企業の一言説明
三菱地所は、丸の内・大手町を中心としたコマーシャル不動産事業を基盤に、住宅、海外、投資マネジメントなど多角的に事業を展開する三菱グループ中核の総合不動産大手です。
投資判断のための3つのキーポイント
- 堅固な事業基盤と成長戦略: 丸の内・大手町地区に代表される優良な賃貸不動産ポートフォリオが安定的な収益基盤を形成しており、継続的な再開発投資と海外事業拡大により、長期的な成長戦略を推進しています。直近の決算では売上・利益ともに高い成長を示し、特にコマーシャル不動産事業と住宅事業が牽引役となっています。
- 積極的な株主還元姿勢: 2026年3月期は増配を計画しており、加えて大規模な自己株式取得(発行済み株式総数の1.07%に相当、全株消却予定)を発表しました。これらの施策は株主への還元意欲の高さを示し、資本効率向上への期待を高めます。
- バリュエーションの割高感と金利変動リスク: 株価は過去1年で大幅に上昇し、PER、PBRともに業界平均を大きく上回る水準となっています。これは市場からの高い期待の表れである一方、過熱感や割高感も強く、今後の業績成長が期待値を上回るかが焦点となります。また、金利上昇局面においては、不動産事業は借入金依存度が高いため、財務コスト増加による収益圧迫リスクに注意が必要です。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | A | 良好 |
| 収益性 | A | 良好 |
| 財務健全性 | A | 良好 |
| バリュエーション | D | 割高 |
※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 4,929.0円 | – |
| PER | 27.52倍 | 業界平均13.6倍 |
| PBR | 2.36倍 | 業界平均1.6倍 |
| 配当利回り | 0.93% | – |
| ROE | 7.63% | – |
1. 企業概要
三菱地所は1890年創業、東京都千代田区大手町に本社を置く三菱グループの総合不動産会社です。主な事業内容は、オフィスビルや商業施設の開発・賃貸・管理・売買を行う「コマーシャル不動産事業」をはじめ、分譲マンションや戸建住宅の開発・販売を手掛ける「住宅事業」、海外での不動産開発を行う「海外事業」、不動産ファンド運用などの「投資マネジメント事業」など多岐にわたります。特に、東京・丸の内および大手町地区に数多くの優良不動産を保有・開発しており、ここが安定収益の基盤となっています。その技術的独自性と大規模な複合開発ノウハウは、日本の都市開発を牽引するリーディングカンパニーとしての参入障壁を築いています。
2. 業界ポジション
三菱地所は、三井不動産と並び称される日本の総合不動産業界の双璧をなす存在です。特に、日本のビジネス中心地である丸の内・大手町地区に多数の優良なオフィスビルや商業施設を保有・運営しており、同地区における市場シェアとブランド力は圧倒的です。これにより、安定した賃料収入を確保し、強固な顧客基盤を築いています。競合に対する強みは、三菱グループの総合力と信頼性、そして長期的な視点に立った大規模開発を遂行できる資金力、技術力、ノウハウにあります。一方で、大規模開発ゆえの意思決定のプロセスや、既存資産のリノベーションや再開発において、スピード感や市場トレンドへの即応性が課題となる場合があります。業界平均との財務指標比較では、PER27.52倍(業界平均13.6倍)、PBR2.36倍(業界平均1.6倍)といずれも業界平均を大きく上回っており、市場からの高い評価と同時に、割高感も指摘される水準です。
3. 経営戦略
三菱地所の経営戦略は、主要事業である丸の内・大手町地区における競争優位性の維持・強化、それに続く住宅事業や海外事業、投資マネジメント事業の拡大を柱としています。同社は、丸の内・大手町地区での継続的な再開発やリノベーションを通じて、都市機能の高度化と資産価値向上を図っています。
直近の経営状況と戦略ハイライト(2026年3月期 第3四半期決算短信より)
2026年3月期第3四半期連結決算では、売上高1兆2,100億7,300万円(前年同期比15.5%増)、営業利益2,273億7,400万円(同16.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,565億3,200万円(同48.0%増)と大幅な増収増益を達成しました。通期連結業績予想も上方修正され、営業収益1兆8,500億円(同17.1%増)、営業利益3,300億円(同6.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,200億円(同16.2%増)を見込んでいます。特に純利益の進捗率は71.2%と好調です。
