企業の一言説明

網屋(4258)は、データセキュリティ事業とネットワークセキュリティ事業を展開する、成長著しいサイバーセキュリティソリューションプロバイダーです。特にログ管理製品「ALog」は高い収益性を誇り、クラウドネットワーク構築・運用にも強みを持つ、東証グロース市場上場の革新的な企業です。

投資判断のための3つのキーポイント

  • サブスクリプションモデルへの転換による高成長と収益性の大幅改善: 主力事業のSaaS化が順調に進展し、安定的な経常収益モデル(ARR)への移行が完了段階にあります。これにより、売上高は着実に増加し、利益も大幅な改善を見せており、今後の持続的な成長と収益性の向上が期待されます。足元の進捗も好調で、通期業績予想の上方修正が示唆する通りの経営手腕が評価点です。
  • 強固な知財と拡大する製品ポートフォリオが市場ニーズを捉える: 独自性の高いデータセキュリティ製品「ALog」シリーズで堅実な顧客基盤を築きつつ、クラウド型仮想ネットワークサービス「Verona」を筆頭とするネットワークセキュリティ事業ではSASE(Secure Access Service Edge)領域での事業拡大を加速させています。これにより、多様化する企業のセキュリティニーズに包括的に応え、高い参入障壁を持つ市場で優位性を確立しています。継続的な研究開発投資により、常に最先端のセキュリティソリューションを提供できる競争力も保持しています。
  • 高バリュエーションと信用倍率の高さが示す投資需給バランスへの注意喚起: 網屋は成長企業として高いPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)で評価されており、市場の将来成長への期待が高いことが伺えます。しかし、特にPBRは業界平均を大きく上回る水準にあり、株価は織り込み済みの成長期待を上回る実績を出し続ける必要があります。また、信用倍率が7.47倍と高水準であるため、短期的な株価の需給バランスにおいては、将来的な売り圧力が発生する可能性にも留意が必要です。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 S 極めて優良
収益性 S 極めて優良
財務健全性 S 優良
バリュエーション D 割高

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 2,906.0円
PER 35.90倍 業界平均66.2倍
PBR 9.64倍 業界平均3.5倍
配当利回り 0.54%
ROE 19.60%

1. 企業概要

網屋は1996年に設立された、情報セキュリティとネットワークインフラ構築・運用を専門とする企業です。主な事業は、サーバーアクセスログ管理システム「ALog ConVerter」などのデータセキュリティ製品や、クラウドVPNサービス「Verona」を中核とするネットワークセキュリティ製品・サービスの開発・販売です。これらのセキュリティソリューションは国内外の企業に提供されています。同社は、高収益性の「ALog」に加え、クラウドを活用したネットワーク構築・運用サービスを強化し、収益モデルのSaaS(Software as a Service)化を加速させることで、安定的な経常収益(ARR)の拡大と企業価値の向上を目指しています。その技術的独自性は、長年の実績と独自のセキュリティアーキテクチャにあり、企業の堅牢な情報システムを支える不可欠な存在となっています。

2. 業界ポジション

網屋は、東証グロース市場に上場する情報・通信業の一翼を担い、特にサイバーセキュリティ市場という成長分野において独自のポジションを築いています。主力製品であるサーバーアクセスログ管理システム「ALog」は、法規制遵守や内部統制強化のニーズを背景に、国内市場で高い認知度とシェアを獲得しています。競合他社に対する強みは、データセキュリティとネットワークセキュリティを統合的に提供できる幅広いソリューション力と、自社開発による製品の柔軟性・拡張性です。SaaS化の進展により、サブスクリプション型の安定収益基盤を確立しつつあり、市場での競争優位性をさらに高めています。
財務指標を見ると、網屋のPER(会社予想)は35.90倍であり、情報・通信業の業界平均である66.2倍と比較して相対的に割安感があります。一方でPBR(実績)は9.64倍と、業界平均PBRの3.5倍を大きく上回っており、企業の純資産価値に対する市場の評価が非常に高い、すなわち成長期待が強く織り込まれている状態と言えます。

