企業の一言説明

不二製油は、油脂・業務用チョコレート・大豆加工素材を展開する食品業界のグローバル大手企業です。特に業務用チョコレートは世界トップクラスのシェアを持ち、製菓・製パン向けに強みを持っています。

投資判断のための3つのキーポイント

  • グローバルな事業展開と多様な顧客基盤: 植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の4セグメントで世界中に展開し、食品メーカーから外食産業まで幅広い顧客を持つことで、食トレンドの変化に対応可能な事業ポートフォリオを構築しています。特に成長分野である大豆加工素材の需要拡大は追い風となっています。
  • 変動する市況下での収益改善と高い成長性: 原材料価格高騰や為替変動の影響を受けやすいものの、最新の四半期決算では売上高・事業利益ともに大幅な増益を達成しており、特に植物性油脂セグメントが牽引役となっています。通期予想に対する純利益進捗率も高く、事業環境の変化への対応力が伺えます。
  • 高い財務レバレッジとフリーキャッシュフローの課題: 豊富な事業機会への投資を背景に有利子負債が大きく、自己資本比率や流動比率はやや低めです。また、直近12ヶ月および第3四半期累計でフリーキャッシュフローがマイナスとなっており、財務健全性および投資への資金効率には注意が必要です。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 S 非常に良好
収益性 D 懸念あり
財務健全性 B 普通
バリュエーション B 適正水準

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 3,988.0円
PER 20.78倍 業界平均19.5倍
PBR 1.43倍 業界平均1.3倍
配当利回り 1.30%
ROE 1.01%

1. 企業概要

不二製油は、植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材を世界規模で製造・販売する食品会社です。主力は製菓用ハードバターや産業用チョコレートで、世界的な大手サプライヤーとしての地位を確立しています。大豆タンパク食品では植物性代替肉市場の成長を取り込み、技術的独自性とグローバルネットワークが参入障壁となっています。2025年4月に不二製油グループ本社株式会社から不二製油株式会社へ商号変更しました。

2. 業界ポジション

不二製油は、油脂・チョコレート・大豆加工素材の分野で世界的に主要なプレイヤーであり、特に業務用チョコレートではトップクラスの市場シェアを占めています。製菓・製パン向けに特化した高品質な素材提供が強みです。PER 20.78倍は業界平均19.5倍をやや上回り、PBR 1.43倍は業界平均1.3倍と同水準にあり、市場からの評価は概ね適正圏内にあると見られます。競合に対しては、専門性とグローバルな供給網で優位性を保っています。

3. 経営戦略

不二製油は、植物性素材を軸に「おいしさと健康」を追求し、持続可能な社会に貢献する事業を展開しています。中核となる植物油脂・業務用チョコレート事業の強化に加え、大豆加工素材事業においては、植物性代替肉などの成長市場への投資を加速。グローバルでのサプライチェーン最適化と生産体制強化、技術開発への継続的な投資を通じて、持続的な成長を目指しています。
直近の決算短信では、原材料価格高騰への対応として価格転嫁を進め、事業利益の大幅な改善を実現していることが示されており、収益力強化への経営努力がうかがえます。
今後のイベントとしては、2026年3月30日に配当権利落ち日、2026年5月12日に決算発表が予定されています。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 4/9 B: 普通(複数の改善点あり)
収益性 2/3 純利益とROAはプラスだが、営業キャッシュフローがマイナス
財務健全性 1/3 株式希薄化は見られないものの、流動比率とD/Eレシオに課題
効率性 1/3 四半期売上高成長率は確保も、営業利益率とROEが低水準

不二製油のPiotroski F-Scoreは4/9点であり、「普通」と判定されます。収益性では純利益とROAがプラスである点は評価できますが、営業キャッシュフローがマイナスであることが課題です。財務健全性においては、流動比率が1.5倍を下回り、D/Eレシオが1.0倍を上回るなど、財務レバレッジが高い状態にあり改善余地があります。効率性では、四半期売上高が堅調に成長しているものの、営業利益率とROEが基準を下回っており、資本効率の改善が求められます。