セグメント別では、コマーシャル不動産事業が売上高4,756億600万円(前年同期比37.2%増)、営業利益1,041億2,300万円(同43.4%増)と顕著な成長を遂げ、全体の牽引役となりました。これは主要物件の賃貸稼働率の高さと賃料の安定推移、M&Aや開発物件の竣工が寄与したと推測されます。また、住宅事業も売上高2,942億6,300万円(同11.8%増)、営業利益338億2,800万円(同64.6%増)と大幅な増益を記録しており、分譲住宅の販売が好調であることが要因です。丸の内事業は堅調、海外事業はほぼ横ばい、投資マネジメント事業は減益となり、事業ポートフォリオの多様化とリスク分散が進んでいることが分かります。特に、投資有価証券売却益600億6,000万円を含む特別利益の計上は、純利益を大きく押し上げる要因となりました。
今後のイベント
- 2026年2月9日: 決算発表
- 2026年3月30日: 配当落ち日
これらの戦略と直近の好調な業績、そして継続的な株主還元策は、三菱地所が持続的な成長と企業価値向上を目指す強い意志を示していると言えるでしょう。
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
Piotroski F-Scoreは、企業の財務健全性と収益性を9つの項目で評価する指標です。スコアが高いほど財務状況が良好と判断されます。(9点満点中)
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 6/9 | A: 良好 |
| 収益性 | 2/3 | 純利益がプラス、ROAがプラスで良好 |
| 財務健全性 | 2/3 | 流動比率が基準以上、株式希薄化なしで良好 |
| 効率性 | 2/3 | 営業利益率が基準以上、四半期売上成長率がプラスで良好 |
三菱地所のF-Scoreは6/9点であり、「良好」と評価できます。
- 収益性スコア2/3: 純利益と総資産利益率(ROA)がプラスであり、基本的な収益力を維持しています。これは企業が利益を生み出す体質であることを示しており、基盤事業の安定性が寄与していると見られます。
- 財務健全性スコア2/3: 流動比率が健全な水準にあり(1.97)、短期的な支払い能力に問題はないと判断されます。また、発行済株式数を増やすことによる既存株主の希薄化が見られない点も好材料です。一方で、自己資本に対する総負債の比率(D/Eレシオ)は1.3629と1.0を超えており、不動産事業の特性上借入金が多いことに起因しますが、負債に対する注意は必要です。
- 効率性スコア2/3: 営業利益率が10%を大きく超える25.66%を達成しており、本業で高い収益力を発揮しています。また、直近の四半期売上高成長率もプラスであり事業規模の拡大に成功しています。ただし、株主資本利益率(ROE)が10%に達していない点が改善余地として挙げられます。
【収益性】
- 営業利益率(過去12か月): 25.66%
- 非常に高い水準を誇り、本業の収益性が優れていることを示しています。特にオフィス賃貸事業は安定的に高利益率を維持しやすい特性があります。
- ROE(実績): 7.63%
- 株主資本利益率(ROE)は、ベンチマークとされる10%を下回っています。これは株主から預かったお金を使ってどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す指標で、改善の余地があると言えます。ただし、不動産事業は巨額の資産を抱えるため、他業種に比べてROEが低めに出る傾向もあります。
- ROA(過去12か月): 2.66%
- 総資産利益率(ROA)は、企業が保有する全ての資産をどれだけ効率的に使って利益を上げているかを示す指標です。ベンチマークとされる5%には届いていません。ROE同様、多額の資産を保有する不動産事業においては、他業種と比較して低めに出る傾向があります。
- 四半期EPS成長率(前年比): 76.50%
- 直近の四半期における一株あたり利益の成長率は非常に高く、短期間での収益拡大が顕著であることを示しています。
- 純利益(過去12か月): 197,406百万円
- 着実に純利益を計上しており、安定した収益力を有していることを示します。
【財務健全性】
- 自己資本比率(実績): 32.1%
