企業の一言説明

堺化学工業は、酸化チタンをはじめとする多岐にわたる化学製品を展開する、素材・化学業界における老舗技術企業です。電子材料分野を強化しつつ、医薬品事業も手掛ける事業多角化が特徴です。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 多角的な事業ポートフォリオと主要事業の成長: 電子材料、有機化学品、触媒といった成長分野が業績を牽引しており、特定の市場変動リスクを分散する強みがあります。
  • 強固な財務基盤と株主還元意欲: 自己資本比率63.5%、流動比率258%と財務健全性が非常に高く、今期最終利益を下方修正しつつも配当を増額するなど、株主還元への意識が見られます。
  • 一時的な純利益の下方修正と信用倍率の高止まり: 前期の大幅赤字からの回復途上にある中で、今期の最終利益を減損損失計上により下方修正しており、市場センチメントはネガティブ傾向にあります。また、信用倍率が30倍を超えて高止まりしており、将来的な株価の重しとなる可能性があります。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 D 停滞・低成長
収益性 C やや不安
財務健全性 A 良好
バリュエーション S 割安

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 3,735.0円
PER 19.53倍 業界平均20.4倍
PBR 0.74倍 業界平均1.1倍
配当利回り 3.88%
ROE 6.57%

1. 企業概要

堺化学工業は1918年創業の歴史を持つ化学品メーカーです。主力製品である酸化チタンに加え、電子材料、化粧品材料、有機化学品、樹脂添加剤、触媒、さらに風邪薬「改源」を含む医療事業など、多岐にわたるファインケミカル製品を提供しています。特に電子材料分野への注力を強化しており、多角的な事業展開と特定の技術的独自性により、幅広い産業分野に貢献しています。

2. 業界ポジション

堺化学工業は、化学業界の中でも「Specialty Chemicals(特殊化学品)」セクターに位置し、多様な製品ポートフォリオを持つことで知られています。酸化チタン分野では大手の一角を占め、電子材料や医療分野など高付加価値製品に展開し、景気変動や特定の産業の動向に左右されにくい事業構造を構築しています。主要な財務指標を見ると、PER19.53倍(業界平均20.4倍)、PBR0.74倍(業界平均1.1倍)と、業界平均と比較してPBRが割安圏にあり、市場からの評価は比較的低位に留まっているように見えますが、これは収益性の変動による影響も考えられます。

3. 経営戦略

堺化学工業は、電子材料事業の強化を成長戦略の柱の一つとしています。2026年3月期第3四半期決算では、売上高は前年同期比で微減となったものの、売上構成の変化やコストコントロールにより営業利益は14.7%増と大幅な改善を見せました。特に電子材料、有機化学品、触媒セグメントが二桁成長を記録し、利益増加に貢献しています。一方、化粧品材料事業においては減損損失を計上するなど、事業ポートフォリオの最適化を進めている様子が窺えます。株主還元策として、今期最終利益は下方修正されたものの、年間配当は15円増額の145円が予定されており、安定的な株主還元姿勢を維持しています。
今後のイベント:

  • March 30, 2026: Ex-Dividend Date(配当権利落ち日)

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

F-Scoreは、企業の財務健全性を評価するための包括的な指標です。9点満点で評価され、7-9点は優良、5-6点は良好とされます。

項目 スコア 判定
総合スコア 5/9 A:良好(全体的に健全だが一部改善余地あり)
収益性 2/3 純利益が黒字かつROAが黒字で収益基盤は一定程度確保されています。
財務健全性 3/3 流動比率とD/Eレシオ、株式希薄化の観点から財務基盤は非常に強固です。
効率性 0/3 営業利益率とROEが低く、四半期売上高が減少しており、資本効率と成長面に課題が見られます。

