あり
財務健全性 S 優良
バリュエーション A 割安感あり

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 3,685.0円
PER 16.27倍 業界平均14.8倍
PBR 0.95倍 業界平均1.1倍
配当利回り 2.79%
ROE 7.73%

1. 企業概要

住友倉庫は1899年創業の歴史ある企業で、その名の通り倉庫業を中核に据え、港湾運送、陸上運送、国際輸送といった総合的な物流サービスを提供しています。加えて、不動産の賃貸、開発、運用も手掛けており、特にオフィスビルや商業ビル、賃貸住宅などの多岐にわたる不動産ポートフォリオは、安定的な収益源となっています。同社は近年、海運子会社の売却を通じて事業ポートフォリオを再編し、物流と不動産賃貸事業に経営資源を集中させる戦略を進めています。この集中戦略により、それぞれの事業における競争力の強化と収益性の向上を目指しています。また、同社は大規模な土地含み資産を持つことでも知られており、これが今後の企業価値向上に寄与する可能性を秘めています。

2. 業界ポジション

住友倉庫は日本の倉庫業界において大手の一角を占め、総合物流プロバイダーとしての地位を確立しています。市場シェアについては詳細なデータがないものの、その歴史と規模から、業界内で重要なプレイヤーであることは確実です。主要な競合としては、日本郵船や商船三井などの海運系物流企業、SGホールディングスやヤマトホールディングスなどの陸運系物流企業、さらには内外の同業倉庫会社が挙げられます。
同社の強みは、全国に広がる強固な倉庫インフラと港湾施設へのアクセス、そして都市部に多く保有する不動産資産がもたらす安定収益基盤です。これに対し、海運子会社を売却したことで、国際物流における自社船隊による競争優位性は失われた可能性があり、外部パートナーとの連携強化が重要となります。
業界平均との財務指標比較では、同社のPER(会社予想)は16.27倍と、業界平均の14.8倍よりやや高めの水準にあります。一方、PBR(実績)は0.95倍と、業界平均の1.1倍を下回っており、純資産に対して株価が割安な水準にあると言えます。これは、収益性改善や資本効率向上が実現すれば、PBRの是正による株価上昇の期待があることを示唆しています。(PER: 株価が利益の何年分かを表す。業界平均より低ければ割安の可能性。PBR: 株価が純資産の何倍かを表す。1倍未満は解散価値を下回る状態と見なされることもある。)

3. 経営戦略

住友倉庫は、「倉庫大手で総合物流を志向。海運子会社売却で物流、不動産賃貸に集中」という企業概要に見られる通り、事業の選択と集中を推進しています。かつて主力の一翼を担った海運事業からの撤退は、事業ポートフォリオの最適化を図り、より収益性の高い物流事業と安定収益を期待できる不動産賃貸事業に経営資源を集中させる明確な戦略的転換を示しています。
具体的な成長戦略の要点としては、以下の点が挙げられます。

  • 物流事業の強化: 倉庫や港湾、陸上輸送、国際輸送を連携させた総合物流サービスをさらに高度化し、顧客にとって付加価値の高いソリューションを提供することで、収益基盤の拡大を目指します。デジタルトランスフォーメーション (DX) の推進による効率化や、SCM (サプライチェーンマネジメント)全般のサポート強化も含まれるでしょう。
  • 不動産事業の安定収益化: 不動産の開発、運用、賃貸を通じて、安定的なインカムゲインを確保します。特に、好立地に保有する多数の不動産物件は、インフレ環境下での資産価値上昇や安定した賃料収入源として機能し、会社全体の収益を下支えする重要な役割を担っています。
  • 資本効率の改善と株主還元: PBR1倍割れの状態を解消するため、収益性の向上だけでなく、自己株式取得や配当政策を通じた株主還元の強化にも取り組む姿勢が見られます。