- 総資産に占める自己資本の割合で、高いほど財務が安定していると言われます。不動産開発事業者は多額の借入金を活用するため、一般的に製造業などと比較して自己資本比率は低くなる傾向があります。32.1%は不動産業界の中では比較的標準的ですが、企業規模を考慮すると安定的な水準と評価できます。
- 流動比率(直近四半期): 1.97倍
- 流動負債に対する流動資産の割合で、企業の短期的な支払い能力を示します。200%(2倍)以上が安全圏とされ、1.97倍はほぼ基準を満たしており、短期的な資金繰りに問題はない健全な状態と判断できます。
【キャッシュフロー】
- 営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローの具体的な数値は提供されていません。
- 決算短信には「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成していない」旨の記載があり、個別数値での判断は困難です。
【利益の質】
- 営業キャッシュフロー/純利益比率: 営業キャッシュフローのデータがないため算出できません。
【四半期進捗】
2026年3月期第3四半期決算は以下の通りです。
- 通期予想に対する進捗率:
- 売上高:1兆2,100億7,300万円に対し、通期予想1兆8,500億円で進捗率65.4%。
- 営業利益:2,273億7,400万円に対し、通期予想3,300億円で進捗率68.9%。
- 親会社株主に帰属する当期純利益:1,565億3,200万円に対し、通期予想2,200億円で進捗率71.2%。
- 特に純利益の進捗が通期予想に対して非常に高く、好調なペースで推移していることを示します。前期比で売上高+15.5%、営業利益+16.9%、純利益+48.0%と大幅な増益を達成しました。
- 直近3四半期のセグメント別状況:
- コマーシャル不動産事業: 売上高4,756億円(+37.2%)、営業利益1,041億円(+43.4%)。都心主要物件の稼働率維持と物件価値向上、新規開発の寄与が収益を大きく押し上げています。
- 丸の内事業: 売上高2,974億円(+2.0%)、営業利益733億円(△1.4%)。安定的な賃貸収入が主であり、堅実な推移を見せています。
- 住宅事業: 売上高2,942億円(+11.8%)、営業利益338億円(+64.6%)。分譲マンション販売の好調が寄与し、大幅な増収増益となりました。
- 海外事業: 売上高1,014億円(△2.4%)、営業利益315億円(+0.4%)。売上は微減ながら利益は横ばいを維持しており、安定した運営が見られます。
- 投資マネジメント事業: 売上高240億円(△16.1%)、営業利益△4億円(前年同期は黒字)。受託報酬の変動等により減収、赤字転落となりました。
- 設計監理・不動産サービス事業: 売上高580億円(+7.2%)、営業利益72億円(+33.7%)。質の高いサービス提供で順調に利益を伸ばしています。
- 特筆すべきは、投資有価証券売却益600億6,000万円などにより特別利益が大幅に増加し、純利益を大きく押し上げた点です。これは単発的な要因ではありますが、戦略的な売却による財務基盤の強化にも繋がります。
【バリュエーション】
- PER(会社予想): 27.52倍
- 株価が1株あたり利益の何倍かを示す指標です。業界平均の13.6倍と比較すると、三菱地所のPERは非常に高い水準にあり、大幅に割高と判断されます。これは、市場が同社の安定性と今後の成長性に対して非常に強い期待を抱いていることを示唆しています。
- PBR(実績): 2.36倍
- 株価が1株あたり純資産の何倍かを示す指標です。解散価値を意味する1倍を大きく超え、さらに業界平均の1.6倍と比較しても割高な水準です。PER同様、市場が同社の持つブランド力や不動産ポートフォリオの将来価値を高く評価していると解釈できます。
- 目標株価(業種平均PER基準): 2,152円
- 目標株価(業種平均PBR基準): 3,337円
- これらの目標株価(現在の株価4,929.0円と比較して大幅に低い)は、市場の期待値が業界平均を大きく上回っている現状を示しており、投資家が織り込んでいる成長プレミアムが高いことを示しています。もし今後の成長が市場の期待を下回る場合、株価調整のリスクがあることを考慮する必要があります。現在の株価は、これらの指標よりも遥かに高い水準で取引されており、割高感が強いです。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | MACD値: 160.04 / シグナル値: 80.53 | 短期トレンド方向を示すが、現時点では明確なゴールデンクロスやデッドクロスは確認できない |
