0. エグゼクティブサマリー
中部電力は、中部地方を中心に発電、送電、配電、小売を一体的に展開する、日本を代表する電力大手企業です。近年は海外事業や非電力事業にも注力し、多角的な事業構造への転換を進めています。日本の基幹インフラを支える企業として、安定供給と脱炭素化という二大命題に取り組んでいます。
企業の一言説明
中部電力は、中部地方の社会経済を支える主要インフラである電力事業を展開する、国内有数の電力大手企業です。
投資判断のための3つのキーポイント
- 電力安定供給の基盤とJERAによる効率化: 日本の経済活動に不可欠な電力の安定供給を担い、JERA(ジェラ)を通じて火力発電の燃料調達から発電までを一貫して効率化することで、収益基盤の強化と国際競争力向上を図っています。
- 海外事業・非電力事業による成長機会: 国内の電力需要構造の変化に対応し、JERAを通じた海外での再エネ発電事業拡大や、不動産など非電力分野での新たな収益源創出に積極的に取り組んでいます。
- 浜岡原発の再稼働問題と燃料価格・為替変動リスク: 停止中の浜岡原子力発電所の再稼働時期が不透明であり、その固定費負担が経営を圧迫しています。また、火力発電の燃料調達における海外依存度が高く、原油価格や為替レートの変動が業績に直接的な影響を与えるリスクがあります。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | C | やや不安 |
| 収益性 | C | やや不安 |
| 財務健全性 | B | 普通 |
| バリュエーション | C | やや割高 |
※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 2,573.5円 | – |
| PER | 10.51倍 | 業界平均7.0倍(割高) |
| PBR | 0.65倍 | 業界平均0.7倍(ほぼ同水準) |
| 配当利回り | 2.72% | – |
| ROE | 8.23% | – |
1. 企業概要
中部電力(Chubu Electric Power Company, Incorporated)は、1951年5月1日に設立された名古屋市に本社を置く日本の大手電力会社です。同社は、中部地方(愛知、岐阜、三重、静岡)を主な事業エリアとし、発電、送電、配電、小売までを一貫して手掛ける総合電力事業を展開しています。主要事業セグメントは、火力発電や燃料調達を東電と統合した合弁会社「JERA(ジェラ)」、送配電事業を担う「パワーグリッド」、そして小売事業の「ミライズ」の三つを柱としています。現在、浜岡原子力発電所3基は停止中であり、主に火力、水力、風力、バイオマス、太陽光などの多様な電源を組み合わせた電力供給を行っています。特にJERAを通じて、燃料上流開発から電力・ガス卸売まで国際的なエネルギーサプライチェーンに関与し、技術的な独自性とスケールメリットを追求しています。
2. 業界ポジション
中部電力は、東京電力ホールディングス、関西電力などと並ぶ日本の大手電力会社の一角を占め、中部財界の重鎮として地域経済に大きな影響力を持っています。中部圏における電力供給では圧倒的な市場シェアと安定した顧客基盤を有しており、社会インフラとしての揺るぎない地位を築いています。競合に対する強みとしては、広範かつ堅牢な送配電ネットワークと、JERAを通じた燃料・火力発電事業の効率化、そして海外での再生可能エネルギー開発など、多角的な事業展開能力が挙げられます。一方、弱みとしては、再生可能エネルギーへの移行に伴う高額な設備投資負担や、規制産業としての事業環境の変化への対応、特に浜岡原子力発電所の停止が継続していることによる収益機会損失が挙げられます。業界平均との財務指標を比較すると、PER(会社予想)は10.51倍と、業界平均の7.0倍と比較すると割高感があり、PBR(実績)0.65倍は、業界平均の0.7倍とほぼ同水準にあります。これは、同社が安定資産を持つインフラ企業としての評価を受けつつも、現在の収益性ではPERが高いと見られている状況を示唆しています。
3. 経営戦略
中部電力は、安定供給と脱炭素化の両立を経営の最優先課題と位置づけ、強固な事業基盤の維持・強化と新たな成長分野の開拓を進めています。
中期経営計画と成長戦略の要点:
2025年度第3四半期決算説明資料からは、以下のような戦略が読み取れます。