最近の重要な適時開示としては、直近の決算短信において、特定投資有価証券売却益や受取補償金といった特別利益を計上していることが挙げられます。これらの特別利益は一時的なものではありますが、財務体質の強化や戦略的投資への再配分に寄与するものです。また、自己株式の取得・消却を実施しており、資本効率の改善および株主還元への積極的な姿勢を示しています。
今後のイベントとしては、2026年2月3日に通期決算発表が予定されており、2026年3月30日には配当落ち日を迎えます。これらのイベントを通じて、同社の業績見通しや株主還元方針に関する新たな情報が提供される可能性があります。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 6/9 A: 良好(全体的に健全だが一部改善余地あり)
収益性 3/3 良好
財務健全性 3/3 優良
効率性 0/3 要改善

Piotroski F-Scoreは、企業の財務状況を9つの基準で評価する指標です。住友倉庫の総合スコアは6/9点であり、「A: 良好」と評価されます。これは、財務基盤が全体的に健全であることを示唆しています。
各カテゴリの詳細な根拠は以下の通りです。

  • 収益性スコア (3/3): 純利益、営業キャッシュフロー、ROA(総資産利益率)のすべてがプラスであり、企業が利益を生み出す能力において堅調であることを示しています。
  • 財務健全性スコア (3/3): 流動比率が1.63倍と安全水準とされる1.5倍を上回り、D/Eレシオ(負債資本比率)も0.28と1.0を下回っており、財務レバレッジが低いことを示しています。また、株式の希薄化も確認されず、財務基盤の安定性が高く評価されます。
  • 効率性スコア (0/3): 営業利益率(6.28%)が10%のベンチマークを下回り、ROE(株主資本利益率、7.80%)も10%のベンチマークに届いていません。売上成長の評価に必要なデータは提供されていませんが、これら利益率・効率性指標の改善が今後の課題であることを示唆しています。

【収益性】営業利益率、ROE、ROA

住友倉庫の収益性指標は以下の通りです。

  • 連結営業利益率(過去12か月): 6.28%
  • 連結ROE(実績): 7.73% (ベンチマーク: 10%)
  • 連結ROA(過去12か月): 1.58% (ベンチマーク: 5%)

営業利益率は業種平均と比較して、同社の効率性には改善の余地があります。ROEは株主資本を効率的に活用して利益を上げているかを示す指標ですが、ベンチマークである10%を下回っています。ROAも同様に、総資産に対する利益創出能力が低い水準にあり、資産の効率的な活用が課題です。(ROE: 株主のお金でどれだけ稼いだかを示す。10%以上が一般的な目安。ROA: 企業が持つ総資産を使ってどれだけ利益を上げたかを示す。)

【財務健全性】自己資本比率、流動比率

同社の財務健全性は非常に高い水準にあります。

  • 自己資本比率(実績): 60.0%
  • 流動比率(直近四半期): 1.63倍(163%)

自己資本比率60.0%は、総資産に占める自己資本の割合が高く、財務基盤が極めて強固であることを示します。これは負債依存度が低いことを意味し、景気変動や予期せぬ事態に対する耐性が高いと言えます。流動比率163%も、短期的な支払い能力が十分に高いことを示しており、資金繰りに懸念はありません。(自己資本比率: 総資産のうち返済不要な自己資本が占める割合。高いほど財務が安定。流動比率: 短期的な支払い能力を示す指標。200%以上が理想とされるが120%以上で健全な場合も多い。)

【キャッシュフロー】営業CF、FCFの状況

  • 過去12か月営業キャッシュフロー (Operating Cash Flow): 329.5億円

営業キャッシュフローが329.5億円と潤沢であり、本業で安定して現金を稼ぎ出す能力が高いことが伺えます。これは、事業活動から得られる現金が豊富であり、運転資金や投資、借入金の返済に充てられることを意味します。フリーキャッシュフロー(FCF)は投資キャッシュフローのデータがないため算出できませんが、営業CFがこれだけ高水準であれば、特段の大規模投資がなければ健全なFCFが期待されます。