3. 経営戦略

網屋は、「サブスクリプション化による『谷越え』」の完了を中核戦略に掲げ、安定的な経常収益(ARR)の拡大と利益の最大化を目指しています。データセキュリティ事業の主力製品である「ALog」のサブスクリプションモデルへの完全移行を進め、安定した収益基盤を構築しています。同時に、ネットワークセキュリティ事業ではSASE(Secure Access Service Edge)プラットフォーム「Verona」を中心に、クラウド型仮想ネットワークサービスの提供を強化し、ARRの成長を加速させています。
直近の2025年12月期第3四半期決算説明資料によると、これらの戦略が奏功し、顕在化された利益の増加を受けて、通期業績見通しを期初から複数回にわたり上方修正しています。これは、市場の期待を上回るペースで事業転換と成長を実現していることを示唆しています。今後は、サービス領域のさらなる拡大に加え、海外展開(2026年度本格化予定)への投資を継続し、新たな成長ドライバーを創出する計画です。研究開発や販促投資も継続的に実施することで、競争優位性を維持・強化していく方針です。
また、株主還元策として配当性向20%の導入と株主優待の拡充も発表されており、株主価値の向上にも意欲的に取り組んでいます。今後のイベントとしては、2025年12月29日にEx-Dividend Date(配当落ち日)が予定されています。Q&Aでは、海外展開の具体的な数値目標や為替前提に関する言及はなかったとのことで、現時点では海外事業の具体的な進捗は不確実な要素として残ります。しかし、主力事業の好調な進捗と収益性の改善は、今後の戦略実行に弾みをつけるものと期待されます。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

Piotroski F-Scoreは、企業の財務健全性を9つの指標で評価し、0-9点で点数化することで財務品質を測る指標です。網屋のF-Scoreは以下の通りです。

項目 スコア 判定
総合スコア 8/9 S: 財務優良(収益性・健全性・効率性すべて良好)
収益性 2/3 純利益がゼロを上回り(514,403千円)、ROA(10.51%)もプラスであることから、企業として利益を出す能力は良好です。ただし、営業キャッシュフローの具体的な数値が未提供のため、この項目は評価に含まれませんでした。収益性を構成する二つの項目で明確なプラス評価を得ています。
財務健全性 3/3 流動比率が1.57倍(目安1.5倍以上)と短期的な支払い能力に優れ、D/Eレシオ(負債資本比率)も0.385倍(目安1.0倍未満)と負債が少ない健全な状態です。さらに、発行済株式数に大きな変動がないため、株式希薄化もないと判断され、財務的な健全性は極めて高いと評価できます。
効率性 3/3 営業利益率が21.08%(目安10%以上)と非常に高く、ROE(28.8%)(目安10%以上)も優良な水準を大幅に上回っています。直近の四半期売上成長率も20.20%とプラスであり、企業が資産や資本を効率的に活用し、事業を成長させていることが明確に示されています。

網屋のPiotroski F-Scoreは8/9点であり、これは「S:財務優良」の評価となります。収益性、財務健全性、効率性の全ての側面において非常に良好な状態であることが示されており、財務基盤の強さが際立っています。

