企業の一言説明

三菱倉庫は、日本の物流事業大手として倉庫、陸上、港湾、国際一貫輸送サービスを展開し、さらに強固な不動産賃貸事業を保有する企業です。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 安定した収益基盤と高水準の財務健全性: 長年の歴史と国内外に広がる広範な物流ネットワークに加え、東京都心部に優良な不動産を多数保有しており、景気変動に左右されにくい安定した収益基盤を構築しています。自己資本比率は約60%と非常に高く、財務健全性は優良と評価できます。
  • 株主還元への積極的な姿勢: 継続的な配当だけでなく、直近では100億円を上限とする自社株買いを発表しており、株主還元に対する経営陣の強いコミットメントがうかがえます。これにより、市場での株価安定や投資家からの信頼向上に寄与することが期待されます。
  • 特別利益に依存する利益構造: 直近の純利益は大幅に増加していますが、これは主に投資有価証券売却益といった一過性の特別利益によるものです。本業である物流事業および不動産事業の営業利益は減少傾向にあり、持続的な成長性には注意が必要です。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 C やや不安
収益性 B 普通
財務健全性 A 良好
バリュエーション B 普通

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 1,405.5円
PER 9.94倍 業界平均14.8倍
PBR 1.31倍 業界平均1.1倍
配当利回り 2.56%
ROE 13.80%

1. 企業概要

三菱倉庫株式会社は、1887年設立の長い歴史を持つ倉庫業大手です。日本および国際的に物流サービス不動産事業を展開しています。主力事業は、倉庫保管、陸上運送、港湾運送、国際一貫輸送などの総合物流サービスと、オフィスビルや商業施設、住居などの不動産賃貸・開発・管理です。高度化された物流施設を国内外に展開し、陸海空を組み合わせた一貫輸送体制に強みを持っています。長年の事業活動で培われた信頼と広範な顧客基盤が、同社の安定性を支えています。

2. 業界ポジション

三菱倉庫は、日本の倉庫・運輸関連業界において業界大手の一角を占めています。特に、国際的なネットワークと高度な物流インフラを背景に、単なる倉庫保管に留まらない複雑なサプライチェーンを支える総合物流サービスを提供している点が強みです。また、不動産賃貸事業が収益の柱の一つとなっており、一般的な物流企業とは異なるポートフォリオの分散が特徴です。競合他社に対する強みとしては、都心部の優良な不動産アセットを数多く保有することによる安定的な賃料収入が挙げられます。これにより、物流事業の景気変動リスクを一部ヘッジできる体制にあります。
業界平均PER参照では、同社のPER9.94倍は業界平均の14.8倍と比較して割安水準にあります。一方、PBRは1.31倍であり、業界平均の1.1倍をやや上回っています。これは、同社が保有する不動産などの純資産価値が高く評価されていることの表れとも考えられますが、純資産に対しては業界平均より割高感があると言えます。

3. 経営戦略

三菱倉庫は、物流事業におけるインフラの高度化と、不動産事業を通じた安定収益の確保を両輪とする戦略を推進しています。直近の決算短信では、物流事業における倉庫事業と港湾運送が堅調に推移している一方で、国際運送取扱事業の一部で前期比マイナスとなるなど、外部環境の変化に合わせた事業展開が求められている状況です。
2026年3月期 第3四半期決算短信によると、当期の純利益は422億8,300万円と前年同期比で89.4%の大幅増益を達成しましたが、これは主に436億4,400万円に上る投資有価証券売却益という特別利益によるものです。本業の収益力を示す営業利益は前年同期比で25.1%減少しており、同社の当面の課題は、特別利益に頼らない本業の収益力強化であると考えられます。
また、今後のイベントとして注目されるのは以下の通りです。

  • 2026年3月30日: 配当権利落ち日 (Ex-Dividend Date)
  • 2026年4月30日: 決算発表予定日 (Earnings Date)