【利益の質】営業CF/純利益比率

  • 営業CF/純利益比率: 1.55
  • 利益の質評価: S (優良(キャッシュフローが利益を大幅に上回る))

営業キャッシュフローが純利益の1.55倍と大きく上回っていることは、同社の利益の質が極めて優良であることを意味します。これは、計上されている利益が会計上の操作によるものではなく、実際に現金として裏付けられている割合が高いことを示しており、企業の持続的な成長や財務の安定性にとって非常に重要な要素です。(営業CF/純利益比率: 利益が実際に現金として会社に入ってきているかを示す。1.0以上が健全。)

【四半期進捗】通期予想に対する進捗率、直近3四半期の売上高・営業利益の推移

2026年3月期第3四半期までの連結決算短信に基づくと、通期予想に対する進捗率は以下の通りです。

  • 通期予想(2026年3月期): 営業収益197,000百万円、営業利益12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益17,400百万円。
  • 第3四半期累計進捗率:
    • 売上進捗率: 139,095百万円 ÷ 197,000百万円 = 70.6%
    • 営業利益進捗率: 10,041百万円 ÷ 12,000百万円 = 83.8%
    • 純利益進捗率: 10,447百万円 ÷ 17,400百万円 = 60.0%

売上高は通期予想に対し約7割の進捗で順調と言えます。特筆すべきは営業利益の進捗率が83.8%と非常に高く、すでに通期予想の大部分を達成している点です。これは、本業の収益力が堅調に推移していることを示唆しています。純利益の進捗率は60.0%と営業利益より低いですが、これは第3四半期累計で計上された投資有価証券売却益2,894百万円や受取補償金212百万円といった特別利益が通期予想にどう織り込まれているか、または第4四半期に何らかの特別損失が想定されているかにより影響される可能性があります。
セグメント別業績(第3四半期累計):

  • 物流事業: 営業収益139,095百万円(前年同期比+2.3%)、営業利益10,041百万円(前年同期比△6.5%)。増収ながらも減益となっており、コスト増などが影響している可能性があります。
  • 不動産事業: 営業収益8,131百万円(前年同期比△1.2%)、営業利益3,170百万円(前年同期比△18.6%)。減収減益となっており、不動産市況の影響や一時的な要因が考えられます。

全体として、営業利益は好調な進捗を示しているものの、セグメント別では物流事業の利益減、不動産事業は売上・利益ともに減少し、特別利益が純利益を下支えしている構造が見られます。通期達成に向けて、第4四半期での本業の回復と維持が重要となります。

【損益計算書概観(年度別比較)】

損益計算書の過去5年間の推移を見ると、同社の業績は変動があるものの、安定した傾向が見られます。

Breakdown 過去12か月 (百万円) 2025/3 (予) (百万円) 2024/3 (百万円) 2023/3 (百万円) 2022/3 (百万円)
Total Revenue (売上高) 194,800 193,394 184,657 223,945 231,458
Gross Profit (売上総利益) 22,705 23,196 22,290 35,613 38,426
Operating Income (営業利益) 12,333 13,277 13,189 26,092 27,750
Pretax Income (税引前利益) 32,486 30,116 18,134 41,159 30,702
Net Income Common Stockholders (純利益) 21,808 20,065 12,490 22,455 19,703
  • 売上高: 2022年3月期をピークに減少傾向にありましたが、直近2025年3月期(予想)および過去12か月では回復基調にあります。これは海運子会社売却の影響が大きく、事業構造転換による変動と解釈できます。
  • 営業利益: 2022年3月期、2023年3月期は260億円〜270億円台と高水準でしたが、2024年3月期に130億円台へと大きく減益しました。これは連結の範囲変更や事業環境の変化、コスト増などが影響した可能性があります。直近の2025年3月期(予想)および過去12か月では横ばいの推移です。
  • 税引前利益・純利益: 営業利益の変動に加え、Total Unusual Items(特別損益)が毎年計上されており、特に2023年3月期と過去12か月では100億円を超える規模の特別利益が純利益を押し上げています。これにより、営業利益に対し純利益が大きく変動する傾向が見られます。例えば、2024年3月期は特別利益が少なかったため純利益が大幅に減少しましたが、2025年3月期(予想)および過去12か月では特別利益の寄与もあり純利益は大きく回復しています。投資有価証券の売却益や受取補償金などが、純利益に大きく影響を与えていると考えられます。