【収益性】

  • 営業利益率(過去12か月): 9.91%
    • ベンチマーク10%に僅かに届かないものの、一般的な目安としては良好な水準です。
  • ROE(実績): 6.57%
    • 株主資本をどれだけ効率的に使って利益を出しているかを示す指標で、ベンチマークの10%を下回っており、資本効率には改善の余地があります。
  • ROA(過去12か月): 3.49%
    • 総資産に対する利益の割合で、ベンチマークの5%を下回っており、資産全体の運用効率も改善の余地があることを示唆しています。

【財務健全性】

  • 自己資本比率(実績): 63.5%
    • 総資産に占める自己資本の割合で、非常に高い水準にあり、財務基盤が強固であることを示します。
  • 流動比率(直近四半期): 2.58倍 (258%)
    • 短期的な支払い能力を示す指標で、200%以上が望ましいとされる中で非常に良好な水準です。

【キャッシュフロー】

  • 営業活動によるキャッシュフロー(2025年3月期): 12,005百万円
    • 本業で現金を稼ぐ力があり、非常に安定しています。
  • フリーキャッシュフロー(2025年3月期): 6,291百万円
    • 自由に使える現金が潤沢にあり、事業拡大や株主還元に充てる余力があることを示します。

【利益の質】

  • 営業CF/純利益比率: 12,005百万円(2025年3月期営業CF) / 6,193百万円(過去12か月純利益) ≈ 1.94倍
    • 1.0倍以上が健全とされる中で、本業で稼いだ現金が純利益を大きく上回っており、利益の質は非常に高いと言えます。これは減価償却費などの非現金費用が利益を圧縮している可能性も示唆します。

【四半期進捗】

2026年3月期 第3四半期決算短信(連結)によると、通期予想(修正後)に対する進捗率は以下の通りです。

  • 売上高: 71.3% (61,370百万円 / 86,000百万円)
  • 営業利益: 82.6% (5,367百万円 / 6,500百万円)
  • 純利益: 96.7% (2,900百万円 / 3,000百万円)

営業利益と純利益の進捗が期末にかけて達成可能な水準にある一方、売上高の進捗はやや遅れています。純利益の進捗率が高いのは、減損損失などの特別損失計上により通期予想自体が下方修正されているためです。
直近3四半期の売上高・営業利益(2026年3月期累計):

  • 電子材料: 売上 8,668百万円(+14.8%)、営業利益 1,438百万円(+25.1%)
  • 有機化学品: 売上 5,427百万円(+17.4%)、営業利益 708百万円(+45.2%)
  • 触媒: 売上 2,443百万円(+0.5%)、営業利益 542百万円(+231.6%)

これら三つのセグメントが売上・営業利益ともに好調に推移し、全体の収益を牽引しています。一方で、化粧品材料セグメントは多額の減損損失を計上して営業損失を出すなど、セグメント間の業績差が顕著です。酸化チタン・亜鉛製品や樹脂添加剤も売上・利益ともに減少傾向にあります。

【バリュエーション】

  • PER(会社予想): 19.53倍
    • 業界平均の20.4倍を下回っており、利益面から見るとやや割安な水準にあります。
  • PBR(実績): 0.74倍
    • 業界平均の1.1倍を大きく下回っており、純資産に対して株価が割安であると判断されます。PBRが1倍未満であることは、企業の解散価値が株価を上回っている状態を示唆します。

これらの指標から、堺化学工業の株価は、業界平均と比較して割安であると判断できます。特にPBRの割安感が顕著です。業種平均PER基準の目標株価は7,086円、業種平均PBR基準の目標株価は5,508円と算出されており、現在の株価3,735円から乖離があります。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD: 109.22 / シグナル: 89.27 MACDラインがシグナルラインを上回っているものの、乖離幅は大きくなく、短期的な買い圧力は継続している可能性があります。
RSI 買われすぎ 71.6% 70%を超えており、株価が短期的に過熱感を示している状態であり、反落の可能性も考慮すべき水準です。
5日線乖離率 +2.05% 直近の株価が5日移動平均線を上回っており、短期的な上昇モメンタムが継続していることを示します。
25日線乖離率 +7.74% 短期トレンドと比較して株価が上昇していることを示唆します。
75日線乖離率 +16.39% 中期トレンドと比較して株価が上昇していることを示唆します。
200日線乖離率 +27.70% 長期トレンドと比較して株価が大きく上昇しており、強い上昇トレンドにあることを示します。

