企業の一言説明

日進工具は、部品加工・金型向けの小径超硬エンドミルに特化した、高付加価値切削工具を展開する中堅の機械セクター企業です。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 極めて高い財務健全性:無借金経営を貫き、自己資本比率90%超、流動比率12倍超と非常に強固な財務基盤を持つ企業です。市場変動や景気後退期においても安定性が期待できます。
  • 独自の技術に裏打ちされた高収益体質:部品加工・金型向け小径超硬エンドミルというニッチ市場で高い技術力とブランド力を確立しており、過去12ヶ月の営業利益率は20%超と極めて高い水準を維持しています。
  • 業績の伸び悩みと市場評価の割高感:2026年3月期の通期予想では減収減益を見込んでおり、足元の業績はピークアウト傾向にあります。現在の株価はPERが業界平均の約2.2倍、PBRが約1.8倍と、市場平均と比較して割高と評価されており、今後の業績回復や成長戦略の具体化が株価を動かす主要因となるでしょう。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 D 業績停滞・減益
収益性 B 営業利益率高
財務健全性 A 極めて良好
バリュエーション D 割高感強い

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 912.0円
PER 24.13倍 業界平均10.7倍 (2.25倍)
PBR 1.24倍 業界平均0.7倍 (1.77倍)
配当利回り 3.29%
ROE 7.07%

1. 企業概要

日進工具は1954年に設立され、1979年に株式会社化された切削工具の中堅メーカーです。主に部品加工や金型製作で使用される小径超硬エンドミルに特化しており、微細加工技術を強みとしています。主力製品であるエンドミルは、スマートフォン、自動車、医療機器など幅広い産業分野における精密部品の製造に不可欠な工具として利用され、独自の微細加工技術と品質管理体制で高付加価値製品を提供することで収益を上げています。その技術的独自性とニッチ市場での優位性により、高い参入障壁を築いています。

2. 業界ポジション

日進工具は、切削工具市場の中でも特に小径超硬エンドミルというニッチな分野で高い存在感を示す中堅企業です。競合他社が大手総合工具メーカーであるのに対し、同社は特定のニッチ領域に特化することで、高い専門性と技術力を保持しています。この特化戦略により、特定の顧客層に対して迅速かつ高品質な製品供給が可能となり、大手との差別化を図っています。
財務指標を見ると、同社のPER(株価収益率)は24.13倍と業界平均の10.7倍を大きく上回っており、PBR(株価純資産倍率)も1.24倍と業界平均の0.7倍を上回っています。これは、市場が同社の独自の技術力や安定した事業基盤を評価している側面がある一方で、現在の株価は業界平均と比較して割高感があることを示唆しています。

3. 経営戦略

日進工具は、主力の小径超硬エンドミル分野での技術革新と高付加価値製品の開発に注力し、高水準の営業利益率を維持する戦略を掲げています。具体的には、多様化する顧客ニーズに対応するため、特殊な材質や形状のエンドミル開発を強化し、精密加工分野での深耕を図っています。
直近の通期業績予想では減収減益を見込んでいるものの、第3四半期までの実績では経常利益が前年同期比で8%増益となるなど、堅調な推移を見せています。これは、市場環境の変化への迅速な対応やコスト管理の徹底が功を奏しているものと考えられます。今後のイベントとしては、2026年3月30日に配当落ち日が予定されています。その他、大規模なM&Aや設備投資といった重要な適時開示は直近で確認されていません。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 3/9 B: 普通
収益性 1/3 ROAがプラスである点は評価できるものの、純利益や営業キャッシュフローに関する情報が不足しており、詳細な評価が困難です。
財務健全性 1/3 流動比率は非常に高いものの、有利子負債や株式希薄化に関する評価情報が不足しています。
効率性 1/3 営業利益率は高いですが、ROEがベンチマークをクリアしておらず、四半期売上成長率がマイナスである点が懸念されます。