【収益性】

  • 営業利益率(過去12か月): 6.59%
  • ROE(実績): 1.01%
  • ROA(第3四半期累計): 2.41%

不二製油の過去12ヶ月の営業利益率は6.59%で、一般的な目安とされる10%には届いていません。ROEは1.01%と非常に低く、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す力が弱い状態です。ROA(総資産利益率)も2.41%であり、同業他社と比較しても改善が求められる水準です。これは、原材料価格高騰や積極的な設備投資などが影響している可能性があります。

【財務健全性】

  • 自己資本比率(実績): 35.3%
  • 流動比率(直近四半期): 1.32倍(132%)

自己資本比率は35.3%で、安定的と評価される40%以上には届いておらず、やや改善の余地があります。しかし、急激な悪化は見られず、一定の基盤は維持しています。流動比率は1.32倍であり、短期的な負債の返済能力を示す一般的な目安である1.5倍~2.0倍を下回っています。これは、短期の資金繰りに関してやや注意が必要な状況を示唆しています。積極的な事業投資やM&Aが有利子負債の増加に繋がっており、財務レバレッジが高まっています。

【キャッシュフロー】

  • 営業キャッシュフロー(過去12か月): -112億3,000万円
  • フリーキャッシュフロー(過去12か月): -570億2,000万円

直近12ヶ月の営業キャッシュフローはマイナス、フリーキャッシュフローも大幅なマイナスとなっています。これは事業活動による資金創出ができていない状況を示しており、設備投資などが営業キャッシュフローで賄えていない状態です。第3四半期累計でも営業CF、投資CFともにマイナスで、フリーCFも-501億2,200万円と大きなマイナスです。積極的な先行投資によるものと推測されますが、長期的に見ればキャッシュフローの改善が重要な課題となります。

【利益の質】

  • 営業CF/純利益比率(過去12か月): -0.55
  • 利益の質評価: D(要注意)

営業キャッシュフローが純利益に対してマイナスであるため、利益の質は懸念される状況です。純利益は計上されているものの、本業でのキャッシュ創出が追い付いていないことを示しています。これは売掛金や棚卸資産の増加、あるいは支払サイトの影響などが考えられ、会計上の利益と実際の資金繰りの間に乖離があることを示唆しています。

【四半期進捗】

2026年3月期 第3四半期累計(2025年4月1日~2025年12月31日)の連結決算では以下の進捗です。

  • 通期予想に対する進捗率(2026年3月期通期予想772,000百万円に対する実績)
    • 売上高進捗率:75.6%(実績582,783百万円)
    • 事業利益進捗率:79.0%(実績28,805百万円)
    • 純利益進捗率:99.3%(実績16,376百万円)

売上高と事業利益は通期予想に対して順調な進捗を見せており、特に純利益の進捗率は99.3%と、すでに通期予想に近い水準に達しています。これは第4四半期で大きなネガティブ要因がなければ、通期予想を上回る可能性も示唆しています。
セグメント別では、植物性油脂が大幅な増益を牽引しており、業務用チョコレート、乳化・発酵素材も堅調ですが、大豆加工素材は赤字が継続しています。

【バリュエーション】

  • PER(会社予想): 20.78倍
  • PBR(実績): 1.43倍
  • 業界平均PER: 19.5倍
  • 業界平均PBR: 1.3倍

不二製油のPER 20.78倍は業界平均19.5倍と比較してやや割高、PBR 1.43倍は業界平均1.3倍と比較してほぼ同水準からやや割高と言えます。特にPERは、低いROE(1.01%)を考慮すると、現在の利益水準に対して株価が過大評価されている可能性も示唆しています。業績予想修正によりEPSが大幅に改善する見込みのため、それを織り込む形であれば現在のPERは適正範囲とも解釈できます。
目標株価(業種平均PER基準): 3,742円
目標株価(業種平均PBR基準): 3,614円
現在の株価3,988円は、これらの目標株価と比較するとやや高値圏にあると評価できます。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: 10.39 / シグナル値: 43.97 短期的なトレンドの方向性が不明確
RSI 中立 48.0% 買われすぎでも売られすぎでもない
5日線乖離率 +0.77% 直近のモメンタムは安定
25日線乖離率 -2.32% 短期トレンドからやや下方向に乖離
75日線乖離率 +6.30% 中期トレンドより上に位置
200日線乖離率 +17.94% 長期トレンドに対し強い上昇基調