| RSI | 買われすぎ | 85.9% | 70%以上は買われすぎと判断され、短期的な価格調整のリスクを示唆しています。 |
| 5日線乖離率 | – | +12.21% | 直近のモメンタムが非常に強い上昇を示唆 |
| 25日線乖離率 | – | +21.60% | 短期トレンドから株価が大きく上方に乖離 |
| 75日線乖離率 | – | +32.39% | 中期トレンドから株価が大きく上方に乖離 |
| 200日線乖離率 | – | +53.50% | 長期トレンドから株価が非常に大きく上方に乖離 |
- RSIの買われすぎ(85.9%)は、株価が短期的に急速に上昇し、過熱感が出ていることを示唆しており、一時的な調整が入る可能性に注意が必要です。
- 移動平均線乖離率がいずれも大幅なプラスであることから、株価は短・中・長期のあらゆる移動平均線を大きく上回っており、非常に強い上昇トレンドが継続していることが明確です。しかし、乖離率が過度に高くなると、移動平均線に収斂する動き(価格調整)が起こりやすくなる点にも留意が必要です。
【テクニカル】
- 現在の株価4,929.0円は、52週高値4,936.00円に非常に近い水準で推移しており、年初来高値を更新する勢いを見せています。52週安値2,097円から見ると、約2.3倍に上昇しています。
- 株価は5日移動平均線(4,392.80円)、25日移動平均線(4,053.56円)、75日移動平均線(3,723.15円)、そして200日移動平均線(3,206.53円)の全てを大きく上回って推移しており、非常に強い上昇トレンドが確認できます。特に200日移動平均線からの乖離率が+53.50%と非常に高く、短期的な過熱感と同時に、市場の強い買い意欲を示しています。トレンドフォロー戦略をとる投資家にとっては好ましい状況ですが、高所の警戒感も高まります。
【市場比較】
三菱地所の株価は、日経平均株価およびTOPIXといった主要市場指数を大幅にアウトパフォームしています。
- 日経平均比:
- 1ヶ月: 株式+23.29% vs 日経+10.99% → 12.29%ポイント上回る
- 3ヶ月: 株式+46.26% vs 日経+13.30% → 32.96%ポイント上回る
- 6ヶ月: 株式+71.50% vs 日経+43.09% → 28.42%ポイント上回る
- 1年: 株式+119.95% vs 日経+46.27% → 73.68%ポイント上回る
- TOPIX比:
- 1ヶ月: 株式+23.29% vs TOPIX+9.71% → 13.58%ポイント上回る
このデータは、三菱地所の株価が過去1年にわたって市場全体の勢いを大きく上回るパフォーマンスを記録していることを示しており、投資家の注目度の高さと、同社の事業に対する信頼感が厚いことを表しています。
【定量リスク】
- 年間ボラティリティ: 31.10%
- 株価の年間変動率が31.10%であり、比較的高い水準です。これは、株価が大きく上下する可能性が高いことを示しており、投資には相応のリスクが伴うことを意味します。仮に100万円投資した場合、年間で±31.1万円程度の変動が想定されるということです。投資家は、この変動性を受け入れる準備が必要です。
- シャープレシオ: -0.86
- リスクに見合うリターンが得られているかを示す指標です。マイナス値であることは、過去のデータにおいてリスクを取った分のリターンが十分でなかったことを示しており、投資ポートフォリオにおけるリスク・リターンの最適化の観点からは留意が必要です。しかし、これは長期的な平均リターンがマイナスであった場合に発生しうる数値であり、直近1年の株価上昇率が+119.95%と大幅に改善していることを考慮すると、状況は好転していると考えられます。
- 最大ドローダウン: -53.85%
- 過去の期間で、株価がピークから最も大きく下落した割合です。この銘柄が過去に最高値から53.85%も下落した経験があることを示しており、同様の市場環境や企業固有の要因で、今後も同程度の損失を被る可能性があることを意味します。これは、長期投資を行う上でのリスク許容度を測る上で重要な指標です。
- 年間平均リターン: -26.12%
- 過去のボラティリティと同様、長期的な期間でリターンがマイナスであったことを示しています。しかし、直近のリターンが大幅に改善していることから、過去のデータのみで将来を判断するのではなく、直近の業績や市場環境の変化を総合的に評価することが重要です。
【事業リスク】