重要: 提供されたF-Scoreは、一部の評価項目(純利益チェック、営業キャッシュフローチェック、D/Eレシオチェック、株式希薄化チェック)でデータ不足のため評価不能(N/A)となっており、これが総合スコアを低く見せている可能性があります。ただし、現行データに基づく評価としては「普通」と判断されます。

【収益性】

  • 営業利益率(過去12か月): 21.96%
    • 同社の営業利益率は過去12ヶ月で20%を超えており、非常に高い水準を維持しています。これは、技術力とニッチ市場での優位性が強力な価格決定力に結びついていることを示します。
  • ROE(実績): 7.07%
    • ベンチマーク: 10%
    • ROEは7.07%と、資本効率の一般的な目安とされる10%を下回っています。これは、収益性は高いものの、自己資本を効率的に活用して株主価値を創造する余地があることを示しています。
  • ROA(過去12か月): 5.66%
    • ベンチマーク: 5%
    • ROAは5.66%と、総資産に対する収益性を示す一般的な目安である5%を上回っており、資産を効率的に活用できていると評価できます。

【財務健全性】

  • 自己資本比率(実績): 91.4%
    • 90%を超える極めて高い自己資本比率は、同社が負債に依存しない安定した経営を行っていることを示し、財務的な安全性は非常に高いと言えます。
  • 流動比率(直近四半期): 12.79倍(1,279%)
    • ベンチマーク: 200%
    • 流動比率は12.79倍と、短期的な支払い能力を示す200%を大幅に上回っており、極めて高い流動性を有しています。これは、短期債務に対する支払い余力が非常に大きいことを意味します。

【キャッシュフロー】

営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローの具体的な数値は提供されていません。

【利益の質】

営業キャッシュフローと純利益の具体的な数値が提供されていないため、営業CF/純利益比率の算出はできません。

【四半期進捗】

2026年3月期 第3四半期決算短信によると、通期予想(売上9,140百万円、営業利益1,310百万円、純利益940百万円)に対する進捗率は以下の通りです。

  • 売上高: 6,955百万円 (通期予想の76.1%)
  • 営業利益: 1,283百万円 (通期予想の98.0%)
  • 純利益: 924百万円 (通期予想の98.3%)

売上高の進捗率はやや遅れが見られるものの、営業利益と純利益は通期予想に対して極めて高い進捗率で推移していることが分かります。これは、通期予想が保守的に設定されている可能性を示唆しています。
直近3四半期の売上高・営業利益の具体的な推移は決算短信から直接読み取れませんが、第3四半期累計では売上高が前年同期比△1.2%、営業利益が△1.1%と微減ながら、経常利益は+0.8%と若干の増益となっており、利益面では底堅さが見られます。

【バリュエーション】

  • PER(会社予想): 24.13倍
    • 業界平均PER: 10.7倍
    • 株価が利益の何年分に当たるかを示すPERは24.13倍であり、業界平均の10.7倍と比較して約2.25倍と大幅に割高感があります。
  • PBR(実績): 1.24倍
    • 業界平均PBR: 0.7倍
    • 株価が純資産の何倍かを示すPBRは1.24倍であり、業界平均の0.7倍と比較して約1.77倍と割高感が強いです。PBR1倍未満は解散価値を下回るとされますが、同社は1倍を上回っています。

現在のバリュエーションは、同社の高い財務健全性や独自の技術力に対する期待が織り込まれている可能性もありますが、業績の伸び悩みと合わせて考えると、割安とは言えない水準です。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: 10.8 / シグナル値: 5.88 短期トレンド方向を示す
RSI 中立 60.8% 70以上=過熱、30以下=売られすぎ
5日線乖離率 -0.22% 直近のモメンタム
25日線乖離率 +3.11% 短期トレンドからの乖離
75日線乖離率 +6.05% 中期トレンドからの乖離
200日線乖離率 +15.50% 長期トレンドからの乖離

現在のMACDは陽転しているものの、ゴールデンクロスとデッドクロスの明確な状態を示していません。RSIは60.8%と買われすぎ・売られすぎの水準ではないため、中立的な状態と判断できます。