【収益性】

網屋の収益性は非常に高い水準で推移しており、成長企業としてのポテンシャルを示しています。

  • 営業利益率(過去12か月): 21.08%
    営業利益率は売上高に占める営業利益の割合で、本業でどれだけ効率的に稼いでいるかを示します。20%を超える営業利益率は極めて高水準であり、ITサービス業界やSaaSビジネス特有の高収益性を反映しています。これは、製品の独自性や競争優位性が高く、価格決定力も一定程度確保されていることを示唆しています。
  • ROE(Return On Equity, 株主資本利益率)(過去12か月): 28.80%
    ROEは株主が出資したお金(自己資本)を使い、どれだけの利益を上げたかを示す指標です。一般的に10%以上が優良とされ、15%を超えると非常に評価されます。網屋の28.80%というROEは、ベンチマークを大幅に上回る優良水準であり、株主資本を極めて効率的に活用し、高いリターンを生み出していることを意味します。これは、経営陣が株主価値向上に貢献している強力な証拠と言えるでしょう。
  • ROA(Return On Assets, 総資産利益率)(過去12か月): 10.51%
    ROAは会社の総資産を使ってどれだけ効率的に利益を上げているかを示す指標で、5%以上が良好な目安とされます。網屋の10.51%というROAは、ベンチマークを大幅に上回る優良水準であり、資産全体から効率的に利益を生み出す能力が高いことを示しています。これは、無駄の少ない資産運用がなされていることを示唆しています。

【財務健全性】

網屋の財務健全性は、成長企業としては良好な水準を維持しています。

  • 自己資本比率(直近実績): 39.4%
    自己資本比率は企業の総資産に占める自己資本の割合で、企業の返済不要な資金源の比率を示し、高ければ高いほど財務が安定しているとされます。一般的に40%以上が望ましいとされていますが、成長投資が活発なグロース企業においては、この水準でも十分健全と見なせます。特に直近の2025年12月期第3四半期では40.5%と改善傾向にあり、堅実な経営を進めていることが伺えます。
  • 流動比率(直近四半期): 1.57倍
    流動比率は流動資産を流動負債で割った比率で、企業の短期的支払い能力を示す指標です。一般的に1.0倍以上が健全、2.0倍以上が優良とされます。網屋の1.57倍という水準は良好であり、短期的な債務の返済能力には問題がないことを示しています。手元資金も潤沢であるため、急な支出にも対応できる体制であると言えるでしょう。

【キャッシュフロー】

キャッシュフロー計算書の具体的な数値は提供されていませんが、決算短信の開示情報からキャッシュフロー状況を推測できます。

  • 契約負債(直近四半期): 1,922百万円(前年同期比+431百万円、+34.0%)
    契約負債とは、顧客から前払いされた収益であり、サービス提供後に売上高として計上される将来の安定的な収益源です。この契約負債が前年同期比で34.0%も増加していることは、SaaSビジネスモデルへの移行が順調に進み、顧客からの信頼を得て、将来の安定的な経常収益(ARR)が大きく伸びていることを明確に示唆しており、将来のキャッシュフローに対する強い期待が持てます。
  • 現金及び預金(直近四半期): 3,971百万円(前年同期比+392百万円)
    潤沢な現金及び預金を保有しており、これは短期的な流動性の高さだけでなく、新規事業投資、M&A、研究開発など、今後の成長戦略を着実に実行するための財務的な柔軟性があることを示しています。

【利益の質】

営業CF/純利益比率の具体的なデータは直接提供されていません。しかし、網屋はSaaSビジネスへの移行を進めており、SaaS企業は一般的に収益認識のタイミングとキャッシュインのタイミングにズレが生じることがありますが、契約負債の堅調な増加は、質の高いキャッシュフローを生み出す体質への転換を示唆しています。非常に高い営業利益率とROEを達成していることから、利益の質も高いと推測されます。すなわち、単に会計上の利益を計上しているだけでなく、実際に手元に資金が残る形で事業活動が行われている可能性が高いと考えられます。

【四半期進捗】

2025年12月期 第3四半期決算短信によると、通期予想に対する進捗は非常に良好です。

指標 2025年12月期Q3累計 (実績) 2025年12月期通期 (会社予想) 進捗率 前年同期進捗率
売上高 4,212百万円 5,750百万円 73.3% 72.5%
営業利益 795百万円 1,000百万円 79.5% 69.4%
純利益 538百万円 680百万円 79.1% 69.5%