- 金利変動リスク: 不動産開発事業は、土地購入や建設費用に多額の借入金を要するため、金利上昇は利払い費の増加に直結し、収益を圧迫する可能性があります。また、金利上昇は不動産投資の魅力を低下させ、投資不動産の価値下落やCAPEX(資本的支出)への影響も懸念されます。
- 不動産市況の変動リスク: オフィス空室率の上昇、賃料の下落、住宅販売価格の軟化、商業施設の利用低迷など、不動産市況の悪化は、三菱地所の賃貸収入や売買益に直接的な影響を与えます。景気変動や人口動態、働き方の変化(リモートワーク普及など)によって、オフィス需要や住宅需要が構造的に変化する可能性も考慮する必要があります。
- 大規模災害リスク: 大規模な地震や風水害などの自然災害は、保有する不動産資産に物理的な損害をもたらし、復旧費用や事業中断による賃料減収など、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
7. 市場センチメント
- 信用取引状況:
- 信用買残: 770,200株
- 信用売残: 266,000株
- 信用倍率: 2.90倍
- 信用倍率が2.90倍と3倍を下回っており、過度な買い残による将来の売り圧力は現時点では限定的と見られます。信用評価損益率のデータがないため、信用買い残者の含み損状況は不明ですが、直近の株価急騰を考慮すると含み益がある可能性もあります。
- 主要株主構成:
- 上位には、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)15.38%、日本カストディ銀行(信託口)6.02%、明治安田生命保険3.37%など、金融機関や機関投資家が名を連ねています。機関投資家が全体の56.65%を保有しており、安定株主が多いことを示唆しています。また、代表的な三菱グループ企業である竹中工務店も上位株主として名を連ねています。自社(自己株口)も2.47%保有しており、経営陣による株価意識の高さが伺えます。
8. 株主還元
- 配当利回り(会社予想): 0.93%
- 1株あたり配当金46円(会社予想)に基づく配当利回りは0.93%です。現在の株価が大きく上昇しているため、利回りとしては低水準となっています。これは、インカムゲインよりもキャピタルゲインを期待する投資家にとって魅力度が低いかもしれません。
- 1株配当(会社予想): 46.00円
- 2026年3月期の年間配当は前年の43円から46円への増配が計画されており、株主還元への意欲を示しています。
- 配当性向(予想ベース): 25.3%(Yahoo Japanデータでは28.5%)
- 利益に対する配当金の割合で、30~50%が一般的とされます。三菱地所の配当性向は比較的低く、今後の事業成長や利益水準によっては、さらなる増配余地があると考えられます。
- 自社株買いの状況:
- 2026年2月9日付で、発行済み株式総数の1.07%に相当する1,300万株、総額300億円を上限とする自己株式取得の実施と、取得した全株式の消却方針を発表しました。これは、資本効率の向上と株主還元を強化する積極的な姿勢を示すものであり、市場からポジティブに評価されています。自社株買いは、一株あたり利益(EPS)の増加を通じて、株価を押し上げる効果が期待されます。
SWOT分析
強み
- 丸の内・大手町地区という国内最高水準の商業地における圧倒的な不動産ポートフォリオと賃貸事業の優位性。
- 総合的な都市開発能力と三菱グループのブランド力・信頼性、それに伴う多角的な事業展開力。
弱み
- 不動産開発事業に起因する多額の有利子負債と、これに伴う金利変動への感応度の高さ。
- 大規模企業ゆえに、高成長を継続することの難しさと、ROE・ROAが業界平均やベンチマークを下回る効率性の改善余地。
機会
- 都心再開発需要の継続と、それに伴う新たな価値創出および収益機会。
- 国内外における不動産投資市場の拡大、特にアジア圏での海外事業の成長余地。
脅威
- 国内金利の本格的な上昇、および不動産市場全体の停滞やオーバーサプライによる賃料下落リスク。
- 新しい働き方の普及(リモートワークなど)によるオフィス需要の構造的変化、および競合激化。
この銘柄が向いている投資家
- 安定した事業基盤と長期的な成長を期待する投資家: 三菱地所の堅固な事業基盤と継続的な都市開発への投資は、長期的な資産形成を目指す投資家にとって魅力的です。
- 増配と自社株買いを評価する株主還元重視の投資家: 直近の増配計画と大規模な自社株買いは、企業の資本効率改善と株主との対話を重視する姿勢を示しており、還元を重視する投資家に向いています。