- 電源調達ポートフォリオの最適化と費用削減: JERAとの連携を深化させ、燃料調達の安定化と低コスト化を進めるとともに、火力発電プラントの最適運用により収益性向上を図ります。また、海外での再生可能エネルギー発電事業の拡大を通じて、脱炭素化への貢献と新たな収益源確保を目指しています。
- 非電力事業の強化: 2025年4月1日に不動産事業本部を新設するなど、保有資産の有効活用による収益多角化を推進しています。電力事業で培ったノウハウや顧客基盤を活かし、地域活性化にも貢献する事業展開を目指します。
- 送配電事業の効率化: 子会社のパワーグリッドにおいては、安定供給に必要な設備投資を継続しつつ、需給調整費用削減などにより運用効率の向上を図ります。
- 顧客価値提供の強化: 小売事業のミライズでは、電源調達の見直しを通じて競争力のある料金プランを提供し、多様化する顧客ニーズに対応したサービス展開を図っています。
最近の重要な適時開示(決算短信より):
2026年3月期第3四半期決算短信では、親会社株主に帰属する四半期純利益が前年同期比+21.2%と大幅な増益を達成しました。これは、JERAによる燃料調達の改善や期ずれ差益の拡大が主な要因です。一方で、浜岡原子力発電所の不適切事案対応費用として約117億円を計上しており、原子力事業に依然として課題を抱えていることが示されています。
今後のイベント:
- 2026年3月30日: Ex-Dividend Date(配当落ち日)
- 2026年4月28日: Earnings Date(決算発表日)
決算説明資料から読み取れる経営陣のメッセージ・戦略方針:
経営陣は、燃料費調整額の減少により売上高が減少したものの、JERAにおける燃料調達の改善が利益を大きく押し上げたことを強調しています。通期業績見通しに変更はないとしつつも、経常利益と純利益が第3四半期時点で既に通期予想を上回る進捗を見せていることから、堅調な業績推移への自信が伺えます。電力事業の基盤強化に加え、不動産事業など非電力分野での事業展開にも力を入れることで、持続的な成長を目指す姿勢が明確です。具体的なQ&Aの記載はありませんが、資料全体から、コスト効率化と事業多角化を通じたレジリエンス強化への意欲が伝わります。
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
Piotroski F-Scoreは、企業の財務健全性を9つの指標で評価するスコアです。中部電力のF-Scoreは以下の通りです。
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 4/9 | B: 普通(複数の改善点あり) |
| 収益性 | 2/3 | 純利益がプラス、ROAがプラス。 |
| 財務健全性 | 2/3 | 債務比率は低いが流動比率に課題。 |
| 効率性 | 0/3 | 営業利益率、ROE、四半期売上成長率全てに改善余地。 |
解説:
中部電力のF-Scoreは4/9点で「普通」と評価されます。収益性では純利益とROAがプラスで良好な兆候を見せていますが、効率性においては営業利益率、ROE、そして四半期売上成長率の全てで改善が必要と判断されています。財務健全性は、総負債/株主資本比率が1.0未満である点はポジティブですが、流動比率が1.5未満である点が課題として挙げられます。
【収益性】
- 営業利益率(過去12か月): 2.81%
- 電力供給という公共性の高い事業特性上、比較的低水準となる傾向がありますが、近年の燃料価格高騰の影響や規制緩和による競争激化の中では、やや改善が求められる水準です。
- ROE(実績): (連)7.52%(過去12か月: 8.23%)
- ROE(Return On Equity:株主資本利益率)は、株主のお金(自己資本)をどれだけ効率的に使って利益を上げているかを示す指標です。一般的に10%以上が良好とされる中、中部電力の8.23%はベンチマークには届かず、「普通」〜「やや不安」の評価です。ただし、投資負担が大きいインフラ企業としては一定水準を確保しています。
- ROA(過去12か月): 1.95%
- ROA(Return On Assets:総資産利益率)は、会社の総資産をどれだけ効率的に使って利益を上げているかを示す指標です。ベンチマークである5%には遠く及ばず、総資産に対する利益貢献度は低いと評価されます。これは、多大な発電・送配電設備を保有する電力会社特有の資本集約型ビジネスモデルに起因する側面も大きいです。
【財務健全性】
- 自己資本比率(実績): (連)39.1%