MACDは中立を示し、RSIも50%前後で推移しており、株価は現状で方向感に乏しい状態です。しかし、25日移動平均線よりは下回っているものの、75日線および200日移動平均線を大きく上回って推移しており、長期的な上昇トレンドは継続していると判断できます。

【テクニカル】

現在の株価3,988円は、52週高値4,312円(レンジ内位置81.6%)に近く、年初来安値2,546円からは大きく上昇しています。直近では5日移動平均線を上回っていますが、25日移動平均線は下回っており、短期的な調整局面にある可能性があります。しかし、75日移動平均線と200日移動平均線は大きく上回っており、中長期的な上昇トレンドは維持されています。

【市場比較】

不二製油の株価は、直近1ヶ月および3ヶ月、6ヶ月の期間では日経平均株価およびTOPIXに対してアンダーパフォームしています。特に日経平均が大きく上昇する中で、不二製油は相対的にパフォーマンスが振るいませんでした。しかし、過去1年間で見ると、株式のリターンが+53.65%と、日経平均の+50.32%を3.33%ポイント上回っており、長期的な視点では市場全体をアウトパフォームしている時期もありました。

【注意事項】

⚠️ 信用倍率4.25倍、将来の売り圧力に注意。信用買い残が多く、株価が下落した場合に投げ売りを誘発する可能性があります。

【定量リスク】

  • 年間ボラティリティ: 35.42%
  • シャープレシオ: -0.70
  • 最大ドローダウン: -46.75%
  • 年間平均リターン: -24.29%

不二製油の株価は年間ボラティリティが35.42%と高めであり、株価の変動が大きい銘柄と言えます。仮に100万円投資した場合、年間で±35万円程度の変動が想定され、投資家には一定のリスク許容度が求められます。過去のデータでは最大ドローダウンが-46.75%と大きく、年間平均リターンもマイナスとなっており、高いリスクを伴う可能性を示唆しています。シャープレシオがマイナスであることも、リスクに見合ったリターンが得られていないことを意味します。

【事業リスク】

  • 原材料価格の変動リスク: カカオ豆や植物油などの主要原材料価格は、天候不順、地政学的リスク、需給バランスの変動により大きく変動します。これら価格の高騰は、製品価格への転嫁が遅れた場合、収益性を圧迫する可能性があります。
  • 為替変動リスク: グローバルに事業を展開しているため、米ドル・ユーロ対円の為替レート変動が、輸入原材料コストや海外事業収益に直接影響を及ぼし、業績に大きな影響を与える可能性があります。
  • 高い財務レバレッジ: M&Aや設備投資を積極的に行っていることから、有利子負債が増加し、財務レバレッジが高まっています。金利上昇局面においては、資金調達コストが増加し、収益を圧迫するリスクがあります。

7. 市場センチメント

信用買残が125,300株に対し、信用売残が29,500株と豊富であるため、信用倍率は4.25倍と比較的高水準です。これは目先の株価上昇期待が大きい一方、将来的な売り圧力となる可能性も孕んでいます。
主要株主は、伊藤忠フードインベストメント合同会社(41.86%)が筆頭株主であり、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、日本カストディ銀行(信託口)といった機関投資家が続く安定した株主構成です。特に筆頭株主の保有割合が高く、経営の安定性に寄与していると考えられます。