経営戦略としては、物流施設のAIやIoTといった先端技術の導入による効率化、顧客ニーズに合わせた多様なソリューション提供などが推進策として考えられます。不動産事業においては、保有する優良資産の有効活用や再開発による価値向上が中期的な成長ドライバーとなるでしょう。
重要な経営方針として、2026年1月30日の取締役会で保有株式の一部売却を決議しており、これは特別利益に計上された投資有価証券売却益に関連すると考えられます。これにより、バランスシートの最適化や新たな成長投資に向けた資金創出を進めている可能性があります。また、同社はセグメント表示を「事業利益」に刷新し、より実態に即した収益管理体制を構築していることがうかがえます。直近のニュースでは、1100万株・100億円を上限とする自社株買いを発表しており、株主還元と株価の安定化に積極的に取り組む姿勢も示されています。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

Piotroski F-Scoreは、企業の財務健全性や収益性、効率性を9つの指標で評価するスコアリングシステムです。三菱倉庫のスコアは良好な水準にあります。

項目 スコア 判定
総合スコア 6/9 A: 良好(全体的に健全だが一部改善余地あり)
収益性 3/3 純利益、営業キャッシュフロー、ROAが全てプラスであり、収益性は健全です。
財務健全性 2/3 流動比率に改善余地があるものの、D/Eレシオ、株式希薄化の観点から財務健全性は良好と言えます。
効率性 1/3 ROEは基準値を上回るものの、営業利益率と四半期売上成長率が改善を必要とすることから、効率性には課題があります。

F-Scoreの各カテゴリ詳細:

  • 収益性 (3/3項目達成): 純利益(318億6,400万円)、営業キャッシュフロー(97億6,000万円)、ROA(過去12か月で1.63%)がいずれもプラスであり、基本的な収益獲得能力は維持されています。
  • 財務健全性 (2/3項目達成): 流動比率が1.21倍と、一般的に健全とされる1.5倍を下回っており、短期的な支払い能力にわずかな改善余地があります。しかし、D/Eレシオ(負債資本比率)は0.3281倍と低く、借入依存度が低いことを示しています。また、過去1年間で株式の希薄化は起きていません。
  • 効率性 (1/3項目達成): ROE(過去12か月で13.80%)はベンチマークの10%を上回り、株主資本の効率的な活用が見られます。しかし、営業利益率が6.61%と10%の目安を下回っており、本業の収益性には改善の余地があります。また、直近四半期の売上成長率が前年比-13.10%とマイナスであり、トップラインの成長が鈍化している点が指摘されます。

【収益性】

  • 営業利益率: 過去12ヶ月では6.61%ですが、2026年3月期の通期予想では営業収益280,000百万円に対し営業利益16,000百万円となっており、予想営業利益率は5.71%となります。これは、物流業界の収益性が相対的に低いことや、直近のコスト上昇圧力、競争環境の厳しさを示唆している可能性があります。一般的な目安である10%と比較すると改善の余地があると言えます。
  • ROE (Return on Equity): 過去12ヶ月で13.80%、実績としては8.17%です。目安とされる10%を上回っており(過去12ヶ月)、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す能力は高いと評価できます。ただし、直近のROEの上昇には多額の特別利益が寄与している可能性も考慮する必要があります。
  • ROA (Return on Assets): 過去12ヶ月で1.63%です。一般的な目安である5%と比較すると低い水準にあり、総資産に対する利益創出効率には改善の余地があると言えます。これは、保有する不動産などの固定資産が大きい一方で、それらを十分に収益に結びつけきれていないことを示している可能性があります。

【財務健全性】

  • 自己資本比率: 実績で59.8%、直近四半期においても59.2%と高い水準を維持しています。一般的な目安とされる40%を大きく上回っており、財務基盤は非常に強固であると評価できます。借入金への依存度が低く、景気変動や金利上昇に対し安定した経営が可能です。
  • 流動比率: 直近四半期で1.21倍です。一般的な目安である1.5倍から2.0倍と比較するとやや低い水準にあります。短期的な債務の支払い能力は確保されているものの、現金および現金同等物の比率や棚卸資産の管理には注意が必要です。