これらの推移から、本業である物流・不動産事業の収益力(営業利益)の安定化と、特別損益に左右されない持続的な利益成長が今後の課題として認識されます。

【バリュエーション】PER/PBR

住友倉庫のバリュエーション指標は以下の通りです。

  • PER(会社予想): (連)16.27倍
  • PBR(実績): (連)0.95倍
  • 業界平均PER: 14.8倍
  • 業界平均PBR: 1.1倍

PER(株価収益率)は、株価が1株当たり利益の何倍かを示す指標です。同社のPER16.27倍は、業界平均14.8倍と比較するとやや割高に見えます。ただし、最近の業績における特別利益の影響や、純利益の変動性を考慮すると、PERだけでの判断は難しい面もあります。
PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標です。同社のPBR0.95倍は業界平均1.1倍を下回っており、さらに株式市場全体で注目されているPBR1倍割れの状況にあります。これは、企業の純資産価値に対して株価が割安な水準にあることを示唆しており、資本効率改善や株主還元策の強化が進めば、PBRの是正による株価上昇の期待が高まります。(PER: 株価が利益の何年分かを表す。業界平均より低ければ割安の可能性。PBR: 株価が純資産の何倍かを表す。1倍未満は解散価値を下回る状態と見なされることもある。)

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: 41.13 / シグナルライン: 53.84 MACDラインがシグナルラインを下回っており、短期的な下落圧力を示唆するものの、中立圏での推移。
RSI 中立 46.8% 買われすぎでも売られすぎでもない中立圏に位置しています。
5日線乖離率 -0.59% 直近の株価が短期移動平均線をやや下回る。
25日線乖離率 -0.22% 短期的には移動平均線に沿った動きだが、やや下振れ。
75日線乖離率 +5.83% 中期的な上昇トレンドからの乖離。
200日線乖離率 +14.93% 長期的な上昇トレンドからの乖離。

MACDとRSIは共に中立的なシグナルを示しており、明確なトレンドや過熱感は見られません。移動平均線乖離率を見ると、株価は5日線と25日線をわずかに下回っており、短期的にはやや軟調な推移となっています。一方で、75日線および200日線を大きく上回っていることから、中期・長期的な上昇トレンドは依然として維持されています。

【テクニカル】52週高値・安値との位置、移動平均線との関係

  • 現在株価: 3,685.0円
  • 52週高値: 3,830.0円
  • 52週安値: 2,476.0円
  • 52週レンジ内位置: 89.3%(0%=安値、100%=高値)

現在株価は52週高値圏(89.3%)に位置しており、直近で上昇基調にあったことが分かります。
移動平均線との関係では、現在株価(3,685.0円)は以下の通りです。

  • 5日移動平均線(3,707.0円)を0.59%下回る。
  • 25日移動平均線(3,693.2円)を0.22%下回る。
  • 75日移動平均線(3,481.93円)を5.83%上回る。
  • 200日移動平均線(3,204.45円)を15.00%上回る。

短期的な移動平均線を下回っていますが、中期・長期の移動平均線を大きく上回っており、過去1年間で見ると株価は堅調に推移してきたと言えます。短期的な調整局面にあるものの、長期的な上昇トレンドは継続していると解釈できます。