【テクニカル】

現在の株価3,735.0円は、52週高値3,790.0円に非常に近い位置(52週レンジ内位置96.6%)にあり、高値を更新する勢いが感じられます。全ての移動平均線(5日、25日、75日、200日)を上回って推移しており、短期から長期にわたる強い上昇トレンドが示されています。特に200日移動平均線からの乖離率が大きいことは、足元の株価が勢いよく上昇していることを示しますが、同時に過熱感も示唆している可能性があります。

【市場比較】

堺化学工業の株価は、過去1ヶ月、3ヶ月、1年において日経平均およびTOPIXといった主要市場指数を上回る相対パフォーマンスを示しています。特に1ヶ月、3ヶ月では日経平均比でそれぞれ4.32%ポイント、12.75%ポイント上回っており、直近のモメンタムは良好です。ただし、6ヶ月では日経平均を2.09%ポイント下回っており、中期的には市場にやや劣後していた時期もあったことが分かります。

6. リスク評価

【注意事項】

⚠️ 信用倍率30.35倍と高水準であり、将来の売り圧力に注意が必要です。

【定量リスク】

  • ベータ値(5年月次): 0.06
    • 市場全体の動きに対する株価の感応度を示す指標で、0.06という低い数値は、市場全体(日経平均やTOPIX)の変動に対して株価が非常に動きにくいことを意味します。この銘柄は市場変動リスクが低い傾向にあります。
  • 年間ボラティリティ: 35.68%
    • 株価の年間変動率の目安。仮に100万円投資した場合、年間で±35.68万円程度の変動が想定されます。
  • シャープレシオ: -0.76
    • リスクに対するリターンの効率性を示す指標で、マイナス値はリスクに見合うリターンが得られていないことを示します。過去のパフォーマンスは効率的ではなかったことを表します。
  • 最大ドローダウン: -46.81%
    • 過去のピークから底までの最大下落率で、この程度の下落は今後も起こりうると考えるべきです。
  • 年間平均リターン: -26.70%
    • 過去のリターンは平均してマイナスであり、長期的な株価上昇が見込みにくい期間があったことを示します。

【事業リスク】

  • 原材料価格の変動: 原油価格や金属価格などの高騰は、主要な化学製品の製造コストに直結し、収益性を圧迫する可能性があります。
  • 一部事業セグメントの不振: 化粧品材料事業における減損損失計上や、酸化チタン・亜鉛製品、樹脂添加剤の売上・利益減少は、ポートフォリオ全体のリスクとなる可能性があります。事業再編や効率化が奏功しない場合、全体収益に影響を与えかねません。
  • 景気変動の影響: 世界経済の動向、特に製造業の設備投資や消費動向は、電子材料や有機化学品など幅広い事業に影響を及ぼす可能性があります。

7. 市場センチメント

信用買残が200,300株に対して信用売残が6,600株と少なく、信用倍率は30.35倍と非常に高水準です。これは投資家が株価上昇を期待して買い建てていることを示しますが、将来的な反対売買による売り圧力が高まるリスクも内包しています。
主要株主構成を見ると、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が12.45%、自社(自己株口)が9.09%、日本カストディ銀行(信託口)が6.42%を保有しており、機関投資家や信託銀行、自社による安定株主が多い構造です。

8. 株主還元

堺化学工業は、安定した株主還元に努めています。

  • 配当利回り(会社予想): 3.88%
  • 1株配当(会社予想): 145.00円
  • 配当性向(会社予想): 43.7%

2026年3月期の年間配当は145.00円と、実績の135円から増配が予定されており、最終利益が下方修正された中でも株主還元への意欲が見られます。配当性向も43.7%と利益に見合った適切な水準であり、持続可能な還元策と言えます。