- 国内不動産市場の回復・成長に期待する投資家: 不動産市況の回復や再開発プロジェクトの進展が、株価をさらに押し上げる可能性に期待する投資家。
この銘柄を検討する際の注意点
- 高水準のバリュエーション: 現在の株価はPER、PBRともに業界平均や目標株価を大きく上回っており、市場の期待値が高い分、期待通りの業績成長が実現しない場合には株価調整のリスクがあります。
- 金利動向への影響: 日本の金融政策や金利環境の変化は、不動産事業の収益性や不動産価値に大きな影響を与えるため、今後の金利動向を注視する必要があります。
今後ウォッチすべき指標
- コマーシャル不動産事業の営業利益率と賃貸稼働率: 主力事業の収益性を測る上で最も重要な指標であり、持続的な高収益を維持できるかが焦点です。
- 自己資本比率の推移と負債水準: 財務健全性の改善に向けた取り組みや、金利上昇局面における財務コストへの影響を評価するために重要です。
- 海外事業の成長率と利益貢献度: 国内市場の成熟化が進む中で、海外事業の拡大が全体の成長を牽引できるかどうかに注目します。
- ROEの改善: 株主資本をどれだけ効率的に活用しているかを示すROEの改善は、株主価値向上の上で継続的に求められます。
10. 企業スコア
- 成長性: A (良好)
- 過去12か月の連結売上高は1.74兆円、前年同期比14.80%の成長を見せており、2026年3月期の通期予想も増収増益です(売上高+17.1%)。特に直近四半期の営業利益と純利益はそれぞれ+16.9%、+48.0%と高成長を達成しています。四半期売上成長率も14.8%であり、高い成長ポテンシャルを有していると評価できます。ただし、成長率基準(S=15%以上)にはわずかに満たないため「A」と評価します。
- 収益性: A (良好)
- 営業利益率(過去12か月)は25.66%と非常に高く、本業での収益力は優れています(S評価基準15%以上)。しかし、ROE(実績)は7.63%であり、一般的なベンチマークである10%には届いていないため、株主資本の効率的な活用には改善余地があります(B評価基準8-10%)。総合的に判断し、「良好」な「A」と評価します。
- 財務健全性: A (良好)
- 自己資本比率は32.1%で、不動産業界の特性を考慮すると適切な水準であり、流動比率も1.97倍と短期的な支払い能力に問題はありません。加えて、Piotroski F-Scoreが6/9点と「良好」と判定されており、財務の安定性が確認されます。しかし、Total Debt/Equity(総負債/自己資本比率)が136.29%とやや高い点は注意が必要です。これらの理由から「A」と評価します。
- バリュエーション: D (割高)
- PER(会社予想)27.52倍は業界平均13.6倍の200%以上、PBR(実績)2.36倍も業界平均1.6倍の147.5%に達しており、両指標ともに業界平均を大幅に上回っています。これは現在の株価が企業の基本的な価値指標から見て、「割高」な水準にあることを明確に示しています。「D」と評価します。
企業情報
| 銘柄コード | 8802 |
| 企業名 | 三菱地所 |
| URL | http://www.mec.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 不動産 – 不動産業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 4,929円 |
| EPS(1株利益) | 179.13円 |
| 年間配当 | 0.93円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9.4% | 29.2倍 | 8,208円 | 10.8% |
| 標準 | 7.2% | 25.4倍 | 6,457円 | 5.6% |
| 悲観 | 4.3% | 21.6倍 | 4,788円 | -0.6% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 4,929円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 3,213円 | △ 53%割高 |
| 10% | 4,013円 | △ 23%割高 |
| 5% | 5,064円 | ○ 3%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.20)」によって自動生成されました。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。