- 自己資本比率は企業の財務安全性を測る重要な指標で、総資産のうち返済不要な自己資本が占める割合を示します。日本の電力会社としては標準的な水準ですが、安定経営には更なる向上も望ましいでしょう。高い設備投資が恒常的に必要な事業のため、負債も大きくなる傾向にあります。
- 流動比率(直近四半期): 1.05
- 流動比率は、企業の短期的な支払い能力を示す指標で、一般的に200%(2倍)以上が安全とされます。中部電力の1.05は、短期負債に対する短期資産がほぼ同水準であり、やや懸念が残る水準です。これは、事業運営資金の調達を短期借入に依存している可能性を示唆します。
【キャッシュフロー】
- 営業キャッシュフロー(2025年3月期): 301,345百万円
- 営業キャッシュフロー(Operating Cash Flow, OCF)は、本業でどれだけ現金を稼ぎ出したかを示す指標です。2025年3月期は3,013億円と、堅調にプラスを維持しており、本業で安定して現金を創出できていることが分かります。
- フリーキャッシュフロー(2025年3月期): -90,422百万円
- フリーキャッシュフロー(Free Cash Flow, FCF)は、企業が自由に使えるお金を示す指標で、営業CFから投資CFを差し引いて算出されます。2025年3月期はマイナス904億円となっており、これは大規模な設備投資を継続的に行っている電力会社の特性を反映しています。発電所の建設や送配電網の維持・更新には多大な資金が必要であり、短期的にFCFがマイナスとなることは珍しくありません。
【利益の質】
- 営業CF/純利益比率: 1.49倍(2025年3月期)
- 営業CF/純利益比率は、会計上の利益と実際の現金の動きの乖離を見る指標で、1.0倍以上が健全とされます。2025年3月期は301,345百万円(営業CF) ÷ 202,087百万円(純利益) = 1.49倍となり、純利益を上回る営業キャッシュフローを生み出しており、利益の質は健全であると判断できます。
【四半期進捗】
- 2026年3月期 第3四半期決算短信(連結):
- 売上高: 2兆5,663億60百万円(通期予想 3兆5,500億円に対し72.3%進捗)
- 営業利益: 1,685億65百万円(前年同期比△8.4%)
- 経常利益: 2,407億29百万円(通期予想 2,300億円に対し104.6%進捗)
- 親会社株主に帰属する四半期純利益: 2,025億66百万円(通期予想 1,850億円に対し109.5%進捗)
- 直近の第3四半期までの実績では、売上高は減少したものの、経常利益と純利益は既に通期予想を上回る進捗を見せており、通期での業績は会社予想を上振れる可能性があります。これはJERAによる燃料調達改善の効果が計画を上回って発現していることを示唆しています。
【バリュエーション】
- PER(会社予想): (連)10.51倍
- PER(Price Earnings Ratio: 株価収益率)は、株価が1株あたり利益の何年分かを示す指標で、低いほど割安とされます。中部電力のPER10.51倍は、業界平均の7.0倍と比較すると割高感があり、市場が将来の利益成長に一定の期待を寄せているか、あるいは現在の利益水準に対して株価がやや高く評価されている可能性があります。
- PBR(実績): (連)0.65倍
- PBR(Price Book-value Ratio: 株価純資産倍率)は、株価が1株あたり純資産の何倍かを示す指標で、1倍未満は企業の解散価値を下回ることから割安とされる場合があります。中部電力のPBR0.65倍は、業界平均の0.7倍とほぼ同水準であり、相対的には割安感のある水準と言えます。電力会社のような資本集約型産業では、PBRが重視される傾向があります。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | MACD値: 93.51 / シグナルライン: 70.44 | MACDラインがシグナルラインを上回っているが、短期的なトレンド転換の明確なシグナルは出ていない |
| RSI | 中立 | 63.7% | 70%以上が買われすぎ、30%以下が売られすぎとされる中で、中立圏に位置しており、加熱感はない |
| 5日線乖離率 | – | -1.14% | 直近の株価が5日移動平均線をわずかに下回っており、短期的な調整局面の可能性を示唆 |
| 25日線乖離率 | – | +8.30% | 株価が25日移動平均線を上回っており、短期的な上昇トレンドの継続を示唆 |