【市場比較】日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス

住友倉庫の株価は、主要市場指数と比較して以下のようなパフォーマンスを示しています。

  • 日経平均比:
    • 1ヶ月リターン: 株式+1.10% vs 日経+2.48% → 1.38%ポイント下回る
    • 3ヶ月リターン: 株式+13.73% vs 日経+2.68% → 11.05%ポイント上回る
    • 6ヶ月リターン: 株式+19.06% vs 日経+32.38% → 13.32%ポイント下回る
    • 1年リターン: 株式+38.95% vs 日経+34.77% → 4.18%ポイント上回る
  • TOPIX比:
    • 1ヶ月リターン: 株式+1.10% vs TOPIX+3.22% → 2.12%ポイント下回る

直近1ヶ月間では主要市場指数を下回っていますが、3ヶ月、1年といった期間では日経平均を上回るパフォーマンスを示しています。6ヶ月では日経平均を下回っていますが、個別銘柄としては概ね市場と同等か、やや良好なパフォーマンスを発揮していると評価できます。特にここ1年間の株価上昇は、市場全体の好調な地合いに加え、同社への評価が高まっていることを示唆しているかもしれません。

【長期株価トレンド】

住友倉庫の長期的な株価トレンドは、安定した上昇基調にあります。

  • 1ヶ月リターン: +1.10%
  • 3ヶ月リターン: +13.73%
  • 6ヶ月リターン: +19.06%
  • 1年リターン: +38.95%

年初来安値2,476円から年初来高値3,830円まで、約54%の上昇を記録しており、過去1年間で株価は大きく上昇しました。現在株価は52週高値圏の89.3%に位置しており、短期的な調整は見られるものの、根強い買いが続いていることが伺えます。

【移動平均線分析】

現在株価: 3,685.00円

  • 5日移動平均線 (MA): 3,707.00円(株価が0.59%下回り)
  • 25日移動平均線 (MA): 3,693.20円(株価が0.22%下回り)
  • 75日移動平均線 (MA): 3,481.93円(株価が5.83%上回り)
  • 200日移動平均線 (MA): 3,204.45円(株価が15.00%上回り)

短期的な5日線、25日線をわずかに下回っていることから、直近ではやや下落圧力がかかっている状況です。しかし、75日線、200日線を大きく上回っているため、中期・長期的な上昇トレンドは健在です。長期的な視点で見れば、現在の位置は上昇トレンドの中での一時的な調整局面と捉えることもできます。

【定量リスク】ベータ値、ボラティリティ、最大ドローダウン

住友倉庫の定量リスク指標は以下の通りです。

  • ベータ値 (5Y Monthly): 0.23
  • 年間ボラティリティ: 19.72%
  • 最大ドローダウン: -36.61%
  • 年間平均リターン: -17.45% (過去の特定の期間データに基づく)

ベータ値が0.23と非常に低いことから、市場全体の動き(日経平均やTOPIX)に対する感応度が小さい、すなわち市場変動の影響を受けにくい傾向があることを示しています。これは一般的にディフェンシブ銘柄(景気変動に左右されにくい銘柄)の特徴とされます。
年間ボラティリティ19.72%は、株価の年間変動幅が平均で約20%程度であることを示しており、比較的安定しているとは言えません。具体的な変動リスクとして、仮に100万円投資した場合、年間で±19.72万円程度の変動が想定されることになります。
最大ドローダウンは過去に経験した最悪期の下落率であり、同社株では-36.61%を記録しています。これは、投資の検討にあたり、今後も同様の規模の下落リスクが存在しうることを頭に入れておくべきであることを示唆しています。(ベータ値: 市場全体の動きに対し、個別株がどれだけ連動するかを示す。1より小さければ市場より価格変動が小さい。ボラティリティ: 株価の変動の激しさを示す。最大ドローダウン: 過去のある期間で最も大きく下落したときの損失率。)
年間平均リターンが-17.45%とマイナスである点は、過去の特定の期間においては市場成長の恩恵を十分に受けられなかった、または調整局面が長かったことを示しています。ただし、直近1年間では株価が大きく上昇しているため、あくまで過去のデータの一部と捉える必要があります。