【キャッシュフロー】

  • 営業CF (Operating Cash Flow): 過去12ヶ月では97億6,000万円のプラスですが、直近の第3四半期累計期間では△8億6,000万円とマイナスに転じています。これは、運転資本の変動や売上債権の増加などが影響している可能性があります。本業で安定してキャッシュを生み出す能力は重要であり、今後の動向を注視する必要があります。
  • FCF (Free Cash Flow): 直近の第3四半期累計では△107億6,800万円とマイナスです。過去数年間はプラスを維持していましたが、直近のマイナスは営業キャッシュフローの減少と投資活動による支出(投資CFは+99億800万円とプラスだが、これは有価証券売却によるものと推測される)が重なった結果と考えられます。特に、営業CFがマイナスになっている点は要注意です。安定したフリーキャッシュフローの創出は、株主還元や新規事業投資の源泉となるため、今後の改善が望まれます。

【利益の質】

  • 営業CF/純利益比率: 0.19です。一般的に1.0以上が健全とされますが、三菱倉庫の場合は大幅に下回っています。この低い比率は、直近の純利益が投資有価証券売却益という一過性の特別利益によって大きく押し上げられた一方で、本業の営業活動によるキャッシュ創出が純利益に比して低いためと考えられます。純利益の大幅な増益は評価されるものの、その内容としては「質」の面で課題を抱えていると言えます。

【四半期進捗】

2026年3月期 第3四半期累計(2025年4月1日~2025年12月31日)の通期予想に対する進捗状況は以下の通りです。

  • 売上高: 205,089百万円(通期予想280,000百万円に対し進捗率73.2%
  • 営業利益: 12,096百万円(通期予想16,000百万円に対し進捗率75.6%
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 42,283百万円(通期予想50,000百万円に対し進捗率84.6%

営業利益の進捗は順調に見えますが、前年同期比では4.3%の減収、25.1%の営業減益となっています。一方で、純利益の進捗率が計画を上回っているのは、前述の投資有価証券売却益などによる特別利益の計上によるものです。本業の収益力は前年同期と比較して低下しているため、今後の収益改善が課題となります。
直近の損益計算書(過去12ヶ月、および2025年3月期実績)と、2026年3月期通期予想、第3四半期累計を比較すると、本業の売上高と営業利益の成長には慎重な見方が示されており、純利益の増加は特別利益の影響が大きいことが強調されます。

【バリュエーション】

  • PER (株価収益率): 会社予想ベースで9.94倍です。これは株価が1株当たり利益の何年分かを示す指標で、業界平均の14.8倍と比較すると約67%の水準にあり、割安と判断できます。同業他社と比較して利益に対して株価が低く評価されている可能性があります。ただし、現在の予想EPSの高さに特別利益が大きく寄与していることを考慮すると、本業のPERはもう少し高くなる可能性もあります。
  • PBR (株価純資産倍率): 実績ベースで1.31倍です。これは株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標で、業界平均の1.1倍と比較すると約119%の水準にあり、純資産に対してはやや割高と判断できます。一般的なPBR1倍割れが解散価値を下回るとされる中で、同社のPBRは1倍以上であり、企業価値が純資産を上回って評価されていることを示唆しています。

業種平均PER基準で算出した目標株価は1,271円、業種平均PBR基準で算出した目標株価は1,176円となっており、現在の株価1,405.5円はこれらの目標株価を上回っています。これは、市場が同社の安定性や不動産アセットの含み益、あるいは将来性に対してこれらの指標の平均値以上の評価をしていることを示しているとも考えられます。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: 32.11 / シグナル値: 31.53 短期トレンド方向を示すが、両者の乖離は小さく方向性は明確でない
RSI 中立 59.5% 70%以上が買われすぎ30%以下が売られすぎとされる中で、買われすぎでも売られすぎでもない中立圏にあります
5日線乖離率 -1.31% 直近のモメンタムはやや弱含みと見られます
25日線乖離率 +3.16% 短期トレンドはまだ上昇傾向にあります
75日線乖離率 +11.46% 中期トレンドは明確な上昇傾向にあります
200日線乖離率 +16.22% 長期トレンドも強い上昇傾向にあります

MACDは中立を示しており、明確なトレンド転換のサインは出ていません。RSIも中立圏にあり、過熱感や売られすぎ感はありません。移動平均乖離率を見ると、株価は5日移動平均線をわずかに下回っていますが、25日、75日、200日移動平均線は大きく上回っており、中長期的な上昇トレンドは継続していると判断できます。短期的な調整局面にある可能性はありますが、全体的な基調は強気です。