【テクニカル】

現在の株価912.0円は、52週高値937.0円の91.3%水準に位置しており、高値圏にあります。5日移動平均線 (914.0円) をわずかに下回っていますが、25日移動平均線 (884.48円)、75日移動平均線 (859.96円)、200日移動平均線 (789.12円) をすべて上回っています。これは、短期的な調整の可能性はあるものの、中長期的な上昇トレンドは継続していることを示唆しています。

【市場比較】

日進工具の株価パフォーマンスは、主要市場指数である日経平均株価やTOPIXと比較して、過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年間のすべての期間で下回っています。特に6ヶ月、1年といった比較的長期的な期間では、市場全体の強い上昇トレンドから大きく乖離しており、相対的にアンダーパフォームしている状況です。これは、同社の業績の伸び悩みや、市場が好景気の中でより高い成長性を求める傾向にあることが影響している可能性があります。

【定量リスク】

  • ベータ値 (5Y Monthly): 0.18
    • ベータ値が0.18と非常に低いことから、市場全体の動き(日経平均やTOPIX)に対する連動性が小さいことを示します。これは市場全体が大きく変動しても株価の変動が比較的小さいことを意味し、市場リスクを抑えたい投資家には魅力となり得ます。
  • 年間ボラティリティ: 22.73%
    • 年間ボラティリティは22.73%であり、比較的安定した銘柄と言えます。仮に100万円投資した場合、年間で±22.73万円程度の株価変動が想定されます。
  • 最大ドローダウン: -28.93%
    • 過去の最大下落率が-28.93%であることを意味します。これは、過去にこの程度の大きな下落が起こった経験があるため、今後も同様の事態が起こる可能性を考慮に入れるべきです。

【事業リスク】

  • 景気変動および設備投資動向: 同社の製品は部品加工や金型製造に使用されるため、国内・海外の設備投資動向や最終製品需要(自動車、電機、半導体など)の景気変動に大きな影響を受けます。世界経済の減速や特定の産業分野での需要低迷は、業績に直接的な打撃を与える可能性があります。
  • 為替変動リスク: 製品の輸出入や原材料の調達において為替変動の影響を受けます。為替レートの急激な変動は、売上高や利益率の悪化につながる可能性があります。
  • 原材料価格の高騰: 超硬エンドミルはタングステン等の希少金属を主要原材料としており、これらの国際市況価格の変動は、製造コストに影響を与え、収益性を圧迫するリスクがあります。
  • 技術革新と競争: 微細加工技術は常に進化しており、競合他社による新たな技術や製品の開発、価格競争の激化は、同社の市場シェアや収益性を低下させる可能性があります。

7. 市場センチメント

信用買残は100,700株、信用売残は54,400株であり、信用倍率は1.85倍です。信用倍率は1倍を上回っており、買い残が多い状況ではありますが、極端に高い水準ではないため、急激な将来の売り圧力の懸念は限定的と考えられます。
主要株主は、エムワイコーポレーション、(株)ソルプティ、日本マスタートラスト信託銀行といった法人株主が上位を占めています。さらに、後藤弘治氏(代表者)、後藤隆司氏、後藤勇二氏といった創業者一族も上位株主として名を連ねており、安定株主の存在は経営安定に寄与していると考えられます。インサイダー保有比率が37.05%と高く、経営陣が株価に対して強いコミットメントを持っていると推測されます。

8. 株主還元

  • 配当利回り(会社予想): 3.29%
    • 現在の配当利回りは3.29%で、市場全体と比較しても魅力的な水準にあります。
  • 1株配当(会社予想): 30.00円
  • 配当性向 (2025年3月期): 59.1%
    • 配当性向は59.1%と、利益の約6割を配当に回しており、積極的な株主還元姿勢を示しています。長期的に見ると、過去の配当性向は30%台で推移していましたが、近年上昇傾向にあります。
  • 自社株買いの状況: 直近の決算短信によると、期末自己株式数は641,263株(前期116,163株)と増加しており、自社株買いを通じて株主還元または資本効率の改善に努めていることが分かります。