【事業リスク】主要なリスク要因

  • 経済情勢の変動と物流需要の減退: 物流事業は、企業の生産活動や消費動向に密接に連動するため、国内外の景気後退や貿易量の減少は、輸送・保管需要の減退に直結し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に国際物流は、グローバル経済の動向に強く左右されます。
  • 不動産市況の変動: オフィスビルや商業施設、賃貸住宅などを中心とする不動産事業は、景気動向、金利変動、人口構造の変化、都市開発など、様々な要因による不動産市況の影響を受けます。賃料の下落や空室率の上昇、不動産価値の評価額の変動は、同社の売上高や利益、資産価値に悪影響を与える可能性があります。
  • 競争激化とコスト上昇: 物流業界は、新規参入やM&Aによる業界再編が進み、競争が激化しています。また、燃料費の高騰、人件費の上昇、環境規制強化に伴う設備投資費用など、コスト増加圧力も高まっています。これらの要因が収益性を圧迫し、価格競争の激化を招くリスクがあります。
  • 自然災害やパンデミックなどの外部要因: 異常気象による自然災害(地震、台風、洪水など)や、感染症の世界的流行(パンデミック)は、サプライチェーンの寸断、港湾機能の停止、物流拠点の被災、不動産稼働率の低下などを引き起こし、事業活動に甚大な被害をもたらす可能性があります。

7. 市場センチメント

信用取引状況を見ると、信用買残が41,300株、信用売残が33,900株となっており、信用倍率は1.22倍です。これは、買い残が売り残をわずかに上回る程度で、需給バランスは比較的均衡しており、信用取引による株価への大きな偏りは現状見られません。将来的な売り圧力や買い圧力として過度に警戒すべき水準ではないと言えます。
主要株主構成を見ると、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、住友不動産、大和ハウス工業などが大株主として名を連ねています。機関投資家や事業会社が上位に多く、これは株式の安定性を高める要因となります。特に、住友不動産や大和ハウス工業といった事業会社が大株主であることは、中長期的な視点での連携や資本関係の安定性を示唆しており、経営の安定に寄与すると考えられます。インサイダー保有比率が29.36%、機関投資家保有比率が29.17%と、双方からの保有比率が高く、これも安定した株主構成を裏付けています。

8. 株主還元

住友倉庫は安定的な株主還元に注力しています。

  • 配当利回り(会社予想): 2.79%
  • 1株配当(会社予想): 103.00円
  • 配当性向(会社予想): 45.4%

配当利回り2.79%は、現在の低金利環境下において、魅力的な水準と言えます。配当性向は会社予想で45.4%と、利益の約半分を配当に回す方針であり、安定した配当を目指す姿勢が伺えます。過去の配当性向を見ても、概ね30%〜60%台で推移しており、業績の変動はあるものの、株主への利益還元を重視していることが分かります。
さらに、同社は自己株式取得を積極的に実施しています。直近の決算短信では、第3四半期累計で1,133,100株、3,499百万円の自己株式を取得し、2026年3月31日に消却予定であると開示されています。自己株式の取得・消却は、1株当たりの利益向上を通じて資本効率を改善し、PBRの是正にも繋がる株主還元策であり、同社が株主価値向上を意識している強い表れと言えます。

SWOT分析

強み

  • 総合物流と不動産の強固な事業基盤: 倉庫、港湾、陸上、国際輸送を包括する総合物流ネットワークに加え、安定収益を生み出す不動産賃貸事業が盤石な収益構造を構築しています。
  • 高い財務健全性: 自己資本比率60%という極めて強固な財務体質と、潤沢な営業キャッシュフローは、外部環境の変化に対する高い耐久性を提供します。

弱み

  • 収益性指標の課題: ROEが7.73%、営業利益率が6.28%と、資本効率および利益率のベンチマークを下回っており、これらの改善が企業価値向上の重要な鍵となります。
  • 海運撤退後の成長戦略の明確化: 海運事業の売却後の物流事業における独自性や国際競争力強化に向けた具体的な戦略の深掘りが必要です。