| 75日線乖離率 | – | +10.55% | 株価が75日移動平均線を上回っており、中期的な上昇トレンドの継続を示唆 |
| 200日線乖離率 | – | +24.36% | 株価が200日移動平均線を大きく上回っており、長期的な上昇トレンドの形成を示唆 |
現在のMACDは中立状態であり、RSIも買われすぎでも売られすぎでもない中立圏に位置しています。ただし、株価は5日移動平均線をわずかに下回っており短期的な調整が見られますが、25日、75日、200日といった中長期の移動平均線を大きく上回って推移しており、株価は中長期的に強い上昇トレンドにあることを示しています。
【テクニカル】
- 52週高値・安値との位置: 現在株価2,573.5円は、52週高値2,664円に近く、52週安値1,444円からは大きく上昇した高値圏(52週レンジ内位置で92.6%)に位置しています。これは、過去1年間の間に株価が大きく上昇し、市場からの評価が高まっていることを示します。
- 移動平均線との関係: 現在の株価は、5日移動平均線(2,603.30円)を下回っていますが、25日移動平均線(2,376.22円)、75日移動平均線(2,327.99円)、200日移動平均線(2,078.08円)をすべて上回っています。これは、短期的な調整局面にあるものの、中長期的な上昇トレンドは継続していることを示唆しています。特に200日移動平均線からの乖離率の高さは、長期的なモメンタムの強さを表しています。
- 年初来リターン: 年初来安値1,444円から大きく値を上げており、年初来高値2,664円に迫る勢いです。
【市場比較】
- 日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス:
- 1ヶ月リターン: 中部電力が日経平均を6.98%ポイント、TOPIXを8.56%ポイント上回っています。
- 3ヶ月リターン: 中部電力が日経平均を2.45%ポイント、TOPIXを1.77%ポイント下回っています。
- 6ヶ月リターン: 中部電力が日経平均を4.47%ポイント、TOPIXを5.71%ポイント下回っています。
- 1年リターン: 中部電力が日経平均を17.93%ポイント、TOPIXを18.25%ポイント上回っています。
過去1年では主要株価指数を大きくアウトパフォームしていますが、直近3ヶ月、6ヶ月ではやや相対的に劣後しており、短期的な市場の関心は他のセクターに移っていた可能性もあります。しかし、1ヶ月では再びアウトパフォームしており、足元では再び注目を集めていると考えられます。
【定量リスク】
- ベータ値(5Y Monthly): 0.09
- ベータ値は、S&P 500などの市場全体の動きに対して、個別銘柄の株価がどれくらい変動するかを示す指標です。ベータ値0.09は、市場全体の動きにほとんど連動しない、非常に変動が小さい銘柄であることを示しており、ディフェンシブ(景気変動に左右されにくい)な特性が強いと言えます。
- 年間ボラティリティ: 27.22%
- 年間ボラティリティは、過去1年間における株価の価格変動の大きさを表します。27.22%という数値は、仮に100万円投資した場合、年間で約±27.22万円程度の変動が想定されることを意味します。他のハイテク株などと比較すると低い水準ですが、電力株としてはやや高めの変動幅を持つ可能性があります。
- 最大ドローダウン: -42.08%
- 最大ドローダウンは、過去のある期間において、投資資金が最も大きく減少した際の最大下落率です。中部電力の場合、過去のデータで最大42.08%の下落を経験しています。これは、今後も同程度の株価下落が起こりうるリスクがあることを示しており、投資を検討する際は、この下落幅を許容できるか考慮する必要があります。
- 年間平均リターン: -9.93%
- 過去のパフォーマンスを見ると、年間平均リターンがマイナスとなっています。これは、一時的な燃料価格高騰や原発停止などに伴う業績変動が過去のリターンに影響している可能性があり、長期的なリターン評価には注意が必要です。
【事業リスク】
- 燃料価格・為替変動リスク: 中部電力グループのJERAは、火力発電を主力とし、燃料の多くを海外からの輸入に依存しています。そのため、原油CIF価格、LNG価格などの燃料価格の高騰や、円安の進行は、燃料調達コストの増加に直結し、収益を大きく圧迫する可能性があります。