【テクニカル】

現在株価1,405.5円は、52週高値1,465.50円に近く、年初来高値に迫る水準に位置しています。52週安値836.00円からは大きく上昇しており、この1年間のパフォーマンスは非常に良好です。直近の株価は、短期の5日移動平均線(1,424.10円)を下回っていますが、中期・長期の25日、75日、200日移動平均線(それぞれ1,362.40円、1,260.94円、1、208.54円)を上回っているため、短期的な調整はありつつも、中長期的には上昇トレンドが継続していると解釈できます。

【市場比較】

三菱倉庫の株価パフォーマンスを市場全体と比較すると以下の通りです。

  • 日経平均比:
    • 1ヶ月リターン: 株式+7.37% vs 日経+1.64%5.73%ポイント上回る
    • 3ヶ月リターン: 株式+21.22% vs 日経+12.81%8.40%ポイント上回る
    • 6ヶ月リターン: 株式+14.31% vs 日経+30.81%16.50%ポイント下回る
    • 1年リターン: 株式+36.72% vs 日経+43.44%6.72%ポイント下回る
  • TOPIX比:
    • 1ヶ月リターン: 株式+7.37% vs TOPIX+1.95%5.42%ポイント上回る
    • 3ヶ月リターン: 株式+21.22% vs TOPIX+11.34%9.87%ポイント上回る

直近1ヶ月および3ヶ月では、日経平均およびTOPIXといった主要市場指数をアウトパフォームしており、相対的に強い動きを見せています。しかし、6ヶ月や1年といった長期スパンでは、日経平均の歴史的な上昇率には及ばず、市場全体と比較して劣後しています。これは、日経平均が特に高成長株や輸出関連株に牽引された影響が大きい可能性があり、三菱倉庫のような安定企業は、その恩恵を相対的に受けにくかったと推測されます。

【定量リスク】

  • ベータ値: 0.22 (5Y Monthly)
    • ベータ値が1.0を下回る場合、市場全体の変動よりも株価変動が小さいことを示します。三菱倉庫のベータ値0.22は非常に低く、市場全体の動き(日経平均やTOPIX)に比べて株価の変動が小さく、相対的にリスクの低い銘柄であると言えます。
  • 年間ボラティリティ: 25.42%
    • この数値は、株価の年間変動率の目安を示します。仮に100万円投資した場合、年間で±25.42万円程度の変動が想定されることを意味します。市場全体のリスクが上昇した場合、この変動幅が拡大する可能性もあります。
  • 最大ドローダウン: -42.45%
    • これは過去の一定期間において、株価がピークから最も下落した割合を示します。この程度のドローダウンは今後も起こりうるリスクであり、投資家は想定しておくべきです。
  • 年間平均リターン: -18.92%
    • シャープレシオ: -0.76 (リスクに見合うリターンが得られていないことを示唆)

上記の定量リスク指標は、三菱倉庫が市場全体と比べて変動は小さいものの、過去のリターン実績やリスク調整後リターンは必ずしも優れているわけではないことを示しています。特に、最大ドローダウンの大きさや、リスク調整後リターンを示すシャープレシオのマイナス値は、過去の株価下落局面での打撃の大きさと、リスクに見合ったリターンを得ることが難しかった時期があることを示唆しています。

【事業リスク】

  • 物流事業の競争激化とコスト変動: 倉庫業や運送業は競合が多く、運賃や保管料の価格競争が激化するリスクがあります。また、燃料価格の高騰や人件費の上昇など、コストが増加する要因も多く、物流事業の収益性を圧迫する可能性があります。
  • 不動産市況の変動: 同社は広範な不動産事業を展開しており、特に都心部の優良物件からの賃料収入が安定した収益源となっています。しかし、景気後退や金利上昇、オフィス需要の変化などにより不動産市況が変動した場合、賃料収入の減少や不動産価値の毀損が起こり、収益に影響を及ぼすリスクがあります。
  • 一過性の特別利益への依存: 直近の純利益の大幅な増加は、投資有価証券売却益といった特別利益に大きく依存しています。本業の営業利益は減少傾向にあり、今後も高水準の特別利益を継続して計上できる保証はありません。このため、本業の収益改善が進まない場合、将来の利益水準が予想を下回る可能性があります。