機会

  • PBR1倍割れ解消への期待: PBR0.95倍と純資産価値を下回る水準にあり、株主還元策の強化やガバナンス改革を通じて、PBR向上への市場からの期待が高まっています。
  • アジア市場での物流需要増加: アジア新興国の経済成長に伴う物流需要の拡大は、国際展開を強化することで新たな成長機会となり得ます。

脅威

  • 景気変動と物流業界の競争激化: 国内外の景気後退は物流需要を直撃し、同時に業界の再編や技術革新による競争激化は収益性を圧迫する可能性があります。
  • 不動産市況の変動と金利上昇リスク: 金利上昇は不動産開発コストの増加や物件価格の下落に繋がる可能性があり、不動産事業の収益に影響を及ぼすリスクがあります。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定配当と財務健全性を重視する長期投資家: 高い自己資本比率と安定した配当政策は、長期保有を通じて着実なリターンを求める投資家にとって魅力的です。
  • PBR改善によるバリューアップを期待する投資家: 現在のPBR1倍割れの状態から、経営努力による資本効率改善や株主還元強化を通じて、株価の本質的価値への収斂を待つ投資家に向いています。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 本業利益の成長性分析: 一時的な特別利益に頼らず、物流・不動産事業それぞれの本業における継続的な利益成長の見込みを慎重に評価する必要があります。
  • 資本効率改善策の進捗: 自己株式取得は評価できるものの、ROEやROAといった資本効率指標が今後どの程度改善されるか、具体的な経営目標と進捗を注視することが重要です。

今後ウォッチすべき指標

  • ROEおよびROAの改善率: ベンチマーク10%への達成に向けた進捗(目標値: ROE 10%以上)。
  • 営業利益率の推移: 特に物流事業における収益性改善(目標値: 全体営業利益率10%)。

成長性:B (堅調な推移)

売上高は過去5年間で変動があるものの、直近は回復基調にあり、第3四半期までの進捗も順調です。ただし、海運事業売却などの事業構造転換を伴うため、一概に高い成長率を期待する段階ではありません。既存事業の収益性改善と事業集中による堅実な成長が見込まれるため、SやA評価には至らないものの、着実に推移していると評価しBとしました。

収益性:B (改善余地あり)

ROEは7.73%とベンチマークの10%を下回り、ROAも1.58%と低い水準です。営業利益率も6.28%であり、SやA評価の基準を満たしていません。これは、同社が安定志向である一方で、資本効率や資産活用において改善の余地が大きいことを示しています。本業の利益率向上と資産の効率的運用が今後の課題となるため、B評価としました。

財務健全性:S (優良)

自己資本比率60.0%、流動比率163%と、非常に高い水準を保っています。Piotroski F-Scoreでも財務健全性スコアが3/3点と満点を獲得しており、財務基盤の強固さを裏付けています。多額の土地含み資産も考慮すると、極めて安定した財務状況であるため、S評価としました。

バリュエーション:A (割安感あり)

PBRは0.95倍と業界平均の1.1倍を下回っており、1倍割れの状態です。これは純資産価値に対して株価が割安であると判断でき、PBR改善への期待が持てます。一方でPERは16.27倍と業界平均14.8倍をやや上回りますが、PBRの割安感を考慮すると、全体としてA(良好)と評価しました。資本効率改善による株価向上余地があるため、S評価に限りなく近いA評価と位置付けられます。


企業情報

銘柄コード 9303
企業名 住友倉庫
URL http://www.sumitomo-soko.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 運輸・物流 – 倉庫・運輸関連業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 3,685円
EPS(1株利益) 227.04円
年間配当 2.79円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 1.1% 18.5倍 4,426円 3.8%
標準 0.8% 16.0倍 3,801円 0.7%
悲観 1.0% 13.6倍 3,255円 -2.4%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 3,685円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,897円 △ 94%割高
10% 2,369円 △ 56%割高
5% 2,989円 △ 23%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.20)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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