- 浜岡原子力発電所の再稼働問題と規制変更: 浜岡原子力発電所は現在停止中であり、再稼働の時期や可能性は不透明です。再稼働が実現しない場合、その維持費が経営に重くのしかかり続けます。また、電力自由化の進展や再生可能エネルギー導入目標の強化など、国の規制や政策変更が事業環境に与える影響も大きなリスク要因です。
- 大規模災害や設備トラブルのリスク: 電力事業は、地震、台風などの大規模自然災害や、発電所・送配電設備におけるトラブル発生により、大規模停電や設備損壊のリスクを常に抱えています。これらの事態は、復旧費用や補償費用の発生、事業活動への深刻な影響を与える可能性があります。
7. 市場センチメント
- 信用取引状況: 信用買残は802,300株に対し、信用売残は160,900株であり、信用倍率は4.99倍となっています。直近週では信用買残が減少、信用売残が増加しており、短期的な売り圧力の緩和と、需給バランスの改善を示唆する動きが見られます。一般的な水準の範囲内であり、需給面での極端な偏りは見られません。
- 主要株主構成: 上位株主には日本マスタートラスト信託銀行(14.37%)、日本カストディ銀行(6.04%)、明治安田生命保険(4.69%)などの機関投資家が名を連ねています。これらは信託銀行や生命保険会社であり、安定株主としての側面が強く、短期的な株価変動要因にはなりにくい構造です。この構成は、企業の安定経営を支える基盤となります。
8. 株主還元
- 配当利回り(会社予想): 2.72%
- 現在の株価と会社予想の年間配当金70.00円をもとに算出される配当利回りは2.72%です。これは、インフラ企業としての安定配当を期待する投資家にとって魅力的な水準と言えるでしょう。
- 1株配当(会社予想): 70.00円
- 2026年3月期の年間配当は70.00円を予定しており、前期(60.00円)から増配の見込みです。
- 配当性向(過去12か月): 22.16%
- 配当性向は、企業の純利益のうちどれだけの割合を配当に回しているかを示す指標です。22.16%という水準は、利益を確保しつつも内部留保や設備投資にも資金を回せる、持続可能な配当政策であると考えられます。電力会社は安定配当を重視する傾向があります。
- 自社株買いの状況: 提供データには自社株買いに関する情報はありません。
SWOT分析
強み
- 中部圏における強固な電力供給基盤と広範な顧客ネットワーク
- JERAを通じた火力発電の効率化と海外再エネ事業展開による収益多角化
弱み
- 浜岡原子力発電所の停止継続に伴う収益機会損失と固定費負担
- 燃料価格や為替レートの変動に業績が左右されやすい体質
機会
- 脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーへの投資拡大
- 不動産事業など非電力分野での新たな収益源と資産有効活用
脅威
- 燃料価格高騰や予期せぬ円安の進行による収益圧迫
- 大規模災害や設備トラブルによる供給停止・復旧費用増加リスク
この銘柄が向いている投資家
- 安定配当を求める長期投資家: 電力という社会インフラ事業の安定性と、堅実な配当政策を重視する投資家。
- ディフェンシブ銘柄を好む投資家: 景気変動の影響を受けにくい事業特性と、市場全体との連動性が低いベータ値を評価する投資家。
- 日本のエネルギー政策・脱炭素化に注目する投資家: JERAを通じた海外再エネ事業や国内の脱炭素化推進への取り組みに期待し、長期的な視点で投資できる投資家。
この銘柄を検討する際の注意点
- 浜岡原子力発電所の動向: 再稼働の可能性や時期に関するニュースは、株価に大きな影響を与える可能性があります。関連情報の継続的な確認が不可欠です。
- 燃料価格と為替の変動: 国際的な燃料市場の動向や為替レートの変動は、決算に直接的な影響を与えるため、これらのマクロ経済指標にも注意を払う必要があります。
今後ウォッチすべき指標
- 浜岡原子力発電所の審査状況と再稼働に関するニュース: 審査の進捗や安全対策の状況、関連費用計上額。
- JERAの海外再生可能エネルギー事業の進捗状況と収益貢献度: 具体的な発電量や契約状況、全体業績への寄与。
- 燃料価格(LNG・原油など)と為替レート(円/ドル)の推移: 企業の燃料調達コストに直結するため、これらの経済指標の変動が業績予想に与える影響。
成長性: C(やや不安)