7. 市場センチメント

信用取引状況を見ると、信用買残が226,000株、信用売残が118,900株となっており、信用倍率は1.90倍です。信用倍率が1倍を大きく上回る場合、将来的な株価上昇に対する期待が高い一方で、信用買い残が決済される際の売り圧力が潜在的に存在する可能性があります。しかし、1.90倍という水準は極端に高いとは言えず、過度な警戒は不要と判断できます。
主要株主構成を上位3社で見ると、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)8.24%自社(自己株口)7.22%明治安田生命保険6.80%となっており、安定株主が一定割合を占めています。自社株口の存在は、株主還元への意識の高さを示すとともに、市場での流通株数を調整する意図があると考えられます。また、日本マスタートラスト信託銀行のような信託銀行が筆頭株主であることは、日本の大手企業の多くに見られる特徴であり、安定的な株式保有を示唆しています。

8. 株主還元

三菱倉庫は、安定した株主還元を目指す企業姿勢を示しています。

  • 配当利回り(会社予想): 2.56%
    • 現在の株価に対する配当利回りは、安定的なインカムゲインを求める投資家にとって魅力的な水準と言えます。
  • 1株配当(会社予想): 36.00円
    • 2026年3月期の年間配当は、中間配当18.00円、期末配当18.00円の合計36.00円が予想されています。これは前年度の32.00円から増配となっており、利益成長に合わせた株主還元強化の姿勢がうかがえます。
  • 配当性向: 37.24%
    • 会社の利益に対する配当金の割合は37.24%であり、一般的な目安とされる30〜50%の範囲内に収まっています。これは、企業の成長投資と株主還元とのバランスが適切にとれていることを示します。
  • 自社株買いの状況:
    • 直近のニュースでは、1100万株(発行済株式総数に対する割合3.2%)、100億円を上限とする自社株買いの実施が発表されました。自社株買いは、1株当たりの利益向上や株主価値向上に直結するだけでなく、市場に流通する株式数を減らすことで需給を引き締め、株価の下支え効果も期待されます。これは、経営陣が現在の株価水準を割安と判断し、株主への還元意欲が高いことを明確に示すものです。

これらの情報から、三菱倉庫は安定的な配当に加え、自社株買いを通じて株主価値向上に積極的に取り組む方針であることが伺えます。

SWOT分析

強み

  • 広範な物流ネットワークと安定した不動産賃貸収入: 国内外に展開する高度な物流インフラと、東京都心部に多数保有する優良不動産からの安定した賃料収入が、堅固な収益基盤と財務安定性を提供しています。
  • 高水準の財務健全性: 自己資本比率約60%という高い水準を維持しており、外部環境の変化や不測の事態にも対応できる強固な財務基盤を保有しています。

弱み

  • 物流事業の収益性低下と利益の質への懸念: 本業である物流事業の営業利益が減少傾向にあり、営業利益率も業界水準に比して改善余地があります。直近の純利益は特別利益に大きく依存しており、利益の持続性には注意が必要です。
  • 短期的な支払い能力の改善余地: 流動比率が1.21と、短期的な支払い能力の目安とされる1.5を下回っており、運転資金管理や流動性にはわずかながら改善の余地があります。

機会

  • デジタル化・自動化による物流効率化: AI、IoTなどの先進技術を活用した倉庫の自動化や、サプライチェーンマネジメントの高度化を通じて、物流コスト削減とサービス品質向上の機会があります。
  • 保有不動産の再開発・有効活用: 都心部の優良な不動産ポートフォリオは、再開発やより高収益な用途への転換により、資産価値と収益性のさらなる向上が期待できます。