SWOT分析

強み

  • 多角的な事業ポートフォリオにより、特定市場のリスクを分散可能な事業構造。
  • 電子材料、有機化学品、触媒といった成長セグメントが収益を牽引し、増益に貢献。

弱み

  • 一部の事業セグメント(化粧品材料、酸化チタン・亜鉛製品、樹脂添加剤)の業績低迷や減損損失計上。
  • ROE、ROAが業界平均やベンチマークを下回り、資本効率と資産効率に課題。

機会

  • 電子材料、EV関連材料など高成長分野への継続的な投資と事業拡大。
  • 医療事業を含むヘルスケア分野での新たな製品開発や市場開拓の可能性。

脅威

  • 原材料価格の高騰や為替変動が収益性を圧迫する可能性。
  • 信用倍率の高止まりによる将来的な売り圧力や、市場センチメントの悪化。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定配当を重視する長期投資家: 高い自己資本比率と増配計画があり、財務健全性が高いため、配当収入を目的とした長期保有に適しています。
  • PBR1倍割れ銘柄への投資を検討するバリュー投資家: PBRが業界平均を大きく下回る0.74倍であり、純資産価値から見て割安感が強いと判断できます。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 業績の変動性と特別損失: 前期の大幅赤字や今期の減損損失計上による最終利益の下方修正など、利益の変動リスクを常に考慮する必要があります。
  • 信用倍率の高止まり: 信用倍率が30倍を超えて高水準であり、将来的な信用売り残の解消による株価への下方圧力に警戒が必要です。

今後ウォッチすべき指標

  • 電子材料、有機化学品、触媒セグメントの売上・利益成長率: これらの成長セグメントが引き続き全体の業績を牽引できるか。
  • 化粧品材料事業の収益改善動向: 減損損失計上後の事業再編や収益改善策がどのように進むか。
  • 信用倍率の推移: 信用買い残が消化され、売り圧力が解消に向かうか。
  • ROA・ROEの改善: 効率性スコアが低いことから、資本効率や資産効率の改善に繋がる具体的な施策とその進捗。

成長性:D (停滞・低成長)

  • 根拠: 過去12か月の四半期売上成長率が-1.80%、直近3Q累計売上高も前年同期比-3.5%と減少傾向にあります。2026年3月期通期売上高予想も前年実績比約+1.9%に留まっており、年間平均リターンが-26.70%となっていることから、全体的な成長性は低いと評価します。

収益性:C (やや不安)

  • 根拠: ROEは6.57%とベンチマークの10%を下回り、ROE5-8%のC評価に該当します。営業利益率も9.91%とベンチマーク10%にわずかに届かず、収益性には改善の余地が見られます。

財務健全性:A (良好)

  • 根拠: 自己資本比率63.5%は60%以上というSの基準を満たし、流動比率258%も200%以上というSの基準を満たしています。Piotroski F-Scoreも5/9点と良好な水準(A)であり、非常に安定した財務基盤を有しています。

バリュエーション:S (割安)

  • 根拠: PBRは0.74倍であり、業界平均の1.1倍に対して約67%と、業界平均の70%以下というSの基準を大きく下回っています。PERも業界平均を下回っており、純資産や利益水準から見て割安感が高いと評価できます。

企業情報

銘柄コード 4078
企業名 堺化学工業
URL http://www.sakai-chem.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 3,735円
EPS(1株利益) 191.20円
年間配当 3.88円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 20.9% 22.6倍 11,146円 24.5%
標準 16.0% 19.7倍 7,910円 16.3%
悲観 9.6% 16.7倍 5,059円 6.4%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 3,735円

目標年率 理論株価 判定
15% 3,948円 ○ 5%割安
10% 4,931円 ○ 24%割安
5% 6,222円 ○ 40%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
石原産業 4028 3,950 1,595 12.66 1.25 11.0 2.53
テイカ 4027 1,704 407 31.32 0.63 2.2 3.52
日本化学工業 4092 3,405 303 10.12 0.61 6.4 3.52

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.25)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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