最新の第3四半期までの実績で、通期予想に対する売上高、営業利益、純利益の各進捗率はいずれも70%台後半から80%近くに達しており、極めて順調に推移しています。特に営業利益と純利益の進捗率が前年同期を大幅に上回っている点は注目に値します。これは、SaaS化による収益性の改善が想定以上に進んでいること、そして一度積み上がった売上に対するコスト構造が効率化されていることを強く示唆しています。この進捗状況から見ると、会社予想の通期目標の達成、あるいはさらなる上振れの可能性も視野に入れられるほどの好調ぶりであると言えます。

【バリュエーション】

バリュエーション指標は、企業の株価がその価値に対して割安か割高かを判断する上で重要な参考となります。

  • PER(Price Earnings Ratio, 株価収益率)(会社予想): 35.90倍
    PERは株価が1株当たり利益の何倍かを示し、「株価が利益の何年分か」という考え方で、企業が1株当たり稼ぎ出す利益に対して市場がどれくらいの価値を評価しているかを示す指標です。一般的に業界平均より低ければ割安の可能性を、高ければ割高の可能性を示唆します。情報・通信業の業界平均PERが66.2倍であるのに対し、網屋のPERは35.90倍と、業界平均の約半分の水準にあります。この数値だけを見ると、成長企業としてのプレミアムが乗っているものの、同業他社と比較して相対的に割安感があると判断できます。これは、市場が同社の今後の利益成長を期待しつつも、業界全体の高水準と比較してまだ評価の余地を残している状態と言えるでしょう。
  • PBR(Price Book-value Ratio, 株価純資産倍率)(実績): 9.64倍
    PBRは株価が1株当たり純資産の何倍かを示し、「株価が会社の解散価値の何倍か」という考え方で、企業の純資産(自己資本)に対して市場がどれくらいの価値を評価しているかを示す指標です。PBRが1倍未満であれば、会社の純資産が株価を上回っており、理論上は会社が解散した場合に株主は投資額以上の資産を受け取れる可能性があり、割安と判断されることがあります。一方で、高いPBRは、企業の将来的な成長性や無形資産(ブランド力、技術力など)に対する期待が高いことを示します。網屋のPBRは9.64倍と、業界平均PBRの3.5倍を大きく上回っており、割高と判断されます。これは、同社が持つ独自の技術力、成長戦略、SaaSモデルによる将来の収益ポテンシャルといった、貸借対照表に表れない無形資産価値に対する市場の強い評価と期待が、株価に色濃く反映されているためと考えられます。

【テクニカルシグナル】

テクニカルな指標は、過去の株価の動きから将来のトレンドを予測するための参考となります。

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: -69.32 / シグナルライン: -64.71 MACDは移動平均線収束拡散指標で、短期と長期の移動平均線の関係からトレンドの方向性や強さを示す指標です。MACD値がシグナルラインを下回っており、ヒストグラムがマイナス圏にあるため、短期的には下落傾向が継続している状態です。明確なトレンド転換のシグナルは現時点では出ていません。
RSI 中立 49.3% RSI(Relative Strength Index, 相対力指数)は、買われすぎか売られすぎかを示すオシレーター系の指標で、70%以上で買われすぎ、30%以下で売られすぎと判断されることが多いです。網屋のRSIは49.3%と中立的な水準にあり、直近では買われすぎでも売られすぎでもない、バランスの取れた状況を示しています。

【移動平均乖離率】

移動平均線乖離率は、現在の株価と特定の期間の移動平均線との乖離度合いを示し、株価の過熱感や割安感を測る指標です。

  • 5日線乖離率: +1.74%
    株価が5日移動平均線をわずかに上回っており、非常に短期的な視点では買いモメンタムが働いていることを示唆します。直近の株価反発が見られます。
  • 25日線乖離率: -3.51%
    株価が25日移動平均線を下回っており、短期的なトレンドからは下降傾向にあります。
  • 75日線乖離率: -10.64%
    株価が75日移動平均線を大きく下回っており、中期的な調整局面、あるいは下降トレンドが継続していることを示唆しています。
  • 200日線乖離率: -9.26%
    株価が200日移動平均線を下回っており、長期的なトレンドも下降傾向にあることを示しています。