脅威

  • 景気変動による荷動き・不動産需要の減少: 世界経済や国内景気の動向は、物流需要や不動産賃料に直接影響を与えます。景気後退期には、物流取扱量の減少や空室率の上昇、賃料の下落といったリスクがあります。
  • 金利上昇による不動産の収益性悪化と資金調達コスト増: 金利が上昇した場合、不動産事業における新規投資の資金調達コストが増加するほか、不動産評価額にも影響を与え、収益性を圧化させる可能性があります。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定した配当と強固な財務基盤を重視する長期投資家: 高い自己資本比率と安定的な配当実績、そして自社株買いによる株主還元姿勢は、長期にわたって安心して保有したい投資家にとって魅力的です。
  • 不動産アセットからの安定収入を評価する投資家: 同社が保有する優良不動産からの賃貸収入は、景気変動の影響を受けにくい安定した収益源であり、インカムゲインを重視する投資家やポートフォリオの分散を考える投資家に向いています。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 特別利益の剥落後の本業の収益力: 直近の好決算は一過性の特別利益に大きく依存しているため、今後は本業である物流事業と不動産事業の営業利益の成長と収益性の改善が進むかに注目が必要です。
  • キャッシュフローの動向: 直近四半期で営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローともにマイナスに転じています。安定的なキャッシュ創出能力は企業の持続的成長の要であるため、今後のキャッシュフローの改善トレンドを確認することが重要です。

今後ウォッチすべき指標

  • 営業利益率: 7%以上(本業の収益力改善の目安)
  • フリーキャッシュフロー: 安定したプラスへの転換(事業活動からの健全な資金創出の目安)
  • ROE: 10%以上維持(株主資本効率の持続性)

10. 企業スコア

成長性:C(やや不安)

過去12ヶ月の売上高は前年比で11.6%増加していますが、直近四半期の前年比売上高成長率は-13.1%とマイナスに転じています。2026年3月期の通期営業収益予想も前年比で-1.4%と減収を見込んでおり、物流事業における競争激化や外部環境の変化が影響している可能性があります。純利益は特別利益によって大幅に増加していますが、本業ベースでの持続的な成長には懸念があるため、C評価とします。

収益性:B(普通)

過去12ヶ月のROEは13.80%と一般的な目安である10%を上回っており、株主資本の効率的な活用は見られます。しかし、営業利益率は6.61%(過去12ヶ月)であり、一般的な目安とされる10-15%には届いておらず、本業の収益性にはまだ改善の余地があります。また、ROAは1.63%と低い水準にあります。これらの要素を総合的に判断し、B評価とします。

財務健全性:A(良好)

自己資本比率は59.8%(実績)と非常に高く、強固な財務基盤を保有しています。Piotroski F-Scoreも6/9点で「良好」と評価されており、負債依存度も低いです。ただし、流動比率が1.21倍と、短期的な債務返済能力の目安とされる1.5倍を下回っている点は、わずかながら改善余地があると言えます。全体としては非常に安定した財務状況であるため、A評価とします。

バリュエーション:B(普通)

PER(会社予想)は9.94倍と、業界平均の14.8倍と比較して割安水準にあります。しかし、PBR(実績)は1.31倍で、業界平均の1.1倍をやや上回っており、純資産価値から見ると割高感があります。PERの割安感は特別利益によるEPSの上振れを考慮すると調整が必要な可能性があり、PBRは業界平均を上回るため、総合的には適正水準の上限に近いと判断し、B評価とします。


企業情報

銘柄コード 9301
企業名 三菱倉庫
URL http://www.mitsubishi-logistics.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 運輸・物流 – 倉庫・運輸関連業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,406円
EPS(1株利益) 141.40円
年間配当 2.56円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 5.7% 11.4倍 2,129円 8.8%
標準 4.4% 9.9倍 1,739円 4.5%
悲観 2.6% 8.4倍 1,359円 -0.5%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,406円

目標年率 理論株価 判定
15% 872円 △ 61%割高
10% 1,089円 △ 29%割高
5% 1,374円 △ 2%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
住友倉庫 9303 3,970 3,086 17.48 1.02 6.5 2.59
三井倉庫ホールディングス 9302 3,765 2,936 27.44 2.17 9.1 1.30
澁澤倉庫 9304 1,378 838 13.75 1.17 9.4 3.91

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.31)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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