8. 株主還元

不二製油の年間配当予想は52.00円で、配当利回りは1.30%です。配当性向(通期予想ベース)は27.1%と、安定的な範囲に収まっています。過去の配当性向履歴を見ると、2025年3月期には200.4%と大幅な高水準でしたが、これは当期利益が大幅に減少した一時的な要因によるものです。企業は安定配当を重視する姿勢が見受けられます。自社株買いに関する直近の情報はデータにありません。

SWOT分析

強み

  • グローバルな事業展開と多様な製品ポートフォリオ(植物性油脂、業務用チョコレート、大豆加工素材)
  • 製菓・製パン向け業務用チョコレートでの高い市場シェアと技術力

弱み

  • ROEが非常に低く、資本効率に課題
  • 高い財務レバレッジとフリーキャッシュフローの継続的なマイナス

機会

  • 健康志向の高まりによる植物性代替食品(大豆加工素材)市場の拡大
  • グローバルにおけるM&Aによる事業拡大とシナジー効果の追求

脅威

  • 原材料価格(カカオ、植物油等)や為替レートの変動による収益への影響
  • 金利上昇による有利子負債の負担増大

この銘柄が向いている投資家

  • 長期的な成長を重視する投資家: 大豆加工素材など、将来の成長分野への投資による事業変革に期待する投資家。
  • グローバルな食品産業への分散投資を検討している投資家: 世界的な食料需要の増加や食のトレンド変化に対応できる事業基盤を持つ企業に関心がある投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 財務指標の改善状況: 低いROEや営業キャッシュフローのマイナス、高い有利子負債などの財務課題が今後どのように改善されていくかを注視する必要があります。
  • 原材料価格変動リスク: 主要原材料の価格変動は収益に直結するため、企業の価格転嫁能力やリスクヘッジ戦略の有効性を継続的に評価することが重要です。

今後ウォッチすべき指標

  • 大豆加工素材セグメントの収益性: 大豆加工素材事業の黒字化および利益貢献度。
  • 営業キャッシュフローの改善: 持続的なプラス転換とその規模。
  • ネット有利子負債比率: 有利子負債の削減と自己資本比率の動向。

10. 企業スコア

  • 成長性: S(非常に良好)
    直近の四半期売上高成長率が前年比17.70%と高く、通期の売上高も前年比で大幅な伸長が見込まれているため、高い成長性があると評価しました。
  • 収益性: D(懸念あり)
    ROEが1.01%と非常に低く、営業利益率も6.59%と一般的な目安を下回っています。株主資本や総資産を効率的に活用して利益を生み出す力が現状では弱いと判断しました。
  • 財務健全性: B(普通)
    自己資本比率は35.3%で、安定的とされる水準にやや届きませんが、急激な悪化は見られません。流動比率は132%と短期的な負債返済能力にやや懸念がありますが、Piotroski F-Scoreが4/9点と「普通」の評価であるため、全体としては健全性は一定程度保たれているものの、改善の余地があると言えます。
  • バリュエーション: B(適正水準)
    PER20.78倍は業界平均19.5倍の約106.5%、PBR1.43倍は業界平均1.3倍の約110%であり、比較的業界平均に近い水準に位置しています。特段の割安感はありませんが、極端な割高感もないため「適正水準」と評価しました。

企業情報

銘柄コード 2607
企業名 不二製油
URL https://www.fujioil.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 食品 – 食料品

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 3,988円
EPS(1株利益) 191.91円
年間配当 1.30円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 10.9% 23.7倍 7,624円 13.9%
標準 8.4% 20.6倍 5,911円 8.2%
悲観 5.0% 17.5倍 4,293円 1.5%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 3,988円

目標年率 理論株価 判定
15% 2,943円 △ 36%割高
10% 3,675円 △ 9%割高
5% 4,638円 ○ 14%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
ADEKA 4401 4,795 4,975 19.51 1.53 8.5 2.16
カネカ 4118 5,279 3,484 10.72 0.66 6.5 3.03
ミヨシ油脂 4404 2,380 245 12.70 0.56 30.8 3.44

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.26)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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