【テクニカル】

現在の株価2,906.0円は、52週高値4,400.0円と52週安値1,455.0円の中間付近(52週レンジ内位置:49.3%)に位置しています。年初来安値からは大きく上昇しているものの、半年間のトレンドで見ると高値から調整局面に入っている状況です。
移動平均線との関係では、現在の株価は5日移動平均線(2,856.40円)を上回っていますが、25日移動平均線(3,011.76円)、75日移動平均線(3,265.71円)、200日移動平均線(3,190.80円)を大きく下回っています。このことから、短期的な反発は見られるものの、中期・長期的な株価トレンドは下降傾向にあると判断できます。
過去1ヶ月のレンジは2,671.00円~3,315.00円、3ヶ月のレンジは2,671.00円~4,145.00円であり、現在の株価はこれらのレンジの下限に近い水準にあります。2,671円付近が短期的なサポートラインとして意識される可能性がありますが、より上の移動平均線がレジスタンスラインとして機能しやすい状況です。

【市場比較】

日経平均株価やTOPIXといった主要市場指数との比較は、個別銘柄の相対的なパフォーマンスを評価する上で重要です。

  • 日経平均比:
    • 1ヶ月リターン: 株式-12.60% vs 日経+10.99% → 網屋は日経平均を23.60%ポイント下回る
    • 3ヶ月リターン: 株式-21.25% vs 日経+13.30% → 網屋は日経平均を34.55%ポイント下回る
    • 6ヶ月リターン: 株式-12.60% vs 日経+43.09% → 網屋は日経平均を55.69%ポイント下回る
    • 1年リターン: 株式+73.49% vs 日経+46.27% → 網屋は日経平均を27.23%ポイント上回る
  • TOPIX比:
    • 1ヶ月リターン: 株式-12.60% vs TOPIX+9.71% → 網屋はTOPIXを22.31%ポイント下回る

網屋の株価は、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月といった短期から中期にかけて、日経平均株価やTOPIXといった市場全体の動きを大幅に下回るパフォーマンスを示しています。これは、市場全体が堅調に推移する中で、網屋の株価が調整局面または独自の下落トレンドにあったことを示唆しています。特にグロース株全般が金利高環境下で調整圧力にさらされやすい傾向があったことや、同社自身が高値から調整局面に入ったことが影響している可能性があります。
しかし、1年間の長期スパンで見ると、網屋の株価は+73.49%のリターンを記録しており、日経平均(+46.27%)を大きく上回るパフォーマンスを達成しています。これは、一時的な株価調整があったものの、中長期的な視点では同社の成長性が市場から高く評価され、株価に反映されてきたことを示しています。つまり、短期的なセンチメントに左右されやすいものの、企業の実態としての成長力は持続していると解釈できます。

【注意事項】

  • ⚠️ 信用倍率が7.47倍と高水準であるため、将来的にこの信用買い残が解消される際に売り圧力として株価に影響を与える可能性があります。短期的な需給バランスには十分な注意が必要です。
  • 高いPBR(9.64倍)は、市場が同社に対して大きな成長期待を抱いていることを意味しますが、この期待を下回る業績となった場合、株価が大きく調整する「グロース株リスク」が顕在化する可能性があります。

【定量リスク】

定量的なリスク指標は、投資家がこの銘柄のボラティリティ(変動性)やリスクに見合うリターンを評価する上で役立ちます。

  • ベータ値(5Y Monthly): 0.34
    ベータ値は、市場全体の動きに対して個別銘柄の株価がどれだけ連動して変動するかを示す指標です。1.0が市場全体と同程度の変動、1.0より高ければ連動性が高く変動幅も大きくなる傾向があり、1.0より低ければ連動性が低く、市場全体の変動に左右されにくい傾向があることを示します。網屋の0.34という低いベータ値は、市場全体の動きに対する株価の感応度が低いことを意味します。つまり、日経平均やTOPIXが大きく変動しても、網屋の株価は比較的穏やかに推移する傾向があることを示唆しています。これは市場全体のリスクをヘッジしたいと考える投資家にとっては魅力的に映るかもしれません。
  • 年間ボラティリティ: 89.98%
    ボラティリティは株価の変動の激しさを示す指標です。89.98%という年間ボラティリティは非常に高い水準であり、網屋の株価が大きく変動しやすい銘柄であることを示しています。投資家は、この高い変動リスクを許容できるか、十分なリスク管理ができるかを考慮する必要があります。
    仮に100万円投資した場合、年間で±89.98万円程度の変動が想定されるため、短期間で大きな利益を得るチャンスがある一方で、同程度の大きな損失を被る可能性も十分にあります。
  • シャープレシオ: 0.27
    シャープレシオは、リスク1単位あたりに得られたリターンを示す指標で、値が高いほど効率的にリターンを得られていると評価されます(一般的に1.0以上が良好)。網屋のシャープレシオ0.27は、市場リターンと比較して、リスクに見合うほどのリターンが十分に得られていない状態を示しており、リスクに対するリターン効率は低いと判断されます。これは高いボラティリティを持つ一方で、その変動に見合った超過リターンを安定的に生み出すには至っていないことを示唆します。
  • 最大ドローダウン: -76.74%
    最大ドローダウンは、過去の一定期間において、資産が最高値から最も大きく下落した割合を示す指標です。網屋の最大ドローダウンが-76.74%という極めて大きな値であることは、過去に株価が最高値から約77%も下落した経験があることを意味します。この程度の大きな下落は今後も起こりうる可能性があり、投資家はこうした大幅な下落トレンドに耐えうる覚悟と、長期投資の視点を持つことが肝要です。

【事業リスク】

  • SaaS移行における解約リスクと競争激化: 主力事業のSaaS化は安定収益に繋がる一方で、既存のオンプレミス型ライセンスからSaaSへの移行期間中には、旧体系の契約の解約率が一時的に上昇する可能性があります。新規SaaS契約の獲得がこれを上回らなければ、全体の事業成長に悪影響を及ぼす可能性があります。また、サイバーセキュリティ市場は国内外で新規参入も多く、技術革新も速いため、常に高機能な競合製品の登場や価格競争のリスクに晒されています。同社は継続的な研究開発投資を行う方針ですが、他社の画期的なソリューションに遅れを取ることは事業の成長を鈍化させる可能性があります。
  • 海外展開に伴う不確実性: 2026年度以降に海外展開を本格化する計画ですが、Q&Aでは具体的な数値目標や為替前提は示されていません。海外市場では、異なる市場環境、法規制、商習慣、競合状況、人材確保の難しさなど、日本国内とは異なる様々なリスク要因が存在します。特に為替変動は、売上や利益に直接的な影響を及ぼす可能性があり、事業計画の達成に対する不確実性を高める要因となります。
  • マクロ経済環境とSaaS需要の変動: 世界的な景気減速やインフレ、金利上昇などのマクロ経済環境の変化は、企業のIT投資、特に新たなセキュリティソリューションへの投資意欲に影響を与える可能性があります。SaaSモデルの柔軟性はあるものの、景気悪化が企業のコスト削減意識を高めた場合、SaaS契約の新規獲得や既存契約の更新に悪影響が出る可能性も考えられます。また、サイバーセキュリティ対策は企業の必須投資である側面が強いとはいえ、需要の鈍化がまったくないとは言い切れません。

7. 市場センチメント

市場センチメントは、投資家心理や需給バランスを測る上で参考になります。

  • 信用取引状況: 信用買残257,700株に対し、信用売残34,500株で、信用倍率は7.47倍と高水準です。信用倍率が高いということは、将来的にこの信用買い残が利益確定、または損失確定のための「売り」に回る可能性があり、株価の上値を抑えたり、下落局面では売り圧力を加速させたりする要因となり得ます。これは、投資家が短期での上昇を期待して多額の資金を投じている状況を示唆しており、需給面ではやや懸念材料と言えます。
  • 主要株主構成: 上位株主は(株)チャクル(26.93%)、代表者である石田晃太氏(10.90%)、金融機関の信託口などが名を連ねています。特に、インサイダー(経営陣・役員など)による保有比率が52.79%と非常に高く、大株主であると同時に経営を担う中心人物が多くの株式を保有している状況です。これは、経営陣が株価を強く意識した経営を行うインセンティブが高いことを意味し、株主との利益一致の観点からはポジティブに評価できます。一方で、発行済み株式に占める浮動株(Float)は3.41M株と比較的少なく、流動性が低い側面もある点には留意が必要です。

8. 株主還元

網屋の株主還元策は、成長投資と並行して株主への利益配分を強化する姿勢が窺えます。

  • 配当利回り(会社予想): 0.54%(株価2,906.0円に対し、1株配当15.73円)
    配当利回りは、株価に対する年間の配当金の割合を示す指標です。0.54%という利回りは、高配当銘柄と比較すると低い水準であり、成長企業として利益を内部留保し、成長投資に充てる方針を採っていることを示唆しています。しかし、同社は2025年12月期から配当を開始しており、成長段階にある企業としては重要な一歩と言えます。
  • 配当性向: 0.0%(データ上の実績)
    配当性向は、企業の税引後利益のうち、どれだけの割合を配当金として株主に還元しているかを示す指標です。提供データでは過去の配当実績が0円であったため0%と表示されていますが、2025年12月期からは年間15.73円の配当を予定しており、会社としては配当性向20%を目標としています。これは、成長のために内部留保を優先しつつも、株主への還元もバランス良く行おうとする経営姿勢を示していると言えるでしょう。
  • 自社株買いの状況: 現時点での自社株買いに関する情報は明示されていません。今後、株主還元のさらなる強化を目指す場合、自社株買いの実施も選択肢となる可能性があります。
  • 株主優待: 網屋は株主優待制度も設けており、QUOカードを株主へ贈呈しています。特に、株主優待の対象となる保有株数の下限が400株から200株に引き下げられ、内容も最大15,000円分に拡充されました。これは、個人投資家への魅力を高め、より幅広い層の株主獲得を目指す積極的な姿勢の表れと評価できます。

SWOT分析

強み

  • 高収益なSaaSモデルへの転換: 主力製品「ALog」のサブスクリプション化が奏功し、高利益率を維持しつつ安定的な収益源を確保。
  • データとネットワークの統合セキュリティソリューション: 幅広い製品ポートフォリオと技術的独自性により、企業の複雑なセキュリティニーズに包括的に対応可能。

弱み

  • 高いバリュエーション: 特にPBRが業界平均を大きく上回り、過度な成長期待が株価に織り込まれている可能性。
  • 信用倍率の高さと株価ボラティリティ: 高い信用買い残と大きな株価変動リスクが短期的な需給バランスに影響を与える可能性。

機会

  • サイバーセキュリティ市場の継続的拡大: DX推進やクラウドシフトに伴い、企業のセキュリティ投資がさらに加速する環境。
  • SASE市場の成長と海外展開への期待: クラウド型ネットワークセキュリティ「Verona」のSASE領域での拡大と、2026年以降の海外展開による新たな成長フロンティア。

脅威

  • 激化する競争環境と技術革新のスピード: 国内外の競合の台頭や、予測不能なサイバー脅威への技術的追従の必要性。
  • マクロ経済の動向と投資家心理の変化: 景気減速や金利高止まりが企業のIT投資意欲を減退させたり、グロース株評価に逆風となったりする可能性。

この銘柄が向いている投資家

  • SaaSビジネスモデルの成長に期待する長期投資家: サブスクリプションモデルへの移行とARR拡大による持続的な成長ストーリーに魅力を感じる方。
  • 高リスク・高リターンを許容できる成長株投資家: 高い成長性と収益性を持つ一方で、株価変動(ボラティリティ)が大きく、投資には忍耐力とリスク管理能力が求められる銘柄です。

この銘柄を検討する際の注意点

  • グロース株特有の高いバリュエーションを正当化するほどの、継続的な高成長と収益改善が実現できるかを慎重に見極める必要があります。特に、海外展開の状況やSASE事業の進捗には注目が必要です。
  • 信用倍率の高さが示す短期的な需給バランスの悪化、そして高い株価ボラティリティがもたらす下落リスクには注意し、自身のリスク許容度に応じた投資判断が求められます。

今後ウォッチすべき指標

  • ARR(年間経常収益)の成長率の維持・加速: 特にデータセキュリティ事業とSASE関連製品のARRの伸びが、将来の安定収益と成長性を測る上で最も重要な指標です。
  • 海外事業の具体的進捗率と収益貢献度: 2026年以降に本格化する予定のため、その後の決算資料や適時開示における数値目標や実績に注目が必要です。

成長性 | S | 極めて優良

網屋は、過去5年間で売上高を継続的に伸ばしており、特に過去12ヶ月の売上高成長率は20.20%と非常に高い水準を誇ります。さらに、2025年12月期の通期会社予想も前期比+20.6%と引き続き高成長を見込んでいます。主力事業のSaaS化が順調に進むことで、安定的なARR(年間経常収益)が積み上がり、サイバーセキュリティ市場の拡大という追い風も受けて、今後も持続的な高成長が期待できるため、「S」評価としました。

収益性 | S | 極めて優良

網屋の収益性は非常に高く、ROE(過去12か月)は28.80%と、一般的な優良企業の目安である15%を大幅に上回っています。また、営業利益率も21.08%と、ITサービス業の中でも傑出した水準です。これらの指標は、株主から預かった資本や会社の資産を極めて効率的に活用し、高い利益を生み出す能力があることを示しています。SaaSモデルの特性が活かされ、固定費を抑えつつ売上を伸長させることで、今後も高い収益性を維持・向上していく見込みであるため、「S」評価としました。

財務健全性 | S | 優良

自己資本比率は39.4%(直近Q3で40.5%)と良好な水準であり、流動比率は1.57倍と短期的支払い能力にも問題ありません。Piotroski F-Scoreも8/9点と「S:財務優良」の評価を得ており、収益性、財務健全性、効率性の全てにおいて非常に堅牢な財務基盤を有していることが示されています。現預金も潤沢であり、安定的な事業運営のための財務的な余力も十分であると判断できるため、「S」評価としました。

バリュエーション | D | 割高

網屋のPER(会社予想)は35.90倍で、情報・通信業の業界平均PER66.2倍と比較すると相対的に割安感がありますが、PBR(実績)は9.64倍と、業界平均PBR3.5倍を大きく上回っています。これは、企業の純資産価値と比較して株価が非常に高く評価されており、市場が網屋の将来の成長に対して非常に大きな期待を織り込んでいることを意味します。現在の株価水準は、今後の高成長が実現されることを前提としたものであるため、現状では「D」評価としました。今後の実績が市場の期待を継続的に上回ることが、現在の高いバリュエーションを正当化する条件となります。


企業情報

銘柄コード 4258
企業名 網屋
URL https://www.amiya.co.jp/
市場区分 グロース市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,906円
EPS(1株利益) 81.31円
年間配当 0.54円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 23.7% 51.7倍 12,165円 33.2%
標準 18.2% 45.0倍 8,440円 23.8%
悲観 10.9% 38.2倍 5,221円 12.4%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 2,906円

目標年率 理論株価 判定
15% 4,199円 ○ 31%割安
10% 5,244円 ○ 45%割安
5% 6,617円 ○ 56%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.20)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。

投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。

なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。

企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

ジニーは、Smart Stock NotesのAIアシスタントです。膨大なデータとAIの力で、企業や市場の情報をわかりやすくお届けします。投資に役立つ参考情報を提供することで、みなさまが安心して自己判断で投資を考えられるようサポートします。