2026年3月期の通期予想では、純利益が前期比で減少する見込みとなっており、直近の第3四半期の売上高も前年同期比で減少しています(△3.2%)。これは、主に燃料費調整額の減少によるものではありますが、全体としてのトップライン成長には課題が残る状況です。多額の設備投資を必要とする事業構造であり、大規模な新規需要が創出しにくい環境下で、現状維持以上の成長ドライバーを明確に示す必要があります。
収益性: C(やや不安)
ROE(過去12か月)は8.23%と、一般的なベンチマークである10%を下回っています。また、過去12か月の営業利益率も2.81%と低い水準にあります。電力会社は資本集約型産業であり、多くの資産を保有するためにROA(1.95%)も低くなりがちですが、高収益体質への転換は喫緊の課題です。燃料価格変動リスクや老朽化設備更新費用など、収益を圧迫する要因も多く、安定した高収益性の確立には更なる構造改革が求められます。
財務健全性: B(普通)
自己資本比率は39.1%と、日本の電力会社としては一般的な水準を維持しています。総負債/株主資本比率も1.0未満であり、過度なレバレッジではないと判断できます。ただし、流動比率は1.05と短期的な支払い能力にやや不安が残る水準です。Piotroski F-Scoreが4/9点と「普通」評価であり、一部改善点はあるものの、全体としては基本的な財務の安定性は保たれていると言えるでしょう。大規模投資が必要なインフラ企業という特性を考慮すると、このような財務構造は許容範囲内とも言えます。
バリュエーション: C(やや割高)
PER(会社予想)は10.51倍で、業界平均の7.0倍と比較すると割高感があります。PBR(実績)は0.65倍で、業界平均の0.7倍とほぼ同水準であり、解散価値を下回るという意味での割安感は認められます。しかし、PERの割高感は、市場が将来の利益成長に対して一定の期待を織り込んでいるとも解釈できますが、現在の収益性や成長性スコアを考慮すると、株価はバリュエーション指標において十分に割安とは言えず、投資検討においては慎重な判断が求められます。電力セクターの特性上、PBRも重視されるため、一概に割高とは言えないものの、相対的な魅力は限定的と評価されます。
企業情報
| 銘柄コード | 9502 |
| 企業名 | 中部電力 |
| URL | http://www.chuden.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電力・ガス – 電気・ガス業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 2,574円 |
| EPS(1株利益) | 244.92円 |
| 年間配当 | 2.72円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 19.2% | 12.1倍 | 7,129円 | 22.7% |
| 標準 | 14.8% | 10.5倍 | 5,128円 | 14.9% |
| 悲観 | 8.9% | 8.9倍 | 3,346円 | 5.5% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 2,574円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 2,560円 | △ 1%割高 |
| 10% | 3,197円 | ○ 20%割安 |
| 5% | 4,035円 | ○ 36%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
競合他社
| 企業名 | コード | 現在値(円) | 時価総額(億円) | PER(倍) | PBR(倍) | ROE(%) | 配当利回り(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 関西電力 | 9503 | 2,682 | 29,902 | 8.30 | 0.88 | 11.7 | 2.79 |
| 東京電力ホールディングス | 9501 | 703 | 11,302 | – | 0.53 | -17.1 | 0.00 |
| 九州電力 | 9508 | 1,945 | 9,222 | 6.58 | 0.99 | 14.0 | 2.57 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.26)」によって自動生成されました。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。