今後のイベントとして、2026年3月30日に配当落ち日が予定されています。

SWOT分析

強み

  • 小径超硬エンドミルに特化した独自の微細加工技術とニッチ市場での高い優位性
  • 自己資本比率90%超、流動比率12倍超の極めて強固な財務健全性

弱み

  • 景気変動や設備投資動向に左右されやすい事業構造による業績の安定性への懸念
  • 業界平均と比較して割高なバリュエーション水準

機会

  • 5G、IoT、EVなどの先端産業分野における精密加工ニーズの拡大
  • アジアを中心とした新興国市場での精密部品製造ニーズの取り込み

脅威

  • 主要原材料価格(タングステン等)の変動や為替レートの不安定化
  • 競合他社の技術革新や価格競争の激化による市場シェアの浸食

この銘柄が向いている投資家

  • 安定した財務基盤と配当を重視する長期投資家: 極めて高い自己資本比率と無借金経営、そして安定した配当実績は、リスクを抑えつつ長期的に保有したい投資家にとって魅力的です。
  • ニッチトップ企業への投資を好む投資家: 特定分野で高い技術力と専門性を持ち、市場での優位性を確立している企業に価値を見出す投資家に向いています。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 業績の動向とバリュエーション: 2026年3月期は減収減益予想であり、現在のPER/PBRは業界平均よりも割高です。今後の業績回復トレンドや、成長戦略の具体化が明確になるまでは、株価の本格的な上昇は限定的である可能性があります。
  • 市場からの評価: 足元では日経平均やTOPIXをアンダーパフォームしており、市場全体のモメンタムには乗り切れていない状況です。

今後ウォッチすべき指標

  • 四半期ごとの売上高・営業利益の推移: 特に2026年3月期の通期予想に対する進捗率と上方修正の有無を注視し、業績の底打ちと回復の兆しを見極める。
  • 配当性向とEPSの動向: 高い配当性向が維持できるか、EPSの減少傾向に歯止めがかかるかを注視する。

成長性: D (業績停滞・減益)

過去の業績推移を見ると、売上高は横ばいから微減傾向にあり、特に2026年3月期の通期予想では減収減益を見込んでいます。一株利益(EPS)も2022年3月期をピークに減少傾向にあり、持続的な成長は見えにくい状況です。

収益性: B (営業利益率高)

ROEは実績で7.07%とベンチマークの10%を下回っていますが、営業利益率は過去12ヶ月で21.96%と非常に高い水準を維持しており、卓越した収益力を有しています。これは、高付加価値製品と効率的な事業運営の賜物であり、収益性の評価を良好に保つ要因です。

財務健全性: A (極めて良好)

自己資本比率は91.4%と極めて高く、無借金経営を継続していることから、財務基盤は盤石です。流動比率も12.79倍と非常に高く、短期的な支払い能力も抜群です。Piotroski F-Scoreは3/9点と「普通」評価ですが、これはデータ不足による要因が大きく、実質的な財務健全性は極めて高いと評価できます。

バリュエーション: D (割高感強い)

PERは24.13倍、PBRは1.24倍と、それぞれ業界平均の10.7倍、0.7倍を大幅に上回っています。これは現在の株価が業界平均と比較して割高と判断される水準であり、割安感は乏しいと評価できます。


企業情報

銘柄コード 6157
企業名 日進工具
URL http://www.ns-tool.com/
市場区分 スタンダード市場
業種 機械 – 機械

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 912円
EPS(1株利益) 37.79円
年間配当 3.29円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.7% 25.4倍 997円 2.1%
標準 0.6% 22.1倍 860円 -0.8%
悲観 1.0% 18.8倍 747円 -3.5%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 912円

目標年率 理論株価 判定
15% 436円 △ 109%割高
10% 544円 △ 68%割高
5% 687円 △ 33